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京丹後の旅館、70人食中毒…ノロウイルス検出 indexへ

 京都府は30日、京丹後市久美浜町の温泉旅館「湯元館」で食事をした男女70人が腹痛や下痢などを訴え、うち8人からノロウイルスを検出したと発表した。いずれも快方に向かっているという。府は集団食中毒と断定し、30日から3日間、旅館を営業停止処分とした。

群大が手術死再発防止策、遺族の要望受け入れ「患者説明」録音へ indexへ

 同じ医師の手術後に患者の死亡が相次ぎ問題となった群馬大学病院が、再発防止策の一環で、患者へのインフォームド・コンセント(IC=説明と同意)の内容を録音する取り組みを始める。
 遺族側の要望に応えたもので、同病院は来年1月21、22日、遺族への説明会を開き、正式に謝罪して改革状況を報告する。
 この問題では、第三者の調査委員会が、医師の説明や記録が不十分と指摘した。遺族会は11月、ICの録音や手術の録画など、改善策を申し入れた。それに対し、病院側が文書で回答した。
 ICの録音は、患者が自ら行うケースは多いが、同病院は、病院側がレコーダーを用意し、患者の同意のもとで録音、音声を保存することを標準化する。
 手術の録画は、すでに難しい手術について行われているが、今後、対象を拡大する。将来的には、録音・録画したデータを電子カルテに保存できるようシステムを改める。
 来年度から、遺族も参加し、市民向けの講演会などを行う「患者安全の日」を設けることも計画している。
 手術の死亡率など治療成績については、病院のデータを患者に開示し、今後、病院のサイトで公開する。各医師の治療成績開示については明示しなかった。
 遺族会の木村豊代表は「改善の取り組みは評価できる。病院内の改革に とどまらず、医療安全を社会的に広めていくことにも力を入れてほしい」と話す。調査委員も務めた「医療情報の公開・開示を求める市民の会」の勝村久司代表 世話人は「ICの録音で記録の精度は上がり、医療側の手間も省ける。これを機に、ICは単に同意を取る場ではなく、医師が選択肢を示して患者と一緒に検討 する機会だと再認識することが大切だ」と指摘している。

かけもち保健所長、あわや重大ミス経験も…災害や食中毒でも大丈夫? indexへ

 全国の約50の保健所で、所長が兼務状態になっているこ とが明らかになった。住民の健康管理に加え、集団食中毒の対策や災害時の感染症予防など近年、その役割の重要性がこれまで以上に高まる保健所だが、所長の なり手不足を解消する見通しは立っていない。兼務所長の負担は大きく、緊急時の対応を懸念する声も上がっている。
週の半分以上
 「広域的に有事が発生した場合、果たして対応できるのか」。茨城県内で2013年から常総、つくば両保健所を、今春からは筑西保健所も兼務する本多めぐみ所長(58)は危惧する。
 常総保健所の管内では15年9月、鬼怒川の堤防が決壊し、甚大な浸水 被害が起きた。保健所の建物も浸水し、職員はつくば保健所に設置された仮事務所を拠点に活動。本多所長は“司令塔"として、避難所の被災者の健康管理支援 や、関係機関との連絡調整に奔走する日々が続いた。
 現在も、週の半分以上は1日で2か所の保健所を駆け回る。職員との打ち合わせに十分な時間が取れず、重要な会議の日程が重複することもあるといい、「一人の能力には限界があり、所長の兼務状態は一刻も早く解消すべきだ」と訴える。
「初動に遅れ」
 読売新聞は今年6月、全国の兼務所長51人(10月までに兼務が解消された所長を含む)を対象にアンケート調査も実施し、33人から回答を得た。
 アンケート結果によると、大規模災害や感染症などの緊急対応に「不安がある」と回答したのは19人(58%)で、不安の理由は「2か所での危機対応は困難」「初動対応が遅れる恐れがある」などだった。
 また、兼務に「負担を感じる」と答えたのは21人(64%)。重大なミスにつながりかねない「ヒヤリハット」を経験した人からは、「電話での連絡調整が多く、判断ミスにつながりかねないことがあった」「行事の重複や漏れ」などの回答があった。
「医師確保を」
 保健所長について厚生労働省は04年、「3年以上、公衆衛生の実務 に従事した経験を持つか、国の定めた養成訓練を受けた医師が就く」との資格条件を緩和。医師と同等以上の知識を持つ歯科医師や保健師なども2年間を上限 に、例外的に認めるようにしたが、新条件で就任した人はわずかで、兼務状態の解消はほど遠い状況だ。
 一方、同年の資格要件の見直しの際、公衆衛生の専門家からは新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)や、鳥インフルエンザ問題への対応を想定し、所長は医師であるべきだとの意見が出ていた。
 アンケート調査でも、保健所長が医師であるべきかどうかを改めて尋ねた結果、「必ず医師であるべき」は16人(48%)で、「どちらかといえば医師であるべき」を含めると計27人(82%)に上った。理由は「医学的判断・専門能力が必要」などが19人で最も多かった。
 京都府立医大の渡辺能行教授(地域保健学)も「保健所長は首長や警察、医師会などと協調して事態に対処する能力が必要で、専門知識を持った医師が望ましい。自治体は大学や医師会と情報共有して、所長の確保に本気で取り組むべきだ」と指摘している。
体内にガーゼ44年放置、骨盤内腫瘍の手術で発見…名大病院 indexへ

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)は20日、1970年に同病院で不妊症の手術をした愛知県内の女性(現在80歳代)の体内に、ガーゼとみられる布を置き忘れるミスがあったと発表した。
 44年後の2014年に骨盤内腫瘍の手術をした際、気づいたといい、同病院は体内の布が原因で腫瘍になった可能性もあるとして、女性に謝罪し、損害賠償を行った。
 病院によると、女性は14年4月、診察を受けた同病院で骨盤内腫瘍が見つかり、手術で切除。病院側が切除した部分を病理検査したところ、布のような異物が含まれていた。損害賠償の協議が終了し、女性の了解が得られたことから公表したという。
 病院は「手術の前後でガーゼの数が合わない場合はレントゲン撮影をするなど再発防止に努めている。大きな不安と苦痛をおかけし、深くおわびする」としている。

日本生命など生保4社、約款に「遺伝」「家族歴」記載…金融庁が削除命令 indexへ

 金融庁は、日本生命保険など生保4社が、保険の契約内容を記した約款に、遺伝に関する記載をしていたことを明らかにした。
 遺伝子検査の結果や、家族の病歴などの遺伝情報を加入審査に使っていると取られかねない内容で、同庁は記載の削除を命じた。各社は応じる方針だという。
 同庁が11月、生損保93社に調査したところ、日生など生保4社が、約款に「遺伝」や「家族歴」など遺伝に関する記載をしていた。この4社を含む生損保33社は、保険の契約手続きなどに使う社内文書に同様の記載をしていた。同庁は日生以外の社名を明らかにしなかった。
 同庁によると、各社は記載について「家族歴を加入審査に使っていた約40年前の記載が残っていた。現在は審査などに使っていない」と説明したという。同庁の担当者は「記載が残っていたことを重く受け止めている」と話した。
 遺伝差別の問題に詳しい東京大学教授の武藤香織さんは「海外には遺伝的特徴による差別を禁じている国は多くある。そうした国からみたら、人権侵害と受け取られかねない記載だ。保険会社の無関心さに驚いた」と話している。

乳幼児のボタン電池誤飲、5年間で930件…食道に穴が開くなど後遺症15件 indexへ

 玩具や体温計などに広く使われているボタン電池を乳幼児が誤飲する事故が、2011~15年の5年間に939件あったことが、業界団体「電池工業会」(東京)による初の全国調査で分かった。このうち15件で食道に穴が開くなどの重い後遺症が出た。
 慈恵医大(東京)の協力で今年1月、子どもの事故の救急対応を担う全 国202病院にアンケートを行い、116病院から回答があった(回答率57%)。ボタン電池の誤飲939件の内訳は、直径2センチ前後で薄い「コイン形」 が133件、それより小さめの「ボタン形」が806件だった。
 誤飲したボタン電池は、先端に磁石が付いたチューブや、内視鏡などで 取り出すが、その後に手術が必要な重い後遺症が出た事例がコイン形で14件、ボタン形で1件あった。いずれも食道に引っかかり、食道に穴が開いたり、食べ 物がつかえたりするなどの障害が起きた。ボタン電池が食道や胃などにとどまると、化学反応や圧迫により、潰瘍ができやすくなる。特にコイン形は大きめなの で食道にひっかかりやすい。電圧もボタン形より高いため、短時間でも深刻な損傷につながり、最悪の場合、死亡する恐れもある。
 同大小児外科の大橋伸介医師は「ボタン電池の誤飲は、処置までの時間が勝負だ。子どもがのんだと思ったら、迷わず救急車を呼んでほしい」と呼びかける。
 同工業会は、誤飲時の危険を減らす電池の安全基準作りや、乳幼児が素手で開封できないパッケージの導入を進めている。

女性用レギンス「3日で5キロ減量」に根拠無し…再発防止求め措置命令 indexへ

 「はけば体重が落ちる」などと、根拠のない宣伝で衣服を売ったことが景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、消費者庁は14日、大阪市中央区の通信販売会社「SAKLIKIT(サクライキット)」に対し、再発防止を求める措置命令を出した。
 発表によると、同社は昨年5月~今年4月、女性用レギンス「CC+ DOWN LEGGINGS」(2980円)について、ウエブサイトで、「たった3日で5キロ減量」などと宣伝。売り上げは5000万円以上あったというが、表示を裏付ける根拠はなかったという。

顔のたるみ解消する「フェイスリフト術」後に痛み…医院側と患者和解 indexへ

 全国展開の「品川美容外科」と「品川スキンクリニック」で、特殊な糸 を使って顔のたるみを解消する「フェイスリフト術」を受けた20~70歳代の男女75人が、手術後に顔の痛みが生じたなどとして、運営する医療法人「翔友 会」(東京)に計約1億6000万円の損害賠償を求めた複数の訴訟は6日、東京地裁でそれぞれ和解が成立した。
 原告側によると、和解条項は、翔友会が原告全員に解決金を支払うとともに、遺憾の意を表明。再発防止のため、「原告らから問題点を指摘されたことを 真摯に受け止め、より良い医療の提供に努めることを約束する」との内容になっているという。解決金の額は公表されていない。

不妊手術強制、国を提訴へ…宮城の60代女性 indexへ

 障害者らへの不妊手術などを認めた旧優生保護法に基づいて約40年前 に不妊手術を強制されたのは、個人の尊厳や幸福追求の権利を保障する憲法に違反するとして、宮城県内の60歳代の女性が国に国家賠償と謝罪を求めて来年1 月にも仙台地裁に提訴することが3日、わかった。同法に基づく不妊手術での国への提訴は初めてという。
 代理人弁護士によると、女性は知的障害を抱え、10歳代で自身への同意がないまま、同県の審査を経て不妊手術が行われた。

MRSAに感染、心臓手術の乳児死亡…千葉の病院 indexへ

 千葉県こども病院(千葉市緑区)は1日、11月上旬に心臓手術を受けた生後1か月未満の男児がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染し、同21日に死亡したと発表した。
 同病院は院内感染とみて、感染経路などを調べている。
 ほかに1歳未満の入院患者5人の感染も同15~28日に確認されたが、検査した4人の菌の遺伝子型は男児と一致していないという。
 同病院によると、男児は先天性心疾患で手術を受け、新生児集中治療室(NICU)に入院。同17日に発熱があり、血液検査の結果、同19日に感染が判明した。男児は低酸素血症を併発して死亡した。

結核集団感染2人死亡、京都の病院で56人感染…認知症男性徘徊で感染拡大か indexへ

 京都府は30日、同府宇治市の宇治おうばく病院で患者や職員ら56人が結核に集団感染し、70歳代と80歳代の男性患者2人が死亡した、と発表した。
 府などによると、7月に入院患者の70歳代の男性が死亡し、同じ病棟 の患者や職員ら約260人を検査。ほかに入院患者32人と職員23人の感染が判明した。うち患者15人が発病し、80歳代の男性が転院先の病院で10月に 死亡。70歳代の男性と結核菌の遺伝子型が一致した。
 70歳代の男性は認知症で、府は男性が病院を 徘徊したことが感染拡大の原因とみている。

群大などで死亡事故続き…厚労省、大学病院トップ選考を透明化 indexへ

 高度な医療を提供する大学病院などの特定機能病院について、厚生労働省は30日、病院長の選考に際し候補者を広く募集することを義務づける方針を決めた。
 群馬大学病院などで死亡事故が続いたため、組織管理など必要な能力を持った人物を選任できるよう、選考過程を透明化する。

輸血で感染か、女児死亡 使用製剤から大腸菌検出 indexへ

 急性白血病の治療を受けていた女児が輸血を受けてから約1カ月後に死亡していたことが29日、分かった。輸血に用いられた血液製剤に混入していた大腸菌に感染したとみられる。日赤が同日、厚生労働省の有識者会議で報告した。
  厚労省によると、輸血に使われたのは血小板濃厚液という血液製剤で、20ミリリットル投与された。保存されていた製剤から、女児の血液から検出された大腸 菌と同じ菌が検出された。2007~16年の10年間で血小板濃厚液での細菌感染は10例報告されているが、死亡例はなかった。過去20年間、大腸菌に感 染したケースも他に1例しかないという。
 日赤は、同じ献血者の血液から製造した血液製剤を医療機関に出さない措置を取り、感染拡大を防い だとしている。また「問診を徹底し、細菌感染の可能性がある人から採血しない」「凝固物などが発生し、外観が変化している製剤は輸血しない」などの対策を まとめるとともに、医療関係者に「感染症が広がるリスクは完全には排除できない。症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと」とリスクの 周知に努めている。
 女児は10歳未満。問題の輸血を受ける約1カ月前に骨髄移植を受けていた。8月に血小板濃厚液を輸血されると、悪寒な どの症状が表れたため、いったん輸血を中断。再開後も吐くなどの症状が見られたため、輸血を中止した。数日後にはショック状態となり、約1カ月後に敗血症 性ショックによる多臓器不全で亡くなった。
 血小板濃厚液は、血液成分から白血球の大部分を除去した製剤で、黄色ないし黄褐色の液体。血小板減少を伴う疾患の治療に使われる。
 ※血液製剤
  人の血液から製造した医薬品。血液や、血液から分離した血球や成分を使った「輸血用血液製剤」と、血漿(けっしょう)から必要な成分を取り出して作る「血 漿分画製剤」がある。血漿分画製剤には、やけど治療に使われるアルブミン製剤や、血友病患者用の血液凝固因子製剤がある。日本は血液法により、国内自給を 基本理念としている。

無許可で未承認薬販売容疑 会社社長ら男女2人逮捕 indexへ

 がんに効くと効能をうたい、未承認の医薬品を無許可で販売したなどとして、警視庁生活環境課は30日、医薬品医療機器 法違反の疑いで、健康食品販売会社「東京ビジネスネットワーク」(東京都目黒区)社長、鮫嶋純則(さめしま・すみのり)容疑者(70)=目黒区=と従業員 の女(53)を逮捕したと明らかにした。2人は「健康食品を扱っていただけ」などと否認している。
 生活環境課によると、2人は「天彌(あまみ)エキス」と称する液体が入ったボトルやカプセルを、同社のホームページで「がん細胞の増殖抑制作用を持つ」などと医薬効能をうたい、郵送などで販売した。
 2010年以降、全国の約450人に販売し、約4800万円を売り上げたとみられる。エキスは大豆を発酵させたものとみられ、別の製造会社から仕入れていた。健康被害は確認されていない。
 逮捕容疑は15年7月から今年5月、医薬品販売業の許可を得ずに、エキスが入ったボトルなどを岐阜県関市の40代女性ら男女7人に販売したなどの疑い。
 生活環境課は30日、法人としての同社も医薬品医療機器法違反の疑いで書類送検した。

輸血ミス、血液型を確認せず indexへ

 山梨県立中央病院で6月、交通事故で救命救急センターに搬送された患者に血液型の異なる輸血をした医療ミスで、同病院 は29日、使用前に輸血すべき血液の血液型を確認していなかったことが原因とした報告書をまとめた。また神宮寺禎巳院長(63)ら4人を厳重注意などの処 分にした。
 ミスを受け、同病院は医療事故調査委員会が関係者から聴取するなどして原因や経緯を調べてきた。報告書では、センターは当時、 患者の容体が極めて重篤で心肺蘇生措置に注力していた緊急時だったと指摘。センターには別の保管場所からB型の血液が運び込まれていて、輸血に当たった医 師側が患者に適合した血液型と思い込んで使用してしまったと判断。スタッフ間のコミュニケーション不足、緊急治療時の人手不足などの問題が複合的に関わっ てミスを誘発したと結論づけた。
 再発防止策も明示。緊急輸血での手順の見直しやマニュアルの整備などに取り組んでいる状況を記した。
  一方、職員の処分は28日付。管理監督責任を問い、神宮寺院長のほか、同センターの統括部長(58)とセンター長(51)を文書による厳重注意処分とし た。輸血を担当した救急科の主任医長(46)は文書訓告処分。同病院は「あってはならない事故を起こし、県民の信頼を損なった」としている。
 輸血ミスは6月23日に起きた。交通事故に遭って心肺停止状態で同病院の救命救急センターに搬送された男性に対し、O型の血液を使わなければいけないところを一部B型を輸血した。男性は搬送の約3時間後に死亡。同病院は「輸血ミスとの因果関係はない」としている。

がん摘出手術で医療ミス、男性死亡…2700万円賠償で遺族と和解 indexへ

 愛知県半田市は28日、市立半田病院で昨年6月、70歳代の男性をがん摘出手術で死亡させる医療ミスがあり、遺族に2700万円の損害賠償金を支払うことで和解したと発表した。
 発表によると、男性は昨年3月から同病院で「右腎盂尿管がん」の化学療法を受け、完治手術を受けるため同6月14日に入院。翌15日に右の腎臓と尿管の全摘出手術などを受けた際、執刀医が尿管を静脈に巻き付けて出血させた。止血できず、男性は同日、出血性ショックで死亡した。
 同病院は日本医療安全調査機構に報告するとともに医療事故調査委員会を設置。摘出の際、骨盤内の血管などへの注意を怠っていたほか、手術で死亡する危険性を具体的に説明していなかったと結論づけた。
 同病院の石田義博院長は「あってはならないミス。今後は血管に注意を払って手術を行うなど再発防止に取り組みたい」と話した。

心臓手術ミス後死亡 遺族に910万円支払い…愛知の市民病院 indexへ

 豊橋市民病院(愛知県豊橋市)は27日、2011年に心臓病患者の男性(当時65歳)に行った手術でミスがあったとして、術後に死亡した男性の遺族2人に、損害賠償として約914万円を支払うと発表した。
 病院によると、手術は11年12月に行い、狭くなった冠動脈をバルーン(風船)で広げる予定だったが、血管が石灰化して硬くなっていたため、病変部分を ドリルで削る方法に変更。その際、バルーンを送り込むガイドワイヤを残したままドリルを使ったためガイドワイヤが切れ、5センチほどが血管内に残った。他 の病院に移して回収を依頼したが、男性は4日後に急性心筋 梗塞で死亡した。
 病院側は、残されたガイドワイヤと死亡の因果関係は不明としながら も、手術ミスについて、当時の院長らが遺族の代表者に謝罪。その後、別の遺族2人が今年7月に名古屋簡裁に調停を申し立て、協議の結果、損害賠償すること で合意したという。市民病院の黒釜直樹事務局長は「残ったガイドワイヤが死亡に関与した疑いがあり、誠に申し訳ない」と謝罪。今後、医師の技能向上に取り 組み、ドリル使用時の注意事項の確認を徹底させるとしている。

岐阜の病院で点滴外れ患者失血死…過失の有無、調査へ indexへ

 岐阜県多治見市の県立多治見病院で今年4月、内科に入院していた70歳代の女性の点滴チューブが外れ、女性が失血死していたことが分かった。県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。
 病院によると、4月11日午後6時20分頃、看護師が女性の首の静脈 にさしたカテーテルに点滴チューブを接続し、薬剤と生理食塩水の注入を行った。同8時頃、看護師がナースステーションの監視モニターで女性の心電図の異常 に気づき、病室に駆けつけたところ、カテーテルとチューブの接続器具「三方活栓」からチューブが外れて出血していた。女性は心肺停止状態で、その後、死亡 が確認された。司法解剖の結果、死因は失血死だった。
 チューブと三方活栓の接続部はねじ込み式。女性はほとんど意識がなく、自分で外すことは考えにくいという。病院は日本医療安全調査機構に届ける一方、過失の有無を調べるため、外部の専門家を入れた調査会を設置した。調査会は、来年1月頃までに最終報告書をまとめる方針。

産科麻酔でトラブル750件、医療機関の16%で発生…多量出血が最多 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩を巡る事故が相次いで発覚したのを受け、安全対策を検討する厚生労働省研究班(代表者=海野信也・北里大学病院長)は22日、過去1年に産科麻酔関連のトラブルが約16%の医療機関で発生し、約750件に上るとする調査結果を公表した。
 調査は、日本産婦人科医会が今年6月、出産を扱う2391医療機関を対象に行い、6割近い1423施設が回答した。
 無痛分娩や帝王切開の麻酔で何らかのトラブルがあったのは15・7%に当たる224施設で、計753件。多量出血が最も多く121施設、妊産婦死亡も1施設で起きていた。
 トラブルが起きた施設の割合について、同医会は「産科麻酔を行った施 設と通常分娩の施設では変わらない」とし、無痛分娩などの麻酔が特別危険ではないとの見解を示した。ただ、十分な検証や調査がないまま行われており、トラ ブルの重症度や発生の経緯など詳しい調査を進めている。

健康診断結果を無断持ち出し…裁判官ら3100人分、事務官を免職 indexへ

 裁判官ら男女約3100人分の健康診断などのデータを無断で持ち出したとして、東京高裁は21日、40代の男性事務官を懲戒免職処分にした。
 事務官は同高裁の調査に「職員の身長や体重などを見たかった」と話しているという。
 発表によると、事務官は7~8月頃、同高裁や東京地裁などの職員が受けた昨年の健康診断結果約3100人分と、がん検診の結果約370人分のデータをUSBメモリーにコピーし、自宅のパソコンで閲覧した。
 データは業務用パソコンに保存されていたが、業務外でデータを持ち出すことは認められていなかった。同高裁の吉崎佳弥事務局長は「誠に遺憾。指導監督を徹底し、国民からの信頼回復に努めたい」とコメント。ただ、同高裁は事務官の氏名や年齢を発表しなかった。

アレルギー治療で重症9人…「経口」試験・療法の子ども indexへ

 日本小児アレルギー学会は19日、アレルギー専門医療機関への全国調 査で、食物アレルギーの検査や少しずつ食べて体に慣れさせる経口免疫療法に関連して、少なくとも7医療機関で9人が、人工呼吸器が必要になるなどの重いア レルギー症状を起こしたことが分かった、と発表した。
 今回の調査は、神奈川県立こども医療センター(横浜市)で牛乳アレルギーに対する経口免疫療法の臨床研究に参加していた子どもが一時的に心肺停止になったことを受け、同学会が緊急で実施。宇都宮市で開かれた学術集会で報告した。
 食物アレルギーの専門治療を行っている344医療機関を対象に行い、286施設(83%)が回答した。
 その結果、同センターを含め、16医療機関で18人に重いアレルギー症状が出たことがわかった。
 発生状況は、原因となる食物をどのくらい食べれば症状が出るかを医療機関で調べる経口負荷試験で5人、医療機関や自宅での経口免疫療法で4人だった。こうした医療行為関連で後遺症を伴ったのは、同センターの子ども1人だった。
 そのほか、8人は避けていた食物を口にしてしまった誤食で、うち2人に記憶障害などが残った。残り1人の状況は不明だった。
 経口免疫療法は近年急速に広まり、日本医療研究開発機構の2015年の調査では、102施設で約8000人が受けていた。
 調査を行った同学会の海老沢元宏・食物アレルギー委員長は「重症例をさらに調査し、経口負荷試験や免疫療法をより安全に行う方法を探っていきたい」と話し、治療中の患者に対しては「主治医を信頼し、悩みがあればすぐに相談してほしい」と呼びかけた。
安全性向上の研究を
 食物アレルギーは成長に伴って徐々に減るが、小中高生の22人に1人が悩んでいる。原因食物を避け続ける不便さや、誤食による意識障害・呼吸困難などの激しいアレルギー症状(アナフィラキシーショック)の懸念が常につきまとう。
 有効な治療薬もない中で、原因となる卵、牛乳などを少しずつ食べて体を慣れさせる経口免疫療法は大きな福音となっている。食物の種類で効果は違うが、3~8割の患者で症状が出なくなるという報告もある。
 しかし、アレルギー症状が誘発されやすく、保険診療は認められていない。日本小児アレルギー学会は指針で「臨床研究で慎重に行うべきだ」としている。
 今回、医療行為関連の重い症状が複数報告されたが、より安全を高めるための研究を積み重ね、被害を最小限に抑えるための電話相談や救急搬送などの体制を整えていくべきだ。
ポンプ止まる恐れ、人工心臓を自主回収 indexへ

 重症心不全患者が装着する補助人工心臓に不具合が出る恐れがあるとして、医療機器製造販売会社「センチュリーメディカル」(東京都)は16日、製品の自主回収を始めたと発表した。
 電源供給が不安定になって血液を循環させるポンプが止まり、重大な健康被害が起きる恐れがあるという。
 回収するのは「Jarvik2000植込み型補助人工心臓システム」。同社が米国メーカーから輸入し、2014年1月以降に出荷した174台が対象。
 報告を受けた東京都によると、不具合は製品を約2年間装着していた患者が死亡したのをきっかけに見つかった。不具合と死亡との因果関係は不明という。

ノロウイルスか…学生寮で嘔吐や下痢、40人搬送 indexへ

 奈良工業高等専門学校(奈良高専、奈良県大和郡山市)は10日、寮の学生40人(15~21歳)が嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴え、病院に運ばれたと発表した。
 いずれも軽症で快方に向かっている。奈良県によると、複数の学生から簡易検査でノロウイルスが検出された。
 同校によると、寮は4棟あり、男女計124人が生活。10日午前0時過ぎから、寮生が次々と嘔吐などで救急搬送された。同校は同日午後、臨時休校にした。

群大手術死、遺族ら再発防止策を要請…病院長らによる直接謝罪も indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、遺族の一部が9日、病院側に対し、病院長らによる直接の謝罪や、遺族の意見を取り入れた再発防止策の実現を求める申し入れ書を送付した。これを機に、損害賠償も含め病院側との協議に入る見通しだ。
 申し入れたのは、遺族会に参加する遺族9組と弁護団。昨年7月に群馬大の調査結果が公表された後、弁護団の独自調査と、執刀医らによる説明会が今年8月までに終了したのを受け、遺族側の考えを表明した。
 再発防止策としては、遺族らも参加する「患者安全の日」を設けて改革 状況を公表し、日本の医療安全向上に寄与することを提案。医師の手術経験数や手術死亡率などの診療データを病院のサイトで公表すること、手術のビデオ撮 影、インフォームド・コンセント(説明と同意)の様子の録音・録画など診療の透明化を実現するよう求めた。
 問題を引き起こした組織としての過失を認め、病院長らが対面や文書で謝罪することも求めている。
 遺族会代表の40歳代男性は「このようなことが二度と起きないよう、申し入れを踏まえた再発防止策を実現し、よりよい病院になってくれたらと願っている」と話した。

リスクの高い出産に対応する病院、6割が産科医不足 indexへ

 リスクの高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が労働基準法を順守する上で必要な産婦人科医を確保できていない、とする初の推計を日本産婦人科医会がまとめた。宿直や休日の日直の限度回数を超えた勤務が常態化している恐れがあるという。
 労基法では、労働基準監督署の許可があれば、労働時間の規制外となる宿直や日直を認めている。厚生労働省は通知で、1人につき宿直は週1回、日直は月1回が限度としている。
 同センターは、合併症のある妊産婦や新生児の集中治療を行う医療機関で、全国に107施設が指定されている。原則24時間、複数の産婦人科医の勤務が要件だ。
 同医会では、通知と要件に従った場合の宿直・日直体制には16人が必要と試算。今年6月、同センターの人員体制を調査したところ、107施設中66施設(62%)で産
婦人科の常勤医が16人未満だった。非常勤医を加えても56施設(52%)が16人に達しなかった。
 実際は、高齢や妊娠・育児中などで宿直・日直を免除、軽減される医師も多い。16人以上いても、限度回数を超えている医師がいる可能性がある。
 産婦人科医不足を巡っては、同センターなど地域の基幹病院に医師を集めて、勤務負担を減らす対策が進む。同医会の中井章人常務理事は「さらに集約化を図るとともに、産婦人科医を増やす方策も必要だ。地域や診療科間での医師の偏在解消が急務だ」と話している。

日本脳炎ワクチン、都内の医療機関58%「不足」…厚労省に安定供給要望 indexへ

 蚊を媒介して感染する日本脳炎のワクチンが不足しているとして、全国保険医団体連合会や東京保険医協会が、ワクチンの安定供給などを求める要望書を厚生労働省に提出した。
 日本脳炎は、発症すると高熱や意識障害などが起こり、死亡することもある病気で、ワクチンは定期接種の対象となっている。ワクチンを製造する2社のうち、熊本市の化学 及
および
血清療法研究所は、昨年4月の熊本地震の影響で一時、供給できなくなっている。
 東京保険医協会や大阪府保険医協会が6月以降、医療機関に実施したアンケートでは、東京都内の432施設から得た回答のうち、58%が「日本脳炎のワクチンが不足している」とした。大阪府内186施設から得た回答でも、47%が不足していると答えた。
 中には、接種を待ってもらった子どももいたという。東京保険医協会理事で内科医の成瀬清子さんは「現場でワクチン接種を受けられない人がいる事実をきちんと把握し、供給不足が起こらない体制を整備してほしい」と訴える。
 厚生労働省は在庫・出荷量が納入量を大きく上回っていることから、ワクチンは不足していないとみているが、在庫の地域偏在が起きている可能性があるとしている。そのため「関係者は情報を共有し、医療機関は過剰な発注を控えるなど、気をつけてほしい」と呼びかけている。

皮膚がんをイボと誤診、患者死亡…遺族に7000万円賠償 indexへ

 岐阜県中津川市の中津川市民病院は2日、皮膚がんを患っていたのにイボと誤診し、昨年に男性患者(当時56歳)を死亡させるミスがあったと発表した。遺族に損害賠償金約7000万円を支払うことで合意したという。
 発表によると、男性は東海地方在住で、2010年11月、「お尻の皮膚腫瘍が大きくなってきた」と皮膚科を受診。皮膚科医は皮膚がんを疑ったが、細胞や 組織を調べる病理医が老人性イボと診断し、治療を打ち切った。約4年後、男性が同病院で太もも付け根のこぶを切除した際、皮膚がんの可能性が高いことが分 かり、10年に採取した細胞を再度調べた結果、皮膚がんだったことが判明。がんは 脾臓などに転移し、男性は16年11月に死亡した。
 また、同病院は14年10月、食道がんの女性患者(75)をアレル ギー性鼻咽頭炎と誤診したとして、約300万円の損害賠償金を支払うことで合意したことも明らかにした。9か月後、女性から「食事がのどを通りにくく、体 重も減った」と訴えがあり、改めて検査したところ食道がんと判明した。
 記者会見した安藤秀男病院長は、「ミスが重なり申し訳ない。複数の医師でのダブルチェックを徹底したい」と話した。

がん誤診で死亡、市民病院が遺族に7000万円 indexへ

 岐阜県中津川市の中津川市民病院は2日、皮膚がんを患っていたのにイボと誤診し、昨年に男性患者(当時56歳)を死亡させるミスがあったと発表した。
 遺族に損害賠償金約7000万円を支払うことで合意したという。
 発表によると、男性は東海地方在住で、2010年11月、「お尻の皮膚腫瘍が大きくなってきた」と皮膚科を受診。皮膚科医は皮膚がんを疑ったが、細胞や組織を調べる病理医が老人性イボと診断し、治療を打ち切った。
 約4年後、男性が同病院で太もも付け根のこぶを切除した際、皮膚がんの可能性が高いことが分かり、10年に採取した細胞を再度調べた結果、皮膚がんだったことが判明。がんは脾臓(ひぞう)などに転移し、男性は16年11月に死亡した。
  また、同病院は14年10月、食道がんの女性患者(75)をアレルギー性鼻咽頭炎と誤診したとして、約300万円の損害賠償金を支払うことで合意したこと も明らかにした。9か月後、女性から「食事がのどを通りにくく、体重も減った」と訴えがあり、改めて検査したところ食道がんと判明した。
 記者会見した安藤秀男病院長は、「ミスが重なり申し訳ない。複数の医師でのダブルチェックを徹底したい」と話した。

「膵臓がんの疑い」見落とし、5か月間適切な治療せず…男性患者が死亡 indexへ

 横浜市立大学は30日、付属の市民総合医療センター(横浜市南区)の医師が 膵臓がんの疑いを指摘された70歳代の男性患者(神奈川県横須賀市)の診断結果を見落とし、約5か月間適切な治療をしなかったと発表した。男性は今月16日に死亡した。同大は「診断が共有されなかった」と謝罪した。
 発表によると、同センターの放射線科の医師は1月、コンピューター断 層撮影装置(CT)検査の画像から男性の「膵臓がんの疑い」を指摘する画像診断書を作成。だが、2月に検査後初の診察を行った心臓血管外科の医師は、画像 診断書を確認しなかった。6月に別の病院で実施したCT検査で男性の膵臓がんの疑いが判明したが、手術できないほど病状が進行していた。

「家政婦代わりに使われている」と指摘も…訪問介護「生活援助」費を抑制へ indexへ

 厚生労働省は、介護保険の訪問介護で掃除や調理などを行う「生活援助サービス」の費用を抑制する方針を固めた。
 専門性の高い人材に限ってきたヘルパーの資格要件を緩和し、新設する 短期間の研修を受けた人材が担えるようにして、介護報酬は切り下げたい考えだ。利用者は安くサービスを使えるが、低い報酬で担い手が集まらず、必要なサー ビスが提供できなくなる恐れもあるため、調整が難航することも予想される。
 2018年度の介護報酬改定を議論している社会保障審議会分科会に11月1日、見直し案を提示する。
 生活援助は1時間300円程度の自己負担で利用できるため、「家政婦代わりに安易に使われている」との指摘がある。利用者はこの5年で3割増え、約50万人。高齢化で今後も介護費用が増加することから、費用抑制のターゲットとして見直しが検討されてきた。
 一方、介護業界からは「認知症の兆しに気付くなど、家政婦とは専門性 が異なる」との反発がある。このため、新たな研修案では、高齢者の体調観察や認知症の知識の習得を重点的に行う。さらに、同じ掃除でも、高齢者が自分でで きるようにヘルパーが手助けするなど「自立支援」に役立つサービスの介護報酬は維持する考えだ。
 現在、訪問介護が提供できるのは国家資格の介護福祉士か、130時間以上の研修を受けた人材に限られている。同省は、資格要件を緩和することで、生活援助を中心に提供する人材については元気なシニア層にも担い手になってもらう狙いもある。

薬害C型肝炎被害者ら、給付金の支払いなど求め5地裁で一斉提訴 indexへ

 「薬害C型肝炎被害者救済法」に基づく給付金の請求期限が来年1月15日に迫っていることを受け、被害者や遺族が30日、国に給付金の支払いなどを求め、東京や大阪、福岡など全国5地裁に一斉提訴した。
 同法は、血液製剤の投与でC型肝炎ウイルスに感染した被害者を救済す るため、2008年1月に施行。当初の請求期限は13年1月だったが、法改正で5年延長された。被害者側が提訴した上で投与と症状の因果関係などが認めら れれば和解が成立するなどし、国と製薬企業から1人当たり計1200万~4000万円の給付金が支給される。
 原告側は被害者は1万人以上とみているが、厚生労働省によると、今年9月末時点で和解などをした人数は2293人にとどまる。
 提訴後に都内で記者会見した原告側弁護団は「被害者は相当数いる。未請求の患者や遺族は病院や弁護団に問い合わせてほしい」と呼びかけ、同法の請求期限の延長も訴えた。

定期予防接種でミス6602件…対象外の人に接種など indexへ

 全国の市区町村で行われる定期予防接種で、対象外の人に接種するなどのミスが2016年度は6602件に上ったことが、厚生労働省の調べでわかった。
 前年度より7%(434件)増え、報告制度が始まった13年度以降で最多となった。健康被害は確認されていない。16年10月から、乳児を対象にしたB型肝炎ワクチンが新たに定期接種になるなど、全体の接種回数が増えた影響とみられる。
 ミスは、接種の間隔を間違えたものが3475件で最も多く、接種回数の間違いなどによる不必要な接種が797件、対象でない人への接種が549件。使用済みの注射器を別の人に使うなど、血液感染につながりかねない重大なミスは11件あった。

「空き特養」一括検索…西多摩54施設がサイト indexへ

 東京都西多摩地域の8市町村にある特別養護老人ホーム(特養)54施設が連携し、検索ウェブサイト「西多摩特養ガイド」を開設した。
 特養に入所できず待機している人は都内で3万717人、全国では約36万人(昨年4月時点)に上るが、整備が進んだ同地域では空きのある施設も多く、担当者は「待ちくたびれている高齢者や家族に利用してほしい」と呼びかけている。
 あきる野市や青梅市、羽村市などの西多摩地域は、都心から車や電車で約1時間と比較的近く、近隣県からの利用も可能だ。
 サイトでは、入所までにかかる期間や、 看取り対応などの条件で簡単に検索できる。複数の施設に一括で入所を申し込める。30日時点で、入所までの期間の目安は、「すぐに可能」が4施設、「1か月以内」が12施設、「3か月以内」が21施設となっている。
 面会に来る家族のために、駅から無料送迎がある施設なども明記、近隣の観光情報も掲載している。
 自治体が特養の情報サイトを運営している例はあるが、市町村を越えて複数の施設が協力するのは珍しい。8市町村にある全64施設中、54施設と参加率も高い。
 西多摩地域の特養の定員は約7000人で、65歳以上人口の6・4%と整備が進んでいる。一方、地価の高い東京23区では、1・2%の約2万5000人にとどまる。杉並区が、地価の安い静岡県南伊豆町に特養を整備するといった動きもある。
 サイト担当の前田卓弥さん(32)は「西多摩の特養にはベテランの介護職員も多い。もっと目を向けてほしい」と強調している。
 淑徳大の結城康博教授(社会保障論)は、「特養の待機状況は地域差が大きい。大阪や名古屋などの大都市周辺でも同様の取り組みが広がれば、今ある施設の有効活用につながる」と話している。
 詳細は、西多摩特養ガイド(http://www.nishitama.jp/)へ。

無痛分娩事故、院長を不起訴…地検「十分な証拠の収集に至らず」 indexへ

 京都府京田辺市の産婦人科医院で2012年11月、出産の痛みを麻酔 で和らげる無痛分娩(ぶんべん)をしたロシア国籍の女性(40)と生まれた長女(4)が脳に重い障害を負った事故で、京都地検は業務上過失致傷容疑で書類 送検された男性院長(55)を27日付で不起訴(嫌疑不十分)にした。
 同容疑の公訴時効(5年)の成立が11月に迫っており、地検は「過失を認定するに足りる十分な証拠の収集に至らなかった」としている。

再使用禁止の医療機器を使い回し、大阪府立4病院で indexへ

 大阪府立病院機構は27日、再使用が禁じられている医療機器を使い回した疑いのある手術が2015年1月以降、府立4病院で計4619件実施されていた、と発表した。健康被害は確認されていないという。
 同機構によると、大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)で2204件、大阪はびきの医療センター(羽曳野市)で1961件、大阪国際がんセンター(大阪市中央区)で435件、大阪母子医療センター(和泉市)で19件の使い回しがあったとみられる。
 再使用していた医療機器は、白内障手術に使う止血器具や、内視鏡手術用のメスなど。40回程度使っていたケースもあったという。
 同機構は、洗浄や滅菌などの処理を毎回行っていたとし、「いずれも安 全性と耐久性に問題がなかったため、現場の医師らがまだ使えると判断した」と釈明している。医療機器の再使用を巡っては、今年8~9月、兵庫医科大病院 (兵庫県西宮市)や大阪市立大病院(阿倍野区)で相次いで発覚し、厚生労働省が9月、再使用しないよう徹底する通知を全国の知事宛てに送付していた。

岐阜・土岐市立病院で違法残業…医師ら216人に最高490万円未払い indexへ

 岐阜県土岐市は24日、市立総合病院が、時間外労働に関する労使協定を結んでいないのに医師や看護師ら職員に法定労働時間を超える労働をさせ、賃金の一部を支払っていなかったとして、多治見労働基準監督署から是正勧告を受けたと発表した。
 同病院は是正措置を同労基署に報告し、今年3月までの2年間で未払いとなっている計216人分の深夜・時間外の割増賃金計約1億1595万円を、遅延損害金も含めて12月に支払うとしている。
 市によると、同労基署が今年4月に実施した立ち入り調査で、電子カルテのログイン記録などから、法定労働時間を超えて労働をさせていたことが判明。1人あたりの未払い額は、最高で490万円に上った。
 また、労基署の許可を得ずに宿直勤務をさせていたほか、機器や外来診療の準備のため、始業時刻の約30分前に出勤するのが常態化していたことも明らかになったという。
 同病院は「職員の時間外労働の適正な運用を進めるとともに、管理を徹底し、時間外労働の縮減にも取り組む」などとしている。

医療器具使い回し、新たに歯科口腔外科患者1531人に…大阪市立大病院 indexへ

 大阪市立大病院が再使用を禁じられた手術用医療機器を使い回していた問題で、同病院は20日、新たに歯科 口腔外科で患者計1531人に対し、使い捨て器具の再使用が判明したと発表した。
 滅菌処理後に使い、健康被害の報告はないという。
 同病院では今年9月、手術で骨に穴を開けるドリルバーなどの使い回しが発覚し、内部調査を行った。新たに再使用がわかったのは、虫歯の治療でセメントを 充填する器具のシリコーン製のノズル部分など4種類。
 一方、手術用医療機器の再使用は17年8月までの約2年間で、整形外科など7診療科の患者計84人に対して行われていたと判明。ドリルバーや骨を切断するブレードのほか、脳手術で血管を挟むクリップ53種類を使い回していた。
 これらは感染を防ぐためメーカーが再使用を禁止し、厚生労働省も再三、順守するよう通知。同病院は「通知は認識していたが、現場では、滅菌しているので感染はないという甘い認識だった。今後は管理を徹底したい」と陳謝した。

名大病院、がん見逃し男性死亡…医師がCT報告書確認せず indexへ

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市)は19日、患者に大腸がんの疑いがあると指摘したコンピューター断層撮影法(CT)の画像診断報告書を担当医らが確認しなかったために治療が約7か月遅れ、患者が死亡したと発表した。
 同病院でがんを見落とされた患者が死亡した医療ミスの公表は2015年12月以降、4例目。病院側は既に遺族に謝罪しており、損害賠償に応じるという。
 発表によると、死亡したのは、愛知県内の50歳代の男性。14年1 月、貧血などを訴えて受診し、胸や腹部をCTで撮影。放射線科医師が「大腸がんの疑いがある」との画像診断報告書を作成したが、撮影を依頼した医師らは報 告書が作成されていたことを知らず、チェックしなかった。患者が同年8月、再度体調不良を訴え、CT検査を受けたところ、がんは大腸以外に肝臓やリンパ節 などに転移し、最も進行した段階の「ステージ4」になっていた。同病院で手術を受けるなどしたが、昨年9月に死亡した。
 外部の専門家を交えた同病院の調査委員会は、「発見が遅れて生存率が下がったと考えられる」と結論づけた。19日に記者会見した石黒直樹院長は、「情報共有不足がもとで患者の死亡事故を繰り返し、申し訳ありません」と謝罪した。

ブラシの毛混入・保存液濃度が規格に合わず…コンタクト3万箱を自主回収 indexへ

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは18日、コンタクトレンズで不具合が見つかったため、一部を自主回収すると発表した。回収するのは「アキュビュー アドバンス」など4製品で、約3万箱に上る。
 金属製のブラシの毛が混入していたほか、保存液の濃度が規格に合っていなかったという。現在のところ、健康被害の報告はないとしている。問い合わせは、同社の回収受付センター(0120・235・016)。

結核で70代男性死亡=病院で集団感染-京都 indexへ

 京都府宇治市の宇治おうばく病院は6日、入院患者12人が結核に感染し、うち70代の男性1人が死亡したと発表した。発病した患者は転院し、治療中という。
 同病院などによると、男性は7月28日に死亡。同室の患者や職員ら計77人を検査した結果、他に11人が感染し、うち7人が発病していたことが判明した。今後、退院患者を含め、男性と接触した人の健診を進めるという。

酸素不足1時間以上続く 大阪の無痛分娩死、院長書類送検 indexへ

 大阪府和泉市の産婦人科医院で1月、無痛分娩で出産した長村千恵さん(当時31)が死亡した事故で、長村さんが息苦しさを訴えてから救急搬送されるまで、同院内で少なくとも1時間以上、体内に酸素が不足する状態だったとみられることが6日、捜査関係者などへの取材で分かった。長村さんは呼吸困難で意識不明となり、別の病院に搬送されたが、10日後に低酸素脳症で死亡した。
 無痛分娩で出産した女性が死亡する事故があった老木レディスクリニック(6日午前、大阪府和泉市)
 府警和泉署は6日、長村さんの容体急変後に救命措置を怠った疑いがあるとして、「老木レディスクリニック」(和泉市)の老木正彰院長(59)を業務上過失致死容疑で書類送検した。大阪地検が今後、起訴の可否を判断する。
 捜査関係者などによると、院長は長村さんに対し、1月10日午後3時20分、脊髄を保護する硬膜の外側に細い管を入れ麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を開始。約12分後に長村さんが「息がしにくい」と訴えたため酸素マスクを装着したが、その後、意識レベルが低下した。
 院長は器具を使った人工呼吸を2度試みたが、酸素が漏れるなどしてうまくいかず、喉に管を通す気管挿管にも失敗。長村さんが息がしにくいと訴えてから約1時間後の午後4時38分に救急隊が到着したが、この間、酸素が不足する低酸素状態だったとみられる。
 老木院長の書類送検容疑は、無痛分娩の施術中、長村さんが呼吸困難を訴えるなどしたのに、全身の神経に麻酔がかかる「全脊髄麻酔」の状態に陥ったことを見逃したうえ、別の方法での人工呼吸などをせず、長村さんを死亡させた疑い。
 府警によると、老木院長は任意の調べに「(長村さんの)容体の変化の速さに対応が追いつかなかった」と説明しているという。

無痛分娩事故で書類送検 大阪の医師、過失致死疑い 31歳女性死亡 indexへ

 大阪府和泉市の産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック」で1月、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべ ん)」で出産した長村千恵(ながむら・ちえ)さん=当時(31)=が死亡した問題で、和泉署は6日午前、適切な処置を怠ったとして業務上過失致死の疑い で、院長の老木正彰(おいき・まさあき)医師(59)を書類送検した。
 無痛分娩を巡っては、京都府京田辺市や神戸市西区の医院などで、 誤った処置により母子が障害を負ったり、亡くなったりする事故が相次いで発覚。日本産婦人科医会によると、2010年以降で妊婦14人が死亡し、厚生労働 省が実態把握を進めている。医師の刑事責任が問われるのは異例。
 捜査関係者によると、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとみられる。
 書類送検容疑は今年1月10日、長村さんの脊髄近くの「硬膜外腔(くう)」へ局所麻酔を実施。誤って管を奥まで刺し、麻酔が効き過ぎて呼吸不全で意識不明になったのに、人工呼吸などを適切に実施せず、同20日に低酸素脳症で死亡させた疑い。
 子どもは帝王切開で無事に生まれた。
 和泉署によると、老木医師は適切な人工呼吸を怠ったことはおおむね認め、「容体の変化の速さに対応が追いつかなかった」と話している。
 処置中は老木医師や看護師らが交代で容体を観察。麻酔の投与後に長村さんが呼吸困難を訴えたが、老木医師は定期的な血圧測定など麻酔の効き具合の確認を十分にしていなかったという。
 書類送検されたことについて、老木医師は6日の取材に「コメントできない」としている。
 ※無痛分娩(ぶんべん)
 陣痛や分娩の痛みを麻酔で和らげる手法で、痛みを脳に伝える脊髄に近い「硬膜外腔(くう)」に細い管で麻酔薬を注入するのが一般的。子宮の収縮に影響はな く、赤ちゃんを押し出そうといきむこともでき、通常より体力の消耗が少ないなどの利点がある。一方で、まれに麻酔の誤注入や効き過ぎにより、低血圧や呼吸停止などの副作用が生じる恐れもある。
 
死亡患者4人から緑膿菌 千葉大病院 indexへ

 千葉大病院(千葉市)は5日、8月下旬以降に死亡した入院患者4人から多剤耐性緑膿(りょくのう)菌が検出されたとホームページで発表した。「患者は重篤な状態で治療していた」としており、死亡との関連を調べている。感染拡大を防ぐ対応をし、関係機関に報告したという。
 山本修一(やまもと・しゅういち)病院長は「このような事態となったことを重く受け止め、原因究明と再発防止に取り組んでいる。ご心配をおかけし、心よりおわび申し上げる」とのコメントを掲載した。
 多剤耐性緑膿菌は、複数の抗生物質が効かず、免疫力が弱まった高齢者らが感染すると死亡することもある。
 
京大病院で濃度700倍超製剤、点滴の患者死亡 indexへ

 京都大医学部付属病院(京都市)は3日、通常の700倍を超す高濃度の製剤を自宅で点滴投与した60歳代の女性患者が死亡したと発表した。
 同病院は、調剤のミスを認め、女性の遺族に謝罪。京都府警と厚生労働省に届け出るとともに、院内に調査委員会を設置し、詳しい経緯などを調べる。
 発表によると、処方されたのは「セレン注製剤」。セレンは体内に欠かせない微量元素で、不足すると、免疫反応や神経系に悪影響が出るため、点滴などで投与する。血中濃度が濃くなりすぎると、内臓疾患などを引き起こすという。
 女性は同病院に外来で通っており、同製剤の処方を受けて9月26日夕に自宅で点滴。背中に痛みを覚え、翌27日朝に受診したが、数時間後に死亡した。同病院は病理解剖して死因を調べている。
 
科学的根拠乏しい「免疫療法」がん拠点15病院で実施…保険外、効果未知数 indexへ

 がんの専門的な診療を担う国指定の434拠点病院のうち、科学的根拠が乏しく、保険が利かないがんの免疫療法が、2015年に少なくとも15病院で行われていたことが、読売新聞の調べで分かった。
 各拠点病院(がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院)が国に提出した「がんに関する保険外診療の実施状況」の資料から、免疫療法の実施状況を集計した。
 これらの診療を1人以上の患者に行っていた拠点病院の都道府県別内訳 は、茨城2、東京1、大阪2、岡山2、山口2、愛媛1、福岡2、宮崎1、鹿児島2。がんを攻撃する免疫力を高めるとする治療法が多い。治療費はまちまちで 「通常は5回実施157万5000円」と公表している病院もある。ただ、こうした治療を行う拠点病院のすべてが実施を報告しているわけではなく、実態は不 明だ。
 中には、患者の費用負担がほとんどない臨床研究として行う大学病院も 含まれている。国立がん研究センターの若尾文彦・がん対策情報センター長は「保険適用を目指した臨床研究は進めてほしい。だが、拠点病院には科学的根拠が 確立された治療を普及させる役割があり、効果が証明されていない免疫療法を安易に導入すべきではない」と話している。 厚労省、実態調査へ
 国が指定するがん診療の拠点病院の一部で、治療効果が確認されていな い免疫療法が実施されていることについて、加藤厚生労働相は3日の閣議後記者会見で、「どういう形で実施しているのか、速やかに調査したい」と述べ、近く 実態調査を行うことを明らかにした。厚生労働省によると、調査対象は全国に434ある拠点病院すべて。厚労省は、2019年度から適用する拠点病院の新し い指定要件について、有識者検討会で議論をしており、18年春頃に結論を出す方針だ。
歯科の医療機器使い回し「対策不十分」…厚労省、都道府県に指導依頼 indexへ

 歯を削る医療機器が患者ごとに交換されず、使い回されている問題で、厚生労働省は、歯科医療機関に滅菌などの院内感染対策の徹底を周知するよう、都道府県などに通知を出した。
 「ハンドピース」と呼ばれる歯を削る医療機器は、治療時に口に入れるため、唾液や血液が付きやすく、院内感染対策が講じられないとウイルスなどを次の患者にうつす心配がある。
 そのため日本歯科医学会の指針は、患者ごとに機器を交換し、高温の蒸 気発生装置で滅菌するよう定めている。しかし、今年5月に公表された厚労省研究班のアンケート結果によると、「ハンドピースを患者ごとに交換し滅菌してい る」と回答した歯科医療機関は52%にとどまった。
 通知では、「依然として院内感染対策の取り組みの徹底が不十分」とした上で、都道府県などに対し、必要に応じ滅菌の指導を行うよう依頼した。
 また、衛生管理を重点項目として保健所が立ち入り検査を行い、対策が不十分なことが分かった歯科医師に徹底した指導を行い、厚労省に報告することも求めた。
 
白血病治療薬「グリベック」投薬中止しても再発せず…患者の6割以上、3年間 indexへ

 慢性骨髄性白血病の治療薬「グリベック」を長期間服用し、症状が出なくなった「寛解」状態の患者68人に投薬を中止したところ、6割以上が3年間再発しなかったとの臨床試験の結果を、秋田大などの研究グループがまとめた。
 国内で長期間、薬の中止後も再発がないことを確認できたのは初めて。
 慢性骨髄性白血病の治療は、薬を飲み続けるのが原則だが、今回の結果を受け、診療指針が見直され、多くの患者が服用をやめられる可能性が出てきた。
 この病気は、骨髄の中にある血液を作る細胞が、遺伝子異常によりがん化して起こる。国内の患者数は1万数千人。2000年代に登場したグリベックなどの分子標的薬により寛解状態を維持できる患者が増加している。しかし薬の自己負担が年間数十万円になることもある。
 試験では、グリベックを3年以上服用し、高精度の遺伝子検査で白血病 細胞が2年以上見つからない患者68人を調べた。14年から国内の26医療機関で投薬を中止。専門医の指導のもと定期的に遺伝子検査を行ったところ、43 人(63%)は3年間再発がなかった。再発した25人(37%)も服用を再開したところ、全員が寛解状態に戻った。
 研究をまとめた高橋直人・秋田大教授(血液内科)は「服薬を長期間続けて状態の良い患者は、高い確率で薬をやめられることが分かった。ただ、自己判断で中止するのは危険なのでやめてほしい」と話している。
 
犯罪などが明らかになった医師と歯科医、21人を業務停止 indexへ

 厚生労働省は21日、犯罪などが明らかになった医師と歯科医師計21人の行政処分を発表した。最も重い免許取り消しは該当者がなく、千葉大医学部の学生による集団強姦事件で、準強制わいせつ罪で執行猶予付きの有罪判決が確定した医学部付属病院の元研修医・藤坂悠司医師(31)らが、3年~3か月の業務停止処分を受ける。処分の発効日は10月5日。
 21日に開かれた同省の医道審議会医道分科会に計30人の審査が諮問され、答申を受けて処分内容が決まった。処分を受ける21人以外の9人は厳重注意となった。
 業務停止1年以上の処分を受けた医師・歯科医師は次の通り。(敬称略、カッコ内は当時所属していた機関と所在地)
 【医業停止3年】細村幹夫(北茨城市民病院、茨城県北茨城市)▽藤坂悠司(千葉大医学部付属病院、千葉市)
 【歯科医業停止3年】畑山佳之(畑山歯科医院、京都市)
 【同1年6月】宮島恒一(共立歯科医院、横浜市)
 
厚労省、医療機器の使い回し禁止を通知 indexへ

 厚生労働省は21日、再使用が禁じられている医療機器を使い回さないよう求める通知を、都道府県知事あてに出した。
 兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)や大阪市立大学病院で今年8~9月、手術用ドリルの先端部分などの再使用が相次いで発覚したため。
 感染防止や医療安全の確保のため、「特段の合理的な理由がない限り再使用しないこと」としている。厚労省は2004~15年にも、再使用禁止を求める通知を計3回出している。
 
千葉大病院元研修医は医業停止3年、医道審議会 indexへ

 厚生労働省は9月21日、医道審議会医道分科会の答申を受け、医師、歯科医師合わせて21人(医師13人、歯科医師8人)の行政 処分を決定した。厚労省からの諮問は計30人で、残る9人は行政指導の「厳重注意」だった。処分の発効は10月5日付。千葉大学医学部の学生が飲み会に参 加した女性を集団で乱暴したとされる事件で、同大医学部附属病院の研修医だった男性医師は医業停止3年だった。
 この男性医師は、「2016年9月に同大医学生2人と共謀の上、女子トイレにおいて、女性が飲酒酩酊のため抗拒不能の状態であることに乗じ、その 口に接吻し、その乳房および陰部を手で触るなどし、もって女性の抗拒不能に乗じ、わいせつな行為をした」とされた。準強制わいせつ罪に問われ、2017年 3月30日に千葉地裁で懲役2年執行猶予3年の有罪判決が出ている。
 医師では医業停止3年は計2人で、もう一人は2016年に覚醒剤取締法違反で逮捕、その後、懲役2年執行猶予3年が確定した埼玉県の男性医師だった。
 長野、愛知両県内でレーザー脱毛などの医行為を行う診療所を不正に開設したとして医療法違反の罪で懲役6月執行猶予2年となった男性医師は医業停止9月。関連して名古屋市内の医師4人も医業停止3月(いずれも同法違反の罪で罰金30万円が確定)となった。
 わいせつ関連では埼玉県の男性医師が公然わいせつ罪で医業停止5月(2003年にも公然わいせつで医業停止3月の処分歴)、宮崎県の男性医師が児 童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)で医業停止4月、福島県の男性医師が県迷惑行為防止条例違反(盗撮)で医業停止3月だった。
 道路交通法違反では、佐賀県の男性医師が飲酒、過失運転致傷で医業停止6月。神奈川県の男性医師も飲酒運転で医業停止5月だった。
 診療報酬の不正請求では、札幌市の男性医師が医業停止3月だった。
 群大執刀医ら、「今回は対象とせず」
 群馬大学医学部附属病院での腹腔鏡手術で死亡が相次いだ問題では、遺族らが執刀医と元診療科長への行政処分を要望している(『遺族ら医師の行政処分要望「反省せず自己保身に終始」群大腹腔鏡事故』を参照)。医政局医事課長の武井貞治氏は「行政処分の対象になるかどうか、注意義務違反が認められるか、今後精査したいと考えている。今回の答申対象には含まれていない」と説明した。
 【2017年9月21日の行政処分の内容】
 人数:医師13人、歯科医師8人
 処分期間
 医業停止3年:医師2人、歯科医師1人
 医業停止1年6月:医師0人、歯科医師1人
 医業停止9月 :医師1人、歯科医師0人
 医業停止6月:医師1人、歯科医師0人
 医業停止5月:医師2人、歯科医師0人
 医業停止4月:医師1人、歯科医師0人
 医業停止3月:医師6人、歯科医師6人
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 厳重注意   : 医師6人、歯科医師3人
 
医療ミス:10倍のモルヒネ投与、女性死亡 水戸の病院 indexへ

 水戸市の水戸済生会総合病院で、拡張型心筋症の手術を受けた茨城県内の女性患者(69)が10倍の量の痛み止め薬を投与され、その後死亡していたことが28日、病院への取材で分かった。病院は医療ミスと認めて遺族に謝罪し、調査委員会を設置して原因を調べる方針。
 病院によると、女性は9月1日に入院し、14日に手術を受けた。女性看護師がその際、痛み止めの塩酸モルヒネを2・5ミリグラム投与するはずが、10倍の 25ミリグラム投与したという。女性はその後、意識不明の重体となり、26日に呼吸不全で死亡した。医師と女性看護師の間で伝達ミスがあったとみられる。
 病院は10月3日に記者会見を開く予定。
 
千葉大集団暴行の医師、業務停止=厚労省 indexへ

 厚生労働省は21日、千葉大医学部の男子学生による集団強姦(ごうかん)事件で準強制わいせつ罪に問われ、有罪判決が確定した同大付属病院の元 研修医藤坂悠司医師(31)=北海道釧路市=について医道審議会医道分科会の答申を受け、業務停止3年の行政処分を決定した。発効は10月5日。
 厚労省は分科会に対し、刑事処分が確定するなどした藤坂氏ら医師・歯科医師30人の処分を諮問。21人を業務停止3年~3カ月に、9人を厳重注意とすることが決まった。最も重い免許取り消しはいなかった。
 
大阪市立大病院、医療用ドリルバーなど使い回す indexへ

 大阪市立大学病院が2015年9月以降、再使用が禁じられている医療機器を約130人の患者に使い回していたことが、同病院への取材でわかった。今のところ健康被害の報告はないとしている。
 同病院庶務課によると、再使用していた医療機器は、骨に穴を開ける 「ドリルバー」42種類と、骨を切断するノコギリ状の「ブレード」9種類。いずれも金属製。ドリルバーは1本約3万円と高価なこともあり、整形外科などの 手術で、洗浄や滅菌処理をして再使用していたという。
 これらの医療機器は、感染を防ぐため、メーカーが再使用禁止を定めており、厚生労働省も04~15年に計3度、都道府県に通知を出してきた。同病院は再使用した患者への説明や謝罪などを検討している。
 
「無痛分娩で死産、子宮摘出」夫婦が順大側提訴 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩を順天堂大順天堂医院(東京都文京区)で受けた際、適切な処置を受けられず死産したなどとして、妊娠していた女性と夫が病院を運営する学校法人順天堂(同 区)や担当医師らに、計約1億4000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。提訴は15日付。原告側代理人が19日、記者会見で明らかにし た。
 訴状によると、女性は2015年2月、第1子の女児出産のため同医院 に入院。無痛分娩と並行して陣痛促進剤を投与され、子宮破裂が発生したが、医師らは兆候を見逃した。女性は約30分間心肺停止して死産し、子宮も摘出され た。原告側は、「早く帝王切開の処置がなされれば胎児は無事で、子宮も温存された」などと主張している。
 順天堂大順天堂医院の話「訴状を見ていないのでコメントできない」
 大学病院で死亡 初の判明  無痛分娩など産科麻酔を巡っては、今春以降、大阪、兵庫、京都、愛知 の各府県の5医療機関(うち1医療機関は閉院)で、妊産婦死亡を含む母子の重大事故が計7件相次いで発覚している。いずれも小規模な診療所などで起きてお り、大学病院での死亡が判明したのは今回が初めて。
 日本産婦人科医会が今年6月に行った初の実態調査によると、無痛分娩 の半数以上は診療所で行われている。しかし、順天堂医院は高度な医療を担う特定機能病院であるだけでなく、専門の麻酔科医が24時間体制で産科病棟に常駐 する環境で無痛分娩ができる国内で数少ない病院の一つだった。
 原告側は19日、特定機能病院の承認を取り消すよう求める要望書を厚生労働省に提出した。
 一連の事故発覚を受け、厚労省は今夏、専門家による研究班を設置。無痛分娩について安全対策の検討を進めている。
自治体がん検診、5割が「実施要領」に不備…国の基準に基づいていない可能性 indexへ

 全国の市区町村のがん検診で、検診の手順やルールを記す「実施要領(仕様書)」が不完全なままの自治体が5割以上あることが、国立がん研究センター(東京)の調査で分かった。検診が国が定める基準に基づいていなかった可能性がある。
 国は、精度の高い検査結果を導くため、胃のバリウム濃度や、便の採取後に潜血検査を行う時間など、細かな検査方法や記録の保存期間を定めている。市区町村や検診機関に対しては、実施要領にそれらを明記するよう求めている。
 同センターは、1737市区町村を対象に、2015年度に行われた検診の実施状況などを尋ね、約8割の自治体が回答した。
 実施要領に関する回答の集計によると、国が求めた通りに方法などを明記していた自治体の割合は、胃45%、大腸43%、肺45%、乳房45%、子宮 頸部45%と、いずれも40%台だった。
 斎藤博・同センター検診研究部長は「規定通りでない検診の場合、がんを見つけられず、死亡率の減少にもつながらない可能性がある」と指摘している。
 市区町村ごとのがん検診の実施状況は10月、同センターのホームページで公表される。
 
「無痛分娩で死産」順天堂大を提訴 女性、一時心肺停止 indexへ

 麻酔でお産の痛みを和らげる無痛分娩(ぶんべん)で子どもが死産したのは医師らの過失が原因だとして、順天堂大順天堂医院(東京)に入院していた女性と夫が、運営する学校法人と医師らに計約1億4千万円の支払いを求めて東京地裁に提訴していたことが19日、わかった。
 提訴は15日。訴状によると、女性は順天堂医院で無痛分娩での出産を予約し、陣痛が始まった2015年2月4日に入院。5日から陣痛促進剤の投与が始ま り、その後、吐き気や下腹部の痛みなどが生じ、6日午後7時ごろから約30分間心肺停止となった。胎児は死産となり、病院側からは子宮破裂と説明された。
 原告側は、陣痛の痛みを消す無痛分娩では、医師や助産師が妊婦の状態を厳重に監視しなければならなかったのに、子宮破裂の兆候を見逃したと主張。女性に説 明のないまま陣痛促進剤を連続投与し、子宮破裂を引き起こした可能性があり、帝王切開のタイミングも逸したとして、胎児の命や母体を守る注意義務に違反し たと訴えた。女性は子宮を全摘し、妊娠できない状態になったという。
 19日に都内で会見した原告側代理人の貞友義典弁護士は「無痛分娩で は先駆け的な病院で被害が生じた。世間への警告の意味もあって提訴した」と話した。順天堂医院は高度な医療を提供する「特定機能病院」に指定されている が、貞友弁護士は同日、「無痛分娩に欠陥があった」などとして、厚生労働省に指定を取り消すよう申し入れた。
 順天堂医院管理課は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい」としている。
 
 
エコノミークラス症候群で死亡8例…足首を前後に動かす運動で予防を indexへ

 医療機関が届け出た死亡事故の調査を行う日本医療安全調査機構が、入院患者らに、肺血栓 塞栓 症(エコノミークラス症候群)予防を呼びかけるマーク=写真=を作成した。
 肺血栓塞栓症は、主に足にできた血の塊が、肺まで移動し、血管を詰まらせる病気。手術後に起きやすい。ベッドで寝ている間、足首を前後に動かす運動などで予防できる。
 同機構は、2015年10月から今年3月末までの間に院内調査報告書がまとまった330例のうち、急性肺血栓塞栓症で亡くなった8例について、再発予防のため、専門部会で分析した。
 医療機関の調査報告書は8例とも、足首の運動に関する記載がなかった。杏林大循環器内科教授で部会長の佐藤徹さんは「患者自身の運動は予防に大切なのに、医療現場で重視されていないおそれがある」と指摘、マークをベッドの近くに掲示することで、医療従事者と患者本人への予防の意識付けを促す考えだ。マーク入りの患者向けの説明用紙は、同機構のホームページ(https://www.medsafe.or.jp/uploads/uploads/files/teigen-02setumei.pdf)で無料で入手できる。
 
群大手術死「自己保身に終始、反省なし」…遺族、医師免許取り消しなど求める indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、遺族会と弁護団は7日、執刀医の 須納瀬豊医師と、上司だった旧第二外科の竹吉泉元教授に対し、医師免許取り消しなどの行政処分を求める要望書を厚生労働省に提出した。
 記者会見した遺族会代表の40歳代の男性は「問題を顧みようとせず、同じことが起こるかもしれない」と処分の必要性を訴えた。
 遺族らが求めたのは、医師免許の取り消しや3年以内の医業停止、戒告といった行政処分。
 遺族は7~8月、医師2人と直接会い、個別に説明を受けた。その際、日本外科学会や第三者の調査委員会などが、手術が適切かどうかの判断や技術、手術前後の患者管理などについて指摘した問題点をほとんど認めなかったという。
 弁護団の梶浦明裕事務局長は行政処分を求める理由について、「自己保身に終始し、反省していない。医師としての職業意識や倫理観を持ってもらうことが必要不可欠だ」とし、医師としての再教育が必要との見解を示した。
 遺族会代表の30歳代の男性は、「遺族の思いがまったく伝わっていないと感じ、このまま医師として働いてほしくないと思った。人間としての倫理観が欠けていると感じた」と憤った。
 
ポテトサラダO157感染、総菜店再開…サラダ類販売は見送り indexへ

 埼玉、群馬両県の総菜販売「でりしゃす」系列店でポテトサラダなどを購入した人が腸管出血性大腸菌O(オー)157に感染した問題で、8月下旬から休業していた全17店舗が、衛生管理態勢の見直しを行ったとして、7日から営業を再開した。
 運営会社「フレッシュコーポレーション」(群馬県太田市)によると、全店の厨房(ちゅうぼう)を改良工事し、サラダ専用の調理スペースを設置。サラダなど加熱しない総菜の量り売りをやめ、パック詰めで販売する。店内でアルコール消毒液の設置場所も増やした。
 ただし、同社は再開初日、「感染が広がった原因が分かっていない」などとして、全店でサラダ類の販売を見送った。
 
「焼肉酒家えびす」ユッケ集団食中毒、和解成立…1億円を119人に分配 indexへ

 2011年に富山、福井両県で計5人が死亡した「焼肉酒家えびす」の ユッケ集団食中毒事件で、運営会社「フーズ・フォーラス」(東京都千代田区、特別清算中)と被害者8人が、肉の納入業者「大和屋商店」(東京都板橋区)に 約3億1000万円の損害賠償を求めた訴訟は7日、金沢地裁(大嶺崇裁判長)で和解が成立した。
 大和屋商店が被害者側に陳謝し、加入していた保険から約1億円を被害者や遺族計119人に分配する。
 
所沢の焼き肉店、客4人からO157…ポテトサラダとは異なる型 indexへ

 埼玉県は6日、同県所沢市和ヶ原の焼き肉店「焼肉肉匠もりやす」で8月12日と15日にローストビーフや焼き肉の盛り合わせなどを食べた1~91歳の男女7人が下痢や腹痛などの症状を訴え、うち4人から腸管出血性大腸菌 O157を検出したと発表した。
 いずれも入院しておらず、全員が快方に向かっているという。
 県食品安全課によると、埼玉、群馬両県の総菜店でポテトサラダを購入して食べた患者から検出されたO157とは異なる遺伝子型だった。埼玉県の狭山保健所は、同焼き肉店を6日から3日間の営業停止処分とした。
 
エコノミークラス症候群:入院中に死亡8件 医療事故調査 indexへ

 医療死亡事故を再発防止に生かす医療事故調査制度で、今年3月までに原因調査を終えた330件のうち、入院中にベッドで寝ていたことによる急性 肺血栓塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)が原因のものが8件あったことが、第三者機関「日本医療安全調査機構」のまとめで分かった。同機構 は、患者自身も予防に努めることが重要として、ベッド上で足首を動かすよう呼びかける「患者参加型」の提言をまとめた。
 同症は、血の塊(血栓)が肺の血管に詰まり、呼吸困難や動悸(どうき)を起こす病気。狭い機内や車内で同じ姿勢を長時間続けると発症することで知られる。
 機構の分析部会(部会長=佐藤徹・杏林大学教授)が8件の死亡事故の院内報告書を分析したところ、骨折(整形外科)や脳腫瘍摘出(脳神経外科)、統合失調症(精神科)など領域が広く、入院中に誰にでも起こりうるとして予防法を探った。
 医療現場では、足に圧力を加える医療用ストッキングの着用などの予防法が取られている。しかし、今回の調査対象の中には骨折による痛みで着用でき ない例があった。また、初期の症状が「息苦しい」「胸が痛い」など他の病気と区別しにくく、重症化してからや死亡後の解剖で判明することが多い。
 このため部会は、医療従事者は、発症の可能性を認識するとともに、患者自身もリスクを知り、早い段階で気づくことがポイントだと判断。予防の効果を高める ため、患者自ら足首を動かすことを勧める提言をまとめた。機構の木村壮介・常務理事は「これまで突然起きる病気とみられていたが早期の特徴がある。患者は 我慢しないで看護師らに伝えてほしい」と呼びかけている。
 医療事故調査制度は2015年10月に始まり、すべての死亡事故について機構への報告と、院内調査を義務づけている。
 ◆エコノミークラス症候群の特徴と予防法
 ・入院したベッドで、足の血の流れが悪くなり、血の塊ができやすくなる。その塊が肺の血管に詰まって、突然、呼吸困難などを起こす。
 ・予防には、足首を前後に動かして、ふくらはぎの血流を良くする。足の筋肉が動き、血の巡りが良くなる。
 ・息苦しさ、胸痛、動悸、足の痛みなど、いつもと違う症状があった時は、医師や看護師に伝える。
 (日本医療安全調査機構の資料から作成)
 
異例の事態!…同型O157、感染源特定できないまま11都県に広がる indexへ

 埼玉、群馬両県の総菜販売店でポテトサラダなどを購入した人が腸管出血性大腸菌 O157に感染した問題で、両県を含め、関西など計11都県の患者から同じ遺伝子型のO157が検出されたことが、厚生労働省への取材でわかった。同省によると、感染源が特定できないまま、同じ型の菌が広がるのは異例の事態という。
 「特定は困難」
 厚労省によると、埼玉、群馬県の患者から検出されたのは、「VT2」と呼ばれる毒素を出すタイプのO157。このタイプによる患者の報告件数は8月14~20日の1週間で計144件に上り、過去5年で最も流行した昨年8月15~21日の123件を超えたことがわかった。
 さらに、国立感染症研究所の検査の結果、東京、神奈川、千葉、埼玉、 群馬、栃木、長野、新潟、滋賀、三重、香川の計11都県の患者から検出された菌が遺伝子型まで一致。感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長 は、「基本的には同一の感染源だと考えられるが、患者の動きや食材の情報などをきちんと調査して判断することが重要だ」と話す。
 また、東北大の 賀来満夫教授(感染制御学)は「O157は人間や動物の体内など様々な場所で生息できるため、そもそも特定するのが難しい」と話す。牛の腸の中などにすんでいる菌が、調理や流通の過程で様々な食材に移る可能性もあり、そうなれば特定はさらに困難になるという。
 感染ルートについて厚労省は、〈1〉特定の食品などが感染源となって広く流通している〈2〉汚染源の食品を食べるなどして感染した人が調理をし、菌が広がる――などが考えられるという。
 詳細調査が必要
 厚労省の担当者は「原因が特定できず、同じ遺伝子型の菌が広がる異例の事態だ。早期に感染源を特定する必要がある」と話す。
 同省は1日付で都道府県などに対し、詳細な調査を求める通知を出し た。具体的には、同タイプの菌を確認した場合、発症前1週間の食事の内容やプール利用の有無など患者の詳細な行動を確認するよう求めた。報告された情報に ついては、国立感染症研究所で分析し、共通する食材や経路の特定につなげたい考えだ。
 新学期が始まり、給食が再開されることから、同省では、給食を調理する事業者などに感染予防の指導を徹底することも求めている。
 「衛生管理に問題」
 埼玉、群馬県によると1日までに、両県の総菜販売「でりしゃす」系列店で購入したポテトサラダやマリネなどの総菜を食べた計20人がO157に感染したことが確認された。
 各自治体の保健所は、総菜を販売した店舗や食品加工会社などを調べたが、食品サンプルや従業員、調理施設からO157は検出されなかった。前橋市保健所は、「店の衛生管理に問題がある」と指摘したが、感染源は特定されていない。
 
群大改革、調査委が評価…手術死問題、患者参加は不十分 indexへ

 群馬大学病院(前橋市)の手術死問題で、第三者による調査委員会に対 する病院の改革達成状況の報告会が1日、同病院で開かれた。病院幹部と記者会見した上田裕一委員長(奈良県総合医療センター総長)は、「調査報告書で示し た改革提言の8割近くが90%以上の達成率」として診療体制や職員の意識改革を評価した。電子カルテ情報の共有など患者参加の促進は不十分で、課題も残っ た。
 同病院は2014年の問題発覚後、第一、第二に分かれていた外科を統合するなど改革に取り組んできた。その後の16年7月に公表された報告書は、さらなる改革を提言し、1年後の報告を求めていた。
 一連の問題を巡っては、手術前や患者の死亡後に十分な症例検討がないことが指摘されたが、現在は積極的に実施。集中治療室(ICU)での合併症や死亡した患者の症例検討会は、診療科や職種の垣根を越えた職員が参加している。
 医療事故やその一歩手前のヒヤリハット報告も盛んになり、医師からの報告が一般的な病院より多い年800件以上に上った。長尾 能雅委員(名古屋大教授)は、安全意識の向上を評価し、「想像を超えて改善された部分もあった。他の大学病院が置いていかれるのではと思った」と語った。
 患者参加の促進は不十分だ。報告書では、入院中の患者や家族が電子カルテを閲覧できるシステム整備が提案されたが、コストがかかるため進んでいない。治療方針を話し合う会議に患者や家族が参加する仕組みも実現していない。
 会見で委員から、カルテ開示が可能なことを積極的に知らせるとともに、治療方針検討の場への患者参加の実現を求められ、田村 遵一病院長は「近く行うよう約束する」と明言した。
 遺族会代表の男性は、読売新聞の取材に対し、「患者参加の推進は、しっかり進めてほしい。患者や家族が情報を知り、関わることが、医師の意識改革にもつながると思う」と話した。
 同病院では、旧第二外科で10~14年に肝臓の 腹腔鏡手術を受けた患者8人が、術後約3か月以内に死亡し、肝臓や 膵臓の開腹手術でも死亡が相次いだ。
 
無痛分娩巡る事故で重い障害、男児も死亡…1歳11か月で indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩を巡り、神戸市西区の診療所で2015年に起きた事故で、重い障害を負って誕生した男児が今月15日に亡くなっていたことがわかった。1歳11か月だった。読売新聞の取材に遺族が明らかにした。同じく重い障害を負い意識不明だった母親は今年5月に35歳で死亡している。
 事故は15年9月、おかざきマタニティクリニックで起きた。母親が、無痛分娩の麻酔薬を注入された直後に急変。搬送先の大学病院で帝王切開により男児を出産したが、母子ともに意識不明の寝たきりになった。
 遺族によると、母親の死亡後も男児は別の病院に入院していたが、脳障害が深刻で、肺炎を起こすなど重篤な状態が続いていた。
 
さい帯血、延べ100人投与か…無届け疑い・医師ら6人逮捕 indexへ

 他人のさい帯血を使った再生医療が無届けで行われていた問題で、愛媛、京都、高知、茨城4府県警の合同捜査本部は27日、茨城県つくば市のさい帯血販売会社「ビー・ビー」社長・篠崎 庸雄(52)(つくば市)、医師で東京都渋谷区の「表参道首藤クリニック」院長・ 首藤紳介(40)(東京都品川区)両容疑者ら男女6人を再生医療安全性確保法違反(計画未提出)容疑で逮捕した。同法違反での摘発は全国で初めて。
 捜査本部は、延べ約100人の患者に無届け投与され、少なくとも約3億円が容疑者側に流れたとみて全容解明を進める。
 
「言語道断!『命の綱』を美容目的の高値で…」さい帯血無届け投与に怒り indexへ

 無届けのさい帯血投与事件で、医師や、さい帯血提供業者らが27日に逮捕されたことを受けて、治療を受けた患者の家族や再生医療の学会からは怒りの声が上がった。
 「末期がんだった夫は、少しでも効果があればと希望を抱いていた。逮捕という事態にショックを受けている」
 東京都内の内科クリニックで昨年3月、さい帯血の投与を受けた関東地方の男性(当時70歳代)の妻は、怒りをあらわにした。
 末期がんを患っていた男性は、坪秀祐容疑者が実質運営する京都市の京 都健康クリニックのホームページを見て、さい帯血を使った治療を知った。医師でもない坪容疑者が「さい帯血はがん細胞を攻撃する」と勧める姿に、妻は不信 感を抱いたが、男性は300万円以上を支払って投与を受けた。男性は今年5月、がんのため亡くなった。妻は「本当にがん治療に効果があると思っていたの か。正直に話してほしい」と訴える。
 さい帯血は、白血病や悪性リンパ腫など血液がんの治療に使用され、大 きな治療成果が出ている。全国がん患者団体連合会理事長で、悪性リンパ腫の患者でもある天野慎介さんは、「さい帯血は血液がん患者にとって『命の綱』だ。 それを営利目的で高値で売買し、効果が不明な美容などに使われていたとすれば言語道断だ」と憤る。
 日本再生医療学会によると、クリニック院長の首藤紳介容疑者は学会の会員で、再生医療の制度を学ぶセミナーにも参加していた。同学会の澤芳樹理事長は読売新聞の取材に、「会員による違法な行為は遺憾で許し難い。会員の医師には法の順守の徹底を求めていく」と話した。
 
群大執刀医の処分要望へ…遺族ら「反省の色ない」 indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、執刀医の 須納瀬豊医師と、上司で旧第二外科の竹吉泉元教授による遺族への説明会が26日終了し、遺族会と弁護団が群馬県庁で記者会見した。遺族会は「反省の色がない」とし、早ければ今週にも、2人に対し医業停止などの行政処分を求める要望書を厚生労働省に提出すると発表した。
 説明会は7月30日に始まり、出席した8組の遺族に対する全体的な説明の後、計3日間で各遺族に対する個別説明が行われた。
 須納瀬医師や竹吉元教授との直接の面会は、遺族と弁護団が求め続け、約2年越しで実現。そのこと自体は「高く評価する」とした。しかし、個々の診療行為や上司としての監督のあり方について謝罪はなく、全体的な内容には「失望した」(遺族会代表)という。
 遺族らによると、2人ともカルテの記載が不十分だったことだけは認めたが、患者への説明や、術後の管理などには落ち度を認めず、当時の病院の体制では出来る限りの努力をしたという説明だった。
 弁護団の独自調査や日本外科学会による検証では、須納瀬医師の技術上の問題が指摘されていたが、このことについては「元教授らはむしろ技術が高いという認識だった」(弁護団の梶浦明裕事務局長)という。
 指摘されてきた問題点を認める姿勢が見られなかったことで、遺族会と弁護団は、「再発防止の観点から、行政処分を受けて再教育する必要がある」と判断した。
 また、問題を認めて謝罪し、補償の意向を示している大学側とは今後、前向きに交渉を進めることを表明。刑事告訴についても引き続き検討する意向を示した。
 遺族会代表の30代男性は、「しっかりした謝罪があれば処分を求めたくはなかったが、執刀医や元教授の態度や発言から、そうせざるをえないというのが遺族会の結論だ」と話した。
 群馬大病院を巡っては、旧第二外科で肝臓の 腹腔鏡手術を受けた患者8人が、術後約3か月以内に死亡していたことが2014年に発覚した。その後、肝臓や 膵臓の開腹手術でも、患者の死亡が相次いだことがわかり、第三者の調査委員会による調査が行われた。
 
「医師側に反省の言葉なし」 群馬大病院患者死 遺族会と弁護団が国に執刀医ら処分要請 indexへ

 群馬大病院で同じ男性医師(退職、懲戒解雇相当)の手術を受けた患者が相次ぎ死亡した問題で、遺族会と被害対策弁護団は26日、県 庁で会見し、男性医師と当時の上司(旧第2外科診療科長)に対し、戒告か3年以内の医業停止の行政処分を厚生労働省に求めることを明らかにした。来週にも 同省に出向き、要望書を提出する。 
 前例のない数の患者の生命が失われたとして、再発防止のために再教育を施すことも求める。
 ただ、刑事訴訟については、遺族の中で見解が分かれており、今後検討するという。
 男性医師と診療科長は、7月下旬以降、8人の患者遺族に3回にわって面会して、手術経過などを説明したが、弁護団は「事案の重大性、自身の至らなさを正確に認識し真摯(しんし)に反省しているとは評価できない」と結論づけた。
 遺族会代表で父親を亡くした40代男性は「反省の態度や言葉がほとんどなく、行政処分を求めざるを得ない」と語った。
 ◇遺族「反省の色なし」 医師らと面会責任には触れず
 「全く反省の色が見られなかった」。遺族は男性医師と当時の上司(旧第2外科診療科長)との面会に失望をあらわにした。
 面会は、7月下旬から26日まで3回にわたり実施され、患者8人の遺族が、それぞれの遺族に共通する全体的な説明を受けたほか、個別にも1、2時間、面会し説明を聞いたという。
 弁護団によると、2人は「患者を救命できなかったのは医師として残念」「遺族に不安や懸念を与えたことは遺憾」などと述べる一方、患者への説明は十分に行ったことや術後の管理に問題がなかったことなど、自らが悪いと思っていないような態度だったという。
 また、日本外科学会が男性医師の技術が「稚拙だった」と指摘していたことに関しても、男性医師は「技術はむしろ高かった」といった説明だったという。
 面会を受け同日会見した遺族会代表の男性は「執刀医や診療科長はもう少し反省の色を見せてくると思っていたが、ほとんどなかった」と失望した。
 平成20年2月に膵臓(すいぞう)の開腹手術を受けた妹を亡くした30代男性は、「本当は(医師らと)会いたくなかった。このままでは妹が浮かばれない」と悔しさをにじませた。
 遺族会と弁護団が厚生労働省に行政処分を求めることを決めたのは、反省の色が薄い2人に対し「このまま医療の現場に携わってほしくない」として、再教育を受けた上で医療の現場に戻ってほしいとの思いだ。刑事訴訟については「遺族の中でも、見解が分かれている」と語った。
 40代男性は、「この世界の医療の向上に役立てるためにも行政処分を求めていく」と説明した。
 群大病院の医療事故をめぐっては、26年11月、旧第2外科の同じ男性医師による男性医師の腹腔鏡や開腹の手術を受けた18人の死亡が発覚。
 その後、さらに、この医師の手術を受けた12人が死亡していたことも判明。昨年7月には病院の第三者調査委員会が調査報告書を公表している。
 
さい帯血無届け投与:近く本格捜査 愛媛県警など indexへ

 再生医療安全性確保法違反容疑 厚労省も刑事告発へ
 全国のクリニックががん治療などの名目で、他人のさい帯血を無届けで投与して いた問題で、2009年に破産した茨城県つくば市の民間さい帯血バンクが保管していた約1500人分のうち少なくとも約800人分が、ブローカーなどを経 由してクリニックに転売されていたことが分かった。流出ルートの解明を進めている愛媛、茨城県警などの合同捜査本部は、再生医療安全性確保法違反容疑で近 く本格捜査に乗り出す。一方、厚生労働省も、複数のクリニックが無届けで投与していたと認定し、刑事告発する方針を固めた。
 バンクの元社長の女性(64)ら複数の関係者が毎日新聞の取材に明らかにした。女性は筑波大教授(故人)らの協力を受け、1998年に親族と共に民間バン ク「つくばブレーンズ」を設立。02年11月から一般市民から預かったさい帯血の保管事業を開始。1人分あたり10年間で30万~36万円の保管料を受け 取った。
 © 毎日新聞 破産した民間バンクが保管していたさい帯血の流出ルート
 だが液体窒素を使った凍結設備の購入や施設建設に多額の費用がかかり、投資ファンドなどから出資を受けるようになった。それでも経営は好転せず、 債権者の申し立てを受けた水戸地裁土浦支部は09年10月、破産手続きの開始を決定。当時、病院から無償提供を受けた約500と、預かった約1000の計 約1500人分を保管していた。
 液体窒素で凍結して保管するさい帯血は返還しても一般家庭では保管ができないため、10年初め、一部の債 権者が設立した企業が保管先に選定された。病院の提供分は1人分3万円ほどで譲渡され、預かり分も1人分10万~20万円の追加保管料を徴収し計約 1000人分が移されたという。その後、この企業がブローカーなどに販売したとみられる。女性は「債権者の目的は初めからさい帯血だったと思う」と振り 返った。
 問題を巡っては、愛媛、茨城、京都、高知の4府県警の合同捜査本部が今年7月、松山市の民間医学研究所を運営する男(70)を医 師法違反などの容疑で逮捕。この捜査の過程で、男が京都市のクリニックに患者を紹介し、国に必要な届け出をせずさい帯血が投与された疑いが浮上した。
 捜査本部は、つくばブレーンズから流出した約800人分が京都市のクリニックなどを介して販売され、東京や大阪など複数のクリニックで無届け投与が行われ たとみている。今年4月には再生医療安全性確保法違反容疑で関係先を家宅捜索。厚労省も同法に基づき今年6月、がん治療や美容を名目に、患者から百数十 万~数百万円を受け取り、無届けでさい帯血を投与したとして、全国11のクリニックに対し治療を一時停止させる緊急命令を出していた。
 さい帯血
 出産時に出るへその緒や胎盤に含まれる血液。造血幹細胞が豊富で、白血病など血液疾患の治療に有効とされる。2014年施行の「再生医療安全性確保法」 は、他人のさい帯血を使って再生医療を行う場合、厚生労働省認定の審査会で安全性などの意見を聞いた上で、治療計画を同省に提出することを義務付けてい る。
 
診療所で無痛分娩1万9500件…厚労省研究班、年度内に安全策提言 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩を巡る事故続発を受け、安全対策を検討する厚生労働省研究班(代表者・海野信也北里大学病院長)は23日、東京都内で初会合を開き、昨年度、無痛分娩の半数を超える約2万件が診療所で行われていたことなど実態調査の最新結果を公表した。
 研究班は年度内をメドに、診療所にも病院と共通した安全対策を提言する方針だ。
 調査は今年6月、出産を扱う約2400医療機関を対象に行い、現時点 での回答率は約60%。それによると、回答した医療機関で昨年度、行われた出産のうち無痛分娩は全体の6%を占める約3万6800件。内訳は、診療所が約 1万9500件(53%)、病院が約1万7300件(47%)だった。先月の中間まとめの段階では、診療所での実施は約60%だった。
 実態調査の結果をもとに研究班は、無痛分娩の実施について標準的方法 を検討するほか、無痛分娩に関する診療実態の透明化や、研修のあり方についても検討する。委員からは、「各医療機関から、妊産婦へのわかりやすい情報公開 が必要」(患者団体代表)、「ある程度の安全基準を守れなければ無痛分娩はできないのではないか」(麻酔科医)などの意見が出た。
 
がん治療薬「オプジーボ」副作用で重症筋無力症、急速悪化し死亡例 indexへ

 がん治療薬オプジーボの副作用で起こる重症筋無力症は、頻度はまれだが、通常より急速に悪化し死亡する例がある、との研究結果を慶応大などのチームがまとめた。
 米国神経学会誌に18日、発表した。
 2014年9月から2年間の市販後の副作用報告を分析した。オプジーボを投与されたがん患者約9900人のうち、12人(0.12%)が重症筋無力症を発症。筋肉の炎症の併発も多く、6人が重い呼吸困難に陥り、2人が死亡した。大半は1、2回目の投与後に発症していた。
 
健康食品で薬物性肝障害、国民生活センターが注意呼びかけ indexへ

 健康食品の摂取で、体質によっては薬物性肝障害を発症する場合があるとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。
 同センターには2014年8月以降、全国の医師から「健康食品が原因で薬物性肝障害になった患者がいる」との情報が計9件寄せられた。特定保健用食品を飲用して重症になり、1か月以上入院したケースもあった。健康食品に問題はなく、摂取した人の体質が原因とみられる。
 薬物性肝障害は、医薬品だけでなく健康食品の摂取でも、肝臓への大きな負荷やアレルギー反応などが原因で発症することがあるという。同センターでは「発症はまれだが、劇症化すれば死亡の恐れもある。 倦怠感や食欲不振など不調を感じたらすぐに摂取をやめ、医療機関を受診してください」としている。
 
無痛分娩巡り死亡した母子の遺族、再発防止に向けた実態調査求め要望書 indexへ

 名古屋市の診療所(現在は廃院)で2008年12月、出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)を巡り死亡した母子の遺族が、再発防止に向けた実態調査の充実を求める要望書を厚生労働省や日本医師会などに提出した。
 要望書は今月10日付。それによると、当時33歳の母親は、麻酔薬を投与された直後に容体が急変。搬送先の大学病院で死産した後、亡くなった。
 遺族は、医療機関の調査だけでなく、被害者や遺族からの情報を直接受け付ける窓口の設置を要望。医療事故に備えて医師が加入する日医の医師賠償責任保険の支払い状況を活用した実態把握なども求めた。
 
産婦人科で研修医自殺、学会が労働環境改善求める緊急声明 indexへ

 東京都内の病院の産婦人科で研修中だった30歳代男性医師が2015年7月に自殺し、労災認定されたことを受け、日本産科婦人科学会などは、産婦人科勤務医の労働環境改善を求める緊急声明を公表した。
 お産を扱う地域の基幹病院に重点的に産婦人科医を集約し、当直などの負担を軽減する同学会の取り組みを推進すると表明。各病院管理者に勤務実態の把握や労働環境改善などを求めている。
 男性医師は緊急の出産や当直勤務が重なり、長時間労働や休日出勤が常態化して精神障害になったことが自殺の原因と判断された。
 
重症低血糖で搬送、年2万件…薬の誤使用原因か indexへ

 薬で治療中に血糖値が下がりすぎる糖尿病患者の「重症低血糖」で、年間の救急搬送数が約2万件に上る可能性があることが、日本糖尿病学会による初の実態調査で分かった。同学会は、高齢などで低血糖を起こしやすい患者の重症化予防に力を入れる。
 重症低血糖は、けいれんや意識消失などを引き起こす。認知症や心臓病、脳 梗塞の発症リスクを高め、命にかかわる危険な状態だ。高齢者は、冷や汗やふるえなどの低血糖症状が出にくく、本人も気付かないまま重症化することがある。
 学会は2015年7月、糖尿病の診療体制が充実した631施設にアン ケートを送付。救急部がある149施設の回答を分析したところ、14年4月から15年3月までの1年間の救急搬送数は、1施設当たり4962件で、このう ち重症低血糖は0.34%、17件だった。これを全国の救急搬送件数に当てはめるなどして、国内全体で年間約2万件と推計した。
 調査結果をまとめた兵庫医科大学病院の難波光義院長は「重症低血糖の 原因として、インスリンを注射で補充するタイミングや使用量の誤り、薬の飲み間違いなどが多い。高齢などで発症リスクが高い患者には、服薬指導に加え、生 活面も含めた指導を行う必要がある」と話している。
 
無痛分娩死、大阪・和泉の産婦人科医院長を書類送検へ…処置怠った疑い indexへ

 大阪府和泉市の産婦人科医院で1月、麻酔で出産の痛みを和らげる無痛 分娩に臨んだ女性(当時31歳)が死亡した事故で、男性院長(59)が容体急変後に適切な処置を怠っていた疑いが強まったとして、府警は今月中にも院長を業務上過失致死容疑で書類送検する。捜査関係者への取材でわかった。
 捜査関係者によると、女性は1月10日、和泉市の「 老木レディスクリニック」で、背中に入れた細い管から麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受けた後、呼吸困難に陥り、意識を消失。堺市の病院に搬送されたが、同20日、低酸素脳症で死亡した。子どもは搬送前に帝王切開で生まれ、無事だった。
 府警は、搬送先から連絡を受け、司法解剖や専門医への聞き取りを実施。女性は麻酔が効き過ぎて呼吸困難などになった可能性が高いことがわかった。この場合、喉に管を通して空気を送り込む気管内挿管などを行えば回復が見込めるが、院長はこうした処置を施さなかったという。
 府などによると、事故時の常勤医は院長1人だったという。無痛分娩は2013年頃から行っていたが、事故後は中止している。読売新聞の取材に院長は「きちんと対処した」と語り、院長の代理人弁護士も「呼吸を再開させるため適切な処置をした」と説明している。
 
無痛分娩の女性死亡…神戸の診療所が事故再発防止策、薬量減らして分割投与 indexへ

 神戸市内の診療所で2015年9月、無痛 分娩をした女性が重い障害を負い、今年5月に死亡した問題で、診療所側の代理人が8日、東京都内で記者会見し、再発防止策を発表した。同診療所が設置した院内検討委員会が確認し、報告書にまとめたという。
 事故があったのは、同市西区の「おかざきマタニティクリニック」。報告書によると、委員会は第三者の産科医2人と同診療所関係者2人で構成。無痛分娩は現在、体の状態から麻酔の必要がある妊婦に限定し、薬の量を減らし分割して投与するなど安全に配慮しているとした。
 女性の遺族は、院長が外来診療をしていて急変への対応が遅れたとしている。診療所側の代理人は、事故の状況や原因について「遺族への守秘義務がある」として明らかにしなかった。
 
梅毒の母子感染、乳児5人死亡例…定期の妊婦健診を8割が受けず indexへ

 妊娠中の母子感染で「先天梅毒」になった赤ちゃんが2011~15年に21人生まれ、このうち5人が亡くなっていたことが日本産科婦人科学会の初の調査で分かった。
 若い女性を中心に梅毒が増えていることを受け、実施したもの。梅毒は母子感染すると流産の危険が高まり、生まれた赤ちゃんには肝臓や 脾臓の腫れ、目や耳、皮膚の異常などが現れることがある。
 学会の研修基幹施設のうち、回答した257施設(41%)の内容を分析したところ、先天梅毒の赤ちゃんは、11~13年はゼロだったが、14年に8人、15年は13人と増えた。うち5人が亡くなり、抗菌薬で治療したものの、後遺症が残った赤ちゃんも4人いた。
 先天梅毒の赤ちゃんを産んだ妊婦の約8割は、定期的な妊婦健診を受けていなかった。調査した日本大学板橋病院産婦人科の川名 敬・主任教授は、「健診を受け、妊婦が早期に抗菌薬を服用すれば、胎児への感染は防げる。経済的理由や望まない妊娠で健診を受けようとしない妊婦への支援も必要だ」と話す。
 
薬ネット販売、「副作用情報伝えず」2割強…厚労省調査 indexへ

 インターネットサイトで副作用のリスクが高い市販薬を販売する際、2割強が法律で義務づけられた情報提供を行っていないことが4日、厚生労働省が発表した2016年度の調査結果で分かった。
 市販薬のネット販売は14年に解禁されたが、ルールが守られていないため、厚労省は自治体と連携して改善を指導する。
 調査は16年10~12月、ネット販売を行う508のサイトを対象に、厚労省が委託した民間会社の調査員が実際に購入して実施した。
 処方薬から市販薬に切り替わった一部の胃腸薬や解熱鎮痛薬などは、特にリスクが高い「第1類医薬品」に位置づけられ、販売時に薬剤師による副作用などの情報提供が医薬品医療機器法で義務づけられている。
 この第1類医薬品をネットで販売するに当たり、購入者にメールなどで情報提供を行っていなかったサイトは23・2%に上った。15年度(28・6%)より減ったものの、依然として徹底されていなかった。
 一方、情報提供していたケースでも、薬剤師が行ったと確認できたのは69・8%にとどまり、15年度(82・0%)より悪化した。
 
がん治療薬「オプジーボ」、重い副作用10%…市販後の全例調査で中間報告 indexへ

 がん治療薬「オプジーボ」を使った肺がん患者の副作用について、市販後の全例調査の中間報告が初めて発表された。
 重症の副作用は10%で、従来の薬に比べ比較的少なかったが、免疫が自身の体を誤って攻撃する自己免疫疾患が目立った。
 オプジーボが承認された2015年12月から、16年3月末までにこの薬を使った全患者のうち、詳しい記録がある1005人について、製造販売元の小野薬品工業などからデータの提供を受けた第三者の評価グループが分析した。
 オプジーボ使用期間の中央値は43日で、6割が65歳以上だった。軽症を含めると34%が副作用を訴え、日常生活に影響を与える重い副作用は10%だった。
 副作用の内訳は、自己免疫疾患の甲状腺機能障害63人(6・3%、母数は1005人)、間質性肺炎と肝機能障害が各58人(5・8%、同)、大腸炎や下痢45人(4・5%、同)。副作用の出現には、がんの進行度や年齢、性別などは関係がなかった。
 肺がん治療薬の副作用では、死に至る場合もある間質性肺炎などの肺障 害が最も問題になる。評価グループの日本医科大学学長、弦間昭彦さんは「広く使われている分子標的薬のイレッサなどに比べ、オプジーボは命にかかわる副作 用は少ない。ただ、これまでの治療では起きなかった様々な自己免疫疾患に注意する必要がある」と話している。
 
麻酔使った無痛分娩で重大事故…厚労省研究班が今月始動、安全体制強化へ indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)の重大事故が相次いで発覚したことを受け、塩崎厚生労働相は1日、閣議後の記者会見で、産科麻酔の専門家らによる厚労省研究班を今月中に始動させて対策を検討し、安全体制を強化する方針を表明した。
 塩崎厚労相は、事故による死亡者の遺族に哀悼の意を示し、「安全安心な出産に臨んでいただけるよう厚労省も最大限の努力をしていきたい」と述べた。研究班は海野信也・北里大教授をトップに、日本産婦人科医会が行った実態調査の結果を分析し、年度内にも結論をまとめる。
 
群大手術死問題…執刀医、遺族と初面談 indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、執刀医の 須納瀬豊医師と、上司で旧第二外科の竹吉泉・元教授による遺族への説明会が30日、群馬県内で開かれ、問題発覚後、初めて遺族と対面した。
 直接の説明を求めてから約2年越しの実現に、遺族会代表の男性は弁護団を通じ、「長い間待ち望んでいた。一つの節目になった」とコメントした。
 弁護団によると、説明会には患者8人の遺族が出席。須納瀬医師らは、 当時、第一外科と第二外科に分かれていた体制や手術実施の判断、不足が指摘されてきた患者への説明、カルテの記載などについて考えを述べた。その後、個別 に患者2人の遺族に説明。8月末まで数回に分け、残りの遺族にも個別説明を行う。
 同じく遺族会代表の別の男性は、「開催されたこと自体は前向きに受け 止めたい」とコメント。弁護団の梶浦明裕事務局長は「当事者が直接説明することは真相究明のために不可欠。説明内容を踏まえ、民事訴訟や刑事告訴、行政処 分の要望などを行うかどうか方針を決めたい」とした。
 同病院の旧第二外科を巡っては、肝臓の 腹腔鏡手術を受けた患者8人が、約3か月以内に死亡していたことが2014年に発覚。その後、肝臓や 膵臓の開腹手術でも患者の死亡が相次いでいたことがわかった。第三者の調査委員会が昨年7月、調査報告書を公表した。
 
手術室にチャタテムシ発生、手術38件中止 埼玉の病院 indexへ

 埼玉県病院局は24日、県立小児医療センター(さいたま市中央区)の手術室などでチャタテムシが発生したため、24、25両日に予定していた手 術計38件を中止したと発表した。転院など緊急性を要する手術は含まれていないという。経営管理課によると、虫は手術室5室と5、9、10、11階の八つ の病棟でそれぞれ数匹~10匹程度を確認した。チャタテムシは体長1~2ミリ程度。直接の害はないが、死骸がアレルギーの原因になったり、ダニの発生を招 いたりする恐れがあるという。駆除が徹底できれば26日から手術を再開する予定。
 
肺がん疑い放置、他にも2人死亡…慈恵医大病院 indexへ

 東京慈恵会医大病院(東京都港区)で肺がんの疑いがあると検査で指摘された男性患者の治療が約1年間放置され、その後に死亡した問題で、同病院は24日、ほかにも患者2人の検査結果が放置され、肺がんで死亡していたと発表した。
 発表によると、この2人は50歳代と70歳代の男性患者。50歳代の 男性は2012年7月、コンピューター断層撮影法(CT)検査で肺がんの疑いが指摘された。しかし、担当医が交代した際に情報が共有されず、約1年5か月 間、検査結果を放置。CT検査時であれば手術が可能だったが、その後、男性の病状は進行し、14年に死亡。70歳代の男性も14年8月に肺がんの疑いがあ ることが判明したが、約4か月間放置され、転院先の病院で死亡したという。
 
肺がん放置の慈恵医大病院、ほかに見落とし5人 indexへ

 東京慈恵会医大病院(東京都港区)で肺がんの疑いがあると検査で指摘された男性患者の治療が約1年間放置されていた問題で、同病院は20日、ほかにも胃がんなどの検査結果が見落とされた患者が5人いたとする調査報告書を公表した。
 報告書によると、患者5人はコンピューター断層撮影法(CT)検査などで、肺がんの疑いや胃がんなどが指摘されたが、主治医は検査結果を認識しておらず、診察に生かされなかった。見落としの期間は4か月から3年間に及んだ。
 病院側は、これらの見落とし事案を受けて2012年以降、検査結果を把握する担当者を決めるなどの対策をとったが、十分に浸透していなかったという。報告書は、事案が繰り返されたことについて「個々の医師らが危機意識をどれだけ持っていたか疑問」と指摘した。
 同病院は「改善策を具体的に検討している」とコメント。5人の事案の詳細については、プライバシー保護を理由に明かしていない。
 
無痛分娩 6割が診療所、16年度調査…欧米は大病院主流 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩について、2016年度に行われた約2万1000件の6割近くが診療所での出産だったことが日本産婦人科医会の初の実態調査でわかった。無痛分娩を巡り重 大事故が相次ぎ発覚する中、小規模な医療機関でより多く行われている実態が判明し、安全な体制整備の必要性が浮き彫りになった。調査結果は近く発足する厚 生労働省研究班で分析し、安全対策に生かす。
 調査は今年6月、出産を扱う約2400医療機関を対象に実施し、約4 割の回答を得た。14~16年度の実施件数などをまとめた中間報告によると、16年度は約40万6000件の出産のうち無痛分娩は5.2%で、08年の推 計値に比べ倍増。14年度3.9%、15年度4.5%と年々増えていた。
 無痛分娩約2万1000件を病院、診療所別にみると、16年度は診療 所で約1万2200件(診療所での出産数の5.6%)、病院で約8800件(病院での出産数の4.7%)と、病院より診療所のほうが多かった。無痛分娩が 普及する欧米では、産科医、麻酔科医、新生児科医がそろった大病院で行うのが主流だが、国内では小規模な医療機関に広がっていた。
 無痛分娩を巡っては、最近、大阪、兵庫、京都の4医療機関で計6件の産科麻酔を巡る事故が発覚したが、6件のうち5件が診療所での事例だった。
 <無痛分娩>  局所麻酔薬で下半身の痛みを和らげ、出産の疲労やストレスを軽減する方法。近年、産後の回復が早いなどの利点から高齢妊婦の多い都市部を中心に人気が高まっている。背中に入れた細い管から麻酔薬を注入する硬膜外麻酔という手法が多い。
 
精神科病院で拘束後死亡、NZの男性…遺族ら団体を設立 indexへ

 日本の精神科病院で身体拘束を受けた後に今年5月に死亡 したニュージーランド人男性の遺族が、日本の医療関係者、弁護士、患者らと共に「精神科医療の身体拘束を考える会」を19日、設立した。遺族は「当たり前 のように拘束が行われていることにショックを受けた。同じ思いをする人を減らしたい」と訴えている。
 亡くなったのは、鹿児島県の小中学校で英語教師をしていたケリー・サ ベジさん(当時27歳)。遺族によると、神奈川県在住の兄(32)の自宅に滞在中、双極性障害(そううつ病)の悪化で、今年4月末に同県内の精神科病院に 緊急入院。入院時は穏やかで、指示通りベッドに寝たところ、足、腰などを拘束された。10日後に心肺停止状態で発見され、救急病院に搬送。その1週間後に 死亡した。病院側は「提訴予告を受けており、一切話すことはできない」としている。
 来日して会見に臨んだ母親で地震学者のマーサ・サベジさん(60)に よると、ケリーさんは高校時代から日本に興味を持ち、大学でも日本語を専攻。大学在学中に精神疾患を発症し、ニュージーランドの精神科病院に入院したこと はあるが、身体拘束は一度も受けなかった。その後、症状は落ち着き、念願の日本での英語教師の生活を心から楽しんでいたという。
 
高額で未承認の治療、学会が反対声明 indexへ

 民間クリニックが他人のさい帯血を使い無届けの再生医療を行っていた問題を受け、日本遺伝子細胞治療学会(金田安史理事長)は、医療機関向けに未承認の治療を実施しないよう求める声明を発表した。
 今回の問題では、末期がん患者へのさい帯血投与が確認されているが、 末期がんの治療では、さい帯血のほかに、民間のクリニックが、がんの増殖を抑えるとされる遺伝子を投与する高額な未承認の治療を実施。患者が効果がなかっ たとして、治療費の返還などを求める訴訟も起き、学会に相談が寄せられている。
 金田理事長は「有効性が未確立の治療が高額な料金で提供されている現状は問題だ」と話している。
 
医療機器、安全に再利用…厚労省が基準策定へ indexへ

  1回の使用で廃棄している使い捨ての医療機器について、 厚生労働省は、業者が洗浄・滅菌などを行うことで再活用できるようにする。品質や安全性に関する審査基準を新たに作り、7月下旬からの実施を目指す。価格 は国の有識者会議で議論されるが、医療費の削減につながる可能性がある。
 医療機器を使い捨てるのは、主に感染症の防止が目的。注射器は代表的な例だが、手術で血管を縫い合わせる機器や、カテーテルと呼ばれる細長い管など高額な機器の一部も、血液などに触れるため、使い捨てられている。
 1回の処置で1本約20万円のカテーテルを5、6本使う場合もあり、一部の病院は院内で滅菌などの処理をして
再使用しているとされる。患者の安全のため、厚労省には、基準作りを求める声が上がっていた。
 新基準では、許可を得た製造業者が、使用済み機器を洗浄・滅菌した上で再組み立てを行い、医療機関に出荷できるようにする。再活用は、国内の医療機関で使われ、脳や脊髄などへの接触がなく、感染症患者に使われていない機器などに限定する。
 基準案作成の調査・検討を行った厚労省研究班の武藤正樹・国際医療福祉大学教授は、「2000年から再製造が行われている米国では、高額な医療機器が3~6割安くなり、推計で年間約3億ドルが節約できた。日本でも医療費を下げる効果が期待できる」と話している。

 
無痛分娩、安全対策課題…産科医会が死亡例分析 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩を巡り、日本産婦人科医会が、過去に報告された妊産婦死亡271人を分析したところ、無痛分娩は14人で、この全例で陣痛促進剤が使われ、半数で赤ちゃんを器具で引っ張る処置が行われていたことがわかった。
 無痛分娩に伴いこうした医療処置が必要になれば命にかかわる大量出血のリスクも増すが、十分な対策もなく行われ死亡につながった可能性がある。
 同医会は2010年に妊産婦死亡の報告制度を創設。事例を検証し、毎年、対策を提言している。今年は無痛分娩も分析。4月に速報的に発表した緊急提言の際は13人とされたが、その後の精査で14人と判明した。
 死亡原因を見ると、麻酔ミスによる中毒が1人。羊水が血液中に入って大量出血などを引き起こす羊水塞栓10人、子宮破裂による大量出血2人、感染症1人。
 無痛分娩は、いきみづらくて陣痛促進剤や器具を使う場合が増える。特 に国内では、24時間体制がとれない医療機関が多いため陣痛促進剤を使った計画分娩が主流。死亡した14人も、13人が計画分娩で、自然な陣痛を待った1 人も麻酔後に陣痛促進剤が使われた。それでもお産が進まず、7人は器具で引っ張り出し、3人は帝王切開になった。
 陣痛促進剤や器具の使用で大量出血のリスクは高まるが、多くで輸血などの対応をしきれなかった。同医会は来月、器具を使う分娩や大量出血、麻酔のミスに適切に対応できる体制整備を求める提言を出す。
 ただ、無痛分娩により死亡率が高まるかどうかは不明で、現在、同医会で全国の実態調査を進めている。
 14人とは別に、同医会は最近、相次ぎ発覚した大阪、兵庫、京都の4医療機関計6例の産科麻酔を巡る事故も調査中。いずれも当初は同医会に報告がなかった。
 
再生医療用の細胞、無許可で製造…遺伝子検査会社に一時停止命令 indexへ

 厚生労働省は14日、再生医療に使用する細胞を国の許可を得ずに製造していたとして、東京都内の遺伝子検査会社に対し、再生医療安全性確保法違反で製造の一時停止を命令したと発表した。
 厚労省は同日までに、同社の細胞を使ってがん治療をしていた全国18 の医療機関に対し、健康被害の調査・報告を求めた。患者は100人以上に上るとみられるが、今のところ健康被害の情報はないという。同法に基づき、細胞の 無許可製造で停止命令が出されたのは今回で2件目。
 
「新薬副作用の治療不適切」妻死亡の遺族、京大を提訴 indexへ

 京都大医学部付属病院(京都市左京区)で新薬の副作用情報が共有されなかったため、妻(当時29歳)が適切な治療を受けられず死亡したとして、夫(36)らが11日、京大と担当医らを相手に、計約1億8750万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。
 訴状によると、妻は、難病の血液疾患「発作性夜間ヘモグロビン尿症」の治療で同病院血液内科に通院しており、妊娠に伴い血栓症になるのを防ぐため、昨年4月から新薬「ソリリス」の投与を受けていた。
 同年8月1日、同病院の産科で長男を出産。同22日、ソリリスの投与 を受けた後、発熱し、産科に電話で相談したが、助産師から自宅で安静にするよう指示された。その後、容体が悪化し、翌23日、髄膜炎菌敗血症で死亡。同病 院の事故調査委員会は、ソリリス投与によって免疫が抑制され、感染症を発症したと判断した。
 ソリリスは副作用による感染症の兆候が疑われる場合、抗菌剤の投与が求められており、夫側は「副作用の情報が血液内科と産科で共有されなかった」と主張している。
 同病院は「重く受け止め、再発防止策を検討している」とコメントした。
 
薬の副作用で女性死亡 「情報共有なかった」と夫が提訴 indexへ

 京都大医学部付属病院(京都市左京区)で重い副作用のある薬の情報が共有されなかったために妻(当時29)が死亡したとして、京都市の会社員男性(36)が11日、病院長や主治医を相手取り、1億8750万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。
 訴状によると、女性は血液の難病で2011年から同病院の血液・腫瘍(しゅよう)内科で治療を受けていた。妊娠し病気で血栓ができるリスクが高いため、予防目的で16年4月から治療薬「ソリリス」の投与を受け、同病院産科婦人科で8月1日に長男を出産。しかし同22日にソリリスを投与後、高熱が出て体調が急変した。
 女性は産科婦人科に電話し、医師の診療を求めたが、助産師が「乳腺炎と考えられるので様子を見て」と指示。女性は翌日、髄膜炎菌感染症で死亡した。ソリリスには「非常に早く進行する髄膜炎菌感染症」の副作用があり、添付文書にも使用上の注意として記載されている。
 11日に会見した男性は「病院側が副作用の情報を共有していれば適切な治療が受けられ、死亡は避けられた」と訴えた。病院側と京都簡裁で調停を進めたが病院側は「患者側が産科婦人科に副作用情報を知らせるべきだった」と主張し、不調に終わったという。
 京大付属病院は「訴状が届いていないので、訴訟への対応については判断できない」としながらも、「今回の事例を重く受け止めており、再発防止策を検討している」とコメントした。
 
「同じ悲しみ二度と」無痛分娩の女性死亡、夫が安全対策の重要性訴え indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩を巡り重大事故が相次ぐ中、神戸市の産婦人科診療所で麻酔後に意識不明となり、今年5月に死亡した女性の夫(32)が、東京都内で読売新聞の取材に応じた。夫は「同じ悲しみをもう誰にも味わってほしくない」と再発防止への思いを語った。
 この女性は2015年9月、神戸市西区の「おかざきマタニティクリニック」で麻酔後に体調が急変。搬送先の大学病院で意識が戻らぬまま1年8か月後に35歳で亡くなった。生まれた男児(1)も重い障害を負い、今も入院中だ。
 夫によると、事故当時、医師は院長1人で、2階の分娩室で麻酔薬を入れてから外来診療のため1階に戻り、急変への対応が遅れた。「息ができない」。女性はか細い声で言った後、意識不明に。麻酔の管が誤って別の場所に入ったのが原因という。
 夫は搬送先の麻酔科医から「麻酔後、急変に備えて見守るのは当たり前」と聞かされ 愕然とした。
 無痛分娩は、女性が希望したわけではない。小柄で難産が予想されたた め、院長から勧められた。夫は、同僚の妻が海外で無痛分娩をした経験を聞いたことがあり反対しなかった。「複数の医師がいる大病院で行われる海外と、日本 の事情が違うという重要な事実を知らなかった」と悔やむ。
 初産で、わが子との対面を待ち望んでいた。おなかをけられると、いとおしそうに手を当てた。「どんなに子どもと一緒に過ごしたかったろうか」と思うと胸が張り裂けそうになる。
 夫は「産院選びは、見た目のきれいさや食事のおいしさなどより、医師の技術や経験、安全対策が一番重要と伝えたい」と訴えた。
 診療所の代理人は「現時点ではコメントできない」としている。
 
医薬品39製品の広告、誇大・事実誤認など疑い indexへ

 医療機関で処方する医薬品の広告で、39製品で誇大表現など医薬品医療機器法などに違反する疑いのあることが、厚生労働省の初の調査で分かった。
 23製品は問題が大きいとして、厚労省は製薬会社に広告・宣伝活動の見直しを指導した。
 医療用医薬品の宣伝広告は主に医師らに向けて行われるため、全国の医 療機関の中から施設を指定。製薬会社のウェブサイトや医薬情報担当者(MR)の説明などで、問題がありそうなケースについて報告を求めた。2016年度の 3か月間の調査期間中、抗がん剤など39製品で、適切さが疑われる事例の情報が寄せられた。指導が必要と判断された23製品は▽有効性の差が大きく見える ようにグラフの一部を拡大▽未承認の効能効果を断定的な表現で紹介――などがあった。
 調査は、高血圧治療薬「ディオバン」などで不適切な広告・宣伝活動が相次いだことを受けて行われた。
 
遺伝病検査、計画を撤回…企業「懸念された点精査」 indexへ

 将来生まれる子の遺伝病の発症確率を調べる遺伝子検査について、遺伝 子検査会社大手のジェネシスヘルスケア社(東京)は、来年にも始めるとしていた一般向けサービス提供の計画撤回をホームページで発表した。一般向けサービ スの開始時期について、同社幹部は5月、読売新聞の取材に対し、「2018年中には提案したい」と述べていたが、6日の発表では「現時点では商業化は計画 していない」と事実上の計画撤回を表明した。
 この検査を巡っては検査を受けた男女カップルが、発症する遺伝病を意図せず知らされる可能性があることが明らかになるなど、専門家から懸念の声が上がっていた。撤回の理由などについて、同社は読売新聞の取材に応じていない。
 検査は、男女カップルの唾液を採取し、両親から同じ遺伝子変異を受け継いだ時のみ子どもが発症する劣性遺伝子の有無を調べる。1050種類の病気が対象で、同社は4月から臨床研究を始めていた。
 日本人類遺伝学会など9学会・団体は6日、「商業主義に基づく取り組み」などとして、この検査に強い懸念を示す声明を発表。これに対し、同社は、ホームページで「懸念された点を精査したい」と表明した。
 同学会理事長の松原洋一・国立成育医療研究センター研究所長は「遺伝医療のバックアップ体制が十分に取られているかなど、疑問な点もあり、国民に不安を与え、混乱を招くことが懸念された。提供されないのであれば安心だ」と話した。
 
神戸の無痛分娩、遺族が要望書で心境 indexへ

 相次いで発覚している無痛 分娩を巡る母子の重大事故。神戸市西区の産婦人科診療所で2015年9月、無痛分娩の麻酔後に急変し、脳に重い障害を負って寝たきりとなり今年5月に死亡した 女性の夫が厚生労働相や日本産科婦人科学会など関連学会のトップあてに提出した要望書には、再発防止への願いとともに、亡くなった妻や、今も意識不明で寝 たきりの我が子に対する思いが書き添えられていた。
 要望や遺族の心境などに関する内容は以下の通り(要望書より抜粋)。
 ・ 要望
 私の妻に起きた医療事故が今後起きないように、この医療事故と無痛分娩が原因と疑われる医療事故、ヒヤリハットがどれくらい起きているのか、をきちんと 調べて公表してくださるようお願いいたします。そして、もしその原因が、今の医療体制にあるのであれば、医療体制の充実をはかってほしいと思いますし、産 科医が外来の片手間に無痛分娩(硬膜外麻酔)を行うようなことが絶対にないようにしていただきたく、お願いいたします。
 ・ 神戸市西区のクリニックでおきた医療事故
 (中略)
 2015年9月2日、無痛分娩の硬膜外麻酔によって、妻は重大な後遺障害を負い、意識を取り戻すことなく、2017年5月12日に亡くなりました。緊急帝王切開で生まれた子どもも、脳に大変重い障害を負い、現在も意識のないまま入院生活をおくっています。
 私たち夫婦にとっては初めての子で、妊娠がわかってからの毎日は幸せでいっぱいでした。子どもが生まれてからの日々を想像し、二人で 沢山の夢を語り合ってきました。家族や友人と一緒に旅行に行こう、年の近い 姪や 甥と子どもを連れてショッピングに行こう、お互いの両親の家に子どもを連れて遊びに行こうといった、ごく平凡ではありますが幸せな家族の姿を思い描き、語り合ってきましたが、全てが今回の事故により失われてしまいました。
 (中略)
 院長医師は、妻に麻酔薬を投与し、外来に行ってしまっていたために、妻の異変に気付かず、対応も遅れ、取り返しのつかない結果になってしまいました。
 硬膜外麻酔自体は出産以外でも行われていますし、私は、硬膜外麻酔自体を否定するわけではありませんが、一人の医師が外来診療を行いながら硬膜外麻酔を行うのは絶対に 止めてほしいと思います。
 ・ 無痛分娩まで
 里帰り出産を希望していた妻は、実家に最も近い神戸市西区のクリニックにお願いすることにしました。クリニックのロコミ評判や和室の分娩室が設置されて いることも決め手となりました。妻は、無痛分娩の希望は全くありませんでしたが、院長医師に胎児が大きいことを理由に無痛分娩を強く勧められました。
 分娩前日夜、陣痛促進剤を投与し陣痛が起きており、私は立ち会い分娩に備え、妻と共にクリニックの病室で一緒に夜を 明かしました。しかし、一夜明けても本格的な陣痛が来なかったことから、医師の強い勧めにより無痛分娩と吸引分娩を併用することとなり、硬膜外麻酔を実施 することとなりました。
 たしかに、「無痛分娩についての説明と同意書」には、「低血圧、頭痛(1%)、微弱陣痛による陣痛促進剤の使用、吸 引分娩の頻度増加、薬剤アレルギー、血管内誤注入、感染、出血、麻酔薬のくも膜下投与による広範囲麻酔、神経障害(異常感覚)等が起こりえます。なお不明 な点は、担当医にご質問ください」と印字で書いてありましたが、まさかこのような最悪の事態になるとは思いもしませんでした。
 (中略)
 ・ 妻のこと
 妻は面倒見もよく、人を大事にし、誰にでも好かれ、慕われる性格の女性でした。
 妊娠後は、生まれてくる子どものために必要なものを準備をして、その日を待っていました。時にお 腹の中で動き回る子どもの様子などを動画で撮影し 嬉しそうに見せてくれたりもしました。
 約1年半もの間、妻は頑張り続けましたが、今年の5月12日に息を引き取りました。亡くなったのは急でしたが、神戸 で行われた告別式には、遠方にもかかわらず会社の部下、上司、同僚が東京から数多く駆け付けてくださいました。これほど多くの方にお見送りしていただける とは思ってもみませんでした。
 ・ 子どものこと
 子どもも母体同様、出産直後の懸命な蘇生により心臓の鼓動は回復しましたが、脳に大きなダメージを受けました。生まれてから一度も意識は回復せず、自発呼吸もできず人工呼吸器による管理が続いております。 胃瘻により栄養剤を胃に注入しており身体は徐々に大きくはなっておりますが、既に脳細胞はほぼ死滅しており今後の回復は望めない状態です。脳による自律的な体のバランス調整が機能せず電解質の濃度が大きく変動したり、肺炎を患うなど厳しい状態が続いております。
 ・ 今の思い
 この日の出来事をきっかけに私たちの人生は大きく変わってしまいました。
 皆に愛された妻、何の罪もない我が子が、なぜ命を失い、あるいは将来の希望を断たれてしまったのか、悲しくて悔しくてたまりません。これからの人生を孤独に生きて行くことも苦しく、考えるだけで胸が張り裂けそうになります。
 今でも幼い子どもを連れた家族連れを目にするだけで心が大きく痛み、しばらくの間は、家族連れが集う近所のスーパーに行くことすら苦痛でした。
 事故以降、心の底から楽しいと思えた瞬間はありませんし、これからも苦しみを抱えながら生きていきます。私が今できることは、無痛分娩のリスクを伝え、二度と同じような事故が起こらないようにお願いすることだけです。
 
無痛分娩事故遺族が要望書 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩を巡り重大事故が相次ぐ中、神戸市西区の産婦人科診療所で麻酔後に急変して重い障害を負い、今年5月に死亡した女性の夫(32)が、塩崎厚生労働相らに再発防止を求めた要望書を提出していたことが5日、わかった。
 女性は2015年9月、「おかざきマタニティクリニック」で無痛分娩のため麻酔薬を注入された直後に呼吸困難に陥り、母子ともに意識不明の寝たきりとなった。女性は約1年半後に35歳で死亡、男児は今も入院中だ。
 要望書は4日付で、厚労相のほか、日本産科婦人科学会など3学会の代 表あて。無痛分娩が原因と疑われる医療事故に関する調査とその結果の公表を求め、「原因が今の医療体制にあるなら、医療体制の充実をはかってほしい。産科 医が外来の片手間に無痛分娩を行うことが絶対にないようにしてほしい」と訴えた。
 
「将来の子」遺伝病検査、商業主義に懸念…学会が批判・声明発表へ indexへ

 将来生まれる子の遺伝病の発症確率を調べる遺伝子検査サービスについて、関連学会・団体が近く発表する声明の概要がわかった。
 民間事業者の「商業主義に基づく取り組み」と強い懸念を示し、遺伝子検査に関する日本医学会の指針に沿った対応を求めている。
 声明を出すのは、日本人類遺伝学会、日本産科婦人科学会、日本遺伝カ ウンセリング学会、日本家族性腫瘍学会など9学会・団体。今回の遺伝子検査は、男女カップルの唾液から、生まれる子どもについて1050種類の遺伝病の発 症確率を予測する。遺伝子検査会社大手のジェネシスヘルスケア社(東京)が米企業の技術を導入し、来年にも一般向けサービスを始める予定。4月から、同じ 方法で日本人の遺伝子を解析できるか検証する臨床研究を始めている。
 声明では、検査結果が妊娠や出産の判断に影響し、「生命の選択」につ ながる可能性があると指摘。遺伝子スクリーニング(ふるい分け)に慎重な姿勢を続けてきた従来の流れに逆行しており、「民間企業が、遺伝医療の専門家がい ない医療機関を通じて実施することがないように」と強く求めている。
 また、子ではなく検査を受けた男女カップル自身が発症する遺伝病を知 らされる可能性があることにも触れ、事前に十分な説明を行う遺伝カウンセリングの提供なしに安易に利用されることを懸念。そのうえで、「倫理的・社会的な 問題が十分に検討されていない検査は国民に過度な不安を与え、社会的な混乱を招く可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
 声明に対し、ジェネシス社は「見ておらず、コメントできない」としている。
 
「将来の子」の遺伝病検査、親の病気も判明恐れ…医学会指針を逸脱か indexへ

 将来生まれる子どもの遺伝病の発症確率を調べる遺伝子検査サービスで、検査を受けた男女カップルが意図せずに、将来発症する確率が高い遺伝病だと知らされる可能性があることがわかった。
 発症前の遺伝病の診断は人生を左右しかねないため、日本医学会が慎重に実施する指針を定めている。検査サービスが医学会の指針から逸脱する恐れがある。
 検査は、男女カップルの唾液で、両親から同じ遺伝子変異を受け継いだ 時のみ子どもが発症する劣性遺伝子の有無を調べる。筋ジストロフィーなど1050種類の病気が対象で、遺伝子検査会社大手のジェネシスヘルスケア社(東 京)が4月に臨床研究を開始。来年にも国内でサービス開始を計画している。
 ところが検査項目の中に、遺伝性乳がん・卵巣がんなど、検査を受けた 本人が高い確率で将来がんを発症する遺伝子が含まれていた。問題の遺伝子は少なくとも数種類あるとみられる。発症前に、将来の病気の発症を予測する検査は 「発症前診断」と呼ばれ、検査を受ける人の心理的な負担が大きいため、同学会の指針は事前に遺伝カウンセリングの実施を求めている。
 ジェネシス社の説明資料では、検査を受けた人が将来、病気になると予測できることを想定していない。お茶の水女子大(東京)の三宅秀彦教授(臨床遺伝学)は「意図せず病気の可能性を伝えられた人の心理的な負担は大きく、計画に問題がある」と話している。
 同社の担当者は「指摘を踏まえ、検討を進めたい」としている。
 ◇
 【劣性遺伝子】  父と母の両方から病気の遺伝子を受け継ぎ、二つそろった時に初めて発症するものをいう。両親が健康でも同じ劣性遺伝子を持つ場合、生まれる子どもの病気の確率は4分の1となる。
 
さい帯血問題、日本再生医療学会が独自調査へ indexへ

 東京や大阪などの民間クリニックが、他人のさい帯血を使った無届けの再生医療を行っていた問題で、日本再生医療学会(澤芳樹理事長)は4日、記者会見を開き、学会として独自調査を実施する考えを示した。
 同学会は、厚生労働省に必要な届け出を行っていなかったとして、再生 医療安全性確保法違反で停止命令を受けた計13施設に対し、医療行為の実施時期や内容などを書面で調査する。このうち5施設には会員が所属しており、今回 の調査結果や処分などを踏まえ、学会としての対応を検討する。
 
歯を削る医療機器、半数が使い回し…院内感染恐れ indexへ

 全国の歯科医療機関の半数近くが、歯を削る医療機器を患者ごとに交換せずに使い回している可能性があることが、2017年の厚生労働省研究班(代表=江草宏・東北大学歯学部教授)の調査でわかった。
 使い回しが7割弱だった5年前の調査に比べて改善したものの、院内感染のリスクが根強く残る現状が浮き彫りになった。
 調査は、ドリルを取り付ける「ハンドピース」と呼ばれる柄の部分の管 理について尋ねたもの。治療時に口に入れるため唾液や血液が付着しやすく、使い回せば細菌やウイルスを次の患者に感染させるリスクがある。日本歯科医学会 の指針は、患者ごとに機器を交換し、高温の蒸気発生装置で滅菌するよう定めている。
 調査は日本歯科医師会の会員1000人に郵送で行い、17年2月までに700人から回答を得た。機器について「(全ての)患者ごとに交換」と答えたのは52%。5年前の12年調査(31%)から21ポイント増えた。
 一方、指針に沿わずに「感染症患者とわかった場合」「血液が付いた場合など」に交換するとしたのは、それぞれ17%、16%。13%は滅菌せずに「消毒薬で拭く」と回答した。
 厚生労働省歯科保健課は「改善傾向にあるが満足できる水準ではない。講習会などを通じ、院内感染対策の重要性を知ってもらう必要がある」と話している。
 
違法さい帯血の投与「危険」…再生医療学会が緊急声明 indexへ

 東京や大阪などの民間クリニックが他人のさい帯血を使い無届けの再生医療を行っていた問題で、日本再生医療学会(澤芳樹理事長)は1日、危険性を指摘する緊急声明を公表し、国民に注意喚起した。
 声明では、今回の問題を「極めて遺憾で断固容認できない」と指弾した。そのうえで、再生医療安全性確保法で定められた安全性や、有効性を確認する手続きを行わない違法な治療は「効果が得られないだけでなく不要な危険にさらされる可能性がある」と訴えた。
 さらに、さい帯血や脂肪細胞など他人の細胞の投与は安易に受けず、事前に適法性のほか、安全性や有効性を十分に確認するよう呼びかけた。
 
無痛分娩の女性死亡、子も重い障害…診療所、過失認める indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩を巡り母子の重大事故が相次ぐ中、神戸市内の産婦人科診療所で2015年9月に無痛分娩をした女性が、母子ともに重い障害を負っていたことがわかった。女性は今年5月、意識が戻らぬまま搬送先の病院で死亡した。
 遺族側の代理人によると、事故があった診療所は、神戸市西区の「おかざきマタニティクリニック」。女性は、15年9月2日朝、背中に細い管を入れて薬を注入する硬膜外麻酔の処置を受けた。院長の産婦人科医が麻酔薬を入れて外来診療のため病室を離れた直後、女性が 嘔吐。医師が戻った時には呼吸困難に陥っていた。
 女性は、搬送先の大学病院で緊急帝王切開を受け男児を出産したが、母子ともに寝たきりになった。女性は今年5月、同病院で35歳で亡くなった。男児は別の病院に入院している。
 遺族側は、管が誤って別の場所に入り、麻酔が効き過ぎて呼吸困難になったと主張している。診療所側も昨年12月、過失を認め、遺族に示談金を支払った。
 事故当時、院内に医師は院長一人だったという。代理人は、「麻酔をかけた後は急変の可能性があり、しばらく経過を見守る必要があるのに、すぐにその場を立ち去ったのは明らかなミス。外来の片手間に麻酔の処置を行うことはありえない」と話している。
 診療所は「何もお答えできない」としている。
 この事故については、無痛分娩を巡る事故について調査している日本産婦人科医会も情報を把握し報告を求めていたが、診療所は応じていなかった。
 
ネットの医療情報、4人に1人がうのみ…「だまされないための5項目」確認を indexへ

 ウェブサイトやテレビの医療・健康情報、4人に1人がうのみ――。聖路加国際大学(東京)の中山和弘教授(看護情報学)らの研究チームが利用者を対象に行った調査で、信頼性の確認をしていない人が最も多く全体の25%を占めていることがわかった。
 IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の医療系サイト「WELQ(ウェルク)」が事実誤認の指摘が相次いだことで休止されるなど、ネット上の不正確な医療情報が問題になっている。研究チームは利用者が自ら適切な情報を得る努力の必要性を訴えている。
 調査は昨年10月、医療や健康の情報をサイトやテレビなどから入手した経験がある977人に聞いた。
 調査に当たっては、だまされるリスクを減らすために必要な確認作業として、〈1〉いつの情報か〈2〉内容は宣伝目的か〈3〉作成者や運営者は誰か〈4〉科学的根拠が明らかか〈5〉別の人の情報と比べたか――の5項目に着目。これらを行っているかどうかを調べた。
 その結果、5項目の確認作業を一つもしない人は243人(25%)で最多。5項目全てしていた人は95人(10%)にとどまっていた。
 よく確認作業をする人ほど、公的な研究機関のサイトや一般向け医学書など、多くの媒体を閲覧しようとする傾向もみられた。
 
さい帯血、民間バンクから約800人分流出…300人分投与か indexへ

 東京や大阪などの民間クリニックが他人のさい帯血を使った再生医療を無届けで行っていた問題で、さい帯血は2009年に経営破綻した茨城県つくば市の民間バンクから流出したものだったことが、関係者への取材でわかった。
 流出は少なくとも約800人分に上り、法規制前を含めると約300人分が京都、福岡両市の2業者を通じて販売され、各クリニックで患者に投与されたという。
 厚生労働省は28日、再生医療安全性確保法違反で停止命令を出した11のクリニック名を公表。違法な再生医療を受けた患者は計約100人に上る見通しだ。
 関係者によると、民間バンクは「つくばブレーンズ」。子どもの将来の病気に備え、個人のさい帯血を有料で預かる事業を02年から始めたが、顧客が集まらず資金繰りが悪化し、09年に破産した。
 当時保管していたさい帯血は約1500人分で、一部は別の民間バンクに移されたが、少なくとも約800人分が債権者側に流れたという。
 
2業者からさい帯血購入…無届け投与、11医院が約100人に indexへ

 東京や大阪などの民間クリニックが他人のさい帯血を使った再生医療を無届けで行っていた問題で、各クリニックは京都、福岡両市内の2業者からさい帯血を購入していたことが、関係者への取材でわかった。
 2業者は読売新聞の取材に販売を認めた。一方、厚生労働省は28日、再生医療安全性確保法違反で停止命令を出した11のクリニック名を公表。違法な再生医療を受けた患者は合わせて約100人に上る見通しだ。
 厚労省は、愛媛、京都両府県警などの合同捜査本部から情報提供を受 け、違法な再生医療を行っている疑いが強いクリニックを調査した。捜査関係者によると、各クリニックには昨年11月以降、同法違反容疑などで同捜査本部が 捜索を実施。クリニックは京都市内の医療法人と福岡市内の医療関連会社から、さい帯血を1回分200万円程度で購入していた。仕入れ先だった医療法人と医 療関連会社の関係者は取材に対し、「クリニックから依頼を受けて売った」などと話した。
 
無痛分娩ミス女性死亡 麻酔で呼吸困難、子も障害 indexへ

 神戸市西区の産婦人科医院で2015年9月、麻酔を使って痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した女性が、生まれてきた長男(1)とともに重い障害 を負っていたことが28日、関係者への取材で分かった。麻酔が脊髄の中心近くに達したとみられ、女性が呼吸できなくなったという。女性は低酸素脳症が原因 の多臓器不全のため、今年5月に35歳で亡くなった。同医院は責任を認め、示談金を遺族に支払った。
 女性の遺族と代理人弁護士によると、 医院は「おかざきマタニティクリニック」。出産に立ち会った男性院長は、脊髄を保護する硬膜の外側(硬膜外腔)に背中から管を入れ麻酔薬を注入する「硬膜 外麻酔」を施した直後、外来診察のため女性のそばを離れた。その際、麻酔薬が硬膜外腔より深部で脊髄中心近くのくも膜下腔に入ったとみられ、麻酔の効果が 急速に現れた女性は呼吸困難に陥ったという。
 女性は別の病院で緊急帝王切開を受け、長男を出産したが、低酸素状態となった。脳に損傷を受 けたため、長期間意識が戻らない遷延性意識障害に陥り、今年5月12日に死亡。長男は生まれてすぐ呼吸・循環不全に陥り、脳に酸素が十分に行き渡らなく なって障害を負ったため、現在も入院している。
 同クリニックは昨年12月に院長の過失を認め、その後、遺族に示談金を支払ったが、遺族によると、女性の死後も謝罪に訪れたことはないという。
 女性の夫(32)=東京都港区=は「出産にリスクがあったとしても対応できると思ってお願いした。対応できないのになぜ、院長は無痛分娩をさせたのか。なぜ、その場から離れてしまったのか。防げた事故だと思う」と話した。
 同クリニックは神戸新聞社の取材に回答していない。
 無痛分娩を巡っては全国的な実施総数さえ不明だが、今年4月以降、大阪府和泉市、神戸市中央区、京都府京田辺市などで、麻酔や陣痛促進剤の投与を受けた妊 産婦の死亡、重症化が相次いで判明。神戸市中央区の産婦人科病院の担当医師に対しては、死亡した女性の遺族が刑事告訴した。これらを受け、日本産婦人科医 会は実態調査に乗り出している。
 
さい帯血の無届け投与横行「再生医療の信頼揺らぐ」…専門医師ら危機感 indexへ

 無届けのさい帯血投与が横行している実態が明らかになり、日本再生医療学会の澤芳樹理事長は、「ルールを守らない医療機関がこれほどあったとは衝撃的だ。
 再生医療全体への信頼を揺るがしかねない深刻な事態。一般にも、制度の周知や自由診療への注意喚起を強化する」と危機感を募らせた。
 血液がんの治療で、昨年6月にさい帯血移植を受けたNPO法人「がんフォーラム山梨」の若尾直子理事長は、「私が移植を受けた病院では、専門家がさい帯血の安全性や有効性を厳密にチェックしていたが、無届けで投与した民間クリニックが、安全面などを十分に検討していたとは思えない」と疑問を呈した。
 また、難治性がんである 膵臓 がん患者の支援団体「パンキャンジャパン」の真島喜幸理事長は、「がん患者は長く生きたいとの希望を胸に治療に向かっている。こうした民間クリニックが未確立の新しい医療に取り組む場合、せめて治療成績の全例を国などに報告させる義務を課すべきではないか」と話した。
 
違法さい帯血投与、10医院以上に一時停止命令…「美容」「がん治療」目的 indexへ

 他人のさい帯血を使った再生医療を無届けで行っていたとして、厚生労働省が5~6月、再生医療安全性確保法違反で、東京や大阪などの十数の民間クリニックに、再生医療の一時停止を命じていたことがわかった。
 クリニックでは、がん治療や美容目的をうたい、さい帯血を投与していたが、有効性や安全性は立証されておらず、違法な再生医療が全国的に横行している実態が初めて浮き彫りとなった。
 
医療ミスを繰り返す「リピーター医師」27人に指導・勧告 indexへ

 医療ミスや不適切な医療行為を繰り返していたとして、2013~16年度の4年間で、医師計27人に日本医師会が指導・改善勧告していたことが同会のまとめでわかった。
 医療安全の対策が進む一方で、患者に対しミスを続ける「リピーター医師」の問題の一端が明らかになった。
 日医は13年に医療事故を繰り返す医師を指導・改善勧告するための委員会を設置。医療ミスなどの際の患者・家族からの賠償請求を想定して医師が加入する「日本医師会医師賠償責任保険制度」で支払い請求が多いケースを審査し、医療ミスや不適切な医療行為を繰り返すなどの問題のある医師を判定している。
 問題がある医師には、各都道府県医師会を通じ、指導・改善勧告される。
 日医によると、指導・改善の対象者は、13年度が2人、14年度が10人、15年度が7人、16年度は8人に上る。氏名や問題の内容などは公表していない。
 医師の業務停止などについて審査する厚生労働省の医道審議会では02年以降、刑事罰を受けていなくても医師の注意義務違反が明白な場合は処分対象とすることになった。ただし、問題が多い医師を網羅的に把握することは難しく、ミスの繰り返しを理由とした処分は12年の戒告1件しかないという。
 
指針に反して着床前検査を続けた医師、産科婦人科学会が資格停止3年間 indexへ

 日本産科婦人科学会(日産婦)は24日、体外受精による受精卵の染色体異常を検査して正常なものだけを子宮に戻す「着床前スクリーニング(PGS)」を、日産婦の指針に反して続けているなどとして、大谷レディスクリニック(神戸市)の大谷徹郎院長を3年間の会員資格停止処分にした。
 日産婦は現在、指針でPGSを禁止している。大谷院長は昨年3月、この指針に反してPGSを実施していたとしてけん責処分を受けた。しかし、その後も始末書の提出を拒んでPGSを継続していたため、今回、さらに重い処分となった。
 一方、日産婦は現在、PGSが妊娠の可能性を高めたり、流産を減らしたりする効果があるか、有用性を検証する臨床研究をほかの病院などで進めている。
 大谷院長は「患者の人権を守るため、処分とは関係なく、治療を続ける」とのコメントを出した。
 
「頭が良くなる」未承認薬、個人輸入禁止へ…健康被害や乱用のおそれ indexへ

 「頭が良くなる」などの触れ込みで使われている未承認薬について、厚生労働省は22日、個人輸入を原則禁止する方針を決めた。
 国内の使用実態は不明だが、海外での調査報告などを踏まえ、健康被害や乱用のおそれがあると判断した。
 対象の未承認薬は「スマートドラッグ」と呼ばれる。本来はてんかんや注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療に使われる薬などで、個人輸入代行業者は、集中力向上や学習能力の改善などを宣伝している。一定の数量内なら税関の確認だけで個人輸入が可能だが、有効性や安全性は不明だ。
 今後、関係学会や団体の意見を踏まえ、個人輸入禁止対象の品目リストを作成。各税関に、医師の処方箋や指示なしでの個人輸入禁止を通知する。
 
せき止め薬「コデイン」、12歳未満の小児に使用しないよう「禁忌」に indexへ

 せき止め薬などに使われる「コデイン」を含む医薬品について、厚生労働省は22日、12歳未満の小児に使用しないよう「禁忌」とすることを決めた。
 2019年夏頃までをめどに実施するが、それまでの間も市販薬を含めて原則として使用しないよう注意喚起する。
 
風邪薬成分に中国製混ぜる…原料メーカー、厚労省が立ち入り indexへ

 和歌山市の原薬メーカー・山本化学工業が、風邪薬の成分として使用されている解熱鎮痛剤「アセトアミノフェン」を製造する際、国側には無届けで安価な中国製品を混ぜて水増しし、製薬会社に販売していたことが分かった。
 厚生労働省と和歌山県は今年5月、医薬品医療機器法(薬機法)違反の疑いで山本化学工業に立ち入り調査を実施。品質や安全性には問題がなかったが、同社は全製品の出荷を自粛した。県が近く行政処分を行う。
 厚労省によると、同社は和歌山市内の工場でアセトアミノフェンを製造しているが、これに安価な中国製を混ぜて出荷していた。
 
卵子にミトコンドリア、不妊治療で4人出産…「安全・倫理で疑問」と専門家 indexへ

 本人の卵巣組織から採取した「ミトコンドリア」を注入して卵子を活性化する不妊治療を行い、女性4人が出産したと21日、大阪市の不妊治療施設のグループが発表した。
 双子を含む5人が生まれ、いずれも健康という。ただ安全性が確認された方法ではなく、専門家からは疑問の声も上がっている。
 施設は「HORACグランフロント大阪クリニック」。ミトコンドリアは細胞内の小器官で、エネルギーを作り出す働きがある。そこに着目し、体外受精の際、精子と一緒にミトコンドリアを卵子に注入する治療を臨床研究として行った。
 クリニックによると、27~46歳の21人がこの治療を受け、6人が妊娠。うち27~36歳の4人が出産、30歳と44歳の2人は流産した。一連の治療は約170万円。
 この治療による出産例は国内で初めてという。森本義晴院長は「卵子の質が悪く、体外受精を繰り返すしか方法がない女性にとって朗報だ」と話している。
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 石井哲也・北海道大教授(生命倫理)の話「治療人数が少なく、出産が本当にこの治療の効果なのか根拠に乏しい。予期せぬ遺伝的影響が子に及ぶ恐れもあり、安全、倫理の面で疑問がある」
 
「茶のしずく石鹸」で重い小麦アレルギー症状、患者の4割が回復 indexへ

 化粧品製造販売会社「 悠香 」(福岡県)が販売した「茶のしずく 石鹸 」の旧製品の利用者に重い小麦アレルギー症状が出た問題で17日、日本アレルギー学会が患者調査の最終報告を公表した。
 小麦を摂取できるまで回復したのは、使用を中止した患者の4割だった。
 旧製品は2004年から10年まで約4650万個販売され、11年5月に自主回収となった。同学会は全国270医療機関で診断された2111人の経過を追っていた。
 報告によると、今年3~5月の調査で980人の現状が報告された。その中で医師が小麦摂取の状況を把握できた474人のうち、202人(43%)が回復していた。自己判断で通院をやめた506人の回復状況は分かっていない。
 アレルギー反応の原因は、旧製品が含む小麦由来のたんぱく質が、洗顔時に皮膚や目・鼻の粘膜から体内に少しずつ侵入し、排除しようとする抗体ができたためと推測した。
 製品の使用を中止すると抗体は徐々に減り、症状も緩和された。
 また、患者の27%は洗顔時にはかゆみや赤みなど自覚症状がなく、食事でまとまった量の小麦を摂取した時にアレルギー症状が出ていた。松永佳世子・藤田保健衛生大教授は「石鹸が原因と気づくのに遅れた患者も少なからずいた。皮膚と食物アレルギーの関連を周知していきたい」と話している。
 
毒針がある南米原産「ヒアリ」初確認…中国から到着したコンテナ内に indexへ

 環境省は、南米原産で腹部の末端に毒針がある外来種のアリ「ヒアリ」が、国内で初めて確認されたと発表した。
 神戸港で荷揚げされたコンテナ内で、移送先の兵庫県尼崎市内で見つかった。見つかったアリはすべて駆除されたが、逃げたアリがいないか、同省で調べている。
 ヒアリは体長約2・5~6ミリ。赤茶色で、北米や中国などで定着している。人が針に刺されると、激しい痛みとともに腫れ上がり、アレルギー反応で死亡する恐れもある。同省は、見つけても触れないよう呼びかけている。
 コンテナは5月20日、中国から到着。同26日に尼崎市内で通関手続きを行う業者が中を確認したところ、多数のアリを発見し、通報した。
 
感染症か…幼稚園児2人死亡、発熱・嘔吐など症状 indexへ

 川崎市は14日、同市川崎区の私立大師幼稚園に通う4歳の園児2人が今月6日と12日に相次いで死亡したと発表した。同じクラスの女児と男児で、発熱や 嘔吐などを発症した後で死亡しており、市は感染症の可能性も否定できないとして、2人の血液検査などを行って詳しく調べている。他の園児や家族らに重い症状が出ているケースは確認されていないという。
 
カフェイン中毒、5年間に101人搬送・3人死亡…眠気防止薬や飲料など原因 indexへ

 市販の眠気防止薬や清涼飲料水によるカフェイン中毒で、2011年度からの5年間に国内で101人が救急搬送され、3人が死亡したとする調査結果を、日本中毒学会がまとめた。
 20歳代を中心に若い世代が多く、13年度以降急増しており、注意を呼びかけている。
 調査は、埼玉医科大学の上條吉人教授(救急医学)などが、学会員が所属する264の救急医療施設に調査を依頼、39施設から回答を得た。カフェインを含む風邪薬を同時に飲んだケースは調査対象から除いた。
 救急搬送された101人の年齢幅は14~54歳で、18歳以下は16人。13年度以降に計86人と急増していた。カフェイン中毒の原因は、眠気防止薬が97人、清涼飲料水が10人、コーヒーが5人だった(重複回答あり)。
 中毒症状は、激しい 嘔吐やイライラ、興奮、 動悸などで、重症例では7人が心停止していた。成人では2、3時間のうちにカフェイン1グラム以上を摂取すると急性中毒の症状が表れるとされ、眠気防止薬はおおむね10錠、缶入り清涼飲料水は10本、コーヒーは10杯以上になると注意が必要という。
 
「無痛分娩で障害」で提訴、京都の診療所を相手取り3件目 indexへ

 麻酔で出産の痛みを和らげる無痛 分娩で出産した長女が脳に重度障害を負ったとして、京都府内の夫婦が同府京田辺市の産婦人科診療所を相手取り、約1億円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴したことがわかった。
 長女は寝たきりとなり、3歳で死亡した。この診療所では別に2012~16年に母子2組が無痛分娩などで麻酔を受けた後に重度障害を負い、2件の損害賠償訴訟が起こされている。
 訴状によると、妻は11年4月、京田辺市の「ふるき産婦人科」で無痛 分娩を行うため、背中に細い管をさし込んで麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受け、陣痛促進剤も注入された。赤ちゃんの頭を引っ張る吸引分娩などを試みた がうまくいかず、帝王切開手術を実施。長女は仮死状態で別の病院に運ばれたが、低酸素脳症で重い障害を負った。
 同診療所は「取材には答えられない」としている。
 
かゆみ止め「ムヒアルファEX」自主回収…プラスチック片混入の可能性 indexへ

 医薬品製造「池田模範堂」(富山県)は13日、かゆみ止め薬「ムヒアルファEX(クリーム剤)」2万8800本を自主回収すると発表した。
 製造工程で、一部にプラスチック片が混入した可能性があるという。
 回収対象は、3月21~23日に製造し、今月になって誤って出荷した商品で、箱の側面やチューブの裏面に製造番号「709」と記載。同社まで料金着払いで送ると、現金書留で返金される。問い合わせは同社(0120・643061)へ。
 
「産科医1人だけの医院、許可しないで」無痛分娩で障害、ロシア女性の母が手記 indexへ

 京都府京田辺市の診療所「ふるき産婦人科」で2012年11月、無痛 分娩の麻酔後に急変し、母子ともに意識不明で寝たきりという重い障害を負ったロシア人女性(40)の母親で、医師のリュボーヒ・ボイコさん(62)が6月 12日、報道各社に手記を公表した。ボイコさんは事故後、勤めていた病院を辞めて来日し、娘や孫の介護を続けている。手記の原文はロシア語で、ボイコさん の知人が日本語に翻訳したという。その内容は、以下の通り。
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 新聞社に向けて文章で伝える動機となったのは、私 達の家族に起こった悲劇を伝えたいからではありません。理由は別なところにあります。私は、妊娠している女性たちに、ただ1人の産婦人科医しか働いていないような個人医院で出産することの危険性を警告したいからです。
 妊娠中に個人の医院で経過観察を受けることは、便利ですし、静かで、 心地よいことです。ただ、出産だけは個人医院ではしないでください! 出産は複数の医師がいる体制のあるところでして下さい。救急時の対応医や新生児科の 医師がいて、さらに複数の産婦人科医がいるところで出産すべきです。
 私は妊娠中の娘を持つお母さん達に警告したいと思います。もし 貴女が自分たちの娘の命と健康を大切に思い、障害の無い孫の誕生を願うなら、ふるき産婦人科と似たような体制の医院で出産することを許可してはいけません。出 産の経過は複雑です。出産のどの段階でも合併症は起こりえます。さらに、もし新生児に何らかの合併症がある場合、考えてもみて下さい。この場合、医師はど ちらに対応すればよいのでしょうか? 母親ですか、赤ちゃんですか?
 次いで、私が重要と考えていて理解できないことがあります。厚生労働省の担当課が、 何故1人の産婦人科医しか働いていない産婦人科医院で出産することを許可しているのか、ということです。もちろん、助産師や看護師の体制はあるでしょうが、医 師は1人です。産婦人科医は何年にもわたり不眠不休で働かねばならないのではないでしょうか? もちろん、そんなことはないでしょう…。とすれば、次の疑 問が起こります…。医師がくつろいで眠っているときには、一体誰が出産を援助するのでしょうか?
 個人医院で出産をする契約をし、熟練した医師の援助を受けて出産する ことを願っていた妊婦さんは期待を裏切られてしまうことになります。厚生労働省の担当課は出産時に起こり得るリスクを知らないということはないでしょう (知っているでしょう)。皮膚科医、歯科医、眼科医、内科医、小児科医には個人医院で1人で開業する許可を与えることはいいでしょう。しかし、外科医と手 術をする産婦人科医に関しては、1人で開業する許可を与えることは許せません!
 (中略)
 私はロシアで医師として30年以上仕事をしてきました。わが国ではこのようなことは見過ごされる(許される)ことではありません。私たちのところには妊婦のための経過観察をする個人の医院(外来のみ)は多くあります、しかし、出産は、医師のスタッフが 揃い、機器も薬剤も十分に設備された産科病院でのみ可能です。
 (中略)
 私は外国人です。日本語はわかりませんし、日本の法律についても詳 しくはありません。ジャーナリストの皆様方に、対応すべき機関(裁判所?)に私の要望と祈りを伝えるよう切にお願いします。1人だけの産科医しかいない医 院ではお産ができる許可を与えないようにしてください! 自分たちの娘や奥さんを悲しい目にあわせないようにしてください! 家族にとって子どもが生まれ るという最高に幸せな日が悲劇に変わるようなことはしないでください。
 
無痛分娩で重度障害…京都の診療所で事故続く indexへ

 麻酔で出産の痛みを和らげる無痛 分娩をした女性(40)と長女(4)が脳に重い障害を負ったのは医療ミスが原因として、この母子と家族計4人が京都府内の診療所に介護費用や慰謝料など計約9億4000万円の損害賠償を求め京都地裁に提訴したことがわかった。
 昨年も同じ診療所で麻酔後に母子が重度障害を負っており、同様の事故が2例続発していた。無痛分娩の重大事故について調査している日本産婦人科医会は、この事例も調べる方針だ。
 提訴されたのは、「ふるき産婦人科」(同府京田辺市)。訴状による と、女性はロシア国籍の元大学准教授で、2012年11月、この診療所で背中に細い管をさし込み麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」の直後に心肺停止となっ た。救急搬送先の病院で帝王切開により長女を出産したが、母子とも低酸素脳症などになり、現在も意識不明という。
 原告側は「さし込んだ管が硬膜を破り、くも膜下に入ったことと、高濃度の麻酔薬を一度に大量に投与したミスがあった」と主張している。提訴は昨年12月。
 女性の母親は代理人を通じて報道陣に 手記を公表し 、「産婦人科医一人しかいない個人医院で出産する危険性を警告したい。出産は複数の医師の体制があるところですべきだ」と訴えた。
 診療所は「取材は受けられない」としている。
 同診療所では昨年5月にも、帝王切開の麻酔後に別の母子が重度障害を負った。同医会はこの事例のほか、大阪府や兵庫県で判明した妊産婦死亡例も調べており、産科麻酔の重大事故が4件相次いで発覚した形だ。
 
居酒屋で30人が食中毒、うち7人から「カンピロバクター」検出 indexへ

  東京都は9日、八王子市の「個室居酒屋いろは」で5月に鶏刺しなどを食べた18~64歳の男女30人が腹痛や発熱を訴え、うち7人から食中毒菌「カンピロバクター」を検出したと発表した。
 30人は軽症で、全員回復したという。
 発表によると、30人は5月26日夜、鶏の串焼きや鶏の刺し身などを食べ、27日~31日にかけて腹痛などの症状を訴えた。
 八王子市は9日、同店を7日間の営業停止にした。
乳幼児の健康、都道府県格差が拡大…戦前に近いレベルに indexへ

  乳幼児の健康の都道府県格差がこの10年で急速に広がり、戦前に近い レベルになっていることが、国立成育医療研究センター(東京)の研究チームの分析で明らかになった。戦後、乳幼児死亡率は40分の1に減少したが、貧困や 栄養不足など健康を損なう医療以外の要因が影響したとみられる。
 同センターの森臨太郎部長(母子保健学)らは、1899年~2014年の人口動態調査をもとに、0~4歳の死亡率(出生1000人あたりの年間死亡者数)の変化や、都道府県間のばらつきを分析した。
 乳幼児死亡率は、1947年の123人が2014年には3人に減少し た。この間、都道府県格差の指数は、戦前の0・01前後が、高度成長期に0・02以上に拡大。都市部で医療水準が高まったためとみられる。その後、医療の 全国的な普及に伴い格差は0・01未満に縮まったが、この10年ほど拡大傾向に転じ、14年は0・013と戦前レベルに戻った。
 乳幼児死亡率は戦後、岩手や青森など地方で高く、東京や大阪など都市で低かった。しかし、近年は順位が毎年入れ替わり、地域的な特色は見つけにくい。14年の乳幼児死亡率は、佐賀、群馬、香川が低く、栃木、鳥取、徳島が高かった。
 研究チームは、貧困など乳幼児の環境や、未熟児など体の弱い子への対応などで都道府県間に差があることが格差拡大の要因とみて、さらに研究を進める。
無届け老人ホーム、病院が紹介「7割」…身寄りない低所得高齢者をやむなく indexへ

 都道府県などへの届け出をしていない違法な「無届け有料老人ホーム」を対象とした調査で、7割の施設が、病院やケアマネジャーから入居者を紹介されていたことがわかった。
 無届けホームは一般的に費用が安く、医療・福祉関係者が、身寄りのない低所得の高齢者をやむなく紹介する例が多いとみられる。
 調査は、高齢者住宅財団(東京)が2016年11月、全国の無届け有料老人ホーム692か所に調査票を送り、32・5%の225か所が回答した。
 高齢者がどこからの紹介で入居したかについて複数回答で聞いたとこ ろ、最多が「病院や診療所」で70・7%。高齢者の介護プランを作る「ケアマネジャー」が68・9%、高齢者の総合相談窓口である「地域包括支援セン ター」が42・7%と続いた。「入居者の家族」が35・6%、「行政窓口」が8・9%、自治体の「福祉事務所」も6・2%あった。
 また、入居の動機(複数回答)については、「一人暮らしで家族などの支援がない」が66・7%、「病院から退院後、自宅に戻れない」が62・7%と上位だった。
 同調査によると、無届けホームの平均費用は月約10万5000円。届 け出されたホームと比べ約2万円安い。神奈川県内の女性ケアマネジャー(52)は「医療機関や介護関係の事業所には、無届けを含め有料老人ホームの事業者 がよく営業に訪れる。自治体に確認して無届けとわかっても、より安いところを紹介せざるを得ない実態がある」と話す。
 同財団の高橋 紘士理事長は、「医療や福祉の専門家が違法なホームを紹介するのは望ましくない。国や自治体は低所得者の住居確保に力を注ぐべきだ」と指摘。厚生労働省高齢者 支援課は「届け出されなければ、行政が実態を把握するのが難しく、事故や虐待などがあっても入居者を保護できない」と話し、自治体に届け出促進を呼びかけ ている。
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 【無届け有料老人ホーム】  老人福祉法で義務づけられた都道府県などへの届け出をしていない有料老人ホーム。厚生労働省の昨年6月時点の調査では、全国の有料老人ホームの約1割、 1207か所に上る。有料老人ホームは、事業として高齢者を1人以上住まわせ、食事、介護、家事、健康管理のどれか一つでも提供する施設。都道府県などの 指導指針で、部屋の広さや必要な設備などが定められているが、行政の指導を避けるなどの目的で届け出ない例が多いとされる。
 
給食の牛乳で379人体調不良…茨城8市町の学校 indexへ

  茨城県教育委員会は6日、県内8市町の小中学校と特別支援学校で5日の給食に出された牛乳を飲んだ児童や生徒、教職員計379人が腹痛や下痢などの体調不良を訴えたと発表した。うち2人は医療機関を受診したが、いずれも軽症だった。
 発表によると、水戸市教委などに5日、牛乳を飲んだ生徒や教職員から 「消毒臭がする」「水っぽい」などの指摘が相次いだ。県が調査し、計61校約3700人が違和感を訴えていたことが判明した。牛乳は「いばらく乳業」(水 戸市)が製造した200ミリ・リットル入りの紙パックだった。県は7日以降、原因を調べる。
帝王切開麻酔で母子障害…「無痛」と同手法、京都の診療所報告せず indexへ

  出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩をした妊産婦に相次ぎ死亡例が判明する中、京都府の産婦人科診療所が昨年、帝王切開で同じ方法の麻酔をして母子が重度障害を負う例があったにもかかわら ず、日本産婦人科医会に報告していなかったことがわかった。同医会はこの診療所に報告を求めて調査するとともに、無痛分娩に限らず、産科麻酔の安全体制に ついても実態を調べることにしている。
 母子が重度障害を負ったのは、京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」。 昨年5月、同市内の女性(38)が、予定していた帝王切開の前に、背中に細い管をさし込んで麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受けた。これは無痛分娩と同 じ方法で、女性はその後、急変し、他の病院に搬送されたが寝たきりの重い障害が残った。赤ちゃんも重い脳性まひという。
 この事例は今年1月、家族が診療所を相手取り、損害賠償を求め京都地裁に提訴し、係争中。訴状によると、硬膜外麻酔の針が誤って脊髄の周囲にある「くも膜下」まで達し、呼吸筋まひを引き起こしたが対応が遅れ、母子ともに低酸素脳症を来したという。
 同医会には、重大事故事例を報告する制度があるが、この事例について、診療所から報告はなかった。同医会は、大阪府や兵庫県で相次いだ無痛分娩を巡る妊産婦死亡例と同様、麻酔をはじめ診療経過や体制に問題がなかったか調べている。
 障害を負った女性の夫(37)は読売新聞の取材に応じ、「院長から 『分娩時にもう一人、医師がいれば結果は違ったかもしれない』と言われた。麻酔のリスクについて事前に十分な説明はなかった。事故が起きた時に対応できな い体制のまま、こうした医療を続けさせていいのか」と話している。診療所は「取材にはお答えできない」としている。
「受動喫煙ゼロ」目標、厚労省が提示しない方針 indexへ

 非喫煙者がたばこの煙を吸い込む受動喫煙について、厚生労働省が、2020年度までに飲食店などでの受動喫煙をゼロにする目標を、新たながん対策の基本計画案に盛り込まない形で、2日の有識者会議に提示することが分かった。
 ただ、会議の委員はたばこ対策に熱心な患者や医師らが中心で、反発が予想される。
 厚労省は当初、20年度までに受動喫煙を強いられる人の割合を飲食店 や職場、行政機関、医療機関でゼロにする目標を基本計画案に盛り込み、2日のがん対策推進協議会に提示する方向で調整していた。受動喫煙ゼロの目標が提示 されないのは、受動喫煙対策を強化する法案に対する自民党側の反発が強く、調整が続いているためとみられる。厚労省は、基本計画の閣議決定に向け、法案の 動向を見極めながら、引き続き調整を続けたい考えだ。
 
介護保険を滞納、差し押さえ受けた高齢者が過去最多の1万3371人 indexへ

  介護保険料を滞納し、市区町村から資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の高齢者が、2015年度に1万3371人で過去最多となったことが、厚生労働省の調査で分かった。
 15年度からは、低所得者の保険料を軽減する仕組みが強化されたが、保険料自体も上昇しており、なお負担感が重いようだ。
 全1741市区町村のうち、3割の564市区町村で処分が行われた。14年度の1万118人から32%増加し、調査を始めた12年度以降で最も多かった。
 大半の人は年金から天引きされているが、年金が年18万円未満の人は自分で納める必要があり、こうした人たちが滞納者となっている。預貯金が少ないことも多く、処分を受けて実際に滞納分を回収できたのは6割にとどまった。
 滞納分の時効は2年。差し押さえまでの期間は自治体によって異なるが、滞納から数か月の場合もある。2年以上の滞納があると、原則1割負担で利用できる介護サービスが3割負担となる。
 15年度中にこのペナルティーを受けた人は1万447人にのぼった。14年度までの2年分の滞納額は591億円だった。
介護保険料高騰、軽減策は先送り
 滞納で差し押さえが増える背景には、介護保険料の高騰がある。高齢化で介護サービスの需要が増え、65歳以上の保険料は全国平均で、制度が始まった2000年度の月2911円から15年度は5514円まで上がった。25年度には、8165円まで跳ね上がる見込みだ。
 低所得者の保険料軽減策は、消費税の10%増税時に拡充する予定だったが、増税延期で先送りされた。
 3割負担の措置を受けると、必要な介護サービスの利用をためらう要因になりかねず、厚労省は「制度の周知をはかり、2年たつ前にできる限り、納めてもらいたい」としている。
女性研修医の自殺、過重労働が原因…労災認定 indexへ

 新潟市民病院(新潟市中央区)の女性研修医が2016年1月に自殺したのは過重労働が原因だったとして、新潟労働基準監督署が労災認定していたことが1日、わかった。
 自殺したのは、同市の木元 文さん(当時37歳)。遺族側の代理人によると、木元さんの夫に31日、労基署から連絡があった。1日午後、認定の詳しい理由が説明される。
 木元さんは介護施設などで3年間、看護助手として働きながら勉強して新潟大医学部に合格。卒業後の13年に研修医となって15年4月から同病院に勤務し、消化器外科に所属していた。
 しかし、緊急の手術補助などで夜中に頻繁に呼び出されるようになり、 同年秋頃から「いくら寝ても疲れる」などと苦痛を訴え、次第に「病院に行きたくない」と漏らすようになったという。16年1月24日夜、1人で外出し、翌 朝に自宅近くの公園で低体温症で死亡しているのが見つかった。酒と睡眠薬を飲んでおり、県警は自殺とみている。
 遺族側は電子カルテの操作履歴や車の出入りなどから、厚生労働省が 「過労死ライン」とする月平均80時間を大きく上回る約120~250時間の時間外労働をしていたと主張。夫は労基署に労災を申請する際、「妻の責任感が 強かったことを利用し、長時間労働を放置した」と訴えていた。
 一方、病院側は労基署の調査に対し、木元さんの自己申告では月平均の残業が48時間程度だったと反論していた。労災認定については「現時点ではコメントできない」としている。
 遺族側の代理人弁護士は「過労死が明確になった以上、病院側に労働環境の改善を求める」としている。
 
麻酔使った「無痛分娩」…産科医会調査を活用し、厚労省が年度内に安全策 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩をした妊産婦の死亡例が相次ぎ判明し、厚生労働省は、産科麻酔の安全対策について、同省研究班で検討する方針を固めた。
 これを受け、日本産婦人科医会は31日の会合で、近く行う実態調査の結果を7月をめどにとりまとめ、研究班の分析に生かすことを決めた。研究班は今夏にも検討に入り、今年度内に具体策をまとめる。
 無痛分娩は近年、日本でも人気が高まっているとされるが、実施件数など実態は把握されておらず、どこでも安全体制が十分なのかどうかは不明だ。そこで、同医会は全国約2400医療機関を対象に実態調査のためのアンケートを行う。
 研究班は、同医会や関連学会の産科医や麻酔科医を中心に構成。アンケートをもとに、過去3年間の実施件数、人員体制、昨年1年間に起きた重大事故の状況を分析。大量出血や麻酔薬による中毒症状、心停止といった母子の重い合併症がどのくらい起きているのかなどを検証する。
 また、同医会は、死亡例があった大阪府と兵庫県の2医療機関に加え、京都府内の産婦人科診療所で昨年、帝王切開のため同じ方法の麻酔を受けた妊婦が、母子ともに寝たきりの重い障害を負った事例についても調査を始めた。
 
麻酔使った「無痛分娩」で2人死亡判明…産婦人科医会が調査開始 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩をした妊産婦2人の死亡が大阪府と兵庫県の医療機関で相次いで判明し、日本産婦人科医会は、分娩経過や安全体制に問題がなかったか調査を始めた。
 再発防止に向け、両者を直接指導することも検討している。これ以外にも、他の医療機関の例も含め重大事故の情報が複数あり、同医会は順次調査する方針だ。
 死亡例があったのは、「老木レディスクリニック」(大阪府和泉市)と「母と子の上田病院」(神戸市中央区)。いずれも、背中にさし込んだ細い管を通じて麻酔薬を入れる「硬膜外麻酔」という方法の無痛分娩をした女性が死亡した。
 大阪の例は2017年1月、麻酔後に急変して呼吸困難となり、他の病 院に搬送されたが1週間余りで死亡。兵庫の例は15年8月、麻酔をかけ陣痛促進剤を投与されて出産後、大出血して救急搬送されたが、寝たきりのまま16年 7月に死亡した。麻酔や投薬に問題があったかどうかは現時点で不明だが、緊急対応に不備があった可能性がある。
 同医会は開業医を中心とする専門職団体で、妊産婦死亡の報告制度を設けているが、この2例は報告されていなかった。最近になって情報があったため、診療記録の提出を求め、調査を始めた。31日、各医療機関への指導など今後の対応を協議する。
 ほかにも、兵庫県や京都府の他の医療機関も含めて産科麻酔にかかわる重大事故事例の情報があり、同医会はさらに調査を進める。
 無痛分娩を巡っては厚生労働省研究班が先月、妊産婦死亡298例中13例あったと発表し、体制整備を求める緊急提言を出した。無痛分娩は国内での実施数が不明で、安全体制が十分かどうかわかっていないため、同医会が実態調査している。
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 【無痛分娩】  局所麻酔で痛みを和らげ出産の疲労を軽減する手法で、高齢妊婦の増加もありニーズが高まっている。米国やフランスなど普及が進む国もある。いきみづらく なるため出産時間が長引き、陣痛促進剤が必要なことも多く、赤ちゃんを器具で吸引する処置に至るなどのリスクも高まるため、安全対策の整った医療機関で行 う必要がある。
 
若手医師の方が、ベテラン医師より患者の死亡率低く…米大分析 indexへ

 肺炎や心不全などで緊急入院した高齢患者の死亡率は、若手の内科医が診たほうが低い、とする分析結果を米ハーバード大学の津川友介研究員(医療政策)らが発表した。
 若手が、教育や研修で得た最新の知識や考え方を診療に用いているためと研究チームはみている。成果は英医学誌に掲載された。
 研究チームは、全米の病院に2011~14年に入院した65歳以上の延べ約74万人の診療記録を分析。研修医を除く内科医約1万9000人について、年齢で治療成績に差があるかを調べた。患者の年齢、重症度などの要素を調整し、比較できるようにした。
 その結果、入院後30日以内の死亡率は、39歳以下の医師の患者では 10・8%だったが、40歳代では11・1%、50歳代では11・3%と上がり、60歳以上では12・1%と高くなった。一方、多くの患者を診る医師に絞 ると年齢による差はなく、全体の死亡率(11・1%)より低かった。
 ベテランの医師の治療を希望する患者は少なくない。今回の成果が他の診療科や日本に当てはまるかどうかは検証が必要だが、津川研究員は「若手の内科医をもっと信頼していいと考えられる。高齢の医師を受診する際は治療実績の情報を集めるとよいだろう」と話す。
 医療制度に詳しい慶応大学の後藤 励准教授(医療経済学)の話「ベテランは経験を積むことで技能はあるが、『最新の知識』の習得という側面では遅れているのではないかという視点を踏まえて検討した画期的な成果。国内でも検証を行う価値はある」
 
卵子保存希望、推計2600人…「助成あれば」、がん治療後出産 indexへ

 がん治療後も出産の可能性を残す卵子凍結保存について、 経済的な支援があれば希望する女性患者は年間約2600人、費用は総額で約9億円に上ることが、厚生労働省研究班の初の推計でわかった。費用が高額で保存 に踏み切れない患者がおり、研究班は「経済的理由で子どもをあきらめずに済むよう公的な助成が必要だ」と指摘している。
 抗がん剤や放射線によるがん治療は、卵巣の機能を低下させることがある。このため出産をあきらめる女性患者も多いが、最近は治療前に卵子を採取して凍結保存し、妊娠の可能性を残す方法がある。ただ、費用は数十万円と高く、経済的理由で断念する患者もいる。
 研究班は、出産する可能性の高い15~39歳の患者数や実際に行われた卵子の凍結保存件数などを基に、経済的支援があれば卵子や卵巣、受精卵の凍結保存を希望するとみられる患者数を年2622人と推計。必要な費用の総額は年8億8432万円と試算された。
 がん治療の進歩で近年、若い世代のがんは生存率が高まり、治療後に出産を希望する患者が増えている。しかし、若い患者は経済力がなく、費用を工面できない人も多いとみられる。
 調査結果をまとめた鈴木直・聖マリアンナ医大教授は「若いがん患者は治療費で精いっぱいで、凍結保存をあきらめることもある。希望を持ってがんと闘うためにも、子どもを持つ可能性を開く環境整備が必要だ」と指摘している。
 
せき止め薬「コデイン」小児への処方制限へ…副作用で呼吸困難恐れ indexへ

 厚生労働省は16日、せき止め薬などに使われる「コデイン」と呼ばれる成分を含む医薬品について、小児への処方を制限する方向で検討すると発表した。
 小児で、ごくまれに重篤な呼吸困難の副作用が生じる恐れがあり、欧米など海外の一部では処方制限が行われている。
 厚労省によると、コデインはモルヒネに類似した成分。国内では、医師 による処方箋が必要な医療用医薬品で約60製品、市販薬では約600の製品で使われている。添付文書で、小児に対し慎重に投与するよう求めていた。具体的 な処方制限の内容や対象年齢などは、6月に開く有識者検討会で決めるとしている。
 
脱毛処理、皮膚トラブル相次ぐ…やけどや痛み indexへ

 エステや医療機関での脱毛処理を巡るトラブルが後を絶たない。
 全国の消費生活センターに今年2月までの約5年間で、施術後に皮膚の やけどや痛みなどの症状が出たという相談が964件寄せられた。脱毛による副作用のリスクを認識していない利用者が多いとみられ、国民生活センターは「脱 毛処理によるリスクなどを十分に理解して受けてほしい」と注意を呼びかけている。
 同センターによると、脱毛処理には、主にレーザー機器などによって毛根の組織を完全に破壊する「医療行為」と光照射などによる「一時的な除毛」とがあり、一時的な除毛は、医師資格が不要なためエステで広く行われている。
 
「無痛分娩」妊婦死亡など相次ぎ…件数や事故状況、実態調査へ indexへ

 麻酔で出産の痛みを和らげる「無痛 分娩」をした妊産婦に死亡を含む重大事故が相次いでいるとして、日本産婦人科医会が実態調査に乗り出した。
 無痛分娩は、国内でどれくらい行われているか不明で、全国的な実施総数や事故状況を把握し安全対策に生かす。調査結果を踏まえ、関連学会と連携して研修の実施や安全性向上のための指針策定を進める。
 無痛分娩は、出産に伴う疲労を軽減する利点があり、米国やフランスでは広く普及している。国内でも、高齢出産の増加でニーズが高まっている。ただ、いきみづらくなって出産の時間が長引き、赤ちゃんを器具で吸引する処置が必要になるなどのリスクもある。
 今回の調査は、出産を扱う約2400医療機関が対象になる。過去3年間の実施件数のほか、昨年1年間に起きた大量出血や麻酔薬による中毒症状といった重い合併症についても調べる予定だ。
 同医会の 石渡勇・常務理事は、「無痛分娩そのものが危険なわけではないが、実施には十分な技量と体制整備が必要で、希望者が安全に受けられる仕組みを整えたい」と話している。
 無痛分娩を巡っては、厚生労働省研究班が、2010年1月から16年 4月までに同医会が報告を受けた妊産婦死亡298例を調べたところ、無痛分娩だった出産が13例あった。研究班は今年4月、無痛分娩を行う医療機関に対 し、急変時の体制を十分整えるよう緊急提言を出している。
 
大阪の「リーガロイヤルホテル」で25人が集団食中毒 indexへ

 大阪市は9日、「リーガロイヤルホテル」(大阪市北区)のレストラン「ALL DAY DINING『REMONE(リモネ)』」で食事をした18~70歳の男女計25人が集団食中毒を発症し、同店を9日から3日間の営業停止処分にしたと発表した。
 25人は下痢や腹痛などの症状を訴えたが、いずれも軽症という。
 
循環器系疾患の発症リスク、AIで予測 indexへ

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)は、米IBMの「ワトソン」などの人工知能(AI)を使って、心筋 梗塞など循環器系の病気の発症や重症化のリスクを予測する研究を始めたと発表した。
 同センターによると、日本人の死因は、脳卒中や心筋梗塞など脳や心臓の血管の病気が25%を占める。こうした患者のうち、治療の経過が分かっている約3000人分の情報をワトソンに学習させる。
 
臓器移植ネットワーク、移植患者の選定専任部門新設へ…選定ミスの再発防止策 indexへ

 脳死臓器提供者から心臓の移植を受ける患者の選定にミスがあった日本臓器移植ネットワークは25日、記者会見し、患者を選定する専任部門を新設するなど再発防止策を発表した。
 発表によると、これまで、臓器提供を受ける患者の優先順位を決める患 者選定の業務は、実際に提供を受ける患者と臓器との仲介業務などと一緒に同じ部門が担っていた。5月からはこの体制を改め、患者選定に特化した部門を設 置。7月には、システムの専門家を外部から招き、情報システムの管理や運営の権限を持つ統括部門も新設する。
 
脳卒中の原因となる脳動脈瘤、AIが「確率9割超」で発見 indexへ

 東京大発のベンチャー企業「エルピクセル」(東京都)が、脳卒中の原因となる脳の血管のコブ(脳動脈 瘤)を、磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像から見つける人工知能(AI)を開発した。
 先端技術の「ディープ・ラーニング(深層学習)」で発見率を9割超に高めたという。
 同社は年内にも、病気の診断に深層学習を活用した国内初の医療用ソフトとして国に申請し、事業化を目指す。
 新開発の画像診断支援AIは、数秒間でコブの可能性が高い部分を判定 し、コンピューター画面に赤く表示する。機械が自動的に画像などの特徴をつかむ深層学習の手法を応用し、放射線科専門医の診断の特徴を学ばせた。国内約 10施設の医療機関の協力を得て試験運用し、発見精度は90%以上と実用レベルに達しているという。
 日本脳ドック学会などによると、脳動脈瘤は30歳以上の3%強に見られ、年間約1万2000人が破裂による出血で死亡。後遺症が残る患者も多く、破裂の危険性が高くなる直径5~7ミリ以上のコブを脳ドックなどで見つけて治療する必要がある。
 通常は、放射線科医がMRIなどの画像から、脳動脈瘤と血管表面にもとからある凹凸などと区別して診断する。だが、人手がかかり、診断件数には限界があった。
 青木茂樹・日本医学放射線学会副理事長(順天堂大教授)の話「人手不足の現場の助けになる技術だ。ただ、医学的に問題とならない脳動脈瘤もある。最終的な診断は医師に委ねるべきだ」
 ◇
 【深層学習】  脳の神経回路をモデルにしたAI技術。画像や音声、文章の認識精度を飛躍的に向上させ、スマートフォンの音声検索や、車の自動運転、囲碁のAIなどに幅広く活用されている。
 
治療中断、低収入が影響…年収400万円未満で理由の3割 indexへ

 世帯収入が低いほど、医療費を負担と感じて治療をやめる割合が増え、年収400万円未満では中断理由の3分の1に上るという調査結果を、日本医療政策機構がまとめた。
 800万円以上の回答割合より2倍多く、所得格差が治療の継続に影響している。
 調査は2016年11~12月、インターネットで行われた。高血圧や 糖尿病など生活習慣病の治療を中断した252人に、その理由(複数回答)を選んでもらったところ、「費用(医療費)の負担が大きかった」(25%)は、 「通院の手間」(31%)、「仕事や家庭環境の変化」(27%)などとともに上位を占めた。
 「医療費の負担」と答えた人の割合を世帯収入別に見ると、400万円未満は34%で、治療を中断した理由のトップだった。この割合は収入が低いほど増え、400万円以上800万円未満は24%、800万円以上は17%となった。
 
男児が脳死、臓器移植へ…15歳未満の脳死判定13例目 indexへ

 日本臓器移植ネットワークは22日、埼玉県内の病院に入院していた6歳以上10歳未満の男児が、改正臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表した。
 家族が20日に臓器提供に同意し、21日に脳死判定、22日午後に摘出が行われる予定。15歳未満の脳死判定は13例目。
 また、男児の家族は同ネットワークを通じて、「息子から生きる意味を 学び、そして生きたいと思う意志を強く感じ、家族で話し合った結果、臓器提供を決断した。たくさんの方々に愛され、まぶしいほどキラキラしていた息子が、 どこかで誰かの未来のために役立ち、ともに生きていけることを誇りに思います」などとする談話を発表した。
 
麻酔使った「無痛分娩」で13人死亡…厚労省、急変対応求める緊急提言 indexへ

 出産の痛みを麻酔で和らげる「無痛 分娩」について、厚生労働省研究班(主任研究者・池田智明三重大教授)は16日、医療機関に対し、急変時に対応できる十分な体制を整えた上で実施するよう求める緊急提言を発表した。
 研究班は、2010年1月から16年4月までに報告された298人の妊産婦死亡例を分析。無痛分娩を行っていた死亡例が13人(4%)あり、うち1人が麻酔薬による中毒症状で死亡、12人は大量出血や羊水が血液中に入ることで起きる羊水 塞栓症などだったという。
 池田教授によると、国内の無痛分娩は近年、増加傾向にあり、データ 上、無痛分娩で死亡率が明らかに高まるとは言えないという。ただし、「陣痛促進剤の使用や(赤ちゃんの頭を引っ張る)吸引分娩も増えるため、緊急時に対応 できる技術と体制を整えることが必要だ」と話している。
 
副作用が危険!高齢者の「多すぎる薬」防止、国が指針策定へ indexへ

  高齢者に多くの種類の薬が処方され、副作用で体調が悪化するケースが少なくないことから、厚生労働省は、薬の処方を適正化するためのガイドライン(指針)を策定する方針を固めた。
 医療ビッグデータを活用して全国規模で実態を分析し、副作用を招きやすい危ない薬の飲み合わせなどを調べる。17日夕、有識者検討会の初会合を開く。
 高齢者は薬を分解する機能が低下しており、副作用が出やすい。複数の 持病を抱えることが多く、薬の種類が増えがちだ。高齢者が6種類以上の薬を併用すると、一層副作用が出やすくなり、転倒などを招く恐れが高まるというデー タがある。医療機関からは副作用が原因で入院した高齢患者の報告が相次いでいるが、実態は明らかではない。
 厚労省は検討会で薬の専門家らから意見を聞き、問題点を整理。その 後、患者が医療機関でどんな治療を受けたのかが分かる診療報酬明細書のデータベースの情報や医薬品医療機器総合機構に寄せられた副作用報告などを分析し、 薬が増えた際に起きやすい副作用や、危ない薬の飲み合わせなどについて調べる。関連経費は2018年度予算の概算要求に盛り込む方針。
 指針の策定は、分析結果なども踏まえ、18年度末をめどに目指す。持病が多い高齢者は複数の医師から薬の処方を受け、結果的に多くの薬を服用しているケースも多い。そのため医師、薬剤師が、服薬状況を共有して薬の処方を減らす体制作りも進める。
意識障害など深刻な症状も
 高齢者の薬の副作用は、ふらつき、転倒による骨折、意識障害など、心 身に大きなダメージを与えるものも少なくない。過去には、日本老年医学会が2015年に「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を改訂し、慎重な投与が求 められる薬のリストをまとめ、注意を促している。厚生労働省も昨年度の診療報酬改定で、不必要な薬を減らすことを促す仕組みを導入したが、効果は十分上 がっているとはいえない現状だ。
 厚労省はまず実態解明を進め、科学的な根拠を基に危険な薬の組み合わせなどを医師や薬剤師に示し、対策を一層強化する考えだ。高齢者の健康を守るため、医療関係者も積極的な取り組みが求められる。
 
麻疹集団発生、各地で相次ぐ…海外で感染し国内に持ち込み indexへ

 海外で麻疹(はしか)に感染した人が国内にウイルスを持ち込み、地域で患者が集団発生する例が相次いでいる。感染力が強く、重症化すると死に至ることもあるため、専門家がワクチン接種を呼びかけている。
 国立感染症研究所によると、今年の感染者数は今月2日までに99人。昨年は関西空港での33人の集団感染を含め、約160人の感染者があったが、それを上回るペースとなっている。
 今年の集団感染で最も多いのは山形県。県によると、10日までに57人が感染した。2月にインドネシアから帰国した横浜市の男性が、感染に気づかず、同県の自動車教習所の合宿に参加。教習生や宿泊施設の従業員のほか、二次感染者の職場でも広がった。
 このほか三重県で20人、広島県でも11人の集団感染があった。
 日本は2015年3月、はしかウイルスの国内からの排除を達成したと世界保健機関に認められた。しかし、中国や東南アジア、ヨーロッパなどで今も流行しており、感染に気づかず帰国してしまう例がある。
 国立感染症研究所感染症疫学センター第三室の多屋馨子室長は「海外旅 行する場合、大人も免疫を調べたり、予防接種を受けたりして予防することが大事。帰国後、はしかのような症状があれば人の多い所は避けて、医療機関に症状 や渡航先を伝え、すぐに受診してほしい」と注意を促す。
 
鳥から感染する「オウム病」で妊婦2人死亡 indexへ

 インコやハトなどから感染する「オウム病」にかかった妊婦2人が、2015~16年に相次いで死亡していたことが日本産婦人科医会などの調べで分かった。オウム病による妊婦の死亡が確認されたのは国内で初めてという。
 オウム病は、主に病気にかかった鳥のふんを吸い込むことで感染し、高熱や頭痛などの症状が出る。
 抗菌薬で治療するが、重症化すると肺炎や髄膜炎などを起こし、死に至ることもある。国立感染症研究所によると、ここ数年は毎年10人前後の感染が報告されている。
 大阪母子医療センター研究所の 柳原格
 やなぎはらいたる
 ・免疫部門部長は「これまでオウム病による死亡が見逃されていた可能性がある。妊娠すると免疫力が弱まり、感染しやすくなるので、妊娠後は、ペットなどの鳥と必要以上に接触しないほうがいい」と話している。
 
臨床研究法が成立…データ確認や資金情報公表など義務付け indexへ

 医薬品などの臨床研究を適正に行うための手続きなどを定めた臨床研究法が、7日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。
 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データ改ざん事件などを受け、製薬会社の資金で医師らが薬の有効性を確かめる臨床研究などでの不正を防止するため、第三者によるデータ確認や資金情報の公表などを義務付ける。
 
受精卵「ゲノム編集」臨床研究禁止…厚労省方針 indexへ

 「ゲノム編集」と呼ばれる新技術で異常がある受精卵の遺伝子を修復 し、子どもを出産する臨床研究について、厚生労働省は、国の遺伝子治療の指針で禁止する方針を固めた。12日に専門委員会の初会合を開き、1年以内の改正 を目指す。指針がまとまれば、遺伝情報を自由に書き換えるゲノム編集による受精卵の研究を対象にした初の国内規制になる。
 現行の厚労省の指針は、受精卵に別の遺伝子を導入するなどして改変することを禁止しているが、受精卵にたんぱく質などを投与して改変するゲノム編集については定めがなかった。
 ゲノム編集で受精卵の遺伝子を改変する研究について、政府の生命倫理 専門調査会は昨年4月、基礎研究は容認する一方、出産に向けた臨床応用は安全性や倫理面での課題が多く、「容認できない」としており、この方針に沿って指 針を見直すことにした。ただ、この指針には罰則がないため、厚労省から研究費を受けていない民間病院には禁止の効果が期待できないとの指摘もある。
 ゲノム編集で遺伝子を改変した子どもを作る治療をめぐっては、米科学 アカデミーが今年2月、条件付きで容認する報告書を発表。中国ではすでに、病気の原因となる遺伝子を修復するなどの目的で、受精卵にゲノム編集を行う基礎 研究の実施例が計3件報告されており、受精卵へのゲノム編集応用の是非が、国際的な議論となっている。
 
職場のがん検診、科学的根拠ない検査の可能性も…国が指針策定へ indexへ

 職場が提供するがん検診について、厚生労働省は、検診項目や受診頻度などを定めた指針を策定する。同省の検討会に専門家による作業部会を置き、今夏までに素案作りを目指す。
 がん検診には主に、自治体が行う検診と、職場による職域検診がある。国の調査によると、がん検診を受けた人の4~7割は、職域検診を受けている。
 自治体検診は、死亡率を下げる効果が認められた検査を実施項目とするなど、運営が原則、国の指針に沿う形になっているが、職域検診にはそうした指針がない。実態が不明で、科学的に根拠のない検査が行われている可能性もあるため、指針の必要性が指摘されていた。
 
自己注射薬「エピペン」に針が出ない不具合、追加で自主回収 indexへ

 製薬会社ファイザーは3日、生命に関わる重いアレルギー症状、アナフィラキシーになった際に使う自己注射薬「エピペン注射液0.3mg」の自主回収対象を追加すると発表した。
 製造番号は「PS00025A」で、2016年6月6日~7月26日 に出荷された約1万100本。使用時に針が出ない不具合が起きる可能性があるとして、3月13日に約6000本の回収を発表したが、製造工場で調査した結 果、他にも同様の不具合が起きる可能性が判明した。新品と無償で交換する。問い合わせは専用窓口0120・665・766(平日午前9時~午後5時30 分)。
 
千葉大強姦事件、医学部生1人に有罪判決…地裁 indexへ

 千葉大医学部の男子学生による集団 強姦事件で、準強姦罪に問われた同大医学部5年、増田峰登被告(23)(千葉市中央区)に対し、千葉地裁(吉村典晃裁判長)は30日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役4年)の判決を言い渡した。
 事件ではほかに、同じく医学部5年の吉元将也(23)、山田兼輔(23)の両被告が集団強姦罪で、同大医学部付属病院の元研修医、藤坂悠司被告(30)(懲戒解雇)が準強制わいせつ罪で起訴されているが、判決が出たのは増田被告が初めて。
 増田被告は昨年9月21日午前0時40分頃~同5時頃、酒に酔って抵抗できない状態だった知人女性を自宅で乱暴したとして起訴され、初公判で起訴事実を認めていた。
 
脳死心臓移植の患者選定ミス、検索システム設定誤りが原因 indexへ

 脳死心臓移植の患者選定にミスがあった問題で、日本臓器移植ネットワークは29日、患者検索システムを巡る初歩的ミスが原因とする第三者調査チームの報告書を厚生労働省に提出した。
 調査チームは、システム会社と同ネット双方が業務に精通していなかったと指摘。昨年10月に新システムを導入する前、必要なチェックが不十分だったこともわかった。
 心臓移植の優先順位は、重症度や待機日数などで決まる。今年1月、本来は対象でない優先順位が下位の患者への移植が3例あったことが判明。システム会社の設定の誤りで、待機日数が余分に加算されていた。
 
群大病院を戒告処分…診療報酬不正請求340件8000万円 indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、保険適用外の手術に診療報酬を不正請求していたなどとして、厚生労働省が同病院に対して戒告の行政処分を出したことが、同病院などへの取材で分かった。処分は29日付。
 同病院や関係者によると、厚労省は2015~17年、計17日間にわ たって監査を実施。カルテの確認や、同病院の医師らへの聞き取り調査を行ったところ、計約340件、約8000万円の不正・不当請求があったと認定した。 これをもとに同病院は今後、過去に遡って調査し、不正請求額を確定して返還する見通し。
 同病院の調査によると、問題の起きた旧第二外科では、10年12月~14年6月に保険適用外とみられる 腹腔鏡手術が計58例行われ、うち35例で診療報酬が請求されていた。本来は保険適用外とみられる腹腔鏡手術を、保険適用された腹腔鏡手術や開腹手術として請 求した。今回の監査では、患者に麻酔をする際、指導医が立ち会っていないにもかかわらず、立ち会っていたとカルテに記載するなどし、診療報酬を加算して請 求していたことも判明した。
 
「ディオバン」データ改ざん事件、東京地検が控訴 indexへ

 高血圧治療薬「ディオバン」を巡る臨床研究データ改ざん事件で、東京 地検は29日、薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(誇大記述・広告)に問われた製薬大手ノバルティスファーマの元社員・白橋(しらはし)伸雄被告 (66)と、法人としての同社をいずれも無罪とした16日の東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。
 
国立がん研究センター、がん治療臨床試験の検索サイト情報を拡充 indexへ

 国立がん研究センター(東京都中央区)は、がん治療の臨床試験の検索サイトの情報を拡充した。
 従来の臨床試験に、保険適用外の医薬品を保険診療と併用できる先進医療や、人道的見地からの治験(拡大治験)などを加えた。
 がんの種類、実施医療機関の所在地などから検索できる。検索サイトのURLは、http://ganjoho.jp/public/dia_tre/clinical_trial/ct_menu.html
 
特養待機者36万6100人、受け皿不足続く…厚労省調査 indexへ

 厚生労働省は27日、寝たきりなどで介護が必要な人が暮らす特別養護老人ホームに入りたくても入れない人が約36万6100人に上ると発表した。受け皿となる施設の不足が依然深刻な状況が浮き彫りになった。
 調査は、2016年4月現在の状況を集計した。特養は、介護保険法が 改正された15年4月以降、やむを得ない事情がある場合を除き、入居者を介護の必要性が高い要介護3以上に限っている。待機者のうち、要介護3以上は約 29万5200人。認知症でやむを得ない人など、要介護2以下は約7万900人だった。
 今回の結果を13年10月の前回調査と比べると、要介護3以上の待機 者は、約4万9900人減った。特に最も重い要介護5の待機者が2万1000人減った。政府は20年代初頭までに50万人分以上の新たな受け皿を確保する 方針を掲げており、増設が進んだことが理由とみられる。
 要介護3以上の待機者のうち、医療機関や介護老人保健施設など、自宅以外で暮らしながら、待機している人が約17万2000人。一方、自宅などで生活を送りながら待機している人は約12万3200人に上った。
 
昨年の医療事故、過去最多の3882件…9年連続増 indexへ

 「日本医療機能評価機構」(東京)は27日、昨年1年間に報告された医療事故の件数は全国1031医療機関で、過去最多の計3882件だったと発表した。
 調査は2005年に始まり、9年連続で増え続けている。内訳は、医療 事故の報告が義務づけられている大学病院など計276医療機関からの報告が、8割超の3428件。このほか、任意で755の医療機関が、同機構に454件 の事故を報告した。移動時の転倒や手術後に異物が体内に残っていた事故などが目立った。
 
口にビー玉、腹部にあざ…市立病院入院男性2人が虐待被害か indexへ

 京都府舞鶴市の市立舞鶴市民病院で、60歳代の男性入院患者2人の体 にあざや、口にビー玉が入れられているのが見つかり、同病院が府警に届け出ていたことがわかった。2人は同じ病室で、いずれも意思疎通は困難な病状だっ た。府警は何者かに虐待を受けた可能性もあるとみて調べている。
 舞鶴市によると、今年2月24日から3月11日にかけ、3階の病室に入院していた男性患者のみぞおちと脇腹の皮膚が赤黒く変色し、左手中指と薬指のつめが内出血しているのを看護士等が発見。3月12日には、同じ病室に入院中の別の男性患者の口の中に、ビー玉1個が入っているのを看護士が見つけた。
 
高齢者施設虐待、最悪の408件…拘束や介護放棄 indexへ

 厚生労働省は21日、介護施設で2015年度に起きた介護職員による 高齢者虐待が、過去最悪の408件(前年度比108件増)に上ったと発表した。家庭での虐待は、前年度から微増の1万5976件で、死亡事例は20件。同 省は、介護を巡る家族間の殺人や心中などを防ぐため、過去数年に起きた死亡事例の分析や検証に乗り出す考えだ。
 調査は、高齢者虐待防止法に基づき、06年度分から全市区町村と47都道府県を対象に毎年度実施。件数には暴力や拘束などの身体的虐待のほか、介護放棄、年金を取り上げるといった経済的虐待なども含まれる。
 施設での虐待の被害者は計778人で、約7割が認知症の人だった。施設別では、特別養護老人ホームが125件と最多。以前に虐待が起きていたケースも28件あった。
 死亡事例も今回はじめて確認された。
 
市に無届けでベビーシッター事業も…姫路のこども園 indexへ

 兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」が定員(46 人)の1・5倍の園児を受け入れていた問題で、同園が市に無届けでベビーシッター事業を営み、保育士に掛け持ちさせていたことが市への取材でわかった。保 育士らが「園に遅刻したら罰金を取られる」と市に訴えていたことも判明。市は労働基準法違反の疑いがあるとみて姫路労働基準監督署に情報を伝えた。
 市によると、ベビーシッター事業を行うには、児童福祉法施行規則に基づき自治体への届け出が必要。ところが、同園は市に無届けで昨年4月頃から契約先の家庭にシッターとして保育士を派遣していたという。
 
日大板橋病院が投薬ミス、鎮静剤で3件…1人は一時心肺停止 indexへ

 日大板橋病院(東京)で2015年7月、入院中の70歳代の男性患者に鎮静剤の投与ミスがあり、男性が一時心肺停止となっていたことが、同院への取材でわかった。
 男性は意識が戻らずに16年9月に死亡。同院は投薬ミスを認めたが、「死因は 口腔底がんで投与ミスが原因ではない」としている。
 同院によると、投与された鎮静剤は「プレセデックス」。添付文書には、同剤を急速に投与すると、重大な症状を招く恐れがあると警告されていたが、看護師が医師の指示を受けずに、急速に投与したという。
 同院では16年5月にも、救急搬送された80歳代の男性に同剤を急速に投与。16年12月には、入院中の女児(2)に誤って通常の10倍量を投与した。いずれも健康被害は確認されていないという。同院は、「投薬ミスはあってはならないことで深くおわびする」としている。
 
「ディオバン」血圧薬データ改ざん、会社と元社員に無罪判決…改ざんは認定 indexへ

 高血圧治療薬「ディオバン」を巡る臨床研究データ改ざん事件で、東京地裁は16日、薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(誇大記述・広告)に問われた製薬大手ノバルティスファーマの元社員・白橋伸雄被告(66)を無罪(求刑・懲役2年6月)とする判決を言い渡した。
 法人としての同社も無罪(同・罰金400万円)とした。
 辻川靖夫裁判長は、白橋被告による意図的なデータ改ざんを認定したが、「改ざんされたデータに基づく論文を学術雑誌に載せた行為は、誇大記述・広告にはあたらない」と判断した。
 
食道がん、手術件数少ない病院では死亡率2.6倍…日本食道学会調査 indexへ

 手術件数が少ない病院で食道がん手術を受けた患者の死亡率は、件数が多い病院で受けたケースに比べ2倍以上高いことが、日本食道学会研究班の全国調査でわかった。
 病院の診療チームの経験の差が影響したものとみられる。
 食道がんの手術は、近接する肺や心臓など重要な臓器を傷つけないように行う必要があり、難度が高い。体に大きな負担がかかり、手術後に呼吸に支障が出るなどの合併症も多い。
 調査は、国内のほぼ全ての外科手術が登録される大規模データベースか ら、2011~13年に行われた食道がん手術を抽出。約1000病院で行われた約1万6600件の手術を対象に分析したところ、手術後90日以内に死亡し た患者の割合(死亡率)の全国平均は3・0%だった。
 病院の手術件数で見ると、年間30件以上の病院で行われた手術計約6100件の平均死亡率は1・8%だったが、5件未満の病院の手術計約3000件では平均4・7%と2・6倍の格差があった。
 死亡率は、手術件数が多い病院で行われるほど低くなる傾向がみられた。一方、調査期間に限ると、執刀医の手術件数による死亡率の差は見られなかった。
 調査に当たった岡部寛・大津市民病院外科診療部長は「手術技術のみならず、看護師など病院スタッフによる手術前後の患者ケアの熟練度が反映された結果と考えられる。手術を検討する患者は病院に治療実績を聞いたほうがいい」と話す。
 
がん治療薬の副作用疑い報告せず…厚労省、「セルジーン」を処分 indexへ

 厚生労働省は14日、血液がん治療薬使用後の海外の死亡例を国に報告しなかったとして、製薬会社「セルジーン」(東京都)に対し、医薬品医療機器法に基づき業務改善命令を出した。1か月以内の是正措置と再発防止策の提出を求めた。
 同法は、重い副作用の疑いがある事例を把握した場合、製薬会社に国へ の報告を義務づけている。同社は「レブラミド」「ポマリスト」「レナデックス」の3種類の薬について、原因が特定できない海外の死亡4573例を最長約6 年間、期限の15日以内に報告しなかった。同社側は、今回の死亡例が報告対象だと認識していなかったという。
 厚労省は、報告漏れの事例を「基本的にがんの進行による死亡」とみており、現時点で製品の回収などは必要ないとしている。
 
アナフィラキシー時の自己注射薬「エピペン」、針出ない不具合で自主回収 indexへ

 製薬会社ファイザーは13日、呼吸困難など生命に関わる重いアレルギー症状、アナフィラキシーになった際に使う自己注射薬「エピペン注射液0.3mg」を自主回収すると発表した。
 先端を太ももに押し当てると内蔵された針が出てくる仕組みだが、使用 時に針が出ない不具合が、海外で2件報告されたため。回収対象は、昨年1月28日から3月24日に出荷された約6000本。製造番号は 「PS00019A」、使用期限は2017年4月で、いずれも箱と本体に記載されている。問い合わせ専用窓口は0120・665・766(平日午前9時~ 午後5時半)。
 
うつぶせ寝、1歳以上も禁止…東京都、国指針を厳格化 indexへ

 東京都中央区にある認可外の事業所内保育施設で昨年3月、うつぶせで 寝かされていた1歳2か月の男児が死亡した事故で、外部有識者による都の検証委員会(委員長=汐見稔幸・白梅学園大学学長)は8日、「1歳になるまではあ おむけに寝かせる」とする国の保育指針をより厳しくし、「1歳以上でも、必ずあおむけに寝かせる」との提言をまとめた。
 都は今後、都内の全保育所に、うつぶせ寝をさせないよう周知徹底するとともに、国に検証結果を報告する。
 
C型肝炎偽薬扱い、薬局経営会社に業務改善命令 indexへ

 高額のC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が見つかった問題で、奈 良県と奈良市は7日、偽造品を取り扱っていた薬局経営会社「関西メディコ」(奈良県平群町)に対し、医薬品医療機器法(薬機法)に基づく業務改善命令を出 した。一連の問題で行政処分が行われたのは初めて。
 
さい帯血幹細胞を無許可投与…日本再生医療学会が非難声明 indexへ

 アンチエイジングなどを目的に埼玉県所沢市のクリニックが、国に無許可で他人のさい帯血幹細胞を患者に投与していた問題を受けて、日本再生医療学会は6日、「極めて遺憾で断固容認しない」とする声明を発表した。
 細胞移植などの治療を勧められた場合、法律に基づく対応を行っているか、認定医であるかを確認するよう呼びかけている。
 
災害後の医療事業継続、基幹病院「計画なし」が7割 indexへ

 災害時に重症者を受け入れる都道府県指定の「災害拠点病院」のうち、地域の災害医療の中心となる62基幹病院の7割以上で、災害後長期にわたり診療を続ける方法などを定めた事業継続計画(BCP)が策定されていないことが、読売新聞の調査で分かった。
 災害の備えが不十分な心配がある。厚生労働省は「基幹病院を含む拠点病院は、率先してBCPの策定を進めてほしい」としている。
 BCPは、緊急事態に遭遇した中で根幹の事業を復旧し長期間続けるための計画。国の防災基本計画は、行政組織、企業などのBCP策定の必要性を明記しており、医療機関にも策定を求めている。
 読売新聞は全国に712ある拠点病院(昨年4月時点)を対象にアンケートを実施し、先月までに62基幹病院全てを含む458病院(64%)から回答を得た。
 基幹病院のBCPは一部を含めて「策定済み」は17病院(27%)にとどまり、37病院は「策定予定がある」とした。「予定なし」「検討中」などは8病院。全回答病院の「策定済み」は4割の182病院だった。
 「BCP策定の予定がない」と答えた基幹病院は「ノウハウがなく、策定に向けた人員や予算も不足している」などと説明する。
 
喫煙者に30万円、施設管理者に50万円過料も…受動喫煙対策の厚労省原案 indexへ

 厚生労働省は1日、非喫煙者がたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案の原案を公表した。
 違反者には都道府県知事らが勧告や命令を出し、従わない場合は、喫煙者に最大30万円、施設管理者に同50万円の過料を科す。
 原案は、医療機関や小中学校は敷地内、大学や官公庁などは建物内をそれぞれ禁煙とし、喫煙室の設置は認めない。居酒屋やレストランなどの飲食店では、喫煙室での喫煙は認める。
 一方、旅館やホテル、老人福祉施設の個室、シガーバー、小規模なバーやスナックでは喫煙を認める。
 たばこの葉を電気で温めて蒸気を吸う「加熱たばこ」は、健康被害が明らかになれば規制対象に加える。
 
C型肝炎飲み薬にウイルスが「薬剤耐性変異」、治療困難に indexへ

 2014年に発売されたC型慢性肝炎の飲み薬による治療で、効果がなかった患者のウイルスに薬剤耐性ができ、より治りにくい状態になっていることが、厚生労働省の研究班の調査で分かった。
 1日開かれた国の肝炎対策推進協議会で、泉並木・武蔵野赤十字病院長が報告した。
 調査は、国内初の飲み薬である「ダクルインザ」と「スンベプラ」を使い、C型慢性肝炎のウイルスを除去できなかった患者の実態を把握するために実施。全国の肝炎治療の専門病院が集めた該当患者682人の血液を分析した。
 その結果、ほぼ全ての患者のウイルスに、薬が極めて効きにくくなる薬剤耐性変異が表れていることが判明。1人の患者で1~5種類の変異が見つかり、種類が多いほど薬剤耐性が強まる恐れがあると指摘された。変異が一つでも、極めて強いタイプも見られた。
 C型肝炎の飲み薬は、ハーボニーなど後に発売された薬のほうが薬効が強く、ダクルインザとスンベプラは現在、ほとんど使われていない。薬剤耐性を持つ患者はハーボニーなどでも確実には治せないため、さらに効果が高い新薬の登場が待たれている。
 
32歳女性、豊胸手術中に意識不明…搬送先の病院で死亡 indexへ

 愛知県警は28日、名古屋市中村区の「東海美容外科クリニック」で、豊胸手術を受けていた同市千種区の女性会社員(32)が意識不明になり、搬送先の病院で死亡したと発表した。県警は、手術ミスによる業務上過失致死の疑いもあるとみて執刀医らから事情を聞いている。
 発表によると、女性は27日午後7時30分頃から、局所麻酔で手術を 受けていた。男性医師が執刀し、看護師が立ち会っていたが、途中から会話が出来なくなり、同9時20分頃、意識不明の状態で同市内の病院に搬送され、約1 時間後に死亡した。女性に持病はなく、クリニックで手術を受けたのは初めてだったという。
 男性医師は「通常通りの手順で手術していた」などと説明しているという。
 
のりが食中毒の原因、ノロウイルス検出…東京・立川の7小学校 indexへ

 東京都立川市の市立小学校7校で児童や教職員1098人が腹痛や 嘔吐など食中毒の症状を訴えた問題で、都は28日、給食に使用された刻みのりからノロウイルスが検出され、食中毒の原因と特定したと発表した。
 都によると、刻みのりは「東海屋」(大阪市)が製造し、2月16日に出された給食の親子丼に使われた。都が同じ賞味期限の刻みのり15袋(1袋あたり100グラム)を調べたところ、4袋からノロウイルスが検出され、患者のものと一致した。
 東海屋は大阪市の指導に基づき、食中毒の原因となったものを含め、賞 味期限が今年12月1日から来年2月5日までののり計5商品について、ノロウイルスに汚染されている可能性が否定できないとして、自主回収を進めている。 同社は28日、ホームページで「被害を受けた児童、教職員の皆様に深くおわびします」とコメントした。
 
一般人の医療データ1万2千件を収集した研究用アプリ、慶大医学部が提供中止 indexへ

  慶応大は28日、同大医学部が研究目的で開発したスマートフォン用アプリの提供を1月21日に中止したと発表した。
 アプリを公開する前に予定していた、大学病院内での利用による事前検討を行っていなかったため。
 アプリは不整脈などの早期発見を目指すための情報収集が目的で、 2015年11月に公開された。顔や身体の動きや動悸が起きたときの状況を参加した市民から収集し、これまで約1万2000件のデータが集まっている。内 容は匿名化されており、参加者に不利益は生じていないという。
「睡眠薬で糖尿病治療」…「ガッテン!」で行き過ぎた表現、NHKが謝罪 indexへ

 NHKは、生活情報番組「ガッテン!」の中で、行き過ぎた表現で視聴者に誤解を与えたとして、27日までに番組ホームページで謝罪した。NHK広報局によると、3月1日の番組でも同内容のおわびを放送する。
 ホームページによると、22日放送の同番組「最新報告!血糖値を下げ るデルタパワーの謎」で、睡眠薬を使って睡眠障害を改善したところ、血糖値も改善したというデータを伝え、「睡眠薬で糖尿病の治療や予防ができる」とし た。放送終了後、「睡眠薬の不適切な使用を助長しかねない」「副作用を軽視している」などの批判が寄せられたという。
 NHKはこの表現が誤解を与えるものだったとして謝罪、また番組中で「副作用の心配がなくなっている」とした点についても、「悪夢や頭痛などの副作用は報告されており、大変不適切だった」と謝罪している。
 
筑波大病院で筋弛緩剤2本紛失、盗難か…大人6人分の致死量 indexへ

 筑波大病院(茨城県つくば市)は23日、手術の麻酔に使われる筋 弛緩剤「エスラックス」の容器(50ミリ・グラム)2本を紛失したと発表した。
 筋弛緩剤は呼吸困難を引き起こす作用があり、毒物に指定されている。2本で大人6人分の致死量に相当する。同病院は盗難の可能性もあるとして、22日に茨城県警つくば中央署や保健所などに連絡した。
 発表によると、筋弛緩剤は手術室内の金庫に施錠して保管。今月13日、手術室の担当薬剤師が数を確認したところ、46本返却されるはずの容器が2本足りないと気付いた。
 
アンチエイジング目的、さい帯血幹細胞を無届け投与…医院の治療一時停止に indexへ

 国への届け出をせず、アンチエイジングなどを目的に他人のさい帯血幹 細胞を投与する治療を行ったとして、厚生労働省は20日、埼玉県所沢市の「埼玉メディカルクリニック」に対し、再生医療安全性確保法に基づき投与の一時停 止を命じた。副作用の有無について確認を進めている。
 出産時のへその緒に含まれるさい帯血には、様々な種類の細胞の元になる幹細胞が含まれている。美容などを目的に自由診療で、他人のこうした細胞を投与する場合は、同法で最もリスクの高い「第1種」に位置づけられ、国に計画を届け出て安全性の確認を受けた後に実施できる。
 同省には以前から、同様の治療が無届けで各地で行われているとの情報が寄せられていた。実際に確認されたのは今回が初めて。
 同省は、外部からの情報提供を受け、今月17日、同クリニックへの立ち入り検査を実施。2015年12月から現在までに、男女8人に1回ずつ治療を行ったことが確認できた。副作用の有無や細胞の入手先は確認できなかったため、2週間以内の報告を求めた。
 
肺がん報告書見落とし、治療1年放置の患者死亡 indexへ

 慈恵医大病院(東京都港区)で肺がんの疑いがあると検査で指摘された患者の治療が約1年間放置されていた問題で、同病院は17日、患者が死亡したと発表した。
 死亡は16日で、病理解剖の結果、死因は肺がんと確認された。
 発表によると、死亡したのは町田市の72歳の男性患者。2015年10月に救急外来を受診し、コンピューター断層撮影法(CT)検査で、肺がんの疑いがあると指摘されたが、主治医が報告書を見落とし、約1年間、治療が行われなかった。
 肺がんが確認されたのは昨年10月で、すでにがんが進行しており、手術は出来なかった。同病院は「心より深くおわび申し上げる」とのコメントを出した。
 
外出時の同行援護サービス、月50時間制限は「不当」…視覚障害男性が提訴 indexへ

 障害者総合支援法に基づいて視覚障害者の外出をサポートする「同行援 護サービス」の利用を月50時間に制限しているのは不当だとして、大阪府豊中市の男性(42)が市を相手取り、50時間を超える利用を認めなかった決定の 取り消しを求め、大阪地裁に提訴した。市は15日の第1回口頭弁論で争う姿勢を示した。
 同行援護サービスは、外出する視覚障害者に付き添いのヘルパーを派遣するサービス。原則として本人負担は1割で、残りは国と都道府県、市町村が負担する。国は利用時間の上限を定めていないが、財政面などから上限を設定する自治体は少なくないという。
 訴状によると、男性はほぼ全盲で、2015年、旅行に行くため月75時間の利用を申し込んだが、豊中市は50時間を超える利用を認めなかった。
 
抗インフル薬を服用、中2男子がマンション4階から転落死 indexへ

 東京都品川区大井の中学2年の男子生徒(14)が14日、自宅マンション4階から転落死していたことがわかった。
 警視庁大井署によると、同日午後0時50分頃、男子生徒の母親から「息子がいない」と110番があった。同署員がマンション敷地内で心肺停止状態になっている男子生徒を発見。真上にある自宅の窓が開いており、転落したとみられるという。
 男子生徒は14日午前、病院でインフルエンザと診断され、処方された抗インフルエンザ薬を服用していたという。同署が転落との関連を調べている。
 
子宮頸がんワクチン訴訟、国側が因果関係否定 indexへ

 子宮 頸がんワクチンの副作用で痛みや運動障害などの症状が出たとして、大阪府や兵庫県などの女性23人(16~21歳)が、国と製薬企業2社に損害賠償を求めた 訴訟の口頭弁論が14日、大阪地裁であり、国側は「原告の症状とワクチン接種とは因果関係がない」と賠償責任を否定した。
 国は2009年と11年、被告のグラクソ・スミスクライン社とMSD社によるワクチンの製造販売をそれぞれ承認。10年に予防接種への公費助成を始め、13年には予防接種法を改正して、接種を努力義務とした。
 国側は地裁に提出した書面で「原告が副作用とする症状は医学的に広く認められてはいない」とし、「予防接種を積極的に勧めた主体は市町村」と主張した。
 
虚偽報告、院長名で作成…京都府警が上層部関与を捜査 indexへ

 京都府立医科大付属病院(京都市上京区)の医師が暴力団組長の病状について検察庁に虚偽の報告をしたとされる事件で、報告書は同病院の吉村 了勇院長(64)名義で作られていたことが捜査関係者への取材でわかった。吉村院長は組長の主治医だった。
 京都府警は14日、吉村院長と、同大学の吉川敏一学長(69)の自宅も虚偽公文書作成・同行使容疑で捜索。報告書作成に上層部の関与がなかったか慎重に調べる。
 
トクホ巡り消費者庁が初の措置命令…日本サプリメント、要件満たさず販売 indexへ

 特定保健用食品(トクホ)の要件を満たさずに商品を販売したのは、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は14日、食品販売会社「日本サプリメント」(大阪)に対して再発防止などを求める措置命令を出した。
 トクホに対する同法違反に基づく命令は初めて。発表によると、同社は 2011年8月~16年9月、「ペプチドエースつぶタイプ」などのトクホ8商品について、品質管理のため必要な成分の試験検査を行っていないにもかかわら ず、「血圧が高めの方に適した食品」などと宣伝した。
 
病状虚偽報告、容疑で京都府立医大病院を捜索…組長は刑務所収容 indexへ

 京都府立医科大付属病院(京都市上京区)の医師が、実刑判決が確定した指定暴力団山口組の直系組長の病状について検察庁に虚偽の報告をした疑いがあるとして、京都府警は14日、虚偽公文書作成容疑などで同病院や医師の自宅の捜索を始めた。
 この報告に基づき、組長の刑務所への収容は1年半以上にわたり見送られており、府警は収容を逃れさせる目的があったとみて経緯を慎重に調べる。
 組長は、山口組直系団体「 淡海一家」(大津市)総長・高山 義友希元被告(60)。大阪高検は14日、高山元被告に出頭を求め、大阪刑務所に収容した。
 捜査関係者によると、高山元被告は2015年7月、恐喝罪などで懲役 8年の判決が確定したが、弁護人が健康状態を理由として刑の執行停止を申し立てた。同病院側はこの際、「高山元被告が腎臓の病気で収容に耐えられない」と の虚偽の文書を作成し、検察側に提出した疑いがあるという。
 この文書を受け、大阪高検は刑の執行を停止していたが、その後、別の病院の医師から意見を聞くなどした結果、健康状態に問題はなく、収容が可能と判断した。
 
患者選定ミス、コンピューターの専門家も加えて調査チーム発足 indexへ

 脳死下の心臓移植を巡り日本臓器移植ネットワークが臓器の提供先の患者選定を誤った問題で、同ネットワークは13日、専門家らによる第三者調査チームを発足させたと発表した。
 初回の会合は14日に開かれる。日本移植学会の江川裕人理事長が委員長を務める。ミスは、移植を受ける患者の検索システムの問題とされ、コンピューターの専門家も加えた8人の委員で、再発防止策を提言する。
 
臨床研究7件、聖マリアンナ医大病院で不正 indexへ

 聖マリアンナ医大病院(川崎市)の神経精神科が行った治療薬などの臨床研究のうち、7件に研究の進め方に不正があったことが同病院の調査で分かった。
 同病院は1件を中止させ、6件には中止勧告を行う方針だ。不正な研究の一部データを利用した論文も作成されており、同大学は「医師らに論文の撤回を求める」としている。
 同科では、2015年に精神保健指定医の不正取得問題が発覚し、指導 医を含む23人が資格を剥奪された。その後、臨床研究に協力した患者から、対応への苦情などが寄せられたため、厚生労働省が同病院に徹底調査を指示。資格 を剥奪された医師のうち准教授ら3人が行っていた22件の研究を同病院の調査委員会が精査したところ、7件に問題が見つかった。
 同大学によると、複数の薬などの効果を比較する研究について、参加者を無作為に振り分けるとしていたが、実際は医師が勝手に薬を指定するなどしていた。
 
生活保護集計ミス、交付税過大受け取り…岸和田市が10億円余 indexへ

 大阪府岸和田市は10日、2013年度から3年間、生活保護の受給者を実際より多く集計するミスを繰り返し、計約10億7000万円の地方交付税を過大に受け取った可能性があると発表した。
 市生活福祉課によると、市は13年4月、生活保護の支給状況などを管 理する新システムを導入。この際、医療扶助対象者の入院や通院の状況を記録する方法が周知されず、退院したり、通院を終えたりしているのに入力漏れが相次 ぎ、毎月、誤った統計を国に報告していたという。このため、13~15年度の入院者数を実際より3919件多い1万5700件、外来患者数は3890件多 い18万2054件と計上していた。
 生活保護の受給者数は地方交付税交付金の算定に用いられ、16年度の同市の交付金は約133億円。市は過大分を18年度の交付金から差し引く形で返還する。
 
患者1人に1億円かかっていた!?…再生医療のコスト、初の調査 indexへ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを用いる再生医療の治療コストについて、京都大学iPS細胞研究所の八代嘉美・特定准教授を中心としたチームが初の実態調査を始めた。
 治療に取り組む10程度の大学や企業に聞き取り、3年かけて報告書をまとめる。再生医療は多額の費用がかかる点が懸念されており、実態を明らかにし、今後の研究開発に役立てる。
 再生医療は、細胞の培養や加工などで従来の治療より費用や手間がかかる。理化学研究所などが2014年に行ったiPS細胞による目の難病治療では、患者1人に約1億円かかった。
 コストの詳細なデータはなく、将来、国の保険財政を圧迫しかねないとの指摘もあり、実態把握を求める声が高まっていた。
 調査は今年1月に開始。対象となる大学や企業の担当者らに、治療に使 う細胞の培養費や品質検査費、移植手術費など、どんな治療にどれだけの費用がかかるのかを細かく聞き取る。対象は、脊髄損傷の治療準備を進めている慶応大 学、食道や歯肉の再生を手がける東京女子医科大学、がんなどの免疫細胞による治療に取り組む京都大学などが含まれている。
 日本再生医療学会の会員計約5600人へのアンケートも行う。
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 【再生医療】  事故や病気で失ったり、損傷したりした臓器や器官を修復し、機能を再生させる医療。iPS細胞から様々な組織や細胞を作って移植するなどの方法がある。日本の経済成長戦略の柱としても期待されており、国内の市場規模は2030年、1兆円が見込まれている。
 
免疫治療薬「キイトルーダ」、類似「オプジーボ」と同価格…1日3万9千円に indexへ

 厚生労働省は8日、免疫治療薬「キイトルーダ」の薬価(薬の公定価格)案を中央社会保険医療協議会(中医協)に提示、了承された。
 1瓶(100ミリ・グラム)で約41万円。高額な薬価が問題になり今月から半額に値下げされた類似薬「オプジーボ」と1日当たり同額(約3万9000円)となった。今月15日から保険適用される。
 キイトルーダは、米製薬大手メルクの日本法人MSD(東京)が製造販売する。肺がんと皮膚がんの患者が治療対象となる。
 
薬の効果、価格に反映…医療費抑制へ、厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は8日、医薬品や医療機器の価格算定に費用対効果の分析結 果を反映する制度を2018年度から本格導入する方針を決めた。同日開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)で提案し、了承された。費用対効果が低いも のは値下げし、膨らみ続ける医療費の抑制を目指す。
 現在、薬や医療機器の価格は、製造費や海外の販売価格などから決めている。
 だが、近年、高額な薬や医療機器が相次いで登場し、価格算定に費用対 効果の視点を導入することを求める声が高まり、同省では16年度から、費用対効果を評価する制度を試行している。対象は、免疫治療薬「オプジーボ」など価 格が高額だったり売上高が大きかったりする13品目で、製造販売業者のデータをもとに生活の質がどの程度改善したかなど費用対効果を評価する取り組みを進 めている。
 同省では今後、中医協の専門部会で、試行結果を踏まえた具体的なルール作りに着手する。費用対効果の検討対象となる基準や具体的な評価方法、費用対効果が高い場合は値上げすることも含めて価格にどう反映するかなどについて検討し、夏に中間とりまとめを策定する。
 
104人急性胃腸炎、25人からノロウイルス検出…松山の病院で給食原因か indexへ

 松山赤十字病院(松山市文京町、681床)は2日、入院患者や職員ら104人(1~91歳)が急性胃腸炎になり、うち25人の便からノロウイルスが検出されたと発表した。
 重症者はいないという。同病院は院内で調理した給食を原因とする集団感染とみている。
 同病院によると、1月31日午後9時以降、複数の患者が下痢や 嘔吐、発熱などを発症。2日正午時点で入院患者86人、職員5人、職員向けの院内託児所の乳幼児10人と保育士3人が症状を訴えた。
 感染した職員の検食状況などから、1月30日昼の給食(アジの南蛮漬け、ほうれん草と豆腐の白あえ、キュウリのレモンあえなど)が原因だった可能性が高いと判断。400~450人分が提供されたという。
 
医師の同意書偽造し療養費詐取…「代理受領」制度の悪用、対策急務 indexへ

 医師の同意書を偽造し、仙台市から国民健康保険の療養費 をだまし取ったとして同市のマッサージ師らが詐欺容疑などで逮捕された事件。容疑者は市に対して保険適用分の施術費の請求を、患者に代わって行う「代理受 領」という制度を悪用したとみられる。同様の不正は全国的に見られ、市は未然防止に向け、患者に療養記録を確認してもらうなどの仕組み作りを始めた。
 詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕された同市のマッサージ師の男(58)らは2014年8月、市内の70歳代女性に施術したとして、実在する医師名を書いて偽造した同意書を市に提出し、同10月末、療養費として約12万円をだまし取ったとされる。
 肩こりや疲労回復のためのマッサージや「はり・きゅう」の施術は医療 行為ではないが、「関節拘縮」など特定の症状に限り、医師の同意書があれば治療として健康保険が適用される。本来患者は、医療機関での診察後、医師から同 意書をもらってマッサージなどの施術を受ける。そこで施術費用を全額支払い、後で保険者の自治体側に自分で請求書類などを送り、7~9割分の返還を受け る。
 ただ、これだと患者の事務作業が煩雑なため、患者がマッサージ師ら施術者に医師からの同意書や委任状などを提出すれば、窓口では安い負担分だけの支払いで済む。その後、施術者が患者に代わって自治体に同意書や申請書を送り、残り分を受け取ることができる。
 今回の事件はこの仕組みが悪用された格好だ。市は提出された書類を確認するものの、偽造されていれば見抜くのは難しく、患者側が損をすることもないので見過ごされやすい。同市ではこれまで同様の不正はなかったといい、今回も匿名の通報で判明した。
 事件を受け、市は提出された同意書の写しを医師に送って確認しても らったり、患者にも施術者や施術内容、回数などを確かめる調査書を発送したりする再発防止策の検討を始めた。患者全員に送付すると事務コストがかかるた め、施術回数の多い場合に限る方針だ。今年度中の策定を目指す。
 厚生労働省によると、全国の後期高齢者医療広域連合では、後期高齢者 医療制度が発足した08年4月から昨年11月までに、不正に請求された療養費の総額は全体の0・3%にあたる約9億5000万円だった。同省でも昨年3月 から制度の見直しについて検討しており、年度内に方向性を示すという。
 
精神科医、危険ドラッグ「ラッシュ」所持容疑で書類送検 indexへ

 北九州市は2日、市立総合療育センターの精神科の男性医師(30歳代)が昨年12月、東京都内で危険ドラッグを所持していたとして、医薬品医療機器法違反(指定薬物所持)容疑で、警視庁から東京地検に書類送検されたことを明らかにした。
 市などによると、医師は昨年12月10日、研修で上京した際、新宿区内で警察官に職務質問され、危険ドラッグの通称「ラッシュ」を所持していたことが発覚。今年1月18日、書類送検された。「自分で使うために持っていた」と容疑を認めているという。
 医師は同30日付で依願退職。障害児らの治療や療育を行うセンターの精神科医はこの医師だけで、患者への影響も大きいことから、31日付で臨時職員として再雇用し、診療に当たらせているという。センターを運営する市福祉事業団は刑事処分が決まり次第、医師を処分する方針。

 
C型肝炎偽薬はビタミン・漢方薬…計15本、健康被害なし indexへ

 高額のC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が見つかった問題で、厚生労働省は1日、偽造品の中身は市販のビタミン剤や漢方薬など4種類の錠剤だったと発表した。
 また、東京都内の卸売業者で新たに偽造品のボトル1本を発見。同省は、今回見つかった分を含め、偽造品計15本の流通経路をほぼ特定し、健康被害はなかったと結論付けた。
 薬局チェーンを展開する関西メディコ(奈良県)や、「現金問屋」と呼ばれる東京・神田の卸売業者で見つかった偽造品計6本の中身について、国立医薬品食品衛生研究所などが成分を分析した。

 
男性保育士、4歳男児に回し蹴りか…市が処分を検討 indexへ

 「大津市子育て総合支援センターゆめっこ」の20歳代の男性保育士が、雪遊びをしていた男児(4)の背中を足で蹴る暴行を加えていたことが、市への取材で分かった。男児にけがはなかったが、市は男性保育士を自宅謹慎とし、処分を検討している。
 市によると、男性保育士は1月19日午前11時30分頃、毎週開かれている発達支援療育事業の一環で、他の保育士3人と幼児9人を連れて市内の琵琶湖岸の公園で雪遊びを開始。
 この際、男児が投げた雪玉が顔に当たったため、男児の前から右足で回し蹴りをしたという。男児が前に倒れ込んで泣き出したため、その場で抱きかかえて謝った。
 男性保育士は20日に上司に報告。保護者に謝罪した。市に対し、男性保育士は「してはいけないことをした。深く反省している」と話している。普段の勤務態度に問題はなかったという。
 市子ども家庭課は「あってはならないこと。再発防止に努める」としている。

 
別の患者の薬と取り違え誤投与、翌日に男児死亡…東大病院 indexへ

 東大病院(東京都文京区)で2015年、入院中の幼い男児に薬剤を投与する際、別の患者のものと取り違えるミスがあったことがわかった。
 男児は投与の翌日に死亡したという。同大は「死亡との因果関係についての医学的な判断は困難だが、誤注入が何らかの影響を与えた可能性がある」としている。
 同大の発表によると、男児は当時、多臓器障害で入院中だった。感染症を患い、医療器具を使って胃に薬剤を注入する際、看護師が別の患者用の薬剤を誤って投与した。薬剤に男児の名前が記されているか確認していなかったという。男児は投与後、血圧が下がり、翌日に死亡した。
 遺族側代理人によると、誤って投与されたのは、抗てんかん薬などだったという。
 男児の母親は31日、代理人を通じて「薬剤の管理がずさんで、誰もが被害者となり得る状況だった」とするコメントを公表した。
 
「肺がんの疑い」と診断した患者を1年放置…がん進行し意識不明に indexへ

 東京都港区の慈恵医大病院で2015年10月、救急外来の検査を受けた町田市の男性患者(72)を「肺がんの疑いがある」と診断したにもかかわらず、約1年間、治療をせずに放置していたことが同病院への取材でわかった。
 主治医が報告書を見落としたことが原因とみられる。男性患者は現在、がんが進行するなどし、意識がない状態という。
 同病院によると、男性は15年10月、体調を崩して救急外来を受診 し、コンピューター断層撮影法(CT)検査で、肺がんの疑いがあると診断された。検査した放射線科の医師は結果を報告書に記載したが、主治医が見落とした という。約1年間が経過した昨年10月、体調不良を訴えた男性を改めて検査したところ、肺がんが確認されたという。厚生労働省は、関係者から事情を聞くな どして経緯を調べる方針。同病院は「心よりおわびする。全力で治療を尽くし、再発防止に努めたい」としている。
 
東大や自治医科大など20大学、サイト改ざんなど被害 indexへ

 昨年12月中旬から今年1月上旬にかけて、東京大や自治医科大など少なくとも全国20校の国公私立大学で、ウェブサイトがハッカーに改ざんされるなどの被害が相次いでいたことがわかった。
 文部科学省は全国の大学や研究機関にセキュリティー対策を強化するよう注意を呼びかけている。
 文科省によると、大学の掲示板サイトに「ハッキングした」と書き込みがあったり、研究室のサイトが書き換えられたりする被害が相次ぎ、同省に報告が寄せられた。情報流出は確認されていないという。
 
国保補助金5年間で10億9000万円過大受給…西宮市、国に返還へ indexへ

 兵庫県西宮市は30日、2011~15年度の国民健康保険に関する国の補助金約10億9000万円を過大に受給していたと発表した。
 08年度に後期高齢者医療制度が始まってシステムを変更する際、設定を誤ったためで、全額を返還する。国と市の公金のやり取りのため、被保険者に影響はない。
 国民健康保険制度では、医療費の財源は被保険者が市区町村に払う保険料と、国が市区町村に払う補助金などで成り立っている。
 同市では現在、74歳までの自営業者や退職者ら約10万人が同制度に加入。75歳以上は後期高齢者医療制度に移行し、対象外となった。
 しかし、同市によると、補助金を国に請求する際のシステムについて、 08年度以降も除外すべき75歳以上を含めて設定。このため11~15年度の過大請求は年間1億8000万~2億4000万円に上ったという。設定ミス は、昨年10月、県の指摘で発覚した。08~10年度の過大請求分について、市は「すでに時効で、額は算出していない」としている。
 
北里大学東病院の医師、患者1917人分の情報を紛失 indexへ

 北里大学東病院(相模原市南区、宮岡等病院長)は30日、神経内科に勤務する30歳代の男性医師が、入院患者1917人分の個人情報を記録したUSBメモリーを紛失したと発表した。
 発表によると、USBメモリーには2003年3月末~今年1月19日の間、神経内科に入院した患者の氏名、性別、生年月日、診断名などを記録していた。
 男性医師が19日午前に医局で使用し、その後、所定の保管場所に戻すのを怠ったという。23日になくなっていることに気づき、病院は27日に県警に遺失物届を提出した。これまでのところデータが悪用されたとの情報はないという。
 同病院では該当する全患者に文書による説明と謝罪のお知らせを郵送し、情報の管理体制を見直して再発防止策を図るとしている。
 
C型肝炎偽薬、「複数男女から10回購入」…薬価の6割で indexへ

 高額のC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が見つかった問題で、偽造品を最初に仕入れ、別の業者に転売した東京都内の卸売業者が30日、読売新聞の取材に応じ、「昨年、面識のない複数の男女からハーボニーを10回程度、買い取った」などと語った。
 男女は卸売業の許可を持たない個人とみられ、買い取り価格は、薬価(ボトル1本当たり約153万円)の4割引きという破格の安さだったという。一方、警視庁は関係者から事情を聞くなど、捜査を始めた。
 
臓器ネット、心移植患者の選定ミス3件…検索システム不具合で indexへ

 日本臓器移植ネットワーク(門田守人理事長)は27日記者会見を開き、脳死心臓移植の患者選定にミスがあり、昨年10月以降、3件で本来対象ではない優先順位が下位の患者に移植されたと公表した。
 患者の検索システムの不具合が原因という。同ネットは「社会の信頼を損なう事態で深くおわびする」と謝罪した。同ネットを巡っては、患者選定のミスやトラブルが相次いでおり、批判の声が高まっている。
 心臓移植の優先順位は、重症度や待機日数など、国の専門家委員会が定めた基準に沿って決められる。
 同ネットの会見によると、昨年10月に導入した患者検索システムの設定に不具合が発覚。重症で移植の優先度が高い患者について、病状の変化などで情報を修正した場合、待機日数が余分に加算される誤った設定になっていた。
 新システム導入後に行われた脳死臓器のあっせんは21件で、うち心臓移植は17件で実施された。このうち3件で順位の逆転が起き、約3年移植を待っている患者2人が機会を逃して現在も待機中。この2人のうち1人は2度にわたりミスで移植を受けられなかった。
 問題の発覚は、今月26日、東北大学病院に入院していた40歳代女性からの臓器提供がきっかけ。同ネットが心臓移植の待機患者リストに基づき、最上位の患者を受け持つ大阪大学病院にあっせんした際、「この患者は最上位ではない」と病院側から指摘された。
 そのため、あっせんを一時中断。実際には第2位となっていた患者が最上位で、偶然、この患者も同病院が担当だったため順位の逆転が分かった。その後、手作業で正しいリストを作り直し、このケースは本来移植すべき患者に心臓が提供された。
 厚生労働省は、同ネットの報告を受け、臓器移植法に基づき、第三者の専門家による検証チームを設置することなどを指示した。
 同ネットによると、設定は昨秋の新システム導入時点で誤っており、システム会社に原因究明を要請したという。心臓以外の臓器選定には影響ないとみられるが、引き続き調べている。
 門田理事長は「防ぐことができなかったか検証したい。関係者には今後、個別に謝罪する」と頭を下げた。
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 【日本臓器移植ネットワーク】  臓器移植法に基づき厚生労働相からの許可を受け、脳死や心停止になった人から提供された臓器を、移植希望患者にあっせんする国内唯一の機関。臓器提供者の家族への説明などを担う移植コーディネーターや医師らで構成する。
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 腎臓、肝臓でも…患者ら憤り  臓器のあっせんを巡って日本臓器移植ネットワークはミスを重ね、業務の見直しを繰り返してきた。
 2014年11月に腎臓と 膵臓の同時移植で患者の意思確認を怠り、厚生労働省から再発防止の指導を受けた。しかし、わずか4か月後の15年3月に患者を選定するコンピューターのデータ入力を誤り、理事長以下役員を刷新し出直しを迫られる事態になった。
 同年12月に国に業務改善報告を提出。それに基づき導入したシステムが今回の間違いの原因となった。
 移植を受けた人らで作るNPO法人「日本移植者協議会」の下野浩理事長は「患者選定は、提供者や家族の意思を生かすうえで最も肝心な部分。ミスを繰り返したことに憤りを感じる」と厳しく批判した。
 また江川裕人・日本移植学会理事長は「原因を徹底的に解明すべきだ。患者の不利益になることが起こらないよう 真摯な対応が必要」と話している。
 
「危険な密室」歯科現場…「モンスターぺイシェント」の診療、拒否できず indexへ

 岐阜市の歯科医院で、院長の渕野 太賀臣さん(50)が通院患者の男に刺殺された事件は、27日で発生から1週間となる。岐阜県警は、逮捕された無職長浜伸幸容疑者(58)が治療への不満を募ら せて殺害したとみて調べているが、歯科診療の現場では患者とのトラブルが後を絶たず、専門家は、トラブル時のマニュアル整備などが必要だと訴えている。
 警察に相談  「患者とのトラブルは珍しくない。人ごととは思えない」。岐阜市で歯科医院を開業する男性(53)は、事件についてこう語る。
 長浜容疑者は20日、歯科医院の処置室で渕野さんの首などを包丁で刺 して殺害した疑いがある。県警によると、長浜容疑者は「カッとなって刺した」と供述。「歯槽のう漏の治療で歯を多く抜かれた」として、渕野さんとトラブル になっており、事件当時は1対1で面会していたという。
 近隣住民によると、長浜容疑者は、道ですれ違った人をいきなりどなりつけることもあった。渕野さんは事件前、警察に相談していたが、「刺激したらどんな行動に出るか分からない」と介入は拒んだという。
理不尽な要求、暴言・暴力
 医療現場でのトラブルは後を絶たない。2005年には、岡山大医学 部・歯学部付属病院(現・岡山大病院)で元患者の男が歯科医師を逆恨みし、ナイフで切りつける事件もあった。日本歯科医師会によると、都道府県の歯科医師 会に患者や歯科医師から寄せられたトラブルなどの相談は、12年度で年間計約4500件に上っている。
 医療のトラブル解決に長年携わってきた大阪府保険医協会の尾内康彦参与(62)によると、患者の権利意識の高まりに伴い、近年、理不尽な要求や暴言・暴力を繰り返す患者が増加。こうした患者は「モンスターぺイシェント(患者)」とも呼ばれているという。
 歯科医師法は、患者が診察や治療を求めた場合、正当な理由がなけれ ば拒んではならないとする「応召義務」を定めている。患者の言動に不安を感じても、診察や治療を拒否するのは難しいのが実情だ。岐阜市の50歳代の歯科医 師は、順番待ちに不満を持つ患者が「歯が痛いのに、なぜ待たないといけないんだ」と激高し、診察中になだめようとして逆上された経験がある。「本音では拒 否したいが、我慢するしかない」
対策整備、求める声も
 岐阜大医学部付属病院では、患者と医師の間に問題が起きた場合、両者を遠ざけ、複数の職員で対応する体制を整えている。患者相談窓口の担当者は「1対1は危険。ただ、小規模な歯科医院では『密室』で対応せざるを得ず、リスクは高まるだろう」と話す。
 医療現場のトラブルに詳しい深沢直之弁護士は「応召義務は患者と医 師の信頼関係が前提。患者によっては拒否もできるという認識を広める必要がある」と指摘。そのうえで、「警察にすぐ知らせるなど、モンスターペイシェント の対応マニュアルを整備し、歯科医師会などで共有することも重要だ」としている。
42人がインフル院内感染、2人死亡…鹿児島徳洲会病院 indexへ

 鹿児島市の鹿児島徳洲会病院は25日、同病院の入院患者と職員の計42人がインフルエンザに集団感染したと発表した。このうち、男性患者2人(60、70歳代)が死亡しており、感染との関連を調べている。
 同病院によると、16日に職員2人の感染が判明。20日に別の職員2人、21日には入院患者3人と職員4人の感染が判明した。25日午後1時現在、入院患者約250人のうち25人、職員17人がインフルエンザと診断された。
 死亡した男性患者2人は、拡張型心筋症など循環器系の疾患で入院していたが、21日以降に発熱し、23、25日に相次いで死亡した。病院側は「死因は調査中だが、インフルエンザが影響を与えた可能性がある」としている。
 同病院は23日から臨時の感染対策委員会を開いて対応を協議。感染者を個室に移して隔離するほか、院内での面会禁止、急患の受け入れ停止などの措置を取り、鹿児島市の保健所に経緯を報告した。
 看護師を含む職員のほとんどはインフルエンザの予防接種を受けており、感染しても症状が軽かったことから、対応が遅れた可能性があるという。
 記者会見した本田一郎院長は「患者さんを始め、社会をお騒がせしていることをおわび申し上げる。遺族においては衷心よりお悔やみ申し上げる」と話した。
 
C型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造薬、都内でも発見…卸業者に9ボトル indexへ

 奈良県内の薬局チェーンからC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が見つかった問題で、厚生労働省は23日、新たに東京都内の卸売業者2社で、偽造品の入ったボトル計9本が確認されたと発表した。
 同チェーンの流通経路を調査する過程で判明した。メーカーから販売を任された業者を経由した正規ルートではなく、医薬品の卸売販売の許可を持たない個人が、卸売業者に持ち込んだものが流通した疑いが強いという。
 厚労省によると、最初に偽造品の入ったボトル5本が見つかったのは薬局経営会社「関西メディコ」(本社・奈良県)のサン薬局3店舗。
 
体調崩した運転手、勝手に「熟睡」…高速バスの乗客8時間閉じ込め indexへ

 中国ジェイアールバス(本社・広島市)の高速バスで20日、体調不良になった男性運転手(38)が予定外のサービスエリア(SA)で仮眠を取り、そのまま6時間半以上、眠り込んでいたことがわかった。
 乗客が110番して救助を求めたが、17人が車内に約8時間、閉じ込められた状態になった。同社は「ご迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪している。
 同社によると、バスは20日午後8時30分にJR呉駅(広島県呉市)を出発し、21日午前7時頃にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)に到着する予定だった。乗務する運転手は1人で、出発前の点呼では健康状態に異常はなかったという。
 しかし山陽自動車道を走行中、突然体調が悪くなり、20日午後11時頃、予定していなかった広島県福山市の福山SAで停車。会社に連絡せず、車両下部にある乗務員用仮眠スペースで横になり、そのまま寝込んだという。エンジンはかかった状態で、車内の暖房はついていた。
 翌21日午前5時30分頃、異変に気付いた乗客が警察と同社に電話で通報。代わりの運転手が同7時前に到着し、運転を再開した。一部の客は福山駅から新幹線で大阪に向かったという。
 
妊産婦死亡続発…厚労省が対応検証を要請 indexへ

 愛媛県今治市の診療所で妊産婦死亡などが相次いだ問題で、厚生労働省は、各都道府県に対し、妊産婦死亡などが起きた場合、専門の協議会で検証や再発防止策の検討を行うよう求める通知を出した。
 各都道府県には、妊産婦と新生児の搬送や受け入れ態勢などを話し合う協議会が設置されている。しかし、愛媛県の事例は、協議会で検証などが行われなかった。
 日本産婦人科医会も、各都道府県の協議会会長に、地域の産婦人科医会と連携した対応を求める要望書を出した。

 
C型肝炎薬に偽造品、厚労省が注意呼びかけ indexへ

 厚生労働省は17日、C型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が奈良県内の薬局チェーン店で見つかったと発表した。
 同省は同日、都道府県や関係団体に文書で注意を呼び掛けた。現時点で、患者が偽造品を服用したという情報は寄せられておらず、健康被害は確認されていないという。
 正規品を製造する製薬会社「ギリアド・サイエンシズ」などによると、今月10日頃、ハーボニーを医師から処方された患者が奈良県に拠点を置く薬局チェーン店で受け取った際、錠剤の形状がこれまでとは異なることに気づいた。
 
石綿工事不届け、堺市を大気汚染防止法違反容疑で書類送検 indexへ

 堺市がアスベスト(石綿)を含む施設の改修工事を行った際、担当部署に必要な届け出をしなかったとして、大阪府警は17日、市建築課長ら職員4人と、法人としての堺市を大気汚染防止法違反容疑で書類送検した。捜査関係者が明らかにした。
 3年前の同法改正で、工事の発注者は建物の石綿の使用部分などを自治 体に事前に報告することが義務付けられた。捜査関係者によると、4人は昨年6月に始まった市事務所(堺市北区)の煙突解体工事で、煙突に石綿が含まれてい ることなどを、石綿対策を所管する市環境対策課に届け出なかった疑い。
 工事中の同月18日、煙突の一部が隣の保育園の庭に落ちて石綿の含有が発覚。市の調査で基準値の約250倍に当たる量の石綿が使われていたことが判明した。4人は府警の聴取に「煙突に石綿が含まれていることを知らなかった」などと説明しているという。
 
介護事業者倒産、昨年は過去最多の108件 indexへ

 2016年1~12月の介護事業者の倒産が108件に上り、過去最多だった15年の年間倒産件数(76件)を上回った。信用調査会社の東京商工リサーチが11日、発表した。
 15年度の介護報酬引き下げに加え、人手不足による賃金の高騰で、小規模業者を中心に経営が立ちゆかなくなっている現状が浮かび上がった。
 108件の業種別内訳では、訪問介護が最多の48件。次いで、デイ サービスなど38件、有料老人ホーム11件だった。規模別では、従業員が5人未満の小規模事業者が79件と、全体の約7割を占めた。また、新規参入5年以 内の事業者が54件と半数だった。負債10億円以上の大型倒産も、特別養護老人ホームと有料老人ホームでそれぞれ1件あった。その影響もあり、16年の負 債総額は94億600万円と、15年(63億8600万円)から大幅に増えた。
 
別居中に受精卵無断移植…奈良、男性が元妻と病院提訴 indexへ

 凍結保存していた夫婦の受精卵を別居中に無断移植され精神的苦痛を受 けたとして、奈良県在住の外国籍の男性(45)が、離婚した妻(45)と奈良市内の婦人科クリニックに2000万円の損害賠償を求め、先月30日に奈良地 裁に提訴したことがわかった。移植の結果、女児が誕生しており、男性は親子関係がないことの確認を求めて奈良家裁でも争っている。
 訴状などによると、男性は2004年に日本人の妻と結婚。09年からクリニックで不妊治療を始め、複数の受精卵を凍結保存した。
 うち一部の受精卵で11年に長男が誕生。その後、夫婦は別居したが、妻は14年春、残っていた受精卵の移植を受け、15年春に女児を出産した。夫婦は、昨年10月に離婚した。
 男性の代理人弁護士が経緯を尋ねたところ、クリニック側は「長男出産 後も受精卵の保管料が支払われており、第2子を希望していると認識していたため、男性の明確な同意は確認しなかった」と説明。日本産科婦人科学会は、受精 卵の移植のたびに夫婦の同意を取るよう求める見解を出しており、男性側は「クリニックは同意を確認する義務を怠った」と主張している。
 一方、女児は離婚前に生まれたため、民法の規定で男性の子と推定されるが、男性側は「当時は同居しておらず、妻が夫の子を妊娠する可能性がないのは明らか。民法が予定していない状況だ」としている。
 生殖医療をめぐっては、凍結保存していた亡夫の精子で体外受精した女性が国に認知を求めた訴訟で、最高裁が06年、親子関係を認めない判断を示している。
 
女性医師の診療、低い死亡率…米の内科調査 indexへ

 女性の内科医が診る入院患者は、男性の内科医が診る患者よりも死亡率が低いという米国での分析結果を、米ハーバード大学の津川友介研究員(医療政策)らがまとめた。男女の診察方法の違いを調べることで、医療の質向上につながると期待される。米医師会雑誌に発表した。
 2011~14年に米国で入院した65歳以上の患者約150万人分の診療記録などを使い、男女の医師で患者の経過に違いがあるかを調べた。約5万8000人の内科医が対象となった。
 女性医師が診た患者が入院から30日以内に亡くなった割合は11・07%だったが、男性医師の場合は11・49%だった。男性医師の患者の死亡率が女性医師の患者並みに下がれば、米国の65歳以上の死亡数を年間約3万2000人減らせるという。
 退院後30日以内に再入院する割合も女性医師の患者の方が低かった。女性医師の方が、診療ガイドライン(指針)に沿うなど慎重に治療していることが分析結果に影響したとみている。
 橋本英樹・東京大学教授(保健社会行動学)は「米国で医師の性別でなぜ差が出たのか、調べる必要がある。日本でも同様の分析を試みる価値はある」と話す。
 
障害者福祉の不正受給目的に施設開設、7事業所実態なし…福岡市が告訴検討 indexへ

 福岡市は27日、障害者福祉施策に関する給付金計約1億6400万円を不正に受給したとして、障害者福祉サービスを営む市内の10事業所のうち、廃止された1事業所を除く9事業所の指定を取り消したと発表した。
 市は全額返還を求めるとともに、不正を主導した特定相談支援事業所の関係者らを来年1月にも詐欺罪などで福岡県警に刑事告訴することを検討している。
 障害者総合支援法では、障害者が福祉サービスを利用する際、特定相談 支援事業所に所属する相談支援専門員が利用計画を作成。障害者は市町村に利用申請を行い、サービスを提供する事業所と契約する。利用者はサービス利用料の うち原則1割を負担。残りは国、県、市町村が負担して施設側に給付する。
 市によると、10事業所のうち7事業所(廃止を含む)は2015~16年、不正受給を目的に開設された障害者通所施設。同じく指定を取り消された特定相談支援事業所(博多区)で働く男性事務補助員とその知人男性が主導し、男女7人に開設させたという。
 この男性事務補助員は、相談支援専門員の資格がないのに障害者63人のサービス利用計画を作成し、市に利用申請をさせていた。63人は7事業所を利用したことがなかった。
 市は事業所の開設前に代表者と面談したが、不正を見抜けなかった。半年後には実地指導も行ったが、事業所側は利用申請させた障害者を集め、サービスが提供されているように装っていた。
 提出書類や請求内容に不自然な点があったことや不正に関する情報が寄せられ、市が調査したところ、事業所の実態がないことが判明した。主導した男性事務補助員は不正を認め、「給付金は生活費などに使った」と話しているという。
 このほか調査の過程で、別の2事業所が管理責任者など必要な人員を配置していないにもかかわらず、報酬を不正に請求したことも発覚した。いずれも不正を認めている。
 一方、北九州市も27日、給付金約83万円を不正受給したとして、市内の1事業所の指定を取り消したと発表した。一連の不正を調べていた福岡市側から情報提供が寄せられたという。
 
患者ら167人が感染性胃腸炎、うち1人からノロウイルス…独協医科大病院 indexへ

 独協医科大学病院(栃木県 壬生町)は27日、院内で感染性胃腸炎の集団発生があったと発表した。
 25日から27日までの間に、入院患者162人と従業員5人が下痢や 嘔吐などの症状を訴え、うち患者1人からノロウイルスが検出された。重症の患者はいないという。
 同病院は27日、県南健康福祉センターに感染性胃腸炎の集団発生を報告し、立ち入り検査や指導を受けた。感染ルートを調べている。また、同病院は入院患者への面会を制限しているほか、医師や看護師が、使い捨て手袋の使用を徹底するなどして感染拡大の防止を図っている。

 
後期高齢者医療、保険料徴収ミス…対象者数万人の可能性 indexへ

 厚生労働省は27日、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で、自営業者ら一部の加入者から保険料を誤徴収していたと発表した。
 国の保険料計算システムの設定ミスが原因で、過少や過大に徴収した。同省は5年前にミスに気付いたが、システム改修などの是正策を怠っていた。誤徴収の対象者は全国で数万人、金額で数億円に上る可能性があるという。
 
名大病院で肺がん見逃し女性死亡、1年で3例目…患者情報共有怠る indexへ

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市)は26日、肺がんの疑いがあると指摘された患者の陽電子放射断層撮影(PET)の画像診断報告書を主治医が確認しなかったために治療が約3年遅れ、患者が死亡する医療ミスがあったと発表した。
 名大病院で肺がんを見逃された患者が死亡する医療ミスの公表は昨年12月以降、3例目。同病院は既に遺族に謝罪しており、損害賠償に応じる方針。
 発表によると、死亡したのは名古屋市の80歳代の女性患者。同病院で 耳のがんと診断され、2011年2月、転移を調べるため全身のPET検査を受けた。その際、放射線科の医師が「肺の2か所に影がある」などと肺がん併発の 可能性を指摘する画像診断報告書を作成。しかし耳鼻いんこう科の主治医はこれを見逃して患者に説明しなかった。
 患者は同4月に耳の手術を受け、14年春になって転移がないか検査を受けたところ、末期の肺がんと判明。15年4月に死亡した。
 主治医はベテランで、外部の専門家を交えた同病院の調査委員会に対し 「報告書の全てに目を通したか記憶にない」と説明。見逃した理由はわからなかったが、患者情報共有のため手術直前に開かれた耳鼻いんこう科の他の医師らと の会議に欠席していたことが判明した。調査委は「適切な時期に手術が施されていれば長期生存が望めた可能性があった」と結論付けた。
 同病院では9月、放射線科のコンピューター断層撮影法(CT)の検査 で肺がんの疑いがあると判明した男性患者への治療や説明を怠るミスがあったと公表。昨年12月にも同科の医師らがCT検査で約3年にわたって男性患者の肺 がんを見逃すミスがあったと公表した。いずれの患者も肺がんで亡くなり、同病院は医療情報の共有が不十分だったなどと認めていた。
 26日記者会見した同病院の石黒直樹院長は「重大なミスを繰り返し、 慚愧に堪えない。職員一同で更なる医療安全に努める」と謝罪。再発防止策として、突発的な人為ミスに対応する電子システムの導入を検討しているほか、院内全体で患者情報のチェック体制強化に乗り出しているという。
 
子宮頸がんワクチン非接種でも、「副作用」と同じ症状が一定数 indexへ

 子宮 頸がんワクチン接種後に体の痛みや歩行障害など原因不明の副作用疑い例が相次ぎ、国が定期接種の積極的な勧奨を中止した問題で、厚生労働省研究班(主任研究 者=祖父江友孝・大阪大教授)は、接種歴がなくても同様の症状を訴える女子が10万人あたり20・4人と一定数いるとの推計をまとめた。
 26日に開かれる厚労省の有識者検討会に報告する。安全性を検証する基礎データが示されることで、同検討会で勧奨再開の是非をめぐる議論が本格化する。
 調査は、全国の200床以上の全病院と、199床以下の病院の約半数などを対象に実施。小児科や神経内科など計1万8302診療科を昨年7~12月に受診 した12~18歳で、関節痛や歩行障害、疲労感など約20の症状の一つ以上が3か月以上続き、通学や就労に影響がある患者を調べた。詳細な情報を収集でき た女子患者365人のうち、ワクチン接種歴ありは118人、なしは110人、不明は137人だった。
 こうした情報などから、原因不明の痛みなどの症状を持つ患者数を推計したところ、ワクチンを接種していない女子では10万人あたり20・4人、接種した女子では同27・8人だった。
 今回の調査は、勧奨再開の是非を議論する有識者検討会の「ワクチンを接種しない人で、同様の症状を訴える患者がどれだけいるのかデータが必要」との意見を 受けて実施した。ただ、厚労省は「年齢によって接種率が大きく違うなどの制約があり、単純な比較はできない。ワクチンと症状の因果関係を示す調査ではな い」としている。
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 【子宮頸がんワクチン】  2009年に発売されたグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」と、11年発売のMSD社の「ガーダシル」がある。子宮頸がんの原因ウイルスの 感染を防ぐ。定期接種の対象は小6~高1の女子で、3回接種が必要。国内ではこれまでに、約339万人が接種して、その効果で将来、子宮頸がんによる死亡 が3600~5600人減ると推計されている。一方、国の追跡調査で、接種後に重い症状を訴えている患者が186人判明。患者が損害賠償を求めて、国と製 薬会社を提訴した。
  
 勧奨の是非、丁寧な議論を
  
 子宮頸がんワクチンの積極的勧奨中止から3年半。勧奨再開の是非の議論がようやく本格化する。
 ワクチンを接種していない人への調査は、副作用の検証として国際的に実施されている手法だ。今回の調査では、接種しない人にも症状を訴える人が一定数いることが分かったが、接種の有無で症状の出る割合に違いがあるかどうかまでは明確に示せなかった。
 「これが調査の限界」(厚労省幹部)という中、今後も、不十分なデータをもとに議論を行わざるを得ないのが現状だ。
 現実に、原因不明の痛みなどの症状に苦しむ患者がおり、勧奨の再開を議論するのであれば、科学的なデータを集めるだけでなく、患者の診療体制整備なども必要だ。
 世界保健機関(WHO)からは「弱い根拠で、安全で有効なワクチンを接種しないことは実害をもたらす」と日本を批判する声明も出ているが、国民の理解を得られるような丁寧で慎重な議論が求められる。
 
群大手術死、執刀医ら調査結果に反論…「反省感じられない」遺族落胆 indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、遺族側の弁護団は22日、執刀医の 須納瀬豊医師と上司で旧第二外科の竹吉泉・元教授に送った質問状への回答内容を明らかにした。
 第三者調査委員会の調査報告書で指摘された問題に反論する内容で、遺族は「反省が感じられない」と落胆の声を上げた。
 弁護団は10月、質問状を両者に送り、今月15日付で回答を得た。
 須納瀬医師は「調査委員会の判断を評価する立場にない」と前置きしな がら再三にわたり反論。「管理体制が十分であれば死亡が回避できた可能性がある」とされたことに「不十分であるという認識はなかった」とした。不十分とさ れた患者への説明は、「必要な説明はした」とし、記載が乏しいカルテも「必要な記載はした」との認識を示した。
 竹吉元教授は、別の医師が手術中止を進言したことに対し、「廊下です れ違う時に言われたことはあった」としたが、「正式に進言されたことはない」と否定。参加していない手術も実績として数え、学会の認定資格を得ていたこと が調査で指摘されているが、「実績は申請資格を満たしていたため取得した」とした。
 遺族会代表の男性は「以前より 真摯に答えてくれるのではと期待したが、失望した」と話した。
 
高齢者介護巡る殺人・心中事件、4割が未検証…情報入手難しく indexへ

 高齢者介護を巡り、2013年以降に家族間で起きた殺人・心中などの事件の4割で、自治体が再発防止策を考えるための検証を実施していないことが、各自治体に対する読売新聞のアンケート調査でわかった。
 事件に関する情報が入手しにくいことや、ケアマネジャーなど在宅介護を支援する人たちへの批判につながりかねないことが検証を難しくしている。厚生労働省は、国と自治体が連携した検証態勢の検討を進める方針だ。
 
マッサージのような施術で乳児死亡、NPO元理事長らに5200万円賠償命令 indexへ

 大阪市で2014年にマッサージのような施術をして生後4か月の男児 を死亡させたとして、男児の両親(神戸市)が、施術した新潟県上越市のNPO法人(解散)の元理事長(59)と元副理事長に約5200万円の損害賠償を求 めた訴訟の判決で、神戸地裁は14日、2人に請求全額の支払いを命じた。
 訴訟で、元理事長は賠償責任を認めたが、元副理事長は会計担当で危険性の認識はなかったと争っていた。判決で山口浩司裁判長は「間近で元理事長の施術を見ていたことがあり、危険性を予見できた」とし、元副理事長の責任も認めた。
 元理事長は、この男児に対する業務上過失致死容疑で大阪府警に逮捕され、15年8月に大阪地裁で禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を受け確定。元副理事長は医師法違反(無資格医業)容疑で書類送検され、不起訴(起訴猶予)になった。
 男児の父親(47)は判決後、「元副理事長の責任も認めたのは評価できるが、息子は戻ってこない。乳児向けマッサージの危険性を知ってほしい」と話した。
 
妊産婦死亡相次いだ診療所の医師、産婦人科医会が再教育方針 indexへ

 愛媛県今治市の診療所「 丹産婦人科」で妊産婦死亡などが相次いだ問題で、日本産婦人科医会は14日、東京都内で開いた定例の記者会見で、同診療所の医師を再教育する方針を明らかにした。
 同医会が開く研修会へ参加を促すなどし、安全な産科医療を行える知識や技術を習得させる。
 この診療所では、2009年以降、妊産婦2人が産後まもなく死亡したほか、半身マヒの重い障害が残った例もあり、重大事故の続発を重く見た同医会が今月11日、同診療所を訪れて指導していた。

 
子宮頸がんワクチン、2次提訴 indexへ

 子宮 頸がんワクチンで健康被害を受けたとして、女性57人が14日、国と製薬企業2社を相手取り、1人1500万円の慰謝料などを求める第2次訴訟を東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁に起こした。今年7月の第1次提訴を含めると、原告は全国で119人となった。
 弁護団によると、第2次提訴の原告57人は15~22歳の女性。2010~13年にグラクソ・スミスクラインとMSDの2社が製造した子宮頸がんワクチンを接種後、副作用により体の痛みや運動障害などの症状が出たとしている。国と製薬企業2社は争う姿勢を示している。

 
愛媛で妊産婦死亡続発…産婦人科医会、事故繰り返す医師への直接指導制度化 indexへ

 愛媛県今治市の診療所「 丹産婦人科」で2009年以降、妊産婦死亡などが相次いだ問題を受けて、日本産婦人科医会は、事故を繰り返す医師への直接指導を制度化することを決めた。
 同診療所では、09年より前にも婦人科手術で1人の死亡が判明。長年にわたり再発防止策がとられなかったことが背景にあり、地元医会との連携を強化して安全性の向上を目指す。
 同診療所では12年10月と15年1月に妊産婦2人が死亡、09年に は重度障害が残る事例が発生するなど深刻な事態が相次いだ。同医会などによると、同診療所では08年にも子宮筋腫の手術を受けた60歳代の女性が大量出血 して死亡。05年には卵巣腫瘍の手術後に大量出血して患者が重篤な状態となったが、他の病院に搬送され救命されていた。
 同医会では、こうした問題があった場合、支部に当たる都道府県産婦人科医会で対応していた。しかし、地域により取り組み方に差があるのが実情だった。
 そこで専門職団体として独自に、問題のある医師や医療機関を指導する仕組みを構築。10年以上にわたり重大事故が繰り返された今回のケースを教訓に、必要があれば各地に安全対策に詳しい担当者を派遣し、地元医会や大学病院と合同で改善を指導し、医師の再教育も行う。
 石渡勇・常務理事は「問題を抱える医師を指導・支援して産婦人科医療の質の向上を図りたい」としている。
 
「認知症の根本治療薬」製品化断念…米製薬大手、臨床試験で効果証明できず indexへ

 米製薬大手のイーライリリーは、開発を進めていた軽度アルツハイマー型認知症の新薬「ソラネズマブ」の承認申請を断念したと発表した。
 臨床試験で認知機能の低下を抑える効果を証明できなかった。
 同社によると、臨床試験には2100人超の患者が参加。ソラネズマブの点滴を1年半受けた群と受けない群に分け、認知機能の低下度合いを調べたが、差が見られなかったという。
 アルツハイマー型認知症は、脳に「アミロイドβ」などの異常なたんぱく質が蓄積して起きる。ソラネズマブには、アミロイドβを除去する働きがあるため、認知症の根本治療薬として患者らの期待が高かった。
 認知症に詳しい国立長寿医療研究センターの柳沢勝彦研究所長は「今回は残念な結果だったが、ソラネズマブや他の新薬開発の取り組みが全て否定されたわけではない」と話している。
 
下関の病院…点滴袋に針で開けたような穴 indexへ

 山口県警下関署は12日、同県下関市宮田町2、医療法人元洋会「森山病院」(森山秀樹院長)のナースステーションで、今月2日に保管中の点滴袋1個に穴が2か所開いているのが見つかったと発表した。同署は器物損壊容疑で調べている。
 同署や病院の発表によると、2日午後2時頃、准看護師らが、新館6階 のナースステーション内の保管庫に入れていた栄養補給剤の点滴袋(500ミリ・リットル)1個から液が漏れているのに気付き、確認したところ、袋に針で開 けたような穴があった。同日午前9時頃、別の准看護師が確認した際に異常はなかった。現在まで、患者に健康被害はないという。
 下関保健所に同日報告し、12日に同署に届け出た。病院によると、保管庫に鍵はない。警察に届けるまで、職員への聞き取りや、防犯カメラの映像を確認していたといい、記者会見した森山院長は「病院だけでの調査では限界があると考え、警察に通報した」と話した。
 同病院は、本館と新館の2棟があり、新館5~7階が入院病棟(計134床)で、12日現在の入院患者は計109人。6階には約30人が入院中で、看護師ら約20人が交代で勤務している。
 
妊産婦死亡…愛媛県や地元医師会など、情報提供後も対策せず indexへ

 愛媛県今治市の産婦人科診療所で妊産婦死亡が相次いだ問題で、重い障害を含め深刻な事態の続発について、昨年以降、地元の今治市医師会や同県今治保健所など関係機関に情報提供があったにもかかわらず、改善策が講じられなかったことがわかった。
 厚生労働省は一連の問題について情報収集を始めた。
 問題があったのは 丹産婦人科。医院長の丹英人医師は12日、報道陣の取材に、「遺族の方に申し訳ない」と謝罪の言葉を述べた。
 この問題を巡っては、日本産婦人科医会が情報を得て今年9月に調査を 開始。問題がある可能性が指摘された2009年以降の出産4件についてカルテを精査したところ、12年10月と15年1月、2年余りの間に、出産時の出血 などで妊産婦2人が死亡していた。09年には妊産婦に半身マヒの重い障害が残る事例が発生。16年にも、出血性ショックで妊産婦が一時重篤な状態に陥って いた。
 同医会は今月11日、診療所を訪れて異例の直接指導を実施。問題の4件について、過失の有無は不明ながら、診療に不十分な点があったことを確認した。同診療所は今後、帝王切開は行わず、正常 分娩も来年3月までとする方針を決めた。
 
愛媛の診療所、妊産婦の死亡・障害続発…産科医会が初の直接指導 indexへ

 愛媛県今治市の産婦人科診療所で昨年までの3年以内に妊産婦2人の死亡が相次ぎ、日本産婦人科医会が指導に乗り出した。
 妊産婦に重い障害が残った例も含め深刻な事態が続発しており、同医会は11日、役員らが現地を訪れて事情を聞き、改善策としてリスクの高い帝王切開は行わないなどの方針を確認した。同医会が医療機関へ直接指導に踏み切るのは初めて。
 同医会は、開業医を中心とする全国約1万2000人の産婦人科医が加 入する専門職団体。厚生労働省によると、日本の妊産婦死亡率は出産10万件に3・8人と極めて低い。同診療所での出産は年間約130件。50歳代の男性医 師が一人で診療にあたっていた。特定の診療所で短期間に死亡や重度障害が続発するのは「通常ない深刻な事態」(同医会)で、異例の対応に踏み切った。
 同医会は、問題の可能性があるとの情報が寄せられた出産4件を調査。 カルテを調べたところ、2012年に産後に大出血した女性が死亡、3年後の15年には帝王切開を受けた女性が死亡していた。09年には帝王切開後に脳梗塞 を起こした女性が半身マヒの重い障害を負ったほか、16年には帝王切開後の女性が出血性ショックで重症となったが、他の病院に搬送され命を取り留めた。女 性4人はいずれも当時30歳代。
 この日、松山市で取材に応じた同医会は、過失の有無は不明としたが、 出血や血圧の管理、急変時の対応など、診療に不十分な点があったとの見方を示した。また、妊産婦が死亡した場合、詳細を報告するよう医療機関に求めている が、同診療所は1件について簡単な報告をしただけだった。
 指導を受け、同診療所では今後、帝王切開は近隣の病院に任せ、正常 分娩
 ぶんべん
 も来年3月までとする方針。同医会は、同4月にも、改善策が実行されているか実地調査を行う予定だ。同医会の石渡勇・常務理事は「もっと早く情報を把握し対応すべきだった。産科医療の信頼回復や地域医療の立て直しに真剣に取り組みたい」としている。
 
「措置入院」審査会、開催要件満たさないまま40回…岐阜県 indexへ

 岐阜県は9日、精神障害者を強制的に入院させる「措置入院」や退院などの処遇が妥当かどうかを判断する「県精神医療審査会」が、開催要件を満たさないまま2011年度以降40回開かれ、計約4300件を審査していたと発表した。
 精神医療審査会は、精神保健指定医と弁護士等、精神保健福祉士等の3分野の5委員で構成され、各分野1人以上出席して開催するよう精神保健福祉法で定めている。
 発表によると、書類が残っていて確認できた11年4月~16年11月 末の221回の審査会のうち、40回が3分野の委員がそろわないまま開かれていた。委員が急用などで欠席したという。40回で計約4300件の入院届や患 者本人からの退院請求などが審査され、現在も入院中の精神障害者は200人いるという。県は来月までに、4300件を再審査する方針。
 県によると、11月中旬、審査会を所管する県精神保健福祉センターの担当者が、法律を改めて確認していて判明した。県は関係者の処分を検討している。
 
出生前検査で指針違反、日産婦学会が医師3人を処分 indexへ

 妊婦から採血して胎児の染色体の病気の可能性を調べる新型出生前検査を、大阪府の病院など3施設が日本産科婦人科学会の指針に反してあっせんした問題で、日産婦は10日、男性医師1人をけん責処分、男性医師2人を厳重注意とした。
 新型検査は、日本医学会が認定した77病院のみで実施が認められている。認定には妊婦に適切な情報を伝え、心理面で支援する遺伝カウンセリングの体制整備など日産婦の指針順守が条件となるが、守っていなかった。
 けん責処分を受けた医師は、指針順守を確約する誓約書などを提出しなかったため、他の2医師より重い処分となった。
 
ノロウイルス患者急増…保育、幼稚園で集団感染相次ぐ indexへ

 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者が、11月中旬から急増している。近年では、最も流行した2012年とほぼ同じペースという。抵抗力の弱い子供やお年寄りは重症化する恐れもあり、厚生労働省が警戒を呼びかけている。
 国立感染症研究所によると、ノロウイルスは感染力が強く、1~2日間の潜伏期間を経て 嘔吐や下痢、発熱などの症状が出る。手洗いや嘔吐物の適切な処理などを徹底する必要がある。
 全国約3000の小児科から報告された患者数は、集計を終えた11月 21~27日の1週間で約4万人だった。医療機関1か所あたり12・85人で、06年以降の同時期と比べると、06年(19・82人)、12年(13・ 02人)に次いで多い。関西では、奈良県、兵庫県、大阪府が全国平均を上回った。
 10月に流行入りして以降、大阪府豊中市では、こども園など2か所でそれぞれ100人以上が感染した。市によると、市保健所ができた12年度以降では最大規模の集団感染という。
 市保健所は今月2日、市内の保育園や幼稚園の担当者を集めて研修会を開き、嘔吐物を処理する場合は、 飛沫になって飛び散っている可能性があるため、半径2メートルの範囲を次亜塩素酸ナトリウムを含む漂白剤で消毒するよう呼びかけた。また、ぞうきんなどはなるべく使い捨てにすることや、園児や職員らに手洗いを徹底させることも求めた。
 大阪府藤井寺市の「藤井寺特別養護老人ホーム」では、職員がドアノブ や自動販売機のボタン、手すりなどを2時間おきに消毒。トイレ使用後は必ず、手袋をした職員が便座をふき取りする徹底ぶりだ。奥田益弘理事長は「年中続け て習慣化させることが大事。今年も感染ゼロで乗り切りたい」と気を引き締める。
 園田学園女子大の山本恭子教授(感染免疫学)は「予防策として有効なのは手洗いの徹底。タオルを共用せず、ペーパータオルを使うことも効果的だ。感染した場合は、嘔吐や下痢で脱水症状を起こす危険もあり、速やかに医療機関で受診してほしい」と話す。 「トイレ後、手洗わず」15%
 消費者庁が昨年、流行に備えて行ったインターネット調査によると、 「食事の前に手を洗う」と答えた人は約53%にとどまり、「トイレの後に手を洗わないことがある」も約15%いた。「嘔吐物を処理した後に洗う」は 42%、「おむつ替えやトイレ介助の後で洗う」も33%で低調だった。
 見た目で汚れていなくても、手に付着したウイルスが口から体内に入り、病気に感染する可能性がある。同庁は、必ずせっけんでよく手を洗うよう注意を促している。
無資格中絶で死亡…声震わせ夫「ちゃんと調べて」 indexへ

 東京都武蔵野市の産婦人科病院「水口病院」で、母体保護法に基づく指定医の資格のない男性医師が妊娠中絶手術を行ったとされる問題で、7月の手術後に死亡した西東京市の女性(当時23歳)の遺族は6日、警視庁武蔵野署に業務上堕胎容疑で告発し、受理された。
 堕胎は刑法で禁じられているが、母体保護法で都道府県医師会の指定医だけに中絶手術が認められている。
 遺族側代理人によると、女性は7月8日に手術を受け、同14日に自宅で死亡。行政解剖で、死因は「急性うっ血性心不全」とされ、手術との因果関係は不明だが、女性に持病や目立った外傷はなかったという。
 
産業医大で点滴に穴、特異な薬物検出なし indexへ

 産業医科大学病院(北九州市八幡西区)で20日に穴の開いた点滴袋1個が見つかった事件で、福岡県警は30日、県警科学捜査研究所による鑑定の結果、輸液から特異な薬物は検出されなかったと発表した。
 県警は、器物損壊容疑で調べている。発表によると、同病院の病棟9階ナースステーションで20日午後、点滴袋1個に穴が開いているのを看護師が見つけ、県警折尾署に通報した。
 
20歳代女性の乳房切除ミス、620万円支払いで市と和解へ indexへ

 乳がんの検体を取り違えられ、乳房の一部を誤って切除されたとして、20歳代の女性が高砂市民病院(兵庫県高砂市)を運営する同市を相手取り、慰謝料など約1850万円の損害賠償を求めた訴訟で、市は28日、女性と和解する方針を明らかにした。
 市は女性に謝罪し、和解金など計約620万円を支払うという。
 訴状などによると、女性は2014年4月、同病院で病理検査を受け、 右胸の乳がんと診断された。翌月、別の病院で切除の手術を受けたが、がん細胞は検出されず、診断時に50歳代女性の検体と取り違えられていたことが判明。 高砂市民病院側は原因を「特定できなかった」とする報告書をまとめるなどしたため、女性は今年1月、大阪地裁に提訴した。市などによると、今月15日に同 地裁が和解案を示し、双方が合意した。女性は取材に「原因が不明のままで、100%納得したわけではないが、謝罪の言葉が入っていたので和解することにし た。二度とミスが起こらない体制にしてほしい」と話した。市は「大変申し訳ない。再発防止策をきっちりと行う」としている。
 
「点滴に穴」発見直前に空白の20分…産業医科大病院 indexへ

 産業医科大学病院(北九州市八幡西区)で20日、穴の開いた点滴袋が新たに見つかった事件で、穴が確認されるまでの経緯や点滴袋の保管状況が病院側の説明で明らかになってきた。
 穴が見つかる直前の約20分間、点滴袋の搬送用カートが無人のナースステーションに置かれていたほか、カートの鍵は全病棟で共通のものだったという。福岡県警は人の出入りなど当時の状況を慎重に調べている。
 施錠し昼食配膳
 病院によると、問題の点滴袋は17日頃、病院に納入され、段ボール箱 に入ったまま地下1階の薬剤部に保管されていた。薬剤師が24時間常駐しているという。20日午前11時20分頃、勤務中の薬剤師5人のうち2人が点滴袋 を逆さにするなどして異常がないのを確認してカートに入れ、別の1人が処方通りかを点検した後、カートを施錠した。
 同11時40分頃、委託業者が業務用エレベーターで9階のナースステーションに1人でカートを運び、同50分頃、鍵を管理する男性看護師に受け渡した。男性看護師は解錠し、女性看護師と2人で点検を始めた。
 ただ、2人は昼食の配膳のため同55分に施錠し、いったん点検を中 断。約20分後に点検を再開し、点滴袋1個に穴が開いているのを見つけた。この間、病棟には看護師7人が勤務していたが、4人は配膳にあたり、残る3人は 休憩中で同ステーションにはいなかったという。入院患者も25人いたが、23日に記者会見した佐多竹良院長は「病院関係者以外の人がステーションに入れば 誰かが気づくと思う」と話した。
 穴の開いた点滴袋3個が見つかった10月の事件後、同ステーションに監視カメラを設けたが、20日は保守点検に伴う停電で作動していなかった上、カートはカメラの死角にあった。
 カートの鍵交換せず
 当時、カートは病院に31台あり、共通の鍵が約60本あった。うち21本は各病棟の看護師らが使い、残りは薬剤部で保管していた。10月にはカート用1本を含む鍵束が紛失したが、鍵を交換せずに使っていた。業者に発注したが、間に合わなかったという。
 今回の事件について、佐多院長は「推測だが、外部の人とは考えにくい。どの時点で穴が開いたのかは分からない」と話す。県警は器物損壊に加え窃盗容疑でも捜査しており、内部事情に詳しい者の犯行の可能性があるとみている。
 相次ぐ事件に患者らには不安が広がる。福岡県内の通院患者の女性(60歳代)は「病院側の対応が甘いのでは。点滴を受けるのが怖い」と語る。
 
日大病院、筋弛緩剤3本を紛失…9人分の致死量 indexへ

 日本大学病院(東京都千代田区)は24日、手術時の麻酔に使う筋弛緩(しかん)剤「エスラックス」の容器(50ミリ・グラム)3本を紛失したと発表した。
 筋弛緩剤は呼吸困難を引き起こす作用があるため医薬品医療機器法で毒薬に指定され、使い方によっては容器1本で3人分の致死量に相当するという。同病院は警視庁神田署に相談している。
 
耐性菌に4人感染・1人死亡…久留米大病院が一部閉鎖、院内感染か indexへ

 久留米大病院(福岡県久留米市)は22日、10月から11月にかけて同病院の高度救命救急センターなどに入院した患者4人に、抗菌薬の切り札とされる「カルバペネム」が効かない耐性菌「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)」の感染・発症が見つかり、うち1人が死亡したと発表した。
 センターでの院内感染の可能性があるとみられ、同病院はセンターの一部を閉鎖、患者を隔離した。
 同病院によると、4人のうち3人が同センターの患者で、1人は別の診療科の患者。4人ともCREの感染による発熱などの症状がみられ、久留米市保健所に届け出た。死亡した1人は元々重症患者だったが、病院は感染と死亡の関連はあるとみている。1人は回復して転院し、残り2人も回復に向かっているという。
 8月頃から院内でCREの保菌者が増え始め、最も多かった10月には18件の検出があり、予防策を強化していたという。感染・発症患者の年齢や性別、病名などについて、病院は「患者や遺族の希望、院内基準にのっとって公表しない」としている。
 病院は同センター43床のうち10床をCRE治療の区画として閉鎖、隔離し、患者の受け入れ数を通常より抑制しているという。記者会見を開いた志波直人・病院長は「死亡された方のご冥福をお祈りし、関係者におわびしたい」と陳謝した。
 
穴あき点滴袋発見、産業医大病院に立ち入り調査 indexへ

 北九州市八幡西区の産業医科大学病院で20日、点滴袋1個に穴が開いているのが見つかった事件で、北九州市は21日、医療法に基づき、産業医科大学病院の状況確認調査を行った。
 市によると、調査に入ったのは、地域医療課と市保健所の職員計4人。点滴袋3個に穴が開いているのが見つかった10月の事件後、病院側がまとめた再発防止策の順守状況や、今回の事件の経緯などを調べたという。
 
高額薬価下げ、厚労省が制度化へ…オプジーボ「半額」は特例的に了承 indexへ

 来年2月から値下げする。薬価の見直しは通常、2年に1度だが、深刻化する社会保障費の伸びを抑えるため、特例的に引き下げた。
 さらに、政府は使用患者が大幅に増えた高額な薬の価格を、随時引き下げる制度の創設に向けて検討に入った。患者の増加に連動して価格の引き下げ幅を決める案を軸に検討する。
 オプジーボの今回の引き下げ幅は、予想より売り上げが大幅に伸びた薬の価格を、2年に1度の改定時に値下げする市場拡大再算定のルールを適用した。
 販売元の小野薬品工業(大阪市)が公表した年間予想出荷額1260億円をもとに、流通経費を加えるなどして今年度の販売額を推計。1500億円を超えると見込まれたため、最大幅の50%の値下げとなった。
 オプジーボは、 本庶佑・京都大学名誉教授の研究成果をもとに、同社が開発した。想定患者数が470人の皮膚がんで2014年に世界に先駆けて日本で承認、保険適用された。昨年末から肺がんでも使えるようになり、想定患者数は30倍以上に増えた。
 
メンチ食中毒、原材料にO157付着で二次汚染か indexへ

 静岡県沼津市の食品加工会社「タケフーズ」が製造した冷凍メンチを原因とする腸管出血性大腸菌O(オー)157の食中毒問題で、同県は16日、各地の患者と残っていた冷凍メンチから検出された菌の遺伝子型が一致したと発表した。
 静岡県は「O157が原材料に付着して工場内に入り、工場内に菌が残り、二次汚染が発生したと推測される」として、同社に食材の殺菌や製造器具の消毒の徹底などを指導した。
 タケフーズの冷凍メンチが原因とみられる食中毒は、これまでに神奈川県や千葉県、秋田県、兵庫県、広島県で計64人確認されている。

 
高額がん免疫治療薬「オプジーボ」、50%の緊急値下げを中医協了承 indexへ

 薬価の見直しは2年に1回が原則で、次回は2018年4月の予定だったが、17年2月から引き下げる。通常の改定を待たない値下げは極めて異例の対応となる。
 オプジーボは小野薬品工業(大阪市)が開発し、14年に患者数の少ない皮膚がんの治療薬として、世界で初めて日本で承認、保険適用された。昨年末から肺がんでも使えるようになり、患者数が大幅に増えた。薬価は100ミリ・グラムあたり約73万円で、体重60キロの肺がん患者1人年間約3500万円かかる。医療保険財政への影響を懸念する声が高まり、同省は緊急的な値下げの検討を進めていた。
 同省は当初、最大25%の値下げを検討したが、10月に政府の経済財政諮問会議で、英国では日本の5分の1の価格であることが指摘されるなど、大幅な値下げを求める意見が相次いだ。
 ◇
 【オプジーボ】  がん細胞がブレーキをかけている免疫細胞の攻撃力を回復させる新しいタイプの薬。本庶佑・京都大学名誉教授らの研究成果をもとに開発された。皮膚、肺、腎臓のがんで承認され、血液がんの一種でも近く使えるようになる。多くのがんで効果確認の臨床試験が進んでいる。
 ◇
 【解説】 薬価ルールの透明性が必要
 オプジーボは、国民皆保険制度の存続をも脅かす高額薬の象徴として大きな関心を集めた。膨らみ続ける医療費の抑制と、成長戦略の柱に位置づける医薬品産業の振興の間で揺れ、最後は官邸主導で50%の大幅値下げを決めた。
 今回は、使用患者が大幅に増えても、高額な薬価が変わらない現在の仕組みが問題となった。ただ、企業にとって、予期せぬ緊急的な値下げは経営の打撃になりかねない。開発の意欲をそぎ、日本の患者に画期的な新薬が速やかに届かなくなる恐れもある。状況に合わせて薬価を見直す透明なルール作りが急がれる。
 今後も、高額薬は次々に登場する。どんな薬も患者全員に効果があるわけではない。本当に効く患者を見分けて、副作用と無駄な投薬を省く努力も欠かせない。
 
子宮頸がんワクチンデータ捏造疑惑「科学的議論不足」…信大に研究再実験要求 indexへ

 子宮 頸がんワクチンの副作用などを研究する厚生労働省研究班代表、池田修一・信州大学教授の発表にデータ 捏造の疑いが指摘された問題で、同大の調査委員会は15日、証明されていない実験結果を証明されたかのように伝え、誤った情報が広まったとする調査結果を発表し、実験のやり直しとその結果の公表を求めた。
 ただ、意図的なデータの捏造や改ざんなど不正行為はなかったと結論づけた。これを受けて、同大の浜田 州博学長は同日、池田教授と、研究に携わった別の男性教授、男性特任教授の計3人を口頭で厳重注意した。
 子宮頸がんワクチンをめぐっては、健康被害を訴える女性63人が7月、国と製薬会社2社に総額約9億4500万円の損害賠償を求める集団訴訟を東京、大阪など全国4地裁に起こした。こうした中、池田教授の研究は同ワクチンが副作用を起こす仕組みを解明し、治療法の開発にもつながると大きく注目されていた。
 池田教授の発表は今年3月、厚労省内で行われた。マウスに子宮頸がんなど3種のワクチンと生理食塩水を接種した結果、子宮頸がんワクチンのマウスの脳にだけ異常が起きたと説明した。
 しかし、月刊誌が実験手法やデータに疑問を投げかける記事を掲載。同大は9月、外部有識者5人で構成する調査委員会を設置し、調査を行ってきた。
 調査結果によると、実験は各ワクチンをマウス1匹ずつにしか接種しておらず、そのマウスの脳を調べる実験でもなかった。これは予備的な実験だったが、公表段階では証明された結果のように伝えられた。
 男性特任教授から男性教授、池田教授へと報告され、公表される過程で「科学的な議論と意思疎通をはかる努力をしていれば不正の疑いは生じなかった」とした。
 池田教授は、名誉を傷つけられたとして月刊誌の発行元と執筆したジャーナリストに損害賠償などを求める訴訟を起こしており、弁護士を通じ「捏造も不正もなかったことを実証していただき、たいへん 安堵した」などのコメントを発表したが、反省や謝罪の言葉はなかった。
 ◇
 【子宮頸がんワクチン】  「サーバリックス」と「ガーダシル」の2種類がある。定期接種の対象は小6~高1の女子。国は2010年11月に接種費用の補助事業を始め、13年4月に定期接種化したが、接種後の被害の訴えが相次ぎ、同年6月に積極勧奨を中止した。
 
高額がん免疫治療薬「オプジーボ」血液がんにも…保険適用使用拡大へ indexへ

 厚生労働省の専門家部会は11日、肺がんなどの治療に使われるがん免疫治療薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)を、一部の血液がん患者にも使えるようにすることを了承した。
 早ければ年内に正式承認され、保険適用になる見通し。
 新たに対象となるのは、再発や難治性の古典的ホジキンリンパ腫。血液がんの一つで、国内の患者数は推定1600~1800人とされる。
 オプジーボは小野薬品工業(大阪市)が開発。現在、皮膚がん、肺がん、腎臓がんに保険適用されている。価格は100ミリ・グラム当たり約73万円で、肺がん患者1人(体重60キロ)が年間を通して使うと約3500万円かかる。
 医療保険財政を圧迫する懸念が高まり、政府は緊急値下げを検討。厚生労働省は、16日に開かれる中央社会保険医療協議会の部会に50%の値下げを提案する方向で調整している。
 同社は、一部の 頭頸部がんについても適用の拡大を申請している。
 
英国の5倍、高額がん免疫治療薬「オプジーボ」半額に値下げへ indexへ

 政府は、高額な薬剤で医療保険財政への影響が指摘されてきたがん免疫治療薬「オプジーボ」の価格を、50%下げる方向で調整に入った。
 最大25%を軸に検討したが、海外と比べ価格が数倍もすることから、社会保障費の抑制と合わせ、大幅な値下げに踏み切る。厚生労働省は近く開かれる中央社会保険医療協議会の部会に提案する。
 オプジーボは小野薬品工業(大阪市)が開発、世界に先駆け日本で最初に発売された。価格は100ミリ・グラムあたり約73万円。当初、患者数の少ない皮膚がんで承認されたが、昨年12月から患者数の多い肺がんにも使えるようになった。肺がん患者1人が年間を通して使えば約3500万円かかり、医療費が膨らむことが懸念されている。
 薬の価格は原則2年に1度の薬価改定で値下げされ、次のタイミングは2018年4月。オプジーボについて厚労省は緊急の値下げを決め、値下げ幅は最大25%を考えていた。
 しかし、国内の価格に比べ、英国は5分の1、米国も5分の2であることに批判が集まり、経済財政諮問会議の民間議員などが大幅な値下げを求めていた。一方、政府は医薬品産業を成長戦略の柱と位置づけており、業界から「開発意欲がそがれる」との反発もあり、調整が続いていた。
 
患者情報、厚労省が一元管理へ…医療・介護現場などで活用 indexへ

 厚生労働省は、病院などが持つ患者の治療・服薬歴、健診結果のデータベース化に乗り出す。一元化した情報を全国の医療や介護現場で活用したり、治療法の開発に役立てたりする。2020年度からの運用開始を目指す。
 患者個人の治療情報などはこれまで、病院や自治体が個々に管理していた。データベース化で、患者とかかりつけ医、介護ヘルパーらが情報を共有して、救急搬送時や災害時、認知症になった時でも、最適の診療を受けられるようにする。患者自身は、自分の情報に常時、アクセスできる。医療機関は人工知能を使い、患者の病気の原因や最適な治療法を探るために活用する。
 また、データを、患者の同意を得たうえで匿名化し、行政や研究機関、企業などに提供し、創薬や医薬品の安全対策などの研究に役立てる。
 
タミフルなど抗インフル薬、入院費に比べ薬剤費高額 indexへ

 タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬は重症化を抑えるものの、費用対効果は良くないとする研究結果を九州大のグループが発表した。
 コグニティブ・システム時代の経験により学習し進化する医療ビッグデータがもたらす、新しいビジネスの可能性とは入院する患者を1人減らすために薬剤費が約20万円かかる計算という。研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)福岡支部の被保険者で、2012年9月~13年8月にインフルエンザと診断された20~65歳の計7万6236人の投薬や入院の状況を調べ、抗インフルエンザ薬の効果と経済性を分析した。
 それによると、投与された患者6万4497人のうち、入院したのは238人(0・37%)。投与されなかった1万1739人では248人(2・11%)に上り、患者の年齢や持病を考慮しても重症化を防ぐ効果が認められた。
 ただ、重症化して入院する患者を1人減らすために57人に投与する計算で、薬剤費は18万~25万円に上る。約10万円の入院費用の2倍に相当するという。研究グループの 馬場園明・九大教授は「薬としての効果は認められたが、経済性はよくない。糖尿病など重症化する危険性が高い患者に絞るような使い方を検討すべきだ」と話す。
 
毎日20本、1年喫煙でがん発症原因となる遺伝子変異…肺などに蓄積 indexへ

 毎日20本のたばこを1年間吸うと、がん発症の原因となるような特有の遺伝子の突然変異が、肺では150個蓄積されるなどとする研究成果を、国立がん研究センターなど日英米韓の研究グループがまとめ、米科学誌「サイエンス」に発表した。
 数千個の変異が蓄積されると、がんの発症につながるとみられている。
 日本を含む17か国が参加する、がんの国際研究組織のプロジェクトの一環。喫煙と関連が深いとされる17種類のがん5243例について、ゲノム(全遺伝情報)データを解析し、喫煙者と非喫煙者で比較した。
 その結果、肺がんの半数を占める肺腺がんと、喉頭、 口腔、 膀胱、肝臓などの各がんで、喫煙と強く関連する特有の遺伝子変異が喫煙者で増えていた。たばこ20本を毎日吸うと、1年間の変異の蓄積は肺が最も多く150個で、喉頭97個、咽頭39個、口腔23個などと推計された。 膵臓がんと子宮頸がんは、喫煙と関連が深いとされるが、こうした喫煙特有の遺伝子変異の増加はみられなかった。
 同センターの柴田龍弘・がんゲノミクス研究分野長は「がんの発症要因は遺伝子変異以外にもあるが、特に肺がんの一部は喫煙による遺伝子変異の影響がかなり大きい」と話す。
 
冷凍メンチまたO157…静岡の会社製造 indexへ

 食肉加工・販売の「米久」(静岡県沼津市)は6日、同社が販売した冷凍メンチから腸管出血性大腸菌 O157が検出されたため、同日から同じ商品の自主回収を始めたと発表した。この商品を食べた消費者1人は腹痛を訴え、O157が検出されたという。
 自主回収の対象は、「タケフーズ」(同)が製造した商品。タケフーズは、神奈川県内でO157による食中毒が確認された食肉販売会社の冷凍メンチも製造していた。米久の発表によると、O157が検出され、回収を始めたのは「ジューシーメンチカツ」約2万パック。同じ製造ラインで作られた「クリーミィーコロッケ」約3万パックも自主回収する。
 
「指針外出生前」中止求め声明 indexへ

 妊婦から採血して胎児の染色体の病気の可能性を調べる新型出生前検査について、学会の認定を受けない団体・病院があっせんに乗り出していた問題で、日本医師会、日本医学会などは2日、認定外検査の即刻中止を求める共同声明を出した。声明には、遺伝カウンセリングの啓発・普及の促進や、日本産科婦人科学会の検査指針の順守を全診療科の医師に周知徹底することも盛り込んだ。
 
冷凍メンチからO157…17人感染、児童2人が重症 indexへ

 神奈川県は31日夜、同県平塚市の食肉販売会社「肉の石川」が販売した冷凍メンチを食べた男女17人(1~79歳)が下痢や 嘔吐を訴え、全員から腸管出血性大腸菌 O157が検出されたと発表した。
 このうち8歳女児と5歳男児が重症。県保健福祉事務所が調べたところ、冷凍メンチからもO157が検出された。
 県によると、冷凍食品「和牛・相模豚 メンチ 肉の石川」は、同社の委託を受けた静岡県の会社が製造。神奈川、千葉両県の「イトーヨーカドー」各店舗で販売されていた。油で揚げて食べるもので、調理時に中まで十分加熱されなかった可能性もあるとしている。賞味期限は2017年2月26日のもので、イトーヨーカドーは同時に扱っていたとみられる同2月17日と4月12日のものも回収対象にした。
 神奈川県によると、O157は75度で1分以上加熱すると死滅するという。
 
無許可施設で加工した細胞で治療、医療法人に停止命令 indexへ

 細胞によるがん治療を行う東京都港区の医療法人「慈涌会」に対し、厚生労働省は31日、無許可の施設で加工した細胞を使ったとして、治療と細胞製造の停止を求める緊急命令を出した。 
 細胞治療を規制する再生医療安全性確保法に基づく処分は初。月にのべ100人がこの治療を受けていたが、健康被害は起きていないという。
 
予防接種ミス、過去最多の6168件…健康被害は確認されず indexへ

 全国の市区町村で2015年度に行われた定期予防接種で、対象でない人に接種してしまったなどのミスが過去最多の6168件に上ったことが、厚生労働省の専門家会議で報告された。接種10万回当たりでは約14件になる。感染など健康被害は確認されていない。
 それによると、最も多いのは、接種間隔のミスで2991件(49%)。このほか、規定の回数より多く接種925件(15%)、期限の切れたワクチンの使用671件(11%)など。使用済みの注射器を別の人に使ってしまったなど血液感染のおそれがある重大な間違いも8件あった。
 ミスの件数が最多となった背景について同省は、14年10月から、子どもの水痘ワクチンと高齢者の肺炎球菌ワクチンが新たに定期接種になり、全体の接種回数が増えた影響と見ている。
 
再生医療安全性確保法に基づく初の処分へ…厚労省 indexへ

 東京都内のクリニックが国に届け出た計画と異なり、無許可の関連施設で加工した細胞を使い治療を行っていたことが28日、厚生労働省の立ち入り調査で分かった。厚労省は近く、クリニックと施設に対し再生医療安全性確保法に基づき、細胞を使った治療の中止を求める方針。同法に基づく処分は初となる。
 同法は、細胞を使って治療を行う医療機関に治療計画の届け出を義務づけている。細胞加工を受託する施設も国から許可を受ける必要がある。
 クリニックは、がん治療で、患者から採った細胞を加工し、体内に戻す自由診療をしてきた。当初、細胞はクリニック内で加工していたが、クリニックが今年3月に移転して、細胞加工がクリニック外になった後も、必要な治療計画の出し直しや許可の取得をしていなかった。これによる健康被害はないという。
 クリニックの院長は読売新聞の取材に「法律の手続きを十分に理解していなかった。今後、厚労省の指示に従い、正式な手続きを進めたい」と話している。
 
ベトナムに修学旅行、高校生34人が食中毒症状 indexへ

 28日午前7時45分頃、千葉県成田市の成田空港に到着したホーチミン発のベトナム航空300便に搭乗していた神奈川県伊勢原市の向上高校2年生34人が下痢や 嘔吐など食中毒のような症状を訴え、成田市内の病院に搬送された。
 市消防本部などによると、3人の症状がやや重いという。同校によると、4泊5日の日程でベトナムに修学旅行に行った帰りだった。
 
故意に異物混入か、病院給食から塩素臭 indexへ

 国立病院機構東名古屋病院(名古屋市名東区)は26日、 入院患者の給食のスープやコップの水に異物が混入した可能性があると発表した。25日の朝食で患者から異臭がするなどと訴えがあって発覚したという。健康 被害は確認されていないが、愛知県警は、何者かが故意に異物を混入した疑いがあるとみてスープを回収するなど捜査を始めた。
 病院によると、25日午前6時50分頃、重症心身障害者の病棟(50 床)で朝食を食べた入院患者の1人が、「スープの味に異常がある」と訴えた。職員が調べると、スープから塩素系の強い異臭が確認された。うがいや歯磨きを するための水が入ったコップも一緒に配膳されたが、同様の異臭がしたという。
 同病院の給食は、病院の調理室から各病棟に配膳車で運ばれ、問題の病棟には26人にスープが配られた。このうち異臭を訴えたのは1人で、残る25人はスープを飲んだが異常を訴えなかったという。
 26日夜に記者会見した同病院の今井常夫院長は、県警に25日に通報 したことを明らかにし、「異物が(意図的に)混入された疑いがある。患者と家族に不安を与え、ご迷惑をお掛けし、おわび申し上げます」と述べた。病院は施 錠されていないといい、県警は防犯カメラを解析するなどして不審者の出入りを調べている。
 同病院は呼吸器内科や神経内科など24の診療科を抱え、結核などの呼吸器疾患の高度医療を実施。468の病床を持ち、26日現在、330人が入院中という。職員数は約450人。
 
厚労省、精神指定医89人の資格取り消し…不正取得問題で大量処分 indexへ

 精神障害者の強制入院などを判断する精神保健指定医の資格不正取得問題で、厚生労働省は26日、19都道府県の指定医計89人について、精神保健福祉法に基づき、資格取り消し処分としたと発表した。
 十分に診療していない患者の情報を使用して虚偽の症例リポートを作成するなどしていた。大量処分により、精神医療の信頼は大きく損なわれ、地域の精神医療への影響も懸念される。
 処分されたのは、資格を不正取得した医師49人と、その指導役の指定医(指導医)40人で、処分発行日は11月9日。
 
「精神指定医」89人処分、厚労省諮問 indexへ

 精神障害者の強制入院などを判断する精神保健指定医の資格を不正に取 得したなどとして、厚生労働省は26日午前、全国の指定医89人の処分について、医道審議会の専門部会に諮問した。実際には診察していない患者の情報を使 用して虚偽の症例リポートを作成するなどしていたという。一度に89人もの指定医の処分となれば過去に例はなく、地域の精神医療への影響が懸念される。
 
穴が開けられた点滴から薬物検出されず…産業医大病院 indexへ

 産業医科大学病院(北九州市八幡西区)で穴が開けられた 点滴の袋3個が見つかった事件で、福岡県警折尾署は24日、県警科学捜査研究所による鑑定の結果、3個から特異な薬物などは検出されなかったと発表した。 患者に健康被害もなく、県警は異物の混入はなかったとみて、器物損壊、窃盗事件として捜査している。
 同署や病院によると、20日午後、病棟9階のナースステーションで、 薬品保管庫などの鍵6本の束と、保管庫にあった鎮痛剤「ソセゴン注射液」のアンプル2本がなくなっているのが分かり、病院が110番。同11時半頃、同じ 階の個室に入院中の50歳代男性患者に投与中の点滴の袋と、ナースステーションにあった未使用の点滴袋2個に、針で刺したような穴が開いているのを看護師 が見つけた。
 
「精神指定医」不正取得で数十人処分へ…厚労省 indexへ

 精神障害者の強制入院などを判断する「精神保健指定医」の資格を不正 に取得したとして、厚生労働省は全国の数十人の医師について、資格の取り消しなどの処分を行う方針を固めた。昨年、聖マリアンナ医大病院(川崎市)で発覚 した不正取得問題を機に、同省が調査していた。26日に開かれる医道審議会の専門部会に諮り、答申を踏まえて最終決定する。
 同省によると、聖マリアンナ医大病院では、実際には診察していない患者の症例を使い回し、組織的に虚偽リポートを提出していたことが発覚。同病院の医師11人と、指導役の指定医(指導医)12人の計23人の資格が取り消された。
 事態を重くみた同省は、2009~15年に資格を取得した計約 3500人について調査。保管していた症例リポートと患者のカルテなどを照合し、計約100人の指定医から事情を聞くなどした結果、数十人が十分な診察を していない患者の症例リポートを提出していたと判断した。事情聴取の対象になったことを知り、自主的に資格を返上した医師もいるという。
 指定医は、患者の意思に関係なく強制的に入院させる措置入院や、医療保護入院を判断できる精神科医。精神保健福祉法は、指定医として著しく不適当と判断した場合は、資格取り消しや職務停止を命じることができると定めている。
 
点滴袋に穴、鎮痛剤も紛失…北九州の産業医大病院 indexへ

 産業医科大学病院(北九州市八幡西区)は21日、入院患者に投与していた点滴の袋に穴が開けられていたと発表した。
 鎮痛剤15ミリ・グラム入りのアンプル2本などもなくなっていた。福岡県警折尾署が器物損壊、窃盗両容疑で捜査。点滴に異物が混入されていないか、県警科学捜査研究所で分析する。
 同病院や同署によると、9階病棟を巡回中の看護師が20日午後11時頃、個室に入院している50歳代男性患者のベッドがぬれているのを発見。周辺を調べたところ、男性に投与中の点滴の袋の下部に針のようなもので刺したとみられる穴が少なくとも1か所開けられていた。
 また、同じ階にあるナースステーションに置いていた未使用の点滴2個にも穴が開いているのを確認した。男性に健康被害はない。
 さらに、同ステーション内の薬品保管庫にあったアンプル2本のほか、同保管庫などの鍵6本が付いた束がなくなっていることも判明した。20日午前9時~午後6時半頃に盗まれたとみられるという。
 九州厚生局は21日午後、同病院に立ち入り検査を行う予定。
 同病院は1979年に診療開始。診療科は21科で、病床数は678床。高度な医療を担う「特定機能病院」に指定されている。
 ◇
 産業医科大学病院は21日、記者会見を開き、鍵束は薬品などを運搬する委託業者が20日に使用し、ナースステーション中央部の机に置いて以降、所在がわからなくなったと説明した。
 病院のマニュアルでは、鍵束は本来、看護師のリーダーが常時持ち、手渡しする規則となっていたが、日中は鍵を手渡しせずに机に置くこともあったという。
 記者会見した同病院の佐多竹良院長は「捜査に協力する。心配をおかけし、深くおわびする」と述べた。
 
横浜の病院、点滴在庫に消毒液成分…死亡2人以外の袋から検出 indexへ

 横浜市神奈川区の大口病院で点滴投与中の患者2人が相次いで中毒死した事件で、2人以外の患者向けに用意された複数の未使用点滴袋から、消毒液「ヂアミトール」に含まれる界面活性剤の成分が検出されたことが捜査関係者への取材でわかった。
 2人の体内から検出された成分と同じもので、神奈川県警は、死亡した2人以外の患者が狙われた疑いもあるとみて捜査している。
 9月18日に死亡した西川 惣蔵さん(88)と、同20日に死亡した 八巻信雄さん(88)は4階の同じ病室に入院し、ともに点滴を受けていた。
 
日本脳炎ワクチン「不正製造」、化血研が否定 indexへ

 一般財団法人・化学 及血清療法研究所(化血研、熊本市)は18日、厚生労働省から日本脳炎ワクチンを国の承認外の方法で製造していたと指摘されたことについて、「承認された通りに製造しており、不正はない」とする弁明書を提出した。
 同省が今月4日に事前通知した業務改善命令の方針に対する弁明で、行政処分の通知に対し、製薬企業が争う姿勢を示すのは極めて異例。
 同省によると、日本脳炎ワクチンについては、ウイルスの不活化処理をした原材料を使用すると国の承認書に定められているが、実際には、一部の処理が行われていなかったとして改善命令の方針を通知した。
 これに対し、化血研は2011年に同ワクチンの製造販売が承認された時、国は在庫の原材料の使用を特例として認めていたと反論。また、承認書と製造実態の食い違いについて、未報告だったとする国に対し、化血研側は今年8月に自主報告したと主張した。
 この日、記者会見した化血研側の弁護士は、「業務改善命令を受けることはないと信じている」と話した。一方、同省は弁明書の内容を精査し、処分を決める方針だ。
 化血研を巡っては、約40年にわたり血液製剤などを承認外の方法で製造し、隠蔽工作を行っていたことが昨年発覚。同省は今年1月、110日間の業務停止命令を出した。
 
オプジーボ使用した60歳代男性、心臓の重い炎症で死亡 indexへ

 厚生労働省は18日、肺がんや皮膚がんの免疫治療薬「オプジーボ」を使った60歳代の男性が心臓の重い炎症で死亡したなどとして、添付文書の重大な副作用の項目に心筋炎を追記するよう、製造販売元の小野薬品工業に対して指示した。
 厚労省は男性の死亡について「薬との因果関係が否定できない」とした。また、血小板が減って内出血しやすくなったり、筋肉の一部が壊れて血中に流れ出したりする症状も起きており、重大な副作用への追記を求めた。
 
沖縄の県立病院、筋弛緩剤を紛失…少量の使用でも死に至る恐れ indexへ

 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター( 南風原町)は14日、手術室で保管していた筋 弛緩剤「スキサメトニウム」の瓶4本(各40ミリ・グラム入り)を紛失したと発表した。少量の使用でも死に至ることがあるという。
 発表では、9月26日午前10時25分頃、看護師が手術室内の保冷庫を点検した際、瓶の不足に気づいた。センターは同日、県警与那原署に紛失を届け出た。
 医師や看護師らへの聞き取り調査の結果、同月21日以降、未使用の筋弛緩剤の本数確認を怠っていたことが判明。手術室前の防犯カメラには不審人物は映っておらず、センターは盗難の可能性は低いとみている。
 
群馬大教授の指導医資格不正取得、新たな防止策取らず…肝胆膵外科学会 indexへ

 群馬大病院で相次いだ手術死に関連し、旧第二外科教授(7月29日付で諭旨解雇)が虚偽の手術実績で指導医の資格を取得していた問題で、日本肝胆 膵外科学会は、新たな対策は取らない旨の見解を学会のサイトで公表した。
 同学会が定める高度技能指導医は、一定以上の難度の手術件数などが必 要としている。群馬大が設置した第三者の調査委員会が今年7月に公表した調査報告書では、指導医資格が虚偽の実績で取得可能だったことに対し、「防止策を 講ずるべきだ」と同学会に要望。これを受け、同学会は「不正防止対策はすでに十分講じているが、さらに会員に周知徹底する」とした。
 
最大56人に劇物ホルマリンを誤投与、後遺症男性が告訴状 indexへ

 兵庫県姫路市の総合病院「製鉄記念広畑病院」(392床、橘史朗病院長)で昨年7月、内視鏡検査を受けた患者の体内に、誤って劇物のホルマリン液(濃度10%)を投与していたことが分かった。
 患者は最大56人で、このうち市内の70歳代の男性が、誤投与で小腸がただれるなどしたとして13日、同病院の検査担当医に対し、業務上過失致傷容疑で県警網干署に告訴状を提出した。
 同病院によると、昨年7月22、23日、胃などの内視鏡検査を行った 際、内視鏡のレンズ洗浄用に、普段使う精製水ではなく、内臓の組織などを保存するのに使うホルマリン液を誤って使用。23日夕に技士が誤りに気づいたが、 患者56人(当時17~83歳)に投与された可能性があるという。
 投与量はほとんどが数ミリ・リットルだったが、70歳代の男性には十二指腸の精密検査のため120ミリ・リットルを使用。小腸のただれや腫れで入院し、現在も神経痛などを訴えて通院している。それ以外の55人に健康上の異常はないという。
 同病院は男性を含む全員に謝罪。取り違えた経緯は不明だが、ホルマリン液は精製水と同じ容器を使っていたといい、同病院は再発防止策として院内でホルマリン液を作るのをやめ既製品を購入するようにした。
 男性の息子は13日、同市内で記者会見し、「父は検査中に激しい腹痛でやめるよう訴えたのに、担当医は無理に続けており、過失は明らかだ」と主張した。
 
敷地で職員が喫煙していた広島の病院、「禁煙外来」返上へ indexへ

 禁煙外来を設置している広島県福山市の寺岡記念病院(263床)は12日、職員が全面禁煙の病院敷地内で喫煙していたとして、禁煙外来の診療を取りやめる辞退届を、近く中国四国厚生局に提出することを明らかにした。
 診療報酬の返還については、同厚生局の指導に従うという。
 同病院によると、今年8月、敷地内のゴミ集積場で喫煙する職員を目撃 したとの報告を内部から受けた。職員は特定できなかったが、集積場では今年に入り計3回、吸い殻が見つかっており、職員が喫煙していたと判断したという。 同病院は禁煙外来を2006年4月に設置。治療で保険適用を受けるために、敷地内を全面禁煙にしていた。
 
医療機関を名乗る民間団体、指針に反した新型出生前検査を宣伝 indexへ

 妊婦から採血して、胎児の病気の可能性を調べる新型出生前検査について、医療機関を名乗る都内の民間団体が、学会の認定を受けずにあっせんに乗り出し、指針に反した検査を宣伝していることがわかった。
 日本産科婦人科学会(日産婦)は指針に反した同様のケースを複数把握しており、来月、倫理委員会で対応を協議する。
 新型検査は現在、日本医学会が認定した74病院で実施が認められている。人工妊娠中絶につながることもあり、遺伝カウンセリング体制の整備などを条件としている。日産婦は指針で、認定病院で行うことや、検査対象はダウン症など3種類の染色体の病気に限定している。
 ところが問題の団体は、三つの病気以外に、産み分けにつながる性別判 定や、ターナー症候群などの性染色体の異常の検査もできるとホームページで宣伝している。同症候群は低身長や不妊につながるが、社会生活に支障はないとさ れる。また指針では、主に35歳以上の「高齢妊婦」が条件だが、この団体は年齢を条件としていない。
 この団体が指定する都内の不妊クリニックで採血し、英国の検査会社に送ると、1週間後に検査結果が通知されるとしている。
 この団体の代表者は読売新聞の取材に、9月からあっせんを始めたとし、「認定施設は限られている。指針違反だとわかっているが、検査を望む妊婦の気持ちに応えたい」としている。
 日産婦倫理委員長の 苛原稔・徳島大教授は「指針から逸脱した団体による検査の提供は、遺伝カウンセリングが十分に行われない恐れがある。ゆゆしき問題」と指摘している。
 
新型インフル用の防護服で納入談合疑い…公取委、11社立ち入り indexへ

 東京都が発注した新型インフルエンザ対策用の防護服などの納入を巡り、談合していた疑いが強まったとして、公正取引委員会は12日午前、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、商社大手の丸紅(東京)や、日本船舶薬品(神奈川)など計11社を立ち入り検査した。
 ほかに立ち入り検査を受けているのは、新成物産、越前屋多崎、関東エア・ウォーター、武田商店、エア・ウォーター・メディエイチ、センチュリーメディカル(いずれも東京)など。

 
2人中毒死の病院、横浜市が院長ら6人から聞き取り indexへ

 横浜市神奈川区の大口病院で入院患者2人が中毒死した事件で、横浜市は11日、臨時の立ち入り検査を実施した。
 主に院長ら6人から聞き取りを行い、病院の安全管理に問題がないか、約4時間にわたって確認した。
 同病院では4階に入院していた88歳の男性2人が相次いで死亡し、神 奈川県警は点滴に消毒液が混入された可能性が高いとみている。市医療安全課によると、立ち入り検査では、4階のナースステーションでの点滴や消毒液の保管 状況や、休日・夜間の勤務体制などの説明を受けたという。
 市は月内に検査結果をまとめる一方、11月にも設置する第三者委員会で市の対応が適切だったかどうかなどを検証する方針。
 
療養費詐取「市議が不正受給指示」…関係者、大阪府警に説明 indexへ

 大阪府池田市議らが整骨院の療養費をだまし取ったとして逮捕された事件で、整骨院の関係者が府警の調べに対し、同市議の羽田達也容疑者(37)から療養費の不正受給を指示されたと説明していることが捜査関係者への取材でわかった。
 府警は詐欺容疑を裏付ける証言とみている。一方、羽田容疑者は逮捕前の読売新聞の取材に「私は関与していない」と話していた。
 府警によると、逮捕容疑の療養費約70万円の不正受給は、この整骨院が羽田容疑者に2年半で600回以上、健康保険が適用される施術を行ったとして請求したものだった。
 捜査関係者によると、整骨院の関係者は、実際は施術をしていなかった とし「嫌だったが、羽田容疑者に従った」と話したという。当時羽田容疑者が運営に関わっていた他の5か所の整骨院でも、その従業員らの健康保険証で不正受 給していたと説明。羽田容疑者は「俺の分はここで請求しておけ」と指示したという。
 府警は7日午後、羽田容疑者を送検した。
 
膵臓がんを早期発見する「尾道方式」…5年生存率、全国推計の3倍 indexへ

 発見時には進行しているケースが多く、5年生存率が低い「 膵臓がん」を、早期発見する取り組みが、広島県尾道市で成果を上げている。
 地域の中核病院「JA尾道総合病院」と診療所の医師約30人が連携し、糖尿病や肥満などリスクの高い患者について、膵臓の検診をいち早く受けてもらう仕組み。5年生存率は全国推計の約3倍で、「尾道方式」として各地に広がりつつある。
 膵臓がんは、早期では自覚症状がなく、胃や十二指腸に囲まれた場所に あるため検査でも見つけにくい。国立がん研究センターの分析では、がんが周囲の臓器に広がっている状態の「4期」で見つかるケースが43%を占め、5年生 存率は7・7%と、胃がん(64・6%)、肝臓がん(32・6%)、大腸がん(71・1%)など、他のがんと比べ最も低い。
 尾道方式は、JA尾道総合病院の花田敬士診療部長(消化器内科)が、尾道市医師会(宮野良隆会長)と連携し、2007年から始めた。
 花田さんらが、市内の開業医に、膵臓がんのリスクが高まる危険因子と して、「糖尿病」「肥満」「喫煙」「家族に膵臓がん患者がいる」などがあることを情報提供。開業医は、こうした情報に該当する患者がいた場合、腹部に超音 波を当てる検査で膵臓の画像を見て、がんの疑いがある場合はすぐにJA尾道総合病院を紹介する――という診断の基準を作った。同病院では、体内に内視鏡を 入れるなどして、より精密な画像でがんの有無を調べた。
 尾道市の人口は約14万5000人で、15年までの約8年半で市民ら約8400人を調べ、約430人で膵臓がんと確定診断した。
 このうち5年生存率が約80%とされる大きさ1センチ以下のがんの 「1期」が36人、超早期の「0期」が18人いた。同病院の膵臓がんの5年生存率は、以前はほぼゼロだったが、09年に診断を受けた人のうち、手術などの 治療で20%にまで改善。この成果は学会などで注目され、大阪市北区や熊本市、鹿児島市などで同様の取り組みが始まっている。
 花田さんは「膵臓がんは早期発見が勝負。熱意のある医師が協力すれば、亡くなる人はきっと減らすことができる」と話す。
 
国が推奨しない「乳がん視触診」、市区町村の半数が継続 indexへ

 自治体が行う乳がん検診で、国が今年度、有効性が不明として推奨から外した視触診が、約半数の市区町村で継続されていることが厚生労働省の調査でわかった。
 自治体が有効と考える検診の認識にばらつきがあることが浮き彫りとなった。
 厚労省は5月、全国の1737の市区町村に検診の実態を調べる調査を 実施。集団検診の視触診について、回答したうちの839自治体(52%)が今年度までに視触診をやめたが、約半数は継続していた。364自治体(23%) は「やめる予定がない」と答えた。視触診をやめない理由では、最も多い32%が「マンモグラフィーのみの検診の有効性に疑問」を挙げた。
 国指針では、乳がんによる死亡率を減らす唯一の方法としてマンモグラフィーを推奨。視触診は早期発見の効果は薄く、先進国ではほとんど行われていない。
 視触診を推奨から外す代わりに超音波検査の導入を求める意見もあるが、死亡率減少効果がまだ明らかではないことなどから、マンモグラフィー単独になった経緯がある。
 相良病院付属ブレストセンター(鹿児島市)の戸崎光宏・放射線科部長は「乳がん検診のあり方を見直す過渡期にあり、対応に苦慮する自治体が多いことを示す結果だ」と指摘する。
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 視触診  医師が乳房を触り、目視して異常の有無を確認する乳がんの検診法。一定以上の大きさのしこりや乳頭からの分泌物がある場合はがんの発見につながるが、微小なしこりや病変を見つけるのは難しい。
 
療養費詐取…市議が患者として請求、「施術」2年半に600回 indexへ

 大阪府池田市議らが整骨院の療養費約70万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕された事件で、療養費は、同市議の羽田達也容疑者(37)が2年半に600回以上施術を受けたとして請求されていたことが府警への取材でわかった。
 府警は不正受給が常態化していたとみて調べる。
 骨折や捻挫など特定のけがについて、整骨院などで施術を受けた場合、保険が適用され、健保組合などから療養費が支給される。
 府警によると、羽田容疑者が当時社長だった整骨院運営会社傘下の整骨 院(大阪府摂津市)は2011年12月~14年5月、保険適用の施術を行ったとして全国健康保険協会から約70万円を受給。府警が申請書類などを調べたと ころ、施術は全て羽田容疑者が受けたことになっており、腰や股関節の捻挫で1か月に18~24日通院したとされていた。
 また、同社従業員やその家族ら約30人も11~15年、同じ整骨院などで保険適用の施術を受けたとして約2000万円を受給。従業員の一部には毎月数千円分のギフトカードが配られていたという。府警は口止め目的だったとみている。
 羽田容疑者は10年3月に同社を設立。多いときで七つの整骨院などを 運営し、「やり手社長」と評判だったという。15年4月の池田市議選で地域政党・大阪維新の会公認で初当選したが、4月に離党し、現在は無所属。6月、読 売新聞の取材に「私は関与していない。時期がくれば事件について説明する」と話していた。
 
出っ歯の早期矯正は不要…永久歯後でも効果同じ indexへ

 歯科矯正専門医学会が指針…一般向け公表は国内初
 子どもの出っ歯の矯正治療について、日本歯科矯正専門医学会は永久歯が生えそろわない段階での早期からの治療は行うべきでないとする診療指針を作成した。歯科矯正の診療指針が一般向けに公表されるのは国内で初めて。
 出っ歯は歯科矯正患者の4分の1を占める。同学会は外国の17本の論 文から、永久歯と乳歯が交ざっている7~11歳児の出っ歯について、早期から治療を継続した患者群と、永久歯が生えそろった後から治療を始めた患者群で、 歯並びの改善度合いを解析した。その結果、両方の治療効果に差はなかった。
 この結果は、科学的根拠に基づいた診療指針を掲載する、日本医療機能評価機構の医療情報サービス事業「マインズ」の ホームページ に掲載された。
 同学会の大野秀徳副会長は「経験上、早期治療だけで出っ歯は改善されず、ほとんどはその後、再度治療が必要になる。同じ治療結果であれば、患者の利益になる治療を選ぶべきだ」と話す。
 ただ現状では早期からの矯正治療が行われることも多い。この指針でも、早期の矯正で永久歯がはえそろってからの治療が不要になると判断された場合は、早期治療を認めている。
 矯正歯科分野で最大の団体、日本矯正歯科学会の槙宏太郎理事(昭和大学歯科病院長)は「歯の矯正は治療を受けた場合と受けなかった場合の比較研究が難しく、解析対象の論文が適切か、評価は難しい。早期治療で永久歯になってからの治療が不要になる人も多い」と話している。
 
喫煙の「代償」返還2000万円、診療報酬5年分…島根・禁煙外来病院試算 indexへ

 禁煙外来を設けた島根県 江津市の済生会江津総合病院(300床)の敷地内で職員らが日常的に喫煙していた問題で、同病院が、保険適用の基準を満たしていなかったとして返還する診療報酬額について、約2000万円に上ると試算していたことがわかった。
 さらに額を精査し、保険者の自治体などに自主返還する。
 禁煙治療に保険適用を受ける場合、敷地内の全面禁煙が条件だが、同病院では病棟裏口近くなどで職員らが喫煙。中国四国厚生局が禁煙外来の休止と診療報酬の返還を指導していた。
 同病院は先月8日付で、指導内容や報酬額を文書にして職員に周知。これによると、同局から「『敷地内喫煙』について強く指摘された」とし、職員らの敷地内喫煙を複数回確認したことや、過去5年分で該当する診療報酬を自主返還することなどが記されている。
 返還対象は「ニコチン依存症管理料」のほか、敷地内を全面禁煙にしたことで診療報酬が加算されてきた「入院栄養食事指導料」「がん治療連携指導料」など20項目近く。同病院で禁煙外来が保険適用になった2012年以降の返還額を約2000万円と試算した。
 同病院の 安食治外・事務部長は4日、読売新聞の取材に「問題の影響や大きさを職員が認識するよう文書を配った。できるだけ速やかに返還したい」と述べた。
 
化血研に再度の業務改善命令へ…日本脳炎ワクチンでも不正 indexへ

 一般財団法人・化学 及および血清療法研究所(化血研、熊本市)が国の承認と異なる方法で血液製剤などを製造していた問題で、厚生労働省は4日、新たに日本脳炎ワクチンでも国の承認と違う製造方法をとっていたと発表した。
 ワクチンの安全性に問題はないとして出荷は認めるという。
 同省は同日付で化血研に対し、医薬品医療機器法に基づき、経緯や全製品の製造方法を調べて報告するよう命じるとともに、法令順守の態勢が不十分として、2週間以内に業務改善命令を出す方針を通知した。
 化血研への行政処分は、今年1~5月の110日間の業務停止に続いて2回目。同省は「このような事態が続く場合は、医薬品製造販売業許可を取り消す可能性がある」とも通告した。
 
RSウイルス感染症が流行期入り…重い肺炎や気管支炎 indexへ

 乳幼児に重い肺炎や気管支炎を引き起こす「RSウイルス感染症」が流行期に入り、国立感染症研究所が注意を呼びかけている。
 感染研が4日発表したまとめによると、9月19~25日に全国約3000の小児科から報告のあった患者数は4204人。同時期の比較では、現在の集計方法となった2011年10月以降で最多となっている。
 RSウイルスは、患者のせきやくしゃみなどの飛まつを吸い込んだり、ウイルスの付いた物を触ったりしてうつる。4~6日の潜伏期間を経て発熱や鼻水などの症状が表れる。生後6か月以内の乳児などで重症化しやすい。治療は水分補給と呼吸の管理など対症療法が中心だ。
 感染研の木村博一・感染症疫学センター第6室長は「大人が軽い風邪の症状を感じたら、乳児やお年寄りにうつさないよう注意してほしい」と話している。
 
入院体制整えず中期中絶…17歳少女死亡で明らかになった産婦人科の実態 indexへ

 横浜市戸塚区の産婦人科医院の前院長ら2人が、母体保護法指定医師の資格停止処分取り消しを求めて横浜地裁に起こした訴訟は、同医院側が訴えを取り下げて終結した。
 入院体制を整備しないまま妊娠中期(12~21週)中絶処置をしてい たことなどを理由とした県医師会の処分を、同医院側が受け入れた形だ。しかし、原則を逸脱した通院での処置は、他の産婦人科でも患者の希望などから行われ ている実態がある。有識者は、現場の実情も踏まえた安全管理のルールづくりを検討するべきだと指摘している。 現場の実情、ルールに…有識者
■原則「入院」
 前院長らが資格停止6か月の処分を受けたのは「聖ローザクリニックタ ワーズ」。院内にベッドが1床しかなく、無人になる夜間は緊急対応もできないのに、通院で処置を続けていたことなどが問題視された。医院側は訴訟で▽患者 に担当看護師の連絡先を伝えている▽緊急時には近隣のグループ病院でも対応できる――などとして、処分は不当だと訴えていた。
 日本産婦人科医会などによると、中期中絶は、棒状の医療器具を子宮 頸管
 けいかん
 に複数本挿入して徐々に拡張し、陣痛誘発剤を用いて行う。「前処置」と言われる子宮頸管拡張段階から慎重な経過観察が求められ、緊急時には迅速な抗菌薬投 与などが必須とされる。このため、同医会が作成した「指定医師必携」「産婦人科診療ガイドライン」には、実施にあたっては「入院をさせる」と明記されてい る。
 同医会によると、中絶に伴う母体死亡例は極めてまれだが、感染症や出血、子宮 穿孔
 せんこう
 などの発生事例報告は2004~13年に182件に上る。白須和裕副会長は「妊娠中の子宮では血流が増える。経験豊富な指定医師による処置でもトラブルは発生する」と話す。
■前処置中に死亡
 処分を受けた同医院では、毎月10件前後の中絶処置をほぼ通院のみ で実施していたことが分かっており、昨年11月には、前処置中だった妊娠21週の少女(当時17歳)が帰宅後に死亡するケースも起きていた。少女は4日目 の通院処置後、自宅で容体が急変し、搬送先の別の病院で死亡。死因は敗血症性ショックだった。処置と死亡の因果関係については、県警が調べている。
 一方、現場では「前処置からの入院」が定着しているとは言えない。 背景には「お産を控えた他の妊婦に囲まれながら入院するのはつらい」といった中絶患者の希望がある。複数の産婦人科医師は「前処置の序盤は通院処置に応じ る場合もある」と証言。「入院の強要は、様々な事情で通院を望む女性が正規の医療機関ではないところで危険な処置を受ける事態も招きかねない」との声も あった。
 浜松医大の大磯義一郎教授(医療法学)によると、医師には医学的な 理由から指針などの原則を逸脱する裁量権がある。患者の希望(自己決定権)は、その逸脱を認める根拠とはならないが、医師らができる限り尊重しようとする のも当然だ。大磯教授は「指針・原則は単なる理想論ではなく、実務を反映した内容であるべきだ。今回の問題を契機に、中絶患者の利便性と母体保護のあり方 を改めて検討するべきだ」と指摘する。
医師への調査権、明文化を検討…県医師会
 母体保護法では、指定医師の指定権限を都道府県医師会に付与している。県内には現在約400人の指定医師がおり、その指導・監督も県医師会が行うが、明確な調査権は規定されていない。
 県医師会によると、聖ローザクリニックタワーズを巡っては昨年2 月、県医師会内の母体保護委員会で、「中期中絶が1か月間に12例報告されているが、設備は整っているのか」と懸念する声が上がった。同会は安全管理体制 の確認のため、聖ローザグループの前院長に聞き取り調査への協力を複数回要請したが、応じてもらえず、そうしたなかで少女の死亡事例が起きたという。
 同会は即効性・実効性のある指導を確実に行えるようにするため、指定医師取扱規則に、調査権を明文化することなどを含め、再発防止策を検討している。
 
国立がんセンターとJT、受動喫煙リスク巡り批判応酬 indexへ

 他人のたばこの煙を吸う受動喫煙が肺がんの発症に及ぼす影響を巡り、国立がん研究センターは、同センターの研究を疑問視する日本たばこ産業(JT)に異例の反論を行い、害を軽視する姿勢を批判した。
 同センターは8月31日、受動喫煙で日本人の肺がんリスクは1・3倍に増えるとする研究結果を発表した。JTは同日付でホームページ(HP)に「科学的に説得力のある形で結論づけられていない」とするコメントを社長名で発表した。
 これに対し、同センターは9月28日、「科学的アプローチに十分な理解がなされておらず、結果として受動喫煙の害を軽く考える結論に至っている」とする見 解をHPに掲載した。JTのコメントを6項目に分けて一つ一つ反論し、「たばこの煙にさらされることは、人々の健康に危害を与えることで、迷惑や気配りの 問題ではない」と批判した。
 同センターの反論について、JTは読売新聞の取材に対し、「私たちの見解に対し、科学的に問題があると指摘するものではなく、見解の相違に過ぎない。私たちの意見は変わらない」とコメントした。
 国立がん研究センター「受動喫煙と肺がんに関するJTコメントへの見解」
 http://www.ncc.go.jp/jp/information/20160928.html
 
禁煙外来病院で、職員ら日常的喫煙…診療報酬返還へ indexへ

 島根県 江津市の済生会江津総合病院(300床)が、禁煙外来を設けながら職員らが日常的に敷地内で喫煙し、保険適用が認められる基準を満たしていなかったとして、診療報酬を返還することがわかった。
 日本禁煙学会(東京)によると、病院敷地内の喫煙を理由に禁煙治療の診療報酬が返還されるのは異例という。
 厚生労働省は、禁煙治療に保険適用を受ける病院に対し、敷地内の全面禁煙を条件にし、分煙も認めていない。
 済生会江津総合病院によると、厚労省中国四国厚生局島根事務所(松江 市)に「職員らが喫煙している」と情報提供があり、同事務所職員が8月23日、病棟北側の裏口近くなどで複数の職員らが喫煙しているのを確認。同事務所は 「保険適用の基準を満たさない」として禁煙外来の休止と診療報酬の返還を指導した。
 同病院が職員らに聞き取り調査したところ、複数の職員が数年前から喫煙を繰り返していたことを認めた。たばこを吸っていたのは主に裏口近くの屋外で、救急車が出入りし、患者らの往来もある。毎日喫煙していた職員もいたという。
 同病院はこれまでも、外部からの苦情で職員の喫煙を把握し、灰皿代わりに使われたペットボトルも敷地内で見つけたが、院内会議の際に口頭で注意喚起したり、貼り紙で禁煙を周知したりしていただけだった。
 同病院は9月27日から当面、禁煙外来を休止。保険適用が認められた2012年以降の診療報酬を保険者の自治体などに返還することを決め、返還額を算定している。
 敷地内の全面禁煙は、禁煙治療以外にも保険適用の条件になっており、診療報酬の返還が他の治療に及ぶ可能性もあるという。
 同病院の 安食治外事務部長は「率先して禁煙に取り組むべきなのに申し訳ない。指導を重く受け止め、職員一丸となって敷地内の禁煙に取り組みたい」と話している。
 
子宮頸がんワクチン訴訟、国・企業側争う姿勢…福岡地裁弁論 indexへ

 子宮 頸がんワクチンの副作用で痛みや運動障害などの症状が出たとして、全国の女性約60人が、国と製薬企業2社を相手に1人1500万円の慰謝料などを求めた集 団訴訟のうち、福岡、山口、熊本、長崎、沖縄の5県12人が起こした「九州訴訟」の第1回口頭弁論が28日、福岡地裁(倉沢守春裁判長)であった。
 国と製薬企業側は、ワクチンと症状の因果関係を争う姿勢をみせ、請求棄却を求めた。
 ワクチンの副作用をめぐっては、女性約60人が7月、東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁で一斉に提訴しており、弁論が開かれたのは福岡地裁が初めて。
 九州訴訟の原告は16歳から22歳で、ワクチンに含まれる成分が免疫異常を起こし、全身のけいれんや睡眠障害などの症状が出たと指摘。「国が製造販売を承認し、接種を勧めたことは違法」と主張している。
 製薬企業のMSD社も陳述し、「ワクチンの安全性や有効性は試験で認められている」などと主張。原告全員に、過去の診療記録や投薬記録の提出を求めた。
 ワクチンは国が2010年11月に接種費用の補助事業を始め、13年4月に定期接種としたが、被害の訴えが相次いだ同年6月、積極勧奨を中止した。厚生労働省によると、子宮頸がんは年間約1万人が発症し、約2700人が死亡している。
 
乱用、薬物依存の恐れ…向精神薬指定2種に処方制限 indexへ

 厚生労働省は28日、乱用や薬物依存の恐れがある抗不安薬エチゾラム(製品名デパスなど)と睡眠薬ゾピクロン(製品名アモバンなど)について、1回に処方できる量を30日分までに制限することを決めた。
 いずれも14日に厳格な取り扱いが求められる向精神薬に指定されていた。この2種は、厚労省研究班が2014年に行った実態調査で、乱用された処方薬の上位に入っていたが、向精神薬に指定されていなかった。
 
点滴混入の消毒液、ヂアミトールか…空ボトル3本押収 indexへ

 横浜市神奈川区の大口病院で、同じ病室の入院患者2人が18、20日に相次いで中毒死した事件で、2人の点滴に消毒液の「ヂアミトール」が混入された疑いが強いことが捜査関係者への取材で分かった。
 2人の体内から検出され、中毒の原因となった界面活性剤「逆性せっけん」を主成分とする消毒液で、2人の病室があった4階のナースステーションにも医療器具消毒用に常備されていた。神奈川県警は廃棄されたヂアミトールの空ボトル3本を院内から押収して調べている。
 
横浜・点滴死…同室患者1人も中毒死、界面活性剤検出 indexへ

 横浜市神奈川区の大口病院で20日未明、入院患者の 八巻信雄さん(88)が点滴への混入物により中毒死した事件で、神奈川県警は26日、別の男性患者1人も中毒死と判明したと発表した。
 八巻さんと同様、消毒液に使われる界面活性剤の成分が男性の体内からも検出された。県警は、何者かが2人の点滴に消毒液を混入させるなどした疑いが強いとみて、連続殺人事件として捜査を進める。
 県警の発表によると、新たに中毒死と判明したのは、横浜市青葉区梅が丘、西川 惣蔵さん(88)。高齢患者が多い同病院4階の八巻さんと同じ病室に13日から入院し18日午後7時頃に死亡した。
 
インスリン10倍投与、糖尿病患者死亡…看護師のカルテに虚偽 indexへ

 長崎県川棚町の国立病院機構・長崎川棚医療センターは23日、糖尿病を患う入院中の女性患者(80歳代)に、看護師(20歳代)が誤って指示量の10倍のインスリンを点滴で投与し、死亡する事故が起きたと発表した。
 看護師は、点滴を使ったインスリン投与が初めてで、決められた手順を踏まず、カルテには虚偽の血糖値を記入するなどしていた。
 センターによると、事故は8月31日に発生。看護師は、血糖値を下げ るインスリンを注射器を使って点滴に注入した際、指示量は0・1ミリ・リットルだったのに1ミリ・リットルを入れ、午前0時30分頃に投与を始めた。同8 時50分頃、病室を訪ねると、患者は心停止状態だったという。
 看護師は、点滴を使ったインスリン投与の経験がなく、専用の注射器ではなく、1目盛りの量が10倍の一般の注射器を使っていた。この日は、2人で行う投与前の確認を怠っていたほか、定時(午前6時)の血糖値測定をせず、カルテに虚偽の数字を記入していた。
 患者の心拍監視装置も故障していたため、心拍数低下時に作動するアラームも鳴らなかった。
 投与前の確認を2人で行わなかった理由について、看護師は「(同じ夜勤の同僚に)点滴に注入するのが初めてだと知られたくなかった」と話しているという。
 センターは遺族に謝罪し、第三者機関「医療事故調査・支援センター」にミスを報告するとともに、県警に相談した。宮下 光世院長は「死因は特定できていないが、過剰投与と関連があるとみている。心からおわび申し上げたい」と述べた。
 医療事故の被害者らでつくる市民団体「医療の良心を守る市民の会」(事務局・千葉県浦安市)の永井裕之代表は「看護師がミスを起こした背景を明らかにし、病院の体制の見直しにつなげる必要がある。一個人の責任にしてはならない」と指摘した。
 
トクホ、初の表示許可取り消し…「報告怠り悪質性高い」 indexへ

 消費者庁は23日、日本サプリメント(大阪)が販売している特定保健用食品(トクホ)のサプリメント「ペプチドエースつぶタイプ」など6点が、関与成分の含有量が必要な量を満たしていないなどとして、表示許可を取り消した。
 取り消しは1991年に制度が始まって以降、初めて。
 同庁によると、商品にはカツオ節由来の関与成分が1日摂取目安量で5 ミリ・グラム含まれるとして、「血圧が高めの方に適した食品」と表示していた。しかし同社が自主検査したところ、5ミリ・グラムに満たないことが2014 年3月に判明。「糖の吸収をおだやかにする」と表示した別の商品では、関与成分が含まれていないことが分かり、合わせて今月15日に同庁に報告していた。 同庁は「2年以上報告を怠り、悪質性が高い」としており、異例の取り消しに踏み切った。
 
群大病院「組織的責任」認める…手術死問題で遺族に説明、補償意向も indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、病院側が組織としての過失責任を認める意向を一部の遺族に伝えていることがわかった。
 病院は責任を認めた上で必要な補償を行う方針だ。
 遺族側の弁護団によると、医療事故を巡り、病院側が、医師が行った医療行為の適否だけでなく、組織自体の過失責任を認めるのは異例という。
 群馬大病院は今年7月に調査報告書が完成したのを受け、死亡した50人の遺族に調査結果を個別に説明しており、近く終了する。
 弁護団によると、代理人を務める7遺族への個別説明に際し、「執刀医 らの医療行為、診療科長(教授)の監督行為、病院の構造・組織の不備」をいずれも問題として病院組織の責任を認めるか尋ねた。これに対し田村遵一病院長ら は「指摘の通り。病院の管理体制が悪かった」などと組織の責任を認め、補償する考えを伝えた。執刀医や教授の今後の対応にかかわらず、病院としては補償を 行う方針。
 2004年に発覚した東京医大の心臓手術死問題など、病院が問題を認めた過去の事例では、医師の医療行為を不適切として補償するのが一般的で、組織の過失責任を認めた例は極めて珍しいという。
 弁護団の梶浦明裕事務局長は「組織の問題が被害を生み出したという実態と、再発防止を望む遺族の気持ちに即した解決につながる第一歩」と話し、今後は、「執刀医や教授が真実を語るかどうかで、行政処分の要望や刑事告訴などの対応を検討する」としている。
 
東大、医学・生命科学系の論文22本に不正疑い…告発受け、本格調査へ indexへ

 東京大は20日、医学・生命科学系の六つの研究グループが発表した22の研究論文について、不正の疑いがあるとして、本格的な調査を始めると発表した。
 学外の有識者を交えた調査委員会を今後30日以内に設置し、150日以内に不正の有無を判断する。
 東大によると、8月17日と9月1日の2回に分けて、不正を告発する匿名の文書が郵送されてきた。同様の告発文は関連学会や文部科学省のほか、読売新聞などにも届いている。
 東大や告発文などによると、調査対象となるのは、英科学誌ネイチャー などに掲載された2003~16年の論文。医学部や分子細胞生物学研究所などに所属する6人の教授が関わっている。論文のグラフに、不自然に加工されたと みられる箇所があることや、データの存在が疑われる部分があることなどが指摘されている。
 
遺伝情報で治療法検索…患者10万人分をデータベース化へ indexへ

 患者の遺伝情報から関連する病気や治療法を一括で調べられるデータベースの構築を国立研究開発法人・日本医療研究開発機構が始めた。
 日本人の遺伝情報の研究成果を検索できるように一つにまとめ、インターネットで公開する。遺伝情報を基に最適な治療を行う未来のゲノム医療の基盤になると期待されている。
 遺伝情報検索データベースとして来年度に試作版を作り、2018年度からの運用を目指す。予算は今年度から5年間で約80億円。
 現在、遺伝情報で薬の効果を予測したり、病名を割り出したりすること が一部できるようになってきている。米国では約17万件の遺伝情報を収めたデータベースが運用され、日本の医師や研究者も参考にしている。ただし遺伝情報 には人種差もあり、日本人のデータベースが求められている。
 日本人の遺伝情報と病気の関連は、大学や研究所が数十万人分の情報を基に数多くの論文を発表しているが、遺伝情報に関する研究成果は未整理のまま分散しており、診断や治療に使える状態になっていない。
 計画では、研究成果をがん、難病などの専門家が評価。それを基に匿名の患者10万人分の遺伝情報などを入力。通常の配列と異なる遺伝子変異の名前で検索をかけると、考えられる病名や治療法が見られるようにする。
 役立つ情報を優先して表示できるよう人工知能の利用も検討している。
 
女性2人の検体を取り違え、それぞれに誤手術 indexへ

 山形県は16日、県立中央病院(山形市)で、女性患者2人の検体を取り違えて診断し、40歳代の女性に誤って乳がんの手術を施行し、80歳代の女性には本来すべき乳がんの手術をしていなかったことを明らかにした。
 県によると、6月下旬の同じ日、40歳代と80歳代の女性に対し、針 を刺して細胞組織を採取する「針生検」を実施。この2人の検体を取り違えて、40歳代の女性は転移の恐れが少ない「葉状腫瘍」だったのに、乳がんと診断し た。その結果、乳房温存手術を実施し、本来は必要のないリンパ節摘出を施した。80歳代女性は、乳がんだったのに葉状腫瘍と診断し、乳腺部分切除手術を 行った。
 
医療費、過去最高の41・5兆円…高齢化や薬剤費急増で indexへ

 厚生労働省は13日、2015年度の医療費(概算)の総額が、前年度比約1・5兆円増の41・5兆円になったと発表した。
 総額が40兆円を突破したのは初めて。高齢化の進展や高額薬剤の使用頻度が増えたことを受け、現在の調査方法となった01年度以降、13年連続で過去最高を更新した。
 概算の医療費は、医療機関からの診療報酬請求に基づく集計の速報値で、労災や全額自己負担した医療費は含んでいない。
 伸び率は前年度比3・8%増で、4年ぶりに3%台の高水準となった。内訳を見ると、「入院」が16・4兆円で全体の4割を占め、「通院」14・2兆円、「調剤」7・9兆円となった。
 
医療機関HP、「100%安全」文言はダメ!…厚労省が虚偽・誇大表示監視へ indexへ

 美容分野などの医療機関がつくるホームページ(HP)をきっかけにした健康被害や契約トラブルを防ぐため、厚生労働省は2017年度、虚偽や誇大な表示があるHPに対する取り締まりを強化する。
 「100%安全」の文言や、化粧で美容整形の効果を強調した画像などを監視し、修正を求める。HPの適正化を徹底させるため、医療法を改正し、罰則規定の設置も検討する。
 美容整形や脂肪吸引、脱毛などのHPでは、施術の安全性や効果を偽っ たり誇張したりして表示するケースが少なくない。全国の消費生活センターなどに寄せられる相談は、年間2000件以上。同省は、指針で医療機関に掲載の自 粛を求めてきたが、十分に守られてこなかった。厚労省は、監視業務に詳しい民間の事業者に監視を委託。虚偽や誇大な表示をするHPや、閲覧者を別のHPに 誘導するバナー広告を事業者が見つけた場合、自治体に通報し、自治体は医療機関に対し修正を要請する。
 
厚労省、化血研に抜き打ち検査 indexへ

 一般財団法人・化学及(および)血清療法研究所(化血研、熊本市)による血液製剤の不正製造問題で、厚生労働省は6、7の両日、化血研に抜き打ちで立ち入り検査に入った。
 血液製剤とワクチンの製造方法や法令順守体制の見直し状況などを確認したとみられる。
 
不正疑惑の精神指定医「深刻なモラルの欠如」…診療報酬優遇制度も背景に indexへ

 100人規模の精神科医が「精神保健指定医」の資格を不正に取得した疑いが浮上した異例の事態。背景には何があったのか。
 厚労省は、指定医が資格を取得する際、多様な症例をリポートにして提 出するよう義務付けている。診療の妥当性を判断するために、リポートは、1週間に4日以上診療した患者に限定され、同じ患者の同一期間のものは認めていな い。不正がないよう、指導医には診療内容の指導やリポートへの署名も求めている。
 同省が今回問題視しているのは、診療に十分関わっていないのに、リ ポートを作成した疑いがある医師が多数いたことだ。所属する医師に不正取得の疑いが出ている中部地方の大学病院の精神科教授は、「同一の症例がないかを チェックすべきだったのに管理が甘かった。申し訳ない」と話す。
 同病院では、実際には指導していない指導医がリポートに署名することもあったといい、医師が本当に診療に当たったかを確認する態勢になかった。厚労省幹部は「指導医には、厳正なチェックを求めており、確認が不徹底だったと言わざるを得ない」と憤る。
 こうした背景には、精神科医にとって、指定医にしかできない業務が多くあるため、なるべく早く資格を取得したいという事情もあるという。
 また、病院側にとっては、強制入院を伴う診療態勢を組むには一定数の 指定医が必要となるほか、診療報酬の優遇措置もあり、指定医は多いに越したことはない。例えば通院患者の初診で一定要件を満たせば、一般の精神科医より 1・5倍高い診療報酬が設定され、指定医がいる病院へ報酬加算措置もあるため、経営面のメリットとなっている。
 今回の問題について、患者支援活動を続けるNPO法人「地域精神保健福祉機構」の島田豊彰専務理事は、「不正に資格を取得した指定医が、強制入院や身体拘束に関わっていたとすれば重大な問題だ。指定医の制度を一から見直すべきだ」と語る。
 地域医療への影響も懸念される。不正に関与した医師が多ければ、措置入院や医療保護入院の受け入れができなくなる病院が出てくる恐れがある。
 首都圏の自治体の担当者は、「地域の精神科救急の体制にも影響が出る可能性があり、心配だ」と話す。
 精神医療の現状に詳しい藤本哲也・中央大名誉教授は、「指定医は人権の制限に責任を持つ立場だけに、不正に資格を得たのであれば、深刻なモラルの欠如と言わざるを得ない。二度と起きないよう、審査を適切に行う態勢を作らなければいけない」と指摘している。
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 【精神保健指定医】  重い精神障害で自傷他害の恐れがある患者を強制的に入院させる「措置入院」や入院解除、家族の同意だけで入院させる「医療保護入院」を判断できる精神科 医。精神保健福祉法に基づいて厚生労働相から指定を受ける。人権を制限する難しい判断が求められるため、指定には、精神科医として3年以上の実務経験に加 え、資格を持つ指導医のもとで統合失調症や依存症、認知症など8症例以上を診療したリポートの提出が必要となる。指定医は昨年7月時点で全国に1万 4793人いる。
 
「精神指定医」100人不正疑い、「相模原」判断医師も…診療歴偽り取得か indexへ

 全国の複数の医療機関の精神科医が、強制入院などの判断を行う「精神保健指定医」の資格を不正に取得していた疑いのあることが、厚生労働省の調査でわかった。
 不正取得が疑われる医師とその指導医は計100人前後に上り、神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件で、逮捕された容疑者の強制入院措置に関わった医師も含まれているという。
 同省は、各医師の弁明を聞く聴聞の手続きを進めており、早ければ月内にも、処分の是非を決める同省の審議会部会を開く。
 指定医を巡っては、昨年4月、聖マリアンナ医大病院(川崎市)で、11人が十分に治療に関わっていない患者を診療したと偽るなどして、資格を不正取得して いたことが発覚。取得時に提出する症例リポートについて、複数の医師が同じ患者のものを使っていたが、厚労省の審査では見抜けなかった。このため、同省が 過去5年間に申請された医師のリポートを調べていた。
 関係者によると、調査の結果、同省が禁じている同じ患者の同一期間の症状に関するリポートが多数見つかり、同省で診療記録を取り寄せて精査したところ、治療に十分に関わった痕跡がないケースが数十件あった。指導医は管理監督を怠っていた疑いがある。
 不正取得が疑われるのは、相模原市の殺傷事件で逮捕された植松 聖容疑者(26)の強制入院措置に関わった医師や、聖マリアンナ医大病院に在籍していた医師のほか、中国や中部地方にある病院などの医師がおり、不正は全国に広がっているとみられる。
 読売新聞の取材に応じた中部地方の大学病院の精神科教授は、不正取得が疑われる事態となったことについて、「日頃から複数の医師で患者の診療に当たっており、指導医も複数いるため、同じ症例のリポートを提出したことに気づかなかった。管理が甘かった」と話している。
 植松容疑者の措置入院については、厚労省の有識者検討会で妥当性を確認したところ、特に問題はないとの見解が多数を占めている。
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 精神保健指定医  精神保健福祉法に基づいて厚生労働相の指定を受け、重い精神障害で他害などの恐れがある患者を強制的に入院させる「措置入院」や入院解除、家族の同意だ けで入院させる「医療保護入院」を判断できる精神科医。人権を制限する難しい判断が求められるため、指定には、精神科医として3年以上の実務経験に加え、 資格を持つ指導医のもとで統合失調症や依存症、認知症などの患者8例以上を診療したリポートの提出が必要となる。指定医は昨年7月時点で全国に1万 4793人いる。
 
22の病気、たばこ原因が「確実」…がん・脳卒中・糖尿病など indexへ

 厚生労働省の有識者検討会(座長=祖父江友孝・大阪大学教授)は、がんなど22種類の病気の発症や病気による死亡の要因として喫煙が「確実」との判定結果をまとめた。
 他人のたばこの煙を吸う受動喫煙でも7種類の病気で因果関係があるのは確実とした。国の検討会が日本人への影響を総合的に判定したのは初。31日に最新情報と対策を盛り込んだ報告書(たばこ白書)案を公表する。
 厚労省は報告書案を踏まえ、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けたたばこ対策を推進したい考え。
 報告書案では、国内外の喫煙と健康に関する論文約1600件を分析。喫煙との関係の度合いを病気ごとに4段階で判定した。肺や 膵臓など10種のがんのほか、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などと喫煙の関係について、最高の「推定する証拠が十分(確実)」と評価した。認知症や関節リウマチとの関係は「確実」に次ぐ「可能性がある」とした。
 受動喫煙について、子供のぜんそくや乳幼児突然死症候群との関係は確実と評価した。肺がんへの影響は、国立がん研究センターが行った研究結果を採用。家庭での受動喫煙がある人は、ない人に比べ肺がんになるリスクが1・3倍高まり、因果関係は確実とした。
 今後の喫煙対策について報告書案は、受動喫煙を防ぐため「喫煙室を設置せず屋内の100%禁煙化」を目指すように訴えた。このほか、たばこ税の引き上げ、たばこの広告の禁止など総合的な対策を求めた。
 
医療事故遺族を「遺賊」…医療安全学会代議員が講演 indexへ

 医療事故の遺族を「遺賊」と表現した学会講演が波紋を呼んでいる。参加者らの指摘を受けた日本医療安全学会は、「発言は不適切」とする声明を学会のサイトに公開した。こうした表現について、遺族らは「医療事故被害者への偏見につながる」と懸念している。
 関係者によると、問題の発言があったのは、同学会が今年3月に東京都内で開いた学術集会の講演。登壇した男性は「遺賊が求めているのは金と、医師・看護師への処罰であって、原因究明や再発防止は関係ない」などと話し、スライドにも同様の表現があったという。
 学会、「不適切であり、容認しない」と声明文をサイトに掲載
 「賊」は犯罪者を思わせる表現だとして、複数の参加者が発言内容を問 題視。指摘を受けた会員有志が今月、対応を求める文書を同学会の理事長に提出した。学会は理事会で協議し、発言に対し、「社会へ貢献する民主的な良識の学 術団体としては不適切であり、容認しない」とする声明文を26日、サイトに掲載した。
 発言したとされる男性は取材に対し、「いわゆるモンスターペイシェント(理不尽な要求を繰り返す患者)を指したもので、現実にそういう人はいる。不適切な発言とは思っていない」と話した。学会のサイトによると、男性は代議員として名を連ねている。
 医療事故の遺族で、患者と医療者の対話を促すNPO法人「架け橋」副 理事長の川田綾子さんは講演の場に居合わせたといい、「医療事故の遺族を面白おかしく表現した言葉に場が笑いに包まれ、ショックでいたたまれなかった。学 術的な場で使われる表現として疑問に思う」と話している。
 
阪大病院も裏口座5000万円…懇親会費など indexへ

 大阪大医学部付属病院(大阪府吹田市)の高度救命救急センターなど で、大阪市や大阪府が救急医療への協力費として支払った計約5000万円が大学会計ではなく、医師個人名義の「裏口座」にプールされていたことがわかっ た。同センターでは懇親会費などに流用され、運営する国立大学法人・大阪大学は25日、不適切な支出と判断した約2440万円の返金を同センターに求め た。
 病院関係者によると、同センターの医師が、救急救命士らを対象とした 実習を行った場合に大阪市から支払われる協力金などを、センター長名義の個人口座に入金。大学側が調査対象とした2006年からの10年間の総額は約 4340万円に上っていた。医学書の購入費などで支出された約1900万円は運営経費と認定。しかし、残り約2440万円は懇親会費などに使われ、不適切 と判断し、返金させることにした。
 同病院の総合周産期母子医療センターでも医師の個人名義の口座が2件あり、府から支払われた協力金計約600万円が入金されていたが、使途に問題はないとして返金は求めない。
 大阪府内では今年3月以降、府立急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)や府立母子保健総合医療センター(和泉市)、近畿大医学部付属病院(大阪狭山市)で、自治体補助金などを裏口座にプールする不適切会計が発覚している。
 
周産期母子センター104施設中25施設、精神疾患の妊婦に未対応…厚労省調査 indexへ

 特別な管理が必要なハイリスクの出産に対応するため、各都道府県が指 定した全国の総合周産期母子医療センター104施設中25施設が、精神疾患を抱えた妊産婦に対応できていないことが、厚生労働省のアンケートでわかった。 同省は24日、同センターの指定要件にこうした妊産婦への対応を盛り込むことを決めた。アンケートは昨年4月に行い、99施設が回答した。
 同省によると、妊婦全体の約2・5%がうつ病やパニック障害などの精 神疾患を患っており、こうした精神疾患は早産や低体重出産になるリスクを高めるという。また近年、(1)東京23区での妊産婦の死因は病死より自殺の割合 が高い(2)出産前後の時期に母親がうつ状態であることが、生まれた子供の発達障害と関連がある――などの新たな研究成果も出ている。
 このため同省は、来春までに策定する医療計画作成指針に、妊産婦の心のケアに対応する方針を明記し、各都道府県は2018年度に始まる次期医療計画(6年間)に反映させる。
 総合周産期母子医療センターは母親に合併症があるなど、リスクの高い出産に対応する施設で、NICU(新生児集中治療室)を備えることなどが指定要件になっている。
 
健康被害や契約トラブル相次ぎ…医療機関HP、法規制の方針 indexへ

 美容整形などの医療機関のホームページ(HP)を巡り、健康被害や契約トラブルなどが相次いでいることを受け、厚生労働省は3日、HP上の虚偽や誇大表現について罰則も視野に法規制の対象とする方針を決めた。
 来年の通常国会への医療法改正案の提出を目指す。
 有識者検討会では、規制対象を美容医療に絞るかどうかを議論したが、がん治療などの自由診療のHPでも問題が多いとの意見があり、すべての医療機関を対象にすることが決まった。
 
旧第一、第二外科教授が対立していた群馬大学…外科学講座を統合へ indexへ

 群馬大学は2日、二つに分かれていた医学系研究科の外科学講座を来年4月に一本化すると発表した。
 昨年4月に旧第一、第二に分かれていた病院の診療科が統合された後 も、講座は分立したままで「統合の妨げになる」と問題視されていた。群馬大では、旧帝大出身の旧第一外科教授と群馬大出身の旧第二外科教授が手術などで張 り合い、同種の診療を二重に行う非効率が続いていた。
 
群大手術死で9人処分、執刀医は懲戒解雇相当 indexへ

 病院で手術死が続いた群馬大学の平塚浩士学長は2日、東京都内で記者会見し、旧第二外科元助教(昨年3月退職)を懲戒解雇相当、同科教授を諭旨解雇、病院の前院長と元院長を減給相当と、計4人を懲戒処分したと発表した。
 旧第一外科教授ら5人は厳重注意などの処分となった。
 群馬大は処分対象者の氏名を公表していないが、読売新聞の調べでは、懲戒処分されたのは、執刀医の 須納瀬豊・元助教、その上司の竹吉泉教授、当時の病院トップの野島美久・前病院長と石川治・元病院長。処分は先月29日付。竹吉教授は同日付で解雇された。
 須納瀬元助教は退職金の支払いを保留されており、懲戒処分が決まった ため支払われない。処分理由は、カルテ記載や患者への説明が不十分だった点や、大学の信頼を失墜させたことなどが挙げられた。竹吉教授は、管理責任や論文 への不適切記載などを問われたが、懲戒解雇より1段下の処分で退職金は7割支給される。
 野島前病院長と石川元病院長は、当時大学理事だったため就業規則が適用されず、懲戒相当の減給分(役員本給月額10分の1の3か月分)を自主的に返納する。
 旧第一外科教授ら5人は懲戒に至らず、厳重注意や口頭による注意となった。
 
群大病院の医師、問題意識なく執刀…収益優先で手術数競う indexへ

 1年近い検証作業を経て、調査結果がまとめられた群馬大学病院の手術死問題。一連の調査からは、一つの診療科で顕在化した問題の根本に、質の低い医療が繰り返されるのを許した病院組織のひずみがあることが浮き彫りになった。
 ■「死亡防げた」
 「適切な対応をしていれば、その後の死亡の続発は防げた可能性がある」
 調査を担った第三者委員会は、2009年度1年で患者8人の死亡が集中した旧第二外科や病院の対応を問題視した。担当したのは同じ執刀医だった。
 執刀医は、上司である教授がその職に就いた翌年の07年4月、群馬大病院に赴任した。先輩医師が別の病院に移った09年春から肝胆 膵
 すい
 (肝臓、胆道、膵臓)手術を主導するようになり、死亡が集中した。同年度の死亡数は、着任当初2年間の年間死亡数の約2倍だった。
 「重症の患者であり、術後の合併症による死亡で、やむを得ない」
 調査によると、執刀医に問題の認識はなかった。手術が一時中断されたこともあったが、有効な改善策もなく再開。死亡が集中した翌年度には、高度な技術が必要な 腹腔
 ふくくう
 鏡手術を導入した。その後、14年までに開腹も含め少なくとも15人の死亡が相次いだ。
 ■最重要課題
 群馬大病院は、国立大の法人化で自立した経営が求められるようになってから、収益のため手術数増が最重要課題となった。100床当たりの手術数は10年度、全国の国立大病院中1位。11年度は3位、12~14年度は2位と上位を占めた。
 特に旧第二外科の肝胆膵分野は、医師が1~2人と不足状態だったにもかかわらず手術数を増やした。旧第一外科でも同じ分野の手術を手がけており、3~6人の医師が診療していたが両科が連携することはなく、競い合うように同規模の手術数をこなしていた。
 肝胆膵外科の専門家は「手術だけでなく術後の管理や突発的な出来事に対応することも考えると10人は必要ではないか」と驚く。こうした旧第二外科の状況について、調査は「著しく許容量の限界に近かった」と問題視した。
 ■カルテにうそ
 旧第二外科の診療を巡っては、虚偽とみられる記録も見つかった。
 旧第二外科の教授は記録上、多くの手術に名前が記載されていたが、 実際は参加していなかったこともあった。教授は12年、日本肝胆膵外科学会が高い手術実績を持つ医師として認定する高度技能指導医の資格を専門外であるに もかかわらず、取得していたが、資格に見合う技量があったか疑問視されている。
 腹腔鏡手術を導入した10年から1年間の手術成績をまとめた学術論文では、実際より死亡数を少なく発表していた。
 不正確なカルテ記載も数多く見つかっている。
 調査では、死因究明のために解剖を求めた遺族が執刀医に「こういう場合は解剖しない」などと断られたが、カルテには遺族が拒否したかのような記載があったことも明らかになった。
 第三者委の聞き取り対象外だった遺族の男性も取材に対し「実際にはされた覚えのない病状の説明がカルテ上ではされたことになっており、不信感を持った」と話した。
 
群大、患者の安全軽視…手術死続発を放置 indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、第三者による調査委員会 (委員長=上田裕一・奈良県総合医療センター総長)は30日、検証結果と提言をまとめた報告書を同大学に提出した。調査委は同日の記者会見で、安全で質の 高い医療を行う体制とは言い難い中で、高度な医療を導入し、結果として続発する死亡例が長年、見過ごされたと総括した。調査委は1年後、改善状況を確認 し、結果を公表する。
 調査委は病院の診療について「患者中心の医療とはかけ離れていた」と厳しく指摘した。報告書によると、同病院は手術数拡大を方針として掲げ、件数を積極的に増やした。住民には高度な医療を担う「最後の 砦」と認識され、多くの難しい症例が送り込まれていた。
 しかし、旧態依然とした大学病院の組織風土が根強く残り、肝胆 膵外科手術は、旧第一、第二外科の両方で実施。「限りある医療資源が分散し、患者の安全が損なわれやすい状況だった」と指摘された。
 旧第二外科では手術法の決定から手術、術後管理を実質的に、1人の執刀医が担当。過重な勤務状況の中、2009年度、旧第二外科で8人が相次いで死亡。 それでも執刀医は、手術の合併症による病状悪化を「予期された事象」と捉え、病院側に伝えなかった。上司の診療科長の教授の指示で、一時的に手術を休止し たこともあったが、抜本的な対策は取らなかった。翌年には高難度の 腹腔鏡手術を導入し、死亡例が重なった。
 報告書では、医師の倫理を問われる問題にも言及した。上司の教授は、 実際には立ち会っていない多くの肝胆膵手術の記録に執刀医として名前を残し、虚偽の実績をもとに12年、日本肝胆膵外科学会の「高度技能指導医」の認定を 取得。認定は、周りの医療機関からの患者紹介に影響を与えた可能性があるとされた。
 調査委は再発防止に向け、複数の医師によるチーム管理体制の導入や、手術適応の厳格化などで、どの患者にも均質な医療を提供できる組織づくりを提言。医療事故に関する状況や取り組みについて議論する「外部監査委員会」を設け、第三者の委員に遺族を加えるよう提案した。
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 ◆ 群馬大学病院の手術死問題  2014年11月、旧第二外科で肝臓の腹腔鏡手術を受けた患者8人の死亡が発覚した。その後、肝臓や膵臓の開腹手術でも患者の死亡が相次いでいることが わかった。15年8月から第三者だけで構成される調査委員会が本格的な調査を始め、死亡例の医学的な検証は、委託先の日本外科学会が実施。調査委は関係者 の聞き取りなどを行った。
 
群大病院、8人死亡後も手術増…執刀医1人が許容量超え indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、旧第二外科では1人の執刀医が高難度の肝胆 膵外科手術を担う手薄な体制の下、術後死亡が相次いでいたにもかかわらず、手術を強引に増やしていたことが、第三者調査委員会の調査で明らかになった。
 同分野の手術を行う旧第一外科との「競争」を意識する中で手術件数が許容量を超え、医療の質が著しく低下したと指摘した。
 調査委の報告書は30日、公表される。調査委は昨年8月以降、関係者への聞き取りなど、会議を35回開催。死亡症例の検証は委託を受けた日本外科学会が行った。
 調査によると、1年間に8人の死亡が相次いだ2009年度以降、実質的に1人の執刀医が術式決定から手術、術後管理を行っていた。過重勤務に陥った結果、診療録の記載を怠り、合併症への対応の遅れが常態化した。しかし、上司の教授は有効な負担軽減策をとらなかった。
 こうした中、10年末、新たに 腹腔鏡手術を導入。短期間に2人の患者が死亡した際も教授は対処せず、その後も患者死亡が相次いだ。
 旧第一外科も同種の診療を行っていたが、症例の共有や連携はせず、結果として問題の発覚が遅れた。