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腸閉塞を放置 男児死亡 葛飾・東部地域病院

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東京都内の病院で今年3月、5歳の男児が亡くなった。腸がねじれて急激に悪化する腸閉塞だった。苦しむ子が病院に運ばれたのは朝。家族や看護師は何度も「早く診て」と訴えたが、当直医は「待たせておいて」と放置した。容体が悪化するなか、日勤の医師も昼過ぎまで、一度も病室を訪れなかった。小児救急の充実をめざす病院で起きた出来事だった。
東京都葛飾区に住む保育園児、豊田理貴ちゃんが苦しみだしたのは、父親の実家に泊まりに行った3月9日未明、日曜日のことだ。
急におなかを抱えて「痛い、痛い」と泣き始めた。母親(35)がみると、腹部がパンパンにはれている。午前4時半ごろ、近くの東京都保健医療公社「東部地域病院」に運んだ。以前、治療を受け、休日でも小児科が診てくれるので選んだ。いったんは痛みが治まったので、家に戻ったが、はれが引かない。心配で再び病院に連れて行ったのが午前7時半。顔は真っ青。苦しいのか、何度も寝返りをうった。
だが、当直の小児科医はなかなか現れない。看護師が当直室に3度、連絡した。看護師が気づいたことをつづっておく「状況報告書」にはこう記されている。
看護師 顔色が悪くおなかもふくれている。待てそうにないのですが。
当直医 なに考えている。待たせておいて。病棟処置中とか言ってさ。
3分後、再び電話。
看護師 すぐ診ていただけませんか。
当直医 いいから待たせておいて。
さらに10分後。
当直医 いま顔洗っているから。
医師が珍察した時刻は「午前8時前」。
母親によると、腹部のX線撮影などをした後、理貴ちゃんを診察した。
「腸が詰まってガスがたまっている。もう一度浣腸して検査しましょう」
と言い残して、部屋を出た。点滴、通常の浣腸以外の処置はなかった。
当直医はその後、一度も様子を見に来ず、午前11時ごろに帰宅した。日勤の小児科医に「重い腸閉塞の子がいる」と引き継いだが、X線写真は見せていなかった。
理貴ちゃんの容体は次第に悪化した。
突然、起き上がろうとする。「ハアハア」。息が荒い。母親が「痛くない?」と聞くと、「痛くない」。ニッコリほほ笑む。我慢強い子だった。
やがて、「アリさんのおうちが見える」。うわごとだった。天井に手を伸ばし、何かをつかもうとする。
母親が看護師に「先生に伝えてください」と訴えたが、医師は来ない。午後1時半すぎ。急に口と鼻から、液状のものを吐いた。黒茶色。呼吸が弱まる。看護師が医師を呼びに走った。
日勤の医師が駆けつけた。パジャマをまくりあげると、下腹部がどす黒く変色していた。内出血だ。薬剤投与に心臓マッサージ。一時、持ち直した。が、午後4時すぎ、亡くなった。死因は司法解剖で、絞扼性レイウス(腸閉塞)と判明した。
家族はX線フィルムを病院から入手した。下腹部に、ふつうではあり得ない水平な線が何本も写っている。腸閉塞の証拠だ。大量のガスが充満していることは、カルテに書かれている。
本紙記者が複数の小児科医にX線写真をみてもらった。「重い腸閉塞の場合、鼻から管を入れてガスを抜くか、高圧浣腸で様子をみる。だがこれだけたまったら、すぐに手術を検討するケースだ」と指摘した。
救急外来の看護師は報告書に医師を非難する言葉を残した。「迅速な対応をしてほしかった」
病院側は、その日の当直の状況や引き継ぎなどについて調べている。

診療体制を見直したい
 鈴木謙三・東部地域病院長の話
当初はベストを尽くしたと考えていたが、内部調査で医師が入院から急変までの間、回診に行けなかったことなど至らない点が明らかになった。ご家族におわびするとともに、病院の診療体制を見直し、医師をはじめとした医療スタッフの対応が適切だったかどうかについて今後検討していきたい。
東部地域病院 病床300。葛飾、足立、江戸川等東部5区の中核病院として90年7月に、東京都葛飾区亀有5丁目で開業。都の外郭団体「都保健医療公社」が運営する。診療科は内科、小児科、脳神経外科など13科。小児中心の救急外来の充実を掲げている。

2型糖尿病男性の「歩く速さ」と総死亡率が相関−−米コホート研究

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2型糖尿病の男性では、速足で歩く人の方が、ゆっくり歩く人よりも死亡率が低い−−。米国の男性医療従事者が参加したコホート研究から、こんな興味深いデータが得られた。2型糖尿病の男性2800人を14年間追跡した結果で、歩くペースが速い人は、1日に歩く時間とは無関係に、冠動脈疾患の発症率だけでなく総死亡率も低かったという。研究結果は、Circulation誌5月20日号に掲載された。
この研究は、「HPFS」(Health Professionals' Follow-up Study)と呼ばれる、男性医療従事者によるコホート追跡研究。男性医師による「Physicians' Health Study」に対抗する形で1986年にスタートしたもので、参加者の6割を歯科医師、2割を獣医師、1割を薬剤師が占める。今回は、参加時に30歳以上で糖尿病を発症しており、かつ歩行などに不自由がない2803人を解析対象とした。
追跡期間中に355人が死亡し、266人が冠動脈疾患(CVD)を発症したが、総死亡やCVDリスクは身体活動性と負の相関があった。これは他の疫学研究でも報告されている通りだ。また、歩行量は総死亡とのみ、負の相関がみられた。
面白いのは歩く速度別の解析で、年齢や体格指数(BMI)に加え歩行時間で補正しても、ゆっくり歩く人(時速3.2km未満)よりも速く歩く人の方がCVD発症率や総死亡率が低いことがわかった。ゆっくり歩く人のCVD発症率を1とすると、普通(時速3.2〜4.7km)、速足(時速4.8〜6.3km)、超速足(時速6.4km以上)の人では、CVD発症率が順に0.82、0.58、0.17となった。死亡率も同様に、0.59、0.62、0.42となり、速く歩く人の方が総死亡率が低かった。
“超速足”で歩くのはなかなか難しいかもしれないが、普通〜速足程度なら、日常生活でも実行できる範囲。2型糖尿病の人は、これからはできるだけ速く歩くことを心掛けた方がよさそうだ。
この論文のタイトルは、「Physical Activity in Relation to Cardiovascular Disease and Total Mortality Among Men With Type 2 Diabetes」

薬投与、医師の表記バラバラ 医療事故の一因?厚労省調査班「標準化を」

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薬の投与量の書き方が、同じ病院や同じ診療科の医師の間でも違うことが厚生労働省の研究班(主任研究者・上原鳴夫東北大教授)の調査でわかった。医師によって書き方が違うと、看護師や薬剤師の読み取りに負担をかけ、誤投与を誘う恐れがある。研究班は「標準化が重要な課題」と指摘している。
大学病院や国公立病院、民間病院の計7病院を対象に調査。よく使われる24の薬について医師が投与量、希釈方法、薬剤名などをどう表記しているかを医師、薬剤師・看護師双方に尋ねた。
投与量の表記は、1アンプル(A)の容量が2ミリリットル(ml)の注射剤(含まれる成分量10ミリグラム=mg)を使って成分5ミリグラムなどと様々。容量と成分量を併記する例もあった。
具体的な薬で見ると、強心剤のドブタミン投与量の表記法は、最少の病院で3種類、最多で15種類。15種類あった病院では、1分当たりの量、1時間当たりの量、患者の体重1キロ当たりの量などを組み合わせていた。血圧を上昇させる作用のあるドパミンだと、4〜14種類。筋弛緩剤サクシニールコリンは2〜5種類でばらつきが比較的小さかった。
生理食塩水などで薄めて点滴で投与する薬の指示方法もまちまちで、薬と生理食塩水の合計量なのか、生理食塩水だけの量なのか、わかりにくい例があった。薬剤名は、一般名で書く、商品名を使う、略称を使うなどだった。
研究班は原因について「処方表記は統一されておらず、医師が卒後の臨床研修を受ける施設で安全性の観点から教育を受ける機会が少ないのではないか」と分析している。

市販かぜ薬で副作用か 間質性肺炎96年から28人

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一般用のかぜ薬で、副作用とみられる間質性肺炎を起こしたとの報告が96年から28人に上っているとして、厚生労働省は30日、薬の添付文青などの「使用上の注意」に、この副作用を記載していない15社の42品目(同一成分で名称が異なるものも含む)の商品名を公表した。15社に対しては使用上の注意を改めるよう指示し、購入者にきちんと説明するよう業界団体にも要請した。
厚労省によると、間質性肺炎を発症したのは10代から80代。ほぼ全員が入院して治療を受けたが、重い症状の人はいなかつた。42品目にはそれぞれ複数の成分が含まれ、共通する成分もないことから、原因の成分はわかっていない。間質性肺炎が起きるのは「極めてまれ」としている。
厚労省は、間質性肺炎の初期症状が、空せきや息切れ、発熱などで、かぜの症状と区別しにくいことから、注意を呼びかける必要があると判断した。5、6回飲んでも症状が改善しない場合は、医療機関にかかることを勧めている。
42品目の年間売上高は一般用かぜ薬全体の約7割りにあたる約700億円という。公表された42品目は以下の通り。
【大正製薬】パブロンゴールド錠、パブロンゴ
ールド〈微粒〉、パブロンS、パブロンA、パブロンS錠、パブロンA錠、パブロンSカプセル、パブロンSゴールド微粒、パブロンSゴールド錠【エスエス製薬】工スタックイブ、エスタックEVE錠、エスタックイブ顆粒【日本薬品工業】ユアドック・アイ、メディフォース・アイ、ダンイズ【科研製楽】イベック総合感冒薬(錠)、ルッケル総合感冒薬(錠)、ジルナール総合感冒薬(錠)【資生堂】ルッケル総合感冒薬(カプセル)【ロート製薬】ユア1B(錠)、ロートIB(錠)【堺化学工業】改元【佐藤製薬】ストナプラス2顆粒、ストナプラス2【三共】新ルルエース、新ルルーA錠、新ルルA錠、新ルルAゴールド【皇漢堂製薬】総合感冒薬「クニヒロ」【住友製薬】コンタック総合感冒薬キャプレット、コンタック総合感冒薬(カプセル)【全薬工業】新ジキニン顆粒【第一薬品工業】カイゲン感冒カプセルα、カイゲン感冒カプセル「プラス」、カイゲンゴールドカプセル、カゼゴールドエース【武田薬品工業】ベンザブロック錠、ベンサプロツク、ベンザブロックIP、ベンザブロックIP錠【富士薬品】新ジキナエース、ハヤナエース

受動喫煙は「免疫に影響」動脈硬化症進む可能性も

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喫煙者の煙を吸う受動喫煙は人体の免疫系統に影響を及ぼす、とう研究結果を、独立行政法人・産業医学総合研究所(川崎市)と筑波大学の研究グループが導き出した。グループは研究結果を基に、「職場の分煙化が非喫煙者の病気予防に役立つ」と指摘する。
産業医学研・筑波大のグルーブ研究
同研究所の中田光紀研究貝(医学博士)らと筑波大・社会健康医学研究室の谷川武・助教授のグループは、分煙されていない職場の男性社員675人の協力を得て、喫煙や受動喫煙の有無について質問し、採血した血液成分との関連を調べた。
受動喫煙は、「自分の席の近くで(家では同じ部屋で)喫煙する人がいるかどうか」の回答によって分類した。
1、喫煙者(363人)
2、受動喫煙者(118人)
3、受動喫煙のない人(35人)
4、過去に喫煙歴のある人(159人)の4グループに分け、免疫全体をつかさどるヘルパーTリンパ球(CD4+)の数を調べた。
その結果、受動喫煙のない人の場合、血液1立方ミリあたり平均425個だったのに対し、受勤喫煙者は557個で、l.3倍。さらに喫煙者は756個で、l.7倍だった。他のリンパ球や総白血球の数でも、喫煙度合いの高い人ほど数が多い傾向が見られた。
研究をまとめた中田研究員は「喫煙は動脈硬化を促進する強い因子として知られている。今回の結果から、受動喫煙の機会が多いと、リンパ球系を介して炎症や免疫反応が高まり、動脈硬化症の進展に影響する可能性がある」と説明する。

東大医学生、自ら学ぶ医療過誤 「ひとごとではない」危機感持ち企画・発表

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東大医学部の学生たちが31日からの五月祭で「医療過誤」について発表する。東大病院では今月10日、大動脈瘤の手術を受けた患者が血管を傷つけられ死亡する事故があったばかりだが、医療ミスや医療裁判について授業では教わらない。「自分たちが医師になるときにはひとごとではない」と危機感を持ち、企画した。
31日からの五月祭で
4年生の坪倉正治さん(21)が提案、同級生108人のうち、藤田卓仙さん(23)ら32人が集まった。スライドと約150ページの資料を使い、発表する。
東大病院は4月以降でも3回の医療ミスなどがあり、記者会見が開かれた。だが、授業で対応や防止策を教わる機会はない、と坪倉さんはいう。「医学部生でさえ何も知らないのが現状。今後も勉強会という形で活動を続けたい」。
「発表は医学部企画の講演「科学的思考ノススメ」の一部として6月1日午後1時から東京都文京区の東大医学部医本館大講堂で。無料。

富士見病院訴訟 医師側の控訴を棄却 元理事長との「共謀」認定

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埼玉県所沢市の富士見産婦人科病院(破産)による乱診乱療で、不要な手術をされて子宮や卵巣を摘出されたとして、元患者の女性や遺族ら63人が当時勤務していた医師4人に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。森脇勝裁判長は、総額5億1400万円余の支払いを命じた一審・東京地裁判決を支持し、医師側の控訴を棄却した。
判決によると、同病院では、医師の資格がない北野早苗元理事長(77)が73年から80年にかけて、多数の女性患者にME(超音波断層診断装置)検査を実施。必要もないのに女性を入院させたうえ医師に指示して健康な臓器を摘出する手術をさせていた。
森脇裁判長は、医師らの役割について「元理事長の診断が医学的に極めて疑わしいことを認識したうえで、少なくとも暗黙のうちに元理事長に従い、医療行為を分担していた」と認定。元理事長との「共謀」を否認した医師らの主張を退け、元理事長の「診断」を前提に行われたすべての医療行為について、医師にも賠償責任かあると判断した。
東京地裁は99年6月、病院のほか北野元理事長、妻で医師の千賀子元院長(77)ら計7人に賠償を命じた。元理事長と元院長は控訴せず、病院側は控訴したが取り下げた。医師の1人とは和解しており、控訴審が命じた実際の賠償額は、和解金を除く3億6400万円余となる。

被害者「勝って当たり前…」
一審に続く勝訴判決を受けて記者会見した被害者同盟代表の小西熱子さん(51)は「犯罪性をはっきりさせたい気持ちでやってきた。勝って当たり前です」と話した。小西さんは24歳のときに卵巣を切除された。乱診乱療の発覚からすでに23年。提訴から数えても22年かかった。訴訟中に亡くなった人や、後遺症で判決を聞きに来られない原告もいた。
弁護団によると、裁判の長期化は、刑事事件の捜査や公判が長引き、原告側の証拠入手が遅れたことが影響している。
原告の一人、大野陽子さん(57)は「医療行為でないなら犯罪行為だ。今さらながら、そういうことをされたのは悔しい」。

杏林大学病院側に損害賠償命令 過失認め1億7000万円

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「肺炎で入院した娘が医師の過失で植物状態になった」として、東京都三鷹市の両親が杏林大学医学部付属病院側に約2億3800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。福田剛久裁判長は「医師は人工呼吸すべきだったのに怠った」とし、病院側に1億6916万円の支払いを命じた。
判決によると、2人の娘(27)は大学生だった97年5月に肺炎で同病院に緊急入院。5日目に呼吸停止による脳障害を起こし、現在も植物状態が続いている。
福田裁判長は、呼吸筋の疲労蓄積による呼吸停止が予測できたのに、担当医師は呼吸停止時に他の病院で勤務していたと指摘。「急な呼吸停止に備えた態勢を取らず、人工呼吸器を装着させることも示しなかった」と医師の過失を認めた。

重大ミスは公表の方針 自治医大病院

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医療ミスの再発防止策を検討してきた自治医科大学付属病院(栃木県南河内町、布施勝生病院長)は、患者が死亡するなどの重大医療事故を報道機関に自主的に公表する方針を固めた。6月に正式決定し、早期の連用開始を目指す。外部に公表することで院内の危機意識を高める狙い。
公表の対象となるのは、医療過誤で患者が死亡したり、重い障害が残ったりした場合や、病理解剖で過誤による死亡の疑いがあると病院が認めたケース。

高額医療費払戻し 高齢者4割受けず

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東京都内で、医療費の払い戻しを受けられる高齢者の4割が手続きをしていないことが、東京保険医協会の調査でわかった。通知がなくて払い戻し対象になっていることを知らなかったり、役所に出向かなければならなかったりする煩雑さが原因とみられる。全国保険医団体連合会は近く全国調査をする。
昨年10月、医療費の自己負担が限度額を上回った場合に市町村の窓口で超過分の払い戻しを申請する「高額医療費制度」が75歳以上に導入された。東京保険医協会は昨
年10月分を対象に、経過描置として同制度の対象者になっている70〜74歳の年齢層も含めて都内49の自治体に手続き状況を問い合わせた。
回答があったのは29区市で、払い戻し対象5万4985人のうち、手続きをしていない人は40%にあたる2万2101人だった。29区市のうち21が額についても回答。払い戻し対象者3万3304人の払い戻し予定額は約2億3305万円で、手続きをしていない1万2173人の未払い額は7713万円にのぼった。払い戻しの通知をしない自治体もあり、対応にばらつきが目立った。
また、青森県保険医協会が1月末時点で同様の調査をしたところ、手続きをしていない人が60%に達し、長崎県保険医協会の調査(2月末時点)でも43%を占めた。
同制度についての問い合わせは市町村の老人医療の担当課へ。

【診療報酬】再診料の逓減制を廃止、病院58点、診療所73点に、6月1日施行へ

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 一月の受診回数が多くなるほど診療報酬の点数が減少するという再診療の逓減制は、廃止されることが決まった。5月21日の中央社会保険医療協議会で正式に決着した。逓減制の廃止により、新しい再診療は、病院の場合58点、診療所の場合73点に、それぞれ一本化される。6月1日からの施行となる。
 現行の再診料は、病院が、月の1回目は65点、月の2回目と3回目は59点、月の4回目以降は30点となっている。新しい点数では、これが月の回数に関係なく、毎回58点となる。
 同様に診療所の場合は、月の1回目が81点、月の2回目と3回目が74点、月の4回目以降が37点。これが新点数では73点に一本化される。
 再診料には、外来管理加算(月の3回目まで52点、4回目以降は26点)や老人外来加算(病院の場合、月の3回目までは47点、4回目以降24点。診療所の場合、月の3回目まで57点、4回目以降29点)があるが、これらも逓減制を廃止し、外来管理加算52点、老人外来管理加算(病院47点、診療所57点)に簡素化される。
 また、外来診療料も、月の1回目77点、月の2回目以降35点となっているが、これが68点に一本化された。

医薬品卸3強時代に、福神・アズウェルが経営統合へ

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医薬品卸業界第3位の福神(東京都千代田区)と同4位のアズウェル(大阪市)は、5月20日持ち株会社の設立による経営統合を発表した。両社の2003年3月期の予想売上高(連結)合計は、約9800億円。既に、決算を発表済みのクラヤ三星堂(東京都中央区)の1兆2745億円、スズケン(名古屋市)の1兆602億円に続き、3番目の売上高1兆円規模の医薬品卸の誕生となる。
両社は、今年2月に他社も含め共同で医薬品の情報提供会社を設立、いずれ合併へと進むものとみられていた。アズウェルは近畿・東海を基盤とし、福神は首都圏に強いことから合併により相互補完のメリットも生じる。医薬品卸業界はこれで3強体制となり、第4位以下は大きく水をあけられた格好になる。

東大病院で手術ミス75歳死亡

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東大付属病院(東京都文京区)で胸の大動脈瘤の手術を受けていた東京都江東区の無職男性(75)が、誤って大動脈を傷つけられて翌日に死亡していたことが分かった。病院側はミスを認めて遺族に謝罪し、警視庁に届けた。同庁は業務上過失致死の疑いもあるとみて、司法解剖して死因を特定するとともに病院側から事情を聴いている。
本富士署によると、男性の手術は9日に、開胸手術ではなく、網目状の金属製器具「ステントグラフト」を血管中に挿入する方法で実施された。ステントグラフトは大動脈瘤の壁を補強し、破裂を防ぐ器具。
手術は50代の男性医師が担当した。男性の足の付け根の動脈からステントグラフトを詰めた管を挿入した。患部近くで管の挿入を滑らかにするために先端に取り付けたプラスチック製の器具が外れたが、医師はそのままさらに数センチ挿入を統行。その後、男性は大動脈からの出血がひどくなり、10日午前に死亡した。

咽頭結膜熱が3週連続増加、過去10年の最高値に

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 国立感染症研究所は5月12日、2003年第17週(4月21日〜4月26日)の感染症発生動向調査を発表した。それによると、咽頭結膜熱の定点当たり報告数(医療機関当たりの平均患者数)が3週連続で増加して0.16(前週は0.13)と、過去10年間の最高値になった。都道府県別では、滋賀県(1.3)と福井県(1.0)が多い。A型溶血性レンサ球菌咽頭炎も3週連続増加、過去10年間では2000年に次ぐ高値。富山県(5.5)、山形県(3.0)、石川県(2.7)が多い。手足口病は5週連続増加で、報告数は少ないが夏に向けて流行初期に差しかかってきた。風疹は全国的には過去10年間で最低レベルに近いが、岡山県だけ飛び抜けて多く、全国の報告数の半分(110中54)を占めている。
 また、病原微生物検出情報(月報)の速報として、1999年以前には分離されていなかったemm49型Streptcoccus Pyogenesによる劇症型/重症溶血性レンサ球菌感染症が5例(2000年に1例、2001年3例、2003年1例)発生したことが報告されている。
 全数報告の対象となる感染症については以下の通り(5月1日集計分)。
 1類感染症:なし。
 2類感染症:細菌性赤痢3例、腸チフス1例。
 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症6例(うち有症者5例)。
 4類感染症:アメーバ赤痢6例、ジアルジア症5例、ツツガムシ病3例、レジオネラ症3例、急性ウイルス性肝炎4例、後天性免疫不全症候群5例、梅毒8例、マラリア1例。
 詳しくは、感染症発生動向調査週報まで。

厚生労働省、医薬品・医療用具等安全性情報第188号を発表

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 厚生労働省は4月30日付けで医薬品・医療用具等安全性情報第188号を発表した。内容は、1.ゲフィチニブにおける市販後安全対策について、2.カチフロキサシン水和物による重篤な低血糖・高血糖について−−の2項目。概要は以下の通り。
 詳細については、厚生労働省のホームページまで。
1.ゲフィチニブにおける市販後安全対策について
 ゲフィチニブ(イレッサ錠250)が2002年7月5日に承認後、11月25日までの5カ月間に、急性肺障害や間質性肺炎などの副作用症例が291例(うち死亡81例)が見られたため、実施されてきた通知、対策などをまとめたもの。
 これには、1)緊急安全性情報の配布、2)安全性問題検討会開催、3)製造元であるアストラゼネカ社への安全対策指示、4)日本医師会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会への協力要請などの通知内容を含む。
2.ガチフロキサシン水和物
 合成経口抗菌剤のガチフロキサシン水和物の投与と関連性が否定できない重篤な高血糖症例14例と低血糖症例75例が報告され、うち、糖尿病患者が低血糖58例、高血糖11例だったため、糖尿病患者を「禁忌」としたほか、糖尿病患者以外でも重篤な高血糖、低血糖が起こる可能性などについて、緊急安全性情報の配布や添付文書の改訂の内容と経緯をまとめ、5症例を紹介している。

「脳疾患見逃し死亡」賠償求め国を提訴

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群馬県渋川市金井の国立療養所西群馬病院に入院し、転院後に死亡した同県子持村内の女性(当時36)の夫(41)ら遺族が6日までに、「脳血管疾患を医師が見逃したのが死亡した原因だ」として国を相手取って逸失利益など約8680万円の損害賠償を求める訴訟を前橋地裁に起こした。
訴状によると、女性は01年11月末ごろから頭痛や吐き気といった症状が出て、同年12月10日に西群馬病院で診察を受け、急性胃腸炎と診断されて入院した。女性は数日後、右半身のしびれや意識障害を訴え始め、02年1月16日に多臓器不全に陥り、翌日に転院。転院先で脳梗塞(こうそく)がみつかり、2月9日に多臓器不全の進行などのために死亡した。
遺族らは「しびれや意識障害などから脳血管障害を疑うべきなのに、担当医がこれらの症状を無視、あるいは見逃したため、適切な治療を受けることができずに、死亡した」と主張している。

防衛医大病院のミス、国に支払い命令

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網膜剥離の手術が遅れたために視力が低下したとして、防衛医科大学校病院(埼玉県所沢市)に入院していた東京都東村山市の男性医師(82)が国に約9769万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。片山良広裁判長は「緊急手術をすべきだったのに放置した過失があった」と述ベ、2734万円の支払いを国に命じた。
判決によると、男性は右目に白内障を患い、98年8月に同病院で手術を受けた。同年9月9日に同じ右目に網膜剥離が見つかったが、再手術が行われたのは同月14日になってからだった。その結果、9日の時点で0.2だった視力は0・04まで低下し、視野も狭くなった。執刀医は11日から13日まで学会に出席しており、判決は「学会から戻って直ちに緊急手術をすべきだった」と述べた。

モルヒネ錠剤 薬剤師が譲渡容疑 近畿衛生局逮捕

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医療用の麻薬で末期がん患者らの激痛緩和薬として処方されるモルヒネ錠剤を持ち出し、知人に譲渡したなどとして、近畿厚生局麻薬取締部が、大阪市生野区中川1丁目、薬剤師西谷伸悟容疑者(40)ら3人を麻薬取締法違反(所持、譲渡)の疑いで逮捕していたことが、30日わかった。モルヒネ錠剤は薬局で厳重な管理が義務づけられており、乱用目的での流出が判明したのは、医療麻薬として承認された88年以来初めて。
ほかに逮捕されたのは、大阪市西区南堀江1丁目、不動産会社社長山名英介容疑者(40)と岡山市の会社貝(40)で、3人は中学校時代の同級生だった。
調べでは、西谷容疑者は99年1月と7月、当時勤めていた奈良県生駒市内の薬局で、未期がん患者の遺族が返納した未使用分のモルヒネ錠剤「MSコンチン錠」計約120錠を受け取ったのに、薬局の責任者に申告せず、台帳に記載しないまま自宅に持ち帰った疑い。今年1月このうち6錠を山名容疑者らに無償で譲った疑い。
西谷容疑者は「知人や女性に無償で譲った」などと供述。同取締部は、数十錠を知人らに譲った疑いがあるとみている。
モルヒネは劇薬の麻薬で、即効性のある鎮痛剤として知られる。錠剤は効果が半日程度持続することから、乱用される危険性も指摘されている。

造影剤投与ショック死 病院側に5252万円を命じる

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造影剤の注入で夫がショック死したのは病院側の過失だとして、死亡した横浜市の男性(当時39)の妻が日本医科大学(東京都文京区)と担当医師を相手に7392万円の損害賠償を求めた訴松の判決が25日、東京地裁であった。前田順司裁判長は「医師には問診をまったく怠った重大な過失がある」と述べて病院側に5252万円の支払いを命じた。
判決によると、注入されたのは、ヨード造影剤で、アレルギー体質によってショック死することがあるという。
男性はのどの痛みのため同大付属第二病院に通院。00年9月にCT検査を受けるためにこの造影剤の注入を受けたところ、副作用でショック死した。判決は、男性の父親も造影剤注入が原因で死亡した可能性があったことを指摘し、「問診をしていれば検査を中止し、死亡を避けられた」と結論づけた。

医師説明不足、子供に遺伝病 慰謝料など1760万円命令

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長男が遺伝性の病気を持つ東京都町田市の夫婦が、医師から「今度は遺伝の心配はない」と説明されて産んだ三男にも障害があり、過大な養育負担を余儀なくされたとして、この医師が勤めていた日本肢体不自由児協会(東京都板橋区)を相手に計1億6千万円余の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。
前田順司裁判長は「不確かな説明をして、子供をもうけるか否かという自己決定に不当な影響を与えた」と述ベ、慰謝料など計1760万円の支払いを命じた。
前田裁判長は「健常児よりも出費がかかることを損害と認めることは、三男を負の存在と認めることにつながり、そのような判断は躊躇せざるを得ない」と述ベ、介護費用を損害として認容しなかった。
判決によると、長男はPM病と呼ばれる中枢神経系の進行性の病気で、重い運動障害などがある。夫婦は94年、次の子をもうけるかどうか、この医師に相談。医師は「発病は交通事故程度の確率」と答えたが、母親が保因者の場合、男子だと2人に1人の確率で発病することか当時、医学界ではわかっていた。次男は健常児だったが、99年に産んだ三男もPM病で、車いすで生活している。

医療費の過剰請求と払い過ぎレセプト電子化の具体策見えず

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医療費の過剰請求、被保険者(患者)が実際より支払いすぎているとされる「減額査定」は年間約1000億円に達している。しかも、診療報酬請求の過程(医療費の査定を含むお金の流れ)で、組合が本人に通知するよう求めている減額査定「1万円以上」のケースでも、実際に保険者が被保険者に通知しているのは半分にも満たない。医療費本人負担が3割に引き上げられ、厚生労働省も診療報酬明細書(レセプト)の電算処理化方針を打ち出しているが、レセプトの不明朗さは改善されていない。

■保険者の6割、過剰請求通知せず
病院などで診療を受けたとき、検査や薬など診療項目の横に点数が付けられた用紙を見ることができる。それがレセプトを簡略化したもので、病院など医療機関は、1カ月分の単位で患者ごとに診療行為とその点数(診療報酬額を算定)をまとめ、自己負担をのぞいた金額を健保や国保組合など保険者に請求する。
その際、医療機関と保険者の間に、診療報酬請求が適確かどうかを判断する審査支払業務を行う機関が介在して、レセプトの内容を審査している。この機関は、健保組合などの保険者が対象の社会保険診療報酬支払基金(支払基金)、国保保険者などに係る国民健康保険団体連合会(国保連)に分かれる。支払基金は厚労省の外郭団体(特殊法人)で、国保連は市町村が会員となって組織している法人。ともに、実際の審査は医師などが行う。
この段階で過剰請求が分かった場合、減額査定される。厚生労働省は、過剰請求が1万円以上のケースでは、保険者から被保険者に通知するよう要請しているが、実際に通知している保険者は40%程度という。保険者の業務としての規定がなく、業務の負担増などを理由に行われていない。
通知は通常の業務外のサービス行為であって「本来の業務ではない」という、考え方が強いからだ。元々規制があるわけでもなく、被保険者と保険者の関係自体を見直さなければ、改善されるめどはないかもしれない。
健保などの保険者にはレセプトの内容を判断して、チェックできる要員はほとんどいないという。ビジネスにならない通知などよりも、支払基金や国保連からの請求が正しいかどうかを専門業者にチェックしてもらい、レセプトに誤りがないか、支払義務があるかを検討する方が大事なのだ。こうした、レセプト点検代行業者は大手4、5社にほぼ集約されている。

■レセプト年15億件弱、不備は1%
実際に、支払基金と国保連で取り扱うレセプトの枚数は、01年度約14億7000万枚に達している。膨大な量である。レセプト請求額は約30兆1700億円。厚労省によると、レセプト全体のうち、記入漏れなど事務的な不備とされるものが約0.11 %、審査の結果不備になったものが約1%。請求額ベースでは過剰請求額1000億円で、全体の約0.33%に当たる。
具体的には、10日間の入院で心電図の検査を60回行ったケースや、1日の採血検査回数が2ケタだったり、薬剤量が通常では考えられない回数、分量の単位になっている場合など。こうした事例は判断しやすいが、疾病によっては検査の幅や投薬の幅なども広く、判断しにくいことも多々あるという。
さらに問題になるのが、すでに薬を使ってしまっている場合などで、実際に消費されているものに対する過剰請求がむずかしい点だ。実際の事例は把握できないが、話し合いで解決できなければ民法上の問題になることも考えられ、善意か悪意といった判断も必要になってくるという。
実際は、被保険者側が医療機関に申し出れば、払い過ぎの金額を返却するケースが

■病院レセプトの電子化、04年度に5割が目標だが…
電子化が進んでも、レセプトの診療行為に関するシビアな判断はペーパー上で行わざるをえないとみられている。しかし、紙のレセプトに代えてデジタルデータと電子媒体を利用すれば業務効率が向上する分野も多い。
医療機関と支払基金などに電算処理システムを導入すれば、レセプトの入院、入院外、家族、本人の仕分けがスムーズになり、審査支払機関の事務点検で医療機関の記入漏れや算定誤りなどが、瞬時に判断できるようになる。さらに現在各診療機関で独自に作っている診療行為や疾病、薬剤などの分類コードを統一、標準化できれば、より処理能力が高まると見ている。将来的にはオンラインによる請求も検討されている。
厚生労働省は01年12月、レセプト電算処理システムを04年度までに全国の病院レセプトの5割以上、06年度までに同7割以上にするとの目標を設定している。レセプト電子化で、手作業によるミスの防止や処理の効率化が飛躍的に進むことは推定できるが、現在の病院レセプトの電子化導入率は約2%。医療機関が投資増などを理由に積極的でない実情などを考えると、当面「環境整備を整えていく」という厚労省の対応策では、目標をクリアできるとは考えにくい。
厚労省は、今年1月から3月、東京都内の6医療機関、2薬局、3健保を対象にオンラインを利用したレセプト電子化の試験を実施。今夏をめどに、成果や課題をまとめ、今後の施策に生かすとしているが、まだ浸透させるための具体的施策は見あたらない。
一方、被保険者(患者)側は、払い過ぎが分かっても、報告されるのが数カ月も経過して完治していたり、死亡していたりしたのでは返還請求しにくい。、以前かかった医師には、今後も治療してもらう可能性があるため、請求をためらうことも多い。

■医療費の払い過ぎ1000億円はどこに
ただ、患者サイドも電子カルテの情報開示など、一部で医師や医療界に自らの権利を主張し始めている。1000億円(患者本人の払い過ぎはおよそ200億円から3 00億円)はどこに消えたのか、という素朴な問いを、診療報酬請求の仕組みを構成する被保険者、医療機関、審査支払の機関、保険者は検討すべき時期にきている思う。
すでに、健保に代わってレセプトの点検を行ってきた企業の一部が、4月からの本人負担の増加を機に、点検サービスを本人負担分に拡大。健保組合から取り寄せたレセプトをチェックし、ミスがあった場合は病院に確認し、健保組合を通じて払い戻し請求をサポートするなどの統合サービス事業に乗り出すという。
[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/

厚生労働省、医師国家試験の合格発表、合格率は90.3%

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厚生労働省は4月24日、第97回医師国家試験の合格発表を行った。受験者数8551人に対して合格者数は7721人、合格率は90.3%だった。合格率は、試験が年1回になった1985年以降では、95回、96回の90.4%が最高。今回は若干及ばなかったが、3年連続の90%を超えた。

うつぶせ寝死、看護士有罪 病院の責任も指摘 東京地裁

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東京都目黒区の東邦大医学部付属大橋病院で95年1月、生後3日の新生児をうつぷせ寝にして呼吸困難に陥らせ、約7カ月後に死亡させたとして、業務上過失致死の罪に問われた当時の担当看護師兼助産師の川島三幸被告(36)の判決が18日、東京地裁であった。山崎学裁判長は「うつぷせ寝にしたまま乳児を放置した注意義務違反があるが、15人前後の乳児を1人で看護させた病院の体制にも遠因がある」と述べて罰金40万円(求刑禁固8カ月)を言い渡した。
うつぶせ寝にした乳児を死なせたケースで、保育所経営者らに同罪の成立を認めた判決はあったが、医療従事者が有罪になるのは初めて。亡くなったのは、東京都多摩市の舞台俳優井上達也さん(38)と立子さん(39)夫妻の次男湧介ちやん。
判決は、最大の争点となった心肺停止の原因について「うつぶせ寝で鼻孔部が圧迫されて呼吸環境が悪化したことや、吐いたミルクを気道内に詰まらせたことなどが複合的に影響して窒息した」と認定。乳幼児突発性危急事態(ALTE)だとする被告側主張については[ALTEは原因が特定できない時に初めて問題となる」と退けた。
そのうえで、川島被告には、湧介ちゃんの顔が下向きにならないように注意しなかった過失があると結論づけた。
井上さん夫妻が病院側を相手に起こした民事訴訟では、01年10月の二審・東京高裁が、不適切な寝かせ方が窒息の原因だと認めて病院側に約4850万円の支払いを命じた一審判決を支持。病院側が上告している。
判決後、達也さんは「事実を隠す病院の体質につらい思いをしてきたので、看護体制を改めてほしい」と話した。同病院は「刑事事件の当事者ではないのでコメントは差し控えたい」と述べた。

点滴時ミス、患者死亡 警視庁足立の医師、書類送検

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レントゲン撮影の際、患者にアレルギー検査をせずに造影剤を点滴して死なせたとして、警視庁が東京都足立区内の個人病院長の男性医師(45)を業務上過失致死容疑で書類送検していたことが、18日わかった。
西新井署の調べでは、死亡したのは、同区内の無職男性(68)。男性は昨年5月31日午前9時ごろ、前立腺肥大症の検査でレントゲン撮影を受ける際、院長が男性に造影剤を点滴したところ、脈や呼吸が弱くなるなど容体が急変し、2日後に臓器不全で死亡した。院長がアレルギー検査を怠ったため、男性が造影剤に拒絶反応を起こしたという。

同意得ずに臨床研究 東大病院、15人に薬効試す

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東京大学医学部付属病院(東京都文京区)は17日、麻酔科の男性医師(42)が昨年1〜8月に、患者15人に対し同意を得ずに薬の効果を試す臨床研究をしたと発表した。永井良三院長は「学内の倫理委員会の承認を得るべきだった。患者の自己決定権を奪った」と謝罪した。医師は3月末で同病院を辞めている。病院は近く上司を処分する。
同病院によると、この薬は、術後に血圧が下がった時などに使う「ウリナスタチン」。男性医師は腹部大動瘤手術を受けて入院していた患者を無作為に投与群と非投与群に分け、効果を試していた。
医学部の規定では、臨床研究をする際は倫理委員会に研究計画書を出し、承認を得なければならない。医師は「時間がかかるため、承認を得なかった」という。
投与を受けた都内の70歳代の女性が9月初旬、手術から4日目に血圧低下でショック死したことがきっかけで発覚。同病院は「死因と研究の因果関係はない」としている。

SARS感染、水しぶきで?香港団地

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港・九竜湾の民間団地アモイガーデン(淘大花園)で発生した新型肺炎の重症急性呼吸器症侯群(SARS)の集団感染で、香港政府は17日、SARSウイルスを含んだ水しぶきや水蒸気が排水管を通じて下水管から浴室に流れ込んだのが原因とみられる、と発表した。
衛生福祉食物局によると、排水管にはU字に曲がった部分があり、水がたまって害虫や臭気を遮断する仕組み。しかし、水がない状態で浴室を密閉し、換気扇を回すと、気圧の変化によって下水管内の空気が浴室に入ることを確認した。下水管から水しぶきや水蒸気に混じって各戸の浴室にウイルスが拡散したらしい。

医師名義貸し 軽08人、国立療養所へも 北大・旭川医大も

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北海道立札幌医科大学の医師が、民間病院からアルバイト報酬を得ながら勤務実態がない「名義貸し」をしていた問題で、北海道が道内64の医療機関を調査したところ、北海道大学医学部と旭川医大の医師も含め計208人が「名義貸し」をしていたことが16日、わかった。名義を借りていた医療機関は46にのぼり、その中には国立療養所2カ所が含まれていた。
内訳は札幌医大が162人、北大医学部か17人、旭川医大が3人など。道は大学側に医師への指導を要請するとともに、医療機関には虚偽報告をしないよう求めた。
また、名義を借りていた国立療養所が診療報酬の不正請求をしていた疑いがあるとして、厚生労働省北海道厚生局は調査を始めた。
一方、札幌医大は16日、名義貸しの学内調査結果を公表した。これまで大学側は名義貸しをしていた医師を16人としていたが、新たに25人の名義貸しが判明した。また、非常勤の医師を常勤扱いにして民間病院の社会保険に加入する「名義貸し類似行為」も83人がしていたことが分かった。
同大では学内処分を検討している。

全身麻酔をかけわいせつ 容疑者の形成外科医逮捕

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女性患者に全身麻酔をかけ、わいせつな行為をしたとして、警視庁は15日、東京都台東区上野4丁目の形成外科「レインボークリニック」院長、宮本克容疑者(44)=埼玉県上尾市柏座3丁目=を準強制わいせつ容疑で逮浦した。同容疑者は「正当な医療行為だ」と容疑を否認しているという。
捜査1課の調べでは、宮本容疑者は01年4月10日、同クリニックで、わきがの手術を受けていた立川市の女性(23)に、わざわざ全身麻酔をかけてわいせつな行為をした疑い。女性患者の際には手術室に誰も入れず、全身麻酔で眠る患者にわいせつな行為をし、ビデオで撮影していたとされ、同課で余罪も調べている。
宮本容疑者ば同クリニックのほか、名古屋市、仙台市、大阪市でも医院を経営。同容疑者が元医院関係者からこのビデオを巡って恐喝され、上野署に相談したがこの捜査の中で事件が発覚した。

県立病院で筋弛緩剤紛失 沖縄県警は盗難で捜査

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沖縄県具志川市の県立中部病院で、毒薬に指定されている筋弛緩(しかん)剤などが紛失していたことが15日、分かった。
具志川署の調べでは、同病院の救急室にあった筋弛緩剤「マスキュラックス」の粉末10ミリグラム入り容器2本と、鎮静剤「ホリゾン」の液体10ミリグラム入りアンプル2本がなくなった。
病院関係者が14日午前零時半にチェックした後、同午前6時に再チェックした際に、なくなっていることに気付いた。
薬事法は筋弛緩剤の保管に施錠を義務付けているが、同病院は「緊急患者に対応できない」として、救急室の一角のカート上に置いていた。
筋弛緩剤と鎮静剤は同じ一角に別々に保管されていたが、セットで使うことが多いという。同署は内部事情に詳しい者の犯行の可能性があるとみて、関係者から話を聴いている。

自治医大、医療ミス 動脈に傷、患者死亡 栃木県警が聴取

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栃木県南河内町の自治医科大学付属病院(布施勝生病院長)で今年1月、重い急性肝炎で入院した埼玉県内の女性患者(当時46)が、カテーテルと呼ばれる細管を首の静脈に通す処置を受けた際、男性医師が過って動脈を傷つけ、出血性ショックで死亡していたことか7日分かった。病院側は医療ミスによる死亡を認め、遺族に謝罪した。栃木県警は業務上過失致死の疑いで医師らから事情を聴いている。
病院によると、女性は同月中旬、埼玉県内の病院から転院してきた。同月下旬、30代の医師が栄養剤を補給するためカテーテルを通す処置をしていたところ、容体が急変。3日後、出血性ショックのため死亡したという。

手術後の急死医師らを聴取 茨城県警、過失致死容疑

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茨城県牛久市柏田町のつくばセントラル病院(竹島徹院長)で6日午前11時20分ごろ、岡市の男性会社員(63)が胆石と胆嚢の摘出手術直後に急死した。病院から竜ケ崎署に通報があり、司法解剖の結果、死因は肝臓に受けた傷による失血死と判明。同署は7日、手術中に傷つけた可能性が高いとみて、業務上過失致死の疑いで医師らから事情聴取を始めた。
調べでは、男性は急性胆嚢炎と珍断され、5日、腹部に開けた複数の穴から内視鏡や電子メス等を入れる復腔鏡手術を受けた。男性は同日夜から痛みを訴えだし、翌6日午前、心拍数や血圧が急激に下がって死亡したという。

研修医、病院に週100時間 東大病院、初の実態調査

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04年度から始まる医師の臨床研修必修化を前に、東大病院は研修医の勤務実態を初めて調査した。1週間(168時間)のうち病院にいる時間が100時間を超えるなど過酷な勤務状態が明らかになった。これまでこうした具体的なデータが示された例はほとんどない。同病院は、労働条件の改善を進める。
調査は同病院の総合研修センターが昨年11月、同病院に勤務する研修1年目の医師171人を対象に実施、85人が回答した。1週間で病院にいた時間は平均で102時間。このうち実質的な勤務時間は88時間で、睡眠時間は1日5時間、病院宿泊回数は3回だった。科別に見ると外科系が際だっており、脳外科の場合、病院にいた時間は154時間で宿泊回数は7回、外科も143時間で宿泊は6回だった。
勤務中に眠気を感じたことがある人は78人(92%)に達し、勤務中ひやりとした経験を持つ人も37人(44%)いた。
休日に呼び出されることもあるため、同病院は1週間に24時間は連絡を取らず、完全休養時間を作ることを検討する。
関西医科大病院の研修医だった息子を過労死で失った森大量さんが代表を務める「研修医・医師労働条件を改善する会」など4団体は3日、臨床研修の必修化に際し、週40時間勤務など労働基準法を守るよう厚生労働省に申し入れた。

点滴ミス、女性が死亡 栄養剤10倍の早さで注入 秋田の病院

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秋田市の秋田市立秋田総合病院で1日、看護師が誤って栄養剤を点滴する速度を本来の10倍以上にしたため、50歳代の女性の入院患者が急性心不全で死亡していたことが4日、わかつた。同病院から連絡を受け、秋田県警は業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
同病院によると、この患者は2年ほど前に肺の感染症で入院。意識がなく、人工呼吸器をつけた状態だったという。
看護師は1日午前0時20分ごろこの患者がつけていたブドウ糖やビタミン類などが入った点滴液を交換。この際、設定を誤ったらしい。
同病院側は遺族に謝罪。鈴木行三院長は「うっかりミス」と話し、「患者は危篤状態が続き、体力が落ちていたこともあり、点滴が原因で亡くなった」と説明している。

マンションで肺炎121人確認 香港、空気感染か

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重症急性呼吸器症侯群(SARS)による肺炎が流行している香港で、九竜のマンションで30日までに121人の感染が確認された。米疾病対策センター(CDC)のガーバーディング所長は29日の記者会見で、「唾液など分泌物による飛沫感染けではなく、空気感染の可能性も示している」と警告した。

研修医アルバイト可能に 厚労省案 医療過疎地に配慮

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厚生労働省は、「研修医のアルバイトは原則禁止」としていた方針について、04年度から必修化される臨床研修のプログラムに、病院での当直や健康診断などを取り込む形で事実上、アルバイトを可能とする案を固めた。医師不足に悩む地方で、アルバイト研修医がいてようやく当直勤務を回せる病院が少なくない実情に配慮した。
厚労省は医師免許を取ってから2年間の臨床研修を必修化する。これに伴い、研修医が過労や未熟な医療技術でミスを繰り返すケースを防ぐため、給与など処遇を手厚くし、研修に専念できるようアルバイトを原則禁止する方針を示していた。国会でも、坂口厚労相が「原則禁止」の旨を答弁していた。
今回の厚労省の案では、臨床研修指定病院に協力して研修を受け持つグループ病院での夜間当直や、地域の健康診断などのアルバイトに就く場合、指導医がいて指導体制が確保できれば研修プログラムの一環として可能とする。研修の基本給とは別に賃金も支払う。
医師数が少ない地方では、研修医がアルバイトに従事しなければ、医師の確保が難しく、地域医療が回らないところが多い。さらに、臨床研修必修化を前に、地域の病院に研修医を派遣する大学病院が、医局員確保のために医師を引きあげ始めたことが、医師不足に追い打ちをかけている。
厚労省が昨年9月に「原則禁止」の方針を打ち出して以降、「地域の実情を無視した施策だ」などと反対の声が上がっていた。厚労省は「地域の実態に合わせた現実的な方策」と説明している。

歯科医師研修で気管挿管 病院部長に罰金判決 札幌地裁

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札幌市立札幌病院の救命救急センターで研修していた歯科医師に資格外の医療行為をさせたとして、医師法違反(医師以外の医業禁止)の罪に問われた同センター部長の医師松原泉被告(52)に対し、札幌地裁は28日、求刑通り罰金6万円の判決を言い渡した。井口修裁判長は「突発的な事態への対応を求められる救急現場で、歯科医師が医師と同じ研修をするのは、資格を厳しく区別する法体系では許されない」と述べた。被告側は控訴した。
判決は、松原被告が98〜01年、歯科医師3人=を医師法違反容疑で起訴猶予=を救命救急センターの研修医として順次受け入れ、患者の主治医や当直医として配置。歯科医師が、救急車内で肺に空気を送り込む気管挿管をするなど、資格外の医療行為をしたと認定。「松原被告は責任者として資格の違いに配慮することなく長期間、資格外の行為を継続させた。責任は軽くはない」とした。
検察側は「動機は人手の確保にすぎず、免許制度を無視した確信犯的犯行」と主張していたが、この点について判決は、「患者の容体急変に対応したという歯科医師側の要望が発端。動機自体は非難されない」とした。
弁護側は「患者の容体急変への対処には、歯科医師の救急研修が不可欠」と無罪を主張していた。

【SARS速報】広東省で流行の異型肺炎がSARSと判明、患者総数は1323人、死亡者数は49人に

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世界保健機関(WHO)は3月26日、中国広東省の7都市で昨年11月に流行した異型肺炎は、重症急性呼吸器症候群(SARS)であるとの判断を示した。また、中国当局は2月14日時点でWHOに報告していた患者数305人、死者5人を訂正し、昨年11月16日から今年2月28日までの患者数は792人、死者31人であると報告した。広東省の件数を合わせると、現時点でWHOに報告されているSARS患者総数は1323人、死亡者数は49人となった。
これは、先週末にWHOの専門チームが中国広東州を訪れ、異型肺炎とSARSの診断基準などについて比較し、わかったもの。
病原体についてWHOは、コロナウイルス科である可能性が最も大きいとする一方、パラミクソウイルスや他の科のウイルスである可能性も視野に入れながら、研究を進めているとしている。また、病原は2種のウイルスで、双方に感染することで症状が重症化する可能性もあるとしている。その一方、または両方が、これまでヒトの病原として知られていなかったウイルスである可能性が大きいという。
なお中国疾病対策センターでは、2月18日、異型肺炎患者二人の肺から摘出した標本から、クラミジアが発見されたと報告。その後WHO研究チームが調べた結果、他国のSARS患者からはクラミジアは検出されなかった。中国の患者は、SARSの病原体と共に、クラミジアにも感染していたようだとしている。
これまでにWHOに報告された各国のSARS患者数と死亡者数は以下の通り。なお、米国の患者数は、米国疾病対策センター(CDC)による最新情報によると、26日現在で45人となっている。
 香港:死亡を含む患者数316(死亡者10、以下同)
 中国:792(31)
 シンガポール:74(1)
 ベトナム:58(4)
 米国:40(0)
 カナダ:19(3)
 台湾:6(0)
 ドイツ:4(0)
 タイ:3(0)
 英国:3(0)
 イタリア:3(0)
 スイス:2(0)
 アイルランド:2(0)
 フランス:1(0)
 詳しくは、WHOのDisease Outbreak Reportedへ。

【SARS速報】シンガポールで初の死者、高校以下の全学校を閉鎖に踏み切る

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シンガポール教育省と健康省は3月26日、重症急性呼吸器症候群(SARS)流行に対する追加対策として、3月27日から4月6日まで、すべての小学校(primary school)と中学校(secondary school)、高校(junior college)などを閉鎖すると発表した。「純粋な医学的見地からすれば、全学校の閉鎖を行う強い理由はないが、生徒の親の懸念に関する学校長からの報告に対処した」ものという。幼稚園など就学前児童施設やイスラム教育施設などにも同期間の閉鎖を勧告した。大学などは閉鎖しない。
シンガポールでは25日、同国では初めてのSARSでの死亡例が確認された。26日現在、同国の患者数はこの死亡者を含めて74人。うち13人は既に退院したが、10人は重症でICUにおける治療が続いている。すべての患者は最初の3人からの2次、3次の感染者だという。SARSは潜伏期間が1週間程度であるため、この間、接触を断つことは伝染を防ぐ有効な手段になる。このため同国では、感染者と接触した可能性がある家族、友人などを症状の有無に関わらず、10日間の自宅待機にする強力な感染対策を実施している。

SARS原因香港大が発表 コロナウイルス新種

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香港などで多発している重症急性呼吸器症侯群(SARS)について香港大学医学部の研究チームは27日、風邪をおこすコロナウイルスの新種が原因、と発表した。これにより感染や病状の診断が容易になるという。鼻、口、目に触れた手から伝染するケースが多く、手洗いが予防に有効とされる。
また世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)は26日、中国広東省で流行している肺炎について「香港などで流行しているものと同種とみられる」と結論づけた。中国当局は2月、「原因はクラミジア菌」と発表したが、WHOに再調査を要請していた。
WHOによると、同日までの感染者(死者合む)は世界で1323人(うち死亡49人)。

横浜市立大病院患者取り違え 医師ら6人に罰金刑 東京高裁

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横浜市立大医学部付属病院で99年、患者2人を取り違えて手術した事故をめぐり、業務上過失傷害の罪に問われた
医師と看護師計6人に対する控訴審判決が25日、東京高裁であった。安広文夫裁判長は「初歩的、基本的な確認を怠った」と述ベ、6人すべての過失を認定。5人に罰金50万円、医師1人に罰金25万円を言い渡した。
罰金50万円とされたのは、執刀医・高梨吉則(59)▽同・富山泉(39)▽麻酔医・宮原宏輔(32)▽看護士・山口昌子(30)▽同・河埜陽子(38)の各被告。罰金25万円とされたのは、麻酔医・佐伯(旧姓芦田川)美奈子被告(33)
一審・横浜地裁は01年9月、患者を取り違えて手術室に搬送した河埜被告に最も重い過失があったとして禁固1年執行猶予3年とする一方、手術途中で疑問を訴えた佐伯被告を無罪としたが、控訴審判決はこれを破棄し、改めて有罪を言い渡した。
判決はまた、「事故が発生した背景には、病院の医療体制にも多くの問題があった」と指摘。検察側は全員に禁固刑を求めていたが、「起訴されなかった医師や看護師との均衡を考慮し、罰金刑が相当」と判断した。
判決によると、同病院は99年1月、肺手術をすべき男性(当時84)に過って心臓手術をして5週間の傷害を負わせ、心臓手術をすべき男性(同74)に肺手術をして2週間の傷害を負わせた。2人ともその後死亡。市は、慰謝料を払うことで遺族らと和解している。
横浜市大付属病院の原正道病院長は25日、「判決については真摯に受け止めております。改めて患者さんのご冥福をお祈りし、ご家族には深くおわび申し上げます」とのコメントを発表した。

【SARS速報】香港で「真の」発端患者発見、ホテルが2次感染源に

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香港の保健当局の発表や現地の報道などによると、これまで同地で重症急性呼吸器症候群(SARS)の発端患者と思われていた男性が、九龍地区のホテル「The Metropole Hotel(京華国際酒店)」で2月中に宿泊した別の男性から感染していたことを確認したという。さらに同じフロアに宿泊していたカナダ人、シンガポール人を含む6人が、この男性から感染したという。まさにこのホテルが、世界各国に飛び火したSARS感染のキーポイントだったことになる。
報道発表と同発表に基づく報道によると、香港健康局(Department of Health)局長のMargaret Chan氏は、7人のうち3人がシンガポール、2人がカナダ、一人が中国広東省広州からの旅行者、一人が現地住民だったという。この7人は2月12日から3月2日にかけて、同ホテルの9階に宿泊、2月15日から27日にかけて肺炎の症状が現れた。
一方、プリンスオブウェールズ病院における感染の発端患者とされてきた人は2月15日から23日にかけて、このホテルに宿泊していた友人を訪れていた。このうち2月21日から宿泊していた広東省からの旅行者は、ホテルに宿泊する1週間前から具合が悪くなっており、22日にKwong Wah Hospitalに入院、3月4日に同病院で死亡した。この人物が真の発端患者であることは確実とみられるという。
香港保健当局は市民や観光客に動揺が広がるのを抑えようとやっきになっている。「同ホテルは衛生状態も良好、スタッフに感染者発生の報告はない」(Chan氏)としながら、同ホテルに感染発生フロアの徹底的な清掃と消毒を要請した。
SARSの感染には、病院での看護・介護や家族内のような密接な接触、あるいは咳などの飛沫や体液への接触が条件とされてきた。しかし、この7人の宿泊者の接触は今のところ、例えはエレベータホールなどに居合わせたといった状況しか考えられないようだ。従来の世界保健機構(WHO)などの説明よりも短時間の接触で感染が起こる可能性が示唆される。

WHO、重症急性呼吸器症候群(SARS)の全世界への拡大を警告

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WHOは3月16日(日本時間、以下同)、8カ国から重症急性呼吸器疾患(SARS:Severe Acute Respiratory Syndrome)の患者発生が報告されているほか、米国からドイツに向かった飛行機の機内でも患者が発生した疑いがあるなど、短期間で全世界に拡散しつつあるとして、旅行者と航空会社向けに、緊急情報を発した。
SARSは38度以上の高熱と咳、呼吸困難など、インフルエンザの初期症状に似た症状を示す。患者発生の報告は、カナダ、中国、香港、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの各国からWHOに寄せられている。また16日、ニューヨークからフランクフルトに着陸した便で発症した患者一人と複数の同行者が病院に隔離された。先週1週間に新たにWHOに報告された患者数は150人を超えているという。
WHOでは3月13日に、ベトナムと香港、および中国広東省において、原因不明の重症肺炎の集団発生がみられたとする緊急情報を出したばかりだが、東南アジアや北米での患者発生に危機感を強めており、旅行移動に関する警告に踏み切ったとみられる。今のところ、特定地域への旅行を制限する勧告は行っていない。
以下に、WHOのSARSに関する緊急情報の主文の概略を示す。
追って厚生労働省、あるいは国立感染症情報センターから、公式の抄訳が発表されると思われる。
厚生労働省のホームページはこちら、感染症情報センターのホームページはこちら
WHO緊急旅行情報の主文の概略
航空機乗員を含む旅行者に対して:すべての旅行者は、以下に示すようなSARSの主要な徴候に注意すべきである。
SARSが疑われる場合;
2003年2月1日以降に以下の徴候が現れた場合
38度以上の高熱があり、加えて、咳、呼吸の短縮、呼吸困難などの呼吸器症状が少なくとも一つ以上ある。さらに、次のいずれか、または両方の状況に該当する。
(1)SARSと診断された患者との密接な接触(注1)があった
(2)最近、SARS患者の発生が報告されている地域に旅行した
SARSであることがほぼ確実な場合;
SARSの疑いがあるケースで、胸部X線検査により、肺炎または呼吸切迫症候群の存在が確認された場合。
なお、SARSでは発熱と呼吸器症状に加え、頭痛、筋肉のこわばり、食欲減退などを伴うことが多い。
万一、旅行者がSARSの徴候を示した場合には治療を受けるべきである。その際、医療スタッフに対し、直近の旅行についての情報を通知する必要がある。また、回復するまで旅行の継続は控えるべきである。
乗客や乗員が上記の徴候を示した場合、目的地の空港に対して警告を伝える必要がある。発生した患者は、到着後ただちに空港の検疫担当官に検査と管理を委ねるべきである。また、当該航空機に同乗した乗客と乗員に対しては、SARSの疑いがある患者が発生したことを伝えるべきである。乗客と乗員は、以後14日間にわたるすべての人的接触に関する詳細を、空港の検疫当局に報告しなければならない。今のところ、健康な乗客・乗員については、旅行を制限や投薬、検査の必要はないと考えられている。
今回の集団感染の原因がさらに判明するまでは、SARS患者は隔離し、バリアナーシング手法に基づき、臨床所見に対応した治療を行う必要がある。また、患者発生は厚生当局に通報すべきである。
注1)濃厚な接触とは、SARS患者の看護をした場合、同居している場合、呼吸器分泌物や体液に直接触れたことがある場合を指す。

ビタミンDの単独投与でも骨折リスクが2割減少

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ビタミンDを投与し続けると高齢者の骨折が減る−−英国における5年間の長期無作為化二重盲検試験で、こんな効果が裏付けられた。ビタミンDとカルシウムを併用した場合の骨折予防効果は既に実証されているが、ビタミンDの単独投与で有効性が確認されたのは初めて。この内容はBritish Medical Journal(BMJ)誌2003年3月1日号に掲載された。
ビタミンDによる骨折予防の研究は、骨粗鬆症や骨折の既往など、ハイリスクの高齢女性を対象としたものが多く、一般の高齢者、特に男性の骨折予防における効果は確認されていなかった。
英国Cambridge大学のDaksha P. Trivedi氏らは、一般の男女高齢者を対象に4カ月ごとに10万IUのビタミンD3(コレカルシフェロール)の錠剤を5年間にわたり投与して、骨折発生率をプラセボ群と比較した。
Trivedi氏らは、臨床試験研究組織(Clinical Trials Studies Unit, Oxford)に登録している医師9582人と、イングランド東部のSuffolk州Ipswichの住民1538人に対し、郵便で試験の参加を募った。参加に同意を示し、試験対象となったのは、65〜85歳の男性2037人、女性649人。
対象者を無作為にビタミンD投与群とプラセボ群に分け、4カ月ごとに投与群にはビタミンD10万IUが含有された錠剤を、プラセボ群にはプラセボ錠を5年間で計15回送った。この試験のエンドポイントは骨折、心血管系疾患、癌とし、試験中に何らかの疾患で1日当たり200IU以上のビタミンDを処方された場合も試験への参加を中止した。
その結果、5年間に1回以上の骨折発生は、ビタミンD投与群の方がプラセボ投与群に対して22%低かった。特に股関節や手首、前腕、脊椎の4部位の骨折では、ビタミンD群が33%低かった。男女別に見ると、女性の全骨折ではビタミンD群が32%低かったのに対し、男性では、ビタミンD群が17%低いに過ぎなかった。これらの結果については医師と一般人との間では有意差はなかった。
コンプライアンスについては、参加者の76%が計15回の投与のうち12回、すなわち8割は決められた通りビタミンD錠剤を服用していたと答えている。また、試験開始後4年目に行った食事調査で、1日平均742mgのカルシウムを摂っていることが分かっている。この分量はビタミンD投与群とプラセボ群で違いはなかった。
Trivedi氏らは、「ビタミンD単独投与を試みたこれまでの研究では骨折予防は確認されていなかった。それは試験の期間が短く、投与量も少なかったためだ」と指摘、今回の長期試験結果から「4カ月ごとに10万IUのビタミンD投与はコストも低く(年間1ポンド以下)、一般の65歳以上の男女高齢者の骨折予防には、安全で効果的である」と結論付けた。

抗がん剤「イレツサ」2ヵ月前副作用認識 米審査まで警告先送り

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抗がん剤「イレツサ」に副作用死が多発した問題で、輸入・販売元のアストラゼネカ社(大阪市)が、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会の審査が終了するまで、医師に使用上の注意を喚起する添付文書改訂の意向を英国本社に伝えていなかったことが、内部資料や関係者証言でわかった。関係者は「米国での承認審査に影響を与えることを恐れたためだった」と証言。ア社は「本社に連絡をしなかったのは不適切だった」としている。
内部資料は「イレツサ間質性肺炎 社内での検討経緯」と題し、承認後の社内会議の記録やメールのやりとりをまとめたもの。これによると、ア社がイレツサの副作用である間質性肺炎などの異変に気づいたのは発売から半月後の昨年8月上旬だった。8月2日には「添付文書改訂を行わなければ緊急安全性情報(副作用を防ぐため製薬会社が医療機関などに出す情報)発出の可能性あり」と記している。同12日の会議内容の記録では「間質性肺炎の副作用報告が頻発」「アクションを取るべき」と態勢整備を促した。厚生労働省の指示で添付文書を改訂した2カ月前のことだ。
ア社が副作用頻発の危険性を認識したのは9月11日の社内会議とみられていたが、これより1カ月早かった。
9月11日の会議では、添付文書改訂の方針と、そのための英国本社との交渉が決まった。18日に社内の改訂作業部会で間質性肺炎を「重要な基本的注意」項目に格上げする案を作成したが、改訂に必要な英国本社との交渉は先延ばしされた。
関係者によると当時、FDAの抗がん剤諮問委員会(ODAC)が24日に開かれることが分かっていた。薬の承認に重要な役割を果たす機関で、委員会の答申を受けてFDAが承認す流れ。
ア社は27日に安全性委員会を設け、本社に添付文書改訂の意向を示しており、この間、棚上げされたことになる。当時の会議録をまとめた社内メールには13日時点で「現在US(米国)で審査中であることを考えると本社は素直に(添付文書改訂に)合意しないかもしれません。そちらの交渉も並行して進めていただきたい」と提案されている。
担当幹部はこのメールに対し「24日のUSでの審査までは本社にはアクションを起こさない方がよいとの議論の末、安全性委員会の結果をもって,HQ(英国本社)ヘ打診するという結果であったと理解している」と返信している。
最終的には本社の承諾前に厚労省から添付文書改訂と緊急安全性情報を出すよう求められた。結果的にFDAは、まだ承認をしていない。
ア社の加藤益弘副社長は「調べた結果、審査を考えたのではなく、本社が忙しいことを配慮したため。改訂の意向を伝えたとしても審査には影響なかったと考える」と説明している。

医師免許なく240人健康診断 無職の容疑者逮捕

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千葉県警は5日、医師免許がないのに幼稚園の職員ら約240人について健康診断をしたとして、同県松戸市小金原5丁目、無職西尾哲也容疑者(42)を医師法違反(無免許医業)の疑いで逮捕した。いまのところ、誤診などの被害報告をないという。
西尾容疑者は昨年4月3日、鎌ケ谷市の幼稚園で、同市在住の男性(68)ら近隣の幼稚園職員約150人に対し、無免許で問診や触診などをした疑い。また、同9月24日、市川市の予備校で、女性職員(30)ら89人を同様に診察し、1日当たり6万円、合わせて数百万円の報酬を得ていた疑い。

東海大病院、女児死亡 容疑の看護師を書類送検の方針

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神奈川県伊勢原市の東海大学医学部付属病院で00年4月、入院中の女児(当時1歳6カ月)が誤って内服液を点滴され死亡した事故で、県警は5日、誤注入した看護師を業務上過失致死の疑いで6日に書類送検する方針を固めた。
死亡したのは、同県平塚市の接骨院経営菅俣弘道さん〈35)の長女笑美ちゃん。胃酸が食道に逆流する胃食道逆流現象や反復性気管支炎などで入院していたが、当時は外出を許可されるなど回復に向かっていた。
調べでは、看護師は00年4月9日朝、気管支拡張剤や抗生物質など7種の薬を混ぜた内服液5ccを、誤って内服用チユーブではなく点滴用チユーブにつなぎ死亡させた疑い。

2例目の代理出産 根津医師昨年実施

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長野県下諏訪町の諏訪マタニティ−クリニックの根津八紘院長が、全国2例目となる代理出産を行っていたことが分かった。代理出産を依頼した患者側が5日夜、弁護士を通じて明らかにした。代理出産については、厚生労働省の生殖補助医療部会が罰則付きで禁止することを決め、法制化作業を進めている。日本産科婦人科学会も会告で禁止している。
弁護士らによると、20代の妻が3年前に妊娠中、子宮内で胎児が死亡し、子宮摘出手術を受けた。昨年冬、30代の夫の精子と妻の卵子を体外受精させ、その受精卵を夫の義姉にあたる30代の女性の子宮に移植。昨年、子供が生まれた。
子供、義姉とも元気で、子供は養子縁組する予定という。代理出産した女性は夫がおり、自分の子供も出産している。患者側は家族間で問題点を十分話し合い、納得して選択したという。

別型HIV、国内2例目 厚労省、感染状況を調査

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エイズウイルス〈HIV)のうち、感染の主流となっている1型とは遺伝子タイプが異なる2型の国内感染例が、昨年10月に厚生労働省に報告されていたことがわかった。厚労省が把握したのは93年に続いて2例目。厚労省によると2型は、世界の感染の99%を占める1型に比べ感染力が弱く、発病までにかかる期間も長い。西アフリカ地域を中心に米国、韓国などで感染が報告されている。
2型の感染者は男性で、異性間接触によるものと推定されている。
医療機関や保健所での検査や献血の際にはこれまでも、2型に感染している場合に体内にできる抗体を調べている。厚労省は「国内での感染はまれなうえ、検査もしており、献血血液で感染させる可能性は極めて低い」とみている。しかし、感染直後に献血した場合には検査をすり抜ける可能性があるため、今後、国内での感染状況を調べたうえで、高感度の検査をするかどうか決める。

がん手術ミスで死亡 自治医大心臓に針 栃木県警、立件の方針

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栃木県南河内町の自治医科大学付属病院(布施勝生病院長)で昨年9月、肝臓がんの手術を受けた同県真岡市の女性(当時69)が、医師の誤った処置で心臓などを針で刺され失血死していたことが、4日までに分かった。病院側は手術ミスによる死亡を認めており、今月はじめに患者の遺族との示談交渉を済ませたという。県警は担当医を業務上過失致死の疑いで立件する方針。
病院によると、女性が肝臓がんの治療のため、高周波焼灼療法と呼ばれる手術を受けた。内視鏡を使い、針を患部のがんに向けて刺し、針の先端から出る高周波でがん細胞を壊死させる治療法だが、担当医の何らかのミスで針が患部を越えて心臓まで達していたという。死亡した後、横隔膜と心臓に穴が開いていることが確認された。県警が司法解剖した結果、失血死だったことが分かった。

厚生労働省、「ハイドロヴュー眼内レンズ」でのカルシウム沈着発生などについて報告

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厚生労働省は2月27日、医薬品・医療用具等安全性情報第186号を発表した。内容は、1.「ハイドロヴュー眼内レンズ」使用患者におけるカルシウム沈着の発生について、2. 重要な副作用等に関する情報、3. 使用上の注意の改訂について(その143)−−の3項目。重要な副作用では、エダラボンや塩酸イリノテカン、トリアゾラムについて、また、注意の改訂では、ニコランジル(経口薬)のほか15件について、それぞれ公表している。
医薬品・医療用具等安全性情報第186号の概要は、以下の通り。詳細については、厚生労働省のホームページまで
1. 「ハイドロヴュー眼内レンズ」使用患者におけるカルシウム沈着の発生について
ボシュロム・ジャパン販売の眼内レンズ「ハイドロヴュー眼内レンズ」を使用している患者において、眼内レンズにカルシウム沈着が発生するという症例が、さらに、視力低下による眼内レンズの摘出症例も報告されている。これまでに把握された不具合から、その発生原因として、製品のバイアルを密封するためのシリコーン製ガスケットのシリコーンが関与している可能性が示唆されたため、安全対策上の措置として、ガスケットをシリコーン製から他の材質に変更。変更後の製品では、現時点で不具合の発生は認められていない。しかし、シリコーン製ガスケット製品を既にインプラントされた症例に対する不具合の発生を引き続き注意深く観察する必要に加え、変更後の製品における同様の不具合の有無も観察する必要があるため、不具合を紹介するとともに、注意喚起を行っている。
2. 重要な副作用等に関する情報
前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.185)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について、改訂内容、参考文献などとともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介している。
1.エダラボン
三菱ウェルファーマの中枢神経系用薬「ラジカット注」。今回、改訂の対象となった重大な副作用は播種性血管内凝固症候群と急性腎不全で、改訂の根拠となった症例を3例掲載している。また、慎重投与、高齢者への投与などについても改訂を行っている。
2.塩酸イリノテカン
ヤクルトの抗悪性腫瘍薬「カンプト注」と、第一製薬の同「トポテシン注」。今回、改訂の対象となった重大な副作用は、肺塞栓症、静脈血栓症、心筋梗塞、狭心症発作、心室性期外収縮などで、改訂の根拠となった症例を6例掲載している。
3.トリアゾラム
住友製薬の催眠鎮静薬「ハルシオン」など。今回、改訂の対象となった重大な副作用は、肝炎、肝機能障害、黄疸で、改訂の根拠となった症例を2例掲載している。
3.使用上の注意の改訂について
ニコランジル(経口薬)や塩酸ロメリジンのほか14件について、使用上の注意の改訂を実施している。

「形成外科専門医」「病理専門医」「内科専門医」も広告可能に

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厚生労働省は2月24日付で、形成外科専門医、病理専門医、内科専門医を広告可能な専門医資格に追加すると都道府県に通知した。広告が認められている専門医資格は、今回分を含めて11専門医となった。専門医資格の広告は2002年4月より行えるようになったが、厚労省が学会からの届け出を受理するなどといった所定の条件を満たす必要がある。
なお、形成外科専門医は日本形成外科学会が、病理専門医は日本病理学会が、内科専門医は日本内科学会がそれぞれ認定している。
また、これまでに広告が可能となっている専門医資格とその認定学会については、以下の通り。
・整形外科専門医(日本整形外科学会)
・皮膚科専門医(日本皮膚科学会)
・麻酔科専門医(日本麻酔科学会)
・放射線科専門医(日本医学放射線学会)
・眼科専門医(日本眼科学会)
・産婦人科専門医(日本産科婦人科学会)
・耳鼻咽喉科専門医(日本耳鼻咽喉科学会)
・泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会)
今回の通知の内容については、厚生労働省のホームページまで。また、専門医資格の広告に関しては、日本医師会が詳しい解説ページを設けている。詳細については、こちらまで

白内障用レンズ くもり視力低下 厚労省、注意呼びかけ

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白内障の手術で目の表面に入れる「ハイドロヴユー眼内レンズ」(輸入販売元ボシュロム・ジャパン)がくもって視力が低下するおそれがあることがわかり、厚生労働省は27日、医療機関に注意を呼びかけた。
白内障の手術で取り除いた水晶体の部分に入れて視力を補正するもの。99年11月から01年10月の間に販売されたレンズに問題があるとみられ、02年12月までに55人についてくもりやもやなどの報告があり、うち32人がレンズを交換した。
ボシュロム・ジャパンによると、レンズを入れていた容器から溶け出した微粒子が原因という。くもりなどが起きる可能性があるのは使用開始から約2年で、今後130〜230人についてレンズの交換が必要になると予測している。費用は同社が負担する。

脳硬塞薬エダラボン副作用死、40人に

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厚生労働省は27日、脳硬塞の治療薬「エダラボン」(商品名・ラジカット)の副作用とみられる急性腎不全で40人が死亡したと発表した。製造販売元の三菱ウェルファーマが緊急安全性情報を出した昨年10月時点で死者は12人だった。
エダラボンは、脳梗塞が起きた直後に脳細胞を保護するために投与。01年6月の発売開始から02年12月までに推定で約18万人に投与された。急性腎不全を発症したと報告された患者は93人。このうち死亡は40人で、70歳以上が37人を占めた。このほか、出血が止まりにくくなる播種性血管内凝固症侯群や肝疾患などでの死亡例もあるという。

患者殴り死なす元准看護師逮捕 千葉障害致死容疑

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入院中の無職女性(89)の顔を殴るなどして死亡させたとして、千葉県警松戸署は27日、同県松戸市の新松戸中央総合病院(川越康博院長)の元准看護師、川口亮一容疑者(26)=さいたま市白幡4丁目=を傷害致死の疑いで逮捕した。
調べでは、川口容疑者は1月4日午後9時ごろ、多発性骨髄腫と痴呆症などで入院していた同市内の女性に点滴の針を刺そうとしたところ、女性が腕を振り払うなどし、うまく刺せなかったことに腹を立て、素手で顔を殴るなどしたとされる。女性はくも膜下出血を起こし、同23日、合併症の肺水腫で死亡した。
看護部長が事情を聴いたところ、川口容疑者が暴行を認めたため、同病院は1月6日、同署に届け出た。川口容疑者は同月30日付で懲戒解雇された。

医療事故に報告制度 第三者機関が防止策 厚労省方針 

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厚生労働省は医療事故を防ぐため、第三者機関を設けて事故の情報を集め、再発防止策を提示する制度を創設する方針を固めた。処分権限がある国から独立した機関をつくることで情報を集めやすくし、同じような事故により早く対応できるようにする。医療機関だけでなく、患者・家族から情報を求めることが特徴。同省の検討部会が3月末までに大枠をまとめる。現在、医療事故の報告制度はなく、厚労省が国立の病院・療養所に対し、患者が死亡するなど重大な事故の報告を義務付けているだけだ。事故に至る一歩手前の事例について、01年から国立病院や大学病院などを対象に自発的な報告を受けているが、実際の事故情報を多く集めて分析することが効果的な防止策につながるとの意見が医療安全対策に関する検討部会などで出たことから、新制度をつくることにした。
第三者機関は報告された情報をもとに事故の原因などを分析。病院名や患者の名前などをふせたうえで公表し、再発防止策を示す。患者や家族から情報を得ることで、医療機関から報告がない事例を把握でき、患者側の視点を生かすことができるという。医療機関に報告を義務付けるかどうかは、まだ決まっていない。

抗生物質投与 事前テスト中止を 陰性でもショック死 

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抗生物質の投与でアナフィラキシーショック(激しいアレルギー反応)が起きないか事前に調べる「皮内テスト」はやめるべきだ、との報告書案を日本化学療法学会の部会がまとめた。テストが陰性でも治療でショックが起きた例が相次いでいたことが調査で分かったため。「陰性と安心してショックへの対応がおろそかになりかねない」とし、厚生労働省にも提言する方針だ。
抗生物質を使うとショックが起きる人がまれにいる。命にかかわる場合もあり、50年代にペニシリンで重いショックがしばしば起きたのを機に、事前に抗生物質を少し注射して反応をみる皮内テストが普及した。
日本では、βラクタム系と呼ばれる抗生物質を中心に添付文書で推奨されているが、欧米ではアレルギー経験がある患者にしか行われない。
学会員の医師ら二百余人を対象に調査すると、過去3年間で、陰性なのにショックが起きた例が9件、テストそのもので起きた例が1件あった。小児科146施設へのアンケートでも、陰性なのにショックが起きた例が8件あった。NPO(非営利組織)、医薬ビジランスセンターの浜六郎代表(内科医)は「調査は、テストしない時どのくらいショックが起きるか、した時どれだけ予防できるかきちんと評価できるデータになっていない」としている。

試験業者に患者血液、無断で渡す 富山医薬大 男性技師を処分へ 

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国立富山医科薬科大学(富山市、高久晃学長)は18日、同大付属病院(寺沢捷年病院長)輸血部の男性臨床検査技師が、輪血手術の際の輸血用に患者本人から採取しておく「自己血」と日本赤十字社から購入した輸血用血液製剤を、患者の同意や大学倫理委員会の許可なく大阪府内の試薬メーカーに渡していたと発表した。同大は「倫理規定違反にあたる」として男性技師を処分する。
大学側の説明によると、男性技師は昨年12月26日、入院患者から採血した自己血のFFP(新鮮凍結血漿)と、輸血用血液製剤が入った容器を、患者が特定されかねない番号がついた状態のまま業者に渡した。男性技師は大学側の調査に「研究の目的で業者に委託した」とし、業者とは金銭の授受はなかったと話しているという。同大では、余った血液は一定期間後に学内で焼却処分にしている。男性技師は焼却処分前に血液を抜き取り、業者に渡していたという。

医療機関の経常利益が大幅減少、医療法人立病院で対前年同月比63.7%減 

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日本医師会は2月19日、「緊急医業経営実態調査」の結果を公表した。2002年10月における経常利益をみると、医療法人立の病院が128万5000円(対前年同月比63.7%減)、個人立の病院が450万9000円(同30.4%減)、医療法人立の診療所が61万7000円(同66.7%減)、個人立の診療所が202万9000円(同18.7%減)で、いずれも前年同月より大きく減っており、医療機関の経営状況が悪化している様子がうかがえる。医業外の収入と費用(支出)を除いた医業利益(医業収入から医業費用を引いた額)についても、同じく大きく減少している。
収入と費用の分けてみると、病院・診療所、法人・個人の別を問わず、いずれも収入の減少幅が費用の減少幅を上回っている。法人立病院では、医業収入(自由診療、介護収入を含む)は1.8%減、医業費用(医業原価と一般管理費の和)は0.4%減、個人立病院では順に7.7%減、4.5%減、法人立診療所では8.6%減、3.8%減、個人立病院では9.7%減、4.9%減だった。
また、既に公表されている社会保険診療報酬支払基金や厚生労働省などのデータでは医療費の減少がみられ、昨年の診療報酬改正や高齢者を中心とした様々な制度改正などが医療機関の収入に影響を及ぼしているようだ。
この調査は、2002年度の診療報酬改定と制度改正に伴う医療機関経営への影響度を検証する目的で行ったもの。2001年10月と2002年10月における収支状況を、病院492施設、診療所725施設のデータを基に比較した。
詳細については、日本医師会のホームページまで。

不整脈の「心房細動」治療法の確立へ大規模臨床試験 

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不整脈の一つで脳卒中の原因にもなる「心房細動」。その治療は、細動を抑えるのがいいのか、細動はそのままで心拍を遅くするのがいいか−−日本心電学会が主導する大規模な臨床試験が始まった。米国の研究では心拍を遅くする方がよい傾向がみられたが、使う薬に違いがある日本にあてはまるかどうか検証する。
心房細動は心房が小刻みに震える病気で動悸や息切れなどを起こす。65歳以上では20人に1人ともされる。心室細動のように重症なものではないが、心臓の血管にできた血の塊が脳に至って脳硬塞になりやすい。
近年は細動を抑えて心房のリズムを正すのがよいと考える医師が増えている。しかし大規模な臨床試験による科学的データはなかった。

資格試験にも説明義務 無断治療に賠償命令 金沢地裁 

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金沢大学医学部付属病院(金沢市)で無断で卵巣がん治療の比較試験の対象にされ、糟神的苦痛を受けたとして、死亡した石川県内の女性(当時51)の遺族4人が、国を相手取り約1100万円の賠償を求めた訴訟の判決が17日、金沢地裁であった。井戸謙一裁判長は「標準的な治療法でも、患者の治療以外の目的が医師にあって、それが治療方法の決定に影響を与える場合は、患者への説明義務がある」と述ベ、患者の自己決定権の侵害を認めて国に165万円の支払いを命じた。
危険性が高い新薬の治験などとは異なる一般的な治療での比較試験をめぐって、厳格なインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)の必要性を明確に認めた判決は、医療現場に影響を与えそうだ。
判決によると、この女性は97年12月、同病院で右側卵巣腫瘍を摘出。翌年1月、抗がん剤による化学療法を受けたが、腎機能に障害が出たことなどから1回で中断。別の病院に移って治療を続けたものの、同年12月に死亡した。
判決は、病院側が二つの化学療法の有用性などを比べて検討するため、患者を無作為に振り分けて実施していた比較試験の症例対象に、女性を加えていたと認めた。
そのうえで、二つとも優劣差のない標準的な治療法だったが、効果や副作用に若干の違いがあったと指摘。「無断で女性を比較試験の症例対象とした医師の行為は、患者の自己決定権を侵害する不法行為であるとともに、診療契約に反する債務不履行にもあたる」と結論づけた。賠償額については、女性が化学療法の実施と副
作用に関する説明を受け、同意していた▽副作用は当初の予想を大きく超えるものとは言い難い−などの事情を考慮して算定した。
欧米では当然
原告側代理人の一人である敦賀彰一弁護士の話
臨床試験やそれに準じる試験の際もインフォー
・コンセントが必要なのは、欧米では当然のこと。日本ではあいまいにされてきた部分があるかも知れないが、今回の判決で病院側の姿勢が問われることになる。
違和感おぼえる
無作為比較試験を進めていた北陸GOG(婦人科腫瘍)研究会代表の井上正樹・金沢大教授の話
この試験は、すでに保険診療薬として広く使われ、ほぼ効果が同じとされる二つの療法の違いを調べるためのものだった。効果不明の新薬を用いる通常の臨床試験とは違うので、違和感をおぼえる。

麻酔医常勤半数のみ 全身麻酔実施病院かけもち手術も 学会全国調査へ 

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全身麻酔手術をしている病院の半数に常勤の麻酔科医がいないことが日本麻酔学会の調査で分かった。大学病院が診療体制充実のため派遣先病院から医師を引き揚げ始めていることもあり、安全な手術に欠かせない麻酔医が不足する病院がさらに増える可能性がある。常勤していても労働条件の厳しさを理由に病院を辞め、地域医療に影響が出たケースもある。学会は勤務実態を初めて全国調査し、麻酔科医の適正配置や養成について検討する。
調査は、勤務実態調査をする病院を選ぶための予備として昨年、全身麻酔薬を販売する製薬会社を通じて実施した。
全国にある病院約9千のうち約4千で全身麻酔手術をしていたが、その中の約2千には麻酔科医が常勤していなかった。
かねて指摘されてきた麻酔科医不足が改めて浮かび上がった形で、いない病院は非常勤医師を雇うか外科系の医師が麻酔をしているとみられる。
東京都内のある麻酔科医によると、常勤医がいない病院からの依頼で応援に入る場合、ふだん一緒に仕事をしていないメンバーと組んで手術をするので強いストレスにさらされる。人数が足りないために、1人で同時に複数の手術をかけもちすることもあるという。
麻酔科医の役割は手術中の患者のチェックにとどまらない=メモ。
麻酔科医が常勤する病院でも、仕事の量が増えて労働条件が過酷になっているところもある。
宮崎県延岡市の県立延岡病院(460床)では集中治療室(ICU)の管理も担う麻酔科医5人全員が「負担が大きい」などとして昨年末に辞職。同病院は他の県立病院からの応援で常に1人の麻酔科医がいるようにして救急患者に対応しているが、計画的な手術ば約10病院に患者を紹介する事態になっている。
麻酔科医が不足する中、昨春、一定件数に達しないと診療報酬を減額される手術が指定されたこともあり、都内の大学の麻酔科教授は「麻酔科医が充足していない病院が実績をあげようと無理に手術をすれば、医療事故につながりかねない」と心配する。
学会の勤務実態調査は日本産業衛生学会の産業疲労研究会と共同で、中小病院を含む全国約800病院や、麻酔科医個人を対象に行う。
麻酔科医=手術前の患者の診察や説明、手術中は人工呼吸器の管理や患者の全身状態のチェックを担当、術後の意識の回復を確認する。ICUでの重症患者の管理に、痛みの治療を目的としたぺインクリニックでの役割も増えている。日本麻酔科学会は会員数約8900人。医師の3.5%にあたる。学会認定の麻酔科専門医は4860人。

長期生存率2倍に G型肝炎に感染のエイズ患者 米研究所発表 

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G型肝炎ウイルス(GBV・C)がエイズの病状の進行を遅らせる。こんな疫学調査の結果を米国立アレルギー感染症研究所が学会発表し、14日付の米主要紙が一斉に報じた。GBV・Cに感染していると、長期生存率が約2倍になっていた。
研究チームは、80年半ばに採血されて保存されていたエイズウイルス感染者271人の血液を検査。約4割の人がGBV・Cに感染していたことを確かめた。
エイズの診断から11年後の生存率は、GBV・C感染者が75%、非感染者は36%だった。途中でGBV・Cが体内から消えた人は生存率が16%に落ちていた。GBV・Cはエイズウイルスの邪魔をするらしい。GBV・Cのたんぱく質の一部を薬として使う方法が有望だという。
GBV・Cは95年に発見された。その後の研究により、肝炎を含め何らかの症状を引き起こす恐れはないとされている。米国人の約20%が感染者か抗体保持者(感染経験者)だという。

公正取引委員会、国公立病院などの入札で臨床検査会社らに排除勧告 

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公正取引委員会は2月13日、東京都や名古屋地区、大阪府、福岡地区にある国公立病院などが発注している血液や尿といった臨床検査業務の入札に際し、受注予定者をあらかじめ決定するなどの談合を行っていたとして、独占禁止法(不当な取引制限)違反で勧告を行った。勧告を受けたのは、エスアールエル(東京都立川市)、ビー・エム・エル(東京都渋谷区)、三菱化学ビーシーエル(東京都板橋区)など9社と、半田市医師会(愛知県半田市)。
このほか勧告を受けたのは、SBS(神奈川県相模原市)、大塚製薬(東京都千代田区)、塩野義製薬(大阪市中央区)、ファルコバイオシステムズ(京都市中京区)、生命情報分析センター(愛知県小牧市)、大阪血清微生物研究所(大阪市東淀川区)。
公正取引委員会によると、遅くとも1998年3月以降2002年3月ごろまで、1.それまで受注していたところが引き続き受注する、2.新規に発注される場合には話し合いにより受注予定者を決める、3.受注価格は受注予定者が定め、受注予定者以外のところはあらかじめ定めた価格で受注できるように協力する−−という合意の下に、受注予定者を決定し、その通り受注できるようにしていた。
この件に関する公正取引委員会の報道発表資料は、こちらまで

3月開催予定の医学関連学会 

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3月に国内で開催される主な学会には、日本循環器学会、日本再生医療学会、日本薬理学会などがあります。3月開催予定の主な学会の詳細については、こちらをご覧下さい。開催日時・場所、プログラムの主な内容、学会事務局の連絡先、ホームページのアドレスなどを掲載しています。このほか、日本総合診療医学会や日本脳卒中学会、日本呼吸器学会なども行われます。

結核診断に昔の技学ぶ アフガン医師ら

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東京都清瀬市の結核研究所で、アフガニスタンの医師ら5人が結核診断の研修中だ。患者のたんから標本スライドを身につける。日本政府による復興支援事業の一環で、国際協力事業団(JICA)が招いた。5人は「祖国復興のために尽くしたい」と真剣だ。
「祖国復興へ」日本で特訓
同研究所は財団法人・結核予防会が運営する専門の研究施設。5人はアフガニスタンから医師ー人と臨床検査技師4人で、1月24日に来日。2月13日まで滞在する。世界保健機関(WHO)の統計では、アフガニスタン国内の結核患者は10万人あたり推定約320人で、日本の10倍以上。同研究所によると、診断ができる技術者が少なく、患者の1割しか発見されない。塗沫検査は患者のたんを竹べらでスライド上に薄く、むらなく塗って標本を作り、顕微鏡で菌がいるかどうかを調べる。DNA検査などが主流の日本ではあまり行われないが、安価で簡便なため途上国では必要な技術だという。
5人は標本1枚作るのにまだ30分かかる。当初よりは標本の形や大きさも少しずつ整ってきた。
同研究所国際研修課の藤木明子課長代理は70年代末、アフガニスタンで同じ技術を指導した。
「花が咲き乱れ、人も風土もすてきな国だった。戦乱のせいで二十数年たっても、まだ同じ技術を伝えないといけない状態なんですね」
首都カブールから参加したアブドゥル・ハイダリ医師は「3月に結核患者のための施設がカブールで再開するので、日本で覚えた技術を役立てたい」と話している。

白血病の末梢血幹細胞移植 ドナーが白血病で死亡

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白血病の治療などで最近急速に普及している末梢血幹細胞移植のドナー(提供者)が昨年11月、自らも急性骨髄性白血病を発病し、死亡したことが、日本造血細胞移植学会の調べで分かった。学会は、ドナーの選定を慎重に進めるよう移植医に求める文書を出し、注意を呼びかけている。10日午後にも発表する。
末梢血幹細胞移植のドナーの死亡例は海外では8人報告されているが、白血病で死亡した例は初めて。健康な人がドナーとなる末梢血幹細胞移植は、ドナーの安全の確保が大前提。ドナーが死亡したことで、移植のあり方が問われそうだ。
末梢血幹細胞移植は、顆粒球コロニー形成刺激因子(G−CSF)という薬をドナーに投与して、血液中の造血幹細胞を増やしたうえで、腕の血管から細胞を取り出し白血病などの患者に細胞を移植する方法。骨髄移植に比べてドナーの負担が少ないことから急速に増えている。国内でも00年4月に保険適用され、214施設で2千件以上の移植が行われた。
今回、死亡例が確認されたのは関西地方の病院で造血幹細胞を提供した63歳の女性。多発性骨髄腫にかかった弟に移植するために、ドナーとなった。移植後1年余りたった昨年11月に急性骨髄性白血病を発症し、直後に死亡した。
学会は専門委員会で、ドナーの遺伝子などを調ベ、原因究明をする。委員長の名古屋第一赤十字病院の小寺良尚医師は「現段階では、G−CSFの投与との因果関係が否定できない。今後、因果関係を詳しく調べる。移植医は死亡例に関する情報をドナーにきちんと伝えて欲しい」と話している。

ティー・エス・エム、心臓ペースメーカーの付属品を自主回収

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ティー・エス・エムは2月4日から、心臓ペースメーカーの付属品である心臓電気生理用電極カテーテル「エレクトロフィジオロジー リード」と刺入電極「テンポラリ マイオカーディアル ハートワイア」の自主回収を始めた。これらの一部ロットの使用期限のラベルに別の使用期限のラベルが重ねて表示されている製品が見つかったため、同社が社内調査した結果、正確な使用期限が確認できず、製品の安全性が保証できないため。滅菌の有効性が担保されていないので、重篤な健康被害の発生の可能性を否定できないが、現在のところ、健康被害の発生の報告は受けていないという。
 回収の対象となっているのは、米国EP Med SYSTEMS社製造の「エレクトロフィジオロジー リード」については、1996年5月から2002年8月までに出荷された58本で、製造(ロット)番号が95244、97112、97129、98204の製品。
 また、米国Oscor Inc.社製造の「テンポラリ マイオカーディアル ハートワイア」については、1998年6月から2002年12月までに出荷された600本で、製造(ロット)番号がT94178、T94179、MT03199、MT03200、MT00454、MT01075、MT01076、MT01175、T95121、T95117、T95118、T95120、MT01831、MT01835、MT01838、MT01839。
 納入先は、「エレクトロフィジオロジー リード」が代理店14カ所と病院1カ所、「テンポラリ マイオカーディアル ハートワイア」が代理店6カ所の計21カ所。納入先については、同社はすべて把握しているという。
 問い合わせは、ティー・エス・エム(TEL:042-384-3150、FAX:042-386-1684)まで。

一人当たり老人医療費は75万7000円、2年連続減

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厚生労働省は2月3日、2001年度における老人医療費の見込みデータを公表した。老人医療費の総額は11兆7000億円で、前年度より4.1%増となる見込みだ。2000年度は介護保険制度の施行などにより、総額が対前年度比5.1%減となっていたが、再び増加した。しかし、一人当たりの老人医療費は75万7000円の対前年度比0.2%減で、2年連続減少となることがわかった。
 入院・入院外(外来)の別にみると、入院の一人当たり診療費は35万7000円(対前年度比0.8%減)、外来のそれは36万2000円(同1.9%増)の見込み。入院は2年連続減ったものの、外来は3年連続増える模様。
 都道府県別に入院の一人当たり診療費(見込み額)をみると、北海道(50万9000円)を筆頭に、福岡(48万1000円)、高知(46万3000円)、沖縄(46万3000円)と続く。一方、長野(26万9000円)や新潟(27万2000円)、静岡(28万2000円)などは少なく、格差は最大1.9倍に達するとみられる。
 また、外来で同様にみると、上位は大阪(43万8000円)、広島(42万4000円)、福岡(39万8000円)などで、下位は沖縄(29万1000円)、長野(30万4000円)、岩手(30万9000円)などで、最大格差は1.5倍になるとみられる。

厚労省、「カルブロック」など10品目を新医薬品として承認

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厚生労働省は1月31日付で、新医薬品として承認あるいは効能追加を受けた医薬品10品目を都道府県に事務連絡した。これらは、2002年10月から12月にかけて開催された薬事・食品衛生審議会の医薬品第一部会あるいは第二部会などで了承されていた薬品で、カルシウム拮抗薬のカルブロックなどが含まれている。
 承認もしくは効能追加となった医薬品の商品名、一般名、申請者などは以下の通り。
・グラクソ・スミスクラインの「小児用フルナーゼ点鼻液25」(一般名:プロピオン酸フルチカゾン)
 アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎を効能・効果とする小児用点鼻薬。
・宇部興産の「カルブロック」、三共の「カルブロック錠8mg」、同「カルブロック錠16mg」(一般名:アゼルニジピン)
 高血圧症を効能・効果とするカルシウム拮抗薬。
・協和醗酵工業の「デスモプレシン・スプレー10協和」(一般名:酢酸デスモプレシン)
 尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症の効能追加。以前からの適応症は、別規格の製品で中枢性尿崩症。
・中外製薬の「レナジェル」、同「レナジェル錠250mg」、麒麟麦酒の「フォスブロック錠250mg」(一般名:塩酸セベラマー)
 透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。リン酸吸着作用を有する非吸収性ポリカチオン製ポリマー。
・中外製薬の「セルセプトカプセル250」(一般名:ミコフェノール酸モフェチル)
 心・肝・肺・膵・小腸移植における拒絶反応の抑制の効能追加。以前からの適応症は、腎移植における拒絶反応の抑制、腎移植後の難治性拒絶反応の治療。
・アベンティス ファーマの「注射用タゴシッド」(一般名:テイコプラニン)
 メチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌による感染症に対する抗菌薬。小児に対する用法・用量の追加。

日本医師会、ORCAプロジェクトの一環で認証局を開設

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日本医師会は2月4日、ORCAプロジェクトにおける事業の一つとして、公開かぎ認証基盤(PKI)を利用した認証局を開設した。PKIは公開かぎ暗号技術に基づいて、電子署名や相手認証を実現する技術のことで、認証局は、かぎが本人のものであることなどを証明するデジタル証明書を発行する機関。日医が自ら認証局を立ち上げたのは、ORCAプロジェクトでは守秘性の高い患者情報を中心に取り扱うので、自らセキュリティを確保したネットワークの構築を目指していたため。
 日医の認証局では当面、日医標準レセプトソフトのセンターサーバーへのバックアップデータの認証を、希望者を対象に行う。また、IPv6による経路の暗号化も行うため、サーバーへのバックアップ経路にはIPv6の使用が必須となる。これらにより、ネットワークにおける盗聴、改ざん、なりすましなどを防ぐ。
 認証を使ったバックアップサービスは、各種の審査が終了し、証明書の発行を受けたところから順次開始する予定。
 詳しくは、日医のORCAプロジェクトのホームページまで。認証局のポリシー案や認証申請要項などが掲載されている。