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医療扶助16億円もらい過ぎ 長崎県、ミスで5年間 indexへ

 長崎県が5年間で生活保護制度の医療扶助費計約16億4400万円を国から余分に受け取っていたことが分かった。勘違いによる電算機の入力漏れによるもので、県は3年前に気づきながら、訂正しなかった。今年度分の交付税から差し引く形で、全額を国に返還する。
 県福祉保健課などによると、医療扶助を受けて入院した人が退院した場合、電算システム上は「廃止」の入力が必要となる。だが、退院後も通院して扶助を受けるケースが多いため、県内の福祉事務所は「廃止」とは受け止めず、入力しなかった。これらの入力漏れで、県は03〜07年度分の扶助費として国から年4千万円〜5億7600万円を余分に受け取った。
 県福祉保健課では05年10月に、職員が入力漏れに気づき、班長に報告した。だが、同課は福祉事務所に入力に注意するよう通知しただけで、調査をしていなかった。

手術のガーゼ、27年間体内に放置 京都の病院 indexへ

 社団法人京都保健会の京都民医連中央病院(京都市中京区)は28日、10年前に閉院した関連病院が81年に行った十二指腸潰瘍(かいよう)の手術の際に男性患者(48)の体内にガーゼを置き忘れ、27年間そのままになっていたと発表した。
 男性はCTスキャンで胃の裏側に6センチほどの異物が見つかり、今月、中央病院とは別の病院でほかの病気の手術に合わせて摘出したところ、ガーゼだった。81年に同保健会の右京病院で十二指腸の手術を受けた際に残されたとみられるという。
 右京病院のカルテを引き継いだ中央病院が男性に謝罪し、補償交渉をしている。中央病院の吉中丈志院長は「単純なミスで、申し訳ない。再発防止に努める」と話した。

薬害肝炎、田辺三菱が和解へ 「放置」明記案を受け入れ indexへ

 薬害C型肝炎集団訴訟の和解交渉で、被告企業のうち「田辺三菱製薬」(大阪市)は23日、全国原告団が示した和解合意案を受け入れる方向で検討に入った。被害を放置した事実を明記しているが、原告側が「法的責任の及ぶ範囲を限定した」としており、製薬会社側も合意できると判断したとみられる。提訴から6年近くに及ぶ訴訟は国との和解を経て、最終決着へ向けて動き出した。
 全国原告団はこの日、田辺三菱本社を訪れ、執行役員や代理人弁護士に和解の基本合意書案を提示した。最初の「責任と謝罪」の項目では、同社が「血液製剤で甚大な被害が生じ、その拡大を防止し得なかった責任を認め、深くおわびする」としている。その上で、青森県で産婦の集団感染が発覚した87年以降、血液製剤の投与を証明する被害者のカルテが多く廃棄されたこと▽感染の疑いがある患者418人のリストを02年に厚生労働省に提出するなどしたほかは対策をとらず、その間に病状が進行した被害者がいること――を明記。「命の尊さを再認識し、再発防止に最大・最善の努力をする」という内容となっている。
 合意書案について、田辺三菱側は、原告らに「われわれの考えと大きな隔たりはない」と説明。7月初めごろまでに受け入れの可否を回答すると述べた。同社はその後、全国原告団との間で基本合意書を締結した上で、葉山夏樹社長が原告に直接謝罪する方向で調整しているとされる。原告側は早ければ7月17日の大阪高裁の次回期日で和解を成立させたい考えだ。
 これまでの協議では、被害放置の「責任」をめぐり、田辺三菱側は、薬害肝炎救済法に基づく給付金の負担割合が増えることへの懸念などから難色を示してきたとされる。このため原告側は、法的責任の範囲を「薬害の発生と拡大を防げなかった責任」にとどめる合意書案を22日の総会で最終決定していた

生活保護者に「後発医薬品を」 山梨・北杜市が通知 indexへ

 生活保護を受けている人に、特許が切れて価格が安くなった後発医薬品(ジェネリック)を使うよう、山梨県北杜市が市内の病院や診療所、薬局に通知を出していたことが19日、分かった。後発医薬品をめぐっては、厚生労働省が生活保護受給者への使用を事実上強制する通知を都道府県に出して、批判を受けて、今年4月末に撤回したばかり。
 同日あった北杜市議会文教厚生委員会で、中村隆一氏(共産)が指摘した。
 通知は北杜市福祉事務所が5月13日付で「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取り扱いについて(お願い)」と題し、送付した。
 文面で「被保護者は、通常、医療に係(かか)わる患者負担が発生しないことから、(中略)後発医薬品を選択する誘因や経済的メリットが働きにくい状況」としたうえで、「必要最小限の保障を行うという生活保護法の趣旨目的にかんがみ、(中略)被保護者に対して、医学的理由がある場合を除き、後発医薬品の使用を求めるように指示指導を図っております」と、使用を促している。
 生活保護受給者と後発医薬品に関しては、今年4月1日付で、厚生労働省が事実上、使用を強制することを各都道府県に求めて、批判を浴び、同30日付の通知で方針を撤回した。
 北杜市の藤原良一保健福祉部長は、中村氏の質問に対し、「調べる」とだけ答えた。担当する同市市民福祉課は「県からの指導にもとづいて、文書でお願いした。強制したつもりはない」としている。
 一方、県児童家庭課によると、文書による通知を医療機関などに出した自治体は、県内では北杜市だけという。同課の関口圭子副主幹は、北杜市の通知について「初めて聞いた話。表現の一部に誤解を与えるところがあるので、口頭による指導も検討する」と話した。

採血ホルダー使い回し、熊本では数万人規模 日赤など indexへ

 二次感染の恐れがあるとして厚生労働省が再使用を禁じた医療器具の採血ホルダーを、熊本県内の国立を含む複数の医療機関でここ1年だけでも数万人規模で使い回していたとみられることが19日、わかった。ホルダーは直接血液に触れる針と比べ、感染の危険性はごく低いとみられるが、使い回しが全国各地で発覚して問題となった後も使用を続けていたところもある。これまでのところ、健康被害の報告はないという。
 採血ホルダーは採血の際、体に刺す針部分と血を引き抜く真空管を固定する器具。使い回しが明らかになったのは、年間5万〜6万人から採血し、うち6割程度で採血ホルダーを使う日本赤十字社熊本健康管理センター(熊本市)、同じく約3万人から採血する熊本市医師会ヘルスケアセンター(同)、1日数百人から採血するという国立病院機構熊本医療センター(同)、05年から今月まで約1万5千人の健診で使用した公立多良木病院総合健診センター(多良木町)。いずれも、これまでに何人に使い回していたかはわかっていない。
 日赤のセンターは今月6日まで、市医師会のセンターは9日まで、何回かの採血に使っては消毒し、再使用していたという。いずれの機関も血液に直接触れる針や周辺部は毎回交換しており、ホルダーも、血液が付着したら交換するなどの対策はとっていたという。
 医療機関側は「再使用がいけないとは認識していなかった」「感染事例もないため、緊急性が高いとは思わなかった」と釈明している。
 ホルダーは厚労省が05年、医療器具メーカーに「患者ごとの使用とし、使用後廃棄する」と通知した採血器具の一つ。あるメーカーでは、商品に「再使用禁止」と明記した文書を添付しているという。
 熊本県医療政策総室は「厚労省から、採血ホルダーは実態調査をしている別の採血器具とは危険性の次元が違うと説明を受けており、感染の危険性は低いが、実態把握に努めたい」としている。

2年前にも容体悪化、院長が点滴検査指示 三重の診療所 indexへ

 鎮痛薬の点滴を受けた患者が相次いで体調を崩した三重県伊賀市の診療所「谷本整形」(谷本広道院長)で06年9月、点滴後の患者の容体が悪化して別の病院に入院するトラブルがあり、原因究明のため、谷本院長の指示で、残っていた点滴液の検査を外部に委託していたことが診療所関係者の話でわかった。
 このトラブル後、谷本院長が看護師らに点滴液の作り置きを禁じたことも明らかになっている。谷本院長は当時、点滴という治療行為が容体悪化につながった可能性を疑ったとみられる。
 伊賀市の上野総合市民病院などによると、06年9月、谷本整形で鎮痛薬の点滴を受けた男性の容体が急に悪化し、救急車で同病院に搬送された。感染症の疑いがあると診断された。2日後には女性が谷本整形で鎮痛薬の点滴を受けて帰宅した後に体調を崩し、同病院で治療を受けた。急性腸炎とみられた。2人とも10月に退院した。
 点滴液の作り置きは院内感染を防止するうえで好ましくないとされるが、谷本整形では当時、日常的に行われていた。検査では原因となる細菌が検出されず、トラブルの原因は分からなかった。
 谷本院長は「(症状と)点滴との因果関係がわからなかったので(保健所に)届け出なかった」と今月11日に明らかにしている。
 谷本院長はこのトラブルを機に点滴液の作り置きを禁じた。点滴を受ける患者が多く、その都度の調合では患者の待ち時間が長くなるため、難色を示す看護師もいたが、院長は「それでもその都度やれ」と命じたという。
 しかし、今年5月以降、谷本整形で点滴を受けて体調を崩す患者が相次いだため、三重県などが調べたところ、看護師らが最近も作り置きをしていたことが明らかになった。診療所関係者は「院内を頻繁に行き来する院長も知っていたはずだ」と話す。

採血器具使い回し、健康イベントで4千人に 福岡市 indexへ

 採血器具の使い回し問題で、福岡市は16日、市民向けのイベントや病院などで98〜06年の間に、計4398人を対象に使い回した器具を使っていたと発表した。これとは別に、厚労省が使用を禁じる通知を出した06年3月以降も、市立こども病院・感染症センター(中央区)では4人の子供に使い回した器具で採血をしていたという。
 市は同月以前の健康イベントなどで採血した人を対象に、無料の健康相談(平日の午前9〜午後5時)を各区の保健所で受け付ける。
 市によると、04〜06年にあった「健康フェスティバル」などの市民向けイベントに参加した計1690人と、99〜05年に開かれた糖尿病教室に出席した計2569人に使い回した器具を使った。ほかにも、こども病院で98年以降、計55人、市立福岡市民病院(博多区)では05年以降で計88人に同様に使い回した器具を使ったとされる。
 針は交換したものの、先端のキャップ部分をアルコール消毒して繰り返し使っていた。今のところ健康被害の連絡はないという。
 市は厚労省から使い回し禁止の通知が届いた06年3月13日以降、イベントなどの使用は中止。だが、市内にある医師会未加盟の診療所には通知を伝えていなかった。また、こども病院は通知を医療現場に回覧するなどの措置をとっておらず、07年11月までに2〜12歳の4人に使い回した器具を使ったという。
 16日の記者会見で恒吉香保子・市保健福祉局理事は「不安や心配をかけ申し訳ない。危機管理が徹底されておらず反省している」と謝罪した。
 採血器具の使い回しは全国で相次いで発覚している。北九州市や山口県下関市の病院や診療所などでも、糖尿病患者の検査などの際にキャップなどを使い回していたことがわかっている。

院内感染の可能性強まる 三重の点滴被害、ずさん管理も indexへ

 三重県伊賀市の診療所「谷本整形」で点滴を受けた患者が相次いで体調を崩して1人が死亡した問題で、同県は12日、患者4人の血液から、院内感染でよくみられるセラチア菌が検出されたと発表した。院内感染の可能性が高まったと判断している。看護師により調合場所が違い、調合した後の点滴を事務机の上に保管するケースもあるなど、不潔な状況で点滴が行われていた。
 県警は点滴にからんだ院内感染との見方を強め、同日、業務上過失傷害の疑いで谷本整形に家宅捜索に入った。6月9日に点滴を施した患者十数人に敗血症を発症させた疑いがもたれている。
 県は12日、谷本整形で6月9日に点滴を受けて容体が悪化した7人のうち5人からグラム陰性桿菌(かん・きん)が検出されたと明らかにした。検出されたのはともに伊賀市にある上野総合市民病院に入院した4人と岡波総合病院の1人。上野総合市民病院の4人について、セラチア菌と確認された。新たに男女4人の患者が判明し、被害者は23人となった。
 県によると、複数の看護師が調合を担当していたが、手の清潔が保てない設備上の問題があった。手洗いに、使い捨ての紙タオルでなく布タオルを使っていた。日々の調合数やその日に使わずに残した数など、点滴の使用状況については作業記録が作られていなかった。
 11日に谷本整形に帳簿の提出を求めたが、備えるべき帳簿が作られていなかったり、手順書に基づかない業務実態があったりしたという。
 県は伊賀保健所で分析している患者の受診実態の結果とあわせ、医薬品の管理や清潔保持体制について、さらに調べを進める。
 一方、作り置きをしていたのは、今回症状が出ている鎮痛薬「ノイロトロピン」と、ビタミン剤の「メチコバール」を生理食塩水に混合して使うセットの点滴だけだったことがわかった。谷本整形では1日約100人分の点滴を使用しており、今回症状が出た組み合わせの割合は、全体の半分以下とみられる。県健康福祉部の担当者は「今回の点滴が最も頻繁に利用されるため、作り置きされていた」とし、現状では他の点滴では作り置きは確認されていないとしている。

点滴毎朝作り置き、血液から細菌 院内感染の疑い強まる indexへ

 三重県伊賀市の診療所「谷本整形」で点滴を受けた患者が相次いで体調を崩して1人が死亡した問題で、同診療所が毎朝、午前中に使う点滴を10パック単位で作り置きしていたことが11日、同県の調べでわかった。多い時は30パックを作り、残った分は次回の診察日に回すなど作り置きは常態化していた。県警は点滴にからんだ院内感染との見方を強め、業務上過失致死傷の疑いで捜査している。
 県によると、同診療所は鎮痛薬とビタミン剤を組み合わせて点滴に使っていたが、8人の看護師のうち、特定の看護師ではなく、パックが足りなくなっているのに気づいた複数の看護師が調合していた。
 谷本広道院長は11日午前、記者団に対し、30歳代の女性看護師が「院長の指示に反して点滴を作り置きしていた」と申し出たと説明していた。
 また、伊賀保健所が9日に同診療所で調査した際、看護師は「10パックぐらい朝に作るが、忙しいのですぐになくなる。今日はもうない」と説明したが、10日に調査した保健所職員が、診療所の医療廃棄物用のごみ箱のようなものから未使用の8パックを回収していたことも分かった。
 県警は11日、死亡した市川満智子さん(73)の遺体を司法解剖した。死亡推定時刻は10日未明と分かったが、死因はわからなかった。点滴パックの保管状況などが適正でなかった疑いもあるとみて診療所側から事情を聴いている。
 谷本整形で点滴を受け、相次いで体調を崩した患者を受け入れた2病院が11日、複数の患者の血液から細菌が発見されたことを明らかにした。
 岡波総合病院の猪木達院長によると、入院した5人のうち1人からグラム陰性桿(かん)菌が検出された。8人が入院する上野総合市民病院も会見し、「複数の患者から菌を検出した」と述べ、細菌の特定を急いでいるという。
 国立感染症研究所の荒川宜親・細菌第二部長によると、グラム陰性桿菌は、自然環境に存在する常在菌で、このうち、緑膿(りょくのう)菌やセラチア菌などは院内感染の原因となる場合がある。強力な毒素を排出するため、血液に入ると、健康な人でも高熱や命にかかわる低血圧を起こす。腎臓や肝臓の機能が弱り、多臓器不全などで亡くなることもあるという。白血球数が極端に減少し、敗血症を引き起こす場合もある。
 県などによると、11日に新たに5人の入院がわかり、谷本整形で点滴を受けた後に容体が悪化したことが確認された患者は計19人になった。

左右の目を間違えて手術 東大病院、未消毒のまま indexへ

 東京大学病院(東京都文京区)は11日、今月6日に行った70歳代の男性患者の緑内障手術で、左目を手術するところを間違えて右目を手術したと発表した。病院は患者と家族に謝罪、左目は7日に手術した。
 病院の説明によると、手術前に左目の消毒を済ませた医師が、本来なら手術しない方の右目を布で覆うところを逆の左目にかけた。さらに、執刀医も左目のこめかみに書かれた確認用のマークを見ないまま右目を手術。この患者は両目とも重い緑内障だったため、執刀医は患部の違いに気づかなかったという。
 手術翌朝の診察で、患者の妻が「どうして右目に眼帯をしているの?」と、医師に尋ねたことから、間違ったことが分かった。右目は消毒されないままメスが入れられたため、現在、感染症防止のための治療を受けているという。病院は調査委員会を設け、原因を調べている。

勤務医が7割以上 「第2の医師会」発足 indexへ

 病院の勤務医を中心とした「全国医師連盟」(黒川衛代表)が発足し、8日、東京都内で初の総会を開いた。加盟740人のうち、7割以上が勤務医。開業医主導の日本医師会と違った立場で、勤務医の過重労働や医師不足問題などの解決策を提起していく。
 当面、勤務医の労働実態把握や、個人加入できる労働組合の創設、一般向けの医療情報提供などに取り組む。加盟者の平均年齢は45歳で、第一線の医師が目立つ。黒川代表は「日本医師会などは医療崩壊の解決に向けた方向性を示せていない。私たち現場の医者が医療再生を求めていきたい」と訴えた。

京大病院、2年2カ月ぶりに肺移植再開 indexへ

 京都大医学部付属病院(中村孝志・病院長)は5日、約2年2カ月ぶりに再開した肺移植手術が順調に終了したと発表した。同病院では、06年に起きた脳死肺移植手術のミスによる死亡事故を受け、肺移植手術を自粛していた。
 同病院によると、閉塞(へいそく)性細気管支炎を患っている中部地区の女児(6)に母親の右肺の一部を移植した。母子ともに容体は安定。女児は順調ならば、2カ月後くらいに退院できる見通しだ。
 今後、数例の生体肺移植が予定されており、チームとして経験を積んだ後に脳死肺移植の再開を目指す。一山智・副病院長は手術後の記者会見で「社会に対する役割として一歩踏み出せた。チーム医療は高度先端医療に欠かせない」と話した。

発熱に効くハーブ、脱毛予防にも 阪大医学部が効果確認 indexへ

脱毛症の進行を抑える成分が含まれていることがわかったハーブのナツシロギク
 大阪大と医療用具開発ベンチャーのエム・エム・ティー(大阪市)が共同開発したサプリメントの主成分に男性型脱毛症の進行を抑える働きがあることを、同大の冨田哲也助教らの研究チームがヒトの細胞を使った実験で確かめた。東京で6日開かれる日本抗加齢医学会総会で発表する。
 この成分は、発熱などに効くとして古くから欧米で愛用されてきたハーブの一種、ナツシロギクから抽出した「パルテノライド」。近年の研究で、がん転移や様々な炎症を引き起こす司令塔役のたんぱく質「NF―kB」に結びつき、転移や炎症を抑える働きがあることが分かっている。
 研究チームは、この成分のリウマチや関節炎に対する作用を調べている最中に脱毛症への効果を見つけた。リウマチ患者に与えたところ、痛みが和らいだうえに「髪の毛が太くなったり、薄くなった頭頂部にうぶ毛が生えたりした」(冨田助教)という。
 額の生え際や頭頂部の毛が薄くなる男性型脱毛症の原因物質は、男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」(DHT)とされる。DHTの生成には「NF―kB」がかかわっており、パルテノライドがその働きを抑えることで、脱毛症の進行が抑制されると研究チームはみている。
 冨田助教は「従来の脱毛症薬とは異なる、NF―kBという治療のターゲットが見つかった。新たな治療法への応用が期待できる」と話す。

体内から25年前のタオル 青緑色に変色 千葉の病院 indexへ

 茨城県神栖市の病院で5月、男性患者(49)の腹部の腫瘍(しゅよう)摘出手術をしたところ、ソフトボール大の変色したタオルが見つかった。男性は25年前、千葉県旭市立国保旭中央病院で十二指腸かいようの手術を受けており、そのとき体内に置き忘れたものとわかった。同病院はこれを認め、男性に謝罪した。
 男性によると、今年初めから腹痛があり血尿が出たため、3月に神栖市内の病院で検査を受け、腹部に腫瘍のようなものが見つかった。5月9日に市内の別の病院に入院。26日に開腹手術を受け、脾臓(ひぞう)とその下からカプセル状のものを摘出した。青緑色に変色したタオルだった。
 男性は83年9月に旭中央病院で十二指腸かいようの手術を受けた。その後は手術をしたことがなく、同病院の調査で、男性の入院や手術記録が見つかったという。
 病院側は「大変ご迷惑をかけた。男性には真摯(しんし)に対応したい」。男性は「タオルと聞いて信じられなかった。脾臓を守るために使うと説明されたが、こんなことは二度とあってはならない」と話している。

無料妊婦健診、実施5.5回 昨年の2倍 厚労省まとめ indexへ

 政府が少子化対策の一環として進めている公費助成による無料の妊婦健診について、全国1800市町村の実施回数は平均5.5回(4月現在)であることが、厚生労働省の統計でわかった。2.8回だった昨年8月時点のほぼ倍となった。
 出産までの望ましい健診回数は14回程度とされ、費用は1回1万円前後。経済的な負担などを理由に健診を受けないままの「飛び込み出産」も問題になっている。母子の健康を守るため、厚労省は07年度、市町村に最低5回分を公費負担するよう求め、交付税措置している。
 厚労省によると、公費負担が4回以下は約1割の172市町村あり、うち「今年度中に回数を増やす予定」と答えたのは24市町村、「来年度以降」は46市町村だった。102市町村は増やす予定はないとした。都道府県単位でみると、福島が10.8回で最も多く、滋賀が10.7回で続いた。一番少なかったのは、2.6回の和歌山だった。

接骨院・整骨院、保険対象外も請求? ケガ数など不自然 indexへ

 接骨院や整骨院で柔道整復師の治療を受けた患者の2人に1人が3カ所以上のケガをしていたとして、健康保険の請求が行われていることが厚生労働省の調査でわかった。1人あたりのケガ数が不自然なほど多く、「保険のきくマッサージ施設と勘違いしている利用者を、けが人として扱い、不正請求する柔整師が多いことをうかがわせる」との声が業界内からも出ている。
 厚労省は、07年10月中に申請があった柔整師の保険請求のうち、7万サンプルを抜き出して調査。このほど集計がまとまり、朝日新聞の情報公開請求に応じた。
 それによると、3カ所以上のケガがあったとする請求の割合は00年の32.5%から増え続け、今回初めて50.5%と半分を超えた。内訳は3カ所が44.7%、4カ所以上が5.8%だった。4カ所以上だとケガの理由を具体的に書く必要があり、3カ所に集中したとみられる。
 都道府県別にみると、3カ所以上の請求は西日本で目立つ。大阪、奈良、徳島の3府県は80%以上。一方、岩手、山形両県は10%台と低く、業界団体の幹部でさえ「ケガの数の多い地域は、不正請求の割合が多いと推測せざるを得ない」という。
 本来、柔整師の保険請求が認められるのは、骨折、脱臼、ねんざ、打撲、肉離れだけで、肩こりや、加齢による腰痛などは請求できない。
 しかし、保険対象外の肩こりや腰痛をねんざと偽って不正請求する例が後を絶たない。西日本のある国民健康保険組合は、首、肩、股関節のねんざで治療を受けたという50代の女性に問い合わせたところ、単なる肩こりと判明。不正請求と知った女性は「マッサージが上手だと聞いて何度か利用したがもう行かない」と話した。
 不正が横行しているとみる健康保険組合は少なくない。「一つひとつの請求は多くて数万円だが、それが大量に来る。厚労省が示すケガの基準があいまいなこともあって、おかしいと思って指摘しても柔整師はなかなか認めない。結局、単価が高い医科の点検を優先し、柔整師の不正は見逃しがちだ」(大手健保)
 不正請求が発覚すると悪質な場合は、都道府県が保険請求を停止する行政処分を出す。身に覚えがない架空請求は、患者も医療費通知で不正とわかるが、単なる肩こりをねんざと装ったり、1カ所のケガを3カ所で請求したりすると、保険制度に詳しくない患者には不正とわかりにくい。こうしたこともあって、07年度中に柔整師に対する保険請求停止は全国で16件にとどまった。
 骨折、脱臼の保険請求には医師の同意が必要だが、ねんざや打撲は必要なく、請求はこの二つで99%を占める。
 厚労省の推計によると、柔整師にかかった患者の治療費は05年度で約3100億円。これは開業医の皮膚科、産婦人科を上回る。近畿大学医学部の浜西千秋教授(整形外科)は「マッサージのような行為に公的保険が使われているなら、一番の被害者は保険料を払う国民だ」と指摘する。
 背景には柔整師の急増がある。07年度は10年前の5倍近い5069人が国家試験に合格。接骨院などの施術所は、06年末までの10年で4割強増えて3万を超えた。
 柔整師が患者に保険制度を説明するよう促す仕組みが6月から始まるが、不正請求の歯止めになるかは未知数だ。
 日本柔道整復師会の話 保険制度の理解が不十分な一部の柔整師が過剰な請求をしている可能性がある。適正な請求を指導したい。(松浦新、内藤尚志)
 〈柔道整復師〉 「ほねつぎ」とも呼ばれる。日本古来の技法で、柔道などでケガをしたときの処置として発達したとされる。医療を補う行為とみなされ、1936年、柔整師による保険請求が認められた。「当時は整形外科が未発達で、柔整師の治療を選ぶ人も多く、患者の利便性を重視した」(厚労省)。3年以上の専門教育を受け、国家試験に合格すれば開業できる。06年末現在約3万8700人。

精神科医、総合病院離れ 病床2割減、閉鎖も相次ぐ indexへ

 地域の中核病院などの総合病院で、医師不足から精神科病棟の閉鎖が相次いでいる。02年から4年間で、精神病床がある病院数は1割、病床数は2割近く減った。総合病院の精神科は、通常の治療だけでなく、自殺未遂者やがん患者の心のケアなど役割が広がっている。事態を重く見た関係学会や厚生労働省は現状把握の調査を検討している。
 日本総合病院精神医学会の調査によると、02年に272あった精神病床を持つ総合病院は06年末に244に、病床数も2万1732床から1万7924床に減った。調査後も休止したり診療をやめたりする病院が続いている。
 廃止になっているのは主に地方の公立病院だ。自殺率が12年連続全国1位で自殺予防に取り組む秋田県でも、精神病床がある八つの総合病院のうち、3カ所が入院病棟を閉鎖中。非常勤で維持してきた外来診療も、大学医局の医師引き揚げで厳しい状況にあるという。宮崎県では、四つの県立病院に十数人いた精神科医が昨年末に3人になった。
 精神科専門の医師数は微増傾向だが、厚労省調査では、この10年で診療所と精神科病院に勤める医師数は増加したのに対し、総合病院などは1割減。夜間休日の救急対応などの忙しさから敬遠されたとみられる。また、他科より診療報酬収入が少なく、経営側に負担感が大きいという。
 厚労省は、精神障害者が入院中心から脱して地域で生活できるよう単科精神科の病床数削減の方針を打ち出した。一方、自殺未遂で入院した患者を精神科医が診察すると診療報酬が加算されたり、がん対策基本法で緩和ケアチームに精神科医の関与が求められたりと、総合病院での精神科医の役割は増している。
 水野雅文・東邦大医学部教授(精神医学)は「イタリアは精神科病院を全廃し、代わりに全総合病院に精神病床を置いた。日本は、精神科病院の病床削減は進まず、総合病院の病床が減るという正反対のことが起きている。総合病院の精神科医療の診療報酬を手厚くするなどの対策が必要だ」と話す。

採血器具使い回し、肝炎感染か 島根の診療所 indexへ

 島根県の診療所で血糖値を測定する採血器具の針を交換せずに37人に使い、一部患者がB・C型肝炎に感染した恐れがあることがわかった。厚生労働省は27日、全国の医療機関を対象に、使い回しなど不適切な使用事例がないか実態調査を始めると発表した。
島根県の診療所で使い回されたものと同種の採血器具。胴体部のボタンを操作すると先端から数ミリの針が出て、微量の血液が採れる。「複数患者使用不可」のシールが張られている
 都道府県を通じて、週内にも全国約11万の診療所や病院、老人保健施設に調査票を送り、6月中に結果をまとめる。
 対象器具は、この診療所などで使われていたロシュ・ダイアグノスティックス社の「マルチクリックス」や同種の製品で、計8社23製品。指先などにあててボタンを押すと先端から針が出て、血液が採取される。針は交換できるが、患者1人が繰り返し使用する前提。複数の患者に使うと、針周辺の器具に残った微量の血液でウイルス感染などの恐れがある。
 だがこの診療所では複数の患者に使い、針交換の操作も怠っていた。診療所側は「針は自動的に交換されると思っていた」と話しているという。
 県調査で、同種器具の使い回しが46施設から申告されたため、事態を重視した厚労省は全国調査を決めた。

島根県、採血器具使い回しの禁止伝えず indexへ

 島根県内の医療機関が厚生労働省の通知に反して採血器具を複数の患者に使い回していた問題で、同県はこの通知を県医師会や市町村などに連絡していなかったことを明らかにした。同省は、同様の使い回しがないか全国調査に乗り出す。
 通知は06年3月3日付。血糖値測定のため指先に針を刺して採血する器具のうち、肌に触れるキャップ部が交換できない製品はウイルスの二次感染の恐れがあり、複数の患者に使わないよう注意を促す内容。同県は県庁内と保健所には伝えたが、日本医師会に同じ通知が送られているとして、県内の関係機関に連絡していなかった。県医療対策課の門脇伸夫課長は「周知が不十分だった。今後は関係機関に通知できるように徹底したい」と話した。
 県の調査などで、県内の4病院と16診療所が器具の使い回しをしていた。市立の2診療所が使い回しをしていた同県浜田市は「通知を知らなかった」と釈明している。

疑惑の医師、聴覚障害認定の資格取り消し indexへ

 北海道で発覚した聴覚障害の偽装疑惑をめぐり、実態とかけ離れた重い障害を認定していた札幌市の耳鼻科医(73)に対し、同市は26日、障害を認定する指定医の資格を取り消した。
 医師は今後も医業を続けることはできるが、今回の処分により、聴覚障害のほか、平衡機能や音声言語機能といった障害を認定することができなくなった。診断内容が原因で指定医を取り消すのは札幌市で初めてだという。市は今後、医師の刑事告発も検討する考えだ。
 この問題をめぐっては、この医師によって約800人が最重度の聴覚障害を認定され、障害者手帳を取得したが、実際はほとんどが聞こえていたとして9割にあたる約700人が返還する事態になっている。医師は「患者にだまされた可能性がある」と主張したが、市の審査部会は「仮にそうだとしても医師には詐病を見抜く能力も問われる」と結論づけた。

こども病院近くに親向け宿泊施設 娘亡くした男性ら建設 indexへ

 重い病気の子どもが多く入院する神奈川県立こども医療センター(横浜市南区)そばに、患者の家族のための宿泊施設が25日、オープンする。建設費用の約8500万円は、重病で娘を亡くした川崎市の男性らが約4年かけて集めた寄付金だ。同じ境遇の親たちが出会い、悩みを打ち明け合える貴重な場所としての役割もある。
できたばかりの施設で打ち合わせをする田川尚登さん(左から4人目)や佐伯トシコさん(右から2人目)ら=横浜市南区六ツ川4丁目、千葉写す
 医療センターから約300メートル離れた県有地にできた「リラのいえ」。計8部屋で料金は1人1泊1500円。運営するNPO法人「スマイル・オブ・キッズ」(横浜市)に県が土地を無償で貸した。新規外来患者は年間約7500人。そのうち300人以上が県外からやってくる。
 同法人代表理事の田川尚登さん(50)は98年、6歳の次女はるかさんを脳腫瘍(しゅよう)で亡くした。入院は半年に及んだ。娘の余命を告げられた時、「なぜうちの子が」と絶望した。しかし、今では「娘の死を通じ、充実した時間が過ごせた」と受け止めている。
 02年秋、難病の子どもの支援をする民間団体を紹介するテレビ番組を見た。「自分にも何かできないか」と妻や友人らに相談すると、患者家族を支援するNPOを設立する話が盛り上がった。
 そんな時、同センターで「家族の滞在施設がない」と聞いた。娘が入院していた当時といえば――。毎日、仕事の後、川崎の職場から病院に駆けつける。面会終了時間にあちこちの病室から親と離れたがらない子どもの泣き声が聞こえた。ロビーや駐車場の車には泊まり込む親の姿があった。田川さんは建設のための活動を始める決意をした。
 一方、病院近くで患者家族のための宿泊施設を個人で運営する夫婦がいた。病院の元職員佐伯トシコさん(64)と夫の隆夫さん(68)。遠くから通う親に宿泊費や交通費など大きな経済的負担がかかることを知り、98年に自宅を改築した際、宿泊用の部屋を3室造り、格安で提供するボランティアを始めた。
 泊まる親たちは毎晩のように悩みを打ち明けて励まし合う。多くの宿泊者から「みんなといろんな話ができたのが救いだった」との声が寄せられた。04年、田川さんと出会い、施設の開設準備委員会を設立した。
 子を亡くした経験を持つ親ら十数人もボランティアに加わり、チャリティーコンサートや賛助会員の募集を続けた。06年10月には県内の医療関係者から匿名で5千万円余りの寄付の申し出もあった。田川さんは「この施設の運営が、娘から与えられた宿題なんです」。
 今後の維持運営費も寄付金でまかなう予定。問い合わせは事務局(045・824・6014)へ。

タミフルを計算間違いで2倍処方、8歳児一時入院 福岡 indexへ

 福岡市医師会が運営する診療所で2月下旬、インフルエンザと診断された8歳の男児が、適用量の2倍以上の抗ウイルス薬「タミフル」を処方されていたことがわかった。男児は体調を崩して市内の病院に入院したが、現在は回復している。体重ごとの適用量の計算を医師が間違えたのが原因だったという。
 市医師会によると、今年2月24日、高熱を出した男児が福岡市南区の南急患診療所で受診。70歳代の男性医師がインフルエンザと診断し、タミフルを処方した。しかし、男児の体重では1日2回、1.5グラムずつの計3グラムのところ、成人の適用量(計5グラム)も上回る3.5グラムずつ計7グラムを処方したという。市医師会の調べに、この医師は「適用量は患者の体重に1.3をかけて算出しなければならないのに、3をかけて計算してしまった」と話しているという。
 帰宅後タミフルを飲んだ男児が「目が回る」などと訴え、母親が電話で問い合わせたが、カルテを見た薬剤師もミスに気づかなかった。翌日に小児科医院を受診してミスが発覚。男児は1日入院したが、現在は回復したという。
 市医師会はミスを認めて男児側に謝罪した。下村国寿理事は「同じミスが起きないように適用量の換算表を作り、診療所では薬剤師や看護師を増やす措置を取った」としている。

子宮破裂お産時に障害 病院側に7300万円支払い命令 indexへ

 過去に帝王切開した妊婦が自然分娩(ぶんべん)するのは危険性があるのに十分な監視を怠り、子どもに重度の障害を負わせたとして、福島市内の夫婦が福島県立医科大学付属病院(福島市)に1億円の損害賠償を求めた裁判の判決が20日、福島地裁であった。病院側の過失を認め、同大に約7300万円の支払いを命じた。
生まれた直後、幕田智広さん(左)に抱かれる未風(みゅう)ちゃん。右は妻の美江さん=幕田さん提供
 森高重久裁判長は「注意深く監視すべき義務があり、緊急事態への準備をしておけば事態は避けられた可能性が高かった」と指摘した。
 原告は幕田美江(よしえ)さん(41)と夫の智広さん(42)。美江さんは93年8月、帝王切開で双子を出産。95年5月に同病院で自然分娩する際、帝王切開の傷が裂けて子宮が破裂した。帝王切開への移行が遅れ、次女の未風(みゅう)ちゃんは仮死状態で生まれた。未風ちゃんは重度の脳障害があり、4年9カ月後に死亡した。
 森高裁判長は、帝王切開した女性が自然分娩する危険性について「当時、具体的な指針はなかったが、病院側は説明義務を果たしていないと言わざるを得ない」と判断。「美江さんが痛みを訴えた時点で診察していれば、子宮破裂が迫っていると診断できた可能性があった」と、監視の不十分さを指摘した。
 そのうえで、胎児も大きめで美江さんには自然分娩の経験がなかったことなどから「緊急の帝王切開に至る可能性は高かった」とした。しかし、手術室に鍵がかかっていてすぐに使える状態になっていなかったことなどから、病院側は緊急事態への準備をしていなかったと判断した。
 同病院は、厚生労働省から特定機能病院の認可を受け、福島県では中核的な施設。美江さんも5年間看護師として勤務していた。美江さんは「未風は短い時間だったが、生きた証しを残してくれた。医療の従事者には責任の重さを再認識してもらいたい」と話した。同大は「判決文を詳しく検討して今後の対応を検討する」とコメントしている。

生体肺移植、6月にも再開へ 京大病院 indexへ

 京都大学医学部付属病院は20日、記者会見を開き、死亡事故を受けて自粛していた肺移植手術を再開すると発表した。「医の倫理委員会」の承認が得られれば、中部地区の6歳の女児に母親の肺を移す生体肺移植手術を6月にも実施する。脳死肺移植の再開は未定という。
 同病院は、手術について詳細なマニュアルを作成。呼吸器外科や心臓血管外科、麻酔科などそれぞれの責任を明確にした上、手術前に詳細な打ち合わせをしていく方針を確認している。
 06年に起きた脳死肺移植のミスによる死亡事故を巡っては、第三者委員会などが心臓血管外科について「チーム医療ができていなかった。病院の体質も問われるべきだ」とする報告書をまとめている。

ガーゼ置き忘れ14年、卵巣ごと切除 岐阜市民病院 indexへ

 岐阜市民病院で92年、子宮筋腫を取り除く手術の際、女性患者(当時42)の体内にガーゼを置き忘れる医療ミスがあったことが20日、分かった。ガーゼは14年間放置され、同病院が06年に、癒着した卵巣などとともに取り出した。同病院はミスを認めて謝罪し、賠償金80万円を支払って07年1月に示談した。女性の健康状態に問題はないという。
 同病院によると、ガーゼは約30センチ四方。子宮の止血のために使い、骨盤内に置き忘れた。女性患者は06年6月、別の病院で卵巣が腫れる卵巣のう腫と診断され、翌7月に再び市民病院で手術した。のう腫は約4センチほどの石灰化したガーゼと分かり、癒着していた左右の卵巣などと一緒に切除したという。
 市民病院の種村広巳副院長は「手術前後のガーゼの数え間違いの可能性がある。10年ほど前からレントゲンに写るガーゼを使っているので、置き忘れはなくなった」と話している。

がん対策「やる気」に地域格差 7府県で未策定 indexへ

 全都道府県に策定が義務づけられている「がん対策推進計画」を7府県が、国が求めた昨年度末の期限を過ぎてもつくれなかったことが、朝日新聞社の調べでわかった。一方、策定済み40都道府県のうち3県が、がん死亡率の削減率で国を上回る数値目標を掲げるなどした。自治体の「やる気」に差が出ている。 
 計画は、今後数年間にわたる地域ごとのがん対策戦略。策定の遅れなどは、死因トップであるがんの治療体制の整備にも影響する。
 朝日新聞社が47都道府県に尋ねたところ、青森と新潟、三重、滋賀、大阪、奈良、岡山の7府県は、07年度中に計画をまとめていなかった。
 理由に「細かな最終調整に手間取った」「同じ時期に新しい医療計画も策定していた」などを挙げる県が多い。
 滋賀県は計画をつくる協議会を一度も開かず、最も遅れている。今月末に初会合を開き、年内策定を目指したいという。担当者は「昨年は保健師の全国大会に忙殺されるなど多くの事情が積み重なった」と説明する。
 大阪府は1月に素案を出したが、翌月就任した橋下徹知事が進める財政再建策のため作業が止まった。予算措置を求め、7月末にまとめたいという。青森は5月、残る4県は7月以降になる見込み。
 青森県と大阪府は、75歳未満のがん死亡率がワースト1位と3位(05年)だ。
 厚生労働省は「国の計画は昨年6月に出し、時間は十分あったはず。遅れている自治体には個別助言もした」と説明。7府県について、08年度予算のうち計画策定に伴う補助金(全国計13億円)を「支給できない可能性が高い」という。
 一方、「10年以内に死亡率を20%減」とする国の計画より高い目標を掲げたのは兵庫、和歌山、島根の3県。
 25%減を掲げた和歌山県は、ワースト5位を踏まえて高い目標を立てた。「他県と同じ削減率では、達成しても死亡率の高さが改善されない」と担当課。同じく25%減を掲げる兵庫県も「全国平均との差を縮めるため」という。
 このほか、神奈川県は、「7年以内にベスト10位入り」を目標にした。05年はベスト22位と全国中位。乳がんなど他県より死亡率の高い部位を中心に対策を強化する。
 早期発見につながるがん検診の受診率については、宮城、山形、兵庫の3県が、国の計画「50%以上」を超える目標を立てた。
 また、22道県は、国が健康増進計画に数値を入れなかった成人喫煙率の削減目標をがん計画に盛り込んだ。
 国の基本計画の策定にかかわった患者団体「癌(がん)と共に生きる会」の海辺陽子副会長は「数値目標は自治体のやる気を測る材料。住民は計画がきちんと実行されるか、修正すべき点はないか監視する必要がある」と話す。(石塚広志、林敦彦)
 〈都道府県がん対策推進計画〉 昨年施行されたがん対策基本法で都道府県に策定が義務づけられ、厚労省は07年度中の策定を求めた。(1)75歳未満のがん死亡率を10年以内に20%減らす(2)5年以内にがん検診の受診率を50%以上にする(3)患者やその家族の苦痛を軽減して生活の質をあげる――などの目標を設定する国の基本計画をもとに、地域の事情に応じて策定する。

妊婦健診の助成、九州・沖縄立ち遅れ 最低ライン届かず indexへ

 妊婦健診への公費助成の回数について、九州・沖縄・山口の全312市町村を対象に朝日新聞社が調べたところ、平均は4.83回分で厚生労働省が「最低限必要」とした5回に届いていないことがわかった。少子化対策に加え、1回も健診を受けない妊婦の「飛び込み出産」を減らすため、厚労省は助成を促しているが、多くの自治体が対応できていない実態が浮かび上がった。
 312市町村のうち、助成回数が最少の2回は福岡県大牟田市、中間市、大野城市など7市町で、1割以上の32市町が4回以下だった。5回助成する273自治体のうち福岡市や北九州市など243自治体は、4月から「最低ライン」に増やしたばかりだ。助成額は福岡県内の場合、1回目が6千〜1万円、2回目以降は6千円の自治体が多い。
 97年度までは国と都道府県が妊婦健診だけに使える補助金を出していたため、どの自治体も最低2回は助成していた。少子化対策に絡む07年度の交付税が前年度より増えたのを理由に、厚労省は昨年から「妊婦健診への助成もおおむね5回以上はできるはず」と自治体に求め始めた。
 しかし、交付税は厳密な使い道を定めておらず、総額が目減りした自治体に「増えた」という実感はないようだ。助成が2回にとどまった大牟田市の担当者は「妊婦健診に特化した交付税ではないし、他の事業との兼ね合いをみないと」。宮崎県小林市は「今の財政ではこれが限度」と3回にした。
 一方、6回以上の助成は7市町で、山口県周防大島町の10回が最高だった。米軍岩国基地への空母艦載機移転を受け入れ、10年間で総額16億円の再編交付金が入るため、「基地の代償」を子育て支援にあてることにしたという。この後は8回の山口県阿武町、7回の宮崎県椎葉村、鹿児島県長島町、霧島市、志布志市、6回の山口県萩市が続く。同県光市は5回だが、第3子以降は厚労省が「望ましい」とする14回分を助成する。
 東京23区のうち18区は健診14回分の補助券を支給。出生率が全国最低の秋田県では、全25市町村が7回以上助成しており、先進的な自治体が目立つ。
 九州厚生年金病院(北九州市)の中原博正医師は、妊婦の足を病院へ向けてもらうために助成の回数を増やすことが重要だとみる。ただ、厚労省が最低ラインを5回としていることには「医学的に根拠はなく、5回しか受診しない人が出てきかねない」と指摘。「理想は全回助成だ」と制度の拡充を求めている。(山下知子)
〈妊婦健診〉 母体や胎児の健康状態を確認するため、病院などで受ける。内容は問診や体重測定、血液検査など。妊娠23週までは4週に1回、35週までは2週に1回、36週以降は週1回の計14回程度の受診が望ましいとされる。1回約5千円〜1万数千円かかるが、原則として医療保険は適用されない。厚生労働省は昨年1月、市町村に税金による助成は「14回程度が望ましい」と通達。最低限の基準として「5回程度の(助成)実施が原則」と求めた。

75歳以上の人間ドック助成、582自治体が終了 indexへ

 4月に後期高齢者医療制度が始まり、各地で75歳以上の高齢者が人間ドックにかかる費用の補助が受けられなくなっている。厚生労働省によると、これまで723市区町村が国民健康保険(国保)で補助をしていたが、4月以降、582市区町村が補助をやめていた。
 人間ドックの補助制度は自治体独自の取り組みで、全国1788市区町村のうち、1162自治体が国保事業で補助している(75歳以上も含めていたのは723市区町村)。
 だが、4月以降75歳以上の人は国保から新制度に移り、国保による補助が受けられなくなった。141市区町村は国保事業以外の制度を使って補助を続けている。

医師確保へ「歩合制」で年収大幅増 大阪・阪南市立病院 indexへ

 大阪府阪南市は、勤務医の流出が続く市立病院(185床)に、診療実績に応じた歩合制を導入して医師給与を大幅に引き上げる方針を決めた。年収は現状より900万〜1200万円程度増えて約1.8倍になる見込みで、全国水準を一挙に超える。公務員としての自治体病院医師に歩合制を適用するのは全国でも異例という。
 自治体病院は激務の割に報酬が低く、医師に敬遠される一因といわれる。同病院でも過重勤務への懸念から昨年6月末に内科医全員が退職。今年4月からは11人いた常勤医が5人に減り、補充が急務になっている。市は「地域医療を守るために協力してくれる医師に報いる給与体系が必要」と説明する。
 市が市議会に示した素案によると、現状の年900万〜1300万円程度の基本給とは別に、患者数に応じた能率給を導入。入院1人につき1800円程度、外来1人で470円程度をそれぞれ支給する。1日平均で入院7人、外来20人を診ると年800万円強になる計算だ。
 原資は医師の診療行為で病院が得る医療収益。そこから基本給分を差し引き、残った中から7%程度を医師に還元する。このため、収益が増えなければ能率給も伸びない。
 さらに、これまでの宿日直手当などに代わり、入院患者を診る常勤医には年306万〜765万円の手当を基本給に加算。非常勤医の宿直手当も増額する。
 諸手当を含む現在の平均年収は、全国平均より約200万円低い約1300万円(06年度)。これが新給与体系の導入によって、経験5年目の医師で約2千万円、20年目の部長級で約2600万円になると試算する。民間病院の水準を参考にしたという。関連の条例改正案を6月定例市議会に提出する方針。
 ただ、同病院は今年度、市の歳出の8%にあたる11億8千万円を一般会計から繰り入れても2億6千万円の不良債務が出る見通し。全職員の給与は医療収益の9割超で、全国平均(50%強)を大幅に上回る。新給与体系について、一部市議は「市民の理解が得られるだろうか」と疑問視しており、論議を呼ぶ可能性もある。

血液凝固阻止剤ヘパリン自主回収 扶桑薬品、異物混入で indexへ

 扶桑薬品工業(大阪市)は、人工透析などに使われる血液凝固阻止剤「ヘパリンナトリウム製剤」に異物が混入している可能性があるため、自主回収を始めたと発表した。米国で副作用死が相次いだ他社製のヘパリンと同じ異物が、原薬から微量に検出されたという。国内の医療機関に約13万5千本が出荷されているが、「これまでに健康被害の報告はない」(同社)という。
 異物は「過硫酸化型コンドロイチン硫酸」。副作用が問題化した米バクスター社製などのヘパリンにも同じものが混入していた。異物と副作用の関係はわかっていない。
 扶桑薬品のヘパリンは、原薬の調達先がバクスターと同じだったため、今年3月に予防措置として自主回収。別のメーカーの原薬で製剤化した製品を代替品として出荷していた。今回、この代替品の原薬からも厚生労働省の検査で異物が検出された。

「地域守る責任放棄」 夕張医療センター、道・市を批判 indexへ

 北海道の旧夕張市立病院を公設民営診療所として引き継いだ夕張医療センターの経営危機問題で、同市の前病院経営アドバイザー、伊関友伸・城西大准教授が30日、記者会見し「センターは黒字経営の医療をしているのに、老朽施設の維持費で資金不足に陥っている。財政破綻(はたん)の市に代わって地域医療を守るべき道の責任は大きい」と述べ、トップの高橋はるみ知事の責任に言及しながら厳しく批判した。
 同席した同センター長の村上智彦医師も、市側がセンターの「経営努力の必要性」を指摘したことに対して「訂正しないなら、我々はここを立ち去るつもりだ」と怒りをあらわにした。
 市は同日、「自身の経営改善に向けた取り組みが必要」との認識を示したうえで、水道料金の支払い猶予▽普通交付税算定の公立診療所運営経費相当額を上限にした運営費補助――などの支援策を文書で示した。
 村上医師は市側が「人件費率が高い」と指摘したことに反論。医師や職員の給与も他機関の水準と比べて極めて低いことを強調し、「不採算部門を公で支えていくという公設民営の理念も責任も放棄している」「財政破綻した自治体は人の命のセーフティーネットまで奪われるのか」と嘆いた。
 旧市立病院と現在のセンターの財政運営を分析してきた伊関氏は「年間5千万円にものぼる水道光熱費さえなければセンターは黒字になっている。約3千万円が通常分以上で、市の支援策は1千万円にさえならない」と批判。「道は市に、市はセンターに地域医療を丸投げ。道職員が市に派遣されているのに何をしているのか。高橋知事にはやるべきことがあるはず」と述べ、道庁にも要請に行く考えを示した。

生活保護受給者への後発医薬品の使用通知、厚労省が撤回 indexへ

 生活保護を受けている人に、特許が切れて安価な後発医薬品(ジェネリック)を使うよう事実上強制していた問題で、厚生労働省は30日、これまでの方針を撤回し、先発医薬品も選べるようにした。4月1日に都道府県に出したばかりの通知を廃止し、改めて通知を出し直した。
 新たに出した通知では、「(受給者が)後発医薬品が利用可能である説明を受け、同意した場合には後発医薬品を選択すること」とした。廃止した通知では、正当な理由なく先発品の使用を継続する場合は生活保護の停止や廃止を検討するよう求めていた。
 ジェネリックをめぐっては、政府は07年に「12年度までに数量シェアを30%(現状から倍増)以上にする」という方針を決め、使用促進に取り組んでいる。厚労省は「品質、安全性など同等」とするが、患者など一部に「不安がある」「情報が少ない」などの意見がある。

富山県知事、県出身医学生に手紙 研修医確保へ一筆啓上 indexへ

 「はじめまして 富山県知事の石井隆一です」――。医師不足が深刻な富山県で、石井知事がこんな書き出しの手紙を出した。あて先は、03年度以降に県立高校から全国の大学医学部に進学した学生約250人の実家だ。研修医を確保するのが狙いという。
 県内の公立病院では入院部門や新生児集中治療室の休止が相次いでいる。一方、県内15病院が07年度、前期研修医117人を募った。だが、病院側の希望と折り合ったのは50人だけで、マッチング率は全国で下から2番目の42.7%だった。現状を打開するため少しでも研修する医師を増やそうと知事が筆をとった。
 手紙では、県内医療機関の得意分野や県の修学資金貸与制度を紹介し、充実した研修受け入れ態勢を強調。「初春を彩るホタルイカ」「宝石とたたえられるシロエビ」「王者ブリ」など郷愁をそそるふるさとの味も紹介している。
 「ご両親 祖父母 兄弟姉妹 友人たち みんなの笑顔が 県民の暮らしが 見えてくるでしょう」。知事は学生たちのふるさと、家族を思う気持ちに期待を寄せる。

2種の血液製剤投与で肝炎など4例 フィブリノゲン併用者 indexへ

 薬害C型肝炎問題で、厚生労働省は30日、血液凝固第8因子血液製剤と免疫グロブリン製剤が投与された例から、新たに計4例がC型肝炎などと診断されていたことを明らかにした。いずれもフィブリノゲンなどが併用されており、今後詳しく調査する。
 新たに報告されたのは血液凝固因子製剤の「ヘモフィルM250」(バクスター社)と「フィブロガミン」(CSLベーリング社)。グロブリン製剤は「献血グロベニンI」(日本製薬)、「ガンマガード」(バクスター社)。各1例で計4例だった。このうち3例がC型肝炎(疑い含む)、1例が肝機能障害と報告された。ただ、薬害肝炎被害者救済法の対象となっているクリスマシンやフィブリノゲンを併用しており、今後、医療機関を通じてさらに調査する。
 厚労省はフィブリノゲンなどすでに感染が明らかになっている製剤以外についても、肝炎感染例がないか調べるよう製薬企業に指示していた。

ジェネリック使わないと生活保護ダメ 厚労省通知 indexへ

 生活保護を受けている人に価格の安い後発医薬品(ジェネリック)を使わせるため、先発品を使い続ける場合は保護の停止を検討するよう、厚生労働省が各都道府県への通知で求めていたことが明らかになった。しかし、批判を受けて厚労省は28日、通知を撤回する方向で検討に入った。
 厚労省は医療費の抑制のため、後発品の使用を促進している。今月1日付の通知で、「(生活保護の)受給者は医療費の自己負担がないため、後発品を選択するインセンティブが働きにくい」と指摘。医薬品の使用状況を調べ、正当な理由なく価格の高い先発品を使い、後発品への変更指示に従わなかった場合は「保護の停止または廃止を検討する」としている。
 舛添厚労相は28日の参院決算委で「とにかく生活保護の方、後発品にしなさい、ととれる文章使いがあった。書き換えさせている」と表明。厚労省は通知を撤回し、受給者にも先発品の使用を認める通知を出し直す方向だ。

阪大、新設の研究棟を閉鎖 職員2人がシックハウスに indexへ

 大阪大は、大阪府豊中市の豊中キャンパスに新設した「文系総合研究棟」への立ち入りを25日から全面的に禁止する。棟内で働く職員2人がシックハウス症候群と診断されたほか、学生ら6人が体調不良を訴えたため。健康被害の原因になる恐れがあるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物の濃度は指針値を下回っているが、安全が確認できるまで当面閉鎖する。
 研究棟は7階建て延べ約6600平方メートルで1月末に完成した。工費は約12億円。高等司法研究科や保健センターなどが入り、文系学部の基礎教育にも使っていた。3月中旬から職員が働き始めたところ、女性職員2人が「部屋に入ると気分が悪くなる」などと訴え、今月11日にいずれもシックハウス症候群と診断された。
 阪大は、揮発性有機化合物の濃度の調査を実施。値が低かったので様子をみていると、研究棟に出入りした学生らも今月15日、「頭痛の回数や鼻水の出方が増えた」と訴えた。このため、立ち入りを控えるよう掲示板や電子メールで学生に呼びかけた。
 研究棟で予定されていた講義などは他の建物に振り分け、現在は物の移動などで一部職員が出入りしているだけという。今後、とりあえず換気を続ける。阪大安全衛生管理課は「学生や職員の安全を優先した。原因物質の究明と除去をしっかりやってから再び使うことにしたい」としている。

ヘパリン問題 FDAが中国企業に警告書「深刻な違反」 indexへ

 不純物が混入した米バクスター社の血液抗凝固剤ヘパリンによって米国で死者が相次いでいる問題で、米食品医薬品局(FDA)は21日、このヘパリン製剤の原薬を輸出していた中国企業に警告書を出した。原薬の製造工程で「深刻な違反」があったという。死者も81人に増えた。
 問題の企業は江蘇省にある常州SPL社。FDAの調査官が現地で調査し、不純物の除去などの工程に問題があったことを突き止めた。また、原材料を納入している中国国内の下請け業者の中には、常州SPLが「不適格」と判定した業者も含まれていた。
 ヘパリンは人工透析などに使われる。問題のヘパリン製剤そのものは日本には輸入されていないが、同様の原薬を使った製剤を国内メーカー3社が自主回収している。

企業健保、高齢者医療費4300億円負担増 新制度響く indexへ

 高齢者の医療費を賄うために大企業の健康保険組合が負担する拠出金が、08年度は前年度よりも4300億円増え、約2兆7千億円に達することが明らかになった。健康保険組合連合会(健保連)によると、負担増に対応するため141の組合が保険料率を引き上げた。
 厚生労働省によると、4300億円のうち2500億円は高齢者らの医療費の自然増によるもの。残り1800億円は4月からの医療制度改正で65〜74歳の医療費の負担分が増えたためだ。
 従来は、75歳以上の医療費は老人保健制度で支え、74歳以下は元会社員の分に限り、「退職者医療制度」として、健保組合や政府管掌健康保険(政管健保)が賄ってきた。
 新制度では、健保組合や政管健保は75歳以上が対象の「後期高齢者医療制度」に支援金を出し、65歳から74歳の「前期高齢者」には、元会社員に加え、国民健康保険で医療費を負担していた自営業者や家族などの医療費も支えることになった。前期高齢者の8割が加入する国保の負担を軽減するためだ。
 75歳以上を支える拠出金は前年度とほぼ同じ1.2兆円。退職者と65〜74歳の分を支える拠出金は1.1兆円から1.5兆円に増えた。
 また、健保連は21日、健康保険組合の今年度予算の収支見通しを公表した。1502組合を対象に調べ、1285組合が回答。拠出金の急増などで約9割の1141組合が赤字の見通し。全体の赤字総額は前年度2400億円から6300億円に増えるという。今後、財政の悪化で解散し、政管健保へと移行する組合も出てきそうだという。

「院内暴力」5割超す医療機関で被害 全日本病院協調査 indexへ

 医師や看護師らが、患者家族から暴力や暴言などを受けたことのある病院の割合が半数を超えることが21日、民間病院でつくる全日本病院協会(東京)の調査でわかった。協会によると、身体・精神面での「院内暴力」をめぐって全国規模で実態調査が行われたのは初めて。
 協会加盟の2千余の病院にアンケートを発送。07年12月〜08年1月に半数にあたる1106病院から回答を得た。
 まとめでは、過去1年間に「院内暴力や対応に苦慮した暴言、セクハラなどがあった」と回答したのは52%にあたる576病院。うち、胸ぐらをつかまれるなど身体的な暴力は計2315件、暴言や理不尽なクレームなど精神的な暴力は計3436件。セクハラ被害も935件あった。
 こうした暴力やセクハラを警察に届け出たのは397件、弁護士に相談したケースは144件と少数。多くは病院のみで対応していた。
 西沢寛俊会長は21日会見し、「今後は院内暴力が起きたときの病院の対応策を示すマニュアル作りなどを進めたい」と話した。

手術中に管が外れ意識不明 神奈川県立がんセンター indexへ

 神奈川県立がんセンター(横浜市旭区中尾1丁目)は20日、同市内の40歳代の女性の乳がん手術中、人工呼吸を管理する麻酔器からつながる管が外れ、女性が意識不明の重体になったと発表した。発見が遅れ、低酸素状態になったという。センターは家族に謝罪。院内に事故調査委員会を設置して原因を究明する。
 同センターによると、手術は16日に実施。麻酔歴10年の麻酔科医の男性(38)と外科医2人ら計5人で手術に臨んだ。麻酔科医の男性が午前9時前に女性に全身麻酔をかけて席を外し、外科医らが同9時15分から手術を始めた。
 看護師が約15分後に血中酸素量のモニターが示されていないことに気づき、戻った麻酔科医が管が外れているのを確認した。管を接続し直して酸素と薬剤を投与したが、女性は心停止した。心臓マッサージなどをして、20分後に心拍は安定したが、現在も意識不明のままという。

インフルエンザ、アジアが発生源 国際チームが解明 indexへ

 毎年流行するインフルエンザのウイルスは、東アジアから東南アジアにかけての地域で生まれ、旅行や貿易といった人の活動にともなって世界中に広まっていくことを、日米欧豪などの国際共同チームが確認した。18日付の米科学誌サイエンスに発表する。
 チームは02〜07年に世界中から採取したインフルエンザA型(H3N2)のウイルス1万3千株について、ウイルスに特徴的な分子やDNAの微妙な違いを調べた。こうした違いから、ウイルスの変異(進化)の過程がたどれ、ウイルスがどういう経路で広まったかがわかる。
 その結果、ウイルスは東アジアから東南アジアにかけての地域で生まれ、その後、オセアニア、欧州、北米へと拡大。最後に南米に達したところで「進化」を終えていた。
 ただ、論文はウイルスが生まれる具体的な地域や国の名前はあげていない。
 A型は68〜69年に世界的に大流行し、100万人もの死者が出たとされる「香港かぜ」と同じ型。毎年、少しずつ変異した新たなタイプのウイルス(亜型)が流行し、世界の毎年の死者は平均25万〜50万人と推計されている。
 こうしたウイルスの供給源としては、これまでも東南アジアやその周辺とする見方が強かったが、「北半球」「熱帯地域」など、供給源をより広くとらえる専門家もいた。
 今回の成果から、アジアの供給源地域を集中監視し、次に流行するウイルスをいち早く見つけることの重要性が、あらためて裏付けられた。
 インフルエンザの被害軽減の決め手となるワクチンは、毎年の流行予測に基づいて製造される。チームのメンバーで国立感染症研究所ウイルス第三部の田代真人部長は「ウイルスが日本に来るまでに起こす変異にも一定の傾向があった。成果は日本が流行予測するのにも役立つ」と話す。

患者データ1万7000件入りPC紛失 日医大付属病院 indexへ

 日本医科大学付属病院(東京都文京区)は、過去10年間に心電図検査を受けた患者約9500人のデータが入ったパソコン1台を紛失したと16日、記者会見で発表した。同病院から被害届を受けた警視庁駒込署は窃盗の容疑で捜査している。
 同病院によると、紛失したパソコンには患者の氏名、受診時の病名、心電図検査結果、病院で使用するID番号の計1万7千件のデータが記録されていた。生年月日、住所、電話番号などは記録されていない。
 今月8日午前10時ごろ、女性看護師がパソコンを台ごと生理機能センター棟3階の廊下に移し、そのまま放置。9日午前11時ごろ、女性技師がなくなっていることに気付いたという。
 院内のパソコンは、暗証番号を設定することを定めていたが、紛失したパソコンは、設定されていなかったという。

医師不在のまま「郵送検診」、川崎市が指導 indexへ

 個人から送られてきた血液などから健康状態を調べる郵送検診大手「日本メディカル総研」(東京都港区)の川崎市内にある中央研究所が07年10月から、法律で定められた指導監督医を置いていなかったことが15日、明らかになった。川崎市は同年11月、監督医配置を指導していたが、改善されなかった。
 同市などによると、同社は07年7月に中央研究所を開設。「臨床検査技師等に関する法律」に基づいて指導監督医を申請し、8月に衛生検査所としての登録が認められていた。しかし、この医師が10月末に研究所を辞め、監督医が不在になったという。
 川崎市は11月9日に行った定期立ち入り検査で、監督医の不在を知り、文書で改善を指導。その後、同社から「医師が確保できそうだ」との報告は数回あったが、監督医の不在が続いていた。「今月中に監督医が見つからなければ、業務停止も含め行政処分を検討したい」としている。
 一方、同社は「検査は適正に行われ、問題はない。医師を探していたが、なかなか見つからなかった。現在は見つかり、契約も済ませた。今後、信頼回復に努めて、業務を進めたい」としている。


新型インフルワクチン、医師ら6千人に事前接種へ indexへ

 新型インフルエンザの発生に備えて厚生労働省は年内にも、医師や検疫官ら6千人にプレパンデミック(大流行前)ワクチンの接種を始める方針を決めた。舛添厚生労働相が15日、閣議後の会見で明らかにした。効き目や副作用など安全性を確認するのが目的。このワクチン接種を行うのは世界初の試みになる。
 発生の懸念が高い東南アジアに近い先進国として、他国に先駆けて取り組む。舛添氏は「事前接種によって、有効性や安全性を評価する研究を行いたい」と語った。
 6千人は感染者と接触する可能性の高い感染症指定病院の医師や検疫官、税関職員ら。その結果、安全性が確認できれば、その他の医療従事者や警察官、国会議員など計1千万人への事前接種について検討する。
 備蓄しているワクチンは計2千万人分あり、インドネシア、ベトナムのウイルス株をもとにしたものが500万人分ずつ、中国の株のものが1千万人分。6千人分はこの中から、インドネシアと中国の株を使う予定。接種後に血液検査を行って抗体を調べるなどし、データを集めて安全性などを評価する。
 現在、新型インフルの警戒レベルは6段階あるうちの「フェーズ3」。厚労省は、人から人への感染が拡大する「フェーズ4」になった段階でワクチン接種を行う予定だったが、早い段階での接種で有効性などが確認できれば「先手の対策が打てる」と判断した。
 同ワクチンはすでに製造承認されており、承認前の治験では副作用の点で大きな問題はなかった。

弘前市職員ら28人結核感染、うち6人発症 indexへ

 青森県は11日、弘前市職員ら男女28人が結核に集団感染し、うち職員ら6人が発症したと発表した。40代男性職員が入院中で、5人が通院治療を受けている。市職員以外の人は発症者1人を含む3人いた。
 県保健衛生課によると、最初に発症した職員1人は昨年10月に医療機関で結核と診断された。今年1〜3月、職員ら男女5人が相次いで発症したため、弘前保健所が患者に接触した87人を対象に調べたところ、10〜60代22人の感染が判明した。

各地の医師会、後期高齢者医療に相次ぎ「反対」 indexへ

 75歳以上が対象の後期高齢者医療制度をめぐり、各地の医師会が反対を表明している。「患者の望む医療ではなく、ただ医療費抑制の観点から考え出された制度だ」として反対の方針を決めた秋田県医師会は11日、会員の医師に通知。茨城や広島の県医師会も同様の動きを見せている。
 4月から始まった新制度の対象者は約1300万人で、保険料は原則、年金から天引きされる。複数の病気を抱えることが多い高齢者に薬や検査の重複を防ぐため、1人の担当医を決める「主治医制」が導入された。
 秋田県医師会(小山田雍会長)の島仁常任理事は、主治医制について、「高血圧や糖尿病など、複数の慢性疾患をもち、複数の病院に通う患者が多い現状に即していない」と指摘する。
 茨城県医師会は3月22日、「わずかな年金から新たな保険料を徴収し、年齢で人間の価値を差別する制限医療を目的とすることが明白」と、反対声明を発表。県内の医療機関での署名活動やポスター配布で、制度撤回を求めていく。
 また、広島県医師会も今月8日、▽年金から保険料が自動的に天引きされる▽患者の医療機関の受診が制限される――など、「社会的弱者の後期高齢者にさらなる負担を強いることが危惧(きぐ)される」などを理由に、同制度の廃止を求める緊急声明を発表した。

院内感染原因か、がん患者ら6人死亡 神戸市民病院 indexへ

 神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区、菊池晴彦院長)は11日、入院患者19人から一部の抗生物質が効かない耐性緑膿(りょくのう)菌が検出され、このうち末期がんや白血病の60〜70代の患者ら6人が、昨年8月から今年2月にかけて相次いで死亡した、と発表した。市は院内感染の可能性があるとみて、感染と死亡との因果関係について外部の調査委員会を設けて調べる。
 同病院によると、昨年9月、最初に死亡した患者を含む13人から耐性緑膿菌を検出。感染媒体になり得る医療器具の消毒や病室の菌調査、感染者の隔離などの対策を取った。いったん感染はおさまったが、同12月に3人、今年1月に2人、3月末に1人から菌が検出された。
 同病院は「原疾患が主な死因とみられるが、菌との関係も否定できない」としている。年末以降、感染が再発した原因は不明という。亡くなった6人を除く感染者13人のうち、9人は陰性と判定されて退院。2人は転院し、残り2人は同病院で治療を受けている。
 耐性緑膿菌は病人や高齢者など免疫力の弱った人が感染しやすく、敗血症や肺炎などを引き起こして死亡する例がある。今回確認された菌は欧州で多く報告されているVIM型で、国内での発見は珍しいという。

後期高齢者医療 保険料、15年度には1万3千円アップ indexへ

 厚生労働省は10日、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の1人当たりの保険料が、2015年度に全国平均で8万5千円になるという試算を民主党厚生労働部門の勉強会で示した。今年度の平均約7万2千円と比べると、1万3千円の上昇となる。
 現在は給付費の10%を保険料で賄う。75歳以上の人口が総人口に占める割合が現在の10%から15年度に12.5%まで上がる一方、現役世代の割合が減る。この人口構成の変化を反映し、加入者の保険料で賄う割合を、15年度に10.8%まで引き上げるためだ。

国「旧保険証でも1割負担」 新保険証7万5千人届かず indexへ

 75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の保険証が、本人に届かないトラブルが続出している。10日時点で全国の自治体に返送されたのは約7万5千件。厚生労働省は、旧制度の保険証や運転免許証があれば、従来通り1割負担で治療が受けられるよう、医療機関に求める通知を出した。
 神奈川県藤沢市には「病院で新しい保険証が無ければ、全額(10割)払って下さいと言われた」という相談が寄せられている。担当者は「5月までに新しい保険証を持って行けば、1割負担より多く払った分は戻ってきます」と説明している。医療機関からの問い合わせも多く、被保険者の資格を確認する電話が毎日15件程度あるという。
 同県相模原市にも毎日約10件、医療機関から問い合わせがある。担当者は「医療機関は資格が確認できると10割負担の対応はとっていないようだ」と話している。
 新制度を運営する各都道府県の広域連合は、3月中旬から保険証の発送を始めたが、転居や本人の不在で保険証が戻ってきたり、普通郵便で送ったために本人が気づかずに捨ててしまったりする例が多数発生。運営主体の各都道府県の広域連合に、朝日新聞社が返送された件数を照会したところ、44都道府県で約7万5千件に上った。
 大阪広域連合では、保険証を保管していることを普通郵便で本人に知らせ、連絡があった人に再度返送しているという。神奈川広域連合は「未着件数は日々減っている。自治体は医療機関や患者からの問い合わせへの対応で手いっぱい」と困惑している。
 一方、社会保険庁は10日までに、保険料が15日に初めて年金から天引きされる約800万人に新制度の保険料額を知らせる文書を送付した。週末には大半の対象者に届く見通し。

アスベスト製品、完全禁止決める 厚労省 indexへ

 厚生労働省は9日、アスベスト(石綿)の使用が例外的に認められている5製品について、11年度をめどに使用を順次禁止することを決めた。同日開いた有識者検討会で、残る石綿製品の代替品開発の見通しがついたことが確認された。これで国内での石綿の使用は完全に禁止される。
 石綿には発がん性があるため、使用や製造は06年9月に原則禁止された。ただし、化学工業や鉄鋼業のプラントで配管接続部に用いられる「シール材」などについては、耐熱・耐酸性などの面から代替品の確保が難しく、例外的に使用が認められてきた。
 厚労省によると、現在の石綿使用量は02年度比で0.4%以下。完全禁止に向け昨年11月から検討会で議論してきた。
 石綿は過去に計1千万トンが輸入され、うち9割が建材向けとされる。建物の解体のピークはこれからで、同省は解体時にさらされない方法を定めた石綿障害予防規則の充実に向けた検討も進めている。

208人から保険料128万円、年金から誤って天引き indexへ

 神奈川県小田原市は9日、後期高齢者医療制度で、年金から天引き(特別徴収)をしない市民約200人から保険料約128万円を誤って徴収する処理をしてしまった、と発表した。市は「徴収データを作成する際の確認が不十分だった」と陳謝した。
 同市によると、15日の第1回の特別徴収分のうち、保険料徴収を免除されている市民208人から、1900円〜4万4500円を誤って徴収。誤徴収額は約127万9千円という。
 処理の修正は15日には間に合わないため、市は対象者に電話連絡し、できるだけ早く還付処理をするとしている。今月3日に特別徴収の開始通知書を送ったところ、「免除のはずなのになぜ徴収されるのか」との問い合わせが4日以降に相次ぎ、発覚したという。

血管広がり保つ「ステント」、体内吸収型発売へ 世界初 indexへ

 狭まった血管に入れて広がりを保持する「ステント」という医療器具を、体内で分解・吸収される製品とすることに、京都のメーカーが成功した。欧州基準への適合を認められ、初夏にも欧州で発売される。生体吸収性ステントは欧米で研究中だが、販売のめどが立ったのは世界初という。将来は日本でも承認を目指す。
 開発したのは、医療器具製造販売「京都医療設計」(京都市山科区、伊垣敬二社長)。器具は網型の筒状で直径5〜8ミリ、長さ3.6センチ。動脈硬化などで狭まった血管内の病変部に入れ、風船状のバルーンカテーテルで押し広げて固定。血流を確保する。今回の製品は、材料に生体分解性ポリマーのPLLAという合成樹脂を使用。水分で分解されて2〜3年後には血管内に吸収されるのが特徴だ。
 PLLAは、今も骨をつなぐピンとして治療に使われている。開発では血管内で筒状の形を数カ月保てる強度にするため、化学構造を工夫した。
 03年からドイツなどの病院で臨床試験。昨秋、医療器具としての流通が可能になる欧州の安全性基準「CEマーク」を取得した。足の血管が詰まる閉塞(へいそく)性動脈硬化症などを対象に販売される。
 従来の金属製ステントは、一度挿入すると取り出せない。入れた場所より奥で再び狭窄(きょうさく)が起こっても、残ったステントが邪魔になって再挿入できなかった。生体に吸収されれば後年、再び挿入できる。子どもに対しても、成長に応じて大きさを変え、複数回入れられると期待される。
 同社は従業員約60人の小規模メーカーで、ステント担当はうち10人。技術者でもある伊垣社長が先頭に立ち、15年かけて開発した。「挿入しやすさや細い血管への適用は、まだ金属製に劣る。改良を重ねて実績を積み、いずれは日本で承認をとりたい」と伊垣社長は話す。

過酷 救急医療 39時間勤務――ルポ にっぽん indexへ

 朝から立ちっぱなしで手術に立ち会っていた外科の浜田聡医師(42)が救命救急センター医師控室に戻ってきたのは、午後6時半。濃いひげをいっそう濃くして、頭をかきむしった。これから当直だ。
重症搬送で救急隊が搬送先を見つけるために4回以上照会した割合
心臓マッサージ補助器具(中央)を使い、蘇生措置が続く=東京都大田区の東邦大学医療センター大森病院、飯塚悟撮影
救急車で運ばれてきた患者を、担架からベッドに移す医師たち=東京都大田区の東邦大学医療センター大森病院、飯塚悟撮影
日曜も絶えない電話
 東京都大田区の東邦大学医療センター大森病院。同様に朝から勤務する藤本愛医師(31)と研修医(25)も当直についた。午後7時半すぎ、夕食の出前を注文したとたん、重篤患者の受け入れを要請する電話(ホットライン)が消防から入った。
 脳動脈瘤(りゅう)のある80代の女性が意識障害という。動脈瘤破裂かもしれない。医師9人が1階の初療室に走った。
 10分後、顔が紅潮し目を見開いた女性が救急車で到着。「血圧は?」との声に、「190/110」。「わかりますか」と藤本医師が声をかける。「ニカルピン、ニカルピン」。浜田医師が降圧剤投与を指示した。
 すぐCT室へ。コンピューター断層画像が映し出された。最悪の動脈瘤破裂ではない。視床出血だった。ほっとした空気が流れた。
 看護師の携帯が鳴る。「先生、ホットラインです」。午後8時45分、20代の男性が運び込まれた。オートバイで乗用車と衝突した。顔は腫れ上がり、腕も折れている。
 男性が痛みで叫び声を上げる。再び看護師の携帯が鳴った。またホットラインだ。
 「(受け入れは)無理!」。浜田医師の声が響いた。
 午後11時前にやっと夕食にありつけた。その後も午前0時すぎに吐血した70代の女性が、早朝には交通外傷の患者が来た。眠る時間はほとんどなかった。
 救命救急センターの医師は全部で14人。研修医を入れて3人が当直につく。2交代制の看護師は約100人。午後4時半から午前9時までは30床を15人前後でみる。
 当直明けも医師の勤務は通常通り。医師たちはそのまま仕事を続け、夜まで働いた。午後8時15分、藤本医師が控室で栄養飲料リアルゴールドを飲み干した。この日5本目だ。「バタンキューで寝て、また明日ですね」。病院を出たのは午後11時前。勤務は前日から39時間に及んだ。
 若手医師(27)は「処置しても延命行為でしかないこともある」と漏らす。かつてなら「大往生」だった末期がんや施設入所の高齢者が心肺停止で次々と運び込まれる。「蘇生が患者や家族にとって幸せかどうかわからない」
 自傷も少なくない。ある日の明け方、100錠以上の鎮痛剤を酒と飲んだという30代の女性が搬送されてきた。意識はあり、命に別条はない。医師(35)は「この人は(救命救急センターの前の)2次救急で十分。こういう人を処置していて、本当に重篤な人を受け入れられないことがある」。
 9年目の医師に給料明細を見せてもらった。本給は15万円、当直は5回で5万6500円。総支給額は26万7020円だった。アルバイトで週に1日半、外の病院で診療し、泊まりもする。1日約9万円、泊まりは1回約4万5千円。
 救命救急センターの吉原克則准教授(54)は「勤務医が足りない。その影響が一番出るのが救急だ」と話した。
 ■「とりあえず診て」軽症の人搬送次々
 東邦大学医療センター大森病院が受け入れる救急車は年間7千台を超える。
 ある夜、39度の熱が出たと2歳の娘を救急車で連れてきた母親がいた。連絡を受けた看護師は「熱だけで救急車?」と声を上げた。
 診察した小児科医は「熱はあるが、しっかりしている。解熱剤を持っているということなので、何もせずにこのまま帰します」。「高熱にびっくりしたんでしょう?」と質問すると、母親は「そんなに心配していたわけではないけど、とりあえず診てもらおうと思って」と話した。
 また、ある日の午後、「気分が悪い」と自分で119番した一人暮らしの70代の男性が運ばれてきた。蒸れたような酸っぱいにおいが初療室に充満した。迎えた看護師が「まずはシャワーしましょうか」と服を脱がし始めた。男性は「寒いよ」と文句をいう。「大丈夫よ。ごめんね、寒い思いをさせて」と謝りながら裸にし、シャワーをかけた。姿を見せた医師は「乾いたら呼んで。このままじゃ診られないから」と立ち去った。
 「ズボン下」「ベルト」と男性はいちいち注文をつけた。看護師は「あれはうんちがついている。これ着ようね」と院内から探してきたシャツとズボンをはかせた。
 到着から約1時間後、医師が心電図をとった。男性は「点滴してよ」。「水飲めるの?」「飲める」。医師は「じゃあ、いらないな」。
 医師はたしなめた。「それとね、救急車をタクシー代わりに呼ばないでね」。男性は「金ないもん」。30分後、おしっこのついた靴下をはき、病院を後にした。
 ■「24時間医師」気概と誇りと
 別の日の午後、70代の女性が「体全体の脱力」を訴えていると救急隊から電話が入った。一人暮らしで自ら119番したという。
 血圧や脈拍、意識に問題はなさそうだ。電話を受けた当直師長は「ひとりですか? 親類の人に迎えに来てもらえるようにしてほしい。それを約束してくれるなら、受け入れます。親類の電話番号ありますね」。大したことがないのに入院されると、重症患者を受け入れるベッドがなくなってしまうからだ。
 約30分後、女性が運び込まれた。目を半分開け、上を向いている。
 女性は来るなり「おしっこ」。看護師がトイレに連れて行った。ベッドに戻ると、今度は「お水」。「苦しい、苦しい」とつぶやく。
 医師がすぐに診察したが、意識障害になるような不整脈はない。胸の音もきれいだ。念のため、CT(コンピューター断層撮影)検査とX線撮影、血液も調べた。
 「手が震えてしかたない」と訴える女性に、「大丈夫のようですよ」と医師。「問題ないんですか」と女性は消え入るような声で言った。
 看護師が親族に迎えに来るよう電話した。親族は「死んでもらっていい」と言ったという。
 「一晩泊めて」。女性は看護師に懇願した。
 親族に引き取られて女性は病院を去った。
 救命救急センターの吉原克則准教授は朝のミーティングで研修医に向けて言った。「医師はどこにいても24時間医師。飯を食って酒を飲んでいる時も。患者への愛情、倫理観、強い職業意識があって初めて医師たり得る。熱意がないとできない」。皮膚科や眼科、耳鼻科志望が増え、大学に残る医師が少なくなる今、あえて厳しい救命救急の現場で働く医師の気概と誇りを感じた。(編集委員・大久保真紀)
 〈救急医療〉 1次から3次まで3種に大別される。平日夜間や休日に自分で病院に来る軽症患者用が1次、手術や入院などが必要とされ救急車を呼んで来るのが2次、2次以上で重篤な患者が3次。救命救急センターは3次で、東京都の場合は、消防庁から21の施設に直接受け入れ要請の電話が入る。2次救急病院は全国的に減っており、98年の3344が07年は3153に。
 東邦大学医療センター大森病院は1次から3次までを備える。それらを合わせた救急外来の患者は平日夜間が約100人、日曜日は約200人にのぼる。

エイズワクチンの治験、感染高める恐れ 米など試験中断 indexへ

 米国立保健研究所(NIH)が支援したエイズワクチンの臨床試験(治験)で、ワクチンが感染の危険性を高める恐れのあることがわかった。治験は中止され、NIHはエイズワクチン開発戦略の練り直しを迫られている。
 問題のワクチンは、エイズウイルス(HIV)がもつ物質を、弱毒化した風邪のウイルスに組み込んだもの。米メルク社が開発し、有望なワクチン候補と期待されていた。
 ところが、04年12月から北米・中南米を中心に約3千人が参加して始まった治験で、ワクチンを注射された群のHIV感染率が、偽薬の群の約2倍にのぼることが判明。昨年9月に治験が中止された。南アフリカで07年2月に始まった治験も約800人の段階で中止された。
 治験の参加者はワクチンと偽薬のどちらを注射されたのか知らされておらず、現在、全員と面談して注射の内容を知らせているという。
 HIV感染率が高まる理由は不明。米ワシントン・ポスト紙は、ワクチン注射で活性化された免疫細胞の表面がHIVとくっつきやすくなったとの見方を報じた。
 エイズワクチンをめぐっては、今回のワクチン以外にも治験の中断が相次いでいる。NIHは3月末、専門家を集めた会議を開いて今後の戦略を検討した。同紙によると、現在のワクチン治験の資金を基礎研究に回すことが提案されたという。

医師不足、消える病院…都市圏でも indexへ

 長野県千曲市で3月末、医師不足のため病院が閉じた。
医師の需給予測
 地域住民約4万人の医療を支えてきた長野赤十字上山田病院。19人いた常勤医師が最後は2人。医師不足が患者減を招き、収入減、赤字増という悪循環に陥った。
 4月からは診療所として当面、常勤医2人で外来診療を続ける。10あった診療科は内科と整形外科だけに。1日300人近かった外来患者はいま、まばらだ。250床の入院ベッドもなくなった。
 もともと経営は順調だった。減価償却費を除いた収支は黒字。病床利用率96%と、常にベッドは埋まっていた。
 崩壊の始まりは06年4月。19人いた常勤医のうち内科、外科、整形外科で1人ずつ減った。07年4月には8人に。外科と眼科がいなくなった。
 大学病院が地域病院から医師を呼び戻したのがきっかけ。それに定年退職や独立開業、突然の死亡も重なった。
 「地域に必要な病院なのに」。当時の院長らが翻意を求めて大学を回ったが「大学も医師は足りない」と逆に説得された。他の大学にも足を運んだが、状況は同じ。母体の長野赤十字病院も医師を派遣する余裕はなかった。
 住民の不安は大きい。
 長野市の公務員男性(52)の父は肺気腫で上山田病院に入院していたが、長野市内へ転院させられた。上山田病院と実家は車で5分だったが、今は30分以上。男性は休日に1日がかりで、長野市と独居の母が暮らす実家を回る。
 一つの病院の崩壊はドミノ倒しで他の病院の負担を増やす。上山田病院の救急外来は昨春休止され、年約3500人の急患は周辺の病院に向かうようになった。JA長野厚生連篠ノ井総合病院(長野市)はこの地区からの救急搬送が月に約100人へと急増。「満床」で受け入れを停止する頻度が増えた。「限界に近い。うちが倒れたら地域医療が崩壊する」と救急担当医は話す。(龍沢正之)
 ■現状は
 医療過疎は、大阪、神戸の都市圏周辺でも広がる。
 両圏から車で1時間の兵庫県丹波市に住む宮本正臣さん(35)は昨秋、自宅でくも膜下出血で倒れた。すぐそばの県立病院に運ばれたが、市境を二つまたいだ三田市民病院に転送された。脳神経外科医が当時、不在だったからだ。
 救急車で1時間。到着直後に再出血し緊急手術をした。「すぐ処置しなければ命の危険性が高かった」と主治医。再発の恐れも高く、宮本さんの不安は募る。「目の前に病院がありながら診てもらえないなんて」
 市内に二つある病院の勤務医は、県立病院が40人から半減、もう一つは15人が4人になった。常勤脳外科医は今、市内にゼロ。くも膜下出血を含む脳卒中は、がん、心臓病と並ぶ三大死因の一つだが、治療は事実上もうできない。
 都市部も危うい。兵庫県の西宮市や尼崎市などでも、ここ1年で4病院が脳卒中の救急をやめたり、制限したりする方針を出している。
 脳卒中の治療技術は進んでいる。血管が詰まる脳梗塞(こうそく)では、詰まりを溶かして手足のまひなど後遺症を大幅に減らす薬が保険適用になった。しかし、この薬は発症後3時間以内に使うという時間制限があり、治療チームの態勢も要る。実際に治療を受けられるのは都市部のごく一部だ。
 「予約は秋までいっぱいです。お産は受けられません」
 神奈川県相模原市にある北里大学病院の産科外来。3月末、海野信也・産科部長は、母親を伴って訪れた20代の女性に告げざるを得なかった。
 妊娠9週。予定日は10月末だ。体調不良が多いからと母親は「大学病院でみてほしい」と懇願した。だがここでは高齢出産などを優先。女性のような通常分娩(ぶんべん)の枠はすでに埋まっていた。
 県産科婦人科医会が調べた県内の分娩施設数は、02年に71病院103診療所だったが、07年は68病院70診療所。通常の出産を多くみる診療所が3割も減り、妊婦は産む場所探しに苦しむ。横浜市や川崎市でさえ、区によっては1カ所もない空白地帯がある。
 ■原因は
 地域を医師不足の大波が襲ったのは04年。免許をとった直後の医師の臨床研修制度が、新たに始まった年だ。
 それまで新卒医師は主に大学病院で研修した。新制度では、自分が選んだ病院で2年間、基礎的な診療能力を身につける。研修医は地方の大学病院を敬遠、大都市の民間病院などに人気が集まった。
 医師派遣の役割も果たしていた大学病院が人手不足に陥った。派遣先の地域の病院から医師を引き揚げた。
 2年の研修後も、研修医は期待ほど大学病院に戻らなかった。大学院で博士号を取るより、民間病院で腕を磨きたいという若手も増えた。06年以降も引き揚げは続いた。
 だが研修制度だけが原因ではない。以前から、産科や小児科などで不足感は強かった。
 そもそも医師数が少ないのだ。人口千人当たりの診療医師数(04年)は2.0人。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中27位。90年代は日本とほぼ並んでいた英国にも引き離されつつある。
 政府は80年代半ばから一貫して、医師養成数を削減してきた。「将来は医師が過剰になる」と分析したためだ。医学部の入学定員は07年度に7625人と、ピークの84年度より8%少ない。
 厚生労働省も、全体的な医師不足は認める。06年7月にまとめた報告書ではじいた必要医師数は、04年時点で26.6万人。だが実際に診療する医師は25.7万人と、9千人足りない。10年には1万4千人不足に広がる計算だ。
 ただこれは、病院にいる時間から研究、休憩などを除いて週48時間労働で換算した数字。小山田恵・全国自治体病院協議会長は「病院にいる時間を勤務時間と考えれば、不足は約6万人分に広がる」と反論。「いまの危機は、医療費を抑制し、医師数を削ってきた政策のつけだ」と憤る。
 ■解消策は
 厚労省の推計では、医師不足が解消するのは22年。それ以降は過剰になるという。
 推計通りでも、40年時点の勤務医数は今より7%増だが入院治療は1.4倍。医師も高齢化し、病院を離れて開業する率が高くなるとみる。開業医の働き方も検討がいる。
 診療科の偏りもある。産婦人科や小児科以外にも、外科などで若手が減り、関係者は危機感を募らせる。
 政府は、北海道・東北などで医学部定員を増やした。今春168人。だが暫定的な措置。一人前になるまで約10年かかり、即効薬ではない。
 長谷川敏彦・日本医科大教授(医療管理学)は「医師が受け持つ業務を見直し、効率よく働けるようにする必要がある」という。医師数以外にも、看護師らとの連携など考えるべき点は多い。

心停止、とにかく胸押して 救急医ら調査、指針見直しへ indexへ

 心停止状態で倒れている成人を助けるには、胸を押し続けて圧迫するだけでも、人工呼吸を加えた方法と同じ蘇生効果があることが、日本の二つのグループの調査でわかった。調査を受けて米心臓協会(AHA)は、この「圧迫」を蘇生法として市民に勧める見解を発表。日本でも指針が見直される見通しだ。
 心臓発作などで倒れた場合、命を大きく左右するのは早期の心肺蘇生。蘇生法は、胸の真ん中を押す「胸骨圧迫」と人工呼吸を交互に行うのが原則で、海外でも同じ。ただ、第一発見者の多くはたまたま居合わせた人。他人に口をあわせる人工呼吸に抵抗感があるのが課題だった。
 ところが京都大の石見拓・助教や大阪府の救急医らの調査で、人工呼吸を省いても効果が変わらないことがわかった。調査対象は、98〜03年に心臓病で心停止して倒れたが、近くに人がいた大阪府民の事例約4900件。倒れて1年後に、後遺症なく社会復帰できた率を調べた。
 すると、倒れて15分以内に救急隊が到着したケースでは、居合わせた人から基本蘇生法を受けた場合の「後遺症なし復帰率」は4.1%。胸骨圧迫のみは4.3%で、ほぼ同じ効果がみられた。首都圏の医師らの調査でも同様の傾向だった。
 AHAは蘇生法の国際的な指針づくりに強い影響力を持つ。子どもについては、基本の方法を勧めている。
 日本救急医療財団心肺蘇生法委員長の坂本哲也・帝京大教授は「手法の難しい人工呼吸を無理にするより、圧迫だけでもたくさんの人に取り組んでもらえれば、より多くの命を救える」と話す。

「医療事故調」案を公表 届出義務範囲は狭まる 厚労省 indexへ

 厚生労働省は3日、医療事故の死因調査にあたる第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」の設置法案提出を目指し、試案を公表した。医療機関への立ち入り検査の権限を明記し、カルテ提出も指示する。警察への通知は重大な過失など「悪質なケース」に限り、医療界の反発にも配慮した。

 調査委の設立議論は、事故の真相究明や刑事手続きの回避などを目的に始まったが、試案では、公平な刑事手続きに道筋ができる一方、医療機関に届け出が義務づけられる事故範囲が昨秋の原案より狭くなるなど、医師側の主張を反映。調査で関係者からの聴取は強制できないなど、実効性に疑問が残っている。民主党は試案に反対の姿勢で、法案の行方も不透明だ。
 中央に設置する調査委は国の機関。医療機関や遺族から届け出があった「医療事故死」について、解剖や診療記録の調査などで事故原因を明らかにし、再発防止を図る。
 調査は、地方ブロック単位の地方委員会で実施。医療機関や遺族から「事故死」の届け出があれば、医師や法律家、患者の立場を代表する有識者らで構成する地方委内に調査チームを結成。解剖や診療記録、関係者聴取などを通じて原因を調べる。
 調査結果は当事者に渡すほか患者名などをふせて公表し再発防止に生かす。
 医療機関に対して届け出を義務づける範囲は、(1)医療ミスが明らかで、治療が原因で患者が死亡した(2)治療行為が原因で患者が予期せず死亡――と規定。死因に不審な点がある「異状死」をめぐっては、警察への通報を義務づけている現行の医師法を改め、調査委に届け出た場合は、医療機関から警察への届け出は必要なしとする。
 試案は「責任追及が目的ではない」と明記。調査委が警察に通知するのは(1)故意や重大な過失(2)事故を繰り返す医師(3)カルテの改ざんや隠匿など悪質なケースに限定。捜査当局が行う刑事手続きについては「委員会の専門的な判断が尊重される」とした。
 調査委設立に合わせて医療法も改正。医療機関の組織的な過失に対する行政処分を新たに設ける。医師や看護師個人の処分が必要と判断した場合は再教育を軸に検討する。
 今国会で法が成立したとしても、調査委発足までは2年以上かかる見通しだ。

国立がんセンターで麻酔医退職相次ぐ 手術も制限 indexへ

 日本で最大級のがん治療施設である国立がんセンター中央病院(東京都中央区、土屋了介院長)で、常勤の麻酔医10人のうち、5人が昨年末から今年3月にかけて相次いで退職し、手術件数を2割減らす事態に陥っている。全国的な麻酔医不足の波に、がん医療の先端を担う中核病院ものみ込まれたかっこうだ。
 中央病院は、1日当たり約20件だった手術を、3月から15件に減らした。院内に張り紙で手術件数の制限について患者に周知。「(手術を)特に急ぐ必要のある方には都内、あるいは自宅の地域の病院を紹介します」と理解を呼びかけている。
 中央病院によると、退職医師の多くは、給与など待遇の良い医療機関に転籍した。中央病院医師は国家公務員で、30代の中堅で年収700万〜800万円ほど。1千万円を超えることの多い民間病院と比べて低く、より良い待遇を求めたとみられる。また、関係者によると、技術を向上したいという麻酔医らの要望に、中央病院の手術内容では応えられないという不満も出ていたという。
 日本麻酔科学会が05年にまとめた提言では、全国にある1万の病院のうち4千施設が全身麻酔を実施。だが、麻酔医が所属する同学会員が常勤している施設は約2千にとどまっており、手術の安全が懸念されると指摘している。
 全身麻酔による手術件数は年々増えているほか、がん患者らの痛みをコントロールする緩和ケアやペインクリニックも広がっている。手術以外での麻酔医の需要も不足に拍車をかけているとみられる。

医師の待機勤務に手当支給へ 国立病院機構 indexへ

 独立行政法人・国立病院機構(本部・東京都目黒区)は4月から、全国146病院の医師や看護師らが緊急手術などに備えて当番制で自宅待機する場合、手当を支給することを決めた。医師は1回5千円。年間支給総額約10億円を見込む。医師不足問題で勤務医らの待遇が課題になっており、国立病院が自ら改善に乗り出した形だ。
 これまで「待機当番」は、各診療科の医師が順番で、夜間休日に電話が常につながるよう待機。患者の急変に応じて病院に駆けつけたり、院内にいる当直医から専門治療の相談にのったりしていた。「オンコール」と呼ばれ、無償だった。
 4月からはオンコールも勤務とみなし、当番回数に応じて医師に1回5千円、看護師、臨床検査技師らに2千円を支給する。「待機中は飲酒もできず、在宅勤務をしているようなものだと、長年、対処要望が強かった」と同機構人事課。勤務医不足が社会問題化しているのを受け、初めて実施する。
 関東地方のある機構病院の救命救急センターでは、医師にかかる電話は1回の当番中に複数回。2回当番があれば、1度は病院に駆けつける状態という。「無償では、医師個人の意識によって対応にばらつきがあった。きちんと勤務と認められることで、責任が明確になる」と同センター長は評価している。

高齢者ご注意、避けた方が良い薬のリスト 国立研究機関 indexへ

表 若者に比べて薬の副作用にさらされやすい高齢者向けに、避けたほうがよい医薬品リストを国立保健医療科学院の今井博久疫学部長らの研究グループがつくった。同科学院のホームページで今月上旬に公表する。患者の年代に着目して「不適切な薬」がリスト化されるのは国内初という  

掲載されるのは、睡眠薬や解熱薬、降圧薬、抗血栓薬など約70種類で、医師の処方が必要な薬。65歳以上の患者には一般的に、このリストにある薬は避けた方がいいと、高齢者の診療にあたる医師らに対して推奨している。年を重ねると肝臓や腎臓の働きが悪くなり、副作用の影響を受けやすくなるためだ。患者や家族らにも気をつけてもらいたいと、一般に広く公表する。
 リスト選定の基準は、(1)服薬によってふらついて転倒する、幻覚が出る、尿の出が悪くなるなどのリスクがあり、薬効による利益を上回る恐れがある(2)代替できる薬がほかにある――の二つ。今井部長は、欧米で広く用いられている米国の医師マーク・ビアーズ博士作成のリストを基に、国内外の副作用事例に関する論文を加味し、原案を作成。北原光夫・慶応大学病院経営業務担当執行役員ら内科学や臨床老年医学、老年精神神経学、薬剤疫学などの専門家の意見を聴いてまとめた。
 70種類のリストのほかに、糖尿病や肥満、胃潰瘍(かいよう)など約25の病気別に、この持病を持つ高齢者が特に避けた方がよい薬もリスト化した。
 今井部長は「不適切な薬の使い方で、体力の落ちた高齢者を寝たきりにしてしまう場合もある。リストに挙げた薬の使用は避けて欲しいが、どうしても必要な際は副作用の出方を注意深く観察し、慎重に使うべきだ」と指摘する。
 リストは日本医師会雑誌4月号に掲載。同科学院のホームページでは今月上旬に載る。

大学発ベンチャーが新薬 遺伝子治療用に申請 indexへ

 大阪大学発の創薬ベンチャー、アンジェスMG(大阪府茨木市)は28日、遺伝子治療薬の承認申請をしたと発表した。国内では初めて。27日に厚生労働省に提出した。認可されればアンジェスとして初めての自社製品となり、バイオベンチャーへの投資意欲も盛り上がることが期待される。
 申請した治療薬は、血管を新たに作る作用をもつ「HGF」(肝細胞増殖因子)を生み出す遺伝子を用いた薬。筋肉注射して、血管が詰まり血流が悪くなっている患部を治す。これまで糖尿病などが原因で動脈硬化が進むと、足の血管が壊死(えし)し、足を切断するしかなかった。新薬を使えば切断せずに治療できる。
 07年6月に終了した臨床試験では、投与した患者27人のうち19人に痛みや壊死が縮小する効果を確認している。米国でも臨床試験を進めている。
 アンジェスは99年12月、大阪大の研究者らが設立。02年9月には東証マザーズに「大学発」として初の上場を果たした。

混合診療を限定容認 4月から未承認薬の高度治療で indexへ

 厚生労働省は4月から、未承認の医薬品・医療機器を使った高度な治療と保険診療を組み合わせた「混合診療」を、限定的に認める制度を始める。病院が提出する治療計画を厚労省が事前審査するなどの条件つきだが、海外で広く使われている治療薬が国内で未承認のため重い自己負担を強いられている難病患者らにとって、負担軽減につながる可能性がある。
 26日の中央社会保険医療協議会(中医協)で承認された。
 患者が保険適用外の診療を受ける場合、混合診療を原則禁止している現状では、同時に行われる保険診療についても全額患者負担になる。
 新制度で混合診療を認める対象になるのは、国内外で一定の使用例があり、薬事法の承認を目指している治療薬や機器。大学病院など高度な医療を提供できる機関が治療計画を添えて申請し、厚労省が審査する。いったん認められれば、その病院での同じ治療は、混合診療が可能になる。
 治療に伴うデータは、後に製薬会社から承認申請があった際に安全性や効果を見極めるため活用する。予期せぬ副作用などが起こった場合は公表し、安全対策に生かす。
 新制度は、06年の制度変更によって、それ以前は可能だった高度先進治療での未承認薬を伴う混合診療が一律禁止されたことへの対処を含む。がん治療の一部など18種類の治療法は、今春までの時限措置で例外的に混合診療が認められていたが、新制度では正式に認められる見込み。

帝王切開手術中死亡、産科医師に禁固1年求刑 福島地裁 indexへ

 福島県立大野病院で04年、女性(当時29)が帝王切開の手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた産科医加藤克彦被告(40)の論告求刑公判が21日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。検察側は「産婦人科医としての基礎的な注意義務に違反し、医師への信頼を失わせた」などとして、加藤被告に禁固1年と罰金10万円を求刑した。
 検察側の冒頭陳述などによると、加藤被告は胎児を取り上げた後に胎盤をはがしたが、胎盤が子宮に癒着していたためなかなかはがれず、大量出血が起きたとされる。
 検察側は、加藤被告は事前に胎盤癒着の可能性が高いと診断しており、無理にはがすと大量出血の危険性があることを専門書で知っていたと指摘。胎盤をはがすのが難しいと判断した時点で、加藤被告には、子宮摘出に移る義務があったと主張している。
 一方、弁護側は、癒着胎盤はすべてはがしきるのが臨床の現場では主流であり、胎盤をはがすことによって止血も期待でき、加藤被告の医療行為は適切だったなどとして無罪を主張している。
 公判は、5月16日に弁護側の最終弁論で結審し、今夏ごろに判決が言い渡される見通しだ。

台風接近でくも膜下出血多発 沖縄・八重山諸島で調査 indexへ

 台風が近づくと、脳卒中の死因の約1割を占める、くも膜下出血が増える可能性があることが、国立病院機構・関門医療センター(山口県下関市)の泉原昭文・脳神経外科医長の調査でわかった。低気圧が血管のこぶを膨張させるなどし、脳動脈瘤(りゅう)が破裂したと推測している。京都市内で20日から始まった日本脳卒中学会で発表した。
 泉原さんは、00年から約2年間、沖縄県立八重山病院に勤めた。冬や春に多いとされるくも膜下出血の患者が、八重山諸島では、台風シーズンに集中していることに気づいた。89年10月から02年12月までの13年間に、脳動脈瘤の破裂が原因とみられるくも膜下出血で入院した患者94人(平均年齢57.3歳)の発症時期を調べた。
 この間に石垣島に接近した台風は56個ある。台風が最も近づいた日を中心に、前後3日間を「台風接近時」として、接近時とそれ以外の時期のくも膜下出血の発症者数を比べた。その結果、接近時の100日あたりの発症が約3.4人だったのに対し、それ以外は約1.9人で、接近時の発症がふだんより約1.8倍高かった。
 泉原さんは「台風接近による気圧変化で脳動脈にできていたこぶが変形したり、気圧の低下で膨張したりして破れたのではないか。不安感が高血圧を起こした可能性もある」と推測する。「気候と病気の関連についての研究が進めば、予防医学にも役立つ」と話している。

聴力偽り?障害手帳、北海道300人返還 同じ医師診断 indexへ

 耳が聞こえるにもかかわらず、最も重度な「聴覚障害2級」の障害者手帳を受けていたとして、手帳の返還命令を受けたり自主返還したりする人が北海道で相次いでいる。いずれも札幌市で開業する同じ耳鼻科医(73)の診断で認定され、返還者は14日現在で約300人に及ぶ。この医師の診断で手帳を得た人は判明しただけでも他に約400人いるという。道などは大規模な福祉不正の疑いが強いとみて、取得者への確認調査を進めている。
 朝日新聞の調べでは、手帳の取得者は旧産炭地である北海道赤平市と芦別市の在住者が多い。取得者らは、複数のブローカーらから医師を紹介され、仲介の謝礼を払ったと話しており、不正取得が組織的に行われていた疑いが持たれている。
 2級の手帳取得者は医療費の助成や税金の減免が受けられるほか、2級と同様の障害を認定された年金加入者は障害年金も支給される。
 この問題をめぐっては、04年12月、医師を名指しして「不適切な診断書を作成している」とする告発が道に入り、道と札幌市などはそれ以降の申請の大半について交付を留保していたという。
 道と市などは、この医師の診断で手帳を得たことが確認できた人を今年2月ごろから呼び出し、職員や専門医の呼びかけに反応するかどうか調査を開始。その結果、面談した人の約9割に当たる約200人(3月14日現在)について「明らかに聞こえている」としてその場で手帳を返還させたという。
 また、調査を待たずに自主的に手帳を返還した人も約100人に及んだ。自主返還者は「薬が効いて聞こえるようになった」「ビタミン剤が効いた」などと話しているという。まだ調査が済んでいない対象者は約400人おり、返還者は今後も増えるとみられる。
 問題の医師は朝日新聞の取材に対し、「弁護士に対応を任せており、何も話せない」と回答。弁護士も「コメントできない」としている。
 ■ブローカー「聞こえないふりをしろ」
 札幌市の耳鼻科医(73)から聴覚障害の診断を受けた人たちは、朝日新聞の取材に対し、ブローカーやその知人らに「いい医者がいる」「楽勝で手帳が取れる」などと勧誘され、仲介の謝礼として1万〜5万円を支払ったと話している。
 赤平市の50代の男性はもともと片方の耳が聞こえづらく、知人を介してブローカーとみられる男性から「税金が免除になる。検査だけでも受けてみろ」と誘われたという。4人ほどでワゴン車に乗せられ、約100キロ離れた札幌市へ移動。車中では「聞こえないふりをしろ」「ばれないから大丈夫。政治家だって不正をしている」と言われたという。
 赤平市の60代の男性は、医師からヘッドホンの音を聞き取る検査を受け、「医師に『小さい音ではボタンを押すな、大きく聞こえるところで押せ』と言われた」と話す。芦別市の70代の男性は「診断時には医師と直接話もしている。障害がさほど重くないことは当然わかったはず」と言う。一方で、「特におかしい検査ではなかった」と話す人もいた。
 手帳の取得は、札幌市内の同じ社会保険労務士(66)が手続きを代行していた。この社労士によると、ブローカーの一人と知り合いで、これまでに約300人の申請を代行し、1人当たり1万〜2万円の手数料をもらったという。
 この社労士は「みな同様に2級相当と認定されるので不思議な感じはしたが、医師の診断なので疑うべきではないと考えた。いま振り返れば疑惑があるかもしれない」と話す。
 複数の人からブローカーだと名指しされた男性は「そういうことをしている者がいるという話は聞いているが、自分は知らない」と話している。
 〈聴覚障害2級〉 聴覚障害の中では最も重い等級で、補聴器を使っても聞こえない状態とされる。他の障害を併せ持つと「身体障害者1級」の手帳が交付される場合がある。手帳の交付は、指定医が出す診断書、意見書をもとに各都道府県や政令指定都市などが決定する。2級では住民税や所得税が30万〜40万円控除され、所得が低ければ非課税になる。多くの自治体が医療費の助成制度を設け、公共交通機関にも割引制度がある。

救助産所1割、お産扱えない恐れ 医療機関と提携進まず indexへ

 医師・医療機関との提携を助産所に義務づけた医療法の改正を受け、分娩(ぶんべん)可能な助産所の約1割が4月から出産を扱えなくなる恐れがあることが14日、厚生労働省の調べで分かった。全国的に不足するお産の場が、法改正でさらに減る心配が出てきた。
 小池晃参院議員(共産)の質問主意書への答弁で明らかにした。
 厚労省が今月7日時点の状況を調べたところ、全国691助産所のうち、出産できるのは284カ所。しかし、改正医療法が提携の期限としている3月末を前に、18カ所は提携先の医療機関、9カ所が医師・医療機関とも確保できていない。都道府県別にみると、神奈川8、大分4、北海道3、青森、福島、愛知、大阪が各2、千葉、山梨、鳥取、鹿児島が各1となっている。
 同省は「提携に応じてもらうよう、都道府県を通じて引き続き協力要請したい」としている。

救急搬送10回以上の断り 昨年1074件、東京が6割 indexへ

 救急車で運ばれた患者が医療機関でなかなか受け入れてもらえないケースが各地で相次いでいる問題で、総務省消防庁は11日、都道府県を通じて調べた実態調査の結果を公表した。昨年1年間に全国で救急搬送された重症以上の傷病者(転院搬送を除く)約41万人のうち、搬送を10回以上断られた事例は1074件あった。このうち東京都が6割近い614件と突出。埼玉県、大阪府、千葉県、奈良県と続き、首都圏、近畿圏の都市部の深刻さが改めて浮かび上がった。
 調査は全国の消防機関に対し、昨年1年間の救急搬送について「重症以上」「妊産婦」「子ども」「救命救急センターに運んだ事例」に分けて報告を求めた。
 東京都の場合、重症以上の搬送件数に占める、10回以上断られた事例の割合は約1.4%。およそ80件に1件の割合で、医療機関に受け入れ要請を11回以上繰り返さなければならないケースが出ている計算になる。
 東京都以外で多かったのは、(2)埼玉129件(3)大阪71件(4)千葉66件(5)奈良41件(6)神奈川32件(7)兵庫28件(8)宮城26件(9)茨城14件(10)栃木11件(11)群馬10件――の順。これら11都府県で全国の事例の97%を占めた。
 重症の搬送を3回以上断られた事例は1万4千件を超えた。断られた回数を集計できた重症搬送件数の3.9%、約26件に1件にあたる。
 都道府県別で「3回以上断られた」割合が高かったのは(1)奈良12.7%(8件に1件)(2)東京11.2%(9件に1件)(3)大阪10.1%(10件に1件)など。
 妊産婦や子どもの調査でも、大都市での受け入れ困難が目立った。救命救急センターも大都市で受け入れ率が低い傾向があった。
 重症以上の傷病者の搬送を医療機関が断った理由は、症状が手に負えない、治療のための資機材がない、などの「処置困難」が22.9%で最多。次いで「ベッド満床」(22.2%)、「手術中・患者対応中」(21.0%)、「専門外」(10.4%)の順だった。
 救急車が現場に到着してから出発するまで最も長かった事例は5時間25分(千葉県松戸市消防局)だった。
 医療機関に受け入れ不能とされた回数が最も多かったのは、大阪市消防局であった62回の事例。吐血して倦怠(けんたい)感を訴えた男性を63回目の問い合わせで救命救急センターに運んだ。

製薬3社、ヘパリン自主回収 透析用、健康被害報告なし indexへ

 厚生労働省は10日、人工透析などに使われる血液凝固阻止剤「ヘパリン」投与後にアレルギーなど重い副作用が米国で相次いだことを受け、日本国内でヘパリンを製造販売する3社が製品の自主回収を始めたと発表した。国内で健康被害の報告はないが、3社が原薬を輸入している米国メーカーの製品から副作用が出たための措置という。
 回収対象は扶桑薬品工業、テルモ、大塚製薬工場の3社が製造販売する17製品。ヘパリンは豚の小腸から取った成分を精製してつくる薬で、国内約27万人の透析患者ほぼ全員が使っている。
 米食品医薬品局は2月末、米バクスター社製のヘパリンの副作用報告が昨年末から急増し、21人が死亡したと発表。副作用との因果関係は不明だが、製品の一部からヘパリンに似た異物の混入が確認されたという。
 当初、日本と取引のない中国メーカーの原薬が原因とみられたが、その後、米国メーカーの製品でも副作用が確認され、日本の3社が原薬を輸入していることが分かった。3社は「輸入した原薬を検査したが、異物混入はなかった」としている。
 回収対象は、透析患者向けの5割強を占めるため、医療現場の混乱も懸念される。厚労省は「あくまで予防的な措置。他社の製品に替えてほしいが、無理ならば十分に患者に説明して使ってほしい」と話している。

全国の大病院 外国人看護師、5割希望 indexへ

  経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師の候補者が年内にも来日するのを控え、大病院の半数近くが外国人看護師を採用したいと考えていることが、九州大学アジア総合政策センター研究班の調査でわかった。看護師不足の解消につながるとの期待が大きいためだが、来日するのは国家試験の合格を目指す研修生。即戦力ではない研修生の受け入れには6割が消極的で、「未知の制度」に対する現場の懸念がうかがえる。
 九州大教員を中心につくる同研究班が9日、福岡市であった国際研究会で報告した。
 日本政府はインドネシア、フィリピンと看護師・介護福祉士を受け入れる合意をしており、インドネシアは年内にも候補者を送り出す。これをにらみ、調査は1月、300床以上の全国約1600病院を対象に質問表を送り、2月末までに522病院から回答を得た。
 採用したいかどうかの問いには、21.5%が「日本人同様の基準で採用したい」、24.7%が「外国人枠を定めて採用したい」と答え、計46.2%を占めた。
 希望する理由は「看護師不足を解消したい」が65%で最多。国際交流への協力、院内の人間関係の活性化、看護レベル向上が続く。
 一方、「採用したくない」は20%、「よくわからない」は33%。理由は多い順に、サポートが大変、日本語能力が不安、患者や家族に受け入れられない、などだった。
 来日した看護師の候補者は、日本語を6カ月間学んだ後、病院で働きながら研修する。3年以内に日本人が受けるのと同じ国家試験に合格すれば引き続き在留、就労できる仕組みだ。
 この研修生の受け入れについては、38%が希望する一方、「あまり受け入れたくない」「全く受け入れたくない」が62%もあった。
 調査にあたった川口貞親・産業医科大教授(精神看護学)は「まず研修生の受け入れから始まる制度なのに、研修生や研修内容・手続きについての情報が少なすぎて二の足を踏む例が多いのではないか。政府は早く制度の中身を詰め、積極的に情報を出すべきだ」と話している。

厚労省、2次救急に優遇策 高得点なら報酬アップ indexへ

 厚生労働省は7日、地域の救急医療の中核を担う「2次救急病院」について、医師数の充足度などで点数評価を行い、高評価の病院を診療報酬などで優遇する制度をつくる方針を明らかにした。医師不足や不採算で救急から撤退する病院が相次ぐ事態を受け、本来は都道府県が管轄する2次救急の整備にも国が乗り出し、救急医療体制の空洞化を防ぐ狙いだ。
 救急医療に関する省内の検討会で原案を示した。救急医療体制は、軽症患者を診る「初期(1次)救急」、手術や入院が必要な「2次救急」、重症患者に対応する「3次救急」に分類される。
 厚労省の調べでは、07年3月末時点の2次救急医療機関数は3153カ所で、98年に比べ191カ所(5.7%)減った。救急搬送の患者は増えているが、2次救急の受け入れが減ったため、3次救急を担う全国約200カ所の救命救急センターに患者が集中。救急患者の受け入れ先が見つからない「たらい回し」も相次いでいる。
 厚労省は救命救急センターについて、99年度から専任医師数や受け入れ実績などによる3段階の「充実度評価」を行い、病院への補助金や診療報酬に反映させている。同様の仕組みを2次救急医療機関にも導入。2次救急の実態調査などを踏まえ、今後、省内の検討会で評価項目を詰める。2年後の診療報酬改定をめどに導入する考えだ。
 厚労省はこれまで、地域の救急体制づくりは自治体の管轄だとして静観してきたが、医師不足で救急医療を維持できない地域の続出を受け、方針転換した。

「得意な治療」医療機関名の公開方針は37都道府県 indexへ

 国民病といわれるがんや脳卒中など4疾病、救急医療など5分野の治療すべてについて、病院ごとの得意分野や役割分担を新年度中に公表する方針なのは、37都道府県にとどまることが朝日新聞の調査でわかった。公表範囲も自治体ごとに差が大きく、選定方法にもばらつきがある。住民に病院情報を公表して安心してもらおうという厚生労働省方針が、全国に浸透するのは難しそうだ。
 厚労省は昨年、今年4月までに新医療計画として策定し、公表するよう都道府県に要請した。患者数が多く、死亡率が高い「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞(こうそく)」「糖尿病」の4疾病と、地域医療に欠かせない「救急」「へき地」「周産期」「小児」「災害」の5分野について、患者の状態に応じて地域で治療を主に担う病院・診療所を選定する。病院ごとに異なる得意分野を示して役割分担を促す。治療段階に応じた転院先を住民にわかるようにし、安心してもらう目的もある。
 朝日新聞が47都道府県を対象に、2月末までに実施したアンケートでは、4疾病5分野のすべてにわたり、何らかの形で医療機関名の公表を決めているのは、新年度末の実施を含めても、北海道、青森、茨城、東京、静岡、愛知、大阪、島根、広島、高知、佐賀、大分など37。10府県は一部疾病・分野で公開しないか、検討中だった。理由は「病院の役割分担について結論が出ない」など。「名前を公表すると、患者が一部の病院に集中する恐れがあるため、慎重に検討したい」という回答もあった。
 4疾病5分野にわたって公表する方針でも、範囲には差がある。
 例えば、脳卒中では、倒れた直後の搬送先になる「急性期」、リハビリを担う「回復期」、日常生活を支援する「維持期」などに分けて選定。発症直後の治療と、社会復帰を目指すリハビリでは、必要な専門家が異なるため、回復段階に応じた最適の病院を選ぶ。
 だが、3府県は公表範囲が急性期のみ。住民からみれば、回復期の病院選びができないことになる。
 急性心筋梗塞では、急性期のみが10都道県だった。
 また選定方法も、「一定の基準を設定」(22都道府県)、「医療機関の自己申告を尊重」(15府県)などとばらついた。治療の質を確保するため行政がかかわる度合いに、濃淡が出ている。
 公表方法は、多くが各都道府県のホームページを使う予定で、簡単に病院名が検索できる県もある。福岡は選定基準と、医療機関名を別々に収載。住民が両方を照合しても役割分担はよく分からず、病院探しは極めて困難になりそうだ。

末梢血移植、非血縁者間も可能に 厚労省が方針 indexへ

 採血で白血病の患者を救えます――。白血病の治療法として、血液から造血幹細胞を採って移植する「末梢(まっしょう)血幹細胞移植」について、厚生労働省は7日、血縁者間以外でも進める方針を決めた。移植前の提供者(ドナー)に投与する薬の安全性が確認されないとして、これまで血縁者間の移植のみ行ってきた。骨髄移植に比べドナーの負担が小さく、厚労省は今後、移植が大幅に増えると期待している。
 末梢血移植ではドナーの腕の静脈から血液を採り、取り出した幹細胞を患者に点滴する。全身麻酔をし腰の骨に針を刺して骨髄を採取する骨髄移植に比べ負担が小さい。米国の骨髄バンクでは造血幹細胞移植の6〜7割を末梢血移植が占める。
 ただし移植前のドナーには、幹細胞を増やすための薬を投与する。日本では02年、親族に末梢血を提供したドナーが急性骨髄性白血病で死亡した例があった。薬の副作用が疑われ、血縁者間以外の採取を控えてきた。
 この問題を検討してきた厚労省の造血幹細胞移植委員会に、7日、日本造血細胞移植学会と厚労省研究班の共同調査結果が報告された。00年〜05年3月に末梢血を提供したドナー3264人に血液がんになった例はほかになく、「薬の投与との因果関係はない」とした。
 非血縁者間の移植は日本骨髄バンクが行い、開始時期は同バンクを運営する骨髄移植推進財団が検討する。

期限切れインフルエンザワクチン投与 東京慈恵医大病院 indexへ

 東京慈恵医大病院(東京都港区)は7日、有効期限が切れたインフルエンザワクチンを子ども7人に投与していたと発表した。健康被害はないという。期限後すぐに廃棄しなかったうえ、接種時に医師らが確認を怠ったという。
 同病院によると、昨年12月中旬、総合母子健康医療センターで実施した予防接種で、有効期限を約1カ月半過ぎたワクチンを子ども7人に投与した。今年2月下旬、業者に返品するワクチンを確認していてわかった。

術後に女性死亡、医師ら書類送検 管理怠った疑い 足立 indexへ

 女性患者(当時75)が人工骨置き換え手術のあと血圧低下などに陥ったにもかかわらず適切な処置を取らず死亡させたとして、警視庁は7日、東京都足立区の「東和病院」の整形外科医師の男(51)と准看護師の女(26)を業務上過失致死容疑で書類送検した。2人とも容疑を認めているという。
 捜査1課の調べでは、医師は04年10月20日、女性に手術を行い、手術後に血圧が術前の半分以下に低下したにもかかわらず、輸血など適切な措置を取らなかった疑い。准看護師は女性の脈拍が急激に上昇するなどしたのに医師らに報告しなかった疑い。女性は翌日、出血性ショックで死亡した。
 女性は腎不全で人工透析を受けていた。同課は、医師らが女性のこうした状況を把握しながら術後管理を怠った過失があるとして、「厳重処分を求める」との意見を付けて書類送致した。

国立大病院、81億円未収 法的手段使い回収も indexへ

 全国の42国立大学にある45付属病院で、診察を受けた患者が支払っていない治療費などの未収金が06年度末までの累積で81億円に達していることが、朝日新聞の調べで分かった。治療費の未収金は、自治体病院の赤字を膨らませる一因として全国で問題になっているが、国立大学病院の経営も同様に圧迫されつつあることが裏付けられた。対策として、法的手段を使って回収に乗り出す病院も出ている。
 すべての国立大病院(歯学部含む)に朝日新聞が07年10〜12月、アンケートした。協力が得られなかった大学には情報公開を請求した。未収金は「06年度末における退院患者と外来患者から得るべき診療費のうち、保険者(保険の運営団体)への請求分を除いた債権」と定義した。
 未収金の累計は81億1396万円。経営規模の大きい旧7帝大(北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大)が全体の約3割を占め、23億2313万円に達した。
 地域別では九州・沖縄(計8大学)が4分の1を占め、21億7526万円。関東(計6大学)も2割弱で計14億7595万円あった。最も多かった西日本の大学病院では6億円を超え、首都圏でも4億7000万円を計上した大学病院があった。
 複数の大学病院は「03年に患者の3割負担が実施されたことが契機で増えた」と指摘。「低所得者の増加も影響している」(岐阜大)と見る大学も多い。
 診療科別の未収金を開示した大学では、外科と産婦人科の多さが際立った。2億円を超す未収金に悩む東北大病院は「お産の集約化が未収金の増加に影響している」という。郡部の産科が減って仙台市にある東北大病院に患者が集中したのに伴い、出産一時金を納めない患者も増えたという。
 未収金対策としては、カードによる分割払いや時間外の納付受け付けなど、支払い方法の多様化に取り組んでいると答えた大学が24病院あった。
 専門の業者や法的手段を使って回収を図る病院もあり、東京医科歯科大や岐阜大は弁護士に回収業務を委託。悪質な場合は資産差し押さえも辞さないとしている。宮崎大も「確信犯」に対しては簡易裁判所による支払い督促に踏み切っている。
 未収金問題を巡っては、解決策を探るために厚生労働省が昨年6月に検討会を設置。病院団体や保険者などと協議を続けている。

子宮のない女性の子、実母が代理出産 諏訪のクリニック indexへ

 長野県下諏訪町の「諏訪マタニティークリニック」の根津八紘(やひろ)院長は29日、記者会見し、同クリニックで8例目となる代理出産を行ったと明らかにした。子宮のない20代後半の女性と夫との受精卵を、依頼女性の母の子宮に移して、帝王切開で産んだという。
 会見では、別室に女性と母が控え、音声で質問に答えた。根津氏によると、女性は西日本在住で、先天的に子宮のないロキタンスキー症候群。母は50代後半で、すでに閉経していたが、妊娠・出産に耐えられる健康状態と判断。妊娠10カ月に入ったところで帝王切開し、2200グラムの男児を産んだ。母子ともに健康という。
 代理出産8例のうち、4例は今回と同様、依頼者の母が出産。生殖年齢を超えた出産について、根津氏は「心臓や腎臓などあらゆる検査をし、問題があればやめている。お産の危険は若い時よりも当然高く、危険を委ねるとしたら、身内になる」と話した。
 産んだのは、赤ちゃんからみると祖母にあたり、実子として届けた後、依頼した夫婦と養子縁組するという。女性は「子どもができるとは思っていなかったので、とても幸せ。子宮のない方や子のできない方は大勢いる。代理出産を禁止しないでほしい」、母は「妊娠・出産は、思っていたよりしんどくなかった」と語った。
 代理出産をめぐっては、日本学術会議は原則禁止とする最終報告書を3月中にまとめる方向で議論している。

足湯でレジオネラ菌感染、掃除の男性入院 鹿児島 indexへ

 足湯でレジオネラ菌による肺炎にかかって入院した人が鹿児島県内にいたことが、県環境保健センターの調べでわかった。国立感染症研究所によると、足湯でレジオネラ菌に感染した例は全国で初めて。今月の月報に掲載し、注意を喚起している。足湯は、公衆浴場とちがって水質や清掃などの管理に法的規制がない。同センターは「全国的に足湯ブームだが、実態調査をして基準を設ける必要がある」と話している。
 発病したのは、鹿児島県に住む50歳代の男性で、昨年9月に肺炎で入院した。その後快復したがレジオネラ菌が原因だったため、同センターが調べていた。
 同センターは、男性が発病の1週間前にボランティアで足湯の掃除に参加していたことを知り、足湯の浴槽水、浴槽のタイルを調べたところ、レジオネラ菌が100ミリリットルあたり560個検出された。菌の遺伝子を調べると男性が感染した菌と同じだった。男性がマスクをせずに高圧洗浄機で足湯の掃除をしたため、菌に汚染された水滴を吸い込んで感染したとみている。男性は糖尿病のため、感染しやすかった可能性がある。
 この足湯は観光客向けにJR駅前に設置されている。掛け流し式で、塩素消毒などはしていない。毎日午後11時に湯の供給を止め、排水せずに翌朝の供給再開まで放置していたという。
 レジオネラ菌は水温20度以上の温泉などで、特定の種類のアメーバに寄生して増殖する。高齢者や小さな子などがかかりやすい。急激に重症になって死亡することもあり、02年には宮崎県の温泉で7人が亡くなる集団感染があった。今年1月には三重県四日市市の高齢者の健康増進施設の足湯でもレジオネラ菌が検出され、足湯は閉鎖されている。
 厚生労働省によると、足湯は公衆浴場法の対象にならないため、水質基準や清掃などの管理基準がない。
 京都府立医大病院感染対策部の藤田直久部長は「足湯だからといって不衛生な湯が流れていいわけではない。普通の公衆浴場や温泉に準じて衛生的にきちんと管理する必要があるだろう」と話している。

宗教理由に輸血拒否 15歳未満認めず 5学会が指針 indexへ

 宗教的理由で、輸血が拒否された場合の医療機関の対応を示した新しいガイドラインを日本輸血・細胞治療学会など5学会の合同委員会(座長、大戸斉・福島県立医大教授)が28日まとめた。親権者が拒否しても、「患者が15歳未満で、救命のため必要と判断されれば輸血を行う」とした。また、状況によって児童相談所に虐待通告し、裁判所から親権者の職務停止処分を受けてから輸血する。
 今回の方針は、親が子どもに必要な医療を受けさせない行為を「医療ネグレクト」とみる近年の動向を踏まえた。
 ガイドラインでは、(1)患者が18歳以上の場合、本人の文書同意を得たうえで無輸血治療を貫くか、転院を勧める(2)15歳以上18歳未満の場合、親権者か本人のどちらかが希望すれば輸血し、ともに拒否なら、18歳以上に準じる(3)15歳未満の場合、親権者の一方が同意すれば輸血する。双方が拒否する場合でも必要なら行う。治療が妨げられれば、児童相談所に通告して児相から裁判所に親権喪失を申し立て、親権者の職務停止処分を受けて親権代行者の同意で輸血をする。
 親権者の職務停止にまで踏み込んだのは、親が宗教上の考えから子どもの手術を拒否したケースで、親権停止を認める裁判所の決定が出ていることが背景にある。
大戸座長は「子どもは社会が守るべき存在で、親の所有物ではない。ガイドラインは医療施設が治療を選択するのに役立つはずだ」と話した。

タミフル効かぬインフル、国内初の集団感染 5人確認 indexへ

 インフルエンザ治療薬タミフルが効かない耐性ウイルスが今季、5人からみつかり、集団感染によるものとみられることが、横浜市衛生研究所の調査でわかった。耐性ウイルスによる集団感染事例の確認は、国内では初めて。世界保健機関(WHO)に報告された。タミフルは新型インフルの治療薬として備蓄されているが、別の治療薬の備蓄増など計画修正も迫られそうだ。
 同研究所によると、5人の患者は、いずれも同一区内で1月28日に受診した8〜13歳の男女。タミフル服薬前の検体から、耐性ウイルス(Aソ連型)が検出された。
 3人は同じ小学校に通い、ほかの2人は同じ病院で外来診療を受けた。いずれも血縁などはなく、同研究所は、一定の地域内で今季、耐性ウイルスによる小規模な集団感染があったとみている。
 けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫・小児科部長によると、過去に国内でみつかった耐性ウイルスは、タミフル服用後に患者の体内で変異を起こして耐性を持ったか、その患者と密接に触れ合う家族が感染した事例に限られる。
 今季のインフルエンザ流行はピークを過ぎており、差し迫った危機は薄いが、耐性ウイルスが広がれば、感染力が強く致死性が高い新型インフルエンザが発生した際に、最初から耐性を備えて流行する恐れが高まることになる。菅谷さんは「海外のように、タミフル以外の治療薬の備蓄を増やすといった対策が迫られる」と指摘している。
 WHOによると、欧州などでは、従来は1%未満だった耐性ウイルスの検出率が、今季、ノルウェーで66%、フランスで39%などと高く、広がりが懸念されている。

血液製剤の病原体、不活化技術を導入へ 厚労省 indexへ

 厚生労働省は27日、血漿(けっしょう)や血小板など輸血用血液製剤の製造時に、病原体の感染力をなくす不活化技術を導入する方針を固めた。現在はエイズや肝炎のウイルスなどを検出する検査を行っているが、検査をすり抜ける可能性がある。今は検査していない鳥インフルエンザやデング熱など危険な感染症を防ぐ狙いもある。
 同日の薬事分科会血液事業部会の委員会に示された。不活化技術は、薬剤と光を用いて病原体の遺伝子を破壊する。海外ではドイツやフランスなどヨーロッパを中心に導入されている。
 厚労省は夏までに報告書をまとめる予定。実際に導入するには、治験のほか、血液製剤を製造する日本赤十字社との調整が必要で、少なくとも3〜4年かかるという。
 一方、委員会では、薬剤について安全性の検証が必要などの指摘も相次ぎ、「導入はもっと慎重にすべきだ」との声も出た。

メタミドホス急性毒性基準、大人0.15ミリグラムに indexへ

 中国製冷凍ギョーザに混入した有機リン系農薬成分「メタミドホス」の毒性について、食品安全委員会の農薬専門調査会幹事会(座長、鈴木勝士・日本獣医生命科学大学獣医学部教授)は27日、人が一度に摂取すると健康に被害が及ぶレベル(急性毒性)を、大人で0.15ミリグラムになる数値に決めた。
 千葉市の母子が食べて中毒を起こしたギョーザには1個当たり約1.8ミリグラムのメタミドホスが入っていたとされ、体重50キロの大人で12倍、15キロの幼児にとって40倍の毒性があった計算だ。
 幹事会は、農薬の専門家10人が議論。国際機関などよりも人体への毒性作用を厳しくみている米国の環境保護庁の評価にならい、体重1キロ当たり0.003ミリグラムが妥当とした。
 慢性毒性に対する1日摂取許容量についても、幹事会はこの日、国際機関よりも毒性を厳しくみて0.0006ミリグラムと決めた。この評価への国民の意見を聴いたうえで、食品安全委から厚生労働省に通知。同省は食材ごとの安全な残留農薬濃度を決める。
 食品安全委が農薬の「急性毒性」を評価するのはメタミドホスが初めて。これまでは約100の農薬の危険性について、生涯摂取し続けると健康に問題が生じる「慢性毒性」を念頭に1日の摂取許容量を設定していた。

麻酔薬を誤って投与、患者が死亡 福岡市の病院 indexへ

 福岡市博多区のさく病院(朔寛(さく・ひろし)院長)で、入院中の男性患者(68)が、血液製剤と取り違えて全身麻酔薬を点滴され、容体が急変し、死亡していたことがわかった。病院はミスを認めて遺族に謝罪し、博多署に報告。同署は業務上過失致死容疑で、病院からカルテなどを押収し、関係者から事情聴取するなど捜査を進めている。
 病院によると、男性は今月6日に直腸がんで入院し、13日に人工肛門(こうもん)を取り付ける手術を受けた。手術は成功し、術後の意識ははっきりしていた。
 しかし、手術翌日の14日午後、看護師が体調管理のため、血液製剤を点滴で投与しようとした際、過って全身麻酔薬を投与したという。直後に男性がいびきをかき始めたため、付き添っていた家族が不審に思い、近くにいた看護師に連絡。看護師が容体の急変に気づいて医師を呼び、救命措置がとられたが、男性は意識が回復しないまま、22日夜に死亡した。
 病院は救命措置をとった段階から、家族にミスを認め、謝罪。男性の死亡後、投薬ミスが引き金になったとして、医師法に基づき、同日中に博多署に報告した。
 同病院では、こうしたミスを避けるため、投薬の際、医師が薬剤師に対し、パソコン上での発注と手書き書類による発注を出すことで二重チェックし、看護師が実際に投薬する時にも再度確認することになっていた。投薬ミスのあった全身麻酔薬は、本来投与するはずだった血液製剤と同じような形態の容器に入っていたという。
 山根信隆事務局長は「麻酔薬と死亡の因果関係は捜査の結果を待つが、死亡の引き金となる重大なミスをしたのは間違いない。遺族には誠心誠意対応し、再発防止に病院を挙げて取り組んでいる」と話している。

無資格で薬も処方 診療報酬詐取容疑の経営者 警視庁 indexへ

 東京都内などのクリニックが患者を診療したと偽り診療報酬を詐取したとされる事件で、詐欺容疑で逮捕された元医療コンサルタント会社経営南部美幸容疑者(53)が、医師資格がないのに薬剤を処方していたことが警視庁の調べでわかった。架空請求の発覚を免れるため診療実態があるように見せかける工作だったと同庁はみており、医師法違反(非医業の禁止)などの疑いでも調べる。
 組織犯罪対策1課と中野署の調べでは、南部容疑者は04年10月〜今年1月、計四つのクリニックを経営。しかし、いずれのクリニックでも医師による診療は全くしていなかったという。クリニックに一般の患者が来院した際は、南部容疑者や従業員が無資格で診療したり、薬を処方したりしていたとされる。
 都国民健康保険団体連合会によると、南部容疑者の経営する東新宿クリニックからは判明した昨年10月分で約30件の診療報酬請求があり、そのすべての診療報酬明細書(レセプト)に薬の処方記録があったという。
 レセプトに患者として記載されている人が、その時期に刑務所に入っていたケースもあった。

セレウス菌に感染、新生児が死亡 病院のリネン類から indexへ

 聖隷浜松病院(浜松市中区、堺常雄院長)は25日、新生児集中治療室(NICU)で昨年7月に治療を受けていた生後3日目の新生児が、シーツやおむつに付着していたセレウス菌に感染し、敗血症で死亡していたと発表した。NICUでシーツ類から同菌に感染、死亡したケースは極めて珍しいという。
 堺院長によると、亡くなった新生児の血中からセレウス菌が検出されたため、同時期にいた新生児約40人を検査。うち亡くなった新生児を含む4人の体の表面や使っていたシーツやおむつなどから、セレウス菌が検出されたという。亡くなった新生児は背中の皮膚がただれていたことから、菌が血中に入ったとみられるという。
 同病院は、シーツやおむつの洗濯を発注している浜松市内の3業者に対し、殺菌効果の高い洗浄剤を使うこと、乾燥温度をこれまでより5度高い100度にすることなどを指示。セレウス菌の菌量を月に1度チェックして再発防止に努めるという。
 セレウス菌は土壌中や穀物、香辛料などに広く存在する。食品内で増えて毒素をつくり、食中毒の原因になる。熱にも強い特性がある。

乳児、ポリオ発症 国内で8年ぶり 生ワクチン接種で indexへ

 北海道は25日、道内北部の町でポリオ(小児まひ)の生ワクチンの予防接種を受けた乳児(男)が、ポリオを発症したと発表した。国内では00年に宮崎県で発生して以来の発症。乳児は両足にまひの症状が出て旭川市内の病院で治療を受けているが、右足のまひは回復していないという。
 道保健福祉部によると、乳児は昨年11月中旬に町が実施した集団予防接種で、口から飲む生ワクチンの接種を受けた。12月3日に発熱、同6日に両足のまひ症状が現れ、調べたところ感染が分かった。道によると、ワクチンの期限や接種当時の乳児の体調に問題はなく、他に同じワクチン接種を受けた乳児十数人に異常はないという。
 国内でのポリオの自然感染は80年が最後。道のまとめでは、生ワクチン接種による副作用や、接種を受けた人の便などを通じた2次感染は計12件起きている。ワクチン接種では弱毒化したポリオウイルスを体内に取り込んで免疫を作るが、450万回に1回の割合で感染が起きるとされる。

架空診療で2億円受給 複数医師名義貸しの疑い indexへ

 クリニックの経営実態がないのに患者を診療したように装い、診療報酬をだまし取ったとして、警視庁は、東京都渋谷区代々木1丁目、元医療コンサルタント会社経営南部美幸容疑者(53)と従業員の男女2人を詐欺容疑で逮捕したと25日発表した。南部容疑者は都内と千葉県内で計四つのクリニックを実質的に経営。昨年9月までの2年9カ月間に、架空請求で約2億2000万円を不正受給したとみられる。同庁は、複数の医師がクリニックに名義を貸していた疑いもあるとみて、解明を進める。
 組織犯罪対策1課と中野署の調べでは、南部容疑者らは昨年4〜9月に14回、経営する「東新宿クリニック」の診療報酬明細書(レセプト)に架空の患者名や診療内容を記載し、都国民健康保険団体連合会から計約17万7000円を詐取した疑い。南部容疑者は容疑を否認しているという。
 南部容疑者は04年10月以降、新宿区に「東新宿」「新宿センター」「新宿西」、千葉県浦安市に「新安」の計四つのクリニックを実質経営。保健所に開設者として別の病院や私立大学に勤務する医師4人を届け出ていた。医師には、開設者としての報酬を数十万円ずつ払っていたという。
 これらのクリニックでは、診療は行われていなかったとされる。診療報酬の架空請求に使ったレセプトの請求者は各クリニックの開設者の医師名になっていた。レセプトに必要な患者の保険番号は、南部容疑者の会社の従業員らが、健康用品販売の顧客や知人から借りていたとみられる。集めた保険番号は延べ5000人分以上にのぼる。
 請求者になっていた医師4人は警視庁の事情聴取にクリニックの開設者になったことは認めたうえで、「診療したことはない」「架空請求については全く知らない」などと説明しているという。
 都国民健康保険団体連合会は「診療報酬の請求だけで月約550万件ある。レセプトが書類上整っていれば、架空請求を見抜くのは難しい」としている。

すべての患者に治療明細書 国立病院で厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は08年度中に、全国の国立病院で、検査や投薬などの治療内容が詳細に分かる明細書を、原則としてすべての患者に無料で発行する方針を固めた。患者への情報開示を積極的に進めることで医師への不信感を取り除き、患者自身が受けた医療の内容をチェックできるようにするのが狙いだ。
 対象は全国に8カ所ある国立高度専門医療センターと、国立病院機構が所管する146の国立病院。これらの病院では、患者の求めがあれば現在でも無料で明細書を発行しているが、求めがない場合でも患者に手渡すようにする。
 検査や投薬の内容にかかわらず、1日あたりの入院治療費が定額となる包括払いを導入している病院でも、治療の内訳がわかるような明細書にする。患者は明細書を保存しておくことで、薬害などの被害を受けた際に確実に投薬証明ができるようになる。
 課題は、患者自身に本当の病名が伏せられているような場合、明細書で病名がわかってしまう可能性があることだ。このため厚労省では、明細書の発行にあたり、必要に応じて患者の家族や主治医に意見を聞くなど、運用上の条件をつけることも検討するという。
 08年度の診療報酬改定では、今年4月から、ベッド数400床以上のすべての病院で、患者からの求めに応じて実費による明細書の発行が義務づけられるようになる。

刑事事件などで医師34人を処分 厚労省 indexへ

 厚生労働省は22日、医道審議会の答申を受け、刑事事件の有罪が確定するなどした医師、歯科医師ら計34人に対する行政処分を発表した。免許取り消しは4人で、1カ月〜3年の業務停止が26人、戒告は4人。3月7日に発効する。
 中絶胎児を一般ごみとして捨てたとして廃棄物処理法違反に問われ、有罪となった伊勢佐木クリニック(横浜市、廃院)の原田慶堂元院長は業務停止3カ月とした。
 医療行為に関連する処分は3人。東京慈恵会医大青戸病院(東京都葛飾区)で腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた男性が死亡した医療事故で、有罪が確定した前田重孝医師は業務停止1年6カ月だった。
 日本歯科医師連盟を巡る贈収賄事件で贈賄罪が確定した誉田雄一郎歯科医師も業務停止1年6カ月とした。
 主な処分は次の通り。(呼称略)
 【免許取り消し】メリーナ歯科医院(千葉市)藤木昭治=大麻取締法違反▽無職高橋孝広=殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反▽太田総合病院付属太田西ノ内病院(福島県郡山市)松本絢=強姦(ごうかん)致傷、住居侵入▽秀聖美容外科(水戸市)稲吉浩司=所得税法違反、医師法違反
 【業務停止3年】伏見クリニック(東京都大田区)伏見達夫=強制わいせつ▽田中医院(宮崎県延岡市)田中英隆=補助金適正化法違反
 【業務停止2年】イシハラ・クリニック(広島市)石原秀一=覚せい剤取締法違反▽森歯科医院(京都市)森基厚=強制わいせつ▽日本鋼管病院(川崎市)西野拓也=準強制わいせつ▽けいゆう病院(横浜市)中田洋介=同

まつ毛エクステ、ご注意 充血などトラブル続出 indexへ

 長さ約1センチの毛を接着剤でまつ毛に付ける「まつ毛エクステンション(エクステ)」をめぐるトラブルが増えている。若い女性の間で流行しているが、目の腫れや充血の苦情も各地の消費生活センターに寄せられている。相談が目立つ東京都は、技術の低い美容院などで施術されているとみて注意を呼びかける。
 まつ毛エクステはサロンや美容院で行われ、施術者がシルクやナイロン製の毛を1本1本、まつ毛に接着剤でつける。洗顔しても効果が3〜4週間続くため、目元をはなやかにしたい女性の間で流行している。
 一方、東京都など全国の消費生活センターには「施術で目が充血した」「接着剤が目に入り角膜炎になった」などの苦情が07年は18件寄せられ、前年の9件から倍増した。施術翌日に「目が痛くて開けられない」と、救急車を呼んだ女性もいた。都は「表面化していない被害はもっと多い」という。
 人気を背景に技術の低い店が参入しているとみる都は、事例を経済産業省と厚生労働省に報告。「接着剤が目に入ったら流水で15分以上洗眼し、医師の診断を受けて」とインターネットなどで注意を呼びかけることにしている。

医療事故死原因調査、厚労省が方針変更 医療機関判断で indexへ

 医療事故の死因調査にあたる第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」の設立を検討している厚生労働省は20日、事故を委員会に届け出るかどうかの判断を事実上、医療機関に委ねる方針を示した。当初は、医療行為に伴う予期せぬ死亡事故すべてについて届け出を義務づける考えだったが、医療界の反発を受けて方針変更した。
 厚労省は、届け出の対象を(1)誤った医療で死亡した事案(2)誤った医療かは明らかでないが、医療に起因し、予期せず死亡した事案――とし、該当するかの判断は医療機関に委ねる。ただし遺族が死因に疑問を抱き、委員会に報告した場合は、原則調査に着手する。
 死亡事故でも医療機関が「過誤によるものではない」と判断すれば、届け出なくてもよくなるため、患者団体などの反発が予想される。

看護職員の夜間配置義務づけ 療養病床受け皿の新型老健 indexへ

 厚生労働省は20日、慢性疾患を抱える高齢者が長期入院する療養病床の削減に伴い、その受け皿となる新しい老人保健施設の基準を決めた。夜間の看護職員の配置を義務づけるほか、医師による入所者の容体管理について介護報酬を加算。従来の老健施設よりも医療体制を手厚くし、療養病床からの転換を促す。
 この日開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に案を示し、大筋了承された。
 新しい施設名は「介護療養型老人保健施設」とした。厚労省は現在36万床ある療養病床を12年度末までに20万床程度に削減する方針だが、療養病床に入れなくなる高齢者のうち、医師による日常的なケアが必要な高齢者への対応が求められていた。
 たんの吸引や、胃に穴をあけチューブで栄養を注入する「胃ろう」など夜間の対応も必要となるため、看護職員を24時間体制で配置する。終末期のみとりについても介護報酬を上乗せする。
 また、入所者の容体が急に悪化し、施設外の医師が治療にあたった場合は、診療報酬を上乗せする措置もとる。

報酬年3500万円、麻酔科医を募集 大阪・泉佐野市 indexへ

 関西空港の対岸にある大阪府泉佐野市の市立泉佐野病院で、激務などを理由に麻酔科の常勤医が一斉退職する見通しとなり、後任の医師を確保するため、病院側が最高で年3500万円の報酬を雇用条件に提示していることがわかった。麻酔科医が不在になれば、救急対応を含む大半の手術ができなくなる。拠点病院としての機能低下を防ぐ窮余の一策としている。
 同病院の麻酔科には現在、4人の常勤医師がいるが、いずれも3月末で辞職する可能性が高い。一部の医師が昨年末に辞職を願い出たのを機に、残る医師も「補充なしで手術室を支えられない」と退職を決めたという。
 年収3500万円は病院事業管理者(特別職)の約2倍。厚生労働省の調査(昨年6月時点)では、自治体病院勤務医の平均年収は1427万円で、これと比べても突出している。同病院は所属先のない「フリー」の麻酔科医に1日約12万円の報酬を支払っているといい、この水準をもとに年収をはじき出した。今月1日から大学などに要請する形で募集を始めたところ、これまでに数件の引き合いがあるという。
 同病院は全国に3カ所しかない「特定感染症指定医療機関」の一つ。今夏をめどに、産科医療の中核施設「地域周産期母子医療センター」となる予定で、緊急手術に即応できる常勤麻酔科医の確保が急務だった。市幹部は「ほかの医師の給与に比べて高すぎる、との指摘が内部にあったが、手術ができない事態は避けねばならない」と話す。

15病院搬送拒否で女性死亡 通報から2時間半 東京 indexへ

 東京都小平市の女性(61)が14日に自宅で倒れて救急搬送される際、15の病院に受け入れを断られ、その後死亡していたことがわかった。最終的に立川市内の病院に運び込まれるまで、通報から2時間半以上かかっていた。
 東京消防庁などによると、女性の家族は14日午後5時36分に119番通報。同44分に救急隊が到着し、病院を探したが、小平市周辺の病院から満床などを理由に受け入れを断られ続けた。
 午後7時半ごろ、昭島市内の病院への搬送が決まったが、搬送中に容体が急変。同8時12分に立川市内の国立病院機構災害医療センターに到着したが、同9時ごろ、心疾患での死亡が確認されたという。

医師確保できず産婦人科休止へ 東京・世田谷の拠点病院 indexへ

 出産を扱う地域の拠点病院が全国的に減る中、東京都世田谷区の「関東中央病院」は、医師が確保できないことを理由に、3月末で分娩(ぶんべん)を含む産婦人科入院診療の休止を決めた。同区の新生児数は年約6000人で、中央病院は約500件のお産を扱っている。比較的、医師数に余裕があるとされる都内でも、厳しい出産環境になっている現状が浮き彫りになった。
 中央病院によると、現在、産婦人科には常勤3人、非常勤や夜間診療も含めると計10人の医師がいる。大半が東京大学医学部からの紹介だった。
 先月、産婦人科部長が待遇面や安全診療体制の不十分さなどを理由に辞職届を提出。他の医師も退職の意向を示したことから、中央病院は東大に、代わりの医師の紹介を要望したが、「見つからない」と断られたという。休診について、中央病院は「医師を派遣していた東大が全員を引き揚げるためだ」と説明。東大病院は「コメントできない」としている。
 医療機関が、お産から撤退する動きは、全国的に加速している。撤退には産婦人科医を派遣してきた大学医局が、医師を確保できなくなっていることや、過酷な勤務などで退職する医師が増えていることが背景にある。

「救急」医療機関、名ばかりが3割 医師チーム分析 indexへ

 全国の救急医療機関の少なくとも3割近くが、救急車の受け入れ台数が1日あたり1台未満で、事実上機能していない「名ばかり救急」となっていることが、日本医大などの救急医チームの分析でわかった。医師不足や救急部門の不採算化が背景にあるとみられ、病院が交代制で地域の救急を担う輪番制度でも、4府県は参加施設の4分の3以上が名前だけの救急だった。専門家からは、救急患者の受け入れ不能が常態化している一因、との指摘も出ている。
 厚生労働省が保管している05年度分の「医療機関ごとの搬送現況調査」などから分析した。救急医療機関としての最低限の条件を「1日1台以上の救急車受け入れ」として、地域の救急の要となっている救急輪番参加施設について調べた。
 05年度、救急車を受け入れる医療機関は全国に4774あった。このうち輪番に参加していたのは3185で、その42.3%にあたる1348施設で当番日あたりの救急車受け入れが1台未満だった。救急医療機関全体では、少なくとも28.2%が事実上、機能していない「名ばかり救急」だったことになる。
 都道府県別では、「当番日あたり1台未満」の医療機関の割合が全体の4分の3以上あったのは、京都、高知、福岡、鹿児島の4府県。
 本来は交代制の輪番制度について当番日数でみると、週1回以下の医療機関は全体の39%。一方で、ほぼ365日担っているとみられる施設は27%あった。入院までの医療に対応できるように決められた全国369カ所の2次医療圏では、実際に機能している救急施設が「まったくない」地域が5%、「1〜3施設」が51%を占め、限られた病院に救急搬送が集中する実態が浮かんだ。
 分析した日本医大高度救命救急センターの近藤久禎医師は「輪番不参加の施設でも1日1台以下のところは多いと考えられるので、看板だけの救急施設の割合はさらに高くなる可能性がある。救急対応ができるところに診療報酬や人的資源を集めた方が効果的だ」と話す。
 〈救急医療と輪番制度〉 現在の救急医療体制は77年にできた。1次(軽症患者)、2次(入院や手術の必要な患者)、3次(生命の危険がある重篤患者)の症状のレベルに応じた医療機関の整備▽地域の医療機関が交代で夜間・休日をカバーする輪番制度などだ。当時、救急の主な対象は交通事故で、自由診療のため利幅が大きかったが、今は高齢者らの急病が多く、医療費抑制で報酬は増えない。訴訟のリスクなどもあり、経営的理由で救急から撤退する病院が増えたと指摘されている。

診療報酬改定で医師不足対策千五百億円 増える入院負担 indexへ

 治療や薬の公定価格である08年度の診療報酬改定の内容が13日、決まった。医師の技術料にあたる「本体部分」の引き上げと開業医向けの一部報酬の削減で計1500億円を確保し、産科や小児科医、病院の勤務医不足対策に振り向ける。医療機関の間での「たらい回し」が問題になっている妊産婦の救急搬送受け入れなどの充実を目指しているが、患者にとって入院時の自己負担が増えるケースも出そうだ。
 中央社会保険医療協議会(中医協)が舛添厚生労働相に答申、4月から実施する。
 産科の主な支援策としては、救急搬送された妊産婦を受け入れた病院に入院料5万円を加算する。患者受け入れに積極的な病院を増やすのが狙いだ。70歳未満の患者の自己負担は原則3割なので、窓口で支払う額は1万5000円増える。
 小児科の報酬でも、高度の治療を行う子ども専門病院の入院料を1日あたり9000円増やす。
 産科・小児科以外でも勤務医の報酬を手厚くするため、手術料を平均3割引き上げる。外来診察の比率を減らしたり、医師の事務を補助する職員を雇ったりして、医師の負担を軽減した病院への入院料も上乗せする。
 夜間・早朝、休日の救急患者の診療を開業医に分担してもらうため、新たな加算制度も創設。こうした診療時の開業医の初・再診料は500円上乗せされる。これに伴い、患者負担も150円増える。
 勤務医(200床未満の中小病院)の再診料を30円引き上げて600円とし、開業医との格差を縮めた。
 総じて患者には負担増になる改定項目が多いが、薬価の引き下げや価格の安い後発医薬品(ジェネリック)の使用促進により、薬局で支払う金額は少なくなる。
 後期高齢者医療制度が4月に始まるのに伴い、お年寄りの慢性疾患を総合的、継続的に診る外来の主治医への報酬(月6000円)を新設。1カ月に行う検査や治療費は、この中にすべて含まれる「包括払い」とする。患者は再診料や薬代などを除き、1カ月に何回受診しても負担は変わらない。

HIV感染者増加とまらず、初の年間1千人越え indexへ

 厚生労働省のエイズ動向委員会は12日、07年に新たに報告されたエイズウイルス(HIV)の感染者数(速報値)が、前年より96人増えて過去最多の1048人だったと発表した。1000人を超えたのは初めて。新たに発症が確認されたエイズ患者も400人で過去2番目に多かった。
 委員長の岩本愛吉・東大医科研教授は、国内では男性間の性的接触による感染が7割を占めると指摘。「同性間感染を少なくする努力が必要だ」と話した。
 保健所などのHIV抗体検査は約15万4000件で、前年に比べ約3万7000件増えた。岩本委員長は「検査数の増加が、感染者の報告数の増加につながっている」との見方を示した。

病気腎移植の市立宇和島病院、保険医取り消しへ 厚労省 indexへ

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(67)らによる「病気腎」移植をめぐり、厚生労働省は10日、万波氏が25件の病気腎移植を手がけた前勤務先の同市立宇和島病院に対し、保険医療機関の指定を取り消す方針を固めた。不正な保険請求やカルテの一部破棄が監査で確認され、悪質と判断した。取り消し期間は原則5年だが、地域住民への影響を考慮して1カ月に短縮するほか、患者の医療費負担が増えない方向で最終調整している。
 万波氏は宇和島徳洲会病院でも病気腎移植を11件実施しており、同病院についても同様の行政処分が検討されている。
 病気腎移植問題が表面化した06年秋以降、厚労省や愛媛社会保険事務局などは1年以上にわたって両病院を監査し、診療記録などを調べた。その結果、市立宇和島病院では、同省の規則に違反して、特殊または新しい療法とされる病気腎移植の診療報酬を保険請求していたほか、ほかの診療でも不正請求が相当数見つかったという。同省は、これら不正請求分の返還も病院側に求める。
 さらに、病気腎移植を受けた患者のカルテの一部が、治療終了後5年間の保管義務に反して破棄されていたことが判明。同省は腎臓摘出患者や移植患者への説明も不十分だったとみている。
 指定取り消し期間について、同省は大型連休で患者への影響が最も少ないとみられる今年5月の1カ月間とする方向で検討。期間中、健康保険証が使えない病院となり、患者は医療費の全額負担(通常は3割)を強いられるが、「療養費委任払い制度」を適用し、病院側が医療費の7割分を各健保組合などに請求することで混乱が避けられるとしている。
 同病院は県南部唯一の救命救急センターが併設された中核病院。指定取り消しが地域医療に与える影響が大きいとして、加戸守行知事らが国に指定継続を要望していた。
 保険医療機関の行政処分をめぐっては、診療報酬の不正請求が明るみに出た藤枝市立総合病院(静岡県)が昨年10月、1カ月間の指定取り消しとなり、療養費委任払いが適用されている。

勤務医再診料30円上げ 開業医との差縮める indexへ

 厚生労働省は9日、医療機関などに支払う診療報酬の08年度改定で、全国9000病院の約7割を占めるベッド数200床未満の中小病院の勤務医再診料を、570円から30円引き上げて600円とする方針を固めた。開業医の再診料は現行の710円のまま据え置くことが決まっており、格差は140円から110円に縮まる。開業医と病院の勤務医との再診料格差を小さくするとともに、中小病院の経営悪化を防ぐのが狙い。
 13日の中央社会保険医療協議会(中医協)で正式に決める。
 08年度改定では、勤務医不足対策のための財源確保が最大の焦点。厚労省は当初、開業医の再診料を引き下げることで費用を捻出(ねんしゅつ)しようとしたが、日本医師会などの強い反発で断念した。
 代わりに、再診料に上乗せ請求できる外来管理加算を見直したり、簡単な治療の診療報酬を廃止したりすることで、開業医向けの診療報酬約400億円を削減。その分を勤務医不足対策の財源に充てることを決めた。
 しかし、これらの措置では再診料の格差是正ができない上、外来診療の割合が高い中小病院にとっても減収となる。そこで、中小病院の勤務医の再診料を引き上げることで格差を縮小し、中小病院の減収分を埋め合わせることにした。
 必要な財源約75億円は、外来管理加算の見直しなどで中小病院への支払いが減って浮いた分の医療費を、そのまま充てることで対応する。

心臓裏にガーゼ8年放置、摘出後に死亡 つくばの病院 indexへ

 茨城県つくば市の「筑波メディカルセンター病院」(石川詔雄院長、409床)で行われた心臓手術の際、医師が患者の心臓の裏にガーゼを置き忘れ、8年8カ月後の再手術で取り出していたことがわかった。ガーゼは心臓に癒着していたといい、患者は再手術から約3年後に心機能が低下して死亡。ガーゼと死亡との因果関係を一部認めた病院側は、遺族に慰謝料などを支払うことで昨年示談したが、遺族によると、再発防止のため遺族が求めた「事故の公表」をしていないという。
 関係者によると、手術を受けたのは当時70代だった女性。同病院で92年6月、心臓の冠動脈バイパス手術を受けた。その後も入退院を繰り返した女性は、99年に症状が悪化。検査の結果、心臓裏にある腫瘤(しゅりゅう)が心臓を圧迫し、増大傾向にあったため01年2月、再手術した。この時取り出した腫瘤の中から29センチ四方のガーゼ1枚が見つかったという。その後、心機能が低下した女性は04年1月に急性心肺停止で亡くなった。
 こうした経緯について病院側は「患者様に長期間にわたり結果的に精神的、肉体的苦痛を与えたことに心からおわび申し上げる」と話した。再発防止策として、病院は手術室内でガーゼの枚数を2人で確認するようにし、X線撮影に写るガーゼを導入したという。
 また、事故を公表していない理由を病院側は「ご家族からの求めがなく、示談も成立したから」としているが、遺族は「示談交渉では再発防止などのため、病院側に記者会見での公表をお願いしていた。ガーゼによる生前の後遺症も明確に認められず、納得がいかない」と言っている。

東京女子医大、心臓移植を6年ぶり再開 女児死亡で自粛 indexへ

 東京女子医大病院(東京都新宿区)は7日、緊急時を除いて02年3月から自粛してきた心臓移植手術を再開すると発表した。同病院は、心臓手術での事故などを理由に「特定機能病院」の承認を取り消され、心臓移植も自粛していた。同手術を実施できる施設は同病院を含め国内に6カ所で、関東では東京大病院1施設の状態が続いていた。
 移植手術の水準を審査、認定する「心臓移植関連学会協議会」が7日、再開を了承した。
 東京女子医大病院では01年に手術で女児が死亡後、カルテ改ざんも発覚。厚労省は02年、診療報酬上の優遇措置がある特定機能病院の承認を取り消したが、安全管理体制が強化されたとして昨年9月に再承認している。

大阪府の救急6病院が撤退 受け入れ不能問題が影響か indexへ

 救急患者が複数の病院に受け入れを断られた末に死亡するケースが相次いだ大阪府内で、府が指定する「救急告示病院」270施設のうち6カ所が、今年に入って救急部門から撤退していたことがわかった。医師不足から夜間・休日の救急態勢を維持できなくなったのが主な理由。特に府南部で救急病院の減少が目立っており、患者の収容先探しが一層、困難になる恐れもある。
 大阪府によると、救急告示病院は府に申請し、府救急医療対策審議会の審査を経て、認定を受ける。高次医療を担う救命救急センターを含む270カ所が昨年まで府内で救急の看板を掲げており、170カ所が1月25日付で3年ごとの更新期限を迎えたが、6病院が更新しなかった。一方で、4病院が新たに告示病院に認定され、減少数は2となった。
 救急対応をやめる診療科は、内科が5カ所、小児科が1カ所。このうち3病院は昨年、府に救急の継続を申し出ていたが、急患の受け入れ不能問題が表面化した年末以降、相次いで取り下げたという。
 1日に100人を超す患者を受け入れる地域の小児救急の中核的存在だった松原市立松原病院では昨秋以降、小児科医7人中2人が退職。さらに、男性医師が過労で倒れ、3月には研修医1人も辞めるため、態勢を維持できなくなった。病院幹部は「日中の診察は継続する。現状を改善したいが、医師の補充が難しい」。
 救急からの撤退が相次ぐ府は、救急告示病院の認定基準緩和に向けた検討を始めている。府医療対策課の担当者は「背景にある医師不足を早期に解消するのは困難。急患を確実に受け入れられる病院を増やす方策を考えたい」と話す。

新型インフル発生時、建物封鎖可能に 感染症法改正へ indexへ

 新型インフルエンザの発生に備え、政府は、感染症法などを改正し、危険度の高いエボラ出血熱やペストなどと同じく「1類感染症」に相当する感染症と位置づけることを決めた。感染者が出た場合、危険区域・建物の封鎖や立ち入り制限、交通規制が可能になる。改正法案が今国会に提出され、成立する見込みだ。
 万一の事態に国などが、感染拡大を防ぐための強制措置がとれるようにする目的。改正されれば、国などが必要と判断した時に、立ち入り制限などが行える。強制入院や就業制限の措置も可能になる。また感染者は、空港などの検疫所で隔離されたり、留め置きされたりする対象となる。

老人保健施設で51人感染性胃腸炎に 85歳男性死亡 indexへ

 北九州市は6日、同市小倉南区の介護老人保健施設で、入所者と職員の計51人がノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎を発症し、うち入所者の男性(85)が死亡したと発表した。1人が入院中だが、他の人たちは快方に向かっているという。
 市保健衛生課によると、1月25日から今月6日にかけて、入所者91人のうち57〜100歳の41人と、職員39人のうち10人が下痢や嘔吐(おうと)の症状を訴えた。発症者のうち1人からノロウイルスが検出されたという。亡くなった男性は2日午後0時半ごろに嘔吐し、同日午後5時半ごろ死亡した。死因は心不全だった。

救命センター14%窮地、医師が不足 本社全国調査 indexへ

 重篤な救急患者を受け入れる全国205カ所の救命救急センターのうち、少なくとも全体の14%にあたる28施設で、一部診療科の患者を受け入れられなくなったり、中核を担う救急科の専門医が不在になったりしていることが、朝日新聞の調査でわかった。深刻な医師不足を背景に、退職後の補充ができない例が目立つ。地域医療の中心となっている「2次救急病院」の減少傾向が加速する中、「最後の砦(とりで)」とされる救命センターさえも機能不全に陥りつつある現状が浮かび上がった。
 「3次救急病院」に位置づけられている救命救急センターは、大半が大規模な総合病院や大学病院に併設されている。厚生労働省が定める運営方針では、原則として重症者や複数の診療科にまたがる患者をすべて受け入れ、必要に応じて専門医が確保できる態勢が求められている。調査は、全センターを対象に医療態勢の実情を尋ね、187施設(91%)から回答を得た。
 北海道室蘭市の日鋼記念病院が医師の相次ぐ退職でセンター休止に追い込まれているほか、16施設で一部の診療科や疾患について受け入れ不能となっていた。慢性的な医師不足の産婦人科が6カ所と最も多く、小児科と心臓血管外科、泌尿器科も2カ所ずつあった。
 中には、「麻酔科医が辞め、一般内科・外科の受け入れが不可」(兵庫県立姫路循環器病センター)、「常勤医が退職した整形外科が休診中で、交通事故の負傷者が受け入れられない」(愛媛県立新居浜病院)など、深刻なケースもある。関西医科大付属滝井病院(大阪府守口市)では、心臓血管外科医3人がすべて他施設に移り、大動脈瘤(りゅう)破裂の処置が困難になっている。
 一方で、緊急事態に対処し、危機的な症状を食い止める救急科専門医がゼロになったセンターも13カ所あった。多くが配置を望んでいるが、絶対数の不足から早期の確保が困難となっている。
 都道府県別でみると、一部患者の受け入れができなかったり、救急科専門医が不在になったりしているセンターは、北海道で3施設、茨城、新潟、愛知、広島で2施設。滋賀、大阪、兵庫、奈良、和歌山、島根、愛媛などが1施設だった。

開業医再診料、引き下げ断念 医師会の反発受け 厚労省 indexへ

 厚生労働省は29日、医療機関などに支払う診療報酬の08年度改定で、焦点となっていた開業医の再診料引き下げを断念する方針を固めた。この引き下げによって勤務医不足対策の財源の一部を捻出(ねんしゅつ)する計画だったが、開業医を中心とする日本医師会が強く反発。厚労省が最終的に押し切られた。勤務医不足対策には1500億円を盛り込むものの、開業医の既得権益への切り込み不足は否めず、「勤務医との格差是正が不十分」との批判が高まるのは必至だ。
 30日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で、中立的な立場の公益委員が引き下げ見送りを提案、了承される見通しだ。
 外来の初診料は、前回06年度改定で開業医、勤務医とも2700円に統一された。だが、同じ病気での2回目以降の診察にかかる再診料は、勤務医570円(ベッド数200床未満)に対し、開業医は710円。患者は自己負担が少なくて済む病院を選ぶ傾向が強まり、勤務医の過重労働につながっているとの批判がある。
 厚労省は今回、病院の勤務医に比べ少ない労働時間で高い収入を得ているとの指摘もある開業医の再診料を引き下げ、その財源を勤務医不足が著しい産科・小児科などに重点配分する方針を打ち出していた。
 だが、医師会は「再診料は、地域医療を支える開業医の無形の技術を評価する重要な項目」として引き下げ案を拒否。次期総選挙を意識し、医師会の支持を取りつけたい与党も歩調を合わせた。
 厚労省は勤務医不足対策の必要財源を1500億円と試算。具体策として、リスクの高い出産、重症の子どもの治療への報酬引き上げや、勤務医の仕事を補助する事務職員の配置などを挙げている。
 財源については、「医師会と決裂するよりも、別の方策を検討した方が財源を確保しやすい」と、中医協の委員を説得。開業医の再診料下げを断念する代わりに(1)軽いやけどなど簡単な治療の診療報酬を廃止(2)再診時に検査などを行わなかった場合に再診料に上乗せ請求できる「外来管理加算」の見直しで400億円を調達。昨年末の改定率交渉で決まった医師の技術料など診療報酬の本体部分の引き上げ幅(医科で0.42%)1100億円と合わせ、1500億円を確保する方針だ。
 厚労省は、軽いやけどの治療など、再診料以外の部分で開業医向けの診療報酬を削って財源を確保した。だが、1500億円で勤務医不足を十分に緩和できるかどうかは未知数だ。効果が上がらなければ、再診料引き下げ見送りへの批判が改めて高まりそうだ。

タミフル以外も警告文 厚労省、2治療薬に indexへ

 インフルエンザ治療薬のリレンザ、シンメトレルを未成年者が服用すると異常行動を起こす恐れがあるとして、厚生労働省は29日、薬の添付文書を改訂して医師らに注意を呼びかけたと発表した。タミフル以外の薬でも服用後の異常行動が報告されたことを受け、同省が製薬会社に改訂を指示していた。
 添付文書では「因果関係は不明だが、服用後の異常行動例が報告されている」と警告。未成年の子らがインフルエンザ薬を処方されて服用した場合、少なくとも2日間は保護者が見守るよう呼びかけている。
 厚労省によると、インフルエンザ薬の服用後の異常行動として医療機関から報告された件数(昨年9月までの累計)は、タミフルが282件と突出して多いが、リレンザで「部屋をぐるぐる回る」などの報告が10件、シンメトレルでも「ベランダから飛び降りようとした」などの報告が8件あった。

点滴に殺虫剤成分 何者かが混入か 岩手の診療所 indexへ

 岩手県警捜査1課と北上署は、同県北上市の診療所で26日、入院中の90歳代の男性患者の点滴に何者かが異物を混入したとみられる事件があったと29日、発表した。点滴からは殺虫剤の成分が検出されたが、男性の容体は今のところ安定しているという。県警は殺人未遂や威力業務妨害などの容疑を視野に捜査を始めた。
 県警の調べや関係者の話では、事件があったのは北上市北鬼柳の「日高見中央クリニック」。26日午後0時40分ごろ、男性入院患者の病室で、看護師の措置により、栄養と水分を補給するための点滴を始めた。
 午後3時10分ごろ、見回りに来た看護師が、本来は透明な点滴液が白濁しているのに気づき、点滴を中止した。点滴液を入れる袋に、直径1ミリほどの小さな穴が開くなど不審な点があったことから北上署に通報。県警が点滴液を調べたところ、害虫駆除剤や防虫剤などに使われる成分が検出された。
 同クリニックは19床。1階に外来受付や診察室などがあり、2階が病室となっている。県警によると、混入のあった男性の病室は4人部屋で、患者はいずれも寝たきり状態だった。建物の構造上、職員用の階段を使えば、ナースステーション前を通らずに2階に出入りできるという。
 クリニックを経営する医療法人の長谷川正志管理本部長は「非常に残念で驚いている。再発防止策を早急に検討したい」と話している。

阪南市立病院、4月から入院全面休止 医師大半引き揚げ indexへ

 大阪府阪南市は28日、市立病院(185床)の入院受け入れを4月から全面休止する方針を市議会特別委員会で明らかにした。11人いる常勤医師のうち少なくとも7人が3月末で退職する見通しとなり、後任の確保も難しいため。医師不足は全国的に深刻化しているが、大都市近郊の公立病院が入院を全面休止するのは異例だ。岩室敏和市長は「存続を含め、病院の今後について2月中旬に結論を出したい」としている。
 阪南市立病院は1953年開設。近隣の泉南市と岬町を含む約15万人医療圏の中核病院と位置づけられている。
 市によると、退職する見通しなのは整形外科、胃腸科・外科、小児科、麻酔科の医師。いずれも和歌山県立医科大(和歌山市)出身で、大学による「引き揚げ」とみられる。院長と小児科医の2人が4月以降も外来のみ診療を続ける意思を表明し、歯科口腔外科の2人は未定という。
 同市立病院では昨年6月末、過重勤務の懸念を理由に9人いた内科医が一斉退職し、内科診療を全面休止した。ほかの科の診療は続けてきたが、入院患者数が前年の約3割にまで激減。市幹部によると、和歌山県立医大の医局から「手術の機会が少なくなっている病院に医師を派遣し続けることは難しい」との意向が伝えられたという。
 阪南市は昨年夏以降、外部に経営を委ねる「公設民営化」や民間移譲も検討し、民間医療団体などと交渉してきたが、今もめどは立っていない。
 病院は昨年12月末時点で約9億8000万円の累積経常赤字を計上。市が一般会計から穴埋めするしかないが、ほかの特別会計も合わせると、市の赤字総額が財政再建団体への転落ライン(約20億円)を超える恐れも出ている。
 岩室市長は朝日新聞の取材に、「市民の命を守る病院であり、最後まで存続の可能性を探る」と強調しつつ、08年度予算案を固める2月中旬をめどに「今後の方針について結論を市議会に示したい」と答えた。

「血腫見落とし」、過失は認めず 墨東病院、帰宅後死亡 indexへ

 頭をけられた男性が東京都墨田区の都立墨東病院で診察を受けて帰宅した後、容体が急変し死亡した事件で、警視庁は28日、診察したいずれも31歳の男性研修医2人について「脳の血腫の見落としはあったが、たとえ入院させていても救命は非常に難しく、医療行為上の過失は認められない」と判断したと発表。書類を東京地検に送った。
 死亡したのは江東区大島8丁目、作業員佐藤実さん(59)。捜査1課などの調べでは、医師2人は昨年10月22日夜、佐藤さんの頭部のエックス線検査で急性硬膜下血腫の所見を見落とし、帰宅させた。1週間後に再出血し同病院に入院したが、同月31日死亡した。

急患たらい回し、公明が防止法案 空きベッド情報提供 indexへ

 公明党は、急患を受け入れられる病院の空きベッド情報を消防署のシステムに提供することを促進する「救急情報システム整備法案」を、今国会に提出する方針を固めた。昨年夏、奈良県の妊婦が病院に受け入れを拒まれた末に死産したのをはじめ、同様のケースが全国で相次いでいることを受けた対策。システムを構築する病院に対し、国が財政支援をする内容で、今春をめどに法案をまとめ、自民党や野党に賛同を呼びかける。
 奈良県の事件では、119番通報を受けた救急隊が患者の受け入れが可能な救急病院を検索できる消防の「救急医療情報システム」を使った。しかし、近隣の病院の多くに空きベッド情報を提供するシステムがないこともたらい回しの一因となった。整備法案では、国が財政的に支援してシステムの導入や情報を入力する事務職員の配置を促すことによって、たらい回しの再発防止を図る。
 事件を受け、公明党は全国の救急医療情報システムの運用状況を調査。全国の2次救急病院(1140機関)の約4割で空きベッド情報を提供するシステムがない実態がわかった。

11病院が搬送断る 胸の痛み訴え95歳女性死亡 東京 indexへ

 東京都清瀬市で今月8日夜、自宅で体調不良を訴えた無職女性(95)を清瀬消防署が救急搬送する際、近隣の11の病院に受け入れを断られていたことが分かった。女性は12番目の病院で応急処置を受けたが、まもなく死亡した。通報から病院到着まで52分かかっていた。
 東京消防庁などによると、女性は胸の痛みを訴え、8日午後9時34分に通報があった。救急車が通報の3分後に女性宅に到着し、病院の選定を始めたが、清瀬市や小平市などの病院から「満床で対応できない」などと断られ続け、選定開始から38分後に12番目の病院に決定。病院に到着したのは午後10時26分だった。女性には心疾患の既往症があったという。
 受け入れを断った病院の一つの公立昭和病院(小平市)は、生命の危険のある患者を処置する3次救急医療施設だが、「要請があった時は担当の医師が別の患者の処置中で、待たせては命にかかわると判断し、他の病院への搬送を求めた」と説明している。

2673人分の患者情報入ったPC盗難 三重大付属病院 indexへ

 三重大付属病院(津市)で今月10日深夜から11日未明にかけて、患者の氏名など2673人分の個人情報が入ったパソコンが1台盗まれていたことがわかった。同病院から被害届を受けた津署が窃盗容疑で捜査している。
 同病院によると、盗まれたのは、病院1階の厨房(ちゅうぼう)厚生棟事務室にあるパソコンで、病院が委託している民間の給食業者が06年4月ごろから使用していた。机にワイヤで固定するなどの盗難防止措置は取っていなかったという。
 パソコンの中には、06年4月〜07年12月までに入院した患者2673人分の、カナの氏名、病棟名、食事の種類などの情報が保存されていた。このうち、現在も入院中の患者は24人おり、病院側は患者に経緯を説明し、謝罪したという。

酸素吸入中、喫煙で火災 10年で患者9人死亡 indexへ

 肺が悪いため自宅で酸素吸入をしている患者が、火事で亡くなる事例が各地で相次いでいる。多くはたばこが火元で、昨年は長野市と福島県郡山市で死者が出た。重傷者を出した火災も起きているが、国や業界は、限られた事例しか把握していない。全国13万人の在宅酸素療法の利用者の中には、認知症などで危険への認識の薄い高齢者もおり、業界団体はようやく対策の強化に乗り出す。
 酸素は可燃ガスではないが、物を燃えやすくする性質があり、ときに爆発的な燃焼を起こす。酸素吸入器の周囲2メートルは火気厳禁とされる。
 たばこが原因とみられる火災による在宅酸素療法の利用患者の死亡は、朝日新聞のまとめで過去10年で少なくとも9人にのぼる。郡山市の火災は昨年11月17日に発生。民家の一部が焼け、やけどを負った男性(当時81)が12月9日に死亡した。焼け跡にたばことライターが残っており、たばこの火が酸素吸入用の樹脂製チューブに引火したらしい。
 3月9日にあった長野市の火災は、3階建てアパート1階から出火し、一人暮らしの男性(同54)が死亡した。現場で吸い殻が見つかり、消防は、たばこの火で吸入用チューブに穴が開き、燃え広がったとみている。
 在宅医療用の酸素吸入器は、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患や肺結核後遺症などで息の苦しい患者に医師が処方し、専門業者が設置する。患者は高濃度の酸素を鼻からチューブで吸入する。85年に健康保険の対象となり、利用患者は13万人を超えるという。
 日本呼吸器学会の04〜05年の調査では、利用患者のうちなお喫煙していた人は4%。約5000人が、酸素ガスの近くで火を手にしている恐れがある。家族が喫煙する人も23%いた。日本産業・医療ガス協会が毎年、機器レンタル業者の従業員向け講習会の際にしている危険事例アンケートでは、「酸素吸入中の患者が喫煙」の回答が常に数十件寄せられる。
 事故が起これば、薬事法に基づいて国へ報告しなければならないが、吸入中の喫煙など不適正使用による事故は報告義務の対象外。これまで同協会は、報道を通じて把握するだけだった。
 火災が後を絶たない背景には、事故情報の分析不足と患者への禁煙指導の不徹底があるとみられる。長野の火災を受け、同協会は事故情報の収集基準を定めたが、患者の啓発については、一人暮らしの高齢者も多く、限界があるという。同協会は「喫煙患者には業者が設置を断れるような制度が必要」としている。

医学部教授、9割が企業から寄付金 厚労省調査 indexへ

 インフルエンザ治療薬タミフルの副作用を国の補助金で研究していた大学教授が、輸入販売元の製薬会社から多額の寄付金を受けていた問題を受け、厚生労働省が調査を行ったところ、医学部教授の9割が製薬会社から寄付金を受けている実態が明らかになった。厚労省は22日、公的研究の中立性を確保するため、監視する委員会を各大学に設置するよう求める指針を決めた。
 調査は昨年8月、無作為抽出した43の大学医学部・薬学部の教授215人を対象に行い、91人が回答。医学部教授の91%、薬学部教授の44%が06年度に製薬会社から「奨学寄付金」を受け、寄付1回あたりの平均額は約60万円だった。医学部教授の3割余は年間の寄付金総額が1000万円以上で、3000万円以上の教授も1人いた。
 指針では、特定企業に便宜を図るなどの不適切な研究を監視する委員会を各大学に設置し、国の補助金を受ける教授らは企業からの寄付などを委員会に報告しなければならない。報告基準は各大学で定めるが、指針では「同一企業・団体からの収入が年間100万円を超える場合」などの目安を示した。
 不適切事例があれば、大学が厚労省に報告、厚労省が調査や指導を行う。改善しなければ補助打ち切りや研究費の返還請求などの制裁措置をとるという。

ピル、無診察でネット販売 医師法違反も 愛知の医師 indexへ

 現役の医師であるクリニックの院長が、低用量ピル(経口避妊薬)をインターネットで全国に販売していることがわかった。ピルは処方箋(せん)医薬品で、医師の診断と処方箋が必要だが、院長は簡単な電子メールのやりとりだけで販売していた。医薬品販売業の許可も得ておらず、厚生労働省は医師法や薬事法に違反する疑いがあるとして調査する方針だ。
 ネットでピルを販売しているのは愛知県丹羽郡にある婦人科や泌尿器科を掲げるクリニックの男性院長(49)。院長は「オンライン処方」と題したホームページ(HP)を開いている。
 HPでは、通常3150円の低用量ピル1周期(シート)分を2500円とし、「2000円に値下げ」との記載もある。「どの低用量ピルが適しているか、院長が無料・ボランティアで相談する」と書かれ、購入希望者には、メールで(1)年齢、身長、体重(2)健康状態や服用中の薬の有無(3)ピルの使用経験――について返信を求めている。
 取材に応じた院長によると、HPへのアクセスは1日約6万件で、処方依頼や服用の問い合わせなどのメールが1日60〜100件あるという。
 昨秋、このHPを通じてピルを購入した東京都内の女性によると、ピルの使用経験はなかったが、「ピルを使用したことがある」とメールで送ると、「経験者で、すでに近くの産婦人科で検査も終わっているようですから、低用量ピルの使用はOKと判断しました♪」と返信があった。
 料金は2シート分で5000円(内税)。指定の銀行口座に入金すると、その日のうちに入金確認のメールがあり、翌日にはピルが届いた。
 厚労省によると、医師法は、医師が診察せずに診断書もしくは処方箋を交付してはならないと規定している。また、医師が診察後に処方する場合を除き、医師の処方箋があっても処方箋医薬品の販売には医薬品販売業の許可や薬局開設許可が必要だが、同県江南保健所によるとクリニックはいずれも無許可だった。
 専門家らは、ピルを医師の経過観察なしに自己判断で長期間服用すると、乳がんや肝機能障害といった健康被害を引き起こす恐れもあると指摘している。
 院長は「メールで患者の健康状態は十分に把握できる。無診断処方を禁じた医師法の規定は実態にそぐわない。処方はあくまで医療行為であり、薬事法に基づく無許可販売との指摘は受け入れられない」と話している。

「おたふくかぜ」と「水ぼうそう」 検査結果間違える indexへ

 富山県の外郭団体である同県健康増進センターが、富山大学の依頼で抗体検査をした学生2163人に対し、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)と水痘(水ぼうそう)の二つの結果を入れ違えて通知し、433人に必要のないワクチン接種を勧めていたことが20日、わかった。うち少なくとも16人が、不要なワクチンを接種していた。
 センターなどによると昨年11月下旬〜今年1月上旬、同大の学生7527人を対象に、はしか、風疹、流行性耳下腺炎、水痘・帯状ヘルペスの計4種類の抗体検査を実施。4763人が受診した。今月18日に検査結果を受け取った学生の母親から「過去に水ぼうそうにかかったのに陰性なのはおかしい」といった問い合わせがセンターにあり、ミスが発覚。これまで誤った結果を受け取った2163人のうち433人が、どちらかの病気がワクチン接種の必要な「陰性」か「弱陽性」とされ、うち少なくとも16人は誤ったワクチンを接種した。センターによると健康被害の恐れは少ないといい、16人にワクチン代を弁償し、全学生に正しい検査結果を再通知する。
 原因は職員が作ったデータ管理のプログラムのミスだった。確認作業も怠った。センターの前田昭治所長は「検査機関に、あってはならないミス。チェック体制を強化したい」と謝罪した。

民間資本活用「PFI方式」の病院が経営難 滋賀 indexへ

 自治体の財政負担を軽減する目的で、公共施設の建設や運営に民間資本を活用するPFI方式を取り、06年10月に開院した滋賀県近江八幡市立総合医療センターが経営難に陥ったことがわかった。改善策を検討する市長諮問機関が、市財政の破綻(はたん)の恐れが出てきたとして、民間とのPFI契約の解除を視野に入れた抜本的見直しを21日、答申する。内閣府によると、PFI事業は昨年10月現在で全国に290件あるが、解除されれば全国初。
 センターは旧市民病院の老朽化に伴い、前市長時代の01年、PFIによる移転、新築を決定。設計から民間が関与し、建設・運営まで携わる全国初のPFI病院として、04年10月に着工された。
 契約では、大手ゼネコン大林組が出資した民間会社(特別目的会社、SPC)が病院を建設し、所有する。開院から30年間、給食や滅菌など医療行為以外の業務を担った後、建物は市に無償譲渡。SPCとの契約総額は682億5000万円で、市は、市による建設、運営より56億円減らせると試算した。
 しかし、開院から1年半となる今年度末、24億円の赤字が見込まれ、8億円の一時借入金が必要とされるなど資金繰りが悪化。市は昨年12月、冨士谷英正市長の諮問機関「総合医療センターあり方検討委員会」を設けた。
 市長に答申される提言では、このまま放置すれば、13年度末には債務が約70億円まで膨らむと試算し、市が地方自治体財政健全化法上の財政再生団体(旧財政再建団体)に転落する恐れがある、としている。
 経営危機の原因については、市側が毎年度の収支計画を十分に検証せず、採算ラインを度外視した豪華な病院をつくったため、と指摘。赤字でも、銀行などからの一時借り入れで対応できるという安易な認識で建設を進めたと推測される、と市を批判している。SPCと交渉して毎年4億円以上の支出削減が不可能な場合は、契約解除も視野に検討すべきだとした。

重い病名で医療費請求 川鉄千葉病院、県が返還指導 indexへ

 JFE健康保険組合川鉄千葉病院(千葉市中央区、山本義一院長)が、実際の診断名よりも重い病名で医療費を請求していたことが19日、分かった。入院治療費を病気の種類ごとに定額払いにする「診断群分類別包括評価」(DPC)で過大請求があったといい、千葉社会保険事務局は、自主調査のうえ返還するよう指導している。
 DPCは03年度に導入され、病気の分類ごとに1日あたりの医療費が決まっている。従来の注射や投薬など診療行為ごとの料金を合計して費用を出す「出来高払い方式」では、過剰診療を招きやすいという指摘があり、医療費抑制などが期待されている。川鉄千葉病院は06年6月に採用した。
 千葉社会保険事務局と千葉県が07年8月、同病院に立ち入り調査し、80人の入院患者の診療報酬明細書(レセプト)を調べたところ、不適正な請求が見つかった。「めまい」を「脳梗塞(こうそく)」、「肺炎」を「肺がん」とするなど、実際の診断よりも重い病名に分類して請求していたという。
 このため、千葉社会保険事務局は、過去1年間にさかのぼって自主調査をして過払い分を返還するよう指導した。同病院が、内部調査を行い不適正な請求分を試算したところ、80人のうち23人分で約274万円になったという。
 同病院の尾上慎一事務部長は「指導を受けたのは事実だが、意図的に行ったつもりはない。医師や事務の知識が不十分だった」としている。今後、さらに入院患者のレセプトとカルテを照合し、過大請求があれば返還するという。
 川鉄千葉病院は360床で、1日あたりの患者数は入院が約300人、外来は約1000人。

救急搬送の16歳少女が死亡 大阪で06年 7病院拒否 indexへ

 医師不足などで救急患者の搬送遅れが各地で相次いでいる問題で、救急搬送された大阪市都島区の16歳の少女が06年11月、近隣の7病院に受け入れを断られるなどした末、ショック状態に陥り、翌朝に死亡していたことがわかった。搬送遅れとの因果関係は不明という。他市に比べて救急医療態勢が整っているとされる大阪市内で、搬送先探しが難航した結果、患者が死亡したのが表面化したのは初めて。
 同市消防局などによると、少女は拒食症で、市内の複数の病院で入退院を繰り返していた。11月30日午後10時20分ごろ、自宅で意識がもうろうとしているのを母親が気づき、119番通報した。
 間もなく現場に到着した救急隊は、浅い呼吸と脈があったため、重症ではない「中等症」と判断。近隣の救急病院に電話をかけたが、7病院が受け入れに応じず、8番目に要請した関西医科大付属滝井病院(大阪府守口市)への搬送が決まった。現場を出発したのは47分後で、同病院には10分後に到着したという。
 病院側によると、到着時はすでに血圧が低下したショック状態で、約1時間後に心停止状態となり、翌日午前9時前、心不全で死亡した。同病院救命救急センターの担当医は「着いた時は危険な状態だった。因果関係は不明だが、搬送先を探す間に容体が悪化した可能性はある」と話す。
 市消防局によると、当日に搬送要請した病院名や断られた理由は記録されておらず、不明という。担当者は「意識も脈もあり、生命の危険はないと判断した。搬送に時間がかかったのは事実」と説明している。

再診料引き下げを再提案 診療報酬改定で厚労省 indexへ

 厚生労働省は16日、08年度の診療報酬改定について、開業医の再診料引き下げなどを盛り込んだ骨子案を中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。開業医の報酬を引き下げることで、勤務医を中心とした医師不足対策の財源を捻出(ねんしゅつ)するのが狙いだ。だが、開業医の影響が強い日本医師会は再診料引き下げに強く反発しており、調整の難航は必至だ。
 外来の初診料は、開業医も勤務医も2700円で同額だが、2回目以降の診療にかかる再診料は開業医710円に対し、勤務医は570円(ベッド数200未満の病院)で、開業医が優遇されている。厚労省は昨年11月の中医協で、開業医の再診料引き下げを提案したが、医師会の反発でいったん撤回していた。
 昨年末、薬価を除く診療報酬の「本体部分」の0.38%引き上げが決まったことを受け、この日、再診料の引き下げを再提案した。だが、医師会出身の委員が「引き下げは開業医の経営を悪化させる」と強く反発し、結論を持ち越した。2月半ばまでに最終決定する。
 骨子案では、医師不足対策として、勤務医の中でもとくに深刻な産科や小児科、症状が重い急性期医療を担う病院への報酬の引き上げなどを盛り込んだ。また、開業医の時間外の報酬を引き上げて夜間診療を促し、勤務医の救急医療の負担を軽減する。
 このほか、高齢者が長期入院する療養病床については、前回の06年度改定で大幅に引き下げた入院基本料を再度引き下げることが示された。厚労省は現在36万床ある療養病床を20万床程度まで削減する方針で、報酬の引き下げにより療養病床の介護保険施設への転換を促すのが狙いだ。

中核救急病院、2年で174カ所減 搬送遅れの要因に indexへ

 地域の救急患者を受け入れる中核的存在の「2次救急病院」が、この2年間で174カ所減ったことが、朝日新聞の全国調査でわかった。深刻化する医師不足や経営難が影を落とした結果、減少傾向が加速しており、新たに救急を掲げる病院がある一方、救急の看板を下ろしたのは、2年間で全体の5.6%にあたる235カ所に上る。急患の収容先選びが困難になり、搬送遅れが続発するなど市民生活への打撃は大きい。国の医療費抑制政策が救急医療の根幹を揺るがしている実態が、色濃く浮かんだ。
 日本の救急医療機関は、開業医らが軽症患者を診る「1次(初期)救急」▽入院や手術の必要な患者を治療する「2次救急」▽救命救急センターなど重篤患者に対応する「3次救急」に分かれ、中でも、多くの市にある公立・民間の2次救急病院が地域医療の中心的担い手となっている。調査は、救急医療計画を策定する各都道府県を対象に、05年10月〜07年10月の増減状況を尋ねた。
 全国の2次救急病院は05年10月時点で4170カ所あったが、2年後には3996カ所となり、174の純減。救急対応をやめた235カ所に加え、21カ所が3次救急に移行するなどした一方、新たに82カ所が2次救急病院になった。04年以前のデータがある自治体の多くで、05〜07年の年間減少数がそれ以前を上回り、減少率が高まっている。
 2次救急病院の減少数トップは福岡県の26カ所。県東部の京築地区で市町村の補助金が打ち切られた結果、当番制で急患を受け入れる「輪番制度」がなくなり、10病院が一気に救急から外れたのが響いた。東京都の15カ所、大阪府の14カ所がこれに続き、診療報酬の改定に伴う収入減などで、診療体制を縮小する病院が都心部で増えている実情を裏づけている。当直の確保で人件費がかさむ救急が不採算部門になっている例も多く、東京では、5病院が破産や廃院に追い込まれていた。
 地域別では、四国の落ち込みが著しく、全体の11%にあたる22カ所の減。北陸・甲信越でも8%(22カ所)減少し、激務などから救急勤務医の退職が相次ぐ地方病院の苦悩が際立っている。
 こうした状況を背景に、各地で救急患者の搬送先探しが難しくなっており、兵庫県姫路市では昨年12月、吐血して搬送された男性が17病院に受け入れを拒まれた後に死亡。大阪府富田林市でも下痢や嘔吐(おうと)で搬送された女性が30病院に断られた翌日に亡くなった。福島市では同11月、交通事故に遭った女性が4病院に計8回搬送を拒否された後、死亡している。
 このほか、2次救急に指定されている診療所も同時期に57カ所減り、404カ所になった。2年間で12%が消えたことになる。
 調査と並行して、救急対応をやめた235病院のうち、自治体が公表しなかった病院などを除く227病院に撤退の理由(複数回答可)を聞き、204病院から回答を得た。
 最多は「医師や看護師の不足」で66病院。次いで「診療所への変更」(40病院)が多く、「療養型病院などへの転換」も28病院あった。「地域の輪番制度がなくなった」が24病院、「倒産・廃院」は20病院だった。
 スタッフ不足を挙げた病院は地方に顕著で、「大学の医局による医師引き揚げで常勤医が10人以上減った」「医師が半減し、当直態勢が取れなくなった」などと事情を説明。「看護師が給与の高い都市部へ流れ、夜間の救急体制が築けない」との声も多かった。
 都市部では、人手不足を訴える病院が多い一方で、「救急での収益が期待できない」「病院の収支が厳しい中で続けるメリットがない」など、経営上の理由も目立った。中には「当直医の専門外の患者が来る救急は、訴訟リスクが高い」と回答した病院もあった。

勤務医中心の医師会設立へ 過重労働などで問題提起 indexへ

 病院の勤務医を中心にした医師会「全国医師連盟」(仮称)が、今年夏までに誕生する。13日、東京都内で開かれた総決起集会で設立を決めた。全国的な医師不足と勤務医の過重労働が社会問題になる中、開業医が中心の日本医師会とは異なる立場から問題提起していく考えだ。
 総決起集会には医師約110人が参加した。参加を表明しているのは全国各地の約420人。勤務医や研究医が約8割を占め、平均年齢は43歳。医療現場で労働基準法が守られるよう、連盟を母体に個人で加入できる労働組合をつくる。国民への医療情報の発信、医療紛争の解決に向けた取り組みなども検討していく。

心肺停止の77歳、13病院拒否し死亡 大阪・富田林 indexへ

 大阪府富田林市で昨年末、救急患者が複数の病院から受け入れを拒否されて死亡した問題をめぐり、昨年3月にも心肺停止に陥った同市内の女性(77)が13病院に受け入れを断られ、約1時間後に死亡していたことがわかった。最も迅速な搬送が求められる心肺停止の患者でさえ、病院が受け入れに難色を示す状況が明らかになり、専門家は「救急医療は深刻な事態に追い込まれている」と指摘している。
 関係者によると、昨年3月14日午後9時50分ごろ、市内で入浴中の女性が心肺停止になったとして、同市消防本部の救急隊が急行。蘇生処置をしながら13病院に受け入れを要請したが断られ、近畿大付属病院(同府大阪狭山市)の救命救急センターに搬送した。同10時半に到着し、蘇生を試みたが、同11時に死亡が確認された。同センターの担当者は「搬送遅れが死亡につながったかどうかは不明」としている。
 心肺停止になると、1分ごとに蘇生率が7〜10%低下するとされる。同消防本部は病院選定の時間を短縮するため、119番通報などで患者が心肺停止とわかると、出動と同時に救急車と通信指令室の両方から搬送先を探す工夫をしているが、心肺停止の患者の受け入れ要請が10病院以上にのぼったケースが昨年だけでも複数あったという。
 杉本侃・大阪大名誉教授(救急医学)は「救急病院は患者の増加で余裕がなく、救命措置などにかかりきりになる心肺停止患者を敬遠する傾向があるのではないか。スタッフと予算を大幅に拡充しない限り、状況は改善しない」と話す。

大阪・河南町でも21病院搬送拒否、男性が死亡 昨年 indexへ

 大阪府河南町で昨年3月、府外在住の男性(70)が21病院に受け入れを断られ、搬送中に心肺停止となって17日後に死亡していたことが同町消防本部の調査でわかった。町に隣接する同府富田林市では昨年末に同市の女性(89)が30病院に受け入れを拒否された末、翌日死亡している。
 同消防本部などによると、昨年3月11日午後10時ごろ、町内の親族宅を訪れていた男性が「呼吸が苦しい」と訴え、親族が119番通報。近隣や大阪市の21病院に受け入れを要請したが断られた。約1時間後の同11時10分ごろに救急車内で心肺停止となり、1度断った近畿大付属病院(同府大阪狭山市)の救命救急センターが応じた。受け入れ直後に心拍が戻り心筋梗塞(こうそく)の治療を受けたが、17日後の同28日に死亡した。搬送の遅れと死亡との因果関係は不明という。

薬害肝炎救済法が成立 症状に応じた一律救済が実現 indexへ

 薬害C型肝炎の被害者救済のための特別措置法が11日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。議員立法によって薬害被害者を救済するのは初めて。特定の血液製剤投与で感染した被害者に症状に応じ、1人4000万〜1200万円の給付金が支払われる。法成立を受け、政府と原告は15日に和解に向けた「基本合意書」を締結、福田首相と原告が面会する予定。提訴から5年に及んだ薬害C型肝炎訴訟はまもなく全面解決を迎える。
 特措法は前文で「政府は、甚大な被害が生じ、被害の拡大を防止し得なかった責任を認め、心からおわびすべきである」と、国の責任と謝罪を明記。「人道的観点から、投与の時期を問わず一律に救済しなければならない」とした。
 救済対象は、フィブリノゲンと第9因子製剤でC型肝炎に感染した患者。「救済基金」を管理運営する独立行政法人・医薬品医療機器総合機構に給付を請求できる。肝硬変・肝がん患者と死亡患者の遺族には4000万円、慢性肝炎患者には2000万円、自覚症状のない感染者には1200万円が支払われる。
 血液製剤による感染者は1万人以上と推定されるが、カルテなどで投与を証明できるのは現在の原告約200人を含めて約1000人程度とみられ、救済に必要となる基金の総額は200億円規模と見込んでいる。
 輸血や注射針の使い回しなども含めたB型、C型肝炎の患者・感染者は推定計350万人程度とみられ、政府は今月から来年度末まで肝炎ウイルス検査を無料化、来年度からインターフェロン治療を受ける患者への公費助成制度を始める。
 しかし、与党は肝炎の治療体制を拡充する「肝炎対策基本法案」、民主党は医療費助成のための「特定肝炎対策緊急措置法案」を提出していたが、両法案の修正協議は進まず、いずれも継続審議となる。

肝臓疾患の男性 17病院が拒否、数日後に死亡 大阪 indexへ

 大阪府富田林市消防本部が昨年2月に救急搬送した60代の男性が、周辺の17病院に受け入れを拒否された末、搬送先の病院で数日後に死亡していたことがわかった。男性は重度の肝臓疾患で、死亡と搬送遅れとの因果関係は不明という。同消防本部管内では昨年12月にも、救急搬送された同市内の女性(89)が計30病院に断られた翌日に死亡しており、重篤患者の迅速な搬送が困難になっている現状が浮かんだ。
 関係者によると、昨年2月の深夜、府内に住む男性が吐血したと同消防本部に通報があり、救急隊が急行。消化器内科のある病院を中心に搬送先を探したが、17病院が受け入れを断り、37分後に同府河内長野市の病院が受け入れを決めた。入院して治療を続けたが、数日後に死亡したという。
 30病院から断られた女性のケースでも、嘔吐(おうと)などを訴えていたため、同じ消化器内科の病院を探していたという。地元の医療関係者は「富田林市を含む南河内地域では消化器内科の医師の退職者が相次ぎ、不足状態だ」と嘆く。
 同消防本部の救急出動は昨年1年間で計5879件。このうち123件で10病院以上に搬送を断られていた。搬送先が見つかるまで1時間以上かかった例が21件あり、昨年9月には、吐血した60代男性が計37病院に受け入れを拒否され、搬送先の選定に1時間半かかったという。

抗がん剤過剰投与で男性死亡 岐阜県立多治見病院 indexへ

 岐阜県立多治見病院(多治見市)は9日、転移性の脳腫瘍(しゅ・よう)などで入院していた岐阜県恵那市の男性患者(54)に、適量の約3倍にあたる抗がん剤を投与して患者が死亡したと発表した。同病院は7日、遺族に謝罪し、県警多治見署に異状死として届けた。同署は9日に遺体を司法解剖して詳しい死因を調べる。
 同病院によると、患者は06年11月、愛知県の病院で食道がんの手術を受けた。1年後、ふらつきなどを訴えて多治見病院で受診し、転移性の脳腫瘍と診断された。11月7日に入院し、12月17日〜08年1月2日に2種類の抗がん剤を投与された。
 4週間に1回投与すべきだったが、3週連続で投与。患者は5日になって白血球数が正常値の約9分の1の800まで急激に減少。6日は白血球数が1500まで回復したが、血圧が低下するなどの症状が出て呼吸が停止、同日午前11時に死亡が確認された。過剰投与で白血球が激減したことによる敗血症の可能性があるという。
 主治医の男性医師(34)は、4週間に1回投与をするつもりでカルテに記入したが紛らわしい表現だったため、抗がん剤を調剤する薬剤部は「4週間、毎週連続で1回ずつ投与」と解釈し、医師も誤りに気付かなかった。

急患受け入れ拒否実態調査へ 消防庁、重症以上の例 indexへ

 大阪府で昨年12月25日未明、救急搬送された女性(89)が計30病院に受け入れを拒否され、翌日に死亡した問題で、総務省消防庁は昨年1年間のあらゆる重症以上の救急患者の搬送事例について、受け入れ拒否の実態を調査することを決めた。3月末までに結果をまとめる。増田総務相が8日、閣議後の記者会見で明らかにした。
 消防庁は昨年、妊婦の受け入れ拒否の実態を調査した。今回はそれに加え、医療機関で重症以上と判断された例など50万件前後を対象に、(1)受け入れ拒否が何回あったか(2)拒否の理由(3)受け入れ先が見つかるまでの時間――などを調べる。大阪府では今月2日、交通事故に遭った男性が五つの救命救急センターに受け入れを断られた後に死亡した事例も発覚しており、消防庁は同センターの受け入れ拒否の実態も調査する。

新生児集中治療室の満床対策、病床移行の調整役配置 indexへ

 未熟児らを専門的に治療する「新生児集中治療室(NICU)」の満床状態が患者受け入れ拒否の一因になっているとして、厚生労働省は新年度から、NICUに長期入院している子どもの症状に応じて、小児科や福祉施設への移行を支援するコーディネーターを全都道府県に配置する対策を決めた。病床を空けるための「追い出し」にならないよう親の希望も聞きながら、子どもに適した療養環境を検討する。
 厚労省は昨年暮れ、新年度からのコーディネーター配置を求める通知を出した。人件費の3分の1を国が補助する。補助要件は今後詰めるが各都道府県に1人ずつ、看護師やソーシャルワーカーらを置くことを想定。既存施設の有効利用のため、橋渡し役を担ってもらう。
 昨年1月の厚労省調査では、リスクの高い妊婦や新生児に対応する全国58の総合周産期母子医療センターのうち回答施設の6割が、地域の病院などからの新生児の受け入れ要請を断ったことがあった。7割は妊婦搬送を断ったこともあった。いずれも理由の9割は「NICU満床」だった。
 NICUは全国に5000床ほどあるが、平均入院期間は約30日。1年以上入院している子は約340人とされ、増加傾向にある。NICU利用は本来、体の状態が安定するまでで、その後は小児科病棟や重症心身障害児施設などの「後方病床」へ移ることになっている。
 だが、厚労省研究班が医療機関を対象に行った06年度の調査では、NICUに1年以上入院している子のうち10%は小児科での治療がふさわしいとみられた。58%は重症心身障害児施設で、28%は在宅で、療養可能とみられるという。
 このため厚労省は、関係者の理解不足や医療機関・施設間の連携不足、在宅療養の環境不備などが、NICUの不足の一因になっていると分析。コーディネーター配置で改善を図りたい考えだ。また都道府県に対し、NICUや後方病床の利用実態を調査したうえで、新たに必要な病床の整備計画を策定するよう指示。在宅療養を支援する訪問看護などを築くためのモデル事業も始める。
向精神薬処方「メディカルサロン」 8日にも強制捜査 indexへ

 全国に診療所やエステ店を展開する「メディカルサロン」グループ=東京、代表・風本真吾医師(44)=が、医師免許のない従業員に食欲抑制効果のある向精神薬「マジンドール」を処方させた疑いが強まり、大阪地検公安部と近畿厚生局麻薬取締部の合同捜査本部は8日にも、医師法違反(無資格医業)の疑いで強制捜査に乗り出す方針を固めた。関係者からの本格聴取やカルテの分析などを通じて、同グループによる向精神薬の処方実態の全容解明をめざす。
 錠剤のマジンドール(商品名サノレックス)は、本来は深刻な肥満症患者の治療に使われ、医師による処方が義務付けられている。
 捜査本部の調べでは、同グループは、医師免許を持たないグループ傘下のエステ店や診療所の従業員らに、客や患者の求めに応じてマジンドールを処方させていた疑いが持たれている。
 関係者によると、同グループの複数のエステ店では、初診時はグループの医師らが診察して処方していたが、2回目以降は従業員らが医師の処方指示がないまま、「体調はどうか」などと問診まがいの行為をして薬を渡していたことがあったという。捜査本部は、従業員らによる無資格での処方が横行していた疑いもあるとみて、従業員らの事情聴取を進める。
 麻薬取締部はこれまでに、薬を取り扱うことができない外部提携先のエステ店にマジンドールを販売したとして、麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで同グループを家宅捜索している。
 疑惑が持たれていることについて、同グループは「職員が処方した事実はない」と主張。医師の処方指示を受けた従業員が、医師に代わってマジンドールを客に渡す場合があり誤解された可能性があるなどとしている。
 メディカルサロングループは、全国に約15カ所の診療所やエステ店を展開するほか、各地のエステ店と提携し、マジンドールを取り扱っている。代表の風本医師は、マジンドールについて「食欲を抑える救世主」とホームページなどで紹介している。
 同グループはマジンドールについて、06年に全国トップクラスの年間約5万2000錠を仕入れていた。

急患対応に調整役 たらい回し対策 地元医師ら配置 indexへ

 救急患者のたらい回しが起きた時には「調整官」に対応させます――政府は4月から、急患の搬送先の医療機関が見つからず手遅れになるのを防ぐため、搬送先を探して、受け入れを依頼するコーディネーターを全都道府県に置く事業を始める。救急隊の手間を省いて、搬送時間をできるだけ短くする狙いがある。

たらい回し対策のイメージ
図  コーディネーターには、医療知識に加え、地元事情にも詳しいことが必要なため、地元の医師を充てたい考え。平日の夜間(午後4時ごろ〜翌日午前8時ごろ)と休日(土・日、祝日)をカバーできるようにする。
 実際の運用は各都道府県に委ねるが、例えば、救急隊が五つ以上の病院に受け入れを拒否されたり、病院探しに30分以上かかったりした場合に、コーディネーターが受け入れの依頼に乗り出すことを想定している。
 費用は、1県あたり年約3000万円を見込んでおり、都道府県と国が折半して拠出する。このための厚生労働省の08年度予算案7億円が、すでに昨年末の復活折衝で認められている。
 救急患者の搬送を巡っては、昨年夏に奈良県の妊婦が11病院に受け入れを拒まれた末に死産するなど悲惨な「事件」が起きていた。総務省消防庁の調べでも、06年に産科・周産期の病院に救急搬送された約3万5000件のうち、病院から5回以上受け入れを拒否されたケースが220件あった。




療養病床、削減幅を緩和 厚労省修正で存続5万床増 indexへ

 慢性疾患の高齢者が長期入院する療養病床の削減問題で、厚生労働省は現在約36万床あるベッド数を12年度末に15万床まで減らす当初の計画を大幅に緩和し、5万床上乗せした20万床程度を存続させる方針を固めた。高齢者人口の伸びへの対応と、早期のリハビリテーションを重視する観点から計画修正に踏み切る。
 厚労省は、療養病床の高齢者の半分近くは専門的な治療の必要性が低い「社会的入院」とみている。退院後の介護の見通しが立たないなどの理由で入院が続き、医療費を押し上げる一因となっていると分析。06年の医療制度改革では、費用を医療保険でまかなう「医療型」の25万床を12年度末に15万床へと減らし、介護保険でまかなう「介護型」は全廃する計画を打ち出した。介護型は当時13万床で、現在11万床まで減っている。
 療養病床の廃止分は、よりコストの低い老人保健施設や有料老人ホームなどに転換し、厚労省は年間3000億円の医療・介護給付の削減を見込んでいた。これに対し、日本医師会や病院団体は「医療行為が必要な人も多く、行き場のない高齢者が続出する可能性がある」と反発していた。
 だが、この削減計画は将来の高齢者人口の伸びを考慮していなかった。06年末に公表された最新の人口推計では、75歳以上の人口は06年の1216万人から12年には1526万人へと25%増える。厚労省は各都道府県に対し、12年度末時点で存続させる療養病床数の目標を出すよう求め、全容がほぼ固まりつつある。高齢者の人口増を反映させると、全国で18万床程度が必要になる。
 さらに、当初計画では医療型の削減対象に含まれていたリハビリ用の療養病床2万床も存続させることにした。脳卒中や骨折の後などの早期リハビリを充実させ、寝たきりの高齢者が増えないようにする。この分も合わせ、存続ベッド数は計20万床程度となる。
 ただ、療養病床の削減計画が大幅に緩和されることに伴い、医療費の削減効果も限定的にならざるを得ず、将来の税負担増や現役世代の保険料の引き上げにつながる可能性がある。

リタリン不正入手、首都圏で拡大 川崎で詐欺未遂容疑 indexへ

 依存性の強い向精神薬「リタリン」を川崎市内の薬局からだまし取ろうとしたとして、東京都内の女が詐欺未遂容疑で神奈川県警に逮捕されていたことがわかった。東京など首都圏では昨年11月以降、ほかにも同様の不正入手が少なくとも7件発生。使用された処方箋(せん)の筆跡や手口が酷似しているため、県警や警視庁などは、都内の5店に現れるなどした渋谷区内の歯科医院長らが関与した疑いが強いとみて調べている。
 県警幸署の調べや神奈川県薬剤師会によると、女は昨年12月17日午後8時ごろ、川崎市幸区内の調剤薬局で、偽造した処方箋を使い、リタリン180錠をだまし取ろうとした疑い。通常の服用量の30日分にあたる。
 この約1時間前、目黒区に実在する診療所の精神科医を名乗る男が、この薬局にリタリンの在庫を尋ねる電話をしてきた。男が伝えた電話番号が実際の番号とは異なったため幸署に通報。駆けつけた署員が、偽造処方箋を出してリタリンを受け取ろうとした20歳くらいの女を取り押さえた。
 一方、渋谷区の男性歯科医は昨年11月8日から12月4日にかけ、都内の5店を訪れるなどし、偽造処方箋でリタリン計434錠を詐取した。このうち少なくとも3件で20代くらいの若い女性を伴っていた。
 川崎市で逮捕された女が出した偽造処方箋は、都内の薬局で使われた処方箋と筆跡や記載内容が極めて似ていた。女が使用した処方箋に書かれていた診療所名は、男性歯科医の母親が理事長を務める医療法人が目黒区で経営する歯科医院と一文字違いで、所在地はこの歯科医院と同じ住所になっていた。
 一連の不正入手では、昨年12月11日に埼玉県川口市の薬局でリタリン56錠が同様の手口で詐取され、同月14日には千葉県浦安市でも被害があったことも新たに判明した。
 両県によると、事前に精神科医を名乗って電話で在庫を確認するなどの手口や処方箋の筆跡が、東京都や川崎市の事件とよく似ているという。川口市のケースでは、川崎市の事件と同じ診療所名が使われ、若い女性がリタリンを取りに来ていた。

収容に1時間、事故男性死亡 5救命センター拒否 大阪 indexへ

 大阪府東大阪市で2日夜に交通事故に遭った男性が、府内の五つの救命救急センターから「満床」などを理由に受け入れを断られ、事故から1時間後に現場から約13キロ離れた同府吹田市の救命救急センターに運び込まれた後、死亡していたことがわかった。搬送した同府大東市消防本部によると、24時間態勢で緊急治療を担う救命救急センターに重篤な患者の受け入れを要請する場合、通常なら2、3施設目までに搬送先が決まり、「5施設も断られるのは極めてまれ」という。
 いわば「最後の砦(とりで)」が相次いで受け入れを断ったことは、大都市の救急医療体制の弱体化を浮かび上がらせたとも言えそうだ。
 河内署によると、亡くなったのは大東市灰塚4丁目のトラック運転手、西村正夫さん(49)。西村さんは2日午後10時20分過ぎ、バイクを運転して市道を直進していたところ、右折しようとした大阪市淀川区在住の会社員の男性(28)の軽乗用車と衝突した。同署は男性に当時の状況を聴いている。
 大東市消防本部によると、同10時33分に救急隊が事故現場に到着。西村さんは胸を強く打っており、意識はあるもののもうろうとしている状態だったため、命にかかわる重篤患者を受け入れる3次救急の救命救急センターでの治療が必要と判断。東大阪市や大阪市など現場から近いセンターから順に受け入れを要請したが、5施設に「満床」などと断られた。
 6番目に要請した大阪府済生会千里病院(吹田市)併設の千里救命救急センターでの受け入れが決まり、救急隊が現場を出発したのは、事故発生から30分以上経過した午後11時ごろ。西村さんは同センターに同11時25分ごろ運び込まれたが、3日午前1時40分過ぎに死亡した。
 大阪府では、3次救急医療は、府が救命救急センターに指定した11病院が担っている。年末年始は一般の病院が休みで、救命救急センターなど救急体制をとる病院に患者が集まりやすいという。
 現場から最も近い府立中河内救命救急センター(東大阪市)は当時、通常の夜間と同じく救急専門医を含む3人が救急の当直として勤務していた。しかし、2人の重症患者を治療中で、「これ以上の対応はできない」と判断して断ったという。
 西村さんの長男(27)は、搬送先の病院の医師から「到着時に意識がなく傷は心臓に達しているため、手術が難しい状態だった」と説明を受けたという。「近くで受け入れてもらえなかったのは悔しいが、正当な理由があるのなら、あきらめざるを得ない」と話した。

乳がん誤診で乳房切除 手術後に良性と判明 福岡の病院 indexへ

 福岡県田川市の社会保険田川病院(吉村恭幸院長)で昨夏、良性の腫瘍(しゅよう)を乳がんと誤診し、30代の女性患者の左乳房を切除していたことがわかった。手術後に摘出した腫瘍を調べたところ、良性であることが判明したという。同病院は「結果として診断が間違っていた」として、女性と家族に謝罪した。
 同病院によると、女性は07年6月、「左胸にしこりがある」として同病院外科を受診。担当医師が触診で左乳房に直径3センチ以上のしこりがあることを確認した。マンモグラフィー(乳房X線撮影)や超音波検査(エコー)も実施。細胞を採取する細胞診検査で、がんの疑いが最も高い「クラス5」の結果が出たという。同病院は乳がんと判断し、7月の手術で乳房を切除した。
 しかし、手術後に摘出した腫瘍を詳しく調べたところ、がんではなく良性で、乳房を切除する必要がなかったことが判明。同病院は女性に誤診だったことを伝えて謝罪した。同病院で「クラス5」の結果が出て、腫瘍が良性だったケースは初めてという。
 吉村院長は31日、記者会見し、「がんだと判断したが、結果として間違っていた。患者さんや家族に申し訳ない。何らかの償いをしなければならない」と述べた。

専門医師認定、54人不正 臨床歴など偽る indexへ

 医療関係の各学会が優れた技量や知識を備えていると認めた医師に与える「専門医」「認定医」の資格試験で、01年以降、受験に必要な臨床経験を流用したり申請書類を偽造したりする不正を行った医師が54人に上ることが朝日新聞の調べで分かった。専門医・認定医の資格はホームページなどで表示され、患者が病院や医師を選ぶ基準の一つになっているが、不正が続けば制度の根幹が揺らぎかねないとして、各学会は罰則規定の整備を始めた。
 資格試験を巡っては、すでに昭和大や東京医科大などで、医師が臨床経験を証明する書類を不正に作成していたことなどが発覚している。
 各学会から選出された理事らで構成し、制度整備に取り組む「日本専門医認定制機構」に加盟している64学会(06年時点)によると、01年から今年にかけて、11学会の専門医・認定医の試験で計54人の不正があった。
 このうち、受験者が受け持った患者の病歴や治療、所見などをまとめた病歴要約や、指定された学会や教育セミナーなどの研修歴の証明書など、受験申請に必要な医師の経歴にかかわる書類の不正が8学会で37人と、全体の7割近くを占めた。
 病歴要約の不正は24人。ほかの医師の症例を流用したり、複数の受験者が同じ患者についてほぼ同じ文章で書類を提出したりするほか、症例を偽造する例もあった。虚偽の研修歴を記載した証明書を提出した受験者は13人いた。
 ほかにも、試験の申込書などに必要な指導責任者の署名と押印を偽造していた受験者や、事前に試験問題を漏らしていた大学教授など、計17人の不正が見つかった。
 相次ぐ不正を受け、各学会は防止策に乗り出している。
 日本内科学会は03年に罰則規定を設け、病歴要約を不正に作成した受験者を不合格とし、3〜5年ほど再受験を認めないなどの処分を実行。さらに今年、提出を義務づけた要約の症例数を原則21例から18例に減らした。
 日本小児科学会は今年、不正の処分手続きを規則に明記。日本臨床腫瘍(しゅ・よう)学会も罰則規定を検討している。研修歴の証明書の不正が続いた日本泌尿器科学会は、08年から研修への参加を電子データで管理し、流用を阻止する方針だ。
 専門医は02年から電話帳や新聞などでの広告表示が可能になった。所管する厚生労働省医政局は「不正が極めて悪質で学会が何の対策もとっていない場合、広告表示を認めないこともありえる」としている。