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不眠症状「三重苦」が37%…入眠時・夜間・早朝に indexへ

 寝付きが悪いと不眠症状を訴える人の47%は夜中に目覚める悩みも持っており、朝も早く目覚めてしまう「三重苦」の人も37%いるという調査結果を、大分大の兼板佳孝教授(公衆衛生)がまとめた。徳島市で来月3日から開かれる日本睡眠学会で発表する。
 調査は全国から無作為で抽出した20歳以上の4820人を対象に、不眠症状について面接調査を行い2614人から回答を得た。
 寝付きが悪いと入眠障害を訴えたのは9・8%。夜間覚醒は7・1%、早朝覚醒は6・7%だった。
 入眠障害と夜間覚醒の二つを訴えたのは4・6%、入眠障害と夜間覚醒、早朝覚醒の三つすべてを訴える人も3・6%で、複数の症状を訴える人が多い実態が明らかになった。
 日本人は外国人に比べて、寝付かれない時に、寝酒に頼る人が多い。兼板教授らの以前の調査で、週1回以上寝酒を飲む人は男性48%、女性18%いた。しかし、寝酒は入眠を促す反面、睡眠の質を下げてしまう。
 兼板教授は「複数の不眠症状を訴える人が予想以上に多かった。寝酒に頼るのが原因かもしれない。夜間よく眠るには、昼間の運動などが効果的」と話す。

睡眠薬常用、目にダメージ…神経過敏でけいれん indexへ

 睡眠薬や抗不安薬を長期服用すると、脳の中央にある視床が過度に興奮し、まぶたのけいれんや目のまぶしさ、痛みなどを伴う眼瞼けいれんが引き起こされ、服薬をやめても視床の興奮が続く例があることが、神経眼科医らの調査で分かった。脳研究の国際的な学術誌電子版に論文が掲載された。
  三島総合病院(静岡県三島市)の鈴木幸久眼科部長と東京医科歯科大の清澤源弘臨床教授らが11年前から調査を開始。不眠症などでベンゾジアゼピン系や類似 の睡眠薬、抗不安薬を長く服用し、眼瞼けいれんを発症した患者21人(服薬期間の平均は約4年)を対象とした。服薬を2週間以上中断してもらい、薬の直接 的な影響を除き、ポジトロン断層法と呼ばれる画像検査で脳の活性度を調べた。
 その結果、服薬中の発症患者は、全身の感覚情報を大脳に中継する視床が健康な人よりも激しく活動していた。薬の影響で、視床の神経細胞の興奮を抑える働きが鈍り、神経が過敏になって目の症状が引き起こされたとみられる。

「検証委で原因調査徹底」…千葉県がんセンターの術後死巡り病院長 indexへ

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)で腹腔鏡手術後にがん患者が相次いで死亡した問題を巡り、同センターの病院長を兼務する矢島鉄也・県病院局長は26日の県議会健康福祉常任委員会で、有識者による第三者検証委員会で原因調査と再発防止を徹底する考えを示した。
 矢島氏は、同センターが25日から厚生労働省による立ち入りの指導を受けていることも明らかにした。
  矢島氏は「患者を救うべく一生懸命、治療を行った上のことと認識しているが、術後短期間で亡くなる事例が続いた事実は重く受け止めている。原因や問題点、 対応策について把握し、正すべき点は正すためにも第三者の検証を行うべきだと判断した」と説明した。第三者検証委員会の報告書提出の時期については、同局 は「年度内は一つの大きなメドだ」として、来春までかかることを示唆した。
 厚労省の指導は継続中のため、同センターへの具体的な指摘はまだないという。同省は「個別の案件はコメントしない」(医療指導監査室)としているが、県病院局は保険医療給付を巡る健康保険法73条に基づく措置と説明している。
 同センターが診療報酬の点数表にない腹腔鏡手術にも保険適用していたことを問題と指摘する声もあり、同省は今回、こうした点を調べるため直接の指導に踏み切ったとみられる。
 同常任委員会で、県病院局は5月から全ての県立病院で難度の高い腹腔鏡手術を行っていないことも明らかにした。

新型出生前検査、「陽性確定」110人は中絶 indexへ

 妊婦の採血で胎児の三つの染色体の病気が高い精度でわかる新型出生前検査で、昨年4月の導入から今年3月末まで1年間に、実際には異常はなかったのに「陽性」と判定された妊婦が13人いたことが、大阪府内で27日始まった日本遺伝カウンセリング学会で報告された。
 病気が確定した場合、妊婦のほとんどが人工妊娠中絶を選んでいるが、「陽性」と判定され、確定検査を受けず中絶した例もあった。
 実施施設の医師が参加する共同研究組織「NIPTコンソーシアム」によると、1年間に7775件の新型検査が行われ、18日までに集まった37施設7740人のデータを分析した。
 研究組織の事務局を務める関沢明彦・昭和大教授は、「カウンセリングで新型検査の結果が確定的なものではないことは十分説明している。このデータを参考に、新型検査への理解をより深めてほしい」と話している。
  ダウン症が「陽性」とされた79人のうち3人、18番染色体が3本あって心臓などに重い障害の出る18トリソミーが「陽性」とされた50人のうち8人、 13番染色体が3本あって呼吸障害などがある13トリソミーが「陽性」とされた13人のうち2人が胎児に病気がなかった。
 一方、三つの病気とも「陰性」だったが、実際には18トリソミーと判明した妊婦は1人だった。
 「陽性」と判定された142人のうち、確定検査である羊水検査などで病気が分かったのは113人。うち110人は中絶を選び、2人は流産した。
 新型検査は従来の採血による検査より精度が高いため、「陽性」と出た場合、確定検査を受けずに中絶する恐れが指摘されている。実際に、確定検査を受けずに中絶した妊婦が2人確認されており、検査施設の認定を行う日本医学会が調査を進めている。

糖尿病新薬で脳梗塞3例…学会が使用注意呼びかけ indexへ

 新しい糖尿病治療薬の服用後に、低血糖や脳梗塞などを起こした例が報告されており、日本糖尿病学会は、適正使用をするよう注意を呼びかけた。
 新薬は、今年4月以降、相次ぎ発売されている「SGLT2阻害薬」。腎臓で、尿に出た糖を再び取り込むのを妨げる働きがあり、体重を減らす作用がある。
 同学会によると、報告されたのは、低血糖24例、脳梗塞3例、全身の発疹7例など。このうち低血糖4例、脳梗塞2例、発疹6例は重い症状だった。
 低血糖は他の糖尿病治療薬を併用している場合が多いため、同学会は他の薬は減らすようにし、併用は原則2剤程度までを推奨する。新薬を服用すると、尿の量が増えて体内の水分が減り、脳梗塞の要因になるので、適度な水分補給など十分な脱水対策を求めた。
 発疹など皮膚障害は、発売前の治験ではほとんどみられなかったが、新薬との因果関係が疑われるとし、症状が出たら、服薬は中止することも呼びかけた。

「ゼプリオン」死亡、医師向け緊急講演行う indexへ

 統合失調症治療薬「ゼプリオン」の市販後、半年間に患者32人が死亡した問題を受け、日本精神神経学会は27日、横浜市で開催中の学術総会で医師向けの緊急教育講演を行った。
 講師を務めた山梨県立北病院の藤井康男院長は、死亡例に突然死が多いことを指摘。「ゼプリオンの調査で今回のような数が明らかになったことを重く受け止め、今後、他の薬でも正確な調査を行う必要がある」と訴えた。
 また、ゼプリオンの使用前や使用中に適切な検査を行うことや、患者への副作用リスクの説明などを求めた。

統合失調症薬ゼプリオン、半年で32人の死亡例 indexへ

 統合失調症治療薬「ゼプリオン」の使用後に死亡する患者が相次いでいる問題で、半年間の死亡報告が32人に上り、直近1か月で11人増えたことが読売新聞の取材で分かった。
 この薬は昨年11月の市販開始から5か月間に21人が死亡し、厚生労働省は4月、販売元のヤンセンファーマ社に医療関係者への注意喚起を求めたが、以後も死亡報告が積み重なった。
  ゼプリオンは、成分が体内に長く残る注射薬で、4週に1度の使用で効果が続く。同社が今月、医師向けに配布した報告書によると、今年5月までの半年間の使 用者は推計1万1000人。死者32人中、12人は心疾患などによる突然死、4人は突然死が疑われる死亡だった。この薬だけで治療した30歳代の女性患者 は、2回目の投与後、体の硬直などの副作用で以後の投与が中止された。だがその後、頻脈、意識障害、肺炎などが起き、投与開始72日後に死亡した。
  こうした死亡例について、同社は報告書で「(薬と死亡との)明確な因果関係の有無は不明」としている。一般に統合失調症治療薬は多く使うと突然死などの副 作用を起こすことがあり、同社では「他の薬に比べ死亡率が高いとは判断していないが、より慎重な投与を医師に求めたい」と話す。

検証委で調査徹底…千葉県がんセンター手術死 indexへ

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)で腹腔(ふくくう)鏡手術後にがん患者が相次いで死亡した問題を巡り、同センターの病院長を兼務する矢島鉄 也・県病院局長は26日の県議会健康福祉常任委員会で、有識者による第三者検証委員会で原因調査と再発防止を徹底する考えを示した。
 矢島氏は、同センターが25日から厚生労働省による立ち入りの指導を受けていることも明らかにした。
  矢島氏は「患者を救うべく一生懸命、治療を行った上のことと認識しているが、術後短期間で亡くなる事例が続いた事実は重く受け止めている。原因や問題点、 対応策について把握し、正すべき点は正すためにも第三者の検証を行うべきだと判断した」と説明した。第三者検証委員会の報告書提出の時期については、同局 は「年度内は一つの大きなメドだ」として、来春までかかることを示唆した。
 厚労省の指導は継続中のため、同センターへの具体的な指摘はまだないという。同省は「個別の案件はコメントしない」(医療指導監査室)としているが、県病院局は保険医療給付を巡る健康保険法73条に基づく措置と説明している。
 同センターが診療報酬の点数表にない腹腔鏡手術にも保険適用していたことを問題と指摘する声もあり、同省は今回、こうした点を調べるため直接の指導に踏み切ったとみられる。
 同常任委員会で、県病院局は5月から全ての県立病院で難度の高い腹腔鏡手術を行っていないことも明らかにした。

看護師不足「一部病床使えず」38施設…千葉 indexへ

 千葉県内で昨年度、県の許可を受けているにもかかわらず、看護師不足のために入院ができない病床を抱えている病院が38施設あることが、県の調査でわかった。
 医師不足に加え、医療現場に看護師の不足が深刻な影響を及ぼしていることが浮き彫りになった形だ。
 調査結果は20日の県議会一般質問で、阿部紘一議員(自民)の質問に古元重和・保健医療担当部長が明らかにした。森田知事は「厳しい現状を真摯
しんし
に受け止めている。現場や有識者の声を聞いて、いっそう取り組みを推進していきたい」と答弁した。
 県医療整備課は、県内全279病院を対象に2013年8月現在の実態を調査し、全病院から回答を得た。その結果、59病院が一部の病床を使っておらず、複数回答可能で理由を尋ねたところ「医師不足」が13病院だったのに対し、「看護師不足」は38病院だった。
 県の統計では、12年末現在、県内で就業する看護師は約3万5000人。県は今年度、県内の従事者を増やそうと、学生に対する修学資金の貸し付けなどの支援策を拡大している。
 一方、古元保健医療担当部長は「看護師免許を持っていながら従事していない人が、県内に約2万5000人いると推計される」とも指摘し、病院内保育所の支援や、復帰希望者に対する最新技術の講習などを通じ、再就業を促進していく意向を示した。

女性2人がO157感染…さいたま indexへ

 さいたま市は19日、市外の30歳代の女性と市内の50歳代の女性が腸管出血性大腸菌O(オー)157に感染したと発表した。
 市地域医療課によると、30歳代の女性は11日に下痢や腹痛を訴え、市内の病院で診察を受け、検査の結果、18日に感染が判明した。
 50歳代の女性は12日に発症し市内の医療機関で受診し、17日に感染がわかった。
 2人はいずれも入院しているという。

インフル推計 実数の倍か indexへ

 インフルエンザの流行を把握する厚生労働省の発生動向調査で、全国の推定患者数が実際の2倍近くになっている可能性が高いことが、国立感染症研究所の調査でわかった。
 すべての電子レセプト(診療報酬明細書)から実際にインフルエンザと診断された患者数を調べ、判明した。18日から福岡市で始まる日本感染症学会で発表する。
  インフルエンザの発生動向調査は、全国の小児科や内科など約5000医療機関の報告数から患者数を推計する。近年は1376万人(2010年)、1658 万人(11年)、1276万人(12年)と推移したが、患者が多い機関が調査対象になる傾向があり、推定が過大との指摘があった。
 研究チームは、医療機関が作り、病名などが記載された「レセプト」に注目。すでに96%以上が電子化されており、これを活用して全患者数を算出したところ、736万人(10年)、927万人(11年)、729万人(12年)と発生動向調査の半数程度だった。
  同研究所は、集計に時間がかかる発生動向調査とは別に09年、全国の協力薬局が抗インフルエンザ薬を処方したデータに基づき、患者数を推定して翌日に公表 する「薬局サーベイランス」を開始した。その数とレセプトによる患者数はほぼ一致しており、この調査の精度の高さが確認できた。ただ、厚労省は「過去との 比較ができなくなる」と調査方法の見直しには慎重だ。研究チームの菅原民枝・主任研究官は「感染症対策には迅速で正確な患者数の把握が不可欠だ。レセプト や薬局サーベイランスの情報を用いれば、動向調査の推計を実用面で補える」と話している。

千葉県がんセンター9人術後死 本格調査へ indexへ

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)で腹腔(ふくくう)鏡手術後にがん患者が相次いで死亡した問題で、県は17日、有識者による第三者検証委員会を設置したと発表した。
 医師ら7人で構成され、今後会合を開いて医療ミスがなかったかどうかなどを調査する。県は今年度中に報告書の提出を求める方針。また、手術など専門的な調査については、「日本外科学会」に依頼することを明らかにした。
 県病院局によると、同センターでは腹腔鏡手術後、2008年から今年2月までに9人が死亡。このうち、57歳~86歳の男女7人は同一の男性医師による手術を受け、当日~約9か月後に死亡したことが判明している。ほかの2人は、それぞれ別の医師が執刀していた。
 同手術は、体に数か所の小さな穴を開け、カメラなどの器具を入れて行う手術で、開腹手術に比べ体への負担が少なく、患者の回復が早いのが特徴。医療関係者によると、日本では1990年代前半から同手術が行われるようになったという。
 今回の事例は、同センターでは「問題ない」とされたが、県は「腹腔鏡手術後、短期間に複数の患者が亡くなったことを重く受け止めた」とし、検証委を設置した。
  検証委は、県コンプライアンス委員会議会長の真田範行弁護士などで構成し、月1回程度開催する予定。死亡した9人について〈1〉手術における問題の有無 〈2〉センター内の意思決定の手続き〈3〉患者への説明の有無〈4〉術後の対応など――を検証する。初会合の時期は未定。
 また、専門的な知見が必要とされる手術に関する調査は、日本外科学会にカルテなどの資料から個々の事案を分析してもらい、その報告をもとに検証委で議論する。
 記者会見した県病院局の高橋功一副病院局長は「県民や患者のみなさんが安心し、納得してもらえるように情報提供していくのが県の責務。そのためにもしっかりと検証してもらいたい」と話した。
 
 検証委の他の委員は次の通り。
 隈本邦彦・江戸川大教授▽多田羅浩三・日本公衆衛生協会長▽豊田郁子・新葛飾病院医療安全対策室セーフティーマネージャー▽長尾能雅・名古屋大病院副院長▽真島喜幸・県がん患者団体連絡協議会委員▽山下洋一郎・弁護士

処方箋と違う薬渡した薬剤師を業務停止処分…佐賀 indexへ

 佐賀県は17日、処方箋と異なる薬を患者に渡していたなどとして「福田平安堂薬局」(嬉野市嬉野町)の福田眞知子薬剤師(65)に対し、薬事法に基づき同日から15日間の業務停止処分を行ったと発表した。
  発表などによると、福田薬剤師は昨年10月19日~11月30日、県内の医療機関から受け取った処方箋を持って来店した循環器系の病気を患う70歳代の女 性に対し、処方箋の薬は渡さず、指示されていない漢方薬を3回にわたって処方。薬事法施行規則では薬剤師が処方箋に記載された医薬品を変更することを禁じ ている。
 女性が昨年12月に別の医療機関に入院した際、「お薬手帳」の記載と持参した薬が異なることに医師が気付いて発覚。福田薬剤師は県の調査で事実関係を認め、「体に優しい漢方薬の方がいいと判断してしまった。法に違反したことは反省している」と話しているという。

広島・府中市立湯が丘病院 医師法定数満たさず indexへ

 広島県府中市上下町の市立湯が丘病院(308床、仲地律雄院長)で、医師と薬剤師が医療法で定められた人数を満たしていないことがわかった。
 医師は昨年4月、薬剤師は今年4月から、それぞれ必要数を下回っている。県も昨年12月に改善を指導しており、病院側は「措置入院受け入れを中止するなど、診療にも影響が出ているので、早く医師を確保したい」としている。
 同病院は、旧甲奴郡3町が精神科の単科病院として1961年に設立。自治体の合併を経て2004年から府中市が運営し、同市民病院に医師を派遣するなど、備後地方北部の精神科診療の中核を担う。昨年度は1日平均245人の入院患者があった。
 医療法は、入院、外来患者数を基に必要な医師数などを設定。同病院では医師6・6人が必要で元々7人いたが、昨年と今年の3月末に各1人が退職し、現在は5人。2人が必要な薬剤師も3月末に1人退職した。
  医師不足のため、同病院は、自分や他人を傷つける恐れのある患者の措置入院の受け入れを、4月から休止。平日の外来診療は、週3日は医師3人で担当してい たが、全て2人で対応する。夜間や休日の当直、日直回数が、多い医師で2倍になるなど、医師の負担が増している。また薬剤師が減ったため、診療報酬として 「薬剤管理指導料」が受けられなくなり、病院の収入にも影響している。
 医師の不足について、県は昨年12月2日付で、同病院に人数を満た すよう求めた。指導を受けて、同病院は改善計画書を提出した上で、独自に医師らを募集し、岡山大にも医師の派遣を求めているが、確保のめどは立っていな い。仲地院長は「迷惑をかけ、申し訳ない。地域の精神医療の砦を何とか守っていきたい」と話した。
 市も4月から、同病院勤務医の手当を2万5000円~5万円増額。待遇を改善することで、医師確保をバックアップする。
 市健康政策室の浅野昌樹室長は「各地で医師が不足しており、一自治体の力では難しい。医療圏や県単位でも解決に協力してほしい」と話した。

先進医薬品を早期承認…厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は、世界初となる医薬品や医療機器を早期に承認するための新制度を、今年度内に創設する方針を決めた。
 ベテランの審査員が製品開発を助言するなどし、製品化に必要な治験の開始から承認までの期間を従来より半年以上縮める。国内で製品化しやすい環境を整え、医療産業の国際競争力を高める。6月下旬にまとめる新たな成長戦略に盛り込む。
  新制度は「先駆け審査指定制度」の名称で、がんやアルツハイマー病の治療薬、人工臓器など、世界に先駆けて日本で開発され、承認の申請が計画されている製 品を対象とする。治験の前半の段階で既存の治療法を大きく上回る効果が見込めることを確認し、開発の企業が審査機関に申請する。
 新制度の対象になると、治験を効率良く進めるために企業と審査機関とで行う相談の期間が1か月、承認のための審査期間が半年になり、従来の半分に短縮される。審査機関は審査の流れを記した報告書を英訳し、各企業がアジアなど新興国でも承認を取りやすくする。
 日米で新薬が承認されるまでの時間差を示す「ドラッグ・ラグ」は近年、縮まったが、2011年度で日本は平均6か月の遅れが出ている。同省は新制度の導入で日米の差をなくし、さらに日本が先行する製品を増やしたい考えだ。

「良性」なのに乳腺一部切除手術…検体取り違え indexへ

 兵庫県高砂市の高砂市民病院は16日、乳がんの検査のため病理診断を行った県内在住の女性2人の検体を取り違え、誤った検査結果を伝えるミスがあったと発表した。
 その結果、本来は良性だった女性は、別の病院で乳腺の一部の切除手術を受けていた。病院側は2人に謝罪した。大野徹院長は記者会見で「あってはならない事故が起きた。患者2人と家族に精神的、肉体的苦痛を与えたことを深くおわびします」と述べた。
 病院側の説明では、2人は4月上旬、胸から組織片を採取し、顕微鏡で調べる検査を行った。検査は、外科医が組織片を採取し、看護師が検体として容器に入れてフェルトペンで名前を記入した。その後、検体を別の容器に移す際に取り違えた可能性があるという。

喫煙者の認知症リスク2倍…脳神経細胞に影響か indexへ

 たばこを吸う人は認知症になる危険度が2倍に高まるとの調査結果を九州大の清原裕教授(環境医学)らの研究グループがまとめた。
 14日の日本老年医学会で発表した。かつて喫煙は認知症を減らすとの報告があり、近年、それを否定する報告も海外で相次いでいたが、日本人対象の研究でも、たばこが認知症のリスクとなることが示された。
 今回の調査は、1988年時点で認知症でなかった福岡県久山町の高齢者712人の集団(平均年齢72歳)を15年間追跡した。また、この集団の15年前(72~73年、平均年齢57歳の中年期)の健診記録を照合。中年期、高齢期の喫煙状況と認知症発症の関係を調べた。
 追跡期間中に認知症を発症したのは202人。中年期、高齢期の各時期で「喫煙」「過去に喫煙歴あり」「非喫煙」に分けて分析すると、喫煙者は非喫煙者に比べ、認知症の発症リスクが2倍になった。過去に喫煙歴がある人と非喫煙者では明確な差はなかった。
 中年期、高齢期の両時期とも喫煙している人は、全く喫煙歴のない人に比べ、危険度が2・8倍に上った。
 喫煙が脳神経細胞の障害をもたらしたり、動脈硬化を促進したりするのが認知症の誘因になっているとみられる。

期限切れワクチン、静岡の1歳女児に接種 indexへ

 静岡市保健所は13日、市内の診療所で有効期限が切れたワクチンが1歳の女児に接種されたと発表した。
 現時点で健康被害は確認されていないという。
 発表によると、市と予防接種の委託契約を結ぶ診療所で5月19日、予防接種に訪れた女児に対し、医師と看護師がワクチンの有効期限が4月30日までだったことに気付かず注射した。

鎮静剤「細心の注意を」奈良県が通知へ indexへ

  奈良県御所市の済生会御所病院で昨年8月、手術を受けた女性(81)が鎮静剤「プロポフォール」投与後に植物状態になった問題を受けて、県は13日、プロ ポフォールの使用にあたっては細心の注意を払うよう求める文書を、来週初めにも県内の医療機関に通知することを決めた。
 県地域医療連携課 は、同病院から同日、「プロポフォールの使用後に意識不明になった高齢患者がいる。原因はわからない」とする報告を受けたことを明らかにした。担当者は 「内容を検討したうえで、各機関にこの薬の危険性や、取り扱いに関する注意の周知を図りたい」と話している。
 中谷勝紀院長は同日、院内で開いた記者会見で、「女性が気の毒な状態になったことをおわびする」と述べる一方、看護師が投与するなどしていた病院の対応については「ミスがあったとは思わない。やることはやった」と強調した。
 病院側は、女性の容体は急変する20分前までは安定していたと説明した。中谷院長は「プロポフォールの使用は、やむを得なかった。同じやり方(医師の指示による看護師の投与)で、うまくいったケースもある」と述べた

認知症高齢者の抗精神病薬 服用開始3~6か月、死亡リスク2倍 indexへ

 認知症高齢者に、統合失調症などに用いる抗精神病薬を使う場合、飲み始めから3~6か月の間は、死亡リスクが飲まない人の2倍に高まる、との調査結果を日本老年精神医学会がまとめた。13日、都内で開かれる同学会で発表する。
 抗精神病薬については、米食品医薬品局(FDA)が2005年、認知症患者に使うと死亡リスクが1・6倍高まると警告した。しかし医療現場では、激しい興奮や暴力などの症状を抑えるために用いられることが珍しくない。
  このため、同学会は12~13年、全国の約360医療機関で診療を受ける認知症高齢者(平均82歳)で、抗精神病薬を使う約5000人と使わない約 5000人を登録。半年間追跡し、死亡率などを調査した。その結果、使う群と使わない群全体の比較では、死亡リスクに差はなかった。しかし、抗精神病薬を 飲み始めたばかりの約450人を抽出すると、開始11~24週(3~6か月)の間の死亡率は3・7%で飲まない人の1・9%より高く、死亡リスクは2倍に 上った。開始10週(約2か月)までは差がなかった。

鎮静剤で手術後の女性が植物状態…看護師が投与 indexへ
交渉を進めている。
 病院によると、女性は昨年8月7日、頸動脈狭窄症の治療で脳内の手術を受けた。翌8日夕、医師は、女性が手術の影響で体を激しく動かしていると報告を受け、看護師にプロポフォールの投与を指示。しかし、約6時間後の同日深夜に容体が急変。一時、心肺停止状態になり、現在も意識が戻らないという。

女子医大病院、禁止薬使用を家族に十分説明せず indexへ

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で人工呼吸中の小児患者への投与が禁止されている鎮静剤「プロポフォール」の投与後に小児患者12人が死亡した 問題を巡り、同病院の幹部らは12日の記者会見で、禁止された薬を使うことを患者の家族に十分に説明していなかったことを明らかにした。
  同病院は、今年2月、プロポフォールの大量投与後に男児(当時2歳)が死亡した事故を機に調査を実施。会見での説明によると、この男児を除き、 2009~13年の5年間に15歳未満の小児患者63人に投与し、うち12人が死亡したが、「死亡と投与の因果関係はないとみられる」としている。
 その理由として〈1〉死亡したのは投与から数日~3年後〈2〉いずれも元々病気が重かったり、手術後の感染症が原因で亡くなったりしていた〈3〉12人のカルテにはプロポフォールによる副作用の症状を示す記載がなかった――ことを挙げた。今後、第三者に検証を依頼する。

禁止鎮静剤、投与数日~3年後に小児12人死亡 indexへ

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2009~13年、人工呼吸中の小児患者への投与が禁止されている鎮静剤「プロポフォール」が小児患者約60人に投与された問題で、同病院は12日の記者会見で、うち12人が死亡していたことを明らかにした。
 ただ、死亡は投与の数日~3年後で、同病院は、投与と死亡との因果関係はないと判断しており、今後、外部の調査チームに検証を依頼する。
  会見した同大の吉岡俊正理事長らによると、同病院は13年12月までの5年間に15歳未満の小児患者計63人にプロポフォールを使用。カルテを調べた結 果、死亡した12人は元々病気が重かったり、手術後に感染症にかかったりしており、死亡とプロポフォールとの因果関係はないと判断したという。

死刑願望の医師、患者の透析チューブ引き抜く indexへ

 人工透析中の男性患者の透析チューブを引き抜き、殺害しようとしたとして、警視庁町田署は12日、東京都町田市中町の「あけぼの第二クリニック」所長で、腎臓内科医師の橋爪健次郎容疑者(49)(東京都町田市小川)を殺人未遂の疑いで逮捕した。
 橋爪容疑者は調べに対し、「相手は誰でも良かった。死刑になりたかった」と話しているという。男性は自分ですぐに異変に気づき処置され、命に別条はなかった。
 発表によると、橋爪容疑者は11日午後8時20分頃、同クリニック3階の人工透析室で、人工透析をしていた50歳代の男性患者の透析チューブを引き抜き、殺害しようとした疑い。
 橋爪容疑者は事件直後に、自分で車を運転して同署に出頭。その際、着ていた普段着には血液が付着していたという。
 橋爪容疑者は男性の担当医。人工透析の装置側につながっている透析チューブを引き抜き、そのまま部屋を出て行ったという。男性は血液が流れ出していることに気づき、近くの医療スタッフが処置するなどし無事だった。
 同署によると、橋爪容疑者は当日、出勤日だったとみられる。事件があった人工透析室には当時、約10人の患者が透析を受けていたほか、医療スタッフも複数いた。
 同クリニックの職員は読売新聞の取材に「詳細な状況は説明できない」と話している。
 同クリニックは、外来で血液透析を専門に行う施設として、1999年に開設された。2010年には、人工透析中の女性(当時73歳)が大量出血して死亡した事故があり、勤務していた男性看護師が今年2月、業務上過失致死の疑いで東京地検立川支部に書類送検されている。
  週3回人工透析に通う町田市の女性(72)は「1年5か月前から橋爪先生が担当だった。血圧などを測ると、『高めなのでお薬出しましょうね』と優しい口調 で、丁寧に診察してくれた。2日前にも会ったが、変わった様子はなかった」とし「悪いうわさも聞いたことはない。悩んでいる様子もなく、信じられない」と 話していた。

大塚製薬、遺伝子組み換えウイルスを未処理廃棄 indexへ

 文部科学省は11日、大塚製薬の赤穂研究所(兵庫県赤穂市)で、遺伝子組み換えウイルスを含む可能性のある実験器具などが法律に基づく適切な処理のないまま廃棄されていたとして、同社を厳重注意した。
 外部の環境への影響はないという。
 文科省によると、同社は昨年9~12月、遺伝子組み換えウイルスを死滅させる処理をせずに、器具や廃液を5回廃棄していた。

「脳卒中、多すぎ」慈恵医大でもデータ改ざんか indexへ

 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データ改ざん事件で、ノバルティスファーマ元社員、白橋伸雄容疑者(63)が2005年頃、慈恵医大の研究データについて、データ管理業者からメールで「患者の脳卒中の発生件数が多すぎる」と指摘されていたことがわかった。
 東京地検特捜部はこのメールを入手しており、白橋容疑者が逮捕容疑となった京都府立医大だけでなく、慈恵医大の研究でもデータを改ざんした疑いがあるとみて調べている。
  関係者によると、この業者は、慈恵医大と京都府立医大の臨床研究データを管理していた。慈恵医大のデータで、ディオバン以外の薬を使用した患者の脳卒中の 発生件数が、ディオバンを使用した患者より極端に多いことに気づき、白橋容疑者と同大の研究者に「脳卒中の発生件数が多すぎると思う。入力ミスではない か」と、データの不自然さを指摘するメールを送った。
 しかし、白橋容疑者と研究者からは何の説明もなかったという。この業者は「患者の血圧をきちんと管理した上で臨床研究を行っており、薬だけで脳卒中の発生件数に極端な差が出ることを不思議に思った」と話している。

新型出生前検査、確定診断受けず中絶 indexへ

 妊婦の採血でダウン症などの胎児の病気を調べる新型出生前検査で、病気の疑いがある「陽性」と判定された妊婦2人がその後の確定診断を受けずに人工妊娠中絶をしていたことが読売新聞の取材でわかった。
 新型検査は「陽性」と出ても実際には病気ではないことがあり、検査指針で「医師が十分説明し、理解を得ること」と定めている。検査実施病院を認定する日本医学会は事態を重く見て、病院に詳細な報告を求めた。今後、再発防止に向けた対応を協議する。
  新型検査は例えばダウン症の場合、「陽性」と出ても35歳の妊婦なら20%が、42歳では5%は実際にはダウン症ではないとされる。確定には羊水検査など 腹部に針を刺して調べる検査が必要だが、従来の血液検査に比べて精度が高いため、新型検査の結果のみで中絶する恐れが懸念されていた。
 2 例はいずれも、新型検査を受けた認定病院とは別の産院で中絶が行われていた。うち1人の検査を行った認定病院では、判定後、結果の説明などのために遺伝カ ウンセリングを実施、羊水検査の予約も受けたが、当日、妊婦が受診しなかった。その後、妊婦健診で通院していた産院で中絶が行われたという。
 新型検査は昨年4月から国内で実施され、1年間で約7800人が検査を受け、少なくとも141人が陽性と判定された。
 日本医学会検討委員会の福嶋義光委員長(信州大教授)は、「本来は起きてはならないことだ。遺伝カウンセリングが適切だったのかなどを検証し、再発防止に努めたい」と話す。
 
 新型出生前検査 妊婦の血液中にある微量の胎児のDNAを分析し、ダウン症など3種類の染色体の病気を調べる。胎児に病気のリスクの高い高齢の妊婦などが対象。

予防接種ミス、年2千件超…注射器再使用14件 indexへ

 市区町村の予防接種で、接種回数やワクチンの種類を誤るなどの間違いが全国で年2000件以上あることが、厚生労働省研究班(研究代表者=多屋馨子(けいこ)・国立感染症研究所室長)の調査で分かった。
 インフルエンザワクチンの接種にきた家族に一度使った注射器を刺すなど感染につながりかねない誤りが14件あった。研究班は再発予防に関する冊子を作成し、医療機関に確認徹底を呼びかけている。
 予防接種は12の病気が対象で、高齢者のインフルエンザ以外は全て子ども向け。種類が増え、0~1歳に接種が集中している。研究班は全市区町村に、2011年に起きた間違いについて調査。1350市区町村(77%)が答えた。
 結果は、計2194件の間違いが医療機関から自治体に報告されていた。接種の遅れなど時期のミスが半数だったが、別のワクチンを注射した間違いが301件、倍の薬液を注射したなど量のミスが229件あった。健康被害は確認されていないが、リスクはあった。

造影剤投与直後に呼吸困難、市民病院で女児死亡 indexへ

 愛知県常滑市の常滑市民病院で今月3日、入院していた同県内の女児(6)が、造影剤を投与された直後に容体が急変して死亡していたことが分かった。
 急性アレルギー反応の「アナフィラキシーショック」を起こしたとみられ、病院は県警常滑署に連絡。同署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、投与に問題がなかったかを調べており、今後、担当した医師らから事情を聞く。
  関係者によると、女児は高熱が続き、5月下旬から入院していた。3日になって、エックス線検査をするため腕から造影剤を投与したところ、数分後に気分の悪 さを訴え、呼吸困難に陥った。医師らが治療にあたったものの、間もなく死亡した。造影剤の投与には家族の同意があったという。

肺がん検診でミス、胸部X線写真が感光…富山 indexへ

 富山県高岡市は6日、同市立牧野公民館で3日に行われた肺がん検診で、118人分の胸部X線写真が、フィルム装填装置のカバーをロックし忘れるミスにより感光し、何も写っていなかったと発表した。
 健康への影響はないという。市は全員に謝罪し、無料で再撮影する。
  市によると、肺がん検診は40歳以上が対象で、健診機関「北陸予防医学協会」(本部・高岡市)が受託して実施し、レントゲン撮影は検診車内で行われた。 20歳代の放射線技師が前日、300枚撮りのフィルムを装填、当日は60歳代のベテラン技師が1人で撮影したが、撮影前の点検の際に、フィルム装填部分の カバーにロックがかかっているかどうかの確認を怠ったという。フィルムを現像したところ、真っ黒で何も写っていないことが判明した。
 再撮影は12、17日、同公民館で行う。市は6日、全員の自宅を訪れ謝罪を始め、再撮影を行うよう求める。池田正志・市福祉保健部長は「初めてで信じられない事態。撮影マニュアル順守を健診に同行する市職員が厳しく確認指導するなど再発防止を徹底する」と話した。

1qトリソミー、国内21人…染色体重複で障害 indexへ

 1番染色体が部分的に重複し、重い病気や障害を伴う「1qトリソミー」の患者が、国内に少なくとも21人いることが、長崎県の医師らが行った初の全国調査で分かった。
 世界でも30例程度しかないとされていたが、今回、成人までの患者の存在が判明し、症例に関する研究や患者家族のケアに役立つことが期待される。
 「みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家」診療部長の近藤達郎医師(長崎大元准教授)が今年1月、日本小児遺伝学会の医師249人にアンケートし、150人から回答を得た(回答率60%)。
 それによると、埼玉県立小児医療センター(さいたま市)で6人、大阪府立母子保健総合医療センター(大阪府和泉市)で2人など、0~21歳の男女計21人の患者を診たとの回答があった。呼吸器の病気など合併症について追加調査している。

出生前診断で告知ミス、医院側に賠償命令 indexへ

 出生前診断で判明していたダウン症が正しく伝えられず、出産するかどうかの選択の機会を奪われたなどとして、両親が北海道函館市の産婦人科医院「えんどう桔梗マタニティクリニック」と院長に損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、函館地裁であった。
 鈴木尚久裁判長は「結果を正確に告知していれば、中絶を選択するか、選択しない場合には先天性異常を持つ子供の出生に対する心の準備や養育環境の準備などができた。過失は重大」として、同クリニックと院長に1000万円の支払いを命じた。
  判決によると、母親(44)は2011年4月、同クリニックで胎児の染色体異常の有無を調べる羊水検査を受け、遠藤力院長(61)から「結果は陰性」と説 明を受けた。その後、胎児が危険な状態になり別の病院で男児を出産。この病院がカルテを確認してダウン症だったことが分かった。男児はダウン症が原因の合 併症で生後約3か月半で死亡した。同クリニックは誤った情報を伝えたことは認めている。

説明責任果たすべき…医学部長が病院側を批判 indexへ

 東京女子医大病院で2月、首の手術を受けた男児(当時2歳)が人工呼吸中の小児への使用が禁じられている鎮静剤を投与され死亡した問題について、同大の高桑雄一・医学部長ら教授3人が5日、東京都内で記者会見した。
 「異状死であることは明らか」などと語り、理事長や病院長が説明責任を果たすべきだと批判した。
 高桑医学部長は、同大学長の了解を得て記者会見を開いたと主張しているが、大学と病院を運営する学校法人側は「私的な会見で法人による発表ではない」とコメントした。

女子医大病院、小児患者禁止の鎮静剤60人投与 indexへ

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2009~13年、人工呼吸中の小児患者への投与が禁止されている鎮静剤「プロポフォール」が、16歳未満の小児患者約60人に使用されていたことが関係者の話でわかった。
 患者が死亡したり、重篤な症状を起こしたりした例はないという。
 プロポフォールを巡っては、同病院で首の腫瘍の手術を受けた男児(当時2歳)が2月、集中治療室での人工呼吸中に大量に投与されて死亡。病院側が現在、原因を調べているほか、警視庁も、業務上過失致死容疑で捜査を進めている。

骨折なのに「専門外」女性の救急搬送38回拒否 indexへ

 埼玉県川口市内で転倒して脚を骨折した女性(57)が昨年2月、複数の病院から計38回にわたって救急搬送の受け入れを拒否されたことが同県への取材で分かった。
 女性は悪性リンパ腫の既往歴があり、「専門外」などの理由で拒否されたという。
 県消防防災課によると、女性は昨年2月の夜、川口市の自宅風呂場で転倒し、救急出動を要請した。女性がかかり付けにしていた病院は満床だったため救急隊員が搬送先を探したが、「専門外」などの理由で38回拒否され、2時間22分後に受け入れ先が決まった。
 昨年1月には、春日部市の路上で住所不定の男性(81)が倒れているのを警察官が見つけ、春日部署で保護した。男性の顔色が悪くなったことから救急出動を要請したが36回にわたって断られ、搬送までに5時間8分かかった。身元引受人がいなかったことが影響したとみられる。
 同課によると、昨年の県内の救急車の出動は31万4000件、搬送人員は27万6000人でいずれも過去最多。2分に1回救急車が出動し、県民26人に1人が搬送された計算だという。
 重症者のうち約9%は4回以上受け入れを断られた。理由は「手術・患者対応中」「処置困難」「ベッド満床」などが多かった。
 搬送した人のうち約半数は入院を必要としない軽症で、「交通手段がない」「どこの病院に行けばいいかわからない」という理由で救急車を呼んだり「平日は休めない」「日中は用事がある」などの理由で救急外来を夜間や休日に受診したりした人もいるという。
 同課は「本当に必要な救急搬送ができなくなる恐れがある。救急車の正しい利用を考えてもらいたい」としている。

神奈川県立9病院、昨年度の医療事故18件 indexへ

 神奈川県は30日、県立の9病院で2013年度、医療事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」が1万66件(12年度比246件増)あったと発表した。医療事故は18件(同3件減)だったが、患者が死亡したり、後遺症が残ったりする重大事故は3年連続でゼロだった。
 県県立病院課などによると、医療事故が最も多かったのは「足柄上病院」(松田町)の6件。ヒヤリ・ハット事例の最多は「こども医療センター」(横浜市南区)の2484件だった。
 ヒヤリ・ハット事例は、薬剤に関するものが最多の3195件で、「量を間違えたが、患者に処方する前に気がついた」などのケースが報告された。年々増加する傾向にあるが、橋本和也・同課長は「院内での安全意識が向上し、軽微な事案でも報告するようになったからではないか」と分析している。
 医療事故のうち、人工関節の手術でガーゼを残したまま縫合した事例(がんセンター)では、手術中のチェックや手術後のエックス線撮影でもガーゼを見つけられなかった。看護師がミルクを注入するチューブを誤って気管支に挿入した事例(こども医療センター)では、患者に誤嚥(ごえん)性肺炎の症状が出た。全体では、療養時に転倒・転落して骨折する事例が大半を占めた。

マダニ感染症 70歳代女性死亡 indexへ

 宮崎県は29日、県内の70歳代女性がマダニを介して感染する重症熱性血小板減少症候群を発症し、死亡したと発表した。県内では15人目の発症で、死亡したのは7人目。
 県感染症対策室によると、女性は今月上旬に発熱や下痢などの症状を訴えて宮崎市内の医療機関を受診し、中旬に亡くなった。マダニにかまれた跡は確認できず、山などに入ったこともなかったという。
 県内の死者数は全国最多となっており、同対策室は「民家近くの草むらにマダニが生息している可能性もある」として注意を呼びかけている。

医療現場に「抗がん剤汚染」…医師らが対策協議会 indexへ

 医療現場での抗がん剤汚染を防ごうと、医師、看護師、薬剤師らが「抗がん剤曝露対策協議会」を発足させた。
 抗がん剤は、がんを縮小させる効果があるが、同時に正常な細胞も傷つけることが多い。抗がん剤を日常的に扱う看護師は、扱わない看護師に比べて白血球のDNA損傷が多く、脱毛、頭痛、めまいなどの発生率が高いという研究もある。また、妊娠中に抗がん剤を扱うと、流産率が高まるという報告がある。
 欧米には取り扱い指針などが整い、手袋やマスク、ガウンの着用や液体が外に飛び散らないような器具を使うなどしている。日本では、調剤する薬剤師の間で、ある程度の防御策があるが、看護師などが患者に点滴する際には素手ですることが多いという。
 協議会の発起人の1人の垣添忠生・国立がんセンター名誉総長は「がん患者の増加とともに、一般の病院でも抗がん剤を扱うことが増えてきた。防御体制作りを働きかけたい」と話す。

MRIせず脳梗塞見逃す 滋賀県立成人病センター indexへ

 滋賀県は27日、県立成人病センター(守山市)で、医師の診療が不十分で60歳代の男性患者が脳梗塞と診断するのが遅れたと発表した。
 後遺症が重くなった可能性があるとして、男性に損害賠償500万円を支払うとしており、県議会6月臨時会に関連議案を提出する。
 同センターなどによると、男性は体の不調を訴え、昨年7月と同8月の2回、同センターを受診。神経内科の男性医師が診察したが、この医師は目立った異常を認めなかった。しかし、男性がその後に別の病院でMRI(磁気共鳴画像)検査を受けたところ、脳梗塞と診断された。
 男性は同センターで診察を受けた際、MRI検査を希望したにもかかわらず、医師はその要望を聞き入れていなかった。
 男性は「脳梗塞の診断が遅れたことで歩行障害などの後遺症が残った」などと同センターに損害賠償を請求。センターは「診療が不十分だったことは確か」として、賠償金を支払って和解することを決めた。

救急車10分遅れ 搬送後死亡…長野・飯田 indexへ

 飯田広域消防本部(長野県飯田市)は25日、同本部で記者会見し、119番通報を受けて高森消防署の救急車が駆けつけた場所と、病人の実際にいた場所が異なっていたために救急車の現場到着が10分遅れ、病人の70歳代男性が病院搬送後に死亡したと発表した。
 同本部は「搬送の遅れが直接の原因で死亡したかは不明」と説明する一方、「事実を重く受け止めなければならない。再発防止を徹底したい」と陳謝した。
 同本部によると、23日午後9時19分、高森町内の女性が、「家族が腹痛と頭痛を訴え、苦しがっている」と119番。同本部は119番があった電話番号を基に、「位置情報通知システム」によって電子地図上に表示された通報者宅の住所番地、氏名、電話番号を復唱し、女性から間違いないことを確認、救急車は現場に13分後に到着したが、現場に病人の男性の家はなかった。同本部で女性に再度確認したところ、そこから直線距離で約160メートル離れた場所に男性の家があり、10分後に到着し、飯田市内の病院に搬送。病院収容後も男性の意識はあったが、24日夜に同本部が家族に状況説明とおわびのために電話をした際、男性が死亡したと聞いたという。
 位置情報通知システムは通報者がNTTの固定電話から119番した場合、消防本部でNTTのサーバーに照会すると、自動的に通報者の氏名、住所、電話番号が同本部に通知される。同本部は昨年12月3日からシステムを仮運用、今年3月14日に本運用を開始した。仮運用時から5月25日朝までに同本部に寄せられた119番は計5120件。このうちシステムで表示された住所などのデータが通報者への確認内容と異なっていたケースは今回も含め45件あったが、今回のように異なる現場に駆けつけた事例はなかったという。
 今回は通報者の女性と、死亡した男性はともにシステムに登録されていなかった。同本部によると、電子地図上に通知された氏名や住所は2人とは別人で、同本部は、救急車が死亡した男性の家とは別の場所に到着した経緯や理由について調べている。
 同本部は再発防止策として、通報者の住所番地、名前の確認以外にも、付近の住民の名前や目標物などを教えてもらう、通報者が落ち着いていれば、自分から住所番地や名前を言ってもらうよう徹底する。

歯を削る機器、滅菌徹底求め通知へ…厚労省 indexへ

 歯科医療機関で歯を削る医療機器が滅菌せずに使い回されている問題で、厚生労働省は、滅菌を求めた日本歯科医学会の指針を徹底するよう日本歯科医師会に近く通知することを決めた。
 歯を削るドリルの柄の部分を滅菌して交換するルールの徹底を求める。また、歯科医療機関への指導・助言にあたる都道府県にも指針の内容を改めて伝える方針だ。

歯科の滅菌問題 院内感染防止策を徹底せよ indexへ

 多くの歯科で、医療機器の滅菌処置が不十分な実態が明らかになった。院内感染防止策の徹底が急務である。
 患者の唾液や血液に触れる歯科の医療機器には、病原菌を他の患者にうつすのを防ぐ措置が欠かせない。
 例えば、歯を削るドリルの柄の部分は、院内感染対策を示した日本歯科医学会の指針で、患者ごとに交換し、高温の蒸気で滅菌するよう定められている。
 ところが、患者ごとに必ず交換している歯科医療機関は34%に過ぎないことが、国立感染症研究所などの調査で分かった。
 「交換していない」という回答も17%に上った。簡単なアルコール消毒や洗浄で済ませ、繰り返し使っている歯科も多いのではないか。これではウイルス感染の恐れが残ってしまう。
 歯科の患者には、感染症への抵抗力が弱い乳幼児や高齢者も多い。感染防止策の心もとない実態には不安が募る。
 歯科での院内感染は、原因の特定が難しいこともあり、国内では報告されていない。だが、表面化していないケースはないのだろうか。米国ではB型肝炎などの院内感染例がある。
 院内感染を防ぐには、歯科医ら医療スタッフ自らが病原菌から身を守ることも大切だ。患者から医師らが感染し、他の患者にうつす可能性があるからだ。
 今回の調査では、B型肝炎ワクチンを接種している歯科医は約6割にとどまった。患者の血液や唾液の飛散から防護する眼鏡やマスクの着用も徹底されていない。
 健康に見える人でも、病原菌を持っている場合がある。どの患者も感染源になりうるという前提で対策を講じることが肝要だ。
 日本では、医療行為を介した感染被害が繰り返されてきた。代表例が、予防接種の注射器の使い回しによる肝炎感染である。
 厚生労働省は2010年、病院に対し、専門の感染対策チームを常駐させれば、診療報酬を上乗せする仕組みを導入した。
 歯科でも、機器を滅菌して患者ごとに交換すれば、診療報酬の加算が認められているが、金額は病院に比べて大幅に少ない。
 歯科医の増加で、歯科医院は過当競争になっている。経営が苦しく、高額な滅菌装置を設置する余裕のないところもあるという。
 歯科医療の安全性を高めるため、政府と歯科関係者は、診療報酬のあり方も含め、具体策を検討してもらいたい。

エイズ患者・感染者、10年間で最多…千葉 indexへ

 千葉県内で昨年1年間に新たに報告されたエイズ患者やエイズウイルス(HIV)感染者が前年から19人増えて72人(速報値)となり、過去10年間で最多を記録した。
 1996年に次ぐ過去2番目の多さ。厚生労働省や県は6月1日からのHIV検査普及週間に合わせた啓発活動を行い、早期発見を呼びかける。県疾病対策課によると、県内での感染者・患者のうち男性が64人と89%を占めている。年代別には30歳代と40歳代がそれぞれ20人と、両年代で半数超に達している。
 県は、6月1日に「休日街頭検査」として、市川市の市川健康福祉センターで予約不要のHIV抗体無料検査を行うほか、医師やカウンセラーによる相談を受け付ける。
 厚生労働省も5月25日、予防・啓発活動として千葉市美浜区の「イオンモール幕張新都心」で、HIVの啓発活動を続けるラジオDJを司会としたトークイベントや歌手・島袋寛子さんのライブなどを開く。

内視鏡器具でがん悪化恐れ…子宮筋腫の手術、学会注意 indexへ

 子宮筋腫の内視鏡手術で、病変に肉腫などのがんがあった場合、筋腫を切る器具ががんを腹部内でまき散らし、悪化させる恐れがあることが分かった。
 日本産科婦人科内視鏡学会(吉村泰典理事長)は21日、手術前の検査で悪性の疑いを除外してから、この器具を使うなどの注意点をまとめ、公表した。過去に手術を受けて心配な女性には、実施した医療機関への相談を呼びかけた。
 問題となったのは、腹部に開けた1・5センチ程度の穴から挿入、筋腫を切り刻む器具。国内では年間約1万件の手術で使われている。
 米食品医薬品局は今年4月、この器具の使用を勧めないと通知した。子宮筋腫手術で摘出した病変から肉腫が見つかる頻度は0・3%と推計される。通知の影響で最も普及している米国製の器具の販売が中止になった。国内の多くの施設では、この器具を使わず、穴を数センチに広げて病変を摘出するなどの手法に切り替えざるを得ない状況だという。
 同学会は今後、筋腫に肉腫が見つかる頻度など国内の実態調査を行う。

脳卒中専門医の過労深刻 4割「燃え尽き症候群」 indexへ

 脳卒中治療に関わる専門医の4割が、過労やストレスなどで疲弊し仕事の意欲を失う「燃え尽き症候群」に陥っているという調査結果を、九州大や国立循環器病研究センターなどのグループが14日、米医学誌に発表した。
 長時間労働や睡眠不足などが背景にあり、「重大な医療ミスを生む恐れがあり、勤務環境を改善すべきだ」と指摘している。
 燃え尽き症候群は、極度の疲労や無力感などの症状が特徴で、医療現場では、治療に投げやりになったり医療ミスを誘発したりするなどの影響が懸念される。
 今回の調査は2011年、日本脳卒中学会など3学会の専門医1万人を対象にアンケート形式で実施。「仕事で心身ともにがっくり疲れたと感じる」「自分がしている仕事の意味や大切さがわからなくなる」などの質問について、国際的な判定基準に基づき約2500人の回答を解析した。
 その結果、41%が燃え尽き症候群に該当し、労働時間の長さや睡眠の短さ、時間外の呼び出しなどが発症の危険性を高めていた。
 国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の西村邦宏室長は「拠点となる病院に医師や患者を集約化するなど診療態勢の見直しが必要だ」と話す。

がん診断わずか20分 秋田大など装置開発 indexへ

 がん細胞かどうかを約20分と従来の3分の1以下の時間で検査できる医療装置を秋田大学医学部と県産業技術センターなどが開発した。
 摘出範囲を手術中に診断することも容易になり、再手術などの患者負担の軽減につながると期待される。すでに製品化し、12日に販売開始した。
 開発に携わった秋大の南谷佳弘教授、同大付属病院の南條博教授、同センターの赤上陽一副所長、販売を担当する東京の医療機器販売会社「サクラファインテックジャパン」の佐々木正尚社長が12日、県庁で記者会見して発表した。
 南谷教授らによると、手術中に腫瘍が悪性かどうかや転移の有無などを判断する病理診断は、患者から採取した組織を染色し、専門の病理医が顕微鏡で微妙な違いを見極めるのが一般的。1時間以上かかる上、「砂場の中で石を見つけるようなもの」(南谷教授)のため、見逃しが出ることもあるという。
 新たに開発した装置では、採取した組織に電圧をかける方法で、染色するまでの時間を大幅に短縮し、組織の免疫反応を利用することで染色の違いもはっきり分かるようになったという。開発には経済産業省の助成を受けた。
 製品名は、「ヒスト・テック R―IHC」(愛称・ラピート)で、幅約30センチ、奥行き約46センチ、高さ約30センチ、重さ約16キロ。製造は秋田エプソン(湯沢市)が中心になり、アクトラス(横手市)など県内企業が携わる。希望小売価格は1台350万円(税抜き)で、3年以内に60台の販売を計画している。
 サクラファインテックジャパンの佐々木社長は、「画期的な技法。当面は日本で販売して実績を作りたい」としている。
 開発では、神戸大や北海道大、弘前大など7大学1病院に試験的に使用してもらい、医師や検査技師の要望を集約したという。病理を担当する南條教授は、「秋田大だけで成功しても医学界では信用してもらえない。体感してもらうことが技術を広める近道」と話している。

リウマチ薬、神経難病も改善 indexへ

 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市)神経研究所の山村隆・免疫研究部長らの研究グループが、神経難病の視神経脊髄炎(NMO)の症状改善に、関節リウマチの治療薬「トシリズマブ」が有効であることを臨床研究で実証した、と発表した。
 研究成果は、米神経学会誌「ニューロロジー」の電子版に掲載された。
 山村部長らは、ステロイドや免疫抑制剤が効かず再発を繰り返していた7人のNMO患者に、月1回トシリズマブを投与する治療を1年間続けた。その結果、7人とも体の痛みや疲労が改善され、うち5人は再発を起こさなかった。
 30代の女性は、背中や足腰の痛みのために100メートルほどしか歩けなかったが、トシリズマブの治療を始めて3か月後には、痛みがほとんどなくなり、1キロほど歩けるようになった。また、30代の男性は、両目に重度の視力障害があり、介添えなしでは歩くことができなかったが、治療後、視界が少し明るくなり、病院内で一人で歩くことができるようになった。
 山村部長らは2011年、NMOの発症を関節リウマチの治療薬トシリズマブで抑制できる可能性があることを基礎研究で突き止めた。その効果を実証するため、トシリズマブの適応外使用について、同センターの倫理委員会の承認を得て、同年から臨床研究を始めた。
 山村部長は「神経難病に対してこんなに治療がうまくいった経験は初めて。難病でも研究を続ければ解決できることを示すことができた。痛みで苦しんでいる患者のために、早期の新薬承認が望まれる」と話す。
 この研究成果などをもとに、トシリズマブを関節リウマチの薬として販売している中外製薬は現在、NMO患者を適応症とした新薬承認に向け、最終段階の治験を計画している。
 新薬は、トシリズマブなど従来の抗体製剤に比べ、投与間隔が長く、静脈ではなく皮下注射で投与できるうえ、効果も同等以上のものを目指している。治験は、世界で70人ほどのNMO患者を対象に、6月から行われる予定だ。

睡眠時無呼吸「太ってない人、子どもでも」 indexへ

 BS日テレの「深層NEWS」に9日、虎の門病院の成井浩司・睡眠センター長が出演し、睡眠時無呼吸症候群について解説した。
 眠ると気道が狭まり、呼吸が一時止まるこの病気は肥満の男性に起こりやすいが、「太っていない人も発症する。あごが小さな女性や子どもに起こることもある」と指摘。集中力低下や居眠り運転、高血圧、心臓病、うつ、認知症などの原因になる。就寝中の頻繁な尿意、起床時の眠気や頭痛がある人などは睡眠時無呼吸症候群の可能性がある。必要に応じて「空気で気道を広げるシーパップやマウスピースなどで治療してほしい」と述べた。

白血病薬副作用報告せず…ノバ社、薬事法違反か indexへ

 製薬大手のノバルティスファーマ社は9日、昨年4月から今年1月までの間に、白血病治療薬で重い副作用が約30例生じた可能性があったことを把握しながら、厚生労働省に報告していなかったと発表した。
 同省は、重い副作用が生じた場合に15~30日以内に報告するように定めた薬事法に違反する可能性があるとし、調査している。
 ノバ社の白血病治療薬を巡っては、東京大などの臨床研究に社員が不正に関与していたことが明らかになっている。この問題をきっかけに社内調査を行ったところ、この臨床研究とは別に、営業部門が全国の医師や薬剤師に行ったアンケートで、今回の約30例を把握していたことが分かった。
 ノバ社は先月、これらの事例を厚労省に報告した。重い副作用には、肝臓機能の低下、肺炎、白血球や血小板の減少などがある。

高齢妊娠、リスクを要因解明…藤田保健衛生大 indexへ

 女性が年齢を重ねるにつれて、ダウン症などの染色体異常の子の出生や不妊、流産の頻度が増える要因の一つが分かったと、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)の倉橋浩樹教授らの研究グループが発表した。
 研究グループは、染色体同士をつなぎとめ、染色体数を正常に保つたんぱく質「コヒーシン」に注目。19~49歳の女性8人から提供された卵細胞で、コヒーシンの量を調べたところ、20歳代よりも40歳代で減少していたという。
 8日に米科学誌プロスワン電子版に掲載された。倉橋教授は「コヒーシンの減少を防ぐ方法が解明されれば、高齢妊娠での染色体数異常のリスクを軽減できる」と話している。

救急車到着遅れ、1日に2件…神奈川・小田原 indexへ

 神奈川県小田原市消防本部は7日、職員間の情報伝達ミスなどから、けがと病気で出動した救急車の現場到着が遅れる事故が、3日に2件起きたと発表した。
 発表によると、3日午後1時11分、小田原城址公園で行われていた「小田原北條五代祭り」会場で、「3歳の女児がけがをした」と会場にいた女性からの119番があり、1分後に救急車が出動した。
 同じ頃、同会場の警備本部へ「犬にかまれた」という60歳代の女性が救護を求めた。現場で対応した消防職員が「救急車の必要はない」と無線で伝達した。これを聞いた50歳代の情報司令課職員が、女児の緊急要請と勘違いして出動中の救急車を戻したという。
 女児の家族から午後1時32分に「まだ救急車が来ない」と通報があり、確認後に救急車が再出動したのは同45分で、現場に到着したのは同51分。同本部では現場到着の遅れは、1回目と2回目の出動指令までの33分としている。女児は遊具で遊んでいて右足を骨折したとみられ、入院中という。副消防長ら2人が5日、家族に謝罪した。
 2件目は3日午後6時頃、市内の病院から一般加入電話で男性(78)の転院要請を受けた20歳代の情報司令課職員が、誤って救急隊員へ別の病院名を伝えた。救急車が到着後に間違いに気づいた。別の救急車が要請のあった病院に向かい、男性を転送したが、現場到着が8分遅れた。職員は「勘違いした理由は分からない」と話しているという。男性は肺炎で入院している。
 都筑正宏消防長は「情報の一元化や複数の職員による二重チェックなどを徹底していく」と話した。

腹腔鏡手術直後の死亡、新たに3人が判明…千葉 indexへ

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)で同じ男性医師による腹腔(ふくくう)鏡手術後にがん患者が相次いで死亡した問題で、県は7日、ほかに3人が同様の手術を受けて2週間以内に死亡していたと発表した。うち2人は、この男性医師が執刀していた。
 県病院局が2008年まで遡って手術後2週間以内の死亡例を調べた。同局によると、今回判明した3人は、10年5月~11年2月に手術を受けた59~82歳の男性。うち2人は男性医師による手術から4~6日後に死亡した。2人について、同センターは当時、内部の対策会議を開いて手術に問題はないと判断していた。県は、今月設置予定の第三者検証委員会で医療ミスがなかったか調べる方針。
 同センターでは08年6月以降、手術から2週間以内に死亡した患者は6人となった。手術後約1~9か月後に死亡した患者も3人おり、計9人となる。うち7人は男性医師が執刀した。

ダニ感染症今年も警戒 長崎・宮崎で2人死亡 indexへ

 マダニを介してウイルス感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発症が、昨年に続いて九州で相次いでいる。
 国立感染症研究所(東京)の集計によると、今年に入り、宮崎県で4人、長崎県で1人の計5人が発症し、2人が死亡した。大型連休中は野外に出る機会も多いが、マダニの本格的な活動期を迎えており、同研究所は「野山では肌の露出を避け、マダニにかまれないよう注意してほしい」と呼びかけている。
 SFTSは昨年1月、国内で初めての死者が山口県で確認された。同研究所によると、昨年1年間に西日本の12県で40人の発症が確認され、うち13人が死亡。患者は高齢の農業従事者が多く、発症時期は5月に12人と集中していた。九州・山口では、山口、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の5県で計22人(死者7人)だった。
 マダニは幼虫で約1ミリ、成虫になっても3ミリほど。家にいるダニとは異なり、草むら、やぶなどに生息する。かまれても痛みやかゆみはほとんどない。必ずしも発症するわけではないが、数日~2週間後に発熱や下痢、吐き気などの症状が出ることがある。

マダニ感染症80歳代男性死亡 indexへ

 宮崎県は1日、県内の80歳代の男性が、マダニを介して感染する重症熱性血小板減少症候群を発症し、死亡したと発表した。県内での感染は13人目、死亡は5人目。
 県感染症対策室によると、男性は4月上旬に発熱や下痢などを訴え、延岡保健所管内の医療機関を受診したが、約10日後に死亡した。県や国の血液検査で感染が確認されたが、マダニに刺された跡や海外渡航歴はなかった。
 同対策室は「山や草むらに入る際には長袖の服や長ズボンを着用し、マダニにかまれないよう気を付けてほしい」と話している。

医療事故、最多の2708件報告…死亡216件 indexへ

 国立病院機構や大学病院など主な274医療機関で、2013年に起きた医療事故は2708件(うち死亡216件)で、過去最多となったことが日本医療機能評価機構の集計で分かった。
 年間の統計を取り始めた05年の2・4倍に上る。評価機構は「事故情報を報告しなければ、再発は防げないという意識が育ってきた」と見るが、任意で参加する民間病院などからの報告件数は増えておらず、今後の課題となっている。
 「患者様が死亡する医療事故が生じました。誠に申し訳ありませんでした」。今月18日午後、東京・霞が関の厚生労働省。国立国際医療研究センター病院(東京)の中村利孝院長が深々と頭を下げた。
 足腰の痛みを訴えて入院した女性(78)が同16日、脊髄の造影検査を受けた後に死亡。検査を担当した5年目の研修医が、脊髄への使用が禁じられている造影剤を誤って投与していた。病院は同日中に警察に届け出た上で、遺族の了解を得て、外部への公表を決めた。病院担当者は「ミスを隠蔽する時代ではない。公表は再発防止にもなる」と話す。

原因不明の疲労、発熱…慢性疲労症候群の現状 indexへ

 原因不明の疲労や発熱などが続く「慢性疲労症候群(CFS)」。重症化すれば寝たきりになるが、病気の実態がわからず、客観的な診断基準が難しいなどの理由から身体障害者手帳はほとんどのケースで交付されず、患者は行政の福祉サービスが十分に受けられていないのが現状だ。
 状況を改善しようと、患者団体は、29日午後1時半から東京・新宿駅西口で街頭署名活動を行う。甲府市の患者女性(37)も状況の改善に期待を寄せている。
 CFSに苦しむ甲府市の女性(37)は、大阪府で資格取得に励んでいた2002年秋に発症した。
  微熱やだるさを感じ、「風邪かな」と軽く考えていたが、1か月以上たっても治らない。体は重くなる一方で、思考力も低下していった。ある日突然、体中を針に刺されたような激痛が走り、布団から起き上がれなくなった。周囲からの「大した事もしていないのに疲れる訳がない」という誤解にも苦しめられた。
  結婚を機に山梨に移住し、現在は小学校と保育園に通う2児の母。しかし、一日中動いていることは難しく、家事をする時以外は横になっている。保育園での親子遠足にも行ったことがなく、「〝普通の母親〟と同じことができず、子どもにさみしい思いをさせている」と話し、支えてくれる家族のためにも元気になりたいと願う。
 「一人でも多くの人に病気のことを知ってもらい、支援が受けられる環境を整えてほしい」と訴える。
 
 昨年4月施行の障害者総合支援法では、国が定めた難病など130疾患の患者は、自宅での介護費などの負担が軽減されるが、CFSは対象外となった。
 だが、今国会で成立する見通しの新法案では、医療費助成の対象となる疾患を約300に拡大しようとしており、厚生労働省は新法成立後に障害者総合支援法の対象疾患を見直す方針でいる。
 患者ら約250人で作るNPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会(旧慢性疲労症候群をともに考える会)」(東京)は、対象疾患の見直しでCFSが対象になることを目指し、集まった署名を添えて国会に請願することにしている。
 同会理事長の篠原三恵子さん(56)は「まずは深刻な病気だということの理解が広がっていってもらいたい」と呼びかけている。
 
 <メモ>慢性疲労症候群(CFS=Chronic  Fatigue Syndrome) 健康に暮らしていた人が突然、社会生活が損なわれるほどの激しい倦怠(けんたい)感や頭痛、思考力の低下などに襲われる病気。1988年に米国で報告があり、国内では90年に最初の患者が報告された。認知度が低い上、原因が不明のため、根本的な治療法は見つかっていない。患者は全国に約30万人と推計される。

輸血ミスの新生児死亡…神奈川 indexへ

 地方独立行政法人神奈川県立病院機構が運営する病院で20日、A型の患者に誤ってO型の血小板を輸血するミスが起きた問題で、同機構は25日、重体だった患者が同日死亡したと発表した。患者は新生児で、病院は県立こども医療センター(横浜市南区)だったことも明らかにした。輸血ミスと死亡との因果関係はないとしている。
 同センターの山下純正病院長は25日、県庁で記者会見を開き、「元々の病気が進行した。(ミスとの)因果関係はないと判断している」とする一方、「確認を怠ったことは重大でおわびしたい」と陳謝した。
  同機構によると、新生児は生まれつきの病気を抱え、ミスが起きる前から意識不明の状態だった。ミスの後も症状に変化はなかったが、23日夜から症状が悪化し、25日午前に亡くなった。同センターは25日、医療過誤として南署と保健所に届け出ており、今後、外部委員も交えた事故調査委員会で原因究明にあたるという。

血液型誤り 血小板輸血ミス…神奈川 indexへ

 地方独立行政法人神奈川県立病院機構は24日、運営する病院で、血液型A型の入院患者にO型の血小板を輸血するミスが20日にあったと発表した。
 同機構によると、患者は意識不明の重篤な状態で輸血を受け、ミスの後もしばらくは症状に変化はなかったが、23日夜から容体が悪化したという。
  同機構は、赤血球が破壊され貧血を起こすといった症状が出ていないと説明し、「(ミスとの)因果関係はないと考えているが、可能性は完全に否定できない」 としている。運営する6病院のうち、どの病院かなどについては「患者の家族が公表を望んでいない」として明らかにしていない。
 発表では 20日午前6時頃、集中治療室で輸血を受けていた患者に対し、注射筒の交換を担当した30歳代の女性看護師が、別の患者の名前が書かれた注射筒を誤ってポンプに取り付け、3時間にわたり、別の血液型の血小板(26cc)を輸血した。看護師は「急いで取り換えようと焦っていた」と話しているという。内規では、交換作業は複数でチェックしながら行うことになっているが、この時は看護師1人で、同9時の勤務引き継ぎでミスに気づいたという。同機構はダブルチェックの徹底などで再発防止を図るとしている。

アトピー治療 説明不足…ステロイドへの不信感 indexへ

 横浜市の医院が、ステロイド不使用をうたいアトピー性皮膚炎治療薬として処方していた漢方クリームに、ステロイドが含まれていたことが分かり、患者に動揺が広がっている。問題の背景には、身近な医療機関で患者が適切な治療や十分な説明を受けておらず、治療の中心となるステロイド薬への拒否感が根強い現状がある。
 アトピー性皮膚炎は、かゆみ、左右対称の湿疹などが慢性的に繰り返される病気だ。発病には、アレルギー物質による皮膚刺激、ストレス、遺伝要因などが指摘されている。
今回の問題は、この医院の漢方クリームが「効き過ぎて心配だ」などの相談を受けた横浜市が成分の確認を指示したことで発覚した。ステロイド薬は「最も強い」から「弱い」まで5段階のランクがあるが、「最も強い」ステロイドが含まれていた。重症患者に対しても慎重に使われる強度だ。
 医院は1998年頃から、このクリームをステロイド不使用と称して5グラム4000円で販売し、昨年1年間だけでも1600人以上に処方していた。今月4日に開いた説明会では、院長が謝罪に追われた。
 「ステロイド入りの薬は副作用が怖いので使いたくない」とクリームを求める患者が多かったという。なぜステロイドがこれほど敬遠されるのだろうか。
  ステロイドは元々、副腎が分泌するホルモンの一種で、炎症を抑える作用がある。飲み薬や吸入薬などとして、関節リウマチやぜんそくなど様々な病気の治療に使われてきた。アトピー性皮膚炎については日本皮膚科学会が2009年にまとめた診療指針で、ステロイド薬は治療の柱として明確に位置づけられている。
 ステロイドの飲み薬は消化管で吸収され、服用を続けると、骨粗しょう症や、顔が丸くなる(ムーンフェース)などの全身性の副作用が起こりやすい。
  一方、アトピー性皮膚炎で使われる塗り薬の場合、大部分が皮膚で吸収され、こうした副作用の心配は通常ないとされる。ただ、長期間続けると、皮膚が薄くなる、多毛になる、といった局所の副作用があり注意が必要だが、塗り薬と飲み薬の副作用が混同され、ステロイドへの不信感が独り歩きしている。
  患者の不安に乗じて科学的根拠が不確実なサプリメントや化粧品を高額で売る「アトピービジネス」によるトラブルも後を絶たない。NPO法人アレルギーを考える母の会の園部まり子代表は「いくつもの医療機関を受診しても良くならないことで、ステロイド治療に効果がないと思い込んだ患者の相談が実に多い」と指摘する。
 アトピー性皮膚炎の病態は複雑で、これまで効いていたステロイド薬でも、ストレスや環境の変化などで症状が急変することもある。だが、治療の基本は炎症の程度に釣り合った強さと量のステロイド薬を一定期間、粘り強く使うことだ。適切な治療を続けることで減薬や休薬もできる。しかし、患者が自己判断で薬を中断して炎症がぶり返し悪化することもある。
 だがそれ以上に、適切な強さと必要量のステロイド薬を処方していな かったり、副作用や治療の見通しなどに不安を抱く患者にしっかり説明してこなかったりした医療側の問題も大きい。日本皮膚科学会の診療指針作成委員長を務めた九州大皮膚科の古江増隆教授は「医師は治療に必要な薬の量や塗り方を患者に十分指導し、例えば『1か月でかゆみが半減し赤みも消える』といった目標を具体的に示すべきだ」と語る。
 医師は患者の不安解消に努め、ステロイド薬の正しい認識を患者と共有し、適切な診療につなげることが求められている。

未承認薬を患者らに投与した元助教授に有罪判決 indexへ

 開発した未承認薬をがん患者らに販売・投与したとして、薬事法違反(無許可販売)と医師法違反(無資格医業)に問われた元杏林大医学部助教授の高 山精次被告(74)に対し、東京地裁立川支部は23日、懲役2年、執行猶予3年、罰金300万円(求刑・懲役2年、罰金300万円)の判決を言い渡した。
 矢数昌雄裁判官は「悪質だが、患者から頼まれて犯行に及んだ面も否定できない」と述べた。
 判決などによると、高山被告は2011~13年、自身が開発した「カルチノン」をがん治療薬と称し、厚生労働省の承認を得ずにがん患者5人に計約473万円で販売したり、医師の資格なしに患者2人にカルチノンを注射したりした。

金沢大病院、臨床試験めぐり倫理指針違反か indexへ

 金沢大学付属病院(金沢市)は22日、同大医学系研究グループががん患者に対して実施した治療法の臨床試験で、厚生労働省の定める「倫理指針」に違反する可能性のある行為があったと発表した。
 試験期間終了後も、新たな患者に臨床試験を行うなどしたという。
 同大によると、違反行為が疑われているのは、同大医学系機能再建学の土屋弘行教授のグループが実施した骨や筋肉にできたがんの治療法「カフェイン併用化学療法」の臨床試験。
  同大倫理審査委員会で2008年3月~12年3月の期間で承認され、カフェイン剤を抗がん剤と併せて投与し、有効性などを検証していた。だが、グループは試験期間が過ぎた後も約50人の患者に対し、臨床試験を継続。昨年12月に前病院長の富田勝郎氏の指示で中止されたが、公表はしていなかったという。
 また、グループは同委員会の適格基準を満たさない患者にも試験を行ったほか、10年3月に適格基準外で臨床試験を受けていた患者1人が死亡した際、同委員会に報告しなかった。当時、医療事故とは判断されなかったという。
 金沢大で記者会見した並木幹夫・病院長は調査委員会を設け、1~2か月後に中間報告をまとめる意向を示した。

「整形手術後も顔痛い」品川美容外科などを提訴 indexへ

 全国展開の品川美容外科などで顔のたるみを取り除く美容整形を受けた女性13人が23日、術後も顔に強い痛みが残ったなどとして、運営する医療法人社団「翔友会」(東京)に計2400万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
  提訴したのは、関東周辺の20~50歳代の女性13人。訴状では、品川美容外科や品川スキンクリニックで2012~13年、特殊な糸を使って皮膚のたるみを除去する「フェイスリフト術」を受けたが、痛みや脱毛などの合併症が生じたと主張。「事前に医師から危険性の説明はなかった」として慰謝料などの支払いを求めた。
 提訴後に記者会見した原告の一人は「効果が続かなかった上に、頭痛などに苦しんでおり、許せない」と語った。
 翔友会の話「合併症の可能性は事前に説明し、納得してもらっている。訴訟で徹底的に闘う」

心不全急変を放置し、男性死亡…洲本・県立病院 indexへ

 兵庫県洲本市の県立淡路医療センターで昨年11月、心不全で入院していた患者男性(当時77歳)の容体が急変し、心電図の異常を知らせる警告音が鳴ったものの、病院側が1時間以上対応せず、男性が死亡していたことがわかった。同センターは、対応が不適切だったとして遺族に謝罪した。
  同センターの発表では、男性は昨年11月11日に一般病棟に入院。同16日午前6時40分頃、ナースステーションで心電図の警告音が鳴ったが、看護師3人は他の患者の対応に忙しく、男性の元に駆けつけたのは約1時間10分後だった。男性はすでに意識を失っており、約3時間後に死亡した。
 病棟には当時、41人が入院し、27人に心電図モニターがつけられていた。この日は次々と警告音が鳴り、看護師が病室を回っており、ナースステーションは無人状態が続いていたという。
  同センターの医療事故防止対策委員会が調査した結果、看護師の発見が遅れたことと死亡との関係は判定できなかったものの、「対応が適切ではなく、異常の発見が遅れた」と認定した。同センターの福田善計総務部長は「警告音に気づくのが遅れて申し訳なかった。現在は容体に応じて警告音の音量を変えるなど、再発防止に努めている」と話している。

がん診断1年以内 自殺リスク20倍 indexへ

 がんになった人が診断から1年以内に自殺するリスクは、がんになっていない人の約20倍に上ることが、国立がん研究センターや国立精神・神経医療研究センターなどの研究班の調査で分かった。
 1990年代前半から2010年までの約20年間、全国10か所に住む40~60歳代の計約10万3000人を追跡した。
 この間、がんが見つかったのは約1万1000人で、診断後1年以内に13人が自殺、16人が事故などで死亡していた。がんになっていない約9万2000人では、同期間で527人が自殺、707人が事故などで亡くなった。
 この結果を統計手法を駆使して解析したところ、がんの診断から1年以内の人の自殺のリスクは、がんになっていない人の24倍、事故などによる死亡のリスクは19倍になることが判明。2年目以降は、こうした差はほぼなくなっていた。
  解析に当たった国立精神・神経医療研究センターの山内貴史研究員は「がんによる心理的ストレスは、診断後の数か月間が最も強いと指摘される。1年以内は生活の変化も大きいが、落ち着けばリスクは下がる。がん患者には診断から1年以内の心理的サポートが重要になる」と話している。

同一医師手術患者3人死亡…千葉県がんセンター indexへ

 千葉県病院局は22日、県がんセンター(千葉市中央区)で2012年9月から今年2月にかけて、同一医師による腹腔鏡手術の後、短期間のうちにがん患者3人が死亡する事例があったとして、第三者検証委員会を設置することを決めた。
 同局によると、女性(当時76歳)が12年9月に手術を受け、その日のうちに死亡。13年1月に手術を受けた男性(当時57歳)は翌日死亡し、別の男性(当時80歳)は14年2月に手術を受け、2週間後に死亡した。

慈恵医大内科医、他人の論文使い補助金を申請か indexへ

 東京慈恵医大の男性内科医が2013年、国に科学研究費補助金(科研費)の申請をした際、他人の論文を自らの研究実績のように装った疑いがあることが20日わかった。
 慈恵医大は学内に調査委員会を設け、内科医の聞き取りなどを進めている。科研費を担当する文部科学省によると、申請はすでに不採択になり、大学側に通知されたという。
  慈恵医大や文科省によると、内科医は数百万円の科研費を申請していた。不正の疑いが見つかったのは、申請書のうち、自分が過去に執筆したものと記していた一部の論文。論文著者の名前を英語のイニシャルで示していたが、内科医と同じイニシャルになる他の研究者が含まれていたという。

2025年 医師不足最大1170人…千葉 indexへ

 団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年に、千葉県内で医師が最大1170人、看護職員(介護施設従事者や保健師、助産師含む)も最大で1万5150人不足することが、県の調査でわかった。現状では不足解消にめどは立っておらず、全ての患者に十分に対応しきれない可能性さえ出てくる。
 県は、医師、看護職員の確保に向けた新たな対策を検討するほか、予防や健康増進策にも力を入れる方針だ。
 県内の高齢化率は25年に30%に達する見通しで、委託を受けた千葉大医学部付属病院が12年度から約2年間かけて、「医師・看護職員長期需要調査」を初めて行った。
 調査で医師の必要数を3段階で推計したところ、25年には、最大1万4580人、最低でも1万3470人の医師が必要との結果がでた。看護職員では、7万9110人~6万8620人が必要という推計が出た。
 県医療整備課によると、県内の医師、看護職員はともに増加傾向にあり、25年には医師が推計で10年末比3197人増の1万3410人、看護職員は同比1万6833~1万6963人増の6万3960~6万4090人になるとされている。
 しかし、医師・看護職員の必要数から見ると、25年には医師が60~1170人、看護職員も4530~1万5150人不足することになる。数が不足すれば、患者の待ち時間が増えたり、医師、看護職員一人一人の負担が増えたりする可能性も懸念される。
 県は現在、医師修学資金の貸し付けや、県看護協会の協力を得て出産などで退職したままの看護職員の復職促進などを行っているが、現状の対策では将来的な不足は避けられず、「新たな確保策の検討や疾病予防など総合的な対策が必要となる」(医療整備課)と危機感を募らせる。
 調査を行った同病院の井出博生准教授は、「都市部で高齢者の増加が著しく、多くの医療従事者が必要になる。また、郡部でも医療体制をどう維持するかが課題だ」と指摘している。

脳死の妊婦、出産2例…熊本大病院で2年間に indexへ

 熊本大病院産科婦人科は18日、同病院に救急搬送された後、脳死とみられる状態に陥った妊婦が2012~13年の2年間で3人おり、このうち2人が出産したと、東京都内で開かれた日本産科婦人科学会で報告した。
 対応のノウハウを蓄積する必要があるが、実態は不明。同科の片渕秀隆教授は「全国的調査が必要」と訴えた。
 報告によると、3人は妊娠34週、25週、20週に救急車で搬送され、それぞれ1日目、8日目、22日目に脳死とみられる状態になった。原因は、脳出血や交通事故など。当面の妊娠の継続は可能と考えられた。
 同病院が、出産の意思について家族に尋ねたところ、25週の妊婦の家族は出産を希望。翌週、帝王切開で718グラムの子供を産んだが、母親はその後、亡くなった。
 20週の妊婦は、家族の意思がまとまらないまま、33週目になって陣痛が始まり、そこで初めて家族が出産に同意した。未婚だった34週の妊婦は、家族が出産を望まなかった。

造影剤を誤注射、患者死亡…国際医療センター indexへ

 国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)は18日、整形外科の女性医師(29)が造影剤の種類を誤って注射し、入院中の女性を死亡させる医療事故があったと発表した。同病院は遺族に謝罪した上で、「重大な過誤があった」と警視庁牛込署に事故を届け出た。同署は業務上過失致死容疑で捜査している。
 病院によると、亡くなったのは脊髄の造影検査を受けていた東京都内の女性 (78)。女性は足腰の痛みを訴え、今月16日に検査入院し、同日午後2時から脊髄の造影検査を受けた。医師が、脊髄への投与が禁止されている造影剤「ウログラフイン」を注射した結果、女性は検査終了後にけいれん発作を起こして意識を失い、午後8時過ぎに死亡した。ショックによる多臓器不全が死因とみられる。
 この医師は、医師になって5年目の研修医で、脊髄の造影検査を1人で行うのは初めてだった。ウログラフインは尿路や血管などの造影用に使われ、脊髄に使うと重い副作用の恐れがある。同病院では、脊髄の検査に別の造影剤を使用しているが、医師は病院の調査に、「造影剤は、血管用も脊髄用も同じものだと思っていた」と話したという。
 同病院は今後、造影検査を行う際は撮影する技師も立ち合わせ、複数で造影剤を確認するなどして再発防止を図る。
 中村利孝院長は18日、東京・霞が関で記者会見し、「重大な過誤があったことは事実で、誠に申し訳ない。二度と起こらないよう対策を講じたい」と謝罪した。

統合失調症薬に注意記載…厚労省指示 indexへ

 統合失調症治療薬「ゼプリオン」の使用患者が相次いで死亡していることを受け、事態を重く見た厚生労働省は17日、製造販売元のヤンセンファーマ社に対し、投与量の制限などを勧める記述を同薬の添付文書に加えるよう指示した。医療機関への注意喚起も求めた。
  同省によると、同薬の販売が始まった2013年11月中旬から今月16日までの約5か月で計21人が死亡。薬との因果関係は不明だが、年齢層は20~70歳代と幅広く、使用開始から107日後に死亡したケースのほか、症状の重い患者が使用から4日後に亡くなるケースもあった。添付文書には、〈1〉症状の落ち着いていない患者には、体内に残る期間が短い類似薬を使う〈2〉類似薬から切り替える患者には、初めて使う場合よりも投与量を少なくする――などの趣旨の記述が加えられる。同薬は4週間に1回、肩や尻に注射をする。

体外受精卵取り違え、ローマの病院…医療事故で捜査 indexへ

 【ローマ】ローマの公立病院で体外受精による妊娠に成功した女性が、別の夫婦の体外受精卵を誤って移植されていたことが判明し、波紋を呼んでいる。
 イタリアの司法当局は16日、医療事故として捜査を始めた。女性は妊娠5か月で、出産を望んでいるという。
  ANSA通信などによると、体外受精卵の取り違えが起きたのは昨年12月。女性は双子を授かり、別の病院で出生前検査などを受けた際、胎児と遺伝子が一致しないことが分かった。司法当局のほか、病院を管轄するラツィオ州も調査に乗り出し、経緯や、胎児の「親」の確認を進めている。
 取り違えを巡る報道を受け、この女性と同じ日に移植手術を受け、今も不妊治療中の女性(36)が「実母」を主張したが、調査の結果、母親ではないと判明した。
 カトリック信者の多いイタリアでは、人工授精への反対が根強く、原則として代理母出産は禁じられている。法律家の間では、「出産した女性こそが母親だ」「誰が父親になるべきか」といった論争が巻き起こっている。

精子も35歳から老化…独協医大調査 indexへ

 精子も年齢を重ねると、最近話題になっている「卵子の老化」と同様に、受精能力が低下する可能性があるという研究を、独協医大越谷病院(埼玉県)泌尿器科の岡田弘教授らのグループがまとめた。18日から東京都内で開かれる日本産科婦人科学会で発表する。
 岡田教授らは、男性不妊外来を受診した男性のうち、明らかに精子の形態や運動能力に異常が見つからない80人分の精子を採取。精子の能力を調べるために、マウスの卵子に顕微授精させて、分裂を促す活性化能力があるかどうかを調べた。
 その結果、35歳未満の男性の精子では約7割に活性化能力があったが、35~39歳では62%、40~44歳では52%、45~49歳では39%と、35歳を境に低下した。
  ただし、すでに子どものいる健康な男性40人の精子では、年齢にかかわらず68~85%と高率を保ったという。岡田教授は「35歳ぐらいから精子の受精能力が低下する人が一定の割合でいると見られる。妊娠を考える時、女性の年齢だけでなく男性の年齢も考える必要がある」としている。

無許可健診156回…大阪市の医療法人が府外で indexへ

 企業向けの巡回健康診断を実施している医療法人福慈会(大阪市中央区)が、大阪府外での健診を無許可で繰り返していたことがわかり、大阪市が改善指導した。
 同法人は同様の問題で2007年にも市の指導を受けたが、10年頃から再び無許可健診が常態化したとみられる。
 医療法などによると、医療法人が診療所のある都道府県以外で巡回健診をする場合、臨時の診療所開設と同様に扱われ、実施のたびに保健所を管轄する知事や市区長の許可が必要。適切な診療行為を行っているかどうかを確認するための制度で、許可申請は1件約2万円。
 市などによると、07年の指導後、同法人は許可を得て府外での健診を実施したが、10年以降はほとんど許可を受けていなかった。13年の巡回健診はすべて無許可で、兵庫や京都、滋賀、奈良、和歌山など各府県の計156回に上るという。
 同法人は許可手続きをする専任の担当者を配置したが、退職後の引き継ぎが不十分だった、と説明。「意図的ではなく、職員の認識不足でチェックも甘かった。改めて法令順守を徹底し、改善に努める」としている。
 市は3月中旬に立ち入り調査を実施して改善を指導。同法人は同月下旬に改善計画を提出した。市保健所保健医療対策課の谷和夫課長は「前回の指導が生かされていなかった。今後も適宜、調査するなどして再発を防ぎたい」と話した。

出産時の圧迫法事故、再発防止を…医療評価機構 indexへ

 出産事故で脳性まひになった子どもに補償金を支払う産科医療補償制度で、これまでに補償対象になった319例のうち、56例(18%)で出産時に妊婦のおなかを手で圧迫する方法がとられ、うち3例は、脳性まひの原因になったことがわかった。
 同制度を運営する日本医療機能評価機構が14日、319例を分析した再発防止報告書を公表した。報告書は、どういう場合にこの手法を採用するかや、押し方の基準づくりを日本産科婦人科学会などに提言。同学会はきょう15日公表される新しい産科診療指針に、注意点を明記する。
 この手法は「クリステレル胎児圧出法」で、1867年にドイツの医師が考案して広がったが、具体的なルールがなかった。

3Dプリンターで人工骨…来年実用化へ承認申請 indexへ

 手軽に立体物を作れる「3Dプリンター」で成形する人工骨を、ベンチャー企業のネクスト21(東京都)が医薬品医療機器総合機構に承認申請した。
 開発支援をした新エネルギー・産業技術総合開発機構が発表した。従来品より自分の骨と一体化しやすく、来年中の実用化を目指している。
  人工骨は、交通事故やがん手術で顔の骨が欠けた患者に移植する。3Dプリンターを使いセラミックの粉を積み重ねて人工骨を作る。0.1ミリ単位の加工が可能で、顔の骨の微妙な構造を再現しやすい。移植した人工骨は数か月たつと、骨に置き換わる特性がある。東京大などで行った治験では、患者25人に移植し、21人でうまく生着した。

5人に1人が糖尿病、早期治療で合併症も減る indexへ

 東京医科大糖尿病・代謝・内分泌内科の小田原雅人教授は9日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、糖尿病治療の最前線について解説した。
  可能性を否定できない予備軍を含めると日本人の成人の5人に1人が糖尿病と言われるが、小田原教授によると、実際に治療を受けているのは患者の3分の2程 度。「やせていても糖尿病になることもある。早くに治療を開始すると合併症も減る。良い新薬も出ており、定期的に健診を受け、早期に発見し治療を受けてほしい」と訴えた。

統合失調症薬「ゼプリオン」で17人死亡例 indexへ

 ヤンセンファーマ社の統合失調症治療薬「ゼプリオン」の使用後に死亡した患者が、昨年11月の販売開始から4か月半で17人に上っていることがわかった。薬との因果関係は不明だが、同社は、医療機関に注意を呼びかけている。
 この薬は4週間に1回、肩や尻の筋肉に注射する。使用した患者は推定約1万700人。市販後の調査で報告のあった17人の死亡例には、心筋梗塞や肺塞栓、低体温、吐しゃ物による窒息などがあった。使用3日後の例もあれば、40日以上経過していた例もあった。
  同社は、薬との因果関係などは調査中としながらも、「薬剤は投与後、4か月間は体内に残る。なるべく家族らが経過観察できる患者に投与し、異常があれば直ちに受診するように十分説明を」などと医師に呼びかけている。他の抗精神病薬との併用についても、安全性が確立していないとして極力避けるよう求めている。厚生労働省も情報収集している。
 同社によると、この薬は2009年以降、世界60か国以上で使用されているが、短期間に多数の死亡例が報告されたことはないという。

弁護団、きょうから無料電話相談実施 indexへ

横浜弁護士会の有志でつくる「神奈川医療問題弁護団」は5~6日、患者を対象にした弁護士による無料電話相談(045・681・8686)を実施する。患者数や副作用の実態などを把握し、被害救済につなげることが目的。電話相談は両日とも午前10時~午後4時。弁護団は「自己決定権を侵害された患者の声を集約して救済したい」としている。

「早く教えてくれれば…」

 「『漢方薬』と言われて安心していた。早く教えてくれれば、すぐに使うのを中止できたのに……。説明不足で、患者を考えていない証拠だ」
 長女(1)と自分の湿疹に悩む東京都中野区の主婦(36)は、山口医院の対応に不満を募らせている。
 来院のきっかけは、人気女性タレントのブログだった。「いくつかの病院に通って治らなかったのが、漢方の塗り薬で治りました」。このブログを見てタレントの所属事務所に問い合わせると、山口医院の連絡先を教えてくれたという。
 昨年6月に長女を連れて受診。山口院長に2種類の「漢方クリーム」(5グラム、各4000円)を処方され、計3個購入した。ファクスでクリームを手軽に購入できる注文方法も紹介され、これまでに9個を買った。保険の適用外だが効き目は抜群で、2人とも湿疹が治まったという。
 さらにクリームを購入しようと、昨年12月に問い合わせると、「クリームが入荷できていない」と言われた。同じ回答が続き、不審に思ってインターネットで調べると、ステロイド混入の疑いがあることを知った。
 すぐに使用をやめたが、2人とも湿疹がぶり返した。主婦は「ステロイドを使わない治療法と信じていたのに。副作用がないか心配」と表情を曇らせる。

漢方ステロイドで院長、説明会で謝罪 indexへ

 横浜市都筑区の「山口医院」が、「最強」クラスのステロイド入り塗り薬をステロイドが入っていない「漢方クリーム」として患者に処方していた問題で、同医院は4日、初めて患者説明会を開き、山口了三院長が「ステロイドが入っていたとは知らなかった。申し訳ありません」と謝罪した。
 会場には、600人以上の患者や家族が詰めかけ、一時は怒号が飛び交った。
 説明会の開始予定時刻だった午後2時、会場の横浜市都筑公会堂ホール(座席数604席)は満員に。それでも外に約100人の患者らが押し寄せ、入れなかった人たちが、立ち入りを拒んだ医院の弁護士に詰め寄り、そのまま会場に入った。説明会は30分遅れで開始。質疑応答では、「きちんと説明しろ」などと大声も上がった。
 混入していたステロイドは、国民生活センターの調査で「最強」クラスに分類されるプロピオン酸クロベタゾールと判明している。
 山口院長は、医院で漢方相談を担当していた50歳代の中国人女性に、中国の製造工場との取引を任せていたと説明したが、弁護士が調査したところ、この工場は実在しなかった。
 弁護士によると、クリームは1998年頃から処方し始めたが、ステロイドがいつ頃から混入したかは不明という。医院が取り急ぎ、昨年1年間に処方した患者数を調べたところ、少なくとも1600人いたことが判明。医院は売り上げの大部分をこの女性の給料などに充てていた。
 医院は代金を返済する意向だが、総額で3億円以上になるため資金が足りず、医院の破産や民事再生法の適用を検討しているという。説明会に参加した相模原市の女性(37)は「(院長の説明は)中国人女性に全ての責任を押しつけた印象だった。誠意は見られなかった」と憤っていた。

ステロイド入り塗り薬、漢方クリームとして処方 indexへ

 横浜市都筑区の「山口医院」が、副作用の恐れがあるステロイド入り塗り薬をステロイドが入っていない「漢方クリーム」として、昨年1年間だけで神奈川県内外の1600人以上のアトピー性皮膚炎患者らに処方していたことがわかった。
 医院は4日、患者説明会を開き、山口了三院長が患者や家族600人以上を前に、「100%天然素材だと聞いていた。結果としてステロイドが混入してしまい、申し訳ありません」と謝罪した。
 医院はホームページで「漢方クリーム(ステロイドは使用していません)」と宣伝していたため、市が1月、医療法に違反しているとして、広告の削除と患者への説明を指示。国民生活センターの調査で、最も強いクラスのステロイドが含まれていたことが判明した。

人工乳房目立たず安く 医療器具メーカー開発 indexへ

 新潟市東区の医療器具メーカー「レリエンスメディカル」が、装着型の人工乳房を開発した。
 自然な見た目や着け心地にこだわりながらも価格を抑え、医療関係者からの問い合わせも多いという。
 同社の人工乳房「ヴィーナス」はシリコン製で、色合いは4種類、大きさはA~Cカップの3種類から選べる。胸に押しつけるだけで簡単に装着でき、体に近い根元の部分が薄くなっているため、装着しているのが目立ちにくい。価格は、国産のオーダーメイド品に比べ約6分の1以下となる10万円前後に抑えた。
 抗がん剤の影響で髪が抜けてしまった患者向けに医療用カツラを手がける同社は、5年前、人工乳房の開発に着手した。営業担当が県立がんセンター病院の看護師から聞いた話がきっかけだったという。
 安価な海外製品は、色や形、弾力性などに難点があることがあり、国産品でオーダーメイドすると高額になる。「乳がんで乳房を摘出しながら高価で高品質な既製品に手を出せない女性が多い」と実感した小林勝広社長(45)は、県外に住む職人と共に日本人に合った商品の開発に乗り出した。
 人工乳房の材料となるシリコンは、カツラ製造で使い慣れた素材。温泉などにも入れるように接着剤なしで着けられるようシリコンの配合を工夫した。自然な形になるよう石こうの型作りで5年間、試行錯誤を続けてきた。
 小林社長自ら着用し、跳びはねても落ちないことを実証。希望に応じて、ほくろやうっすらと浮かぶ血管などを追加することもできるようにした。
 完成品を同病院に提示したところ、医療関係者からの評判は上々といい、小林社長は「術後の生活の質向上に貢献していきたい」と話している。
 問い合わせは同社(025・278・9123)まで。

近視進行抑えるコンタクト…大阪大教授ら研究 indexへ

 子どもの近視の進行を、多焦点のコンタクトレンズをつけることで抑えられる可能性があるという研究を大阪大の不二門尚教授(眼科)のグループがまとめ、3日、東京都内で開かれている国際眼科学会で発表した。
 人間は目の奥にある網膜に像を結んでものを見ているが、近視は目が奥行き方向に伸びて網膜が後ろに下がり、像がぼやける。通常のメガネやコンタクトレンズは網膜の中央に焦点を合わせて見えるようにしているが、網膜の周辺部分にもピントが合っていないと近視が進むという研究報告が海外で出ている。
 不二門教授らは、網膜全体にピントが合うように作られた多焦点のコンタクトレンズを使い、近視の抑制効果を調べた。
 視力が0・2~0・3程度に低下した10~16歳の男女24人に通常のコンタクトレンズと多焦点のものを日中1年間装着してもらったところ、通常のレンズを装着した13人は平均で0・17ミリ網膜が後ろに下がったが、多焦点レンズをつけた11人は0・09ミリにとどまり、近視の進行も抑えられたという。不二門教授は「今回は少人数での結果だが、今後さらに大規模な研究を行い、効果を検証したい」と話している。

妊娠中もOK、「ストレス」効用も…温泉法改正 indexへ

 環境省の中央環境審議会は3日、温泉法で定められている注意書きや効能などの掲示内容を32年ぶりに改正し、入浴を避けるべきだとしていた項目から妊娠を削除した。
 また、湯治による効用が期待できる症状として、睡眠障害など「ストレスによる諸症状」を新たに追加した。
 温泉法では、温泉の効能や、温泉に入ることが健康上適さない禁忌症状などを掲示することが定められている。これまでは禁忌症として、悪性腫瘍や「妊娠中」などが盛り込まれていたが、中環審は同日、国内外の文献やデータを分析した結果、温泉への入浴や成分が妊婦の身体を通じて妊娠に影響する科学的な根拠がないとして、削除することを正式に決定した。
 同様の指摘は以前から専門家から寄せられていたが、「これまで(禁忌症に)入っていた理由はわからない」(同省)。中環審委員の一人は「妊娠中は体を大事にしないといけないという考えから、なんとなく『避けるべきだ』となったのでは」と推測している。
 一方、新たに温泉の効能が期待できる症状として、「ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態)」、「自律神経不安定症」などが追加された。

臨床不正でノバ社、日本法人の経営陣を一新 indexへ

 製薬大手のノバルティスファーマ社の白血病治療薬の研究不正問題で、スイスにある本社のデビッド・エプスタイン社長が3日、東京都内で記者会見し、「問題の背景には日本法人の企業文化があった。変革が必要」と社の体質に問題があることを認め、謝罪した。
 ノバ社が企業文化に踏み込んで謝罪するのは初めて。昨年にも高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データの改ざんが発覚しており、一連の責任を取らせる形で、日本法人の二之宮義泰社長ら経営陣を事実上更迭する人事を発表した。
 二之宮社長の後任には、スイス本社から、ドイツ人のダーク・コッシャ氏(50)が3日、就任した。二之宮社長のほか、2人の日本人幹部も辞任させ、それぞれ同日付で外国人を起用した。

製薬会社丸抱えの研究だ…ノバ社問題調査委 indexへ

 東京大病院など22病院が行っていた白血病治療薬の医師主導臨床研究に販売元のノバルティスファーマ社の社員が関与していた問題で、弁護士でつくる同社の社外調査委員会は2日、報告書をまとめ、「薬の販売促進を狙いとする『製薬会社丸抱えの研究』だった」などと批判した。
 報告書では、ノバ社が研究に関与した背景として、売り上げに苦戦している白血病の新薬の販売促進につなげたいという思惑があったと指摘。計23項目も問題行為があったと認定し、営業部長ら上司もかなりの部分で状況を把握しており、責任は重いとした。
 問題の臨床研究は、従来の薬と新薬の副作用の差を調べるもの。カギとなる副作用の評価を行う調査票は本来、医師が記入すべきだが、一部の社員は代筆していた。データの改ざんは行われていなかったが、調査委の原田国男委員長は「倫理性にかかわり、極めて不適切」との見解を示した。

手術ロボット、診察データ活用・位置情報で待ち時間減 indexへ

 政府は、病院の「丸ごとIT化」に乗り出す。検査や診察で得られるデータをロボット手術に生かしたり、患者の位置情報を待ち時間の解消に役立てたりする情報システムの実用化を図る。
 治療の安全性や患者の利便性を高める狙いで、開発されたシステムは将来、アジアや中東へも輸出したい考えだ。
 政府は、健康・医療戦略推進本部に作業部会を設置。患者情報をどのようにコンピューターに集めるかなど、システムの共通ルールを話し合い、6月に改定する成長戦略に盛り込む。
  国内の病院では、医師が操作する手術支援ロボットの導入が広がっていることから、作業部会では、検査機器で測った患者のデータをロボットが自動的に入手し、それを活用して手術を行う仕組みを議論する。自動化で精密な手術が可能となり、医師は安全管理に集中できると期待される。
 入院患者の血圧や体温のデータから機器が薬を的確に投与する仕組みや、院内の患者の位置情報を使って少ない待ち時間で検査や治療を受けられるようにする仕組みも検討する。
 政府は、病院システムの海外展開を推進しており、新興国で活用が進めば20兆円規模の市場があると試算している。

放射線薬品過剰投与 ずさんな検査体制原因 indexへ

 甲府市立甲府病院(甲府市増坪町)が放射性検査薬を小児患者に過剰投与していた問題で、外部の有識者でつくる委員会(委員長=長尾能雅・名古屋大医学部付属病院副院長)は30日、調査結果を公表した。
 過剰投与は、男性放射線技師(2012年に自殺、当時54歳)の誤った判断が発端で、12年間の長期にわたって過剰投与を止められなかったのは、病院によるずさんな検査体制が原因だったと指摘。その上で、患者や家族への支援や再発防止を強く求めた。
 調査委員会は患者家族の強い要望を受け、市が設置。医療の安全性に詳しい専門家や核医学専門医、弁護士ら5人の委員が、病院関係者らへの聞き取りやデータの検証などを行い、調査報告書をまとめた。
  報告書によると、同病院では1999年5月から2011年5月にかけて延べ226人の小児患者に対し、一般的な病院での標準量を超える放射性検査薬が投与された。放射線量を算出すると、多くの子どもは身体的影響が特に懸念される域には達していなかったが、発がんの危険性が増える量を上回っていた子どもも一部にいたという。
 過剰な量の検査薬は8人の技師が準備。報告書では、自殺したベテランの男性技師が若手技師らに指示したとし、男性技師に 〈1〉臓器の鮮明な検査画像を得るため〈2〉検査を短時間で終わらせるため〈3〉検査を1回で終わらせるため――といった意図があった、と推認した。若手技師が過剰な量に疑問を訴えると、男性技師から厳しく指導されたという。
 技師らの上司だった技師長2人も検査薬の記録簿を確認しておらず、報告書は「人命を預かるべき医療職における怠慢だ」と非難。医師8人、看護師3人も量を確認しないまま検査薬を投与しており、「責任を果たしておらず、看護師に任せられる状況になかった」と指弾した。
 また、報告書では放射性医薬品の投与を巡り、検査マニュアルがなかったことも問題視し、「責任の所在が曖昧なのは全ての医療機関に共通する課題」と指摘。関係する学会や団体に啓発や指導を呼びかけた。
 報告書は30日、長尾委員長が宮島雅展市長に提出。宮島市長は報道陣に対し、「説得力のある調査結果だ」と述べ、近く関係職員を処分する方針も明らかにした。

診察、帰宅後に心肺停止…諏訪中央病院 indexへ

 諏訪中央病院(長野県茅野市)で昨年5月、市内の別荘から救急搬送された神奈川県在住の女性(48)が診療を受けて帰宅後、心肺停止状態となり、重度の低酸素脳症となる医療事故があったことがわかった。
 病院側は「帰宅させるべきでなかった」と家族に謝罪、損害賠償について代理人を通じて協議を進めている。
  病院側の説明によると、女性は昨年5月29日正午過ぎ、胸の痛みを訴えて救急搬送された。救急担当の内科医グループが診療したが、会話もでき、顕著な異常が見られなかったため午後3時半ごろ家族とともに帰宅した。それから1時間半後の午後5時頃、女性は別荘で突然倒れ、心肺停止状態となった。駆けつけた救急隊員の処置で蘇生し、同病院に再度、救急搬送されて手当てを受け、一命は取り留めたが重度の低酸素脳症に陥り入院。自分の意志で行動するのが難しい状態になったという。
 病院では直後に医師、看護師ら6人の医療事故調査委員会を組織。外部からも大学教授の医師2人を迎えて、原因調 査を行った。その結果、「帰宅させずに病院で診ていれば心肺停止になったとしても重度の低酸素脳症にはならなかった可能性が高い」との報告がまとまった。女性は8月まで入院し、その後、神奈川県内の病院に転院した。
 同病院組合長の柳平千代一茅野市長は「起きてはいけないことが起きてしまった。こうした事故が2度と起きないよう普段のチェック体制の強化に努めたい」とコメントした。
 同病院では事故があった5月29日を「医療安全の日」と定め、医療講演会や研修会を毎年開催し、質の高い医療を目指す、としている。

名前似た薬処方し植物状態、8000万円で和解 indexへ

 血圧降下薬と間違って、よく似た名前の血糖降下薬を処方され、服用して植物状態になったとして、愛知県内の女性(85)と家族が神戸市内の薬局に 約1億2200万円の損害賠償を求めた訴訟が、神戸地裁で和解していたことがわかった。薬局側が8000万円を支払う内容で、25日付。
  訴状によると、女性は高血圧症などを患い、2006年から神戸市内の内科に通院し、07年から隣接する薬局で血圧を下げる「アルマール」(旧名)を処方されていた。11年2月、女性は意識がなくなって救急車で運ばれ、植物状態になり、低血糖脳症と診断された。意識がなくなる5日前に受け取った薬が、血糖降下薬「アマリール」と判明した。
 家族らは「薬歴や病歴を確認していれば、誤りに容易に気付けた」として、11年12月に提訴した。
 アルマールを販売していた大日本住友製薬(大阪市)によると、二つの薬の取り違えは全国で少なくとも15件発生し、うち5人に意識障害などの健康被害が出たという。同社は12年、同薬の名称を「アロチノロール塩酸塩」に変更した。

抗がん剤副作用 4人死亡 indexへ

 厚生労働省は26日、抗がん剤「スチバーガ錠」を使った患者4人が、この1年弱で劇症肝炎や間質性肺炎の副作用で死亡したと発表した。
 厚労省からの指示を受け、製造販売元のバイエル薬品(大阪市)は薬の添付文書に、二つの副作用への注意を促す記述を加えた。
 スチバーガ錠は、進行した大腸がんや消化管間質腫瘍の治療薬。昨年5月に販売が始まり、年2600人が使うと推定されている。
 厚労省によると、4人のうち、大腸がんの女性(30歳代)は8月、投与から22日目に肝障害などが表れ、その15日後に死亡した。大腸がんの男性(60歳代)は9月、投与から6日目に間質性肺炎を発症し、その15日後に亡くなった。

はしか患者情報、医師に報告義務…法改正目指す indexへ

 厚生労働省の厚生科学審議会の部会は、はしか(麻疹)と髄膜炎菌による感染症が発生した直後に、患者の名前や住所などの個人情報を、医師が保健所に届けることを義務づける案を了承した。
 保健所が迅速に感染拡大の防止を図れるようにするためで、厚労省は来年の感染症法改正を目指す。
 はしかは現在、国内固有のウイルスは見つからなくなっており、厚労省は速やかな患者把握の仕組みを作り、完全な排除を目指す。髄膜炎菌による感染症は患者が死亡する場合もあり、予防のために家族らに投薬するなど素早く対応できるようにする。
 結核や新型インフルエンザなどについては、すでに名前などの届け出が義務づけられている。

がんセンター元科長を告発、研究費私的流用疑い indexへ

 国立がん研究センター(東京都中央区)は、中央病院の牧本敦・元小児腫瘍科長(46)が国の研究費約549万円を私的流用したとして、業務上横領の疑いで警視庁に刑事告発したことを明らかにした。
センターによると、告発は19日。牧本元科長は2007~08年度、厚生労働省から計約2億2000万円の研究費を受け取り、物品納入業者に架空発注して代金を過大に払い、その分を不正にプールする「預け」の手法で、裏金約2570万円を作ったという。
 このうち刑事告発の対象となったのは約549万円分で、09年1月~11年5月に、私物のエアコンやテレビなどの代金に充てた疑いがある。センターは昨年2月、牧本元科長を懲戒解雇したが、その際に、この私的流用分は返還されたという。

死亡患者2人は耐性菌原因か 大阪医療センター indexへ

 ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌「メタロβ(ベータ)ラクタマーゼ産生菌」の院内感染が起きた国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)は20日、感染した患者のうち2人がこの菌で死亡した可能性が高いと発表した。
 発表によると、2010年7月以降に計114人の患者から菌が検出され、うち23人が後に亡くなった。がんで入院していた60歳代女性(12年11月死亡)と、肺炎の70歳代女性(13年5月死亡)は、この菌が血液中に入り込んで敗血症を起こしたとみられる。ほかの死亡者は、がんなどの病気が死因とみている。

胆管がん 略式起訴へ…大阪の印刷会社と社長 indexへ

 大阪市中央区の校正印刷会社「SANYO―CYP」で現・元従業員17人(9人は死亡)が胆管がんを発症した問題で、大阪地検は、同社と山村悳唯(とくゆき)社長(67)を労働安全衛生法違反(産業医の未選任など)で近く略式起訴する方針を固めた。
 地検は、違法状態が長期に及び、多数の発症者を出した結果の重大性などから、刑事責任を問う必要があると判断したとみられる。
 捜査関係者によると、同社は2012年4月までの1年間、同法で従業員50人以上の事業所に義務付けられた産業医と衛生管理者の選任、労使で職場の衛生管理体制を検討する衛生委員会の設置をそれぞれ怠ったとされる。
 同法では、選任・設置を怠ると最高50万円の罰金を科すと規定。大阪簡裁は略式起訴を受け、罰金刑の略式命令を言い渡す見通し。
 大阪労働局は12年5月、同社に是正勧告。同社は改善に応じたが、労働局は健康被害が深刻として昨年4月、同法違反容疑で同社本社と工場を捜索し、同9月には起訴を求める「厳重処分」の意見を付け、同社と山村社長を書類送検した。
 地検は、故意で違反行為に至ったとは言えないとして正式起訴を見送る一方、従業員が50人以上になった01年8月以降、違法状態が継続したことや、被害者の厳しい処罰感情を考慮し、公訴時効(3年)にかからない11年4月~12年4月について略式起訴する。
 地検は、業務上過失致死傷罪の適用の可否も検討したが、同社が胆管がん発症の危険を予見するのは困難と判断し、同罪による刑事責任の追及は断念した。
  この問題では12年5月、元従業員4人が胆管がんで死亡していたことが発覚。厚生労働省は、1991~2006年に使われた印刷機の洗浄液に含まれる化学物質「1、2―ジクロロプロパン」を原因物質とし、在職中の業務と胆管がん発症の因果関係を認め、17人全員を労災認定した。

病院の採血健診で所得隠し…前理事長を在宅起訴 indexへ

 総合病院「王子病院」(東京都北区)が自由診療の採血健診で得た所得を隠し、法人税約2億円を脱税したとして、東京地検特捜部は19日、同病院を運営する医療法人社団「貴友(きゆう)会」と、同会前理事長の山口寿夫(ひさお)容疑者(80)を法人税法違反で東京地裁に在宅起訴した。
 起訴状などでは、山口容疑者は採血健診の受診者が支払った料金の一部を売り上げに計上せず、2012年3月期までの4年間に所得約6億8200万円を隠し、法人税約2億400万円を免れたとしている。山口容疑者は、隠した所得を債券の購入など投資に充てていた。
 関係者によると、採血健診は山口容疑者が考案。複数の血液検査を組み合わせ、ガンなどの病気を早期発見できるとして受診者を集めていたという。

「成人T細胞白血病ウイルス」多数の性交渉感染 indexへ

 重い白血病や徐々に歩けなくなる神経難病の原因となる「成人T細胞白血病ウイルス」に、母子感染以外の性交渉などで感染する人が年間推定3000~4000人いることが、日赤中央血液研究所の佐竹正博副所長のグループによる調査でわかった。
 性交渉による感染者で重い白血病を発症する人はほとんどないとされているが、未解明の部分も多く、実態調査を進める。
 2005~06年の献血者のうち、11年までに新たに感染が分かった人が532人おり、年代や地方ごとの人口割合を補正して、全国の感染者数を計算した。10万人当たりの年間の感染は男性2・3人、女性6・9人と、女性が3倍多かった。
 成人T細胞白血病は、母乳などで感染した子どもの発症確率が5%と高く、国は授乳前の妊娠の時点でウイルス検査を行い、母子感染の予防を進めている。
 一方、性交渉などで感染した場合、神経難病は0・3%が発症すると言われているが、詳しい実態は分かっていない。同グループは14年度から、性交渉で感染した人がどの程度発症するか、調査を始める予定だ。

耐性菌、110人院内感染か…大阪医療センター indexへ

 国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)で、ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌「メタロβラクタマーゼ(MBL)産生菌」が、約3年半の間に計110人余りの入院患者から検出されていたことがわかった。院内感染とみられ、国立感染症研究所(東京)と大阪市保健所が実態解明を進めている。
 同センターは先月12日、「耐性菌の感染が続いている」と市保健所に連絡。同研究所と市保健所が立ち入り調査をしたところ、2010年7月以降、年間30~40人の入院患者がMBL産生菌に感染していたことが判明。現在も無症状の感染者が約10人いるという。
  市保健所などによると、MBL産生菌は、抗生物質を分解する能力を獲得した細菌で、患者からは大腸菌など4種類が検出された。いずれも人の腸内に普通に存在する「常在菌」で、健康な人には影響がないが、免疫力が弱い人は敗血症や腸炎、肺炎を起こす恐れもある。このため、同センターは感染拡大を防ぐため、一部病棟で新規患者の受け入れを停止し、感染者を個室などに移す措置を講じた。
 感染者の中に死亡した人もいたが、がんなどの重い持病があり、感染との因果関係は不明という。
 市保健所の担当者は「医療機関で感染者が複数みつかることがあるが、1施設でこれほどの数が確認されるのはまれ」と語った。外から持ち込まれ、院内で広がった可能性も含め、同研究所などが調べている。
 同センターは39診療科、694床の中核病院。西日本の災害医療拠点にも位置づけられている。

北陸中央病院医療事故訴訟 原告側の請求棄却 indexへ

小矢部市の北陸中央病院に入院していた石川県内の70歳代女性(2012年7月死亡)が、酸素吸入用の挿管ミスで脳に重い障害を負ったとして、女性の家族が病院を経営する公立学校共済組合に約6920万円の損害賠償を求めた訴訟で金沢地裁は17日、原告側の請求を棄却する判決を言い渡した。
判決によると、女性は2000年6月、酸素吸入チューブの交換中にけいれんを起こし、低酸素状態に陥って脳に障害が残った。
判決理由で源孝治裁判長は、再挿管用のチューブを事前に準備していなかったとして組合側の注意義務違反を一部認めたが、障害との因果関係については「けいれん発症までの時間は短く、事前準備があっても酸素吸入できたとは認められない」と否定した。

先天性股関節脱臼 16%が診断遅れ indexへ

2011~12年度に先天性股関節脱臼と診断された子どもの6人に1人が、治療が難しくなる1歳以上だったことが日本小児整形外科学会の調査でわかった。
患者が激減して慣れていない医師が増えたことで、乳児健診で見つかりにくくなり、診断の遅れにつながったとみられる。乳児期なら治りやすいだけに、同学会は健診で見逃さない体制整備を呼びかけている。
調査は全国の小児病院や肢体不自由児施設など1987施設に実施し、785施設から回答を得た。
それによると、11年4月~13年3月に初めて診断された子どもは1336人で、このうち歩行を始める1歳以降に診断されたのは216人と全体の16%(6人に1人)。年齢の内訳は、1歳150人、2歳27人、3歳以上39人だった。
先天性股関節脱臼の患者は1970年ごろまで1%程度いたが、予防啓発が進み0・1~0・3%に激減。生後3か月前後で見つかれば多くが短期間の通院治療で治るが、1歳を過ぎると入院や手術を含む長期治療が必要になる。
調査したあいち小児保健医療総合センター外科部の服部義部長は「90年代の調査では、1歳以降に見つかるのは1割程度で、3歳を超える例はほとんどなかった。今は1歳以降の診断が予想以上に多い上に3歳以上も目立ち、深刻な事態だ。健診で早期発見する体制整備が必要だ」としている。

浜松医大、患者情報漏えい indexへ

浜松医科大(静岡県浜松市東区)は14日、同大学院生の男性医師(30)が、同大医学部付属病院の患者115人分の個人情報が入った臨床検査データを漏えいさせたと発表した。被害は報告されていないという。
記者会見した中原大一郎副学長らによると、男性医師は今月4日、研究会の発表資料とするため、同病院の内科系に通院する10~80歳代の男女115人分の氏名、年齢、性別、喫煙歴、治療状況が入ったデータを自分のパソコンに入れて病院の外に持ち出した。医師は5日に体調不良となり、別の大学院生の医師に発表を交代するよう依頼。個人情報のデータを電子メールで送信する際にアドレスの入力を間違え、学外の医師に送信されたという。
同報通信を受けた指導担当医師が情報漏えいに気づき、関係者にデータの削除を依頼した。これまでに連絡が取れた107人には事情を説明して謝罪。残る8人には謝罪文を郵送した。また、13日には同大関係者が文部科学省と総務省を訪れ、事態を報告をしたという。
中村達学長は「多大なる心配、迷惑をかけ、深くおわびする。個人情報管理の徹底を図り、信頼の回復に努める」とのコメントを出した。

製薬会社に255人分患者データ流出…東大病院 indexへ

東大病院など22病院が行う白血病治療薬の臨床研究に、販売元のノバルティスファーマ社の社員が関与していた問題で、研究に参加した全255人の患者データがノバ社に流出していたことが14日、東大病院が行った調査の中間報告で明らかになった。
記者会見した門脇孝病院長は「守秘義務や個人情報保護法に違反する重大な過失」と陳謝した。
この研究は、白血病患者が使う従来の飲み薬と、同社の新薬に切り替えた場合の副作用の差を患者へのアンケートから調べるもの。
今回の調査によると、同社の東大担当社員が研究の事務局業務を一部代行し、2012~13年に研究に参加した全255人の患者登録票やアンケートの写しが同社に渡っていた。社員によるアンケート内容の改ざんは確認されていない。
しかし、流出した患者データの中には、施設名、主治医名、患者のイニシャル、生年月日、性別、患者IDなどの個人情報が含まれていた。また、アンケートや、医師の学会発表用スライドの作成にも社員が関与。研究代表者らのメールも社員が管理していた。
こうした労務提供はノバ社側から持ちかけられたという。他の四つの白血病研究でも社員が関与しており、追加で調査している。
研究グループ中の東大など8病院が、ノバ社から12年度に奨学寄付金計1100万円を得ていたが、患者説明文書では資金関係を明らかにせず、「不適切だった」との認識を示した。

誤診の中1女子死亡、長崎県病院企業団に賠償命令 indexへ

 長崎県新上五島町の上五島病院で2010年9月、中学1年の女子生徒(当時13歳)の容体が急変し死亡したのは、医師の誤診で適切な処置が行われ なかったためだとして、女子生徒の両親が、病院を運営する県病院企業団(長崎市)を相手取り、約9025万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、長崎地裁であった。
 井田宏裁判長は誤診を認め、同企業団に約6455万円の支払いを命じた。同企業団は県と県内の5市1町で構成している。
 判決によると、女子生徒は吐き気や頭痛を訴えて同病院を受診。感染性腸炎と診断され入院したが、3日後に死亡した。病理解剖で、死因は「腸炎ではなく急性心筋炎と推察される」との結果が出ていた。
 井田裁判長は「血液検査の結果から重症の急性心筋炎を疑わなければならなかった」などと医師の誤診を認め、急性心筋炎の処置を出来る病院へ転院させる義務があったとした。
 同企業団は「判決文を見ていないため、コメントできない」としている。

「寄生虫博士」を書類送検…薬事法違反容疑 indexへ

 東京都内の栄養補助食品製造販売会社「シャブロン」が、抗がん作用のある医薬品として健康食品を販売したとされる事件で、神奈川県警は10日、東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎容疑者(74)(杉並区)を薬事法違反(無許可販売ほう助)容疑で横浜地検に書類送検した。
 発表によ ると、藤田容疑者は同社と顧問契約を結んでいた2009年6月~13年10月、同社製品「CBプロポリス粒」などについて、「がん細胞を死滅させる」などとする解説文を書き、医薬品の無許可販売を手助けした疑い。同社は解説文をチラシや雑誌の広告に利用していた。
 藤田容疑者は人間総合科学 大の教授でもあり、専門は免疫学。寄生虫に関する著書が多く、「寄生虫博士」として知られる。取材に対し、他の研究者の論文などでハチの巣から抽出するプロポリスの知識を得て原稿を書いたと説明。「効能効果を特定の商品と結びつけて論じることが薬事法に触れると認識していたが、断れなかった」と話した。
 県警は、藤田容疑者が同社から約1100万円の報酬を受け取るなど販売促進に深く関与していたと判断し、書類送検にあたり、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。
  県警幹部によると、同社は05~13年、プロポリス関連6品目を全国約7万人に販売、約28億7600万円を売り上げた。2月には、社長の荻野珠理容疑者(48)が、横浜市の60歳代女性ら5人に製品を販売したなどとして薬事法違反(無許可販売など)容疑で逮捕されている。

接種後の痛み、治療迅速に…子宮頸がん indexへ

 子宮頸がんワクチンの接種後に痛みなどの重い症状が出ている問題で、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は、症状が持続する患者に対し、適切な治療を迅速に行う体制を今月中にも作る方針を決めた。安心して接種できる環境を整え、接種希望者の減少を食い止めたい考えだ。
  同学会と医会は大学病院など、都道府県ごとに窓口となる産婦人科を指定。地域の産婦人科で同ワクチンを接種し、重い症状が出た場合に、まず受診してもらう。診療後、症状によってペインクリニックや神経内科、精神科など痛みなどの治療を行う専門の診療科を患者に紹介する。厚生労働省の研究班が昨年、専門的な治療を行うために整備した17医療機関との連携も検討する。
 接種を行う医療機関の医師に対しては、注射の手技や痛みなどの症状に関する講習会を地域ごとに開く。
 同ワクチンは定期予防接種に指定されているが、接種後に激しい痛みなどを訴える患者がいたため、積極的に勧めることを一時的に中止している。同省の有識者検討会で現在、再開に向けて議論が進んでいる。

過剰投与問題責任の所在「あいまい」…外部調査委 indexへ

 山梨市立甲府病院が放射性検査薬を患者に過剰投与していた問題で、外部有識者でつくる調査委員会は9日、1999年に初めて放射線科の常勤医として同病院に着任した医師への聞き取りを行った。
  長尾能雅委員長(名古屋大医学部付属病院副病院長)は閉会後の記者会見で、「(放射性検査薬を用いる)核医学検査に対する責任の所在があいまいだった」と述べ、同病院では、放射性検査薬を準備する技師や投与する医師らの役割分担が的確でない状況が長年続いていたことを指摘した。
 同委員会はこの日の第8回会合で、検査に関わった病院関係者への聞き取りを終了。同委員会は29日の最終会合で調査報告書をまとめ、30日に発表する。

タミフル耐性ウイルス、高知県内初確認 indexへ

 高知県健康対策課は7日、インフルエンザ治療薬「タミフル」に耐性を持つウイルスが、県内で初めて確認されたと発表した。
 ウイルスは、高知市内の医療機関を受診した患者から1月16日に採取した。県衛生研究所の簡易検査で耐性を持つ可能性があると分かり、国立感染症研究所で精密検査したところ、「タミフル」が効きにくいウイルスであることが確認された。
 同課によると、患者が重症化したとの情報はなく、別の抗インフルエンザ薬「リレンザ」と「イナビル」への耐性はないという。

ボツリヌス症、宮崎の大学生発症 indexへ

 宮崎市は6日、市内の男子大学生(19)がボツリヌス症を発症したと発表した。入院中だが快方に向かっている。市によると、国内で発症が確認されたのは2012年6月以来。
  学生は2月21日に呼吸困難や目の異常などの症状を訴え、翌日、市内の病院に入院。便からボツリヌス毒素が検出された。家族などに症状を訴える人はいないという。ボツリヌス症は、毒素が混入した食品を食べて発症する。1984年には、真空パックの辛子レンコンが原因で宮崎県を含む全国で11人が死亡しており、市は「新鮮な原材料を十分に洗浄、加熱して使ってほしい」と呼びかけている。

漢方クリーム 使用ステロイドは「最強」 indexへ

 横浜市都筑区の「山口医院」が、ステロイド入りの塗り薬をステロイドが入っていない「漢方クリーム」として患者に処方していた問題で、このステロイドは最も作用が強いクラスの「プロピオン酸クロベタゾール」だったことが、国民生活センターの調査でわかった。
 一方、消費者庁は5日、同庁のホームページでこの問題を取り上げ、「皮膚科を受診して」と注意を呼びかけた。
 塗り薬はアトピー性皮膚炎の患者らに処方されていた。消費者庁消費者安全課によると、消費者からの依頼で国民生活センターが調べた結果、塗り薬にはプロピオン酸クロベタゾールが約0・05%含まれていた。同庁は「皮膚萎縮や緑内障などの副作用の恐れがある」としている。
  ステロイドは強さに応じて5段階に分類されており、プロピオン酸クロベタゾールは最も強い1群(ストロンゲスト)とされている。日本皮膚科学会が2009年に作成したガイドラインでは、ストロンゲストのステロイドはアトピー性皮膚炎の治療薬として基本的に推奨されておらず、重症の場合には「選択して使用することもある」としている。
 消費者庁によると、山口医院は4月4日、横浜市都筑区の都筑公会堂で患者に対する説明会を開き、漢方クリームの回収や返金の範囲などについての方針を伝える予定。同医院は読売新聞の取材に応じていない。
  アトピー性皮膚炎の治療に詳しい竹原和彦・金沢大教授によると、2000年代前半、未承認の中国製塗り薬で今回と同様の事例が2件あったが、副作用の報告はなかったという。竹原教授は「顔に塗るのは4群(マイルド)のステロイドが入った塗り薬が通常で、ストロンゲストが入ったものは使うべきではない」と話している。
東京女子医大で手術の3日後、2歳男児が死亡 indexへ

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で先月、埼玉県内の男児(2)が手術の3日後に死亡していたことがわかった。
 同病院によると、手術後に使った鎮静剤が原因とみられる。都福祉保健局は2月26日、同病院に立ち入り調査を実施。病院から届け出を受けた警視庁牛込署でも、業務上過失致死容疑で病院関係者から事情を聞き、詳しい経緯を調べている。
 同病院によると、2月18日に首の腫瘍の手術を行った後、鎮静剤を使った集中治療に入ったが、男児は3日後の21日に急性循環不全で死亡した。病院の内部調査で、鎮静剤として使われた麻酔薬「プロポフォール」が原因とみられることが判明したという。
 プロポフォールは強力な麻酔薬で、国内では過去に投与量を誤って幼児が死亡する医療事故が起きている。都によると、プロポフォールの添付文書には、集中治療中の小児に対する、鎮静剤としての使用を原則禁止とする記載があった。

高血圧治療薬のグラフ食い違い、武田社長が謝罪 indexへ

 製薬大手の武田薬品工業が販売する高血圧治療薬「ブロプレス」の広告用のグラフが論文と食い違っている問題で、同社の長谷川閑史(やすちか)社長 は3日、「論文になる前の学会発表のデータを広告に使用した。誤解を与えるような表現があったことは不適切だった」と謝罪した。
 同社によると、論文は2008年に発表されたが、広告に用いられたグラフは、京都大などの研究チームが06年に学会発表で使用したグラフだという。
  学会発表のデータは、後に論文になる際に一部変更される可能性があるため、製薬業界のルールで、広告に用いることが禁じられている。これまでの社内調査では、社員はデータに関与できず、改ざん、捏造(ねつぞう)を行ったことはないとしたが、公明性を担保するために今後、新たに第三者委員会を設けて調査する。

世界でトップの医師、日本で診療…新制度導入へ indexへ

 厚生労働省は、世界でトップクラスの外国人医師が、高度な医療技術を日本人医師に伝授したり、国際水準の臨床研究を共同で実施したりする場合に、日本人患者の診療ができるよう制度を改める。
 最先端の医療技術の国内導入を加速させ、成長戦略の柱の一つである日本発の医療産業の振興につなげるのが狙い。政府は通常国会に外国医師臨床修練特例法の改正案を提出し、今年10月にも新制度を導入したいとしている。
 国内での診療には日本の医師免許が必要で、これまで外国人医師の診療は、知識や技能を学ぶために来日した場合に限り、特例法に基づいて、最長2年間認められているだけだった。
  政府の日本経済再生本部は昨年10月、外国人医師の門戸を広げる方針を決定した。特例法の改正は、これを受け、卓越した技術を持つ医師が、国内で教えたり、共同研究を行ったりする場合についても、診療を行えるようにする。専門分野で10年以上の診療経験がある医師が対象で、大学病院や国立の高度医療研究センターで受け入れる。滞在期間を最長4年に延長し、審査手続きも簡素化する。

STAP細胞論文に他論文と酷似箇所…実験手順 indexへ

 新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」について、理化学研究所などが1月に英科学誌ネイチャーで発表した2本の論文のうちの1本で、実験方法を記した文章の一部が、2005年に発表された別の論文とほぼ同じであることが1日、わかった。
 理研は「似ているという指摘は、把握している」と話している。
 小保方晴子・理研ユニットリーダー(30)が筆頭著者の2本の論文では、他にも取り違えや加工が疑われる画像が見つかっており、理研が調査を進めている。
  問題の文章は、STAP細胞から作った幹細胞が正常に増殖するかを調べた実験に関する、17行分の英文。ドイツの研究者らが専門誌で発表した論文の、胚性幹細胞(ES細胞)で実験をした時の手順の記述と、ほぼ同一だった。温度などの数字や、実験で使ったとする顕微鏡、カメラの種類も同じで、他の論文からの引用を示す記載もなかった。

HIV新規感染、同性接触が7割に indexへ

 厚生労働省のエイズ動向委員会は28日、昨年末までの1年間に新たに確認されたエイズウイルス感染者と発症した患者の合計が過去2番目に多い1546人だったと発表した。ここ数年、新規の感染者と患者の合計は1500人程度と高止まりしている。
 新規感染者は、20~30歳代が多く、患者は40歳以上が約6割を占めている。新規感染者の感染経路は、同性の性的接触によるものが約7割を占めた。

長崎大病院で医療事故、蓄のう症手術で左目失明 indexへ

 長崎大学病院(河野茂病院長)は28日、耳鼻咽喉科の30歳代男性医師が昨年6月、蓄のう症の手術中に誤って患者(成人)の視神経を傷付け、左目を失明させたと発表した。
 病院によると、内視鏡と鉗子(かんし)などを鼻の穴から入れ、副鼻腔内のポリープを除去する手術だった。医師は、副鼻腔そばの左の眼窩(がんか)に誤って鉗子を入れて視神経を損傷した。
 外部調査委員会が昨年7月から検証。コンピューターの画像などで鉗子の位置を確認していなかったことが原因の医療事故だと結論付けた。病院は患者や家族に謝罪し、損害賠償について協議している。
 宮崎泰司副病院長(危機管理担当)は記者会見を開き、「患者や家族に大変なご迷惑をおかけし、申し訳ない。事態を重く受け止め、再発防止に全力で取り組む」と陳謝した。

医師・歯科医34人行政処分…犯罪など明らかに indexへ

 厚生労働省は27日、犯罪などが明らかになった医師・歯科医師計34人の行政処分を決めたと発表した。
 同省の医道審議会医道分科会に計45人の審査を諮問し、その答申を受けて処分内容を決めた。残る11人のうち、10人を厳重注意、1人は保留とした。処分の発効は3月13日。
  最も重い医師免許取り消しになったのは4人で、杉江信之(53)、横山和孝(31)、新井泉(52)の3医師は、いずれも患者に対してわいせつな行為をし て有罪判決を受けた。残る1人は心身に障害があり、同省は、プライバシーを守る必要があるとして氏名を明らかにしていない。

はしか患者、今年に入り急増…昨年1年の約半数 indexへ

 はしか(麻疹)の患者数が今年に入って急増し、すでに昨年1年間の半数近くに達していることが25日、国立感染症研究所のまとめで分かった。
 海外の流行国で感染して帰国後に発症するケースが目立っており、同研究所は予防接種を受けていない人へのワクチン接種を呼びかけている。
 はしかは2007年に高校・大学生らに流行。08年の患者数は1万1000人を超えたため、08~12年度の間、免疫が不十分だった若年層はワクチンを無料で接種できるようにした。その後、患者数は減り、昨年は232人となった。
 しかし、今年1月から2月16日までの患者数は、すでに103人。うち64%は予防接種をしていなかった。渡航歴が確認できた患者の3~4割は、フィリピンやインドネシアなど流行国へ行っていた。
 同研究所感染症疫学センターの多屋馨子室長は「感染を広げないために、ワクチンを接種したかどうか分からない人も、ぜひ接種してほしい」と話す。
 はしかは、せきやくしゃみの飛まつや、空気中のウイルスを吸い込むなどして感染し、39度前後の高熱や全身の発疹が出る。3~4割の患者は重症化し、肺炎や脳炎などで入院する。有効な治療薬はないが、ワクチンの接種で予防できる。

徳洲会への移籍、看護師ら拒否 indexへ

 医療法人「徳洲会」が4月から指定管理者となる大阪府和泉市立病院で、看護師らの半数以上が、市事務職員への職種変更や退職を希望していることがわかった。
  病院に残ると給与が下がることが主な理由とみられる。人員確保を目指し、徳洲会は病院で引き続き勤務する看護師らを対象に、一定条件を満たせば返済の必要 がない就業支度金制度を設けたが、費用は市が全額を負担するため、市議からは「税金投入はおかしい」との声も出ている。
 市によると、常勤の看護師と准看護師計197人のうち徳洲会へ移籍して病院に残るのは89人。74人が職種変更を希望し、34人が退職を希望した。放射線技師など医療技術職員は57人中病院に残るのが17人で、職種変更希望者が30人、退職希望者が10人いるという。
 就業支度金は50万~300万円を貸し出し、病院に3年以上勤めれば返済を免除する。新規採用者も対象。市は2014年度当初予算案に、支度金の費用として約3億5800万円を盛り込んだ。
 辻宏康市長は、24日の記者会見で「医療水準を維持するために必要な費用」と理解を求めた。これに対し、予算案を審議する市議の一人は「人員確保は運営を引き継ぐ徳洲会の責任。新規採用者にまで返済不要の金を貸すのはおかしい」と批判している。

さい帯血バッグ破損、凍結保護剤の使用など原因 indexへ

 NPO法人・兵庫さい帯血バンク(兵庫県西宮市)で凍結保存していたさい帯血のバッグが破損した問題で、同バンクは21日、内部に気泡ができやす い凍結保護剤の使用と、バッグへの不十分な封入が原因になった可能性が高いとする調査結果を発表した。保護剤を変更するなど再発防止策を取ったうえで、20日から提供の受け付けを再開した。
 破損があったのは1997年以降、凍結保存したバッグ7177件中、182件。うち6件は血液疾患の患者に移植されたが、健康被害はなかったという。
  有識者による調査委員会が保存方法を調査。さい帯血と保護剤をバッグ(ポリ塩化ビニール製)に入れて液体窒素で凍結保存するが、当時用いていた保護剤は気泡が発生しやすかった。気泡でバッグに力が加わり、微細な穴が開いて、液体窒素が流入。解凍時に窒素が膨張することでバッグが破損した可能性が高いとした。

診療報酬2億6983万円不正、福岡・岡垣記念病院 indexへ

 九州厚生局は19日、福岡県岡垣町の「医療法人社団清涼会 岡垣記念病院」が診療報酬を不正請求し、約2億6983万円を受け取っていたとして、保険医療機関の指定を取り消すと発表した。
 同病院に入院中の約90人は転院などの措置が必要なため、取り消し日は6月1日とする。
  発表によると、同法人は2009年9月~12年8月、診療報酬が高くなるよう不正に請求。実際には一般病棟に看護職員が10人しかおらず、1人当たりの月平均夜勤時間も100時間を超えていたのに、診療報酬がより高くなるよう、12人以上の配置があったように装ったり、勤務表を改ざんするなどして72時間以下だったと虚偽報告したりした。
 病院側は「移転・新築を行った際、多額の借入金が生じ、収入を減らしたくなかった」と話しているという。

診療明細、全病院で無料…16年度から義務化 indexへ

 医療費の詳しい内訳がわかる「診療明細書」の全患者への無料発行について、厚生労働省は2016年4月から、例外なくすべての病院で実施を義務づけることを決めた。全面実施が決まり、医療の透明化が一層進むことになりそうだ。
 診療明細書は、買い物で受け取るレシートのようなもので、受けた診療の単価とともに、検査や投薬内容などが記されている。自分の受診内容と医療費の内訳が詳しくわかり、健康の記録として保管できる。
  無料発行は10年度から、診療報酬の請求を電子化している医療機関に義務づけられた。ただし、電子化していてもコンピューターや自動入金機に明細書の発行機能がない場合、整備に時間がかかることに配慮し、全国の6743医療機関(全体の6・1%)は実施を免除されていた。
 同省は、400床 以上の病院には今年4月から例外なく無料発行を義務づける。400床未満の病院も、猶予期間2年を経て義務づけ、16年4月から病院での全面実施が実現する運びだ。診療所については例外規定は残るが、明細書発行へ向けた機器の改修時期の届け出が必要になる。

「iPS細胞、がん化リスク克服」山中教授声明 indexへ

 京都大の山中伸弥教授は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)と新しい万能細胞「STAP(スタップ)※細胞」に関する声明を、同大iPS細胞研究所のホームページ(HP)に載せた。
 その中でiPS細胞の現状について「がん化リスクの克服」など3点を説明し、市民と研究者の間で「必ずしも正しい情報が共有されていない」と指摘した。
 山中教授が今月12日付でHPに掲載した声明によると、再生医療用のiPS細胞は2006年に発表した最初のiPS細胞に比べてがん化のリスクが大幅に減り、安全性は動物実験で十分に確認されているという。
 通常の細胞からiPS細胞ができる効率は、06年の0・1%から、09年には20%に向上し、13年には海外グループが「7日間ですべての細胞をiPS細胞にした」と、科学誌に報告したことも紹介した。
  またiPS細胞は、世界で何百という研究グループが作製した再現性の高い技術で、長い研究の伝統があることが、世界中に普及した原動力だと説明した。STAP細胞については、臓器や手足の再生など「大きな可能性のある技術」と評価する一方、将来、人の細胞で作製に成功した後には、安全性や再現性について検証が必要と指摘した。
 HPにはiPS細胞を使った治療を待つ患者へ向けた山中教授の動画メッセージも掲載され、「iPS細胞は実用段階に達した。安心してほしい」と呼びかけた。
 ※STAP(刺激惹起性多能性獲得)=stimulus‐triggered acquisition of pluripotency

病棟から在宅へ医療転換、診療報酬改定を答申 indexへ

 厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は12日午前、2014年度の診療報酬改定を決定し、田村厚労相に答申した。
 団塊の世代全員が75歳以上となる2025年に備え、自宅に戻る患者の多い病棟に対する評価を高くするほか、在宅医療を支援する診療所にも診療報酬を手厚く配分する。
 診療報酬は、医療機関での個別の診療行為に対する点数(1点10円)。体調を崩して病院にかかった時、初診料や薬の処方料、調剤料などの点数を合計すれば、医療費になる。
  改定では第一に、病院頼みの医療を転換するため、急性期病院の点数を厳しく評価。看護師が患者7人につき1人と最も手厚く配置され、本来は救急治療を担うはずの「7対1病床」に軽症者が入院している実態を受け、入院基本料の要件を重症者に限定する。在宅復帰率や慢性疾患を担当する病棟への転院率が合わせて75%以上であることも、入院基本料の要件とする。


長万部町立病院、またワクチン誤接種 indexへ

 北海道長万部町立病院は11日、町内などの乳児3人に、国の指針で決められた期間の前に、4種混合ワクチンを誤って接種したことを明らかにした。
 健康被害は確認されていないという。同病院は保護者に謝罪した。同病院では昨年11、12月にも乳幼児3人に有効期限が切れるなどしたワクチンを誤接種したことが発覚したばかりだった。
同病院によると、小児科外来で昨年7月、男児に本来は生後3か月以降に接種すべき4種混合ワクチンを、15日間早く接種した。予防接種の予約を受け付けた職員が、接種時期を勘違いしていたことが分かり、その後の点検でこの職員は昨年5月、別の女児にも同様のミスで12日間早く接種させていたことが判明した。
 さらに今年1月にも、別の女児に4日早く接種した。別の職員が予防接種の予約を受けた際、女児の生年月日を誤ってパソコンに入力していたという。

大量精神科薬で搬送、156病院…問われる処方 indexへ

 精神科の薬を一度に大量に服薬した患者の搬送を受けた救急医療機関が、2012年は全国で少なくとも156病院に上り、うち約3割にあたる46病院は年間50件以上搬送されていることが、読売新聞の調査でわかった。
 服薬したのはいずれも医療機関でしか処方できない薬で、抗うつ薬、睡眠薬などの処方のあり方が問われそうだ。
 昨年11月、全国の救命救急センターと日本救急医学会の救急科専門医指定施設の計498病院にアンケートを送り、164病院から回答を得た(回収率33%)。大量服薬患者を年間100件以上受けている病院も10病院あり、最も多い病院では約500件と回答した。
 うつ病で処方される三環系抗うつ薬では大量服薬によって1年間で計5人が死亡したほか、52人に不整脈、23人に長時間にわたるけいれんなど、命に関わる症状が見られた。

広島・尾道市夜間救急診療所 医師不足で小児科廃止 indexへ

 広島県尾道市は4月に、同市門田町の市総合福祉センター敷地内に移転開設する市夜間救急診療所について、計画にあった小児科を廃止することを決めた。医師が確保できないためで、内科、外科も計画を変更し、土日祝日は休診とする。
 同診療所は時間外に軽症患者を診察する1次救急施設。現在は同市新高山の市立市民病院内にあり、重症者を診る2次救急が専門の医師らが兼務している。しかし、不急の軽い症状で診療を求める、いわゆる「コンビニ受診」も多く、医師の疲弊を招いていた。
 このため市は、患者の症状に応じた受診先を明確にしようと、昨年9月、8000万円かけて、外部に同診療所を新設することを決定。移転後は毎日午後8~11時、現在と同じ内科と外科、小児科(夜間は休診中)で診察する予定だった。
  市民病院の勤務医のほか、市内の他の病院からも派遣を受ける予定だったが、昨年末、必要な人数を確保できない見通しとなった。診療所の設置を認可する県東部保健所も、「休診中のまま、小児科を開設することは認められない」と市に指導。市は小児科の廃止と、内科、外科も土日祝日の休診を決めた。
 この変更で、市は1次救急患者の受け入れを近隣の医療機関に打診。夜間について、JA尾道総合病院(平原)から小児科は毎日、内科、外科は土日祝日の診察を「引き受ける」と回答があった。市は同病院の負担を減らすため、市民病院から医師を派遣するなどする。
市は、市議会2月定例会に、同診療所の所在地と診療科を変更する条例案を提案する。黒田英治・市救急医療担当参事は「引き続き、365日間の診療ができるよう努める」と話している。


鳥インフル、人から人に感染?…中国南部で3件 indexへ

 【上海】鳥インフルエンザ(H7N9型)の感染者が増加する中国で、今月に入り、家族内で人から人に感染したと疑われる事例が、広西チワン族自治区と広東省で3件出た。
 同自治区南寧では、4日に女性(41)の感染が見つかり、5日に息子(5)も感染が判明。中国紙・南方都市報(電子版)によると、広東省中山で男性(37)と娘(2)、同省肇慶でも同居する男児(5)と女児(4)の感染を確認した。
 それぞれが生きた鳥と接触して感染した可能性もある。


悔しく怒り…子宮頸がんワクチン、国の再開反対 indexへ

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に重い副作用が出ている問題で、患者や家族らでつくる「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」などは6日、東京都内で集会を開き、国がワクチンを積極的に勧めることを再開することに対し、改めて反対する方針を表明した。
 茨城県の中学2年生は、「いろんな病院で、精神的、気のせいと言われた。悔しく怒りを感じた」と話した。
 同連絡会では、ワクチンを接種した全員を対象に、副作用の実態調査を行うよう国に求めている。

佐世保の医療機関患者、8人が結核感染 indexへ

 長崎県佐世保市は5日、市内の精神科の医療機関で患者8人(40~70歳代)が結核に感染したと発表した。
 重症者はいないという。ほかに患者ら52人が血液検査で陽性となっており、今後精密検査で感染の有無を確認する。
 市によると、昨年5月に50歳代の女性入院患者が発症。同12月から今年1月下旬、同じ階に入院していた7人の感染が確認された。
 この医療機関では1月上旬以降、感染者と接触した可能性のある入院患者や職員ら約150人に血液検査を実施。52人に陽性反応が出たという。

低血糖症で入所者搬送相次ぐ…介護施設で誤薬? indexへ

 和歌山市中島の介護老人保健施設「ラ・エスペランサ」で昨年12月以降、いずれも認知症の入所者4人が相次いで低血糖症を突然発症し、意識障害になるなどして救急搬送されていたことがわかった。
 1か月足らずの間に2度発症した人もいて、市は、誤った薬を服用させた可能性もあるとして立ち入り調査を実施。市からの通報を受け、和歌山県警も捜査を始め、4日、傷害容疑で施設を捜索した。
  市によると、昨年12月22日に80歳代の女性2人、同28日には80歳代の男性1人が低血糖症になり、市内の病院に救急搬送されて入院。今年1月17日までに3人とも退院したが、翌18日、うち2人が再び同じ症状を起こして入院した。3人に糖尿病などの症状はなく、血糖値を下げる薬も常用していなかったため、不審に思った病院側が市に通報。市は21日に立ち入り調査を行い、23日に県警に通報した。今月3日にも別の80歳代の女性入所者が同様の症状で搬 送されたという。

耐性ウイルスに効果、新型インフルの新薬承認へ indexへ

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は3日、強い毒性と感染力を持つ新型インフルエンザ対策の一環として、新しい抗ウイルス薬「アビガン錠」の製造販売を承認しても差し支えないとする意見をまとめた。
 既存の薬が効きにくい耐性ウイルスに効果が見込める。3月にも承認される見通しで、政府は新型インフルエンザ流行に備えた備蓄の準備に入る。
  新薬は、富山化学工業(東京)がT―705の名称で開発し、申請していた。部会は、タミフルなどの既存の薬が効かない新型インフルエンザが発生した場合にだけ出荷できる、という条件をつけた。有効性の検証が十分でないためで、季節性インフルエンザの患者に使うには、さらなる臨床試験が必要という。

タミフルなどに耐性ウイルス、5道府県で発見 indexへ

 国立感染症研究所は3日、インフルエンザの抗ウイルス薬である「タミフル」や「ラピアクタ」の効きにくい耐性ウイルスが2013年11月以降に5道府県で見つかったと発表した。
 札幌市で相次いでいたが、北海道以外にも広がっていることがわかった。
  感染研は、全国約500の医療機関で見つかったウイルスの特性を分析。2月2日までに、北海道で15人、山形と神奈川、三重の各県で2人ずつ、大阪府で1人と、計22人から耐性ウイルスが検出された。09年に流行したH1N1型と同じ型で、遺伝子の配列はほぼ同じだった。
 感染研は「まずはワクチンを接種してほしい。医師は流行しているウイルスのタイプを見ながら、薬の処方を適切に判断してほしい」としている。

開発した未承認薬販売・投与、元助教授夫妻逮捕 indexへ

 開発した未承認薬をがん患者らに販売、投与したとして、警視庁は3日、元杏林大医学部助教授の医薬品製造会社社長・高山精次容疑者(74)(東京 都八王子市片倉町)を薬事法違反(無許可販売)と医師法違反(無資格医業)の両容疑、妻諒子容疑者(73)を薬事法違反容疑でそれぞれ逮捕した。
 警視庁は昨年7月までの約3年4か月間に、18都府県の56人に約3000万円分を販売したとみている。
 発表によると、2人は2011年4月~13年6月、新潟県の男性(78)らがん患者やその家族5人に未承認の治療薬カルチノン277本を計約475万円で販売した疑い。高山容疑者は医師の資格なしに計52回、患者3人にカルチノンを注射した疑いも持たれている。

レモン食べると肥満防止効果、中性脂肪を抑制 indexへ

 レモンに多く含まれるポリフェノールの一種「エリオシトリン」に中性脂肪を抑制するなど肥満防止に効果があるとする研究成果を、三重大学の田中利男教授(薬理学)らのグループが発表した。
 英科学誌ネイチャー系の電子雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」に論文が掲載された。
  田中教授は、レモンが多用される地中海料理を食べる人たちに肥満や循環器疾患が少ないとする欧米の医学論文に着目。遺伝子配列がヒトと似ている熱帯魚のゼブラフィッシュを複数のグループに分け、エリオシトリンを加えた餌などをそれぞれ4週間投与して肥満との関係を調べた。
 通常の餌を与えたゼブラフィッシュでは、血液1デシ・リットル当たりの中性脂肪が平均約400ミリ・グラムだったが、高脂肪の餌を与えたゼブラフィッシュは同約600ミリ・グラムとなった。
 一方、高脂肪の餌にエリオシトリンを混ぜて与えた場合は、同約400ミリ・グラムに抑えられた。
 ヒトの肝細胞を使った実験でも、エリオシトリンが脂肪の蓄積を抑制することや、細胞内でエネルギーを作るミトコンドリアが活性化されることも確認された。
 実験は飲料大手ポッカサッポロフード&ビバレッジの中央研究所(愛知県北名古屋市)と共同で実施した。
 田中教授は「将来的には心筋梗塞、脳卒中といった循環器疾患やメタボリックシンドロームの治療、肥満予防などにつなげたい」と話している。

君津に待望の産婦人科医院 indexへ

 出産可能な医院がない状態が続いていた千葉県君津市に4日、産婦人科医院「ファミール産院君津」(同市郡)が開院する。住民に施設を知ってもらおうと1日、内覧会が開催された。
 同院は2階建てで、延べ床面積約1270平方メートル。入院室は14部屋。出産を終えた母親がリラックスできるように、内装は白や薄いピンクなど明るい色を基調としている。待合室には、約50人分のソファがあるほか、通常よりひじ掛けが高く、座面が広いなど妊婦が座りやすいよう設計された椅子「ピンキー」を置いた。
 内覧会には多くの妊婦らが訪れ、診察室や新生児室を見学した。妊娠6か月という同市の阿久津智絵さん(33)は「これまで車で30分以上かかる病院に通っていたが、ここは歩いて10分で着く。近くに病院ができて本当に助かる」と喜んでいた。
 君津市には産婦人科があるが、2007年に出産の取り扱いをやめている。医院で出産するためには、木更津市など近隣市への通院を余儀なくされ、市民から産婦人科医院の開設を求める声が上がっていた。君津市が建設費や備品代などとして5000万円の補助金を出すなどして誘致。館山市で「ファミール産院」を運営する医療法人社団「マザー・キー」が進出することとなり、昨年3月に着工していた。出産の取り扱いは3月開始を予定している。
 石崎聡之院長(53)は「地域の人が通いやすく、居心地が良いと思えるような空間を作り、少しでも良い医療を展開したい」と話している。

「うつの痛み」テレビCM、抗議受け一部変更 indexへ

 「うつの痛み」をキャッチフレーズに、製薬会社が昨年10月からテレビCMなどで続けるうつ病啓発キャンペーンに対し、医師や患者、家族から抗議の声があがっている。
 CMは、体の痛みをうつ病の主症状のように伝えたが、国際的な診断基準に体の痛みはない。ナレーションが一部変更されたものの、「体の痛みで落ち込んだだけでうつ病にされる。薬を売るための過剰啓発だ」との厳しい批判は続いている。
キャンペーンは、糖尿病性神経障害の痛みと、うつ病の両方に処方できる抗うつ薬「サインバルタ」を販売する塩野義製薬と日本イーライリリーが共同で展開。頭痛や肩の痛みもうつ病の症状のひとつとして、うつ病の治療で体の痛みも治療ができると呼びかけている。
 フジ虎ノ門健康増進センターの斉尾武郎センター長(精神科医)は「体の痛みを抱えるうつ病患者は多いが、うつ病が体の痛みを生むという科学的証拠はない。不適切だ」と指摘する。
 抗議を受け、1月初め、「痛みといった体の症状も表れます」と断定していたCMのナレーションが、「表れることもあります」に変わった。塩野義製薬広報部は「高知大の研究で、痛みに悩むうつ病患者が多いと分かったため啓発した。しかし、体の痛みが国際的な診断基準になく、うつ病の主症状でないことは確かで、『うつの痛み』という言葉の変更を含め検討したい」と話している。

妊娠しやすい排卵日を予測…検査薬解禁へ indexへ

 政府は30日、妊娠しやすい排卵日を予測する排卵日検査薬について、医師の診療と処方箋がなくても薬局で買えるように規制緩和する方針を固めた。
厚生労働省が検査薬を薬局で販売する際のルールをまとめた上で、2014年度中にも販売できるようになる見通しだ。
 薬局で販売が認められている検査薬は現在、〈1〉妊娠〈2〉尿糖〈3〉尿たんぱく――の3種類のみ。排卵日検査薬の解禁をめぐっては、誤診の恐れがあるとして、日本医師会が慎重だったが、30日の規制改革会議の健康・医療ワーキンググループ(作業部会)で、健康診断に代わるものではないとの位置づけで、認める方針に転じた。
 がんなどの病気の兆しを把握するため尿に血が混じっているかを調べる尿潜血検査薬についても、市販解禁の対象とする見通しだ。

脳血流変化、高精度で計測…自治医大教授ら indexへ

 自治医大の渡辺英寿教授らのグループが、開頭手術中に脳内の血流変化を高い精度で計測できる医療技術を開発したと発表した。
 豚への実験で成功し、今年中に人への応用を目指す。言語機能などをつかさどる脳の部位は血流変化で特定でき、脳腫瘍などの手術中に特殊機器を用いることで、重要な部位を切除せずに後遺症を回避できる。
 中央大と京都産業大のグループと共同で研究し、米科学誌「ニューロイメージ」電子版に11日付で載った。
 脳腫瘍やてんかんなどの患者の手術で脳の一部を除去する場合、言語機能や手足を動かす機能をつかさどる部位が患者によって微妙に位置が異なるため、これらを除去する危険性が伴っている。腫瘍を最大限取り除きたくても慎重にならざるを得ないのが現状だ。
 言語機能などに対応する部位は、言葉を発したり、手足を動かしたりすれば血流が活性化する。頭の表面に光をあてると活性化の状況が分かり、1995年には、手術前に部位を特定する「光トポグラフィー」が開発された。しかし、頭皮や頭蓋骨が光の動きの妨げとなって、誤差は2センチ程度と限界があった。
 今回開発された「ダイレクト光トポグラフィー」は開頭後に脳表面に光をあてるのが特徴で、豚の実験では5ミリ程度の誤差で部位の特定に成功した。先端を遮光性の高いゴム素材で覆うなどして開頭後の使用を可能にした。豚の実験では鼻に刺激を与えて血流変化を見極め、人への応用では、手足を動かすことなどを想定している。
 渡辺教授は「世界的にもない技術。人への安全性を確認した上で実用化を目指したい」と話している。

特許出願…発明者にリケジョ・小保方さんの名も indexへ

 「STAP細胞」の作製に成功した理化学研究所などが国際特許をすでに出願していることが30日、わかった。
 今後、再生医療への応用などを目指した国際的な知財競争が激化することが予想され、今回の特許がどのような形で認定されるかが注目される。
 国際特許は、理研と東京女子医科大、米ハーバード大の関連病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院の3施設が合同で米当局に出願。2012年4月から手続きを始め、昨年4月に出願した。発明者には、小保方(おぼかた)晴子・理研ユニットリーダー(30)ら7人が名前を連ねている。
 出願 内容は「ストレスを与えることで、多能性細胞を作製する手法」。iPS細胞(人工多能性幹細胞)のように、外部から遺伝子を導入したり、たんぱく質などを加えたりしなくても、皮膚のような体細胞が、多能性細胞に変化することを示した。ただ、最終的に特許当局にどこまで権利範囲が認められるかは分からない。

三重県 男性不妊治療に助成…全国初、導入検討 indexへ

 三重県が新年度から、男性の不妊治療に特化した助成事業の導入を検討していることがわかった。県によると、男性に特化した制度は全国の都道府県では初めてという。
  不妊の原因の半数は男性側にあるとされ、男性の不妊について、県民に理解を深めてもらおうと新たな助成制度を創設することにした。同県では、所得400万円未満の夫婦に対し、国の補助制度(最大15万円)に、県と市町が折半して上乗せする形で最大25万円の補助が行われている。
 県はさらに男性の不妊治療に限り、市町と折半して最大5万円を助成し、計30万円の補助を受けられるようにする。
 対象は、精巣内から精子を取り出す手術など保険適用外の治療に限られる。
 県内では昨年度、国の補助制度に約2300件の申請があり、年々増加しているという。県子育て支援課は「所得の少ない夫婦が不妊治療を受ける際の経済的負担を少しでも減らせれば」としている。

平戸市民病院で投薬ミス、患者が一時意識混濁 indexへ

 長崎県平戸市の平戸市民病院で、症候性てんかんと診断された男性入院患者(87)に、適正量の10倍の抗てんかん薬が誤って投与されていたことが分かった。男性は一時、意識混濁状態になったが、現在は回復しているという。
 同病院によると、男性患者は転んで頭部を強打し、同県佐世保市の病院に運ばれ、その後遺症として症候性てんかんと診断された。今月22日に市民病院に転院。診察した60歳代の男性医師が、1日当たりの抗てんかん薬の投薬量を電子カルテに入力する際、誤って適正量(0・8グラム)の10倍にあたる8グラムと入力。カルテに従い、23日朝と夜、24日朝の3回に分けて4グラムずつ計12グラムが投与された。
 男性患者は23日に意識が混濁、24日にけいれんを起こし、佐世保市の病院に救急搬送された。意識は戻ったが、現在も入院している。男性医師は24日、ミスに気付き、その後、患者の家族に謝罪したという。

医療事故調査制度見直し方針 indexへ

 厚生労働省は28日、2015年度の創設を目指す医療事故調査制度について、改正医療法の公布後、2年をめどに見直す案を自民党の部会に示し、大筋の了承を得た。
 同制度は、治療で患者が死亡した場合に原因究明と再発予防を図るのが目的。患者が予期せず死亡した場合、医療機関は第三者機関に医療事故として届け出る必要が出てくる。

先天性風疹症候群、昨年の出生児数32人に修正 indexへ

 妊婦の感染により胎児の目や耳に障害が起こる先天性風疹症候群について、国立感染症研究所は、2013年に報告された出生児数を、31人から32人に修正した。
 昨年末、埼玉県内で診断された男児がいたが、県への届け出が遅れ、今月上旬に受理されたという。
 風疹は2013年に大流行し、昨年の先天性風疹症候群の出生児は、発生の報告を義務づけた1999年以降で最多だった。大流行の影響はまだ続いており、今年に入って新たに3人の出生児が診断されている。

肝臓移植後の食道がん手術、国内初成功 indexへ

 肝臓移植後の食道がんの手術に、順天堂大の梶山美明教授のグループが国内で初めて成功した、と発表した。
 食道がんの手術は、食道の大部分を切り取り、胃を細長く持ち上げてつなぐ。肝臓移植を受けると胃と肝臓が癒着することが多く、手術は極めて難しい。また、移植後は免疫抑制剤を飲み続けているため、感染症への細心の注意が必要だという。
 手術を受けたのは60歳代男性。2003年に食道がんが見つかったが、肝硬変があり手術は困難と判断され、放射線治療などを受けてきた。肝硬変の悪化から、08年に西日本の大学病院で生体肝臓移植手術を受けた。肝臓と胆管の縫い目がうまく閉じないなどの問題も起きた。13年、食道がんが再発。順天堂大によると、複数の病院で手術は困難とされたが、患者の強い希望で13年12月に手術を実施した。手術は9時間9分かかったが、手術後は順調に回復し、約1か月後に退院したという。
 梶山教授は「肺と食道の癒着がひどく、時間がかかった。無事終わって良かった」と話す。

中国企業、新型出生前検査受け付けを一時中止 indexへ

 妊婦の採血で胎児の染色体の病気を調べる新型出生前検査を巡り、中国の遺伝子解析会社「BGI」が日本医学会の認定施設以外に営業活動をしていた問題で、同社は検査の受け付けを一時中止したことをホームページで公表した。
 新型検査は、日本産科婦人科学会の指針に基づき、十分な遺伝カウンセリングが可能な認定施設に限り昨年4月から行われている。
 しかし同社は昨年、認定施設以外に検査の勧誘資料を送付したり、学会に出展したりした。このため、日本医学会が指針の尊重を呼びかける緊急声明を出すなど、関連学会・団体が注意喚起を行っていた。

インフルエンザか 8校1園で学年、学級閉鎖…長崎 indexへ

 長崎県は20日、県内の小中学校8校と幼稚園1園でインフルエンザと見られる集団感染が発生し、4校と1園で学級閉鎖、4校で学年閉鎖が決まったと発表した。
 発表によると、学級閉鎖は佐世保市立東明中の1年2組、大村市立郡中の1年4組、平戸市立平戸小の6年1組、壱岐市立芦辺中の2年2組、長崎市の友愛社会館幼稚園の年中組。それぞれ一クラスの6~19人が欠席した。期間は21~23日。
 学年閉鎖は諫早市立高木西小の2年生、平戸市立中野小の5年生、新上五島町立青方小の5年生、同町立若松中の2年生。それぞれ1学年の5~11人が欠席した。期間は20~23日。

インフル患者急増34万人…ピーク2月上旬頃か indexへ

 インフルエンザ患者が全国的に急増し、流行が本格化している。厚生労働省の推計では、患者は12日までの1週間に約20万人増えた。
 過去2シーズンに流行したのとは違う型のウイルスの感染例が増えており、免疫がない乳幼児などに感染が広がる可能性があるとして、厚労省は予防の徹底を呼びかけている。
 厚労省によると、今月12日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された患者数は2万7100人で、その前週の約2・7倍に増えた。患者数は約20万人増え、計約34万人になったと推計される。
  患者数の増加は、すべての都道府県に及ぶ。これまでは沖縄(1医療機関あたりの患者数19・90人)や鹿児島(9・28人)、岐阜(8・91人)、高知(8・71人)など西日本で流行していたが、東京(5・07人)や神奈川(5・10人)、埼玉(6・29人)、千葉(5・70人)など首都圏でも大幅に増加した。今季は流行期入りが12月下旬と例年よりやや遅く、流行のピークは2月上旬頃になる可能性があるという。

食パンに付着、ノロウイルスが原因…集団欠席 indexへ

 浜松市内の多数の小学校で児童らが下痢や嘔吐の症状で集団欠席している問題で、市は17日、給食に出されたパンに付着したノロウイルスが原因の集団食中毒と断定した。
 給食のパンは市内の同じパン工場で製造されており、工場内からノロウイルスが検出された。市はこの工場を経営する同市東区の製パン会社「宝福」を営業禁止とした。
 市によると、同様の症状による集団欠席が出ている小学校は、17日には3校増えて計17校となった。欠席児童も16日より155人増えて計1060人。そのうち小1男児(7)は15日夜から入院している。15校が学校閉鎖となり、2校が学級閉鎖となった。
  市は、児童や教職員の健康被害の広がりを受け、集団欠席が出ている各校の給食を調査。共通する食材の中で、提供前に加熱処理していない食パンや牛乳、果物などのうち、発症者が共通して食べていたのが食パンであることが判明した。16日にこの食パンを製造した工場に立ち入り検査を行ったところ、従業員用トイレのドアノブからノロウイルスが検出された。

ノバルティス社員8人、研究データの収集に関与 indexへ

 東京大病院など22病院が2012年5月から進めている白血病治療薬の臨床研究で、販売元のノバルティスファーマ社の社員8人が、データ結果の回収に関与していたことが分かった。
 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データの改ざん問題を受け、同社は昨年7月、「社員は、研究者が実施すべき、いかなる業務も実施してはならない」と表明したが、再発防止策が徹底されていない実態が明らかになった。
 今回の臨床研究は、白血病の患者が服用している薬を、同社の新薬「タシグナ」に切り替えた場合の副作用の違いを、患者へのアンケートなどから調べる。
 東大病院によると、各病院で行ったアンケートの結果はファクス送信で回収し、集計する規定だった。ところが、13年9月までの間、アンケート計255件のうち125件を同社の8人の社員が受け取り、東大病院に運んでいた。

生理痛の治療薬使った3人、血栓症で死亡 indexへ

 厚生労働省は17日、生理痛の治療薬「ヤーズ配合錠」を使った女性3人が、血の塊ができる血栓症で死亡した、と発表した。
 同省は 「薬との因果関係は否定できない」として、医療機関に対して、足の急な痛みや突然の息切れ、手足のまひが起きた場合は使用を中止し、救急医療機関を受診するように使用者に伝えるよう通知した。製造販売元のバイエル薬品(大阪市)には、添付文書に死亡のリスクを伝える警告を加えるよう指示した。
 発表によると、3人は10歳代~40歳代で、生理痛などで使い始めたが、肺動脈や足の静脈などの血栓症で2013年2~12月に死亡した。このうち、20歳代の女性は使用2日後に頭痛が起き、13日後に脳の血栓症で死亡した。

院内感染で新生児死亡、連絡体制整備 indexへ

 岐阜県総合医療センター(岐阜市)で、院内感染により新生児が昨年8月に死亡した問題を受け、県は17日、新生児を扱う病棟で院内感染が発生した時の対応策と、出産前後の妊婦や新生児を診る医療機関で院内感染が起きた時の連絡体制を発表した。
 県総合医療センターは、総合周産期母子医療センターとして県内で最も高度な新生児医療を担っている。県と県周産期医療協議会は、妊婦や新生児の受け入れなどが一時中止した事態を重くみて対応策を作成した。
 具体的には、県総合医療センターで新生児を扱う病棟「新生児医療センター」での院内感染に関する情報は対応チームにすべて報告し、チームの担当者が電子カルテを常時チェックして異常に気づく体制を整える。
 院内感染については状況に応じて3段階で新たに対応することにした。さらに、「院内感染に対する危機意識の希薄化」を防ぐため、研修会や学習会を通して感染防止意識を高めることにした。
 また、緊急連絡体制を新たに取り決め、周産期の医療機関で院内感染やインフルエンザの集団感染、事故が起きたときには、すぐに周産期医療協議会の事務局がある県保健医療課に報告し、緊急周産期医療協議会を開くことにした。必要に応じて医師会や消防なども交えて協議し、その都度対応策を提言する。
 県保健医療課では「今回は想定していなかった事態が起きた。緊急時の対応を徹底して母体や新生児を守っていきたい」と話している。

24時間在宅医療に手厚く…診療報酬改定骨子 indexへ

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は15日、在宅医療の充実などを柱とした2014年度診療報酬改定の骨子をまとめた。
 厚生労働省が国民から意見を募集し、2月中旬に中医協が診療報酬改定を決定する。
 24時間体制で在宅医療を担ったり、こうした医療機関と連携して入院が必要な患者を受け入れたりする病院などには、診療報酬を手厚くする。

改ざんではない、未熟…認知症研究で部門責任者 indexへ

 アルツハイマー型認知症の大規模研究で不適切なデータ処理が疑われている問題で、研究班臨床部門の責任者の朝田隆・筑波大教授は10日、「改ざん ではない。この分野の大規模共同研究は日本では初めてのため、データ処理技術など、研究班に未熟な点があった」と記者会見した。
 また、被験者計545人のうち約330人について、データベースに登録された心理検査の記録と、その基になった調査票を照合したところ、「被験者としての条件を満たさない高齢者が約80人いる可能性がある」と説明した。
 内訳は、認知症の状態が調査票と異なる人が約50人、認知機能に影響する薬を飲んでいるなど被験者としてふさわしくない人が約20人、被験者としての同意を得ていない人が6人。

脊髄損傷、患者から採取の幹細胞で治療…国内初 indexへ

 札幌医科大学は10日、脊髄を損傷した患者に、患者本人から採った幹細胞を静脈に入れ、運動機能を回復させる臨床試験(治験)を始めると発表した。
 安全性と有効性を確認し、幹細胞自体が薬事法に基づく医薬品として承認されることを目指す。脊髄損傷はリハビリ以外の治療法がほとんどない。脊髄損傷を対象にした再生医療の治験は、国内で初めて。
  治験を実施するのは、札幌医大の山下敏彦教授(整形外科学)らのグループ。患者から骨髄を採取し、幹細胞を分離して約2週間培養した後、静脈へ点滴で投与する。骨髄に含まれる「間葉系(かんようけい)幹細胞」と呼ばれる特殊な幹細胞が損傷した神経に集まり、炎症を抑えて神経の再生を促すと同時に、幹細胞自体が神経に変化することが期待されており、治験で効果を確認する。
 対象になるのは、脊髄を損傷してから2週間以内で、脊髄が完全に断裂していない患者。治験を受ける患者の登録をこの日から始め、まず3年以内に30人に実施する。有効性が確認できれば承認に向けた最終段階の治験に移る方針だ。

京都府内 インフル流行期入り indexへ

 京都府は9日、府内全域がインフルエンザの流行期に入ったと発表した。
 府内の定点医療機関125か所から報告された昨年12月23~29日の患者数の平均が1・28人となり、流行の目安である1を超えた。
 保健所別では、中丹西(福知山市)が3・4人と最も多く、山城南(木津川市など)が2・4人、山城北(宇治市など)が1・87人と続いた。
 京都府は、1月下旬~2月上旬をピークと予測。予防接種やうがい、手洗いの徹底を呼びかけている。

インフル 流行期に…秋田 indexへ

 秋田県は9日、県内がインフルエンザの流行期に入ったと発表、1定点当たりの患者数が11・29人となった大仙保健所管内に注意報を発令した。
 今後、学校の冬休みが終わり、集団生活の機会が増えることから、県は患者が増える危険があるとして、手洗いやうがいの徹底、せきが出たらマスクをするなど、感染に注意するよう呼びかけている。
  県健康推進課によると、昨年12月23~29日の県内55定点医療機関の1定点当たりの患者数は2・25人で、前の週から約2・6倍に急増。流行の目安である1・00人を上回った。さらに、12月30日~今年1月5日には2・95人に増えたことから、流行期に入ったと判断した。同課によると、30日からの週には、約160人が定点医療機関を受診したことになるという。
 保健所別(30日~1月5日)では、大仙が11・29人と最も多く、秋田市の3・27人、能代の3・25人と続き、計6保健所で1・00人以上となった。1・00人に満たないのは、大館、北秋田、横手の3保健所。

妊婦2人の子宮頸がん手術成功 indexへ

 新潟大医歯学総合病院は8日、妊娠中に早期の子宮頸(けい)がんが見つかった2人の女性の子宮から、胎児を残したまま子宮頸部を切り取る手術に成功した、と発表した。
 2010年の大阪大病院以来の成功となり、担当した新大医学部の榎本隆之教授(57)は「新たな治療の選択肢となる可能性がある」と話している。
  手術を受けたのは、いずれも30歳代のカナダ在住の日本人女性と大阪府の女性。カナダの女性は妊娠9週でがんが見つかり、15週の昨年11月27日に手術を受けた。大阪の女性は妊娠15週でがんが発見され、17週の12月27日に手術を受けた。6日現在、いずれも女性と胎児の経過は順調で、37週目に帝王切開で出産する予定。
 榎本教授によると、初婚年齢の高齢化に伴い、30歳代の女性が妊娠を機に検査を受け、子宮頸がんが見つかる例が増え ている。妊娠中に早期の子宮頸がんが見つかった場合、通常は赤ちゃんを諦めて子宮を全摘出する。胎児を残したまま子宮頸部だけを切り取る手術は、世界でもこれまで8例しか報告がなく、榎本教授が大阪大准教授だった10年に国内で初めて成功した。手術を受けた女性は無事に女児を出産した。
 榎本教授は「女性が赤ちゃんを諦めることがなくなるように研究を進めていきたい」と話している。

石川県、インフルエンザ流行期に indexへ

 石川県健康推進課は8日、県内がインフルエンザの流行期に入ったと発表した。流行入りは平年並み。
 発表によると県内48の定点医 療機関で昨年12月23~29日のインフルエンザ患者数が1・25人となり、流行の目安となる1人を超えた。全国的には、12月16~22日の週に流行シーズンに入っている。今シーズンは季節性インフルエンザのうち、A香港型の割合が最も多く検出されているが、Aソ連型とB型も流行する可能性があるという。
 同課は「全年齢でインフルエンザに注意する必要があるが、特に子どもや、お年寄りは重症化しやすい」とし、手洗いやうがい、マスクの着用などの励行を呼びかけるとともに、重症化防止に有効なワクチンの接種も勧めている。

兵庫県内、インフルエンザ流行期に indexへ

 兵庫県は8日、インフルエンザが県内で流行期に入ったと発表した。昨年12月23~29日に県内の定点医療機関199か所から報告された患者数は、1医療機関当たり平均1.45人となり、流行の目安となる1人を超えた。
 健康福祉事務所や保健所が所管する地域別に見ると、最も多いのが伊丹の4.08人。宝塚の2.44人、姫路市の2.11人、中播磨の2人が続いた。
 県疾病対策課によると、現時点で新型インフルエンザは検出されておらず、A香港型とB型が多いという。ピークは2月中旬頃と予測され、同課では「手洗いやマスク着用を励行し、体調が悪い時は早めの受診を」と呼びかけている。

新型インフルの新薬備蓄へ…耐性ウイルスに効果 indexへ

 政府は、インフルエンザの治療薬が効きにくい耐性ウイルスが各国で相次いで確認されていることを受けて、耐性ウイルスに効果がある新薬「T―705」を備蓄する方針を固めた。
 複数の政府関係者が明らかにした。T―705は今春にも製造販売が承認される見通しで、新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)に備えて危機管理体制を強化するのが狙いだ。
  すでにインフルエンザの治療薬として使われている「タミフル」や「リレンザ」は、体内で増殖したウイルスの細胞から細胞への拡散を妨害し増殖を防ぐ仕組み。これに対し、T―705は、細胞内でウイルスが遺伝子を複製、増殖すること自体を防ぐ作用がある。細胞に侵入した後の早い段階でウイルスが増えるのを抑えるため、タミフルなどが効かない耐性ウイルスにも効果があるとされる。

中国会社の割安新型出生前検査、日医が注意喚起 indexへ

 妊婦の採血で胎児の染色体の病気を調べる新型出生前検査を巡り、中国の遺伝子解析会社「BGI」が日本医学会の認定病院以外に営業活動をしている問題で、日本医師会は8日、同社と医療機関に対し、指針を守るよう注意喚起した。
  新型検査は、日本産科婦人科学会の指針に基づき、遺伝カウンセリング体制の整備などを条件に、37病院が実施医療機関に認定されている。しかし、同社は、認定外の医療機関に宣伝資料を送付。2、3か所の認定外施設が、同社の検査を行ったとの情報があるという。医療機関に対する見解として「評価の定まっていない検査を安易に導入するべきでない」と呼びかけた。
 同社は1件当たり10万円で検査を受注。認定病院の患者負担は約20万円。

遺伝子ビジネス、認定制に…悪質検査に歯止め indexへ

 病気にかかる危険性や生まれつきの才能を判定する「遺伝子検査ビジネス」が急増していることから、経済産業省は優良事業者の認定制度作りに乗り出す。
 科学的根拠が疑問視される検査があるほか、検査を中国などの海外業者に委託するケースもあり、「究極の個人情報」が大量に海外流出する恐れが出ているためだ。月内にも厚生労働省がオブザーバー参加する研究会を設立し、ルール作りを始める。
  遺伝子検査ビジネスには規制がなく、悪質な業者かどうか利用者が選別するのが難しい。経産省は月内にも省内に専門家らによる研究会を作り、2014年度中に、サービスの指針を決める。具体的には、判定の根拠に信頼性の高い論文を使うことを求めるほか、検査を委託する場合は相手先を開示させることが盛り込まれる見通し。厚労省から、医療や科学に関する専門的な意見を採り入れ、ルールを作る。
 経産省は新たに作る指針を守っているかどうかを基準 に、15年度にも第三者機関が信頼できる業者を認定する制度の導入を目指す。利用者が判断しやすいように、優良な業者には認定マークを与えることなども検討する方向だ。悪質な業者が横行するようなら、法律による罰則付きの規制も検討する考えだ。

病室隣同士で主治医が思い違い…幹細胞移植ミス indexへ

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で小児がんの男児(1)に移植する予定だった幹細胞を、誤って同じ病気の女児(4)に移植した問題 で、同センターは7日午後記者会見し、「(2人の患者は)同じような治療をしていて病室も隣同士だったため、主治医が思い違いをした」などと理由を説明した。
 2人は、副腎などに発生する「神経芽腫」で同センター病院に入院中。先月18日、事前に血液から採取した幹細胞を男児に移植することになっていた。
 移植は3人の医師が担当。専用の部屋で、保存用の容器から注射器に幹細胞を移し、男児の病室に持ち込むはずだった。ほかの2人の医師が男児の病室に行くと、主治医がおらず、患者の取り違えがわかった。

幹細胞移植で患者取り違え…国立成育センター indexへ

 国立成育医療研究センターは7日、小児がんの一種の「神経芽腫」で入院中の男児(1)に移植する予定だった幹細胞を、同じ病気で入院中の別の女児(4)に誤って移植する医療事故を起こしたと発表した。
 同センターによると、先月18日、男児の血液から事前に採取した幹細胞を、抗がん剤治療後にこの男児に移植する予定だったが、治療後、担当医が患者を取り違えたことに気付いた。血液型は男児はO型、女児はA型で異なるが、女児に今のところ、重い副作用などは出ていない。ただ、移植後、1か月程度は様子をみる必要があるという。男児には翌19日、改めて予備の幹細胞を移植する治療を行い、現時点で問題は起きていない。
 同センターによると、女児には11月下旬に同じ治療が行われていた。男児と女児は担当医が同じだった。

タミフル耐性インフル、検出相次ぐ…札幌 indexへ

 2009年に新型インフルエンザとして流行したH1N1型の中で、インフルエンザ治療薬「タミフル」の効きにくい耐性ウイルスが札幌市内で相次いで検出されたことが6日、同市保健所への取材で分かった。
 同保健所は医療機関に対して「タミフルが効きにくい際は違う薬を選んでほしい」と注意を呼びかけている。
  同保健所によると、昨年11月15日~同12月9日、市内14医療機関から回収した46検体の中から19検体でウイルスの分離に成功した。分離したウイルスの大半はA香港型だったが、H1N1として分離された5検体全てがタミフルへの耐性を示し、国立感染症研究所(東京都)で詳細な解析を行ったところ、同じ結果が示されたという。なお、別のインフルエンザ治療薬「リレンザ」「イナビル」への耐性はなかった。
 同保健所は「耐性があるといっても試験管レベルであって、実際はなお不明な点があるものの、H1N1型が国内で定着するにつれて耐性を獲得した可能性がある」としている。

患者21人、緑膿菌に院内感染か…11人死亡 indexへ

 大阪府高槻市の私立病院「新生病院」(病床数225床)は6日、ほとんどの抗生物質が効かず、免疫力が落ちた人が感染しやすい多剤耐性緑膿(りょくのう)菌が、昨年1年間に入院患者ら21人から検出され、うち62~92歳の男女11人が死亡していたと発表した。
 院内感染とみられるが、感染と死亡に因果関係はないとしている。
  同病院によると、昨年1~6月の間に患者9人から菌が検出されたことが7月に判明。地元医師会などに相談し、原因を調べていたが、その後も検出が相次ぎ、同12月までに外来患者1人を含む計21人に上った。うち6人から検出された菌の遺伝子を検査したところ、同12月に全員の菌が同じ型で院内感染とわかった。
 病棟は五つのうち四つにまたがっていることから、医師や看護師の手や、患者の口の中の洗浄に使う移動式の吸引器具などを介して感染が広がった可能性があるという。
 死亡した11人は、いずれも心臓疾患や脳出血などの重篤な患者で、死亡前に体温や白血球数に大きな変化がなかった。こうした理由から、地元医師会による外部調査で感染による死亡ではなく、元々の病気が悪化したと判断されたという。
 同病院は感染経路を調査中。今後、吸引器具のチューブを使い捨てにするなど、感染防止に努めるという。
 この日、記者会見した同病院の後藤研三院長は「患者には大変申し訳ない」と謝罪した。

インフル治療薬「イナビル」予防薬としても承認 indexへ

 第一三共はインフルエンザ治療薬「イナビル」を、インフルエンザの予防薬としても製造、販売できる承認を厚生労働省から受けた。
 同居する家族がインフルエンザを発症した場合などに服用して、感染防止を図る。予防に用いる場合は保険適用外となる。
 イナビルは、原料の調達から生産、販売まで国内で一貫して行っている純国産のインフルエンザ治療薬で、2010年10月に発売された。治療は1回の服用ですむが、予防には2日間1回ずつ服用する必要がある。
 インフルエンザ治療薬は、吸入薬のイナビルとリレンザ、飲み薬のタミフルが主に使われている。今回の承認で、3種とも治療だけでなく予防にも使えるようになった。

食中毒、病院食が原因…福井 indexへ

 福井県敦賀市三島町の市立敦賀病院で発生したノロウイルスの集団感染で、県二州健康福祉センターは2日、病院給食が原因の食中毒と断定した。
 また食品衛生法に基づき、同病院内の給食施設を同日から2日間の業務停止処分とし、消毒の徹底などを指示した。
 県によると、同センターの検査で、下痢や嘔吐などがみられた入院患者17人、調理者5人、看護師1人と、施設の拭き取り検体からノロウイルスが検出された。
 一方、同病院は2日、新たに入院患者の男女8人(69~89歳)と、看護師3人の計11人からノロウイルスが検出されたと明らかにした。いずれも快方に向かっているという。感染が確認された患者や看護師、調理者は、計35人となった。

金沢の病院でノロ集団感染、70代男性患者死亡 indexへ


 金沢市保健所は27日、同市の国立病院機構「医王病院」で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団感染が発生し、70歳代の男性患者1人が死亡したと発表した。
 発表によると、同じフロアの入院患者9人と担当職員6人が23~27日、下痢や嘔吐などの症状を訴えた。検査の結果、5人からノロウイルスが検出された。
 同保健所は、入院患者が院内の給食を食べていないことから、職員か面会者を通じて、ノロウイルスの感染が拡大したとみている。

6歳と2歳に注射針使い回す…長崎 indexへ


 長崎県大村市は27日、市内の内科医院で、男児(6)と女児(2)のきょうだいへのインフルエンザ予防接種の際、注射針を使い回すミスがあったと発表した。
 2人に健康被害は出ていない。所管の市医師会に対し、文書で厳重注意した。
  市こども家庭課によると、医院の女性看護師1人が、男児に接種するはずのワクチンの注射針を女児の腕に刺した。ワクチンを投与する前に気付いて抜いたものの、同じ針を男児に使用したという。国の規則では、感染症予防のため一度刺した針は廃棄し、一人ひとり違う注射器を使うよう定められている。
 同課は「起きてはいけない事故。医師会へ再発防止を求めていく」としている。

放射線治療で照射位置にずれ…東海大病院でミス indexへ


 東海大学医学部付属病院(神奈川県伊勢原市)は25日、子宮がんなどの女性患者約100人に対し、照射位置が約3センチずれた状態で放射線治療を行っていたと発表した。
 膀胱(ぼうこう)に放射線が過剰に照射された可能性があるが、健康被害は確認されていないという。装置の不具合などが原因とみられ、同病院は調査委員会を設置、原因や影響を調べている。
  同病院によると、2007年5月~13年11月、30歳代~80歳代の患者が子宮への放射線治療を受けた際、照射位置がずれていた。装置は米・バリアンメディカルシステムズ社製で、体内に入れたカテーテル(管)から放射性物質を患部付近に送り込む仕組みだが、途中で止まって放射線が照射されたという。患部に当たる放射線量が少なかったため、治療効果が10%程度低下したとみられる。同病院は「大変申し訳ない」と謝罪している。

2分でがん診断、痛みもほとんどなし indexへ

 調べたい臓器から採取した細胞の成分を解析し、がんかどうか診断できる装置を山梨大や島津製作所(本社・京都市)などの研究チームが開発した。
 採取には、はり・きゅう用の針を使うため痛みはほとんどなく、診断時間も約2分と短時間。来年1月から臨床試験を始め、3~4年後の実用化を目指す。同大では「経験を積んだ病理医が長い時間をかけて行っているがん診断を迅速、簡単にできる」としている。
  開発に携わる同大医学部の竹田扇教授(45)(分子細胞生物学)によると、針の先端の直径は、1ミリの数千~1万分の1程度。装置では針の先端部を調べたい臓器に一瞬触れさせただけで、臓器を作る細胞の膜付近の脂質が採取できる。その後、島津製作所でノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんが開発した「質量分析法」を応用し、脂質の中にどのような成分が含まれているかを調べ、その結果から2分程度でがんかどうかを判定する。
中央の針の位置が下がって臓器に触れると、針先に電圧がかかって質量分析を行う
  がんと判定する際に使うのは、装置内に蓄積したデータベース。実際のがん患者から得られた検体と、がんでない正常な検体の脂質の成分を竹田教授らが装置に記憶させた。現在、肝臓や腎臓、大腸や胃などで合計2万パターン以上のデータベースができあがっている。診断は蓄積したデータベースとの比較で行うが、腎臓や肝臓では9割以上の確率でがんかどうかの診断ができているという。
 装置は、来年1月から横浜市立大学付属病院の泌尿器科で試験導入さ れ、腎臓がんの診断で臨床試験が行われる予定だ。内視鏡検査などで患者の臓器を2ミリ角程度採取し、診断に役立てる。試験期間は約1年間を予定し、その後、実用化に向けた検討に入る。肝臓がんでの試験も検討中という。
現在、診断ができるのはがんかどうかのみで、がんの種類までは診断する ことができないことが課題。今後は種類ごとのデータベースを構築するという。また、体液や排せつ物などの成分から消化器系や膵臓(すいぞう)のがんを判定できる可能性もあり、将来的には健康診断などに装置を活用することも考えられるという。竹田教授は「装置を使えば病理医のいない地方の中小規模の病院などでもがん診断が容易にできるようになり、革新的だ」と話している。

腎臓がん手術中に動脈を誤切断、女性患者が死亡 indexへ

 山口大医学部付属病院(山口県宇部市)は24日、腎臓がんの手術中に、切断の必要がない動脈を誤って切断し、50歳代の女性患者が死亡する医療ミスが起きたと発表した。
  発表によると、手術は今月10日、泌尿器科の40歳代の執刀医と助手2人が行った。腹腔(ふくくう)鏡手術で左の腎臓をがん細胞ごと摘出する際、腸管や膵臓(すいぞう)につながる「上腸間膜動脈」と肝臓、脾臓(ひぞう)、胃の一部に栄養分や酸素を運ぶ「腹腔動脈」の計2本を「腎動脈」と思い込んで切断。誤切断に気付かないまま、手術を終えた。
術後、誤切断の可能性が判明し、11日未明に別の血管外科医が、動脈を人工血管でつなぐ手術を行ったが、患者は12日深夜、血管損傷に伴う多臓器不全などで死亡した。

うがい薬のみ、保険適用外に…医療費61億削減 indexへ

 厚生労働省は、医療機関でうがい薬のみを処方する場合、来年度から保険適用しない方針を固めた。
 医療機関を受診してうがい薬を処 方された場合、初診料や再診料などのほか、薬局で調剤基本料などがかかる。同省は、風邪などでうがい薬しか処方されない程度であれば、医療の必要性は乏しいと判断した。厚労省では、うがい薬を対象外とすることで61億円の医療費削減につながると見込んでいる。
 ただし、他の風邪薬などと一緒にうがい薬が処方された場合は、これまでと同じように保険適用される。

水俣病認定605人滞る、国基準・判決で混乱 indexへ

 水俣病の患者認定を巡り、国の基準の弾力的な運用を求めた4月の最高裁判決以降、熊本、鹿児島両県の認定業務が9か月以上中断し、審査を待つ申請者が11月末現在、判決前の2倍近い605人に達していることがわかった。
 熊本県の蒲島郁夫知事は「今の状態では県が認定業務を行うのは困難」として、国に業務を返上する構えも示しており、混迷は深まっている。
 熊本県は3月、鹿児島県は1月を最後に認定審査会を中断している。11月末現在、審査待ちの申請者数は熊本県が455人で、最高裁判決前と比べ225人増えた。鹿児島県は150人で50人増えている。
 申請者の間では混乱が広がっている。昨年7月に申請して結果を待つ熊本県水俣市の山下善寛さん(73)は「水俣病の被害者は高齢化しており、70歳代の自分は若い方だ。これ以上、審査を先延ばしされては困る」と訴える。

水ぼうそう、定期接種に…年間100万人が感染 indexへ

 政府は、子どもの命を奪うこともある水痘(水ぼうそう)を予防する小児用ワクチンと、高齢者の主な死因の一つの肺炎を起こす肺炎球菌用のワクチンを、予防接種法に基づいて自治体が行う定期予防接種に加える方針を固めた。
 総務省が地方交付税を通じて財政支援し、厚生労働省が予防接種法の施行令を改正する。定期接種は来年秋から実施される見通しだ。
 全身に発疹ができる水痘は、厚労省の推計では小児を中心に年間に約100万人が感染し、20人程度が死亡する。ワクチンは患者を大幅に減らせると期待され、1~2歳までに一定期間を置いて2回接種する。
 肺炎球菌は主に高齢者が年間に数十万人感染し、約3万人が亡くなる。ワクチンは重症者を減らす効果があり、65歳以上が1回接種すればよく、最初の5年間は対象年齢を65歳、70歳、75歳などと5歳刻みとすることで幅広い高齢者世代が受けやすくする。

麻田総合病院が不正受給 診療報酬2億円超…香川 indexへ

 香川県丸亀市津森町の総合病院「麻田総合病院」(300床)が看護師数を水増しするなどし、2008年4月~11年10月に診療報酬を不正受給したと、厚生労働省四国厚生支局に指摘されたことがわかった。
 同支局は20日にも、運営する社会医療法人財団「エム・アイ・ユー」(丸亀市)に保険医療機関の指定取り消し処分を下す方針。期間は来年4月から5年間。不正受給額は2億円余りに上るとみられるという。
 病院側によると、入院患者数に対する看護師数が基準を満たしているとして診療報酬を請求していたが、実際には、病棟の看護師が外来対応に回るなどし、基準を満たしていない場合があったという。
 病院事務部長は取材に対し「必要な看護師の数は確保していたが、配置などにミスがあり、結果的に水増ししたと指摘されても仕方ない状態になっていた。(指摘を受けた)不正受給額は、直接は聞いていない」と話した。
 指摘を受けたのは11年秋で、同11月以降は配置を見直し、基準を満たしているという。
 現在、入院患者は約240人。事務部長は「患者や職員に影響が出ないよう、来年3月までに、他の医療機関に経営譲渡するなどの方策を検討し、保険医療が継続できるようにしたい」としている。
 同病院は1957年開設。15の診療科があり、県の救急病院に指定されている。

鳥インフル「H10N8型」中国で死者 indexへ

 中国で「H10N8型」という鳥インフルエンザウイルスの人への感染が初めて確認された。今年の春から別の型(H7N9型)の感染も報告されているが、今回のウイルスはどんなものなのか?
 ――どんな人に感染した。
  「中国の報道によると、感染したのは江西省の女性(73)。11月末に重症肺炎で入院し、12月6日に死亡した。もともと持病で免疫力が低下していたことも、重症化した原因と考えられている。H7N9型は生きた鳥を扱う市場に行ったことのある人に多く感染したが、この女性も行った経験があったそうだ」
 ――ウイルスの型って。
 「インフルエンザウイルスはA~Cの三つの型があり、A型はウイルス表面の突起物(H16種類、N9種類)の組み合わせでさらに144種類に分類される。人に感染するのはこのうちの一部。H10は鶏に感染するけれど、鶏への病原性は低いとされている」
  「『H10N8型』は昨年、中国の生きた鳥を扱う市場でアヒルから検出されたとの報告がある。これに近いウイルスでは、2010年にオーストラリアの養鶏場で『H10N7型』が流行し、肉を処理した7人が軽いかぜや結膜炎の症状を訴え、2人からH10のウイルスが検出されている」
 ――感染は広がるの。
 「今のところ感染は1人。北海道大特任教授の喜田宏さんは、現時点では人に対して強い感染力を持つとは考えにくいので、冷静に対応するよう呼びかけている」

後発医薬品の価格、先発品の6割に引き下げへ indexへ

 厚生労働省は18日、先発医薬品の原則7割となっている後発医薬品の価格を、来年4月から原則6割に引き下げる方針を決めた。
 価格が安い後発薬を普及させ、医療費抑制につなげる考えだ。同日開かれた中央社会保険医療協議会に提示し、了承された。
 後発薬は、効き目や安全性は先発薬と同等とされ、先発薬の特許が切れた後に販売される。厚労省は、後発薬の使用率を現在の40%程度から、2017年度末までに60%に引き上げる目標を掲げている。後発薬の価格引き下げは、この目標達成が狙いだ。
 また、後発薬が発売されて5年たっても、その使用率が60%に達しない場合、同じ効能の先発薬の価格を値下げする新ルールも導入する。後発薬の使用率によって下げ幅を3段階に設定、後発薬の使用率が低い薬ほど引き下げ幅が大きくなる仕組みにし、医療費の伸びを抑える。

ピル副作用で血栓症、04年から11人死亡 indexへ

 避妊や月経痛の治療に使われるピルを飲み、血の固まりができる血栓症の副作用で2004年~13年の間に11人が死亡していたことを厚生労働省が明らかにした。
 特に今年、2人が死亡したことを受けて日本産科婦人科学会は注意を呼びかけた。
 日本家族計画協会専務理事の北村邦夫医師(産婦人科)は「ピルを服用しており、血栓症の兆候となる頭や胸、腹、ふくらはぎの痛みなどが起きたら主治医に相談してほしい」と話している。

高血圧薬データ改ざん、ノバ社を刑事告発へ indexへ

 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データ改ざん問題で、厚生労働省は、不正なデータを広告に使用したことが薬事法違反(誇大広告)の疑いがあ るとして、販売元のノバルティスファーマ社(東京)と問題の広告に関与した同社の担当責任者を、近く同法違反容疑で捜査当局に刑事告発する方針を固めた。
 同省の調査に対し、同社は組織としての関与を否定しており、捜査で実態を解明する必要があると判断した。
  薬事法は、医薬品などで虚偽や誇大な表現を使った広告を禁じており、違反した場合は2年以下の懲役か200万円以下の罰金。同省によると、記録が残る1975年以降、誇大広告のみで行政処分や刑事罰を科されたケースはない。同省は告発先として、東京地検を軸に最終調整している。

中国企業の出生前検査には慎重に…産婦人科医会 indexへ

 妊婦の採血で胎児の染色体の病気を調べる新型出生前検査を手がける中国の検査会社が、国内の医療機関に検査を請け負う宣伝活動を行っていることに 対し、日本産婦人科医会(木下勝之会長)は17日、慎重に対応するよう、会員の産婦人科医に同医会のホームページを通じて注意喚起することを決めた。
 新型検査は、結果次第で人工妊娠中絶につながることもあるため、現在、遺伝カウンセリング体制の整備などを条件に日本医学会が認定した施設で限定的に実施されている。

訪問診療費700万円を不正受給…大阪の歯科 indexへ

 外来より診療報酬が高い訪問診療費約700万円を不正受給したとして、近畿厚生局は16日、大阪市中央区の「春次歯科」(10月に閉院)を保険医療機関の指定取り消し相当とすることを決めた。勤務していた黒田猛志歯科医の保険医登録も取り消す。
 厚生局や府によると、同歯科は2010年4月~12年2月、老人ホームなどへ出向いて高齢者らを診察した際、訪問診療費を請求できる規定(歯科から16キロ以内など)を満たしていないのにもかかわらず、不正に請求して計711万円を受給したという。
 同歯科の経営母体は、大阪、兵庫、奈良の3府県に七つの歯科を持つ医療法人「歯友会」(大阪府富田林市)。同会の春次賢太朗理事長(58)は、府の有識者会議「府指定出資法人評価等審議会」の委員も務める。

癌検査PRのはずが格安出生前検査…中国企業 indexへ

 妊婦の採血で胎児の染色体の病気を調べる新型出生前検査を手がける中国の遺伝子解析会社「BGI」が、神戸市に関連会社を設立し、検査の受け付けを始めたことがわかった。
 同社は、京都市で15日まで開かれていた日本婦人科腫瘍学会の学術集会(会長=小西郁生・京都大教授)に出展して、宣伝活動を行った。
 新型検査は現在、カウンセリング体制の整備などを条件に日本医学会の認定施設で限定的に実施されている。結果次第では人工妊娠中絶につながりかねないため、十分な説明や相談が必要との配慮からだ。
 一方、同社は検査の宣伝資料を認定外の施設に送付。検査を個別に請け負うことを狙っており、今後は認定外施設でも広がる可能性がある。
 読売新聞の入手資料によると、関連会社は今年7月設立、ダウン症など3種類の染色体の病気の検査を実施。1件当たり10万円で受注している。
 現在、認定施設での検査の患者負担は約20万円。出展した同社担当者は取材に応じなかった。
 小西会長は「がんの遺伝子検査技術を主にPRしたいとの申し出があり、認めた。懸念があるのは確かだが、反社会的勢力などでない限り、出展は拒否しない」と話している。

看護師らアラーム聞き逃し、手術直後の患者死亡 indexへ

 埼玉県川口市の済生会川口総合病院で2011年、入院していた女性患者(当時71歳)の容体の急変を知らせるアラーム音を看護師らが聞き逃し、女性が死亡する事故があったことが13日、関係者への取材で分かった。
 同病院は過失を認めて遺族に謝罪し、川口保健所に医療事故報告書を提出した。
  報告書などによると、女性は同年1月、閉塞性動脈硬化症と狭心症のため入院し、心臓の冠動脈にカテーテルを通す手術を受けた。手術を終えてから約1時間後に女性の容体が急変。心電図のモニターが異常を示し、ナースステーションでアラームが鳴ったが看護師らは気付かなかった。アラームが鳴り始めて約10分後に看護師が駆けつけた時には、既に意識がなく、約2時間後に死亡した。
 同病院は事故調査委員会を設置して死亡した経緯を調べ、「致死性の 不整脈(心室細動)を示すアラームの聞き逃しによる救命処置の遅れが死亡の原因」と断定した。同病院によると、他の患者のアラームも鳴ったほか、急患の対応や勤務交代・食事介助の時間帯とも重なり、アラームを聞き逃したという。

筑西市民病院の医師 7人から5人に…茨城 indexへ

 筑西市玉戸の筑西市民病院(田辺義博病院長)で、現在7人いる通常勤務の医師が、来年度は5人に減ることがわかった。
 市などが自治医科大(栃木県)に寄付講座を設置し、医師2人が派遣されていたが、同大が講座を更新しないことを決めたためだという。市議会定例会の一般質問で市が答えた。
 今年度当初、同病院の通常勤務医は8人だったが、1人が健康上の理由で11月に辞めており、同病院は医師確保を急ぐ。
 市などは2010年度から4年間、新中核病院と地域医療再生の関わりなどをテーマとした寄付講座を自治医科大に設置し、医師2人が派遣されていた。
 同病院事務部の市村雅信次長兼医療対策室長は取材に対し、「新中核病院建設の協議が進まず、この研究を反映させる場がはっきりしないことで、講座の延長ができなかった」と説明した。
 同病院の医師は、通常勤務7人のほか、契約を結んでいる非常勤が36人。通常勤務医の内訳は、市の直接採用2人、日本医科大(東京都)からの派遣が1人、寄付講座が2人、自治医科大から寄付講座で2人。
 同病院は1972年開設。現在、内科や小児科など11診療科目を置き、2次救急病院に指定されている。許可病床数は173床だが、医師が不足し東日本大震災前は90床を使用していたが、震災で入院病棟が使えなくなり、現在は新築した50床だけで運営している。

園児91人がノロ症状 山梨・甲斐で集団感染 indexへ

 山梨県健康増進課は5日、甲斐市篠原の私立幼稚園「かおり幼稚園」(園児226人)で、3~6歳の園児91人が下痢や腹痛の症状を訴え、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団感染が発生したと発表した。既に全員が快方に向かっているという。
 発表によると、症状の訴えは11月25日~12月4日にあり、中北保健所が調べたところ、園児ら9人からノロウイルスが検出。このため、同園は12月5、6日を臨時休園とした。県内で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎は今シーズン7件目。感染者はこれで212人(前年同期比1件84人増)となった。

大腸の内視鏡検診、受診者のがん死亡率 大幅減 indexへ

 大腸がんの内視鏡検診を受けた人は、受けなかった人よりも、大腸がんの死亡率が大幅に減ることが米ハーバード大学の西原玲子研究員らの分析でわかった。米ニューイングランド医学誌に掲載された。
 西原研究員らは、米国の医療従事者約8万9000人を対象に、1988年から2008年まで2年ごとに大腸の内視鏡検診を受けたか質問、12年まで追跡調査した。このうち1815人が大腸がんになり、474人が大腸がんで死亡した。
 大腸内視鏡検診を受けた人は、受けなかった人に比べ、大腸がんで死亡する危険性が68%低かった。直腸やS状結腸など大腸がんの約7割が発症する「遠位性」の大腸がんでは82%も少なかった。
 検診では一定以上の大きさのポリープが見つかると同時に切除するため、ポリープを切除した人は切除しなかった人に比べ、大腸がんの発症自体も43%少なかった。
 ただし、大腸がん内視鏡検査は数千~1万人に1人の確率で腸に穴が開き、10万人に1人程度死亡する危険がある。
 国立がん研究センターの斎藤博・検診研究部長は「技術が確かな大腸内視鏡の専門医による検査を個人的に受けることは大いに勧められる。ただ、通常の検診として行った場合、発生する不利益についての十分な情報はまだない。検診可能な医療機関も限られているため、現時点で大腸がん検診に組み込むのは時期尚早だ」と話している。

インフルエンザ、県内今季初の学年閉鎖…愛媛 indexへ

 愛媛県は4日、大洲市立菅田小学校の5年生(1学級)でインフルエンザの集団感染が発生し、5、6両日を学年閉鎖すると発表した。県内でインフルエンザによる学校での閉鎖は今季初めて。
 県健康増進課によると、同学級では36人中22人が発熱などの症状を訴え、うち11人からインフルエンザB型ウイルスが検出された。インフルエンザは今後、本格的な流行期となり、同課は「手洗いやうがい、部屋の乾燥を防ぐなど予防に努めてほしい」としている。

レーシック手術で遠視、失明も…健康被害80件 indexへ

 レーザー照射で視力を矯正する「レーシック手術」について、消費者庁と国民生活センターは4日、健康被害の情報が2009年度以降、計80件寄せられたと発表した。
 直接的な因果関係は不明だが、中には失明した例も1件あり、同庁は、手術を受ける時は十分にリスクを認識するよう注意を呼びかけた。
 被害は、レーザーで角膜を削りすぎて遠視になったという例が最も多く約3割を占めた。そのほかの症状は、乱視やまぶしさなど。「手術後2か月間、激しい痛みで寝たきりになった」「ドライアイで1時間に数回は目薬が必要になった」という訴えもあった。
 同庁が先月、手術経験者600人にアンケート調査したところ、視力に問題があった人が23%いた。光がにじんで見えたり、ドライアイが続いたりするなど視力以外の問題があった人は43%だった。

救急車の到着遅れ、下関市長「死因の一番でない」 indexへ

 山口県下関市消防局の救急隊が現場を間違って到着が遅れ、搬送者が死亡する事案が続いた問題で、同市の中尾友昭市長は2日、「極めて遺憾」と陳謝した。ただ、「救急車の遅れに(死亡の)原因が一番あるというわけではない」とも述べた。
 市消防局では、11月5日に指令センターのミスで、同16日には救急隊員の勘違いで、119番出動の現場到着が遅れるミスが相次いで起きた。ともに搬送した市内の男性が死亡した。
 中尾市長は2日の記者会見で、「短期間に不手際が発生し、極めて遺憾。消防業務全般の姿勢が問われている」と謝罪。その上で、「(到着遅れと死亡との)因果関係は、医学的な検証をしないと(判断)できない」と語った。

香港で初のH7N9型感染者…女性が重体に indexへ

 【香港】香港政府は2日夜、香港で家政婦として働くインドネシア人女性(36)が鳥インフルエンザ(H7N9型)に感染したと発表した。
 香港で感染者が確認されたのは初めて。女性は重体という。
 女性は11月17日、香港に隣接する中国広東省深センの市場で生きた鶏をさばいてもらった後、調理された料理を食べ、同日香港に戻った。21日に症状が出たという。同居する雇い主の家族6人のうち4人も軽い症状を訴えており、隔離して感染の有無を確認している。香港政府は深センからの生きた鶏の輸入規制を決めた。

HIV感染者の輸血、2人のうち1人は感染せず indexへ

 エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液が日本赤十字社の検査をすり抜け、患者2人に輸血された問題で、厚生労働省は29日、2人のうち、80歳代の女性はHIVに感染していなかったと発表した。
 もう1人の60歳代男性の感染が既に明らかになっており、問題の血液の輸血でHIVに感染したのは1人だったことが確定した。
 女性は今年2月に骨折で手術を受けた際、問題の血液を輸血されていた。

薬剤師着服、町長ら6人を減給処分 indexへ

 岩手県洋野町国民健康保険種市病院に勤めていた薬剤師の男性(52)が14年以上にわたって医薬品を東京の業者に転売し、代金約1億7000万円を着服していたとされる問題で、町は29日、病院を管理監督する水上信宏町長、日当博治副町長ら6人を減給処分にした。
 12月2日からは薬剤師の募集を始め、再発防止に向けた体制作りに取り組む。
 町議会臨時議会が29日開かれ、町は病院の管理監督責任者に対する処分として、特別職の職員給与を定めた条例について、町長、副町長を減給とする改正案を提出。議員17人が出席し、全会一致で可決された。処分は同日付。条例は12月1日に施行される。
 これにより、水上町長は来年1月28日の任期満了日まで減給10分の3、日当副町長は2月15日の任期満了日まで減給10分の2の処分となる。給与は水上町長が月額68万4000円から同47万8800円に、日当副町長が同57万3000円から同45万8400円に減額される。
 町は、病院の漆久保潔名誉院長と磯崎一太院長、事務長、元事務長の4人も、それぞれ減給10分の1(3か月)の処分とした。
 臨時会では、条例改正について異論はなかったものの、「問題の全容解明前の処分が適切か」「病院内の事務はどういう改善をしたのか」などと、質問が出された。
 町は病院の薬剤師を若干名募集するが、「(再発防止に向けて)2人は確保したい」としている。
「転売先」業者 関与を否定
 洋野町国民健康保険種市病院を巡る問題で、薬剤師の男性が医薬品の転売先と明かした業者は、読売新聞の取材に対し、「(男性との)取引はありません」と関与を否定した。
 業者は、「そもそも東北の人との取引はほとんどない」「額も額なので、(男性との)取引があれば覚えている」などと答えた。
 業者のホームページには、「秘密厳守」「どこよりも高く買います」などのうたい文句が並び、薬品や健康食品のリストが定価と共に明記されている。段ボールを利用した発送方法なども紹介されている。

抗がん剤アバスチン 副作用で2人死亡 indexへ

 厚生労働省は28日、抗がん剤「アバスチン」を使った患者2人が血小板が減り内出血しやすくなる「血栓性血小板減少性紫斑病」で、死亡したと発表した。
 同省は「薬との因果関係は否定できない」として製造販売元の中外製薬に指示して、薬の添付文書の副作用欄に血液異常への注意を促す記述が加わった。
 アバスチンは進行した大腸がんや肺がんなどの治療薬。年間推定4万3000人が使用している。
 2人は大腸がん患者で、いずれも2011年に死亡した。1人は投与終了から21日後に下血が起き翌日に、もう1人は投与終了から29日後に鼻血が出てその1か月後に亡くなった。

那賀病院、1億円過大請求 保険者や患者に返還へ…和歌山 indexへ

 和歌山県紀の川市打田の公立那賀病院(304床)は、診療報酬の請求に関してミスがあり、約1億円を過大に請求していたことを明らかにした。既に一部の患者らには返還を始めているという。
 同病院によると、ミスがあったのは2010年8月から12年5月までの入院に関する請求約1万3000件分。看護師を補助するヘルパーなどを一定の基準以上配置しているとして報酬を請求していたが、実際の人員は基準に当てはまらない状態だった。
 この基準は、夜勤時間帯も含めた24時間に対するものだったにもかかわらず、那賀病院では日勤時間帯の8時間に対するものと誤解していたためにミスが生じたとしている。近畿厚生局の指摘で発覚したという。
 同病院は、すでに今年8月から、一部の健康保険組合や入院患者らには過大請求分の返還を始めている。まだ返していない保険者や入院患者らに対しても金額などの確定作業を進めており、早ければ年明けにも返還を始めるという。
 同院の担当者は、「ミス発覚後、院内のチェック機能を充実させた。1円でも多く請求してしまった分は、できるだけ早く、必ずお返しする。二度とこうした事態のないように努めたい」と話している。

献血からHIV55件…輸血には使われず indexへ

 厚生労働省エイズ動向委員会は27日、今年1~9月に献血された約390万件の血液のうち、エイズウイルス(HIV)検査で陽性となった血液が55件あったと発表した。
 55件の血液はすべて廃棄され、輸血には使われていないが、日本赤十字社は2月に1件の血液が検査をすり抜けて患者2人に輸血され、1人がHIVに感染したことを、26日までに確認している。厚労省は「HIV検査を目的とする献血が、依然として続いている可能性がある」として、HIV検査は保健所などで行われる無料の匿名検査を利用するよう呼びかけている。
 エイズ動向委によると、今年9月までの献血数は390万8307件。献血のHIV検査の陽性率は10万件当たり1・41件で、国内でHIVの新感染者が見つかる割合より約2倍高い。昨年は1年間で68件検出され、陽性率は同1・29件だった。

HIV献血、検査目的か…60歳代輸血患者感染 indexへ

 エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液が2月に日本赤十字社の検査をすり抜け、患者2人に輸血された問題で、日赤は26日、うち1人がHIVに感染していたと明らかにした。
 2003年の輸血によるHIV感染を受け、日赤が04年に検査態勢を強化して以降、感染の確認は初めて。日赤は来夏までに、20人分の血液をまとめて調べる現在の検査を、1人分ずつ調べる方法に改めて検査精度を上げることを決めた。
 日赤などによると、問題の血液を輸血されたのは、2月に1人、10月に慢性消化器疾患で手術を受けた別の60歳代男性の計2人。感染が確認されたのは60歳代の男性で、もう1人の感染の有無は今後調べるという。
 献血したのは40歳代の日本人男性で、感染が発覚した今年11月までに計5回献血。このうち、11月の献血は日赤の検査でHIV抗体が検出されたため、輸血に使われなかったが、今年2月の献血では、血中のウイルス量が微量だったため、検査をすり抜け、計2人の患者に輸血された。
 HIVの感染初期は、血中のウイルス量が少なく、検査で発見できない期間があり、これがすり抜けの原因になった可能性が高い。日赤は1999年、ウイルスの遺伝子を増幅させて検出する高精度の「核酸増幅検査(NAT)」を導入したが、03年にNATをすり抜けた血液の輸血による感染が出た。日赤は検査精度を上げるため、50人分の血液をまとめて調べていた手法を04年から20人分に見直したが、来夏までに1人分ずつ調べることにする。

リレンザ有効期限、10年に延長…厚労省通知 indexへ

 厚生労働省は、抗インフルエンザ薬「リレンザ」の有効期限を、従来の7年から10年に延長することを認める通知を、25日付で都道府県などに出した。
 新型インフルエンザ対策用に国や都道府県が備蓄できる期間が長くなる。
 製造販売元のグラクソ・スミスクライン社が、適切に保管すれば10年間は品質に問題はないとの試験結果を厚労省に報告したことを踏まえた。新たな出荷分だけでなく、現在の備蓄分も期限延長が認められる。
 厚労省によると、備蓄されているリレンザは計905万人分あり、うち国による備蓄分59・5万人分が今年度中に期限切れになる見込みだった。この分の買い替えが不要になれば14・5億円を節減できるという。

HIV血液を2人に輸血…日赤の検査すり抜け indexへ

 エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液が、日本赤十字社の検査をすり抜け、医療機関で患者2人に輸血されていたことが分かった。
 厚生労働省と日赤はこの2人を特定しており、感染の有無を調べている。厚労省は26日午後、薬事・食品衛生審議会血液事業部会を開き、対応を協議する。
 2003年に起きた輸血によるHIV感染事例を受け、日赤が04年に検査態勢を強化して以降、HIV感染者の血液が輸血されたことが判明したのは初めて。
 厚労省や日赤によると、11月に献血した男性の血液から、HIVの抗体が検出された。この血液は輸血に使われなかったが、同じ男性が今年2月にも献血していたことから、日赤が保管していた検体を調べたところ、HIVの遺伝子が検出され、この血液が別々の医療機関で2人に輸血されたことが確認されたという。
 男性は献血時、「エイズ検査を受けるための献血ですか」など23項目の問診で、事実と異なる内容を回答していたといい、厚労省は検査目的の献血だった可能性があると見ている。
 検査は2段階で、ウイルスなどの抗体検査を1人分ずつ行った後、20人分の血液をまとめた高精度の検査をする。HIV陽性反応があった場合は、1人分ずつの血液を詳しく調べて特定する。今回輸血された血液は、2月の検査で陽性反応は出ていなかった。

70~74歳の医療費窓口負担、2割に戻す方針 indexへ

 政府は26日、現在は特例で1割に据え置いている70~74歳の医療費窓口負担について、2014年4月から本来の2割に戻す方針を固めた。
 13年度補正予算案に、引き上げに伴い市町村などで必要となるシステムの改修費を計上する予定だ。
 2割への引き上げは来年4月以降、誕生日を迎えて新たに70歳になる人が対象で、現在すでに70~74歳の高齢者は1割に据え置かれる。特例は今後、5年かけて廃止される。
 70~74歳の医療費窓口負担は、2008年の健康保険法などの改正で2割と決まったが、当時の自公政権が特例として1割に据え置いたことから、現在も特例が続いている。

難病患者、月負担2万円に…医療費上限引き下げ indexへ

 厚生労働省は、難病患者の医療費助成制度見直しに関し、患者の1か月の負担限度額を最大2万円程度とする方針を固めた。
 10月末にまとめた素案で最大4万円超とした限度額を引き下げ、患者の経済的負担を軽くするものだ。同省は2015年1月からの新制度実施を目指しており、政府・与党内の調整を経て、14年の通常国会に新法を提出したい考えだ。
 これに関連し、田村厚生労働相は24日、訪問先のソウル市内で記者団に対し、素案で年収に応じ6段階に分けた負担限度額について、「上限は自立支援医療制度並みにしていくことで最終調整している」と述べた。自立支援医療制度は、障害者の1か月の医療費負担限度額を2500~2万円(生活保護世帯は免除)と定めている。田村氏の発言は、これと同様に、難病患者の医療費の負担限度額も最大2万円程度としたい意向を示したものだ。

薬剤師不足、発注も1人で…岩手の病院「着服」問題 indexへ

 岩手県洋野町国民健康保険種市病院に勤めていた薬剤師の男性(52)(懲戒免職)が医薬品を東京の業者に転売し、代金約1億7000万円を着服していたとされる問題で、町は再発防止策として、薬剤師の増員など体制の充実を図る方針だが、早期に実施できるかは不透明な状況だ。男性は医薬品の発注や帳簿の管理などを1人で担い、不正が見逃されてきたが、県内では慢性的に薬剤師の不足状態が続いているからだ。
 厚労省や県のまとめによると、県内の薬剤師の人数は2123人(2010年末現在)。人口10万人当たりでは159・6人で、全国平均(同215・9人)を大きく下回り、全国45位だ。県内9保健医療圏でも、久慈保健医療圏(久慈、洋野、野田、普代の4市町村)は同77人で、最低レベルだった。
 町によると、同病院に男性が勤務していた約30年間で、01、02年を除き、薬剤師は男性1人だった。
 久慈保健所は毎年定例の立ち入り検査に基づき、薬剤師の確保に努めるよう同病院に文書で指導してきた。昨年までの過去5年間、同病院の薬剤師の必要人数は2人。町は募集していたが、応募はなかった。
 医療法では薬剤師の人員配置について、「著しく不十分で、適正な医療の提供に著しい支障が生ずる場合」にしか業務停止の対象とならず、同病院では長期間、1人の状態が続いた。男性はこれまでの取材で、「薬剤師がもう1人いればこういうことは起こせなかったかもしれない」と語った。
 薬剤師の求人・求職をあっせんしている県薬剤師会(盛岡市馬場町)によると、県内では20年ほど前から薬剤師不足の状態が続いている。昨年4~12月には病院や薬局約25施設から求人があったが、応募があった求職者は数人。藤谷明範事務局長(58)は、「多くが盛岡市周辺での仕事を求めており、沿岸部からの求人に対する照会はほとんどない」と、地域間格差を指摘する。
 八幡平市国民健康保険西根病院(八幡平市田頭)では、3、4年前に薬剤師1人が退職。今春に1人を採用するまで求人を続けたが応募はなかった。「待遇の良い民間の薬局などに流れたのでは」とみる。ただ、コンピューターで医薬品の在庫などを管理し、事務担当者が帳簿と照合する仕組みをとっており、「管理体制をしっかりしていれば、医薬品の無断転売は難しいはずだ」としている。
 ◇薬剤師の必要人数 入院患者数や外来患者の処方箋量などを基準に算定される。病院運営に必要とされる職員の種類や人数などが、医療法及び医療法施行規則などによって規定され、都道府県知事は人員確保や業務の停止などを病院開設者に命じることができる。

自信ない…新型出生前検査で陽性、53人中絶 indexへ

 妊婦の採血で胎児の三つの染色体の病気が高い精度でわかる新型出生前検査について、今年4月の導入から9月末までの6か月間で陽性の判定を受けた67人のうち、その後の羊水検査などで確定診断がつき、流産もしなかった54人中53人(98%)が人工妊娠中絶をしていたことがわかった。
 新型検査を受けた3514人の解析で、病気の診断がついた妊婦の多くが中絶を選ぶ結果となった。
 全31施設のうち29施設の医師らによる共同研究組織「NIPTコンソーシアム」の資料によると、新型検査で陽性と判定された67人のうち、羊水検査などの確定診断を受けたのは62人。2人はその前に流産し、3人は受けなかった。
 確定診断で、実際には病気でないと診断された人が6人いた。診断がついた56人では、2人が流産し、53人が「育てる自信がない」などの理由で中絶した。

「グロブリン」救済認めず、C型肝炎患者の請求棄却 indexへ

 薬害C型肝炎被害者救済法の対象ではない血液製剤「グロブリン」を投与され、C型肝炎ウイルスに感染したとして、大分市の男性(故人)が国を相手取り、同法に基づく給付金受給資格の確認と計200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、大分地裁であった。
 中平健裁判長は「グロブリンは救済法の対象外で、適用する余地はない」として、いずれの請求も棄却した。原告側は控訴する方針。
 救済法は、薬害C型肝炎訴訟の対象となった「フィブリノゲン」と「第9因子製剤」の2製剤による感染者を救済対象としている。2製剤以外の血液製剤で感染したとして、同法の適用を求めた初めての訴訟だった。
 中平裁判長は、各地で2製剤を対象に薬害C型肝炎訴訟が起こされ、国や製薬会社の法的責任が問われたことを背景に救済法が成立した経緯を指摘。そのうえで「救済法は対象の血液製剤を明確に限定しており、他の製剤を想定した規定はない。仮に、グロブリンに感染の危険性があっても、救済法の適用理由にはならない」と判断した。

心のケア無策、企業の半数近く indexへ

 熊本労働局が従業員30人以上の県内企業を対象に行った調査で、半数近くが従業員のメンタルヘルス(心の健康)について対策を立てていないことが分かった。
 同労働局は「問題が起きてからでは間に合わない。早急に対策を取ってもらいたい」と呼び掛けている。
 調査は5~8月、3468社にアンケート用紙を送り、2785社(80・5%)から回答があった。回答した企業の内訳は、従業員50人以上が1261社、30~49人が1524社だった。
 調査では、まず、メンタルヘルスの不調による休職者の有無を質問。7・9%の220社で347人おり、1人当たりの平均休職日数は226日だった。前回調査(2011~12年)時は15・5%の193社で314人が休職中で、平均休職日数は171日だった。
 「メンタルヘルス対策に取り組んでいるか」の質問では、「はい」が53・6%、「いいえ」が46・1%。企業規模別で「はい」と答えた割合は、従業員50人以上が72・7%、同30人~49人は37・8%だった。
 「いいえ」とした企業に理由を複数選択で回答してもらったところ、「問題が発生していない」「取り組み方が分からない」「多忙である」の順で多く、58・5%は「今後も対策を取らない」と回答した。
 熊本労働局は、17年度までに、メンタルヘルス対策に取り組む割合を50人以上の企業は100%、30~49人の企業は80%以上にする計画を立てている。
 同労働局健康安全課の源川慎一衛生専門官は「このままでは計画達成は厳しい。取り組みが不十分な企業には訪問指導をするなどして、職場環境の改善につなげたい」としている。

一般病棟に長期入院 制限…厚労省案 indexへ

 厚生労働省は20日、がんや人工呼吸器を着けている患者などが、看護師が手厚く配置された病棟に長期入院するのを制限するため、診療報酬の算定方法を見直す案を中央社会保険医療協議会に示した。救急患者などの入院を優先させる狙いがあり、2014年度の診療報酬改定で実施する。
 診療報酬の入院基本料は、患者7人につき1人の看護師を配置している一般病棟(7対1の病棟)で最も高く、患者の平均入院日数は18日以内と定められている。
 長期入院の患者が多ければ平均日数が基準を超えるが、がんや難病、人工呼吸器の装着などの「特定除外項目」に該当し、入院日数が90日を超える患者については、平均日数の計算から外してきた。
 厚労省は今回、この制度を廃止する。同時に、がん患者などの受け入れ態勢を整える必要があるため、長期療養できる病棟を増やす方針だ。

肺炎球菌新ワクチン接種…市が全額助成 indexへ

 群馬県安中市は20日、4月から定期接種になった小児用の肺炎球菌ワクチンで、より広範囲の肺炎球菌に対応する新ワクチンを追加で接種した場合、全額を補助すると発表した。県保健予防課によると、こうした措置は、県内の市町村では初めてという。
 ワクチンは、乳幼児の死亡につながりかねない細菌性髄膜炎の予防が目的。原則無料で受けられる定期接種は、生後2か月~5歳未満が対象だが、多くは1歳半までにかかるため、生後7か月までに初回の接種をし、15か月までに計4回の接種が勧められている。
 現行のワクチンは、肺炎球菌でも感染頻度の高い7種類の型の感染を予防するが、11月から接種が始まった新ワクチンは13種類の型に対応する。
 新ワクチンについて、厚労省は希望者が自費で行う任意接種としているが、同市は追加接種によって肺炎球菌への十分な免疫が期待できると判断。定期接種の規定回数を完了した約650人を対象に、市内の指定医療機関で行う追加接種費用を全額助成することを決め、12月補正予算案に689万円を計上する。期間は12月24日から来年3月末まで。それ以前に接種した場合、領収書を添えて申請すると1万1000円を上限に償還払いする。

衛星使い災害時通信訓練…県医師会 indexへ

 香川県医師会は20日、南海トラフ大地震を想定し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超高速インターネット衛星「きずな」を使って被災状況や負傷者の情報を日本医師会とやりとりする訓練を実施した。
 四国や東海地方の太平洋側が津波被害を受け、通常の通信回線が機能停止に陥ったとの想定。JAXA職員の協力で、高松市浜ノ町の県医師会館にアンテナを設置し、きずなを通じた超高速通信で、太平洋側に災害医療チームを派遣するための交通状況を報告したり、避難所の情報を共有したりした。森下立昭会長は「東日本大震災でも通信の確保が課題になった。多様な手段を準備していきたい」と話していた。
 今回の訓練は、今年1月にきずなを用いて災害医療支援を進める協定を結んだ日本医師会やJAXAが主催。兵庫、愛知の各県医師会も参加した。

園児28人ノロウイルス…奈良 indexへ

 奈良市保健所は19日、同市西大寺国見町の奈良大付属幼稚園で4~6歳の園児28人が7~18日に嘔吐(おうと)や腹痛の症状を訴え、うち2人からノロウイルスを検出したと発表した。
 全員軽症で、快方に向かっているという。同幼稚園は感染者が多い5歳児の1クラスを20日まで学級閉鎖する。
 県によると、県内で今秋、ノロウイルスの集団感染を確認したのは初めて。担当者は「感染防止のため、手洗いやうがいの励行を」と注意を呼びかけている。

妊娠前女性に推奨の風疹ワクチン、効果不十分? indexへ


 昨年から流行が続く風疹予防のワクチンを接種しても、4~8割で十分に抵抗力がついていない恐れがあるとの調査結果を、国内二つの不妊治療クリニックがまとめた。
 16日、神戸市で開かれる日本生殖医学会で発表する。妊娠前の女性はワクチン接種で抵抗力をつけることが推奨されており、今後、さらなる検証が必要になりそうだ。
 調査は高崎ARTクリニック(群馬県)、岡山二人(ふたり)クリニック(岡山県)が実施。ウイルスへの抵抗力を示す血中物質の量の指標(抗体価)が、日本産科婦人科学会が定める基準値以下の女性受診者を対象にワクチンを接種してもらい、4~8週間後の変化を調べた。

肥満症治療薬「効果乏しい」、薬価判断持ち越し indexへ

 武田薬品工業が製造販売の承認を受けた新しい肥満症治療薬に対し、中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)は13日、「効果や必要性が乏しい」などとし、薬価を決める判断を持ち越した。
 1回で結論が出ず、薬の効果を巡り、中医協の議論が継続されるのは極めて異例。
 この薬は「セチリスタット」(商品名オブリーン)。武田薬品によると体内で脂肪を分解する酵素が働かないようにし、脂肪の吸収を抑えて体重を減らす効果がある。肥満で、糖尿病と脂質異常症の人に適用される。約200人を対象に1年間行った試験では、体重減少の効果が2%程度だった。今年9月、厚労省から製造販売承認を取得した。
 製造販売が認められた薬は、中医協で薬価を決めるかどうか議論し、承認されれば保険適用される。しかし、13日の中医協では、「体重100キロ・グラムの人なら2キロしか減らない。必要ない」「(関連学会は『病気』としているが)そもそも肥満症は病気なのか」などの意見が相次いだ。

地域医療へ影響懸念、徳洲会3法人認定取り消しも indexへ

 国内に66の病院など280超の医療・福祉施設を擁する医療グループ「徳洲会」。今回の事件で地域医療への影響を懸念する声も上がっている。
 徳洲会は、税制上優遇される社会医療法人と特定医療法人の計3法人を抱える。都道府県が認定する社会医療法人は法人税と固定資産税などが非課税になり、国税庁が承認する特定医療法人は法人税が軽減されるが、違法行為がないことなどが条件。今回の事件で、認定取り消しの可能性も浮上している。
 特定医療法人「沖縄徳洲会」の与論徳洲会病院(鹿児島県与論町)は、鹿児島市から約540キロ離れた与論島で離島医療を担う。約5500人が暮らす島には四つの医療機関があるが、昼夜問わず救急搬送を受け入れているのは同病院だけで、ベッド81床は常にほぼ満床状態。地元の消防本部によると、昨年の救急搬送187件のうち186件が同病院に搬送された。与論町職員は「事件で認定が取り消されれば、入院患者は那覇まで行くしかなくなる」と危機感をにじませる。

医療機関 158件、消防法違反…岩手 indexへ

 福岡市博多区の有床診療所で入院患者ら10人が死亡した火災を受けて、岩手県内全12消防本部が管内の医療機関計828棟で緊急点検を実施した結果、158件の消防法違反が見つかったことが13日、分かった。
 各消防本部は、違反箇所の改善を指導したほか、福岡の火災を教訓に、医療スタッフの少ない夜間を想定した避難訓練の実施も呼びかけている。
 各消防本部では、10月11日以降に点検を実施した。
 盛岡消防本部によると、同法で定められている消火器やスプリンクラーの設置報告義務を怠っていたケースなど、消防・防火設備関係での違反が51件と最も多かった。一関消防本部管内では、福岡の火災で被害拡大の原因とみられている防火扉の不具合に関するもので、防火扉が変形して完全に閉まらないケースが1件あったという。
 各消防本部によると、同法で義務付けられている年2回以上の避難訓練を行っていない医療機関が目立ったほか、同法違反ではないものの、訓練が夜間の火災を想定をしていないケースが多いという。福岡のような惨事につながりかねないことから、各消防本部では医療機関に夜間を想定した訓練の実施を求めている。
 盛岡消防本部予防課の伊藤達彦係長は、「消防設備が適切な状態にあるかどうかを常に確認することが重要。冷え込みも厳しくなってきたので、灯油の取り扱いにも注意してほしい」と話している。

生後間もない男児、MRSAの院内感染で死亡 indexへ

 岐阜県総合医療センター(岐阜市)は、生後間もない男児が今年8月にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の院内感染で死亡したと11日発表した。
 感染が広がる恐れがあるため、早産による未熟児らを治療するNICU(新生児集中治療室)や、妊婦搬送の受け入れを中止した。
 同センターによると、男児は8月6日、超低出生体重児として生まれ、NICUに入ったが、肺炎を発症。同24日、男児の口につないだチューブからMRSAが検出され、抗生物質を投与したが、同28日、死亡した。死因は、病理解剖の結果、MRSA肺炎と断定された。
 NICU内では、ほかの新生児への感染もわかり、このうち2人が先月発症したが、いずれも回復したという。

68医療施設 防火に不備…山形 indexへ

 入院患者ら10人が死亡した福岡市の有床診療所の火災を受けて、山形県内の消防本部が病院などの医療施設を対象に実施した立ち入り検査で、全121施設の半数以上が消防法令に抵触するなどとして是正指導を受けたことが、読売新聞の調べで分かった。
 避難口の扉が開閉しにくくなっていたり、ボイラー室に段ボールが置かれていたりするなど、医療施設の防火体制のあり方が問われそうだ。
 福岡市の診療所火災では、当時の防火管理者が高齢のため、消防から交代するよう指導を受けていたり、防火扉が作動しなかったりするなど、複数の問題が判明している。今回の立ち入り検査は、病院・診療所などにおける法令違反の実態把握と是正を求めるのを目的に、総務省消防庁から全国の消防機関に出された通知に基づいて行われた。
 県内の全12消防本部は病院や有床診療所(20床未満)を対象に、▽防火管理者が適切に置かれているか▽訓練がきちんと行われているか▽防火扉や避難口などに不備はないか――などについて重点的に調べた。
 その結果、56%にあたる68施設で消防法令に抵触する可能性のあることが分かった。
 酒田地区広域行政組合消防本部(酒田市、遊佐町、庄内町)管内の大規模病院は、避難口の扉の開閉が困難だとして直ちに是正するよう文書で指導を受けた。同本部は「避難口は複数あるが、夜間などに火災が発生した場合、混乱も予想される」と問題視する。
 北村山地方の公立診療所では、昨年度に異動した職員を防火管理者に充てたままにし、今年度は「不在」の状態だった。また、ボイラー室に段ボールなどが置かれ、消防本部は「高温状態になる部屋に可燃物が置かれ、火災が発生しやすい状況だった」と指摘する。
 各消防本部によると、スプリンクラーの設置義務違反など「重大な違反」はなかったものの、▽避難経路に荷物などが置かれて通行が困難▽カーテンが防炎性能を持っていない▽立ち入り検査時に年2回の避難訓練が行われていない――といったケースが大半を占めた。
 総務省消防庁の通知に検査項目が示されていないため、「コンセントを一つずつ丁寧に見回り、外れかけているところがあれば即指導した」(置賜広域行政事務組合消防本部)という例もあった。
 同庁では現在、小規模の有床診療所にもスプリンクラーの設置を義務付けるべきかどうか、有識者らを交えた議論を進めている。ただ、防火扉に一部不備があるとして、今回の検査で指導を受けた村山地方の開業医の男性は「設備投資にも限度があり、国の補助がないと厳しい」と漏らした。

結核発症の歯科医、患者280人診察 indexへ

 山口県は6日、同県宇部市内の歯科診療所の女性歯科医師(30歳代)が、肺結核を発症した状態で患者を診察していたと発表した。
 発表によると、歯科医は8月11日にせきの症状が出始め、9月中旬に悪化。医療機関の検査で10月17日に陽性の判定が出たため、翌18日に入院した。歯科医は2か月余りの間に、乳児や高齢者ら計280人を診察していた。県は全員を対象に説明会を開き、3回以上診察を受けた76人と、発病しやすい乳幼児ら18人について、12月中旬までに健康診断を行う。
 歯科医の家族や勤務する診療所の職員18人に結核症状は出ていないという。

薬ネット販売の監視強化へ…無届け、偽造品対策 indexへ

 政府は6日、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売を来春から原則解禁する法改正を行うことを踏まえ、無届けのネット販売業者や、偽造医薬品の販売サイトの監視態勢を強化する方針を固めた。
 これまで厚生労働省の担当職員が行っていた販売サイトの監視を民間業者に委託し、問題のあるサイトの発掘に集中的に取り組んでもらう。省令を改正し、市販薬を扱うすべてのネット販売業者には都道府県への届け出を義務づけ、問題のある業者への指導も行う。
 厚生労働省は「ネット販売は対面販売より安全性に問題がある」との立場で、安全対策を充実させる必要があると判断している。
 これに関連し、市販薬のネット販売の全面解禁を求めてきた楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日、東京都内で記者会見し、政府が「劇薬」5品目の販売を禁止したことなどについて、「ネット販売を規制する科学的根拠はなく、時代錯誤も甚だしい。(首相には)期待していたが、立法化されるなら司法の場で争う」と述べ、新ルールが法制化される場合、政府の産業競争力会議の民間議員を辞任するほか、裁判で争う考えを表明した。

「さい帯血」バッグ破損、全国で33件見つかる indexへ

 厚生労働省は6日、白血病患者などに移植される「さい帯血」の保存用バッグの破損が、全国で計33件見つかったと発表した。
 調査対象は全国八つの「さい帯血バンク」と、さい帯血移植を行う209病院で、同省は同日、これらの施設に対し、バッグを慎重に取り扱うよう通知した。
 同省によるとバッグはポリ塩化ビニール製。今年8月、「兵庫さい帯血バンク」でバッグの破損が見つかったことを受け、2010年4月1日から今年9月3日までの破損事例を調査した。
 その結果、さい帯血バンクで17件、医療機関で16件の破損が見つかった。バッグに何らかの力が加わったことなどが原因。医療機関で見つかった分は、いずれも移植に使われたが、健康被害は確認されていない。

医療法人による海外での病院運営容認へ…厚労省 indexへ

 厚生労働省は6日、医療法人による海外での病院運営を認める方針を決めた。
 医療法人に海外事業の報告を義務づけるなどの規定を設け、今年度内にも制度を導入したい考えだ。政府が成長戦略の柱の一つとして掲げる「医療の国際展開」の一環で、各医療法人は現地で自前の資産や技術を使いやすくなり、海外進出が加速すると期待される。
 医療法人の海外展開は、現地の法人に出資をしたうえで、病院運営に関わる枠組みが想定される。そこで厚労省は、出資額を医療法人の剰余金の範囲内にするなどの制限を設け、出資先の現地法人が仮に破綻して損失が生じても、国内の病院運営への悪影響を最小限に抑えられるようにする。
 現地での医療の質を確保するため、厚労省は毎年、医療法人から事業内容の報告書の提出を求め、問題が起きた場合には改善を求める方針だ。

16医療施設が防火扉違反、北九州市が是正指導 indexへ

 福岡市博多区の有床診療所「安部整形外科」の火災を受け、北九州市は6日、所管する有床診療所(19床以下)134施設と病院90施設を対象にした緊急点検の結果を明らかにした。診療所12施設、病院4施設の計16施設で、防火扉について建築基準法違反が確認され、市は是正するよう指導した。
 市によると、扉の開閉に必要な器具が取り外されていたり、医師や職員が通行するため扉を開けたままにしていたりしたケースがあった。
 また、消防法で定められた消防用設備の点検を実施していない医療機関が17施設、消防訓練の未実施も33施設に上った。緊急点検は入院設備を持つ医療機関に対して10月11~31日に実施した。

スプリンクラー、有床診療所94%未設置 indexへ

 福岡市博多区の有床診療所「安部整形外科」で入院患者ら10人が死亡した火災に関連し、全国有床診療所連絡協議会(事務局・福岡市)は5日、防火体制に関する加盟診療所へのアンケート調査で「94%がスプリンクラー未設置」などとする中間報告を発表した。
 このうち25%が、設置が義務化されれば病床の廃止を検討するとの意向を示しているという。総務省消防庁などが7日に開く再発防止策の検討部会に提出する。
 アンケートは10月21~31日に実施。全国の有床診療所など3259施設のうち、回答が届いた803施設分をまとめた。
 このうち、757施設がスプリンクラーは未設置と回答した。未設置の施設に設置が義務付けられた場合の対応を尋ねたところ、101施設(13%)が「設置する」、435施設(57%)が「補助金があれば設置する」と回答。188施設(25%)が「病床の廃止を検討する」とした。

トリアージタグ改善へ…救急医学会が検討 indexへ

 災害や事故現場で負傷者の重傷度を色分けして識別する「トリアージタグ」の様式に不備があるとして、見直しを求める声が上がっている。
 現行の様式では妊婦の識別欄がないほか、色覚異常がある人は色の違いを判別しにくい場合があるためだ。日本救急医学会は改善に向けた検討に乗り出した。
 トリアージタグは治療の優先順位を示す札で、氏名や性別、搬送先などの記載欄があり、原則、右手首に付ける。4色に分類され、黒は「死亡か救命の見込みがない状態」、赤は「最優先で治療が必要な重傷」、黄は「すぐ治療しなくても生命に影響はないが処置が必要」、緑は「軽傷」。
 東日本大震災をきっかけに、タグの不備も問題視されるようになった。
 支援活動に関わった産科医からは、震災時、被災妊婦の居所がわからず支援が難航し、妊婦の識別欄が必要との声が上がった。識別できないと、エックス線検査を避けるなど胎児への影響に配慮できない懸念もある。
 交通事故現場でも、けががなく治療対象にならなかった妊婦の容体が後に悪くなり胎児が死亡した例があるという。日本産科婦人科学会は今年7月、識別欄を設けるよう日本救急医学会に要望した。

新型出生前診断、慶大が検査の精度を調査へ indexへ

 妊婦の採血で胎児の三つの染色体の病気の可能性がわかる新型出生前診断について、慶応大学が、日本人を対象にした検査の精度を調べる国内初の研究を行うことがわかった。
 生まれた子どもの染色体検査を行い、診断結果が正しいかどうかを確かめる。
 新型検査は、一昨年秋、米国で開発された。国内では今年4月から、日本医学会が認定した施設に限り、臨床研究として行われている。これまで、認定を受けた施設ではすべて、検査の特徴の説明などを行う遺伝カウンセリングの問題点を検討する目的だった。
 新型検査では、医療機関で妊婦から採取した血液を米国の検査会社に送り、胎児の病気の可能性を判定した結果が送られてくるが、日本人を対象にした精度の検証はこれまで行われていなかった。

在外被爆者医療費拡充へ…厚労省、国内並みに indexへ

 海外に住む被爆者への医療費補助について、厚生労働省は1日、助成制度を拡充する方針を決めた。
 大阪地裁で先月24日、在外被爆者の自己負担分全額支給を認めた判決が出たことを受けた対応。現在、年間約18万円を上限としている助成額を引き上げるなどして、国内の被爆者の水準に近づけたい考え。1日の閣議後の記者会見で田村厚労相が明らかにした。
 国内の被爆者への医療費助成は、被爆者援護法に基づき、国などが医療費を全額負担する仕組みだが、在外被爆者について明確な規定はない。
 2004年度からは在外被爆者に医療費を助成する制度を始めたが、今年は年間17万9000円(連続4日以上の入院の場合は19万1000円)の上限があり、現在、医療費が支給された韓国など在住の被爆者約3100人の約3割は上限額を超える医療費を負担している。

子の難病支援で見直し案…月負担最高2万円超 indexへ

 難病などを患う子供の支援制度の見直しを行う厚生労働省は1日、月額の負担限度額を世帯年収別に6段階に設定するなどとした素案を、専門委員会に提示した。
 毎月の負担限度額は最高で現行より高額の2万円超となり、対象は現在の514の病気より80~100程度増やす考え。児童福祉法を改正し、2015年1月の新制度施行を目指す。
 現在の助成制度は、医療費の負担割合を原則3割とした上で、年収別に毎月の自己負担限度額を設定。重症者は、負担が免除されている。
 素案では、患者の医療費の負担割合を2割とする。月額の負担限度額は、年収の目安が80万円までは1500円、80万~200万円は3000円、200万~430万円は6000円、430万~630万円は1万2300円、それ以上は2万2200円(いずれも夫婦と子供1人の場合)。6段階のうち生活保護世帯は免除とする。

口腔ケア がん患者に効果 indexへ

 口内を清潔に保つ口腔(こうくう)ケアをがん患者らに行うことで、合併症を防いだり、入院日数が減ったりするなどの効果が見込まれるとの調査結果がまとまった。
 調査チームを率いた信州大付属病院は県歯科医師会と連携し、在宅療養のがん患者が自宅近くの歯科医院などで口腔ケアを継続して受けられるような態勢づくりに乗り出す。
 口腔ケアとは、虫歯を治したり、歯垢(しこう)を除去したりして口の中を清潔に保つこと。がん患者の場合、抗がん剤や放射線治療の副作用で口内が荒れやすい。口内を清潔に保たないと細菌が増え、細菌が血液に入る「菌血症」や肺炎などの合併症を引き起こしやすい。
 調査チームは、信大付属病院のほか相沢病院(長野県松本市)、長野市民病院の歯科医らで構成。2011~12年度に、3病院に入院するがん患者を対象に行った。
 信大付属病院が食道がん患者に手術前から口腔ケアを実施したところ、しない場合と比べ、術後の絶食期間が18・8日から13日に、入院日数も32・8日から25日と約1週間短くなった。
 相沢病院の調査では、術後の合併症発症率が、実施しない場合に比べ32・2%から4・3%に低下。長野市民病院の調査では、口内の粘膜炎が原因で化学療法をやめなければならない患者の割合が減った。
 チームリーダーの信大医学部の栗田浩教授(50)は「がん治療と並行して口腔ケアを行うと、回復が早まり、合併症のリスクも減らせるという貴重なデータを得られた」と話す。
 県歯科医師会と信大付属病院は、同病院のほか県内七つの「がん診療連携拠点病院」でも口腔ケアの取り組みを広げていく方針。歯科医師会の笠原哲三歯科医師(56)は「県内全域で口腔ケアの大切さについて意識を高め、患者のQOL(生活の質)の向上が図れれば」と期待している。

消防車や救急車 メールで出動 indexへ

 飯田広域消防本部(長野県飯田市)は12月3日から、耳や言葉の不自由な人が、携帯電話やスマートフォンからメールで消防車や救急車の出動を要請できる「メール119」の運用を始める。通報者には受信したことがメールで知らされる。
 管内の14市町村の福祉担当窓口や各消防署で11月1日から、利用登録を受け付ける。登録者には、消防本部が緊急通報を受けるメールアドレスが通知される。
 メールを送信する際は、件名に「火災」か「救急」かを入力。火災の場合、場所(番地を含む住所、目標物)、何が燃えているか(家、車、土手、山林など)を、救急の場合、けがや病気の内容、年齢、かかりつけの病院や既往歴などを書き込んで送る仕組み。
 同消防本部はこれまで、耳や言葉が不自由な人からファクスで緊急通報を受けつけている。このファクス通報は今後も運用を続けるが、「メールが普及し、場合によっては手書きよりもはやく送信できる人がいることや、対応できる環境が整ったため導入することにした」(警防課)という。
 県内ではすでに、長野市消防局や松本広域消防局などで同様の取り組みが行われている。送受信に必要な費用は利用者負担となる。
 登録できるのは、飯田下伊那地方に居住、通勤、通学している人に限られる。
 問い合わせは、飯田広域消防本部(0265・23・0119)へ。

インフルワクチン接種副作用、80歳代女性死亡 indexへ

 厚生労働省は30日、昨季(昨年10月~今年3月)のインフルエンザワクチン接種による副作用で、80歳代の女性が死亡したと発表した。
 同省によると、女性は接種後、血小板が減り内出血しやすくなる「特発性血小板減少性紫斑病」を発症した。接種から発症まで短期間であることなどから、病気の発症は接種と関連があると専門家会合で判断された。
 昨季に同ワクチンの接種を受けた人は推定で延べ5024万人という。

子宮頸がんワクチン、143件の重い副作用報告 indexへ

 子宮頸がんワクチンの接種後に重い副作用が出ている問題で厚生労働省は28日、今年4月から7月末までに143件の重い副作用報告があったことを明らかにした。
 同日開かれた有識者会議で報告した。
 主な副作用は、関節の痛みや歩行障害など。報告数には4月以前に接種した人も含まれる。接種との因果関係は、はっきりしない。

保育施設で睡眠中死亡、6割うつぶせ…読売調査 indexへ

 全国の保育施設で2008~12年の5年間に発生した死亡事故のうち睡眠中の事故が8割に上り、このうち、「うつぶせ寝」の状態で発見されたケースが6割近くを占めたことが、読売新聞の調査で分かった。
 第三者を交え事故の検証が行われたのは全体の1割に満たなかった。厚生労働省がうつぶせ寝を避けるように指導しているにもかかわらず、事故が繰り返されている。
 調査は、国や自治体に報告があった62件の死亡事故について、事故が起きた施設を所管する自治体を対象に9~10月に実施、事故発見時の子供の状況や死因などを聞いた。
 62件のうち、睡眠中の事故が49件を占めた。発見時の姿勢は、うつぶせが最も多く28件で、あおむけが12件だった。
 死因の内訳は、乳幼児突然死症候群(SIDS)またはその疑いが20件、死因不明が8件、窒息またはその疑いが5件など。
 国の保育指針では、SIDS予防のためにうつぶせ寝を避け、十分配慮するよう指導している。読売新聞が情報公開請求で入手した個別事例の報告書を見ると、保育者が子供をうつぶせにして寝かしつけたり、睡眠中の見守りが不十分だったりしたケースがあった。一方、事故当時の保育士の勤務状況などについて、第三者を交えた委員会を設けて検証したケースは4件だった。委員会を設置しなかった理由として「死因が特定されていない」「検証委員会設置の規定がない」などが挙げられた。

ドクターヘリ出動272件…導入1年、定着進む indexへ

 新潟県のドクターヘリの運用が始まって30日で1年になる。9月末までの出動件数は272件に上るが、天候不良や積雪などの影響を受ける冬季の運用や、南北に長い県土をカバーする2機目の導入なども課題になっている。
 県はこれらの課題を克服するため、関係機関で構成する検証部会を設置し、年内に結果を取りまとめる考えだ。
 県医務薬事課によると、ドクターヘリは、午前8時半~午後5時半(冬季は日没)まで運用されており、9月末までの約11か月間に382件の出動要請があった。4月~9月の183日間の出動件数は204件で、1日1件以上出動したことになる。9月は最多の55件の要請があるなど、着実に定着が進んでいる。
 382件のうち110件は出動できず、出動率は71%だった。出動できなかった理由は、強風や視界不良などの「天候不良」が半数近い51件を占め、「時間外」が21件、「出動中」「キャンセル」が各19件だった。「天候不良」は12月と1月の2か月間だけで25件に達し、冬場に突出して多かった。
 県は、ヘリが常駐する新潟市中央区の新潟大医歯学総合病院から100キロを超える糸魚川市や南魚沼市、湯沢町などの地域をカバーし、出動中の要請にも応えるため、2機目の導入を検討している。
 同課によると、ドクターヘリは6月現在、35道府県で導入されているが、複数機を運用しているのは、北海道、千葉、静岡、長野、青森の5道県のみ。国と県が折半する年間約2億1000万円の運営費のほか、搭乗する医師の確保が最大の課題になっている。
 また、冬場の問題としては、学校グラウンドなど722か所ある着陸場のうち、雪が降っても安定的に使える場所が108か所にとどまっていることも挙げられるという。
 泉田知事は「出動要請は右肩上がりで増えている。基地から100キロを超えるエリアへの対応、冬季の着陸場の確保など、実際に運用に当たっている方の意見を聞いて対応にあたっていきたい」と話している。

新型インフルワクチン、2500万人分供給不足 indexへ

 強い毒性と感染力を持つ新型インフルエンザが流行した際に、全国民に接種するワクチンの製造を行う4業者のうち1業者が開発を断念したことを受けて、厚生労働省は製造業者を追加募集していたが、条件を満たした業者はなかったと24日発表した。
 同省は今年度中にワクチン供給体制を整える予定だったが、当面、2500万人分の供給ができない状況となった。同省は再度の追加公募を含め対応を検討する。
 同省によると、追加公募には2業者が応募した。しかし、決められた事業期間に生産できる体制を作ることなどの条件を、ともに満たせなかった。
 インフルエンザワクチンの製造には現在、2年弱かかるが、同省は今年度中に新たな製造法を開発し、半年に縮める計画。撤退した業者を除く3業者は、計1億500万人分を作れるように開発を進めている。

「多剤耐性結核菌」感染、世界で17万人死亡 indexへ

 【ジュネーブ】世界保健機関(WHO)は23日、2012年に世界全体で結核にかかった患者が860万人に上ったとする推計を発表した。
 このうち130万人が死亡したという。また、結核治療薬が効きにくい「多剤耐性結核菌」感染者は45万人を数え、うち17万人が死亡した。
 WHOによると、結核感染者が全体として減少傾向にある中で、多剤耐性結核菌感染による死者が4年前より2万人増えた。WHOは、多剤耐性結核菌への対応の不備は「公衆衛生上の危機」にあたると警告し、治療薬の供給体制などを緊急に整える必要があると強調している。

ディオバン、服用推奨薬を維持…日本高血圧学会 indexへ

 日本高血圧学会は23日、高血圧治療薬「ディオバン」について、来年4月に改訂する治療指針の中で、引き続き服用を推奨する薬とする方針を決めた。
 データの改ざんが判明したり、疑われたりしている臨床研究を除外しても、他の研究を総合すると、推奨を維持すべきだと判断した。24日から大阪市内で始まる学会の総会で議論し、最終決定する。
 指針作成委員会の島本和明委員長(札幌医大学長)が23日、報道陣に明らかにした。改訂指針の原案では、血圧を下げる仕組みの異なる4種類の薬を、服用を推奨する「第一選択薬」とし、その一つにディオバンが含まれている。国内外の研究を踏まえて作られる指針は、医師が治療したり、薬を選んだりする際、参考にする。4年前に改定された現行指針の発行部数は25万部。

新病棟空調に気化式導入…三重大病院 indexへ

 三重大学は22日、昨年1月に開院した大学病院新病棟の空調設備に全国の医療福祉施設で初めて、銀イオン殺菌技術を使った「気化式加湿方式」を導入したと発表した。
 旧病棟で使用していた「蒸気式加湿方式」に比べ、エネルギー消費量を76%削減できるという。
 一般社団法人「日本医療福祉設備協会」(東京)が定める「病院設備設計ガイドライン」では、空調機内の微生物繁殖を抑制できるとして、蒸気式が推奨されている。
 しかし、蒸気式は配管からの放熱などに伴うエネルギー消費量が多く、同大病院では年間エネルギー消費量の約半分を空調設備が費やしていた。
 同大は省エネルギーに取り組むため、一般的な事務所ビルなどで使用されている気化式を新病棟に導入。同大などによる実証試験では、殺菌作用のある銀イオンを含む水を気化させることによって、蒸気式と同様に微生物の繁殖を抑制することができた。
 同大の試算では、気化式の導入により、新病棟の空調にかかる加湿シーズン(11~3月)のコストを2508万円から1028万円に節約できるという。

滋賀医大 看護師が結核発症 indexへ

 滋賀医大(大津市)は22日、付属病院の新生児回復期治療室(GCU)と小児科外来に勤務する30歳代の女性看護師が結核を発症したと発表した。今のところ、看護師が接した患者や病院職員ら約840人に結核とみられる症状を訴える人はいないという。
 発表では、看護師はせきなどの症状があったことから呼吸器系の専門病院を7月~10月上旬に計3回受診。レントゲン検査などを受け、異常なしと診断された。症状が続くため10月11日に改めて受診したところ、結核の陽性反応が確認された。
 看護師が8月以降に病院内で接した患者や付き添いの家族約700人のうち、50人はGCUに入っていた1歳未満の乳児だったが、看護師は業務時にマスクをつけており、病院は「大規模に感染が広がっている可能性は低い」としている。
 同病院の松末吉隆・副病院長は「患者さまに多大な心配をおかけし、おわびしたい」と陳謝した。

医師・医療機関に製薬業界から4700億円提供 indexへ

 製薬業界から2012年度に国内の医師や医療機関に提供された資金の総額は4700億円を超えることがわかった。
 国の医療分野の研究開発予算1700億円の2・7倍に上る。
 医学研究の発展のためには産学連携が不可欠だが、高血圧治療薬「ディオバン」の研究データ改ざん問題では、背景に企業との不透明な関係が指摘された。専門家は「資金提供の透明化が必要」と指摘する。
 主要な製薬企業70社で作る日本製薬工業協会の指針に基づき、10月上旬までにホームページで初めて金額を自主公表した65社分を読売新聞社が集計した。
 公開された金額は、各社が大学などの研究機関や医師に支払った〈1〉共同研究などに使われる研究・開発費〈2〉寄付金などの学術研究助成費〈3〉講師謝礼や原稿料など〈4〉医師向けの講演会、説明会などの情報提供関連費〈5〉飲食や中元歳暮などの接遇費。
 項目別で最も多かったのは研究・開発費で計2438億円。その4分の3は、薬の承認を得るために行う治験などの臨床試験費(1840億円)だった。
 寄付金などの学術研究助成費は計532億円。うち、指定した研究者が自由に使える奨学寄付金は340億円、研究者を指定せずに大学などに提供する一般寄付金は84億円だった。ディオバン問題では、臨床研究の事実上の見返りとして、販売元のノバルティスファーマから多額の奨学寄付金が支払われていた。

糖尿病性腎症、仕組み解明…早期診断に道 indexへ

 糖尿病で腎臓の機能が低下する糖尿病性腎症の新しい発症メカニズムを、慶応大学の伊藤裕教授(腎臓内分泌代謝内科)らのグループが解明したと発表した。
 病気の早期診断や発症予防に役立つと期待される。医学誌「ネイチャーメディシン」に21日、発表した。
 糖尿病の患者数は推計1000万人で、人工透析の最大の原因になっている。腎臓で血液を濾過(ろか)する糸球体という部分が傷つき、尿に微量のたんぱく質が漏れ出すのが、糖尿病性腎症の第1段階と考えられていた。
 研究グループはマウスの実験で、糖尿病になると糸球体が傷つく前に、尿を作る尿細管から糸球体に放出される「ニコチン酸モノヌクレオチド(NMN)」という物質の量が減ることを発見した。サーチュインという遺伝子の働きが、糖尿病で悪くなることが原因で、遺伝子改変で、糖尿病のマウスのサーチュインの働きを高めると、糖尿病性腎症の発症を防げた。この遺伝子は、運動やカロリー制限で活性化し、活性化すると寿命延長効果があるとされている。

国内初の脳死膵島移植 糖尿病患者に…京大病院 indexへ

 京都大病院は18日、重い糖尿病の50歳代の男性患者に対する国内初の脳死膵島移植を13日に実施し、成功したと発表した。
 患者の容体は安定しているという。
 京大病院の上本伸二・副院長らが記者会見。男性患者は、自らの膵臓から血糖値を下げるインスリンが分泌されず、低血糖発作を繰り返す重度の1型糖尿病。11日に脳死と判定された北陸地方の60歳代女性から膵島を提供されたという。
 移植手術では膵臓からインスリンを分泌する膵島を分離し、移植患者の肝臓に点滴で注入する。膵臓そのものを移植する手術では手術時間が6~8時間かかるが、今回は約30分で、患者の体にかかる負担が少ないなどの利点がある。
 脳死膵島移植は、欧米では一般的だが、国内では脳死臓器提供者が少なかったことなどから、これまで行われていなかった。心停止後の膵島移植は、京大病院を含め、全国で34例行われている。
 膵島移植に詳しい伊藤寿記・大阪大教授は「脳死での膵島提供という新たな治療法が加わり、1型糖尿病の患者にとって朗報だ」と話している。

PM2・5など、高い発がん性と認定…WHO機関 indexへ

 【ジュネーブ】世界保健機関(WHO)の下で化学物質などの発がん性を評価している専門組織、国際がん研究機関(IARC)は17日、大気汚染について、中国などで深刻化していることを念頭に肺がんなどの発がん性を有すると初めて認定し、5段階のリスク評価で最も危険が高い「グループ1」に分類したと発表した。
 日本への飛来も問題となっている微小粒子状物質(PM2・5)を含む粒子状物質についても別途、グループ1に分類した。アスベスト、喫煙、コールタールなどと同等のリスクに当たる。
 IARCは、2010年に大気汚染が原因の肺がんによる死者が世界全体で22万人に上ったと推計。特に中国など急速な工業化が進む地域で大気汚染が深刻化しており、早急な対策が必要だと指摘した。
 IARCは従来、ベンゼンなど個々の大気汚染物質の発がん性評価を行ってきたが、今回から「大気汚染」と、大気汚染を構成する「粒子状物質」に分けて評価した。

医師結核で静岡県が相談窓口 indexへ

 静岡県伊東市で診療所を開業する50歳代の男性医師が結核を発病したことを受け、県は15日、庁内と熱海保健所に相談窓口を開設したほか、県医師会に対し、職員の健康管理と院内感染対策の徹底を求める通知を出した。
 17日には伊東市和田の市観光会館でこの医師から診察を受けた患者635人を対象に説明会を開催する。
 県疾病対策課によると、医師は8月中旬からせき込み始めたが、9月も症状が続き、同25日に同市の夜間救急医療センターに勤務後、発熱などがあった。同26日に診療所で自らレントゲンを撮影し、肺に結核の症状を発見。別の病院を受診し、今月2日に結核と診断されて入院した。感染ルートは分かっていない。
 医師はこの間、マスクをせずに伊東市545人、東伊豆町37人、河津町3人、伊豆市2人、浜松市1人の県内患者588人、9都道県の患者36人ら男女635人(住所未確認11人含む)を診察した。医師以外で症状を訴えている人は確認できていないという。
 県は8月1日から診察を中止した9月26日まで、結核を感染させた可能性があると判断。患者に説明会の案内書を発送したほか、免疫力がない乳幼児5人と糖尿病患者ら96人、2回以上受診した285人、医師の家族と職員計4人、夜間救急医療センター職員10人を優先的に健康診断する。
 熱海保健所の三間屋純一所長は15日の記者会見で、マスクを使用せずに診察したことについて「(医師としての自覚が)欠けていたことは否めない」と批判した。

結核発病の男性医師、マスクせず635人診察 indexへ

 静岡県は15日、同県伊東市で診療所を開業する50歳代の男性医師が結核を発病したと発表した。
 医師は症状が表れた今年8月から9月26日まで、観光客も含めて10都道県の男女635人を診察した。同県は診察を受けた患者らに連絡し、説明会や健康診断を実施する。
 発表によると、医師は8月中旬頃からせき込み始めた。9月26日、診療所で自らレントゲン撮影したところ、肺に結核の症状を発見して休診。その後、病院を受診し、今月2日に結核と診断された。休診までマスクを使用せずに診察していたという。静岡県は今後、診察を受けた人のうち幼児や糖尿病患者ら392人については、健康診断を実施する。
 診療所名について、同県は公表しなかった。壁下敏弘・県医療健康局長は「診療所の医師は1人だけで、診療所イコール医師の個人名となるため」としている。

熱中症搬送者、3割増で過去最多…高知がトップ indexへ

 総務省消防庁は15日、今年6~9月の熱中症による救急搬送者が昨年同期比約1・3倍の5万8729人だったと発表した。
 同期間の統計がある2010年以降、最多だった同年の5万6119人を上回った。
 搬送者のうち、65歳以上の高齢者が2万7828人と全体の47%を占めていた。搬送した直後の初診段階での死者は88人で、10年の171人に次ぐ多さだった。
 人口10万人当たりの搬送者は都道府県別で、国内観測史上最高の41・0度を記録した高知が75・09人と最も多く、続いて和歌山の70・64人、熊本の67・95人だった。

定年勤務医ら再就職を 働きやすい求人情報発信 indexへ

 病院を定年退職したベテラン勤務医らの再就職を促そうと、県や医師会などでつくる「県地域保健医療推進機構」(広島市南区皆実町)が、「当直なし」など高齢の医師でも働きやすい求人情報を集める取り組みを始めた。
 県内の医師の25%を占める60歳以上の人材を医療現場につなぎ留め、人材を確保するのが狙いだ。
 同機構は、県内の医療機関の情報を集めたホームページ「ふるさとドクターネット広島」(http://www.dn-hiroshima.jp)を運営し、登録する医師や学生らに求人情報などを提供。2012年度から本格的に、病院や医師の常駐が義務付けられている介護老人保健施設などで、当直勤務のある場合が多い「常勤」と、当直はないが勤務日数が週数日にとどまる「非常勤」に分けて情報を集め、紹介を始めた。
 初年度は8人がこの制度を使って就職し、このうち5人が60歳以上。ただ、4人は「当直はないが、平日のほとんどで勤務」を要望したため条件が合わず、同機構が病院と個別に交渉するなどして再就職につなげたケースもあった。
 このため、同機構では従来の「常勤」「非常勤」の区分だけではベテラン医師のニーズに応えられないと判断。今回、新たに「当直なしで、週4~5日勤務」のような求人情報を集め、数がまとまり次第、ネットに掲載することにした。
 ドクターネットの登録者数831人(今月2日現在)のうち、60歳代以上はわずか約8%の64人。ニーズにあった適切な求人情報が不足していることが一因とみており、新たな取り組みでベテラン医師の登録増加を目指すという。
 県医療政策課によると、県内の医療施設で働く医師数は6748人(10年)。08年に比べて224人増えたが、医療現場で中核を担う30、40歳代は減った。全体を押し上げたのは高齢化に伴う50、60歳以上の増加で、この両世代で全体の約5割を占めた。県などは県内で十分な医師数を確保するには、定年退職や個人経営の診療所を後継者に譲った医師らが働き続ける仕組み作りが不可欠とみている。
 同機構地域医療推進部医監の古川正愛さんは「一線を退いた後も貴重な経験を生かせる場が提供できれば、地域医療の充実にもつながる。ドクターネットに登録し、どんどん情報を活用してもらえるようにしたい」と話している。

町立松前病院 医師10人中6人辞職の意向…北海道 indexへ

 北海道松前町の町立松前病院の医師6人が2014年3月末で辞職する意向であることが10日、分かった。
 同病院の前事務局長の人事を巡り、町・町議会と医師側の意見対立が先鋭化したことが原因。同病院は渡島西部の拠点病院で、現在、常勤医10人態勢となっている。このまま6医師が退職すると、来年度からの病院運営に支障が出かねない情勢だ。
 辞職の意向を抱いているのは木村真司院長(49)ら6医師。木村院長は05年11月に同院の院長に就任し、08年から内科や整形外科といった診療科の枠を超えて患者を診る「全科診療医(家庭医、総合医)」制度を導入して注目を集めた。
 木村院長は今年3月末で定年退職となった前事務局長の雇用継続を求めて町や町議会と対立。道が仲裁役となり、石山英雄町長と木村院長との間で前事務局長を「経営アドバイザー」として雇用することなどを柱とした条例改正を行う内容の覚書が4月に交わされた。しかし、6月定例町議会で条例改正案は否決され、前事務局長はいったんは臨時職員として再任用されたが、9月末に6か月の任期切れによって退職した。
 木村院長は「覚書すら十分に履行されなかった」と、9月27日に石山町長に年度末で辞職することを伝え、10日までに副院長や内科部長ら医師5人が木村院長に追随して辞職願を提出した。
 木村院長は「前事務局長は病院運営に欠かせない優秀な人材だった。病院運営に町や町議会から全く協力を得られない以上、ここで医療を続けられない」と話している。石山町長は「町民の医療を守るため、辞職願を撤回していただけるよう、話し合いを続けたい」と、慰留する考えだ。
 同病院で入退院を繰り返している同町在住の小野寺澄子さん(78)は「遠くの病院に頻繁に通うことになるのは困る。どうしたらいいのか」と、不安げに語っていた。

薬ネット販売、市販薬へ切り替え後3年で解禁へ indexへ

 政府は10日、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売について、医師の処方箋が必要な医療用医薬品から市販薬への切り替え後3年が経過すれば、原則として解禁する方向で調整に入った。
 現在の市販薬約1万1400品目のうち、副作用のリスクが高い「劇薬」5品目以外はネット購入が可能になる。
 市販薬のネット販売の原則解禁は、政府が6月にまとめた「日本再興戦略」に明記されるなど、安倍政権の成長戦略に位置づけられている。消費者の利便性を高めると同時に価格競争を促し、ネット商取引を拡大させる狙いがあり、その後も政府の規制改革会議が市販薬すべての解禁を求める意見書を出していた。
 これに対し、医薬品行政を所管する厚生労働省は、切り替え後のリスク評価が定まるまでに一定の期間が必要と判断。3年の間に監視や検証を行い、問題が生じなければネット販売を解禁することにした。政府は15日召集の臨時国会に薬事法改正案を提出する考えで、2014年中にも新ルールでのネット販売がスタートする。

診療報酬4億8900万円不正受給 愛知、松浦病院 indexへ

 厚生労働省東海北陸厚生局は9日、愛知県犬山市の「医療法人松陽会 松浦病院」が診療報酬約4億8900万円を不正受給していたとして、保険医療機関の指定取り消しを決定したと発表した。
 処分は来年2月1日付で、5年間は再指定は受けられず、保険診療ができない。同法人は他の医療機関などに土地建物を売却し、返済する方針。
 同病院は名鉄犬山駅前にあり、診療科は10科、病床数は107床。発表によると、同病院は2008年2月から12年8月の間に、診療報酬のランクが下がらないよう、看護師など介護職員1人あたりの月平均の夜勤時間を72時間以下とする虚偽の届け出を行うなどして入院患者約200人分の診療報酬を不正受給。同厚生局の調査で、勤務表と照合して不正が発覚した。
 松陽会の須賀敬理事長らは9日、犬山市内で記者会見。須賀理事長は「患者、家族の皆さんに多大な心配と迷惑をかけ、おわびしたい」と謝罪。不正受給は資料が残っていない分も含め約17億5000万円と推計されるとし、「不正受給をしたのはすでに退職した事務長や理事らだ」とした。
 現在は、土地建物の売却先として複数の医療機関と交渉中としたが、売却先が見つからない場合、約100人の入院患者は転院を迫られることになる。夫が6月末から入院中という70歳代の女性は「ずっとここにいられると思っていた。病院が潰れたら行くところがなくなる」と嘆いていた。

勤務医不足慢性化 71病院で診療制限…愛知 indexへ

 病院勤務医の不足が問題となる中、人手が足りずに診療制限を実施している愛知県内の医療機関(6月末現在)は、全325病院の2割以上に当たる71病院に上ることが県の調査で分かった。
 2007年の調査開始から横ばいが続いており、制限のない病院数も減少するなど事態に改善は見られず、県は「医師不足の深刻さは変わっていない。医師確保に努めたい」としている。
 診療制限には、時間外救急患者や初診患者の受け入れ制限、出産対応の休止などがある。
 診療科別の状況は、産婦人科が65病院のうち23・1%に当たる15病院で出産数を制限するなどしていた。このほか制限が多かったのは、精神科14・4%、小児科12・4%、内科10・7%などとなっている。制限が少なかったのは外科で、183病院のうち6病院(3・3%)だった。圏域別では、尾張西部(一宮市、稲沢市)が19病院のうち7病院(36・8%)で最も多く、西三河南部西(碧南市、刈谷市など)の31・8%、尾張北部(春日井市、犬山市など)の30・4%などと続いた。名古屋市は132病院のうち28病院(21・2%)だった。
 診療制限がなかったのは尾張中部(清須市、北名古屋市など)だけだった。
 慢性的な医師不足は、人気のある診療科や都市部に医師が集中することなどが背景にある。
 県内の勤務医不足を解消するため、県は09年度から名古屋大や名古屋市立大など県内4大学の医学部に、県内の病院に勤務することを条件に学費を援助する「地域枠」をそれぞれ創設。また、地域内で医師を派遣し合う際、病院側に生じる逸失利益を補助する制度や、救急勤務医への手当補助などの事業を行っている。

肝炎感染、陰性と誤認 神戸市立中央市民病院 indexへ

 神戸市立医療センター中央市民病院(中央区)は9日、市内の60歳代の男性患者に対して実施した検査で、B型肝炎の感染を示す陽性反応が出たにもかかわらず、30歳代の担当医が陰性と誤認するなど2件の医療ミスがあった、と発表した。男性は検査の約1年後の6月、劇症肝炎で死亡している。
 同病院によると、患者は昨年5月に悪性リンパ腫の治療のため入院し、検査後の同5~9月に化学療法を受けた。今年3月末に体調の異変を訴え、B型肝炎を発症していたことが判明したという。
 厚生労働省のガイドラインでは、B型肝炎の感染者が化学療法を受けると免疫力が低下するため、1年間は血液中のウイルス量を検査する必要があるが、病院は実施していなかった。
 同病院は「検査をしなかったことと、死亡との因果関係は不明だが、適切な治療ができなかった」として遺族に謝罪した。今後、金銭補償を検討するという。
 また、今年5月には、消化器系の疾患で入院中の市内の70歳代の男性患者の右腕の血管内に、栄養剤投与のためカテーテル(長さ50センチ、直径1・3ミリ)を挿入した際、処置した外科医の固定ミスで、管が肺動脈内に入る事故もあった。男性の容体に変化はなかったという。

現場目前の救急隊に引き返すよう指示、患者死亡 indexへ

 横浜市金沢区で8月、公園で意識を失った男性を救急搬送するために出動した救急隊が、市消防局消防司令センターの指示で、現場まで約500メートルの地点から引き返していたことが、同局などへの取材でわかった。
 男性は後から出発した救急車に搬送されたが、数日後に死亡した。救急隊の到着が10分程度遅れた可能性があり、同局は「救急隊の位置確認が不十分だった」とミスを認めている。
 同局などによると、8月11日午後2時53分頃、同区の公園で、「20歳代の男性が意識や呼吸がないようだ」と付近にいた人から119番があった。司令センターは、現場近くにいた磯子救急隊と、現場に近い金沢消防署の消防隊2隊に出動を指示した。だが、同3時4分頃になって、現場に近い同署幸浦消防出張所の救急隊が出動可能であることに気付いて出動を指示し、現場に急行中の磯子救急隊に引き返すよう指示した。
 現場には午後3時5分頃、最初に指示を受けた消防隊2隊が到着し、自動体外式除細動器(AED)などで救命活動を行ったが、消防隊は患者を搬送できない上、2隊とも救急救命士が同乗していなかった。
 同局は「後から出動した救急隊が先に到着すると判断した。到着の遅れと死亡との因果関係については調査中」としている。

助産師だけの出産、医師立会いと安全性の差なし indexへ

 通常の経過をたどる一般のお産は、助産師だけで介助する院内助産で実施しても、医師が立ち会う出産と比べて安全性に差がないという調査結果を、神戸大の斎藤いずみ教授らがまとめた。
 院内助産は産科医不足を補うものとして全国で普及しつつあり、同大学によると、複数の施設の調査で安全性を確認したのは初めてという。5日、さいたま市で開かれる日本母性衛生学会で発表する。
 斎藤教授らは2011~12年に、院内助産のある近畿地方の3病院での出産を調査。合併症がなく、高齢でないなどリスクの低い妊婦のうち、院内助産355人、医師が立ち会う一般産婦人科病棟380人の記録を分析した。
 出産時の多量出血、お産の進み具合、新生児の健康状態と入院の有無などの違いを院内助産と一般病棟で比較したところ、差がないことがわかった。院内助産では16人、一般病棟では18人がお産の進行がうまく行かず、途中で帝王切開に切り替えたが、新生児の状態に差はなかった。
 リスクの低い妊婦に対して助産師が妊婦健診の一部を行う助産師外来も調査。助産師外来を利用した場合と、産科医が健診を全て行った場合で妊娠の経過に違いはなかった。斎藤教授は「緊急時に医師と連携して対応できる態勢が整っていれば、院内助産や助産師外来は安全に行えることを示せたと思う」と話している。
院内助産 医師不足対策として、2008年に厚生労働省が打ち出した「医療確保ビジョン」に、助産師外来と共に普及が盛り込まれた。同省によると11年現在で院内助産は160施設、助産師外来は894施設で実施されている。

飲酒多い女性、脳卒中注意 毎日2合でリスク2倍 indexへ

 飲酒量が多い女性は少ない女性に比べて脳卒中になる危険度が高まるという調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長)がまとめた。
 国内の調査で女性の多量飲酒による脳卒中のリスク増加が明らかになるのは初めてという。
 研究班は、岩手、長野、沖縄など全国9か所に住む40~69歳の女性約4万7000人を、平均17年間にわたり追跡調査した。
 調査期間中に1864人が脳卒中を発症。アルコール摂取量を日本酒に換算して毎日平均2合(1合は180ミリ・リットル)以上飲む人は、時々しか飲まない人に比べて脳出血の発症が2・85倍、脳梗塞は2・03倍、くも膜下出血は1・86倍、発症リスクが高かった。1~2合未満の場合でも脳卒中になるリスクは1・55倍になった。
 女性は男性よりも肝臓が小さく、飲酒で肝臓にかかる負担が重くなる傾向がある。社会進出に伴い、特に若い女性の間で飲酒の量や頻度は増えているとされている。研究班の大阪大特任助教(公衆衛生学)、池原賢代さんは「健康維持のためには1日1合未満を心がけてほしい」と話している。

脊柱側彎症重症化の遺伝子領域を発見 indexへ

 理化学研究所と慶応大整形外科のグループは、思春期に起きる原因不明の脊柱側彎症の重症化に関わる遺伝子領域を発見したと発表した。
 脊柱側彎症は、背骨が横にねじれて「く」の字に曲がる病気。思春期に発症するタイプが最も多く、日本人の約2%に起きるとされる。湾曲がごく小さければ治療の必要はないが、大きければ手術が必要になる。これまでいくつかの原因遺伝子が発見されたが、同じ遺伝子変異があっても、重症化する人としない人がいることがわかっている。
 研究チームでは、40度以上の湾曲がある比較的重度の患者に限定し、全遺伝情報(ゲノム)を解析。17番染色体上の側彎症を起こす遺伝子の近くの領域に変異を発見した。この変異が重症化に関わっている可能性があるという。
 研究チームの慶応大整形外科准教授、松本守雄さんは「重症度が予測できれば早くに治療方針が決まり、患者さんの負担も減る。さらに研究を進め、原因遺伝子と今回の変異の関係を解明したい」と話している。

外国人 医療費未払い3300万円…千葉 indexへ

 千葉県の医療機関で治療を受けた外国人の医療費未払いが今年3月末現在、60人計約3300万円に上ることが県が初めて行った集計でわかった。
 このうちの2人が多額で約1300万円分。県は「緊急の場合、外国人でも支払い能力、意思を確認した上での治療は難しい」と対応に苦慮している。
 県病院局経営管理課財務室によると、ベトナム系米国人女性は2012年1月、旅行中、成田空港行きの飛行機内で脳卒中を起こし、同空港から搬送された県救急医療センター(千葉市)で手術を受けた。その後、病状は改善し退院したが、医療費の一部の約100万円を支払い帰国。しかし、残りの約640万円は現在も支払われていないという。県では、女性の加入する米保険会社と交渉を続けるが、支払いの見通しはたっていないという。
 一方、フィリピン人男性は、県循環器病センター(市原市)で11年5月から10月にかけて2回、心不全で入院し、手術を受けた。連絡は取れているが、収入も少ないことなどから今も約670万円が支払われていないという。
 県が今年度、初めて行った集計によると、13年3月末現在の外国人の医療費未収金は3271万円。日本人も含めた全体の未収金(約1億7500万円)の2割近くに上る。
 国籍は、フィリピン19人、中国7人、タイ5人、韓国4人など少なくとも16か国。パスポートや身分証を持たないまま治療を受け、国籍不明の外国人もいる。不法滞在のため、症状が改善すると姿をくらましたり、旅行中の病気で入院したものの、退院後、未払いのまま帰国したりするケースなどがあるという。
 県では未収金対策として05年度に対策マニュアルを作成していた。マニュアルで、保険証を持たない外国人が入院した場合、日本人の保証人をつけたり、医療費が10万円を超える際は、保証金を預けさせたりすることなどを求めるが、「緊急時はすぐに治療に入る。保証人をつけたり、支払い意思を確認したりするのは難しい」と県の担当者は打ち明ける。

早期閉経患者、さらに2人が同じ手法で妊娠 indexへ

 早発閉経患者の卵子の元となる細胞を活性化し、世界で初めて出産に成功したと、聖マリアンナ医科大学(川崎市)の石塚文平特任教授らが1日、東京都内で開いた記者会見で正式に発表し、さらに2人が同じ手法で妊娠していることを明かした。
 早期に閉経した100人近くがすでに待機しているといい、同大以外の3病院でも実施できるよう準備を進めているという。
 同大はまた、加齢で卵巣機能が低下した女性への臨床研究も進めたいとしており、年度内にも日本産科婦人科学会に申請する方針。
 治療の詳細はホームページ(http://www.ivafertility.com/IVA/index.html)に掲載されている。

早発閉経の患者出産…卵巣組織を凍結、細胞培養 indexへ

 卵子が育たず、排卵しないために妊娠・出産が難しい早発閉経の患者の卵巣組織を凍結、独自の手法で組織内の卵子の元になる細胞を活性化して、出産に成功したと聖マリアンナ医科大学(川崎市)などのグループが米科学アカデミー紀要に発表する。
 同大では、早発閉経の患者の卵巣組織の活性化による出産は世界で初めてとしている。
 同大の河村和弘准教授らによると、女性は25歳で早発閉経と診断された。ホルモン治療を受けたが排卵せず、29歳で卵巣を腹腔(ふくくう)鏡下で取り出す手術を受けた。取り出した卵巣組織をいったん凍結し、患者の体が回復した3か月後に解凍した。1ミリ四方に切った上で、特殊な培養液で卵子の元になる細胞を培養。体内で卵子に育てるために、女性の卵管を覆う膜の下に移植した。その後、採卵し、夫の精子と顕微授精させて妊娠。昨年冬、約3300グラムの元気な男児を出産したという。