カルテ情報。26%、同意なく外部へ 全国医療機関厚労省が調査 |
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26%の医療機関が患者の同意を取らずに外部からの問い合わせに応じていることが厚生労働省の全国調査でわかった。情報の提供先を具体的に警察や保険会社に限っても、同意を取らない医療機関が目立った。カルテ情報の取り扱いについて文書で規則を定めているのは13%だけで、個人情報保護について対応の遅れが浮き彫りになった。
同省は、個人情報保護法案成立後、医療情報の取り扱いについての解釈を具体的に指針で定める方針。調査は指針作りに備えるため、研究班(代表・開原成允灯台名誉教授)が昨年11月に実施。全国4500の病院や診療所などに質問紙を送り、521件の回答を得た。
「他の医療機関への紹介」など14項目の利用方法を挙げて、過去3年間の提供の有無や患者の同意を取ったかを聞いた。外部への提供は、診療報酬の請求事務が86%(450機関)と多く、研究への利用40%(206機関)、警察51%(264機関)、保険会社43%(224機関)など、カルテ情報が幅広く外部に提供されていた。
患者の同意を取った割合は、提供したと回答した医療機関のうち、診療報酬9%、研究16%、警察20%、保険会社68%。
「14項目とも、特に同意は取っていない」と答えた医療機関は、全体の26%の134機関。
カルテ取り扱いなどを定めた規則を持っていない医療機関は83%、作成中が4%。個人情報が外部に漏れたり破壊されたりしないように安全管理するための方法を文書で定めている医療機関は10%で、「ない」81%、「作成中」8%などだった。
参考規制値の約10倍 盗難防止装置の電磁波 市民団体調査 |
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盗難防止のために図書館などの出入り口に設けてある感知装置から出る電磁波が、人の健康にも影響を及ぼしかねない−−とする調査結果を、市民グループ「電磁波プロジェクト」(上田昌文代表)がまとめ、12日、「電磁波問題国際フォーラム」(東京・江戸東京博物館)で発表した。
同グループは埼玉県内の大学の図書館で、測定器を使って防止装置周辺の磁界を調べた。装置の電磁波の周波数は様々だが、この図書館の場合は14キロヘルツ。世界保健機関(WHO)の協力機関の国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は14キロヘルツの参考規制値(一般への暴露参考レベル)を6.25マイクロテスラ以下としている。
調査の結果、利用者が出入りするゲート(幅約1メートル)の1メートル手前で21マイクロテスラ、ゲート内では78マイクロテスラと、参考規制値の10倍を超えた。
明確な健康影響はなくこれらの数値がすぐに対策が必要なレベルかどうかは何とも言えないが、上田代表は「一般にシステムのそばで長時間仕事をする人の中には、頭痛など身体の不調を訴える人もいる。早急な健康影響調査が必要だ」と話す。
総務省電波環境課は「経済産業省などと協カして各機種の実態を調査し、盗難防止装置で使う電磁波の規格作りを進めたい」と話している。
大動脈内バルーン(IAB)カテーテルによる胸部大動脈損傷について |
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IABカテーテルを使用していた患者が胸部大動脈損傷により死亡したとの報告を受け、調査を行ってきた。
基本的にすべてのIABカテーテルについて、同様の有害事象が発生するおそれがあると考えられるため、今般、使用上の注意改訂を指示し、これらの不具合について一層の注意喚起を図った。
詳細については、厚生労働省のホームページまで。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/04/h0425-1a.html
1995年からヘリコバクター・ピロリ(H.ピロリ菌)陽性の従業員に除菌療法を行っている西濃運輸で、7年後の医療費が3分の1以下にまで節減されたことが明らかになった。総医療費のおよそ半分を占めていた消化性潰瘍の治療費が、除菌後は20分の1にまで減ったため。一企業という集団内での除菌に、医療費を減らす効果が実証されたのは初めてで、同社の取り組みは医療費の増加に悩む他の健康保険組合や自治体にも参考になりそうだ。大垣市民病院消化器科の曽根康博氏らが、4月26日のシンポジウム3「Hp除菌療法−保険適用後の問題点」で報告した。
西濃運輸の企業内診療所、西濃健保健康管理センターが、従業員の“集団除菌”に踏み切ったのは1995年のこと。1990年ごろから消化性潰瘍の患者が増え始め、1994年には消化性潰瘍にかかる医療費が1720万円と、ほかの疾患すべてを合わせた医療費(1460万円)を凌駕するようになったためだ。同センターは健保の全組合員2万5000人中8400人を診療対象としており、ほとんどが男性。平均年齢は約40歳で、「潰瘍撲滅」は急務の課題だった。
そこで曽根氏らは、35歳以上の従業員に、H.ピロリ菌感染の有無を調べる尿素呼気試験を実施。要精検となった人を中心に内視鏡検査を行い、迅速ウレアーゼ試験で菌が見つかった消化性潰瘍患者には全員、除菌療法を受けてもらった。除菌療法を受けた430人中、女性は7人だけ。平均年齢は46.5歳で、7割が胃潰瘍だった。除菌率は中断者も含めたintent-to
treat(ITT)解析で74.9%。
その結果、経過観察を行えた359人中311人(86.6%)で、抗潰瘍薬を中止できたことが判明。追跡期間中(平均1107日)の再発率も、除菌が成功した人では3.1%と低かった。消化性潰瘍にかかっていた医療費は、1995年の2230万円をピークに年々減り始め、2001年には120万円と、ピーク時のおよそ20分の1にまで下がった。この効果で、総医療費もピーク時(1995年)の4160万円から、2001年は1290万円と、3分の1以下になったという。
ただし、今回検討した医療費は健康保険で支払われたものだけで、スクリーニングにかかった費用や、2000年10月以前(保険適用前)の除菌療法にかかった費用は含まれていない。また、ここまでドラスティックな差が出たのは、組合員の大半が男性で、年齢的にも「潰瘍好発者」が多いためでもある。とはいえ、「企業という一つの閉鎖集団で、除菌の医療費節減効果を直接証明し得た」(曽根氏)意義は大きく、医療費節減という観点からも、改めて「H.ピロリ菌検診」が脚光を浴びそうだ。
■訂正■
3段落目「35歳以上の従業員に、H.ピロリ菌感染の有無を調べる迅速ウレアーゼ試験」とあるのは「35歳以上の従業員に、H.ピロリ菌感染の有無を調べる尿素呼気試験」の、「要精検となった人を中心に内視鏡検査を行い、菌が見つかった」とあるのは「要精検となった人を中心に内視鏡検査を行い、迅速ウレアーゼ試験で菌が見つかった」の誤りでした。また、5段落目「迅速ウレアーゼ試験の費用」は「スクリーニングにかかった費用」が正しい表現でした。訂正します。
器具会社を捜査へ 人工呼吸器の2乳幼児死亡 警視庁、業過失致死容疑で |
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東京都立豊島病院(板橋区)で00年11月と01年3月、人工呼吸中の乳児2人が死亡した事故で、警視庁は近く、人工呼吸に使われた2種類の器具の製造会社と輸入会社を業務上過失致死容疑で家宅捜索する。関係資料を押収して分析し、器具と死亡との関連を調べる。
捜索を受けるのは、文京区の医療器具製造会社アコマ医科工業と、世田谷区の医療器具輸入販売会社のタイコヘルスケアジャパン(旧マリンクロットジャパン)で、支店なども含め計約十数カ所が対象になる見込みだ。
最初の事故は00年11月1日にあった。入院中の生後10カ月の男児が人工呼吸中に突然、容体か急変。自分で呼吸ができなくなり、約4時間後に死亡した。男児は、アコマ社製の小児用麻酔器具と、マリン社(当時)か輸入した「気管切開チューブ」を組み合わせたものを装着していた。
2件目は01年3月13日にあった。生後3カ月の男児が、気管切開手術を受けた後、両社の器具を使って人工呼吸を施されていて容体が急変した。呼吸困難になり、3月24日に死亡した。
これまでの調べでは、医師が器具を使う前に呼吸回路が正常に作用するかどうかや、チューブ内の換気が正常に行われていたかどうかなどの確認を怠った疑いがあるとされている。
97年に愛媛大医学部付属病院で、両社の器具を組み合わせて使っていた患者の容体が急変する事故が2件あり、担当した医師が両社に通報していた。アコマ社とマリン社はこの事故当時、両社の器具の接続で事故が起きることを知りながら、薬事法に定められた厚生省(当時)への報告義務を怠っていたとされる。
大倉病院被曝 院長ら2人書類送検 放射線障害防止法違反容疑「安全策が不十分 |
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東京都世田谷区の国立大倉病院(現・国立成育医療センター)で昨年12月、がん治療に使う放射線発生装置の誤照射で作業員1人が被爆した事故で、十分な事故防止措置を尽くさなかったなどとして、警視庁は30日、院長(62)と当時の事務部長(54)を放射線障害防止法(使用基準、記帳義務、教育訓練)違反の疑いで書類送検した。
成城署の調べでは、医療機器卸売会社の社員2人が昨年12月21日、同病院の放射線の管理区域内で医療用放射線発生装置の据え付け作業をしていた際、天井裏にいる下請けの作業員に気づかず、天井に向けてエックス線の照射テストをして被曝させた。
院長ら2人は装置の使用施設の管理者であるにもかかわらず、放射線障害防止に必要な注意事項の掲示や立ち入り制限などの措置をとらなかった疑い。作業員の被曝線量は、一般人の年間線量限度(1ミリシーベルト)の最大200倍に相当する200ミリシーベルト以下だった。
このほかにも、同病院では、装置使用について記載する帳簿の備え付けが義務づけられているにもかかわらず置いていなかった。また、放射線障害防止のための教育や訓練をしていなかったという。
2人死亡の報告 補助循環装置大動脈損傷の恐れ 厚労省が注意喚起 |
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大動脈の中に挿入した風船を拡張・収縮させて心臓の負担を軽くする補助循環装置「大動脈内バルーンカテーテル」を使用された心筋こうそくの患者2人が、胸部大動脈の損傷で死亡したとの報告があり、厚生労働省は25日、安全性情報を出して注意を呼びかけた。厚労省によると、米食品医薬品局では95年以降、5件の死亡報告がある。
厚労省の説明では、死亡した2人はいずれも60代の男女。00年7月と01年2月に愛知県内の製造会社から報告されたため、同社に販売自粛と原因調査を指示。その結果、胸の大動脈内にカテーテルを挿入している間に、何らかの原因でカテーテルにたわみが生じると、風船の拡張・収縮を繰り返すうちに先端が奥へ移動し、大動脈を傷つけた可能性があることがわかったという。
厚労省は、国内の製造会社と輸入販売会社の計5社に対し、このカテーテルが胸部大動脈損傷を起こす可能性があることと、挿入したカテーテルがたわんでいないか確認する必要があることを添付文書の使用上の注意に記載するよう指導した。
医療事故報告1万5000件 特定機能病院「重篤」387例 2月まで2年分 |
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大学病院など高度な医療を担うと認定された全国82の特定機能病院で、00年4月から今年2月までの約2年間に院内の安全管理委員会に報告された医療事故が計1万5千件に上ることが23日、厚生労働省のまとめでわかった。注射液を過量投与したり、酸素ボンベと炭酸ガスボンべを間違えたりした「重篤な事例」が387件あった。医療事故などの同委員会への報告状況が明らかになるのは初めて。
厚労省は82病院に、
▽安全管理委員会の開催回数
▽医療事故件数
▽患者に重い被害が出た「重篤な事例」の件数
▽間違いをしたが患者に悪影響が出なかったか、
▽事前に間違いに気づいた「ニアミス」件数−
について報告を求めた。事故かどうかや「重篤な事例」「二アミス」の判断は病院側に任されている。
厚労省は「件数が多いことは、ミスを積極的に報告し、医療事故防止に真剣に取り組んでいるともいえる」としている。報告された医療事故件数の合計は1万5003件。最多が北里大学病院の2926件で、千件以上がほかに2病院あった。一方、旭川医科大病院、浜松医科大病院がゼロとするなど、事故の認定に病院間で違いがあることをうかがわせた。
「重篤な事例」では、「注射液の過量投与による心肺停止(東京慈恵会医科大病院)や「薬剤の気管への誤注入」(東京大病院)、「筋肉注射すべき薬剤を静脈注射した」(和歌山県立医科大病院)、「異型輸血」(三重大病院)など、薬剤の誤投与が目立った。
また、「手術後、病棟に搬送する途中、誤って酸素ボンベを炭酸ガスボンべに交換した」(兵庫医科大病院)、「左ひざの内側半月版損傷手術で左右を取り違えた」(杏林大病院)などもあった。このほか、体内へのガーゼなどの置き忘れ、ベッドからの転落、トイレでの転倒も複数あった。「ニアミス」件数は18万6529件(一部事故件数も含む)。最多の9197件(大阪市立病院)をはじめ、5千件以上が7病院。最少は288件(日本大学板橋病院)だった。慶応大学病院は483件で、事故件数197件(大阪市立大病院)をはじめ5千件以上が7病院。最少は288件(日本大学板橋病院)だった。慶応大学病院は483件で、事故件数799件より少なかった。
厚労省は安全管理委員会を「月1回程度」開催するよう指導しているが、10回以下が6病院あった。最多が大阪大病院の377回で、次いで東京医科歯科大病院の62回。最も少ないのは京都府立医科大病院の3回で、福島県立医科大病院(4回)、東海大病院、福岡大病院(7回)、北海道大病院、烏取大病院(8回)と続いた。特定機能病院は、00年4月に医療事故などの安全管理委員会への報告が義務づけられたが、国への報告は義務づけられていない。3月に阿部知子氏(社民党)から質問主意書が衆院議長に提出され、厚労省は文部科学省とともに82病院すべてに報告を求めて集計。23日、答弁書を衆院議長に提出した。
院内感染で2人が死亡 群馬の病院セラチア菌確認 |
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群馬県太田市の富士重工業健保組合総合太田病院(461床、新原博之院長)は22日、セラチア菌に院内感染したとみられる男性患者2人が相次いで死亡したと発表した。同じ病棟の患者2人からセラチア菌が碓認されたため、個室に隔離している。「院内感染が拡大する恐れはない」としているが、死亡患者に使った注射針などを廃棄。「感染ルートの解明は難しい」と説明した。同病院によると、死亡したのは、脳神経病棟の2人部屋で同室だった78歳と、48歳のいずれも脳内出血の患者。78歳の患者は14日から高熱を出すなど容体が急変し、15日に肺炎で、48歳の患者は15日容体が悪くなり、16日に敗血症でそれぞれ亡くなった。17日、2人の血液の培養検査でセラチア菌を碓認した。
針治療受けた70歳女性死亡 警視庁、院長聴取へ |
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東京都世田谷区松原1丁目の大久保針灸指圧院で20日、針治療を受けた杉並区内の無職女性(70)が治療後、息苦しさを訴え、死亡していたことが22日、わかった。警視庁は業務上過失致死の疑いもあると見て、院長から事情を聴く。
「安楽死事件」鎮静剤も「致死量」専門チームの立入検査「看護記録に記載」 |
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川崎市の川崎協同病院(堀内静夫院長)で98年11月に筋弛緩剤を投与された男性患者が死亡した「安楽死」事件で、市は22日午後、専門プロジェクトチームによる病院の立ち入り検査をした。その結果、看護記録には、主治医が患者に投与した筋弛緩剤と、その直前に投与した鎮静剤の投与量の記載があり、いずれも「致死量」に達していたことがわかった。主治医が記載したカルテには、薬品名は書いてあるものの、投与量の記載は十分ではない。
立ち入り検査後の記者会見によると、医師がつけたカルテには、98年11月16日の事件当日、「15 30(午後3時半)ファミリーより抜管の希望があり」との記載に続いて「18 03(午後6時3分)抜管した」とある。チューブを抜いた後、患者が苦しんだことをとらえて「努カ呼吸著明」とし、2種類の鎮静剤を注射している。さらに「呼吸状態不良のため」として筋弛緩剤を投与したことが記載されていた。最初の鎮静剤は「10ミリグラム」と書いてあったが、残りの投与量は記載されていなかった。
看護記録ではチューブを抜いた後、まず130ミリグラムの鎮静剤を2回に分けて投与。「その結果効果がないため」、別の種類の鎮静剤20ミリグラムを投与。さらに「効果がない」ため筋弛緩剤12ミリグラムを投与したとある。市によると鎮静剤10から20ミリグラムの使用が通常で、看護記録に記載されていた量が事実とすれば「呼吸停止に至る量」にあたるという。さらに筋弛綬剤についても「この量を使えば、必ず呼吸は止まる」とコメントした。ただし、検査に当たった一人は「看護記録は正確ではない可能性が十分にある」と慎重な見解示した。
血液製剤でC型肝炎 産婦人科医も指摘 70年代後半、代替品紹介 |
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濃縮血液製剤「フィブリノゲン」によるC型肝炎の感染問題で、国内の産婦人科医らが70年代後半に感染の危険性を認識し、リスクを減らす代替え製剤があることを専門誌などで紹介していたことが20日、わかった。
代替製剤は少人数の血液でつくる「クリオ製剤」で、すでに米国では妊産婦の大量出血時の止血治療に使われる例もあった。しかし、感染リスクがどの程度低いかを示すデータがなかったため、国内の治療に採り入れられず、フィブリノゲンを使い続ける結果になった。
フィブリノゲンは64年に承認され、旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)が製造販売を開始。主に産婦人科で大量出血を止めるのに使用された。クリオ製剤の多くは血友病Aの患者に投与された。いずれも血液を固める血中のフィブリノゲン成分を含んでいる。
国内の産婦人科医らがフィブリノゲンの危険性を指摘し始めたのは、米食品医薬品局(FDA)が77年に同じ成分の製剤の製造承認を取り消した直後。弘前大学医療技術短期大学部教授だった永山正剛医師(産婦人科)は78年発行の専門誌で、クリオ製剤にもフィブリノゲン成分が含まれていることに触れ、「肝炎発生防止に、発生率のより低いクリオを使うという方法もある」と紹介した。
フィブリノゲンは数千人以上の血液を集めてつくるため、供血者に一人でもウイルス保有者がいれば全体か汚染される可能性がある。クリオ製剤は1〜2人の血液でつくられることから、永山医師は「クリオ製剤に代替すれば感染リスクが低くなると考えた」という。
こうした指摘は70年代後半、複数の米国論文に登場し、国内の産婦人科医が参考にする英文の教科書にも記載されており、専門家は80年前後には日本の一部の医師にも知られるようになった、とみている。肝炎問題を調査する弁護士グループは「国が別の治療方法を検討せず、フィブリノゲンの使用を認め続けていたことが被害拡大につながった」と主張している。
研修医の給与「助成を」 「副業」禁止、要請へ 厚労省部会中間報告 |
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04年度から義務化される医師免許取得後の臨床研修のあり方を話し合う厚生労働省の医師臨床研修検討部会(部会長=矢崎義雄・国立国際医療センター総長)は、給与など研修医の処遇について「研修に専念できるように、国は経費助成の拡充を図る」などとする中間報告案をまとめた。給与や勤務時間、保険加入など処遇基準となる内容を国が示すことも求めている。これを受けて同省は、2年間の研修期間中のアルバイト診療禁止を研修施設に要請する方針。臨床研修は68年から努力義務として実施されているが、研修医の手当は私立大学病院で平均月10万円に満たず、休日や夜間にアルバイトせざるを得ない問題があった。中間報告案は臨床研修を「労働」と明記していないが、労働者として扱う姿勢を打ち出している。
研修医の処遇について、「国が研修医の処遇基準となる内容を示す」とし、研修医を受け入れる医療機関は▽常勤、非常勤の別▽給与、勤務時間▽時間外勤務、当直に関する規定▽医療保険、労災保険の加入の有無▽医師賠償責任保険の加入の有無、などを公表することを提言している。財源については「施設整備や研修経費の助成の拡充を図るとともに、診療報酬での対応も含めて幅広く検討する」として、国の補助金増額と診療報酬改定で確保する考えを示した。1万5千人前後の研修対象者に、例えば30万円の給与を払うとすると、年に約500億円が必要となる。研修の受け入れについて、研修医の75%が大学病院で受け、出身大学などの医局講座に所属して特定領域しか見られない医師が増えている現状を踏まえて提言。研修施設は定員を設け、全国から幅広く採用する▽医師の養成に熱心な病院が参加できるようにし、地域の施設が連携した研修体制を構築する、としている。
川崎「安楽死」発覚恐れ懲戒解雇せず 院長「処分すべきだった」 |
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川崎市の川崎協同病院で主治医の女性医師が98年11月、気管支ぜんそくで意識不明だった男性患者を筋弛緩剤で死なせた問題で、病院側はこの事件が外部に漏れることを恐れて主治医を懲戒解雇しなかったことがわかった。また、死亡した男性患者は病院と同じ川崎区に住む公害病認定患者(当時58)で、主治医は当時、同病院の呼吸器内科の指導的立場の女性医師だった。
98年当時この事件は院内の一部の管理者しか知らなかったという。当時の院長が口頭で厳重注意しただけで処理されていた。
昨年10月末に、院内の職員の告発で事が再び表面化。堀内静夫院長は「公表するかどうか迷った。公開を遅らせた理由を糾弾される心配があった。正直、出すのが恐ろしかった」と述べた。さらに、主治医に退職するよう促したが、懲戒解雇などの処分をしなかった点についても「処分理由を明確にする必要がある」とし、事件が公になることを恐れたことを認めた。「今にして思えば、懲戒処分にすべきであったと思う」と述べた。
女性医師は現在、横浜市港北区内で診療所を経営している。20日午後、事件発覚後、初めて報道陣の前に姿を現したこの医師は、診療所の前で「今から弁護士に相談に行きます。一切お答えできませんので、よろしくお願いします。ノーコメントです」と話して、車に乗って去った。
一方、神奈川県警は20日、患者のカルテなどを調べたうえで主治医から事情を聴き、殺人か嘱託殺人容疑で調べる方針を決めた。病院から事件概要の届け出を受けた県警は、投写された筋弛緩剤が致死量に達していたかどうかを確認する。主治医や遺族からも事情を聴いて、男性患者の家族に「楽にしてあげたい」と伝えた意図を調べることにしている。
また、川崎市によると、病院は事件発表前日の18日、川崎市健康福祉局を訪れて事件の概要を報告した。同局の医療監視担当者と川崎区保健所関係者が事情を聴いたうえで、より詳しい報告を文書で出すように病院側に求めた。あわせて、県警へも報告することを決めた。
川崎協同病院は20日、一連の経過を説明し謝罪した文書を、診察に訪れた患者らに配った。「安楽死として許容できない行為」とした上で、「信頼回復のために全力を尽くしていく」とした。
将来の医療を大きく変えると期待される再生医療。18日、京都市内で日本再生医療学会の初めての総会が2日間の日程で始まり、その「芽」がいくつも発表された。
学会発表に産業界など注目
再生医療では、軟骨や皮膚などはすでに臨床研究が進んでいる。ヒトの骨髄細胞に含まれる幹細胞には柔軟な性質をもつものが含まれ、骨や軟骨、筋肉などの細胞になる。この性質を利用して国立大阪南病院はひざの関節の治療に、関西医大や山口大では血管再生をめざして心臓病の治療に用いている。皮膚や粘膜の細胞を培養した培養皮膚を商品化する計画も進む。欧米ではすでに実用化しているが、国内でも臨床試験が始まろうとしている。
移植治療一変
広く臨床に使われ始めると心臓病やけが、やけどの治療が一変する。学会では主に動物実験とはいえ、神経難病や糖尿病など多くの病気の治療に道を開くと期待される研究が発表された。
慶応大の岡野栄之教授と島崎琢也助手らはマウス実験で、記憶障害を改善させた。使ったのは胚性肝細胞(ES細胞)という細胞。受精卵から作製するもので、万能細胞とも呼ばれ、臓器や組織に変身できるとみられている。これから神経細胞をつくり、記憶障害マウスの脳に移植した結果、症状が和らいだという。
ほかにも、膵臓や肝臓、目、腸など各種の細胞をES細胞からつくったという発表が続く。さらに、出産後に医療廃棄物として捨てられる胎盤や羊膜を「材料」として使う試みも目立つ。
国立精神・神経センター神経研究所の桜川宣男・前部長らは、胎児を包んでいる羊膜の細胞の中から神経幹細胞を取り出すことに成功した。パーキンソン病などの治療につながる成果だ。
東京大・医科学研究所の高橋恒夫教授らは、胎盤の中に幹細胞とみられる細胞を発見。これを培養して神経細胞をつくったと19日に発表する。
信州大の二階堂敏雄助教授らは羊膜の表面の細胞を糖尿病マウスに移植したら血糖値が下がったという。この細胞を培養してインスリンを分泌させることにも成功した。難病に苦しむ患者達の期待も大きい。
全国脊髄損傷者連合会(本部・東京都)の妻屋明会長(60)は「脊髄損傷の治療にも光明が見えてきた。受精卵を使うという倫理的な問題を乗り越えてもらいたい」と話す。
内閣府によると、この分野への国の研究予算は昨年度だけでも約100億円。京都大・再生医科学研究所など研究拠点も誕生した。
商機狙う企業
産業界も注目する。米国ではベンチャー企業の活動が際立つ。特許もからみ、技術を求めて積極的に買収に動く企業もある。国内でもベンチャー企業が育つ兆しがある。先月半ば、野村証券などが開いた催しにば、延べ2千人が集まつた。
同社の安東俊夫専務は「バイオビジネスの市場規模は現在1兆円。10〜15年後には最大で25倍に膨らむといった見方もある」。ただ、学会で発表された各種の細胞が本物と同じように働くのかは未知数だ。再生医療の「材料」は死体や胎児からも採取する可能性がある。発表の合間に「社会的に議論してコンセンサスを得る必要がある」といった議論もなされた。
ポリオ(小児まひ)の予防接種について、厚生労働省は19日、接種された乳幼児の便などを介して家族らが2次感染する可能性がある「生ワクチン」から、ウイルスを死滅させて有効な成分だけを残した「不活化ワクチン」に変更するかどうか、専門家による審議会で検討することを決めた。
これに関連して坂口力厚労相は同日の閣議後の記者会見で、「個人的には切り替えたい」と、不活化ワクチンに変更したい意向を示した。
東京歯科大学教授他人の論文盗用 原作の医師指摘で認める |
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東京歯科大学・市川総合病院の田辺清男教授(産婦人科)らが、別の医師の論文を盗用していたことが17日わかった。同教授らの論文を掲載した日本医師会雑誌に対し、盗用された医師から指摘があり、同教授も盗用を認めた。
同誌は5月1日号でおことわりを掲載する。問題の論文は、4月1日号に掲載された「喫煙による健康障害と禁煙による効果−妊産婦・胎児・幼児」で、同教授と研究室の助手の共著。
盗用されたのは、山形県新庄市の開業医、三條典男医師の論文「産婦人科領域と喫煙の諸問題」。雑誌「治療」に00年2月に掲載された。論文の構成、表現などが随所で似通っており、特に「妊孕能への影響」という項は、文中に出てくるデータや表現も酷似している。同教授は「言い訳のしようがない。本当に申し訳ない」と話ている。
【診療報酬改定】
厚生労働省、HP上の後発医薬品リストを再修正 |
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厚生労働省は4月15日、ホームページ上の後発医薬品リストの変更内容を追加掲載した。これで2回目のデータ修正。今回は、後発品から先発品への変更が53種類、逆に先発品から後発品が15種類で、計68種類が変更されている。また、一般名の表記も66種類について訂正している。
2002年4月の診療報酬改定において、後発医薬品を含んだ処方せんを発行した場合の処方せん料や後発医薬品の調剤を行った場合の調剤料については、先発医薬品のみの場合よりも高い点数を請求できるようになった。後発医薬品か否かの確認は、ホームページに掲載されているこのデータを基に行うので、病医院や調剤薬局にとっては重要なもの。
厚生労働省による後発医薬品のリストはこちらまで。変更内容については、こちらまで。
横浜市泉区の男性(当時54)が97年、交通事故後に車内で死亡したのは神奈川県警保土ケ谷署員に放置されたためだとして、遺族が県などに約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟に絡み、遺族側は17日、「死因は病死」とした監察医を偽証容疑とうその死体検案書を作成した容疑で横浜地検に告発する方針を決めた。
遺族側によると、監察医は00年、東京地裁で係争中の遺族と共済組合との民事裁判で「死体を解剖した」と証言し、遺族の求めに応じて「死因は病死」とする死体検案書を作成した。
しかし、横浜地裁が選任した鑑定医がこのほど、監察医が地裁に提出した男性の臓器片のDNA型が「妻と実子から推定された型と矛盾した」とする中間報告書を出した。遺族側は監察医が男性を解剖していない可能性があるとしている。
先天性の病気の子供 簡保加入を一律拒否 郵政事業庁 |
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先天性の病気で薬などを飲んでいる子どもに対し、郵政事業庁が、郵便局で取り扱っている簡易保険への加入を一律に拒否していることがわかった。病気の発症をほぼ完全に抑えられるケースも含まれていることから、遺伝学や小児科の専門家からは「医学的な根拠がない」などと批判が出ている。日本医師会は事態を重視し、調査に乗り出す考えだ。
人の遺伝情報の解明が進む中で保険や雇用の場で差別が広がることが懸念されているが、今回の加入拒否は実質的に遺伝情報を利用した差別につながるとの見方もある。加入を拒まれているのは、遺伝子の異常がかかわっているとされる「先天性甲状腺機能低下症」や[フェニルケトン尿症」の子どもたち。旭川医科大の羽田明教授(公衆衛生学)と東北大の松原洋一教授(遺伝病学)らが昨夏、この二つの病気と珍断された子ども105例を対象にアンケートをしたところ、病名を告げて学資保険を含む簡易保険に申し込んだ21例すべてが拒否されていた。
保険は一般に、契約期間中に死亡するリスクなどを根拠に、加入の可否を判断したり、保険料に差をつけたりする。
この二つの病気は、厚生労働省の指導で実施されている「新生児マススクリニング」で、血液を調べることから見つかる。放置すると知的な発達の障害などが起きる恐れがあるが、専門医は「早期発見し、楽や栄養分を調整したミルクを飲むなどすれば、発症はほぼ完全に防げる」と話す。
この二つの病気は、先天性の病気の中でも最もコントロールがしやすいとされる。実際にこれらの病気でも一部の外資系や民間保険会社は加入を認めていた。一方、簡易保険で加入できだのは、羽田教授らの調査では、病名を告知していなかったり、出生前に加入したりした場合だけだった。
同庁簡易保険業務課は「個別の病気の取り扱いについては答えられない」としつつ、「服薬などの治療が続いている方はお断りしている」と継続的な治療が必要な先天的な病気では、すべて加入を拒否していることを事実上認めている。これに対し、日本医師会の澤倫太郎・常任理事は「発症を予防できる子の保険加入を公的機関が排除しているとすれば間題だ。郵政事業庁に詳しく事情を聴きたい」と話している。
羽田教授らは、19日から名古屋市で開かれる日本小児科学会で調査結果を報告する。
新生児マススクリー二ング
早期の発見と治療が有効な病気の有無を見極めるため、厚生省(当時)が77年に始めた。現在対象となる病気は六つで、生まれて間もない赤ちゃんの血液を採取し、病気を発症する可能性がないかどうか調べる。先天性甲状腺機能低下症はホルモンの分泌の異常、フェニルケトン尿症は特定のアミノ酸が増えすぎることで、知的障害などが起こる。それぞれ約5千人に1人、8万人に1人の割合で生まれる。
精神病薬 医療機関に注意喚起 輸入販売元が対応策 |
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精神分裂病の新治療薬「オランザピン」(商品名「ジプレキサン」)の副作用で2人が糖尿病性昏睡になって死亡した問題で、輸人販売元の日本イライリリー(本社・神戸市)は16日、厚生労働省の指示を受けて緊急安全性情報を医療機関に配布するなどの対応策をとった。
同社は患者、家族、精神科医を対象に副作用を避けるための啓発活動をすることを決めた。
厚労省によると、当初同社から12人について血糖値の上昇や、その結果昏睡状態に陥るなどの症状か出たとの報告があった。その後の調査でうち3人は因果関係が薄いと判断された。副作用と認定されたケースには肥満など糖尿病になりやすい要因のある人もいた。12人とは別に1人が死亡しているが、定められた用量の2.5倍が使われたことがわかり副作用症例から除外された。
同社によると、昨年6月の販売開始から年末までに国内でオランザピンを使用した患者は約13万7千人にのぼる。96年に米国で発売されて以来、日本以外の84カ国で約800万人が使用しているがこれまでに重い副作用は約300例発生しうち36人か死亡しているという。
医療器具輸入販売会社「フィリップスメディカルシステムズ」(東京都港区)は12日、複数の患者の心電図や血圧を中央のモニターで一括管理する集中患者監視装置「患者情報センター」「ビリディア患者情報センター」に不具合があったとして、全国28医療施設に出向き、納入済みの47台を自主改修すると発表した。
レセプト健保審査、月内にも解禁 調査権限も確認 厚労省方針 |
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厚生労働省は、サラリーマンらが加入する健康保険組合による診療報酬明細書(レセプト)の直接審査を今月中にも解禁することを決めた。また、健保組合が診療内容を確認するために患者や医療機関に質問や調査をしてもよいことを確認する通知を出した。健保組合が、医療費の不正な請求や無駄づかいなどをチェックする機能を高め、無駄を排除するのが狙いだ。
レセプトは医療機関が医療費を請求するために作成する書類。これに基づき健保組合は医療費を支払うが、その内容に誤りがないかどうかの審査と実際の支払いは、旧厚生省の指導で、48年から特殊法人「社会保険診療報酬支払基金」に委托することが事実上義務付けられてきた。
それが今回の決定で、医療機関と健保組合が合意すれば、健保組合が直接、審査、支払いすることができるようになる。厚労省は併せて、支払いをめぐるトラブルが起きた時の紛争処理ルールを医療機関と健保組合の間で事前に決めておくことや、患者の個人情報の保護を徹底することなども指示する。
厚労省はまた、医療機関側が直接審査に合意しない場合でも、健保組合が患者や医療機関に診療内容などについて質問や調査ができることを明示した通知も出した。質問・調査はこれまでも制限されていたわけではないが、現実には「基金を通してほしいと、医療機関に拒否されることが多い」と健保側の不満が強かった。今回の通知は健保組合が独自に情報収集できることを改めて確認したものだ。
直接審査の解禁で健保組合は、レセプト1件につき16.2円(4月審査分から)という支払基金への委託料を、自前の事務処理や民間への業務委託などで節約する道が開ける。また、調査・質問の「お墨付き」を得たことで、患者が受けた覚えのない内容が記載されていた場合などの医療機関への再確認が容易になるほか、患者への調査をもとに医療機関に関する情報を集め、組合員に提供することなどもしやすくなる。
ただ、日本医師会は直接審査に「医療費を支払う利害関係者に公平な審査ができるのか」と強く反発し、合意しないよう会員に示していることなどから、実現は当面、限られた医療機関になるもようだ。
支払基金が扱うレセプトは年間7億6千万件(00年度)。1件の審査時間は平均十数秒と言われ、99年には支払基金のチェツク後に健保側が独自に点検、同基金に再審査を求めたレセプトからの161億円も多く請求されているミスが見つかった。総務省は今年1月「審査費用に見合う効果を上げていない」と審査の甘さ、非効率性を指摘。経済団体や健康保険組合連合会が直接審査の解禁、保険者への調査権付与等を求めていた。
厚生労働省、診療録等を外部保存する際の基準を通知 |
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厚生労働省は、電子媒体を利用した保存が認められていることを踏まえて、診療録(カルテ)などを保存する場所に関して3月29日付けで都道府県などに通知した。カルテの保存期間は5年間と以前より法令で定められているが、保管場所については明示されていなかった。今回、電子媒体により外部保存する場合と、紙媒体のまま外部保存する場合の基準をそれぞれ示した。
電子媒体で外部保存する場合、1.記録の真正性、見読性、保存性を確保すること、2.患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保すること、3.外部保存は診療録などの保存義務を持つ病医院の責任において行い、事故が発生した場合の責任の所在を明確にしておくこと−−を基準として挙げている。また、電気通信回線を通じて外部保存を行う際には、データを保存するホストコンピューターやサーバーといった情報処理機器が、医療法人などが適切に管理する場所に設置するよう求めている。
一方、紙媒体のままで外部保存する場合、診療に用いるものであることを考慮し、必要に応じて直ちに利用できる体制を確保しておくこととしている。例えば、「ビル開業している診療所などで、普段は利用する可能性が低いカルテなどを同じビル内の別室に保存したり、医療機関の敷地内に保存用の倉庫を別途設けて保管するのであれば、特に問題はない」(医政局研究開発振興課医療技術情報推進室)としている。
ただし、保存場所に取りに行くのに要する時間を何分以内と具体的に指定していないので、医療機関が診療科目や患者特性などに応じて、どの程度までであれば支障がないかを自ら判断する必要がある。
このほかの基準として、患者のプライバシー保護に十分留意し、個人情報の保護が担保されることや、外部保存に関する責任を病医院が負い、事故発生時の責任の所在を明確にしておくことも明示した。
なお、医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)が、電子媒体により外部保存する場合のガイドラインを4月中にも策定する予定になっている。本通知で示している外部保存を認める記録は、以下の通り。
・医師法における診療録
・歯科医師法における診療録
・保健師助産師看護師法における助産録
・医療法における診療に関する諸記録と病院の管理及び運営に関する諸記録
・歯科技工士法における指示書
・救急救命士法における救急救命処置録
・保険医療機関及び保険医療養担当規則における帳簿等
・歯科衛生士法施行規則における歯科衛生士の業務記録
膵臓がん治療に造血幹細胞移植 都立駒込病院で効果 |
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膵臓がんの患者に、血液細胞のもとになる造血幹細胞を別の人から移植し、できたリンパ球の免疫作用でがんを攻撃する新しい治療法を、東京都立駒込病院の高橋俊雄院長らが始めた。最初の患者では効果が上がっているという。京都市で開かれている日本外科学会で12日、発表した。
高橋院長によると、重い膵臓がんの女性患者に昨年末、妹から造血幹細胞を含む抹消血を移植した。その結果、移植前には大きさが約10センチあったがんが2割以下にまで小さくなり、現在は退院しているという。
一方、移植した細胞が患者の正常な細胞も攻撃する可能性があるため、免疫抑制剤などで効き方を制御する必要があるという。
「副作用公表患者データも」医薬品巡り公開審答申
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医薬品の副作用情報を製薬会社が厚生労働省に報告した「医薬品副作用・感染症症例票」について、内閻府の情報公開審査会は12日、患者の年齢や既往症などを含めて副作用の症状、治療内容を示す情報を公表するよう求める答申を出した。
厚生労働省は、医楽品副作用・感染症症例票の記載事項のうち、患者の性別、副作用暦の有無、医薬品名などは開示したが、患者の年齢、職業、副作用暦や既往暦の内容、副作用の発現状況、処置の経過などは「個人が特定される」として不開示にしていた。
答申書は、開示請求された症例票にある医薬品について、いずれも厚労省が使用上の注意の改定を指示しており、一部は副作用症例がインターネットなどで情報提供されていたことなどから、厚労省が不開示とした部分の大半を開示すべきだとした。
情報公開請求した市民団体「薬害オンブズパースン会議」メンバーの山口正人弁護士は「この答申で開示範囲が広がれば、民間の研究機関が厚労省の評価・分析を検証することが可能になる」と話した。
C型肝炎過熱製剤で3人感染 長野旧ミドリ十字が見舞金
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旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)の血液製剤「フィブリノゲン」によるC型肝炎感染問題で、87年9月に長野県内の病院で出産した女性3人が、加熱処理されたフィブリノゲンを投与され、非A非B型(現在のC型)肝炎に感染していたことがわかった。三菱ウェルファーマによると、旧ミドリ十字がこの3人に現金60万円ずつ支払ったことを示す資料が残っているという。
同社の説明では、長野の女性3人には、病院側からの要望を受けて払ったとみられる。旧ミドリ十字から感染被害者への現金支払いは、87年に青森県の産科医院で非加熱のフィブリノゲンを投与された女性8人のケースが明らかになっている。
厚労省によると、加熱処理されたフィブリノゲンは、87年6月に販売が始まつた。旧ミドリ十字は非加熱よりも肝炎感染の危険性は低いとみていたが、感染の報告が相次いだため、88年6月に緊急安全性情報を出し、医療機関に同製剤の返品を求めた。
同製剤は、94年に加熱処理と化学処理をしたものに切り替えられ、98年には適用が先天性の低フィブリノゲン血症に限定された。
三菱ウェルファーマは「現金を支払った趣旨は見舞金であり、法的な責任を認めたわけではないと思われる」としている。
血液製剤によるC型肝炎感染問題で、厚生労働省が実施する内部調査の対象者は500人規模になることが、11日わかった。調査結果がまとまり次第、公表する方針。対象者は、旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)の血液製剤「フィブリノゲン」と同じ成分の製剤が米国で承認が取り消された77年から、青森県での集団感染でフィブリノゲンが自主回収された87年までの血液製剤や肝炎対策などの担当者、旧国立予防衛生研究所の研究者ら。アンケートによる調査をした後、必要な人には面接する。
心臓病防ぐには魚を食べよう アメリカで大規模調査週2回以上でリスク3割減 |
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魚を食べる回数が多い人ほど、心臓病になりにくいことが、米国の二つの大規模長期調査で確かめられた。ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)など、魚に多い不飽和脂肪酸には動脈硬化を防ぐ効果があるとされているが、それを裏付ける結果だ。
ハーバード大のグループは80年から、女性看護師約8万5千人の生活習慣を迫跡調査。動脈硬化による心臓病にかかる率は、魚を食べる回数が月に1回未満の人たちが最も高かった。
この人たちに比べて、月1〜3回なら21%、週1回なら29%、週2〜4回なら31%、週5回以上なら34%、それぞれリスクが減っていた。生死にかかわるような重い心臓発作の危険率ではさらに差が大きく、週5回以上の人たちでは45%も危険率が低かった。
もう一方のボストンの婦人病院グループは82年以来、男性医師約2万2千人を迫った。
心臓発作で突然死する危険性は、魚を習慣的に食べる医師では81%も低かった。
DHAやEPAは、脂がのったマグロやブリなどに多く含まれる。食べる魚介類の種類から、魚特有の不飽和脂肪酸の摂取量を推定すると、摂取量が多いほど、効果が大きかった。米医学会誌10日号とニユーイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン11日号に論文が掲載された。
厚生労働省、薬理作用や成分ごとに医薬品を分類したサイトを開設 |
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厚生労働省は4月1日、「薬剤分類情報閲覧システム」を開設した。薬理作用や成分ごとに医薬品を分類した表が掲載されており、分類名と品目名から医薬品を検索できる。薬価基準も紹介されているが、現在は4月の診療報酬改定以前のデータのため、注意が必要。この分類表は、1999年12月の中央社会保険医療協議会で了解された「薬価制度改革の基本方針」に基づいて、新薬の薬価算定にかかる類似薬の選定の透明化を図る観点から、効能・効果、薬理作用などで既存品の分類を行ったもの。
薬剤分類情報閲覧システムは、診療報酬情報提供サービスの中に設けられている。
●薬剤分類情報閲覧システム
●診療報酬情報提供サービス
【診療報酬改定】
厚生労働省、HP上の後発医薬品リストの変更点を明示 |
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厚生労働省は4月3日、ホームページ上に掲載していた後発医薬品のリストに関して、3月28日時点のデータからの変更箇所を明示した。同省保険局医療課はデータを変更した事実は認めていたが、どの部分であるかははっきりと示していなかった。後発品から先発品に変更されたのが7種類、反対に先発品から後発品に変更されたのが3種類。また、薬価を修正したものが2種類ある。
後発品から先発品に変更となったのは、「ベルサン」(本草製薬)、「リズモンTG点眼液0.25%」(わかもと製薬)、「リズモンTG点眼液0.5%」(わかもと製薬)、「バシトラシン・トローチ(科薬)」(科薬)、「プレステロン坐薬」(科薬)、「紫雲膏『マルイシ』」(丸石製薬)、「ツムラ紫雲膏」(ツムラ)。
一方、先発品から後発品に変更になったのは、「注射用ナオタミン10」(旭化成)、「リズモン点眼液0.25%」(わかもと製薬)、「リズモン点眼液0.5%」(わかもと製薬)。
また、薬価を訂正したものは次の通り。「セプラメタシンキット」(シオノケミカル)が753円から813円へ、「ピシリアントキット」(シオノケミカル)が356円から373円へ、それぞれ修正している。
厚生労働省による後発医薬品のリストはこちらまで。
変更内容についてはこちらまで。
【診療報酬改定】
厚生労働省、後発医薬品のリストをHP上で公開 |
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厚生労働省は3月28日、保険診療に用いられる医療用医薬品のうち、後発医薬品に該当する製品リストをホームページ上に掲載した。こうしたリストを公開したのは、2002年4月の診療報酬改定において、後発医薬品を含んだ処方せんを発行した場合の処方せん料や後発医薬品の調剤を行った場合の調剤料については、先発医薬品のみの場合よりも高い点数を請求できるようになるため。薬効分類番号別に、投与形態や分類コード、一般名、規格、製品名、メーカー名、薬価、後発品か否かをそれぞれ示している。
厚生労働省による後発医薬品のリストはこちらまで。
厚生労働省、システム上薬剤名を記載できなければ「175円ルール」の届け出認める |
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厚生労働省は、診療報酬明細書(レセプト)等の記載事項等の一部改正に関するQ&Aを作成し、3月28日付けの事務連絡として都道府県などに送付した。この中で、医事会計システムは電算化されているが、従来よりシステム上、薬剤名や投与量などが記載できないものを利用している医療機関や調剤薬局の場合、新たにシステムを導入するまでは「175円ルール」適用の届け出が認められると回答している。
このほか、傷病名の記載に関しても触れている。主傷病と副傷病を区別する方法として、主傷病と副傷病の間を線で区切る方法以外に、主傷病に接頭語あるいは接尾語として「(主)」を記載する方法や、主傷病を○で囲む方法があると説明。傷病名を記載する順番については、主傷病、副傷病の順に記載することを原則とするが、それが困難な場合は「(主)」や○印を使って、主傷病と副傷病を区別できるようにすればよいと答えている。
また、主傷病が複数記載されているケースであっても、ある疾患を主病とする場合に限り算定できる点数を2種類以上算定することは認められないとの方針を明らかにした。例えば、主傷病が「糖尿病」と「ベーチェット病」であっても、「特定疾患処方管理加算」と「難病外来指導管理料」の双方を算定することはできないとしている。
朝日新聞社が先月下旬に実施した全国世論調査(面接)で、4人に3人が医療事故に巻き込まれる不安を感じているという結果が出た。全体的に診療への満足度は高いものの、相次ぐ医療事故への不安
も根強い。医療事故について医療機関の情報公開が不十分だと考える人が7割を越えた。自分や家族がこれまで受けた医療への満足度は「大いに満足」が8%、「まあ満足」が68%。全体の4分の3が満足しているという結果が出た。相次いで表面化している医療事故を身近な問題として受け止めている人が多かった。自分や家族が医療事故に巻き込まれる不安は、「大いに感じている」が22%、「ある程度感じている52%に達し、「全く感じていない」と答えた人は3%だった。
年代別にみると、不安を感じている人の割合は、20代と70歳以上はともに6割台だが、その他の年代ではいずれも7割を超え、40、50代はほぼ8割にのぼった。医療事故に関して医療機関がどの程度情報を公開していると思うかという質問に、「十分に公開している」と答えた人は3%、「ある程度公開している」は21%。これに対し、「あまり公開していない」と思う人59組%、「全く公開していない」は12%。約7割の人が情報公開が不十分と考え、とくに20代後半から40代で8割台と多かった。
血液製剤や医療機器「販売承認」に転換 薬事法改正案を閣議決定 |
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政府は5日の閣議で、薬事法改正案と血液新法案を決定した。薬害エイズや薬害ヤコブ病を教訓に、薬や医療器具の承認審査の充実、血液製剤の安定供給や安全性の向上がねらい。医療機器を人体に与える影響度によって三つに分類し、人工透析器やぺースメーカーなど影響度の高い製品は国が承認し、低い製品は第三者機関が安全性を確認する。血液製剤や脳硬膜などヒトや動物の細胞・組織からつくられた製品は、感染ウイルスなどを含む可能性を完全に否定できないため、原料の採取から製造、流通、使用まで各段階で記録の作成・保存を義務づける。今回の薬事法の改正は規制強化と産業振興の両面を持ち、厚生労働省は「60年の制定後、最も大きな改正」(医薬局)としている。
薬事法改正案は、これまでは製薬会社が自前の製造所で製品にすることを前提にしていた「製造承認」を、欧米と同じように「販売承認」に転換。製造部門をほかの会社に委託できるようにする。医薬品や医療機器が市場に出た後の安全対策も強化する。
●薬事法改正案と血液新法案のポイント
▽人体に与える影響の高い医療機器を重点的に承認審査し、販売業、賃貸業を都道府県知事への届け出制から、知事による許可制に改める
▽ヒトや動物の細胞・組織からできた「生物由来製品」には、一般医薬品に上乗せした安全確保借置を実施
▽「生物由来製品」の表示の適正化、適正使用に関するガイドラインの整備
▽現行の「製造承認」から、業者が市場に出荷することを承認する,「販売承認」に改める
▽血液事業における国などの責務を明確化
▽血液製剤の需給計画を国が策定し、需給の安定化をはかる
▽需給計画の策定などにあたっては、患者側が参加した委員会の意見を聴く
▽血液製剤の適正使用の推進
くも膜下出血後に起こる合併症の予防法を東京女子医大脳神経外科のグループが開発し、5日発行の米専門誌ストロークに発表した。
くも膜下出血は、脳の血管がこぶ状にふくらんだ動脈りゅうが、突然破れて起こる。動脈りゅうをクリップで止める手術をした後、出血した付近の血管が収縮して手や足のまひなどにつながる「攣縮(れんしゅく)」現象を防ぐのが課題になっている。
糟谷英俊助手、堀智勝教授らは、高血圧の治療に使われる血管拡張薬を活用。長さ1センチ、直径2ミリの棒状に加工したものを、攣縮が起こりそうな場所に置いた。20人の2〜12カ所で試したところ、薬を置いた場所で攣縮は起きなかったという。
大阪市北区堂島2丁目の美容・形成外科「わだ形成クリニック」(和田耕治院長)で2月、女性への性別適合(性転換)手術を受けた30歳代の男性の容体が手術後に急変、搬送先の別の病院で死亡していたことが1日、わかった。同クリニックではその直前にも、美容整形手術を受けた女性が同市内の病院に救急搬送されたあとで死亡している。大阪市は立ち入り検査を実施。大阪府警天満署も2人の遺体を司法解剖し、関係者から事情を聴いている。
西日本に住んでいた男性の遺族らによると、男性は自分の性に違和感を抱いて別の性になりたいと願う「性同一性障害」の症状に悩み、2月25日に同クリニックで手術を受けた。だが、手術後に容体が悪化。翌26日早朝、同クリニックからの119番通報で、同市内の病院に救急搬送されたが、約1時間後に死亡した。肺に水がたまる肺浮腫を起こしていた。
和田院長は遺族に対し「腰椎麻酔に加え、男性の恐怖心を取り除くために静脈に麻酔薬を少しずつ入れて、意識を薄れさせた。手術後に男性が呼吸困難に陥った。原因は分からない」などと説明したという。
天満署は搬送先の病院からの連絡で、男性を司法解剖した。大阪市も3月中旬、同クリニックの診療体制を調べるため、職員が医療法に基づいて立ち入り検査した。性別適合手術は、国内では「性同一性障害」の患者に対し、埼玉医大と岡山大の2施設が公に実施している。それ以外の施設で実施されている実態はわかっていない。
同クリニックでは、あごの美容整形手術を受けた女性が、1月14日に同クリニックからの119番通報で大阪市内の別の病院に救急搬送され、約3週間後に死亡した。和田院長は同市の検査に対し、「患者は睡眠中に呼吸が停止する『睡眠時無呼吸症侯群』だったのではないか」と話し、手術との因果関係を否定したという。
同クリニックは和田院長が経営する診療所で、96年に開業。市への届け出によると、医師は院長1人で看護師は4人。入院はできない。和田院長は「一切、お話しできない」と話している。
厚生労働省「ホームページは一般的には医療法上の広告でない」 |
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厚生労働省は3月28日、医療機関による広告の規制緩和の具体的内容に関して募集していた意見に対する、同省の考え方をホームページ上に掲載した。この中で、ホームページは通常、患者が自ら情報を得るためにアクセスするものであるため、「ホームページは一般的には医療法上の広告として扱われない」と明記している。ただし、その内容が不特定多数の患者を誘引する目的を持っているものなどについては、広告に該当すると考えられるとしている。
広告事項のネガティブリスト化(広告してはいけない事項を列挙する方式)については、効果が明確でない特殊療法や民間療法が広告されることなどが予想され、患者保護に重大な支障が生じる恐れが強いとして、当面は現行のポジティブリスト(広告してよい事項を列挙する方式)を維持する考えを改めて示した。
また、治療成績に関しては、それらの成績を客観的に比較できる指標などが現在はないため、「現時点では広告可能とすることは妥当でない」との見解を示している。
厚生労働省h ttp://www.mhlw.go.jp/public/kekka/2002/p0328-1.html
神奈川県平塚市の平塚共済病院(金山正明院長)で、男性患者(44)が慢性副鼻腔炎の手術中に出血性ショックを起こし、その後死亡していたことが29日、分かつた。病院側から連絡を受けた同県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて、司法解剖するなどして調ベている。
男性は今月13日に入院し、翌日午後に手術を受けた。鼻の中にたまったうみや良性の腫ようを取り除くため、鼻の左穴から金属製の管(直径3ミリ)を挿入したが、その直後に出血し意識不明になり、28日朝に死亡した。鼻の奥の動脈から出血していて、管が動脈を破った可能性があるという。
がんによる死亡が女性は減り続け、男性も25年ぶりに減少に転じる中で、肺がんによる死亡が男女ともに増えていることが27日、厚生労働省が発表した00年の「都道府県別年齢調整死亡率」でわかった。全国平均の死亡率は前回の95年時点より下がり、西日本で低く東日本で高い傾向といわれた死亡率の地域格差も縮まっている。
年齢調整死亡率は年間の人口10万人当たりの死亡者数で、年齢構成のばらつきを調整して算出。国勢調査にもとづいて5年ごとに発表している。00年の死亡率は、全国平均で男性634.2人(前回719.6人)、女性323.9人(同384.7人)で、男性が女性のほぼ倍だった。ともに前回調査時より下がった。
がん死亡率は、男性が前回より下がり・75年調査(168.9人)以来、滅少に転じた。
がんのうち、肺がんによる死亡は男性46.3人(75年は28.11人)、女性12.3人(同8.3人)で男女ともに増えた。男性では食道がん、大腸がん、肝がん、女性では大腸がん、すい臓がん、乳がんも増加傾向という。
自殺は男性30.7人(75年は24.1人)、女性10.7人(同15.6人)で、女性で減少したが男性は増加。男性では、秋田(47.2人)、宮崎(42.9人)、沖縄(42.4人)が全国平均を大きく上回っている。
心停止に気付かず乳児を13分間放置 鳥取大病院 |
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鳥取大学医学部付属病院(鳥取県米子市、三原基之病院長)で今年2月、島根県内の生後9カ月の男児が心停止状態になったのに医師らが気付かず、約13分放置されていたことが27日、わかつた。容体監視モニターの警報音を切っていた不手際などで気付くのが遅れた。男児は快復しているが、重度の障害が残る可能性もあるという。
男児には、心拍呼吸モニターと血液中の酸素濃度を測るモニターがつけられ、異変の際はナースステーションに警報音で知らせるようになっていた。しかし、病院によると、心拍呼吸モニターの警報音は、別の患者の関係者から「うるさい」と苦情があり切っていた。酸素濃度モニターの音は鳴ったと見られるが、医師や看護師は気付かなか
ったという。
承認外販売の疑い 血液製剤、腎結石用にも 旧ミドリ十字 |
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肝炎感染が問題になっている血液製剤「フィブリノゲン」を製造・販売していた旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)が、80年代に薬事法で承認されていない腎結石の除去剤としても同製剤を販売していた疑いがあり、厚生労働省は、ウ社に事実を調査して報告するよう求めた。
フィブリノゲンの販売では、旧ミドリ十字が承認外の接着剤として販売していたことも発覚し、昨年8月に同省が厳重警告している。フィブリノゲンは当時、先天性フィブリノゲン血症の治療だけでなく、出産時の大量出血などの止血目的での使用も認められていた。しかし、臓器などをつなぐ接着剤や、腎臓内の結石を包んで取り除きやすくする除去剤としての使用は認められていなかった。製薬会社が承認外使用を広告することは薬事法で禁じられている。
厚労省によると、80年代前半に、旧ミドリ十字の本社から、腎結石除去剤としても販売するように指示が出ていた疑いがあるという。三菱ウェルファーマ社は「厚労省の指示に従って報告したい」としている。
東京や大阪などにある国公立病院発注の臨床検査業務の入札で談合を繰り返していたとして、公正取引委員会は27日、臨床検査最大手で東証1部上場のエスアールエル(本社・東京都)や大塚製薬(同)など大手7社の本社や支店など計約40カ所を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で一斉に立ち入り検査した。
公取委はこうした談合が全国各地で行われていたとみて、調査を進めている。
立ち入り検査を受けたのは、ほかに塩野義製薬(同・大阪市)やビー・エム・エル(同・東京都)、三菱化学ビーシーエル(同)、ファルコバイオシステムズ(同・京都市)、住金バイオサイエンス(同・神奈川県)。
医療過誤認め賠償命令 保谷厚生病院に東京地裁支部 |
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東京西東京の保谷厚生病院(高原明院長)で、鎮痛剤などの注射を受けた直後に死亡した男子大学生(当時22)の両親と姉が病院側に3200万円余の損害賠償などを求めた医療過誤訴訟の判決が26日、東京地裁八王子支部であった。
満田明彦裁判長は「重大な過失があった」として、院長と担当医に計2100万円の支払いを命じた。高原院長は「判決の詳しい内容を見て対応を考えたい」としてい
る。
判決によると、大学生98年5月、頭痛を訴えて倒れ、同病院に救急車で運ばれて入院した。病室で脳血管造影検査のため鎮痛剤と安定剤の注射
を受けたところ、その場で容体が急変して約5時間半後に死亡した。
病院側は「病室から検査室に運ぶ途中で異変に気づき、検査室で適切な処置をした」と反論し た。しかし判決は、医師が看護師に注射を命じる際、呼吸抑制やおう吐などの副作用や緊急事態への対応を事前に説明することを怠ったうえ、十分な態勢をとらないまま投与し、急変後も早急な救急処置をしなかったと退けた。
「許される勧奨 逸脱」 地裁判決地位回復など命ず 東京医科大医師帰任拒否 |
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「貴君の態度や言動から大きな苦痛を受けた」「関係修復は困難」−−。勤め先の東京医科大病院の教授や同僚からこんな文書を突きつけられて出向先から帰任することを拒否された医
師が助手としての地位回復と賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。木納敏和裁判官は「社会通念上許される退職勧奨を逸脱している」などと述べて助手の地位を回復し、50万円の支払いを命じた。
医師は同大卒業後、臨床医などを経て助手として採用された。同大に席を置いたまま都内の病院で嘱託医として働いていたが、00年3月に出向先の契約が切れ、大学病院への復帰を希望した。
これを知った大学病院側では、職員から「復帰は不快」などの声が続出。医局長らでつくる「スタツフ会議」名で、「一緒に働く意志を持てない」との文書を送った。医局の担当教授も「助手の空席がない」と医局を去るように迫った。
このため医師は退職願を提出した上で、給料の出ない臨床研究医としての採用を申請。病院側は認めたが、元の医局や病棟への出入りを禁じた。
判決は、退職願について、「教授らの要求に従わなければ、病院でのすべての地位を失うとの誤解が医師にあった」と述べて無効と判断した。
「被害の説明不十分」遺族ら調査申し入れ 東京女子医大の2児手術 |
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心臓手術ミスで群馬県高崎市の小学6年の女児(当時12)死亡事故があった東京女手医大病院(東京都新宿区)で、心臓手術を受けた幼児2人が死亡したり、重い脳障害を負ったりしたとして、家族らが25日、厚生労働省に、病院に原因や経過を調査するよう求める申入書を提出した。両家族とも、死因などの詳しい説明を受けていなかったと訴えている。
家族や弁護士によると、昨年3月、東京都内の1歳2カ月の女児は先天性の心臓疾患で心室や心房の穴をふさぐ手術などを受けた。手術直後に心不全になり、脳障害を起こし、約1カ月後に死亡した。
両親は「成功率は9割以上の難しくない手術だと説明を受けた」という。さらに、手術後に重い脳障害を起こしたとは説明されず、死後も「死因は分からない」と繰り返されたという。また昨秋、裁判所から認められた証拠保全にもとづき、病院側に検査結果などの提供を求めたが、提出されなかった資料が多数ある、としている。
一方、99年12月に、心臓手術を受けた生後2カ月の女児も、重い脳障害が残り、寝たきりの状態になったこの家族も、手術結果について詳しい説明を病院側から受けていないという。
これに対し、午後11時から病院側が記者会見し、執刀した今井康晴医師らが、「手術ミスではなく、いずれも重い症状だった。家族に説明もしている」と話した。
研修医、質向上へ アルバイト診療禁止。公募で自校は半数に 国公私大 |
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04年度から医師免許取得後の医師に2年間の研修が義務化されるのを受け、全口79の国公私立大学と付属病院でつくる「全国医学部長病院長会議」(会長=福田康一郎・千葉大学医学研究院長)は研修医制度の基本方針をまとめ19日、厚生労働省に提出した。研修医の質を高めるため、公募制を導入。受け入れ数に定員枠を設けたうえで、原則として自校出身者を半分以下に抑える。国の研修手当支給などを条件にアルバイト診療も禁止する。
厚労省は02年度末までに研修内容や条件などのあり方をまとめる方針。毎年約8千人の医師を送り出し、7割を研修医として再び受け入れる大学側が国公私で一致してまとめた基本方針は、新制度を検討する軸となりそうだ。
同会議がまとめた基本方針は、
1.大学病院と地域の病院が連携して、研修プログラムを作成
2.研修医を指導する医師数や研修医が担当できる患者数などから定員を算定−−と明記。これらの内容は公表し、全国の国家試験合格者から研修医を公募し、自校出身者の比率を半分以下に抑える。
法律で研修が義務化されるのを根拠に「国が研修手当を支給するなど身分保障する」と、国費などによる負担を求めることにした。研修医の身分保障を条件にアルバイト診療も禁止する。
日本の医療界では、出身大学の医局講座に残り、その講座の方針によって関連病院への派遣人事や、診療方針・研究内容が左右されることが多い。文部科学省によると、卒業生の3分の2以上が出身大学に残る例か多いという。
都内の病院長と外科医長を起訴 手術ミスで患者死亡 |
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東京地検は18日、東京都荒川区の「佐藤病院」の佐藤要悟院長(51)と須田浩充外科医長(41)を業務上過失致死の罪で在宅のまま起訴した。手術で誤った部位を切断して患者を死亡させたとされる。2人は「術後の処置に誤りはなかった」と容疑を否認しているという。
起訴状などによると、2人は00年12月21日、男性患者(当時36)を胆のう炎と診断し、胆のう摘出手術をした。しかし、本来切るべき胆のう管ではなく、誤って肝臓と十二指腸をつなぐ管の2カ所を切断、気づかないまま手術を終えた。このため、男性は術後、切断場所から胆汁が流れ出し、転院後の翌年2月に多臓器不全で死亡した。
東京都豊島区の「一心病院」に入院した同区の男性(当時59)がのどの炎症で死亡したのは、医師が適切な措置をしなかったためだとして、遺族が病院を経営する「日心会」に約1億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は、医師が気道の確保を怠った過失を認め、病院側が1億円余を支払うよう命じた。
判決は、医師が、呼吸困難に陥っていた男性の気道内に挿管をしようとして失敗したと認定。挿管できなかった場合は、すぐに気管切開をしなければならない切迫した症状だったのに、それもしなかったと指摘した。判決によると、男性は97年8月にのどの痛みを訴えて来院。のどの急性炎症と診断され、点滴を受けている間に容体が急変、翌日に死亡した。
診断ミスを認め2億円賠償命令 旧国立大倉病院訴訟 |
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東京都世田谷区の国立大倉病院(現・国立成育医療センター)の診断ミスで重度の障害が残ったとして、同区の銀行員森尾陽二さん(5)とその家族が国を相手に約2億1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。井上哲男裁判長は、死ぬ可能性も高いのどの炎症が起きていたのに、病院側が見落としたと判断し、国に2億円余の支払いを命じた。
井上裁判長、森尾さんが97年8月に来院したのに、診察が不十分だったため、「急性喉頭蓋炎」だったことを見過ごしたと判断し、過失を認めた。
国立大病院院長や診療科長を専任化 「患者治療に専念」院長会議体制改革を提言 |
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医療の質向上のため、病院内の組織改革を検討していた国立大学医学部付属病院長会議の作業部会は11日、病院長や診療科長などの幹部と、大学教授との併任をやめて専任化し、患者の治療に専念できるような体制にあらためることなどを盛り込んだ提言を発表した。大学の「独立行政法人化」を視野に入れた。強制力はないが、一定の改革方向を示した。
同会議のまとめでは、全国42の大学病院のうち、30の病院で、教授が病院長を併任。院長の選考は、事実上学内の教授会の選挙で決められている。提言では「病院運営より各診療科の意向を過度に尊重する者が選ばれる」と医局制度の弊害を指摘。病院長の権限の強化を盛り込んだ。
提言では、病院長は出身大学を限定せず、幅広く人材を求める。人事を病院長が一括して扱うほか、診療実績などを評価し、予算を重点配分できるようなシステムをつくる。病院診療科長と教授の併任についても、研究業績を重視するあまり、臨床能力の低い教授が存任することを指摘。「患者中心の考えからかけ離れていく要因」として問題点をあげた。
研修医が「外勤」と称して、大学病院に勤務する前日に、ほかの病院で夜間当直などを行う「アルバイト診療」を問題視。治療の責任があいまいになるとして、外勤は認められないとの方針を打ち出した。
「卒煙ネット」6割に効果 携帯電話から「がんばれ」学会報告へ |
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携帯電話で禁煙を支援するシステム「卒煙ネット」の参加者で、禁煙を継続できた人が6割にのぼることが分かった。対象者はニコチンガムなどの禁煙補助剤は併用しておらず、病院の禁煙外来を上回る好成績に開発関係者も驚いている。名古屋市で28日に始まる日本内科学会で、東京女子医科大学の阿部眞弓講師(呼吸器内科)が報告する。
このシステムは、携帯電話のインターネット接続機能を利用している。阿部講師と小学館(本社・東京)が共同開発し、昨年2月から始めた。参加者は毎日、禁煙日誌をつける。文字を書く必要はなく、「きのうはたばこを吸いましたか」
などの画面の質問に沿って電話のボタンを押すだけでいい。
どうしてもたばこが吸いたくなった時は、ボタンを押してSOSを発信する。すると、「水を飲んで気分転換してみたら」など、その人に合った具体的なアドバイスが画面上に示される。
2月上旬時点で、利用者は20〜30歳代の会社員や主婦、学生らを中心に約6千人にのぼった。
調査は、昨年夏から秋にかけて挑戦した男女345人が対象。プログラム終了時(平均で約67日後)の禁煙継続率は61%だった。阿部さんは「禁煙外来では、一般に終了時の禁煙継続率は3〜5割。予想以上に高い成績で驚いた」と話している。
岡山県内に住む40歳代の男性運転手は、「やめられたのはリアルなメッセージのおかげ」と喜びの声を寄せている。
米で100人院内感染 オリンパス工内視鏡の欠陥原因? 昨年11月付で自主回収通知 |
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【ワシントン5日 大牟田透】米ボルティモアのジョンズ・ホプキンズ大病院は4日、オリンパス光学工業が製造・販売した気管支内視鏡に欠陥があり、緑膿菌による大規模な院内感染を起こした恐れがあると発表した。昨年6月から今年2月初めまでにこの内視鏡で検査を受けた患者410人に通知、異状があれば病院に相談するよう呼びかけた。
発表によると、対象患者は状態が悪い人ばかりでこれまでに約100人が感染うち2人が肺炎で死亡したことがわかった。ただし、「内視鏡の欠陥が直接死亡に結びついたかどうかはさらに検討する必要がある」としている。
同病院では昨年7月ごろから、気管支内視鏡検査を受けた患者に緑膿菌感染が相次いだ。院内感染とみられたが、原因が突き止められなかった。今年2月になって、オリンパス製品から菌が見つかった。
この製品は、オリンパスが昨年11月に「 管にせんをする部分の口金にゆるみやすい部分がある」として、米食品医薬品局(FDA)に自主回収を申し出たものだった。
同病院は「オリンパスからの回収通知は病院で内視鏡を使っていない部門あてに届いており、今年2月になるまで知らなかった」
としている。
オリンパス光学工業の広報担当は「ジョンズ・ホプキンズ大には昨年11月30日付で自主回収通知を送った。12月7日のサイン入りで同大の受領書をもらっており、きちんと通知している。口金のゆるみと感染による死亡の因果関係ははっきりしていない」と話す。
同製品は日本でも自主回収されているが、国内での院内感染の報告はないという。回収率は米国が48%、日本は76%。
医療機器の操作ミス、投薬ミス、体内への器材置き忘れ、手術部位の間違い……。厚生労働省から5日開示された国立病院と療養所の医療事故報告書には多くの「単純ミス」が並び、それが重大な結果につながる典型的な事故が繰り返されている実態が浮き彫りになった。だが報告書の大部分は同省によって黒く塗りつぶされ、「重大事故ではない」として報告されていない事例もあった。
なお「黒塗り」大部分
国立弘前病院では、自動点滴機の操作ミスで誤って薬を点滴された超未熟児の赤ちゃんが死亡する事故が起きていた。病院側はミスを認めるとともに青森県警に届け出。県警は業務上過失致死の疑いで捜査している。
事故は00年5月19日にあった。妊娠7カ月で破水した30代の女性が同病院に救急搬送され、帝王切開で女児を出産。女児は新生児集中治療室(NICU)に移された。
事故報告書と病院の説明によると、医師から血圧を上げる昇圧剤を使う予定を伝えられた看護婦が、自動点滴機で点滴の量と速度をセットした。看護婦は医師の指示があるまで機械は停止させておくつもりだった。
ところが別の看護婦がすでに指示が出ているものと勘違いしてスイッチを入れ、20分間に通常の何倍もの量の昇圧剤が注入されてしまった。
同病院は、看護婦は医師の明確な指示を受けてから点滴を準備・開始する、作業は声出しにより確認するなどの手順をマニュアルで定めていた。
「緊急時には予測される事態を想定しながら準備を進めている実態があり、そうした中でマニュアルが守られていなかった」と病院側は朝日新聞社の取材にこたえた。
しかし、事故報告書では看護婦が過ってスイッチを入れた経緯だけが開示された。注入された薬剤名やNICU内での死亡事故だったことなどは開示されなかった。
国立沼田病院では胸部コンピユーター断層撮影(CT)の造影剤を使った患者がショック状態となり死亡。国立療養所刀根山病院でも造影剤によるショックが起き、病院関係者によると、患者は死亡したという。
国立佐渡療養所では、胃に流動食を入れる処置で70代の女性に炎症が起き、敗血症で死亡した。
確認不足による手術場所の取り違えもある。国立療養所盛岡病院では医師の思いこみで左足ではなく右足を切開。国立浜田病院では頭部手術で左右を間違えた。CT画像を読み違えたという。
手術用具を体内に置き忘れた例も多い。ガーゼは少なくとも13件。国立京都病院では約20年たって発見された。国立横浜病院は4カ月に2回、国立名古屋病院でも半年に2回繰り返していた。
ほかに縫合針(国立霞ケ浦病院)、レーザーチップ(国立水戸病院)などの置き忘れが分かった。
内視鏡やカテーテルで腸や血管などに穴を開ける事故も目立っている。
報告しない例も
病院が「医療ミス」と認めて患者側に謝罪していながら報告書が提出されていなかった例もある。
国立療養所秋田病院に昨年5月に入院した重い脳性まひの20代の女性は普段から抗けいれん剤(テグレトール)で発作を抑えていた。入院後は同病院で処方された薬を毎日飲んでいたが、2週間ほどすると、けいれん発作が1日に何度も起きるようになった。
女性の母親の指摘で病院が調べると、飲んでいた薬はテグレトールではなく、ぜんそく用の「テオドール」と分かった。病院は「薬剤師が処方せんを読み間違えた」と釈明して薬剤科長が患者側に謝罪。患者はその後、回復した。
病院は事故後、薬の名前を口頭でも確認するなどの防止策を講じた。しかし、母親によると、女性が自宅から通院していた数年前にもけいれん発作が続くことがあった。病院に問い合わせると、
病院は「薬が間違っていた」と説明した。その後も3回ほど発作が起き、母親がそのたびに[薬が違うのでばないか」と訴え、病院が謝るという繰り返しだったという。病院は昨年7月、東北地方医務局に文書で内容を伝えた。しかし、事故報告書としては提出しなかった。
国立病院事故147件 昨年まで2年間 目立つ手術具忘れ 厚労省開示 |
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全国の国立病院や療養所が厚生労働省に対し、00年4月から昨年12月末までの約2年間に報告した医療事故は計147件にのぼることが5日、同省が朝日新間記者に開示した資料で分かった。多岐にわたる事故内容が一活して開示されたのは初めて。ガーゼなどの手術用具を取り残したミスが目立つほか、薬剤の投与ミスや、手術部位を取り違えたケースもあった。患者の生死は開示されなかったが、朝日新聞社が資料を分析した結果、少なくとも15人が亡くなった。
判明した死亡例のうち、国立高崎病院では昨年3月、脳の動脈りゅうをクリップで閉じる手術で動脈自体をふさいでしまい、死亡していた。このほか、入浴中の事故で患者が死亡した例もあった。15件のうち3件はすでに病院側が発表していたが、残りは今回初めて明らかになった。
事故内容を種類別にみると、手術時にガーゼ、チユーブなどを体内に取り残した事故が約40件、人工呼吸器などの操作ミスが約30件、調剤・投薬ミスは約20件。心停止になった事故も複数あったが、生死については開示されていない。
このうち、病院側がミスを認め、患者や家族に謝罪していたケースが30件を超えている。ミスを認識しながら、患者の病状が安定したために「家族への謝罪は、しぱらく様子を見る」(国立小倉病院)との記述もあった。事故件数は、すでに開示されている00年度分度に今回開示された01年度の12月末までの分をあわせると、国立病院85件、療養所58件、高度専門医療センター4件となる。
事故報告書の公開は、朝日新聞記者が情報公開法に基づいて昨年春に請求したが報告件数などを除いてほとんど開示されなかったため、情報公開審査会に異議を申し立てた。その結果同審査会は事故の日時や事故にかかわる医療行為と原因などは公開すべきだと答申、この日の開示となつた。
毒物誤投薬で患者死亡
京都看護婦、尿検査薬渡す |
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京都府宇治市の宇治徳洲会病院(増田道彦院長)で1月末急性心筋こうそくで入院中の男性患者(66)が、看護婦に誤って毒物のアジ化ナトリウムを服用させられ、翌日に死亡していたことがわかった。
病院側は死亡の翌日、宇治署と宇治保健所にこの事故を届けており、府警が業務上過失致死の疑いで、医師や看護婦らから事情を聴いてい
る。
薬は尿検査に使う錠剤で、アジ化ナトリウムが1.5ミリグラム合まれていた。同保健所への報告では、看護婦が薬品を運ぶ係の職員から受け取った。
病院側は「職員は検査用薬品だと告げて渡したが、看護婦は経験が浅く、患者に誤って飲ませた疑いが強い」と説明したという。
院 山形大学医学部付属病院(山形市、堀川秀男院長)は、96年1月に医師が患者の脊髄腔に過った薬剤を注入し、両足マヒになる医療ミスがあったことを28日、明らかにした。当時の担当医師らは誤投薬を知りながら患者に伝えず、約5年後の01年3月になって後任診療科長が堀川院長に報告したと言う。同病院は事故調査専門委員会で関係者から事情を聴き、医療事故と認定。患者とその家族に謝罪したと言う。
BCGの注射針 数回使用? 中野区鷺宮保険相談所 |
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東京都中野区の鷺宮保健福祉相談所が、21日に行った乳児への予防接種で、数人の乳児に同じ注射針を使い回した可能性があることがわかった。区保健福祉部は、26、27の両日、接種を受けた乳児全員の血液検査を行ない、感染症の有無を調べる。
区保険福祉部によると、21日の乳児検診で、37人に結核予防のBCG接種をした。全員の接種が終わつた後、使用済みの注射針を数えたところ32本しかなかった。
接種を担当した医師は使い回しはないとしている。だが同部は、1本の注射針で複数の乳児に注射した恐れがあるとして、翌日から保護者へ説明に回った。血液検査の結果は、3月2日までに出るという。
同部によると、B型肝炎やエイズなどの感染症は母子感染が多く、今回の乳児の母親にこれらの感染症の疑いが見られないことから、乳児同士の感染も可能性は低いという。
装置導入時から危険性指摘 マニュアルづくり怠る 東京女子医大心臓手術ミス |
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東京女子医大病院(東京都新宿区)の心臓手術後、小学6年の女児(当時12)が死亡した医療ミスで、人工心肺装置の使い方によって血液の循環不全に陥る危険性が5年前の装置導入時から指摘されていたことが26日、わかった。危険性は、装置導入前の動物実験などで明らかになり、先進的に取り組んでいた病院でも指摘されていた。病院は、こうした危険性をマニュアル化していないな
ど対策を怠った。
病院の調査報告書によると亡くなった群馬県高崎市の平柳明香さんの手術には、「陰圧吸引補助脱血法」という人工心肺方式が採用されていた。
事故は、血液を吸引するポンプの回転数を長時間上げすぎたため、装置内の圧力が上昇。心臓からの血液を吸引できなくなり、結果的に明香さんは脳死状態になり、3日後に死亡した。
病院関係者によると、「陰圧法」の装置は、女子医大の循環器系の専門医らでつくられた心臓血圧研究所の医師らが開発した。動物実験を経て、95年ごろから導入されこれまでに約500の手術例があるという。
研究所内で行った動物実験では「(人工心肺装置ポンプを)10分程度、100回転以上にすると、脱血不良状態になる」と指摘され、医師の
間でも問題になったという。
女子医大が装置を開発した当時、医師らは、こうした危険性を知りながら、口頭で申し合わせただけで文書化せず、圧力の上昇を防ぐための対策もとっていなかったという。報告書によると、トラブルが起きたとき、6人の手術チームのだれも対処法を知らなかったという。
病院幹部は「共通の認識を持つためのマニュアルづくりをしていなかったのも事故の一因だ。導入から時間がたち、基本的な捜査方法を医師らが忘れてしまっていた」と話している。
これに対し、手術チームの責任医師の弁護士は「陰圧法を病院で導入していることすら知らされていなかった」と主張している。
救命センター、採血・点滴時「使い捨て手袋3%」抜き打ち調査 川崎医大報告 |
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採血や点滴など血管に針を刺す処置時に、使い捨ての手袋を使っている医療スタッフは、63組人中わずか3%しかいないことが、川崎医大病院(岡山県倉敷市)の高度救命救急センター内で実施した抜き打ち調査でわかった。
処置時の手袋着用は院内感染対策の基本だ。多忙な救命救急部門での着用は少ないとみられているが、実態が明らかにされたのは珍しい。
23日まで大阪市で開かれた日本環境感染学会で報告した。
肝炎ウイルスなどに汚染された血液に触れると、そのスタッフが感染する▽スタッフを介して他の患者への院内感染を起こす、の二つの危険性がある。とくに救命救急部門は、どんな感染症にかかっているかわからない患者が搬送されることが多く、感染の可能性は
高い。
同センターが、対象を病院全体に広げ、医療スタッフ544人に手袋を使わない理由をアンケートしたら、「時間がない」が86%、「習慣がない」が85%、「細かい作業がしにくい」が73%だった。「患者に失礼だから」という回答も4%あった。調査をした同センターの奥村徹講師は「使いやすい手袋の購入や、スタッフの教育の徹底が大切だ」と話している。
B型肝炎 ウィルス
汚染血しょうが原料の製剤回収 |
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B型肝炎ウイルスに汚染された血しようを原料に製造された血しょう分画製剤が一部出荷されていたことが判明し、厚生労働省は20日、製造・販売した三菱ウェルファーマ(大阪市)に自主回収を指示した。同社は回収を始めている。
回収されるのは「献血アルブミン」約1万3千1本と、「ノイアート」約1万5千本。献血アルブミンは昨年9月から同11月まで、ノイアートは昨
年10月から今年1月まで、それぞれ出荷された。
同社は「検査で陰性を確認したうえで出荷している。安全性は確保されていると判断しているが、万全を期すために回収している」としている。
医療期間広告規制を緩和へ 専門医認定や手術件数など 厚労省 |
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厚生労働省は20日、学会認定の専門医がいるかどうかや病気ごとの手術件数、受診患者数、セカンドオピニオンヘの協力体制など、新たに医療機関が広告できる項目を決めた。一般に意見を募って大臣告示を改正し、4月から実施する。「患者に公開されることが望ましい情報」として厚労省が一定のお墨付きを与えたともいえ、患者が治療を受ける医療機関を選ぶ目安となりそうだ。
治療方法や学会認定専門医、手術件数など、治療の質や成績にかかわる情報が広告できるようになるのは初めて。専門医は、学会が腕を「保証」した医師。今回、広告できるのは1.学会の会員数が千人以上2.5年以上の研修と試験がある3.更新制度がある4.学会が患者からの問い合わせに応じるなどの条件つきで、認められるのは20〜30学会に限られそうだ。
広告が可能になる主な項目
・専門医の認定 治療方法
・手術件数、分娩件数
・平均の入院日数
・入院外来別、病気別の忠者数
・医師や看護婦の患者数に対する配置割合
・売店、食堂、一時保育サービス
・セカンドオピニオンへの協力体制
・電子カルテの導入
・患者相談窓口の設置
・安全のための院内管理体制
・病床利用率
・ホームページアドレス
医療ミス、50代が死亡 栄養チューブ、気管挿入 東大病院 |
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東京大学医学部付属病院(加藤進昌院長)は20日、本来、胃に入れるべき栄養チユーブを誤って
気管に挿管、栄養剤などを注入したため、患者が肺炎などを起こして死亡する医療ミスがあったこ
とを明らかにした。病院側は医療ミスを認め、家族に謝罪、補償について相談している。
同病院の発表では、亡くなったのは50代の男性患者で、がんの治療のために昨年10月に入院して
いた。12月下旬に担当医が鼻から栄養チューブ(直径約4ミリ)を約50センチ、挿管した。その際2人の医師が聴診器で、胃までチューブが到達したことを音で確認したという。1時間後に鎮痛剤約20ccを注入、その後、栄養剤約200ccを送った。
しかし、間もなく、患者が栄養剤をもどし、呼吸難を訴えるなどしたため、内視鏡で調べたところ、栄養チューブが気管内に入っていることが分かった。
その後、患者の容体は悪化し、集中治療室に入ったが、肺炎や敗血症、血液凝固障害を併発し、先週死亡した。
チューブを挿管したのは医学部率業後8年の専門医と、研修医の2人。家族には、挿入ミスが発生した直後に説明し謝罪したという。
病院は患者の死亡後、調査委員会を設置して、事故原因を究明する一方で、本富士署に届け出て、司法解剖を依頼している。
院内感染初の死者 抗菌効果効かない多剤耐性緑のう菌 信越の病院 |
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ほとんどすべての抗菌薬が効かない多剤耐性緑のう菌による院内感染が、信越地方の総合病院で起こり、昨年5月に死
者が出ていたことが分かった。
この菌による死者は、国内で初めて。専門家は「これば氷山の一角」とし、今後爆発的に 広がる恐れがあるとして警戒を呼びかけている。
多剤耐性緑のう菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)など に次ぎ、「第三の耐性菌」と呼ばれる菌の仲間。「切り札」の抗菌薬カルバペネムも効かない。
健康な人には病気を 起こさないが、高齢や病気などで体の抵抗力が落ちた人は敗血症を起こし、死ぬこともある。
関係者によると、00年1月から01年6月の間にこの病院で多剤耐性緑のう菌が検出された患者23人分の菌株を調べたら、5人、4人、11人の菌がそれぞれ同じ遺伝子パターンだった。残りの
3人はそれぞれ別のパターンを示した。
同病院は3件の集団感染が起きたと見ている。23人中、12人が炎症などを起こし、1人が死亡した。
死亡したのは、白血病で治療中だった30代の男性で、昨年5月27日に血液から緑のう菌が見つかり、敗血症と診断された。抗菌薬を使ったが効
かず、4日後に亡くなった。感染経路は特定されていないが、導尿管の操作を介して菌が広がった可能性が強いと同病院は見ている。
一人の患者の処置後、次の患者に触る前に必ず手洗いをするなどの対策を取り、今年に入つてから緑のう菌の検出数は激滅したという。
うつぶせ寝で死亡、親が告訴 医療センター職員を |
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千葉県船橋市の市立医療センターで生後4カ月の次男がうつぶせ寝の状態で窒息し、その後死亡したのは病院側の過失だとして、同県鎌ケ谷市の自営業石井慎也さん(28)、忍さん(28)夫妻が、同センターの職員らを業務上過失致死の疑いで船橋署に告訴していたことが、19日までにわか
った。
石井さん夫妻らによると、次男真滉ちゃんは99年6月、「細気管支炎」と珍断され同センターに入院中、顔を大人用の氷まくらに埋めて心停止状態で発見された。意識不明の状態が続き、1年2カ月後に死亡した。
両親か起こした約1億1500万円の損害賠償請求訴訟が千葉地裁で係争中
東京女子医科大病院(東京都新宿区)の心臓手術ミスで群馬県高崎市の平柳明香さん(当時12)が昨年3月に死亡した問題で、遺族は19日、病院側と示談したことを明らかにした。
病院側が事故の再発防止に努め、同じような事故があった場合ば遺族に誠実に説明 することなどを約束する「覚書」を交わした。明香さんの父親で歯科医の利明さん(51)が厚生労働省で会見し、「明香の一周忌までに解決したかった」と話した。
利明さんは今年1月、手術を担当した医師ら6人を業務上過失致死などの容疑で警視庁に刑事告訴している。「警察の捜査に(真相の解明を)期待したい」として、告訴は取り下げないという。
喫煙男性の死亡率1.6倍 4万人を10年間追跡 厚労省 |
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たばこをすう人は、がんや心臓病などの病気にかかりやすく、死亡率は吸わない人に比べて男性で約1.6倍、女性で約1.9倍も高いことが、厚生労働省の10年間にわたる追跡調査で分かった。
研究班は、亡くなった男性のうち5人に1人は、「もしたばこを吸わなければ死亡を防げた」と結論づけている。
調査は、岩手、秋田、長野、沖縄の各県に住む40〜50歳の男女約4万人 が対象。喫煙者、吸っていたが禁煙した人、吸ったことがない人の3グループに分け、10年間の死亡率を比較した。
喫煙者の死亡率を吸わない人と病気別に比較すると、がんは男性で約1.6倍、女性で約1.8倍。心臓病や脳卒中などの循環器疾患は、男性で約1.4倍、女性で約2.7倍にのぼった。
亡くなった喫煙男性646人のうち、225人は、もし喫煙しなかったら死亡を防ぐことができたと推計され、男性の死亡者全体(1014人)の22%を占めた。
飲酒や食生活など喫煙以外の生活習慣の影響を統計的に調整した上で、データ解析をしており、 「喫煙者の生活スタイル」ではなく、「喫煙そのもの」が寿命を縮めることが明確に示された。
一方、禁煙した人の死亡率は、もともと吸わない人と統計的にはほとんど差がなかった。吸わない人と同レベルまでリスクが下がるのにかかる時間は病気によって差があり、肺がんは20年程度とされるのに対し、心筋こうそくでは禁煙直後からリスクが下がるとされている。
研究班の主任研究者を務める津金昌一郎・国立がんセンター研究所臨床疫学研究部長は「一刻も早くたばこをやめることが長生きのためには大切。今からでも決して遅くはない」としている。
骨髄細胞で狭心症治療 血管再生し機能回復 関西医大成功 |
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心臓の血管がつまる狭心症の患者に、血管を再生する働きがある骨髄細胞の一部を患者自身から取り出して移植し、治療
することに、関西医大のグループが国内で初めて成功した。患者は16日に退院する。
治療したのは同医大心臓血管病センターの松原弘明・助教授、神畠宏・講師ら。
骨髄細胞には、血管を作る幹細胞のほか、骨や皮膚になる幹細胞などが合まれている。64歳の男性患者の骨髄液から、血管を作る幹細胞が合まれている「単核球」という細胞だけを遠心分離器で取り出し、患者の心臓の30カ所に注射した。6週間後には、心臓が1回の拍動で打ち出す血液量が
25%増えた。松原助教授は「細かい血管が再生し、心機能が回復したのではないか」と分析する。
同医大では、糖尿病などで足の血管がつまった患者45人に同じ治療をし、安全性と一定の効果が確認できたため、狭心症にも試みたという。
歯科医 容態急変の応急処置
厚労省 現行法では見学まで
市立札幌病院救命救急センターで研修を受けた歯科医師3人と、それを受け入れた同センターの部長が、資格外の医療行為をしたなどとして先月10日に医師法違反容疑で書類送検された事件が、医療現場に複雑な波紋を投げかけている。歯科医でも麻酔を扱うし、患者の容体が急変した場合の手当ても必要という。こういった研修は全国的に行われているが、事件を契機に中止したところも出ている。「研修」はいったい、どこまで許されるのか。
市立札幌病院のケースは、歯科に属さない病気の患者に、歯科医が強心剤を注射したり、輸血の指示を出したりしたことが医師法に違反したとされる。ほとんどは歯科医が患者の「主治医」として診断書を書くなどしていたケースだという。
札幌市が昨秋、北海道警に告発して捜査が始まった。 札幌市は当初「救急医の指導の下に行われていた」などと、告発には消極的だった。
しかし、厚生労働省に照会したところ、「歯科に属さない疾病にかかわ る医(療)行為に及んでいれば、医師の指示の有無を問わず、医師法第17条に違反する」との医事課長名の回答が昨年9月10日付で送られてきて方針が変わった。
市立札幌病院の研修は97年に始まった。心臓に持病がある人や高齢の患者が増える中で、歯科治療中に痲酔や投薬でショック症状を起こす患者もいる。北海道大大学院歯学研究科の戸塚靖則教授は「応急処置を身につけることは安全な歯科医療を提供するために必要」と説明する。
日本口腔外科学会の98 年の調査では、歯科医を麻酔科や救急部などに研修に派遣している大学病院や総合病院ば120に
上る。
口腔外科の歯科医を研修に派遣していた大学病院と総合病院のうち、少なくとも今回の事件以降、2病院が研修をやめた。東京都内の大学病院の歯科口腔外科科長は「事件後、研修をやめたが、本当に良かったのか悩む。やめて困るのは患者側なのに」と漏らす。
一方、研修を続けているところは、「指導医の監視の下なので問題ない」「見学だけではトレーニングにならない」などの意見が多い。
もっとも、厚労省内部も一枚岩ではない。厚労省医事課の担当者は「現行法の枠内でできるのは見学まで。患者に触れる研修は違法」との見解。
だが歯科保健課は「今回の事件は、歯科医が主治医になるなど特殊な事例」として、一定の研修は認める姿勢だ。
日本救急医学会理事長の島崎修次・杏林大学教授は「研修で歯科医ができることがあいまいなまま、事実が先行してきた中で今回の事件が起きた」と話す。
人工心肺の用法知らず 異状に対処出来ず 東京女子医大女児死亡事故 |
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東京女子医科大病院(東京都新宿区)の心臓手術ミスで群馬県高崎市の平柳明香さん(当時12)が死亡した問題で、医師らが手術に使つた人工心肺装置の仕組みを知らなかったため、手術中に生じた装置のトラブルに対処できなかったことが9日、関係者の話でわかった。このため血液の循環不全の状態が続き、明香さんは結果的に脳死状態となったとみられる。責任者の医師らは、この装置を手術で使うことを事前に病院側から知らされていなかったという。
病院側の調査報告書と食い違う部分があり、業務上過失致死容疑で捜査中の警視庁は、医師らから事情を聴き、病院内の連携や態勢についても問題があった可能性があるとみて、実態解明を進めている。
手術は昨年3月2日にあり、手術医4人のほか、人工心肺と麻酔担当の医師2人が加わった。左右の心房を隔てる部分にあいた穴を縫い合わせるのが目的で、午前10時前に始まり、約7時間後に終わったが、明香さんは意識が戻らないまま3日後の5日に死亡した。
人工心肺装置は心臓手術の際、心臓と肺への血流を止めるために体外に取り付ける。同病院の人工心肺の方法は3種類あるという。「ポンプ脱血圧吸引補助脱血法」で、明香さんの手術では「陰圧法」が採用された。
装置内の圧力を下げることで臓器に供給された静脈血を吸引し、酸素を加えて動脈に送る仕組みだ。
しかし、関係者によると、手術の責任者の医師らは「陰圧法」が同病院で採用されていることを知らされず、明香さんの手術では「落差法」を採用したと認識していた。両方法の装置は、外見上はほとんど違わないという。
病院側が設置した調査委員会の調査報告書は、明香さんの死亡原因を、 心臓付近の血液を吸引するポンプの回転数を長時間上げすぎたため、装置内の圧力が上がって吸引できなくなり、血液は循環不全の状態となったと
している。
圧力が上昇したら、装置についた弁を操作して圧力を下げなければならなかったが、医師らはその操作方法を知らなかった。また、落差法ではポンプの回転を上げても装置内の圧力が上がることはないため、医師らは原因がわからず、対処でき
なかった。
調査報告書によると、異状発生後しばらくして、人工心肺装置の操作に詳しい技士が装置の空気栓を開放し、再び吸引できるようになったとい
うが、その間、10分間以上にわたって明香さんの脳に血液が循環しなくなり、脳死状態となっ た。
調査報告書では当初、「手術チームの責任者だけでなく、人工心肺の担 当医師も吸引ポンプの回転数を上げると装置内の圧力が上がって吸引ができなくなることを認識していなかった」としていた。ところがその後「認識はあったがこの時点では対応できなかった」と訂正された。
また、調査報告書では、陰圧法を95年ごろから取り入れ、約500例の経験があるとしているが、病院側が医師らにどの程度、仕組みや操作方法を徹底し、装置の危険性を周知していたかなどはわかっていない。
「陰圧法」を採用している慶応大は、人工心肺内の圧力が上がって血液 が循環しなくなるのを防ぐため、圧力を監視する
モニターや、圧力が上がると自動的に下げる弁を備えている。明香さんの手術で使われた装置には自動弁は取り付けられていなかった。
仕入れ値公表セールOK 東京地裁 禁止求めた大正製薬敗訴 |
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安売りドラッグストアを展開する「ダイコク」(大阪市)が商品の仕入れ価格を公表し、その価格で販売したことをめぐり、大正製薬(東京都豊島区)が「営業の秘密を漏らされた」と1億円の損害賠償や仕入れ価格の公表禁止などを求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。三村量三裁判長は「ダイコク側が示した価格情報は営業の秘密にあたらない。広く開示しても、不正競争行為でない」との判断を示し、大正製薬側の請求を棄却した。
判決などによると、ダイコク側は昨年1〜5月、西日本を中心に「原価セール」を実施。「大正製薬の商品を仕入れ価格で販売!」と書いたチラシを配り、ドリンク剤「リポビタンD」や発毛剤[リアップ」、風邪薬「パブロン」など数十品目の仕入れ価格を明示して販売。大正製薬は昨年5月、「商道徳から逸脱し、信頼関係が損なわれた」と取引契約を解除し、提訴していた。
判決は、「(商品価格は)メーカー側と小売店側との合意を通じて形成されるもので、大正製薬に固有の情報というわけではない」と指摘。ダイコク側による仕入れ価格の公表は、自らが知り得た価格情報を開示しただけだったと判断し、「契約に反しない」と述べた。
大正製薬広報室は「判決は到底承服できず、控訴を考える」とコメントを出した。
レジオネラ菌感染して死亡 埼玉県の60代男性が肺炎などを引き起こす原因となるレジオネラ菌に感染して死亡していたことが4日わかった。
県健康福祉部によると、この男性は発熱や呼吸困難を訴え、先月11日から県内の病院で治療を受けていたが、18日に死亡した。病院の検査でレジオネラ菌に感染していたことが判明した。
男性は昨年12月下旬から1月上旬にかけて県外の宿泊施設を数カ所利用したといい、健康福祉部は施投の浴場が感染源だった疑いがあると見て調べている。
さいたい血 細胞培養大人に移植 東海大グルーブ マウスの骨髄移植 |
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東海大学の堀田知光教授(血液内科)らの研究グルーブが、マウスの細胞の助けを借りてヒトのさい帯血を大量に増やす方法を開発し、4日、初めて大人の患者に移植した。さい帯血移植は白血病などの治療法だが、さい帯血は少量しか採取できないためこれまでは子どもの患者でないと十分な効果が期待できなかった。ただ、未知の病原体がマウスから感染しないか、さらに安全性を検証する必要がある。
移植を受けたのは、正常な血液の細胞ができなくなる骨髄異形成症侯群の神奈川県の50代の女性。骨髄バンクにも登録していたが、免疫的に適合する提供者が長く現れず、ほかに治療法がなかったという。今月中にさらに白血病の40代の男性にも移植する予定だ。
堀田教授らは、さい帯血に特殊な物質を与えて刺激したうえで、微小な穴のあいた膜を介してマウスの骨髄細胞と接触させ、その助けで、さい帯血中に含まれる造血幹細胞(血液の細胞を分化する元の細胞)を増やした。5日間の培養で約10倍に増殖したという。
同教授らは、米の検査機関に依頼し、米食品医薬品局(FDA)の基準で、マウスの細胞に病原体が混じっていないことを確認したという。学内の倫理委員会からは00午2月に承認を得ていた。
厚生労働省は、先端的な軒細胞の治療について指針を作成中で、動物細胞利用の安全性は重要な検討課題。その専門委員会委員長の中畑龍俊・京都大学教授は、「理想的には、(動物細胞が分泌している)有効成分を突き止め、精製して使うことが望ましい」と話している。
入院中の1歳児の口と鼻にコップ上のおもちゃがかぶさって窒息し、重い障害が残った事故で男児と両親が病院側に約1億5700万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。石垣君雄裁判長は、病院の監視体制に問題があったと認定。請求を棄却した一審・横浜地裁相模原支部の判決を変え、病院側に1億3400万円の支払を命じた。
事故があったのはJA神奈川県厚生連が開設した相模原厚生病院。
がん治療、「オーダーメード」へ検証 遺伝情報1000人調査 |
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がんの治療に使われる放射線や抗がん剤は、効き目や副作用が患者一人ひとりで違う。その違いを遺伝情報から見分け、体質に応じた「オーダーメード治療」をめざす全国的な臨床試験を、文部科学省の研究グループが始めた。国立大学病院が軸になり、3年間で患者1千人に協力してもらう。一般の総合病院も使える検査法を確立するのが目標だ。
札幌医科大、癌研究会付属病院(東京)、愛知県がんセンター、京都大、九州大など8カ所の大学病院や専門病院が参加し、東京大医科学研究所などが遺伝情報を解析する。
胃がんや肺がん、大腸がん、乳がん、白血病など日本人に多い7種類が対象。10近くの抗がん剤や放射線について調べる。
抗がん剤はだれにも同じように効くわけではな い。効果が期待できるのは患者の2〜4割といわれる。一方、下痢や吐き気、毛髪が抜けるといった副作用は避けがたい。重いときは死亡することもある。実際に使ってみ
るまで詳しく分からないのが現状でこれを改めていくのが目的だ。
患者のがん細胞から、1人3万個以上とされる遺伝子のうち、約2万3干個を解析する。特定の遺伝子の働きと投薬効巣との関係についての研究はこれまでにもあったが、これほど多くの遺伝情報をがん治療に応用するのは初めて。
遺伝子パターンから、あらかじめ薬が効きやすい人と効きにくい人を見分けて抗がん剤を使い分ければ、治療効果は大きく上向く。効き目がない人が副作用に悩むこともなくる。
遺伝情報は個人のプライバシーなので、がん細胞を提供してもらう際は、国の指針に沿ってインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)を徹底する。
計画の中心になっている東大分子細胞生物学研究所の鶴尾隆所長は「効き目が乏しい薬を排除し、有効な薬を患者ごとに推定できるようになれば、がん治療の姿が大きく変わる」と話す。
●オーダーメード治療
1人ひとりの遺伝情報には違いがあり、働方にも差がある。酒に強い人と弱い人が入るように同じ薬でも効き目は違ってくる。遺伝子を調べて副作用や効果の有無がわかれば、体の寸法を測って服を仕立てるように、その人にぴったりの薬を選べる。ここ数年、解析技術が急速に進歩し、21世紀の医療と期待されている。
現在は原則2週間までとしている一般の内服薬や外用薬の投与制限が4月から廃止される見通しとなった。厚生労働省が30日の中央社会保険医療協議会で方針を示した。慢性病など症状の安定した患者が、薬を出してもらうためだけに頻繁に医療機関へ行かなくても済むようにし、処方回数を減らして医療費を節約するねらい。ただ、医療機関が必要以上にたくさんの薬を出すと逆に医療費のむだにつなかる恐れもある。
同省は「画一的な規制より患者の状態に応じて各医師の判断に任せることにした」(医療課)としている。長期投与を認めない薬は、麻薬や向精神薬などに限定する方針だ。
静脈への点滴針と「生食」使用法 菌混入の原因で浮上 世田谷の病院 |
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東京都世田谷区の伊藤脳神経外科病院で入院患者7人が死亡した間題で、世田谷保健所は疫学調査の「中間報告」を22日、公表した。この中で、点滴のために静脈に針を刺したままにする「静脈留置針」と、血液が固まるのを防ぐ「ヘパリン生食(生理的食塩水)」へのセラチア菌混入によって起きた可能性が高いとの見方を示した。また東京都は、患者
から検出された菌の遺伝子解析結果が一致するとともに、点滴用の医療器具などからも菌が検出されたと発表した。
世田谷保健所の対策委員会と専門調査班は、今月16日の立ち入り検査時から、関係者からの聞き取りとともに疫学調在査を続けた。その結果、点滴の中に入れて投与する「ヘパリン生食」と呼ばれる薬剤が感染原因のひとつとの見方を示した。
本来は低温で保存して一日で使い切ることが望ましいものを、この病院では一度に大量にヘパリン生食をつくり、余った分をナースステーションで常温でつるし、複数の入院患者に使用していた。ときには3〜4日にわたってつるしていたこともあった。
ヘパリン生食の投与を受けた患者と、「静脈留置針」で点滴を受けていた患者の発症率が、尿カテーテルなどほかの治療を受けた患者の発症率に比べて極めて高かった。病院には、患者の汚物を処理する部屋に手洗いの設備がないなど「衛生面に問題があった」(世田谷保健所)という。
さらに感染が相次いだのは、看護態勢が手薄な年末年始の直後だった。保健所の聞き取り調査では、「あらゆる清潔操作について時間的余裕がなかった」という趣旨の税明を看護婦らがしたという。保健所側は、院内の清潔を保てなくなった一つの原因は看護婦らの忙しさだったとみる。
また、都衛生研究所によると、医療器具、看護婦の手などから採取した152検体を調べた結果、輸液のチューブを枝分かれさせる器具「三方活栓」▽ナースステーション内で使つていた手洗い用タオル▽傷口などの感染防止のために皮膚に張る医療用フィルムーの3点からセラチア菌が見つかった。
同時に、都衛生研は、発熱などの症状を示した 入院患者12人から採取した血液や痰の培養検査を進めてきた。その結果、10人からセラチア菌が検出され、そのうち7人の菌のDNAパターンが一致したという。 |