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◆「竹刀で目を負傷」認定、空手・植草選手の指導者処分へ indexへ

 空手の東京五輪女子代表に内定している植草歩(JAL)が指導者からパワーハラスメント行為を受けたと訴えている問題で、全日本空手道連盟は31日、倫理委員会を開き、危険な稽古を課したとして指導者の処分が妥当とする見解をまとめた。近く開かれる全空連臨時理事会で審議され、処分内容が決まる見通し。
 倫理委は同日、植草と、指導にあたった全空連選手強化委員長の香川政夫氏に対してそれぞれ聞き取り調査を実施。香川氏が1月の稽古中に竹刀を用いたことで植草が目を負傷したと認定し、「大変危険で認められるものではない」とホームページに掲載した。パワハラ行為に該当するかどうかは記載しなかった。
 関係者によると、処分案は選手強化委員長職の資格停止。香川氏は強豪の帝京大で指導しており、植草にとっては大学時代からの師匠で、竹刀を使った稽古も同大で行われた。同大は学内に調査機関を設置する方針で、香川氏は調査終了まで稽古に参加しない。

◆3センチのブドウ詰まらせ4歳窒息死…こども園職員に国の事故防止策伝わらず indexへ

 東京都八王子市の認定こども園で2020年9月、男児(4)が給食で出されたブドウを喉に詰まらせ死亡した事故を受け、市が設置した重大事故検証部会は30日、検証報告書を公表し、事故原因として国や市が作成した事故防止指針が園の職員側に十分伝わっていなかったことなどを挙げた。
 報告書では、指針は市から園側に通知されていたとした上で、園側の対応について「通知類の情報量が多いためか、詳細を点検し、必要な情報を抽出する作業が行われなかった」と指摘。給食施設を持たない幼稚園が認定こども園に移行した際に、給食業務を外部委託業者に依存してしまっていたことも背景にあるとした。
 また、男児は喉の既往症があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響で手術が延期されていた。のみ込みにくかった可能性があるが、職員による男児の体調チェックが不十分だった可能性にも触れた。
 報告書を受け、市は対応策に〈1〉市内の全教育・保育施設を対象とした危機管理マニュアルを策定する〈2〉幼児教育・保育センターの施設職員を対象とした研修を一括管理する――などを掲げた。
 報告書によると、事故当日、男児は給食で出された直径3センチ程度のブドウ(ピオーネ)を喉に詰まらせ、体調の急変に気づいた職員らが除去、救急措置を試み、到着した救急隊員も措置を施し、病院に搬送したが死亡した。窒息死とみられる。
 国が16年に公表した保育施設などの事故防止指針では、ブドウやサクランボは窒息につながりやすいとして給食での提供を避けるよう求めている。

◆コロナ感染と申告した市女性職員、上司に医師名を問われウソ認める「特別休暇取りたかった」 indexへ

 大津市は29日、休暇を取るために新型コロナウイルスに感染したと虚偽の申告をしたとして、福祉子ども部の女性職員(38)を減給10分の1(2か月)の懲戒処分にしたと発表した。
 市によると、職員は昨年9月15、16日、発熱があるとして休暇を取得。上司に対し17日、「PCR検査で陽性だった」「別の医師には陰性と言われた」などと虚偽申告した。上司が18日に医師名などを問い合わせたところ、うそを認めた。
 市は、新型コロナに感染した場合などに特別休暇を取得できる制度を設けている。職員は「体調不良による休みが多く、有給休暇が残り少なくなっていたので、特別休暇を取ろうと思った」と話しているという。

◆「妊娠のタイミング悪い」部下に言い放った区役所課長、市の聞き取りに「自分の娘のように思って」 indexへ

 部下の女性職員に妊娠・出産に関する嫌がらせ「マタニティー・ハラスメント」(マタハラ)を行ったなどとして、大阪市は30日、住吉区政策推進課の男性課長(58)を停職3か月の懲戒処分にした。
 市の発表によると、課長は、住之江区役所に勤務していた2017年2月~18年2月、部下の女性職員に対し「○月に妊娠しろ」と言ったり、妊娠が分かった後に「妊娠のタイミングが悪い」と発言したりした。
 また休みを取っていた同僚職員に対し、電話で「出てきて土下座しろ」などとどなるパワーハラスメント行為も行っていた。
 被害を受けた職員らの通報で発覚。課長は、市の聞き取りに対し、マタハラについて「自分の娘のように思ってやってしまった」と説明。パワハラについても「担当外の業務が回ってきてイライラした」などと話している。

◆コウモリから動物を介してヒトに感染「可能性高い」…WHOが武漢調査報告書 indexへ

 【ジュネーブ】世界保健機関(WHO)は30日、新型コロナウイルスの発生源を巡る中国湖北省武漢市での現地調査に基づく報告書を公表した。最初に感染者が確認された2019年12月の数週間前からウイルスが広がっていた可能性を指摘し、中国側に追加の血液サンプル調査などを勧告した。  報告書では、中国が発生源となった可能性を排除しなかった。調査団を率いる感染症専門家のピーター・ベンエンバレク氏はこの日の記者会見で、今後の研究の焦点として「引き続き武漢に注目している」と述べた。最初の感染確認前にウイルスが広がっていたかどうかを調べるため、今後、19年9月にさかのぼって武漢の血液サンプルの抗体検査を行うことなどを勧めた。  ウイルスがコウモリから別の動物を介してヒトへと感染した仮説について、「可能性が高いか、非常に高い」と記載した。調査では中間動物は特定できなかったが、ミンクやセンザンコウなどが感染経路に介在した可能性があるという。  中国側が主張してきた、冷凍食品にウイルスが付着していたとの仮説は、「可能性がある」と検討の余地を残した一方、武漢の研究所からウイルスが流出した可能性については、「極めて考えにくい」と否定的な見方を示した。  WHOが組織した専門家調査団は今年1~2月に現地調査を行い、終了後、中国側と共同で報告書を執筆した。

◆厚労省職員23人、銀座の居酒屋に順次集合し深夜まで送別会…アクリル板なくマスク外し飲食 indexへ

 厚生労働省老健局の職員23人が今月24日、東京・銀座の居酒屋で深夜まで送別会を開いていたことが、同省への取材でわかった。この日は政府の緊急事態宣言解除から3日後で、東京都は飲食店などに午後9時までの営業時間短縮を求めていたが、職員全員が店を出たのは午後11時50分頃だったという。取材に対し、同省担当者は「国民に感染拡大防止をお願いする中であってはならないこと。大変申し訳ない」と謝罪した。
 同省によると、送別会は24日午後7時過ぎに始まり、仕事が終わった職員が順次、店舗に集合。最終的に計23人に上ったという。
 政府は「飲酒を伴う懇親会等」や「大人数や長時間におよぶ飲食」は感染リスクが高まる場面として注意を呼びかけており、同省も業務後の大人数での会食をしないよう指示していた。
 さらに政府は飲食店を選ぶ際のポイントとして「アクリル板の設置」や「食事中以外のマスク着用の推奨」を挙げ、できるだけ4人以下で飲食するよう国民に求めていたが、同省によると、送別会が行われた店内はアクリル板の設置はなく、職員らはマスクを外しながら飲食をしていた。
 送別会を行った職員は老健局の調査に対し、「よくないことはわかっていたが、異動する職員を送り出したかった」と話したという。

◆感染者の血液と尿から重症化予測、島津製作所がシステム販売へ…最短6分で計測 indexへ

 部下の女性職員に妊娠・出産に関する嫌がらせ「マタニティー・ハラスメント」(マタハラ)を行ったなどとして、大阪市は30日、住吉区政策推進課の男性課長(58)を停職3か月の懲戒処分にした。
 市の発表によると、課長は、住之江区役所に勤務していた2017年2月~18年2月、部下の女性職員に対し「○月に妊娠しろ」と言ったり、妊娠が分かった後に「妊娠のタイミングが悪い」と発言したりした。
 また休みを取っていた同僚職員に対し、電話で「出てきて土下座しろ」などとどなるパワーハラスメント行為も行っていた。
 被害を受けた職員らの通報で発覚。課長は、市の聞き取りに対し、マタハラについて「自分の娘のように思ってやってしまった」と説明。パワハラについても「担当外の業務が回ってきてイライラした」などと話している。

◆「妊娠のタイミング悪い」部下に言い放った区役所課長、市の聞き取りに「自分の娘のように思って」 indexへ



◆コウモリから動物を介してヒトに感染「可能性高い」…WHOが武漢調査報告書 indexへ

 【ジュネーブ】世界保健機関(WHO)は30日、新型コロナウイルスの発生源を巡る中国湖北省武漢市での現地調査に基づく報告書を公表した。最初に感染者が確認された2019年12月の数週間前からウイルスが広がっていた可能性を指摘し、中国側に追加の血液サンプル調査などを勧告した。  報告書では、中国が発生源となった可能性を排除しなかった。調査団を率いる感染症専門家のピーター・ベンエンバレク氏はこの日の記者会見で、今後の研究の焦点として「引き続き武漢に注目している」と述べた。最初の感染確認前にウイルスが広がっていたかどうかを調べるため、今後、19年9月にさかのぼって武漢の血液サンプルの抗体検査を行うことなどを勧めた。  ウイルスがコウモリから別の動物を介してヒトへと感染した仮説について、「可能性が高いか、非常に高い」と記載した。調査では中間動物は特定できなかったが、ミンクやセンザンコウなどが感染経路に介在した可能性があるという。  中国側が主張してきた、冷凍食品にウイルスが付着していたとの仮説は、「可能性がある」と検討の余地を残した一方、武漢の研究所からウイルスが流出した可能性については、「極めて考えにくい」と否定的な見方を示した。  WHOが組織した専門家調査団は今年1~2月に現地調査を行い、終了後、中国側と共同で報告書を執筆した。

◆厚労省職員23人、銀座の居酒屋に順次集合し深夜まで送別会…アクリル板なくマスク外し飲食 indexへ

 厚生労働省老健局の職員23人が今月24日、東京・銀座の居酒屋で深夜まで送別会を開いていたことが、同省への取材でわかった。この日は政府の緊急事態宣言解除から3日後で、東京都は飲食店などに午後9時までの営業時間短縮を求めていたが、職員全員が店を出たのは午後11時50分頃だったという。取材に対し、同省担当者は「国民に感染拡大防止をお願いする中であってはならないこと。大変申し訳ない」と謝罪した。
 同省によると、送別会は24日午後7時過ぎに始まり、仕事が終わった職員が順次、店舗に集合。最終的に計23人に上ったという。
 政府は「飲酒を伴う懇親会等」や「大人数や長時間におよぶ飲食」は感染リスクが高まる場面として注意を呼びかけており、同省も業務後の大人数での会食をしないよう指示していた。
 さらに政府は飲食店を選ぶ際のポイントとして「アクリル板の設置」や「食事中以外のマスク着用の推奨」を挙げ、できるだけ4人以下で飲食するよう国民に求めていたが、同省によると、送別会が行われた店内はアクリル板の設置はなく、職員らはマスクを外しながら飲食をしていた。  送別会を行った職員は老健局の調査に対し、「よくないことはわかっていたが、異動する職員を送り出したかった」と話したという。

◆感染者の血液と尿から重症化予測、島津製作所がシステム販売へ…最短6分で計測 indexへ

 島津製作所は29日、新型コロナウイルスの感染者から採取した血液と尿から重症化するかどうか予測するシステムを、6月にも医療機関など向けに販売すると発表した。熊本大との共同研究で開発した技術で、効率的な治療と医療現場の負担軽減につなげる。
 熊本大が感染者約200人の血液と尿を分析したところ、遺伝物質の分解産物「修飾ヌクレオシド」の数値が高いほど、その後の症状が重くなる傾向があると分かった。島津製作所と分析機器会社「アイスティサイエンス」(和歌山市)はこの知見を基に、最短6分で修飾ヌクレオシドを測定する分析法を確立した。
 入院させるべきかどうかの判断材料としての活用などを想定している。血液や尿には新型コロナウイルスがほぼ存在しないといい、熊本大大学院の富沢一仁教授は「検査する医療従事者らにも安全だ」と話した。
 島津製作所は、まずは質量分析計などを保有する病院に予測システムのソフトウェアを販売する。将来的には、未所有の病院にシステム機器全般を4500万円程度で販売する考えだ。

◆無理やり性交などの経験、女性6・9%に男性1%…加害者は「先輩や上司」が男女とも半数超 indexへ

 内閣府は、「男女間における暴力に関する調査」の結果を発表した。配偶者から暴力を受けた経験があるのは22・5%で、そのうち26・5%の家庭では子どもも被害者となっており、家庭内暴力が連鎖している一端がうかがえる。
 男女別で見ると、配偶者から暴力を受けたのは、女性が25・9%で、男性は18・4%だった。暴力には、殴る、蹴るなどの身体的暴行のほか、暴言といった心理的攻撃などがある。女性の約10人に1人は被害が「何度もあった」と答え、約5人に1人が命の危険を「感じた」という。  被害を受けたにもかかわらず、女性の41・6%、男性の57・1%はどこにも相談していなかった。
 交際相手との関係で見ると、暴力被害を受けたのは女性で16・7%、男性は8・1%だった。男女ともに、同居している際の被害が約4割に及んだ。女性の34%、男性の39・8%は被害を相談しなかった。
 一方、無理やり性交などをされた経験があるかどうかでは、女性が6・9%、男性は1%が被害に遭っていた。加害者との関係では、先輩や上司など「上位の立場」からの被害が男女とも半数を超えた。
 調査は3年に1回実施されている。今回は2020年11~12月に行い、3438人から回答を得た。

◆抗原検査キット「承認受けた」と宣伝、初の行政指導…販売業者2社に消費者庁 indexへ

 消費者庁は26日、国の承認を得ていない新型コロナウイルスの「研究用」の抗原検査キットを、承認を受けたと宣伝していたとして販売業者2社に対し、景品表示法違反(優良誤認)にあたる恐れがあるとして、再発防止などを求める行政指導を行ったと発表した。政府は未承認のキットは精度が保証されていないことなどから、「感染の有無を調べるために使うべきではない」と注意を呼びかけている。消費者庁が抗原検査キットについて行政指導をしたのは初めて。
 抗原検査キットは、唾液などを試薬と混ぜ、試験キットに垂らし、短時間で陽性かどうか判定する診断用医薬品。「診断用」として使うには、医薬品医療機器法に基づいて国の承認を得る必要がある。

◆厚労省職員、パワハラ相談員の上司から「死ね」「何様のつもりだ」などの暴言でうつ病に indexへ

 厚生労働省の職員だった男性(当時29歳)がうつ病を発症したのは、上司によるパワーハラスメントが原因だったとして、同省が公務員の労災にあたる公務災害に認定したことが26日、わかった。男性本人が明らかにした。認定は今月2日付。
 男性によると、2017年4月に着任した同省内の部署で、上司から「死ね」「何様のつもりだ」などの暴言や罵声、無視などを繰り返し受け、うつ病を発症。男性は18年12月から休職し、復職できないまま、昨年3月に同省を退職した。男性は「上司は省内に配置される『パワハラ相談員』だったが、その上司によるパワハラだっため相談できなかった」と話している。
 厚生労働省は「個別の事案については答えられない」としている

◆ワクチン2回目は36%発熱、1回目の10倍超…厚労省検討会で報告 indexへ

 米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンについて、発熱や痛みなどの副反応が2回目の接種後に多くみられるとの健康調査の中間集計が、26日に開かれた厚生労働省の有識者検討会で報告された。急性のアレルギー反応のアナフィラキシーの発生頻度は接種10万回あたり約8件だったことも示された。検討会は「安全性に重大な懸念は認められない」と評価した。
 国内の医療従事者らへの接種は、26日までに82万2869回行われた。うち健康調査の対象は約2万人で1回目の接種をした1万9035人、2回目も受けた3933人を分析した。
 2回目の接種では、37・5度以上の発熱が36%、だるさが67%にみられた。1回目はそれぞれ3%、23%だった。腕の接種部位の痛みは1、2回目とも9割超にみられた。症状はいずれも数日で軽快したが、検討会委員の一人は、鎮痛剤の使用や、接種翌日は休むなどの対応が必要だとした。
 アナフィラキシーについては、21日までの接種57万8835回のうち、医療機関から181件の報告があった。このうち国際基準に該当したのは47件だった。
 また、19日に接種を受けた26歳の女性が23日に死亡したことも発表された。死因は脳出血とみられる。接種後の死亡報告は2例目。女性に持病はなく、接種との因果関係は現時点では評価できないとされた。

◆司法解剖40年担当、近大医学部教授が3300万円を不正受給か indexへ

 近畿大医学部法医学教室の男性教授(66)が、大学から経費を不正に受け取ったとされる疑惑で、近大は25日、不正受給が疑われる額が少なくとも約3300万円に上るとする調査結果を公表した。偽の領収書を提出し、医療用品と装ってゴルフ用品や私物を購入した疑いがあるという。近大は近く弁護士を含む調査委員会を設置して調査を継続し、大阪府警への刑事告訴も検討している。
 教授は、府警の依頼で犯罪死が疑われる遺体を調べる司法解剖に約40年前から携わってきた。
 近大の発表によると、教授は大阪市内の医療機器販売会社から司法解剖などで使う医療用品を購入し、領収書や請求書を大学に提出して経費を受け取っていた。しかし、2017~20年度に提出された110件約4100万円分の領収書などを調べたところ、75件約3220万円分に偽の社印が押されるなどし、納品が確認できないものもあった。
 また、家族が利用する携帯電話代約90万円も経費から支出していたという。
 医療機器販売会社は調査に対し、17年度以前にも、取引を始めた11年以降、教授の依頼でゴルフ用品や電化製品などを納入し、医療用品と書いた領収書を作成したと説明。担当の元社員も「教授の指示で偽の社印を用意した」と証言した。
 一方、教授は調査に「医療用品が納入されたと思っていた。元社員にだまされた。(ゴルフ用品などは)贈答品だと思っていた」などと不正を否定。教授の代理人弁護士は25日、取材に対し、「教授に不正の認識はなかった。名誉 毀損で、大学に対して法的措置を検討している」と話した。
 記者会見した松村到・医学部長は「あってはならないことで深くおわびする。管理体制を見直し、再発防止に努めたい」と謝罪した。

◆感染不安から保育施設を敬遠か、政令市などの7割で利用申込減…読売調査 indexへ

 政令市など保育の需要が大きい106自治体の約7割で、4月からの保育施設の利用申込者数が減少したことが読売新聞のアンケート調査で分かった。新型コロナウイルスへの感染の不安から、保育の利用を控える動きが出たことなどが影響したとみられる。
 調査は2~3月に政令市と東京23区、昨年4月時点の待機児童数(厚生労働省発表)が50人以上の市区町村の計106自治体を対象に実施。95自治体から有効回答を得た。
 利用申込者数(一部は転園など含む)は、75自治体が減ったと回答した。要因を複数回答で聞くと、「就学前人口が減少した」(41自治体)、「新型コロナで入所を見送る保護者が増えた」(26自治体)などが上位を占めた。
 95自治体の利用申込者数の合計は前年比5%減の計約24万9800人。国が毎年9月に公表する全自治体調査では、共働き世帯の増加などで、保育の申込者数は右肩上がりで増えてきたが、2021年は減少に転じる可能性が高いとみられる。
 一方、申込者数から1次選考の内定者数を引いた「落選者数」の合計は18・6%減の計約5万6100人だった。落選者の割合は全体平均で22%にのぼった。

◆「医療用品が納入されたと思った」近大教授、ニセ領収書でゴルフ用品や私物購入か indexへ

 近畿大医学部法医学教室の男性教授(66)が、大学から経費を不正に受け取ったとされる疑惑で、近大は25日、不正受給が疑われる額が少なくとも約3300万円に上るとする調査結果を公表した。偽の領収書を提出し、医療用品と装ってゴルフ用品や私物を購入した疑いがあるという。近大は近く弁護士を含む調査委員会を設置して調査を継続し、大阪府警への刑事告訴も検討している。
 教授は、府警の依頼で犯罪死が疑われる遺体を調べる司法解剖に約40年前から携わってきた。
 近大の発表によると、教授は大阪市内の医療機器販売会社から司法解剖などで使う医療用品を購入し、領収書や請求書を大学に提出して経費を自身の口座で受け取っていた。しかし、2017~20年度に提出された110件約4100万円分の領収書などを調べたところ、75件約3220万円分に偽の社印が押されるなどし、納品が確認できないものもあった。
 また、家族が利用する携帯電話代約90万円も経費から支出していたという。
 医療機器販売会社は調査に対し、17年度以前にも、取引を始めた11年以降、教授の依頼でゴルフ用品や電化製品などを納入し、医療用品と書いた領収書を作成したと説明。担当の元社員も「教授の指示で偽の社印を用意した」と証言した。
 一方、教授は調査に「医療用品が納入されたと思っていた。元社員にだまされた。(ゴルフ用品などは)贈答品だと思っていた」などと不正を否定。教授の代理人弁護士は25日、取材に対し、「教授に不正の認識はなかった。名誉 毀損で、大学に対して法的措置を検討している」と話した。
 記者会見した松村到・医学部長は「あってはならないことで深くおわびする。管理体制を見直し、再発防止に努めたい」と謝罪した。

◆廃棄すべき錠剤砕いて作り直す、「日医工」に立ち入り調査 indexへ



◆養子あっせん団体が突然の廃業、厚労相「あってはならないこと」…都と連携し調査へ indexへ

 特別養子縁組をあっせんする東京の民間団体「ベビーライフ」(解散)が昨年7月に突然事業を停止した問題で、田村厚生労働相は23日の閣議後記者会見で、「あってはならないことで、どういう実態にあったのか都に報告を求め、検証したい」と述べ、東京都と連携して実態調査に乗り出す考えを明らかにした。
 同団体は2018年9月、養子縁組あっせん法に基づき、都に許可を申請したが、昨年7月2日、突然事業を停止。都に養子らの資料の提出を求められたが、一部しか引き継がず、その後の連絡を拒否した。都によると、団体は12~18年度に307人のあっせんを手がけ、養親の半数超が外国籍で、多数の子供が海外に渡っていた可能性がある。
 この問題で、東京都の小池百合子知事は23日、報道陣の取材に「全国の自治体に対し、支援が必要なケースの対応についての協力を依頼している」と語った。

◆検査してもいないのに…受託業者から「全員陰性」の通知「頼んで大丈夫か心配になる」 indexへ

 神奈川県が新型コロナウイルス対策として、福祉施設職員らに実施している集中検査を巡り、一部の受託業者が、検査をしていない施設に対して「全員陰性」と通知するなどしていたことが分かった。19日の県議会厚生常任委員会で自民党県議が指摘し、県は事実関係を調査する方針を示した。
 集中検査は、重症化リスクの高い高齢者や障害者と接する施設職員らを対象としており、県は今年度補正予算に民間4業者への委託費など32億4000万円を計上している。これまでに延べ約2500施設9万4000人に検査が行われたという。
 県内のある高齢者施設の施設長によると、2月下旬に突然、職員約200人分の検査キットが送られてきた。業者側に「申し込んでいない」と連絡し、不使用のままキットを返送したが、翌日に「全員陰性でした」との〈結果〉がメールで届いたという。
 この業者は読売新聞の取材に、「県や多くの施設とやりとりするなかで混乱があった。当該施設にはすぐに訂正、謝罪をし、県にも報告した。再発防止に努めたい」と説明した。
 施設長は「利用者と職員の安心を担保するのが目的なのに、検査を頼んで大丈夫なのかと心配になる」と訴えた。
 厚生常任委で県医療危機対策本部室の篠原仙一室長は「事実であればかなり重大な問題。早急に調査する」と答弁した。

◆紙の手帳に書き留めると短時間で記憶…電子機器使用と比較 indexへ

 紙の手帳にスケジュールを書き留めると、タブレットを使う時よりも短時間で記憶でき、記憶を思い出す時には脳の活動が高まっていることがわかったとする論文を、東京大などの研究チームが発表した。紙の教科書やノートを使った学習の効果を示す成果という。19日、スイスの行動神経科学専門誌に掲載された。
 研究チームは、18~29歳の男女48人に、ある文章の中から14のイベントの日程を抜き出して、記録する課題に取り組んでもらった。記録の方法は〈1〉紙の手帳にペンで書き込む〈2〉タブレット型端末に専用ペンで書き込む〈3〉スマートフォンに入力する――の3パターンで、各16人ずつで実験した。
 その結果、紙の手帳を使ったグループは、電子機器を使ったグループよりも、全ての日程を書き終える時間が25%短かった。
 1時間後にイベントの日付や曜日、内容などを思い出してもらうテストをすると、正答率は3グループとも差がなく、紙の手帳を使ったグループが短時間で記憶を定着させたと推測できた。テスト中の脳の状態を観察すると、紙の手帳を使ったグループは、言語や視覚、記憶に関わる領域の血流がより多くなり、活発に働いている様子がうかがえたという。
 研究チームは、スマホやタブレットの操作性の違いは、実験結果に影響を与えるレベルではないとしている。
 チームの酒井邦嘉・東大教授(言語脳科学)は「教育現場で電子機器が多用されているが、紙媒体による学習の方が、実験で記憶がより定着しやすいことが示された。脳で扱える情報が多くなることで、豊かな創造性にもつながるはずだ」と話す。

◆ロシア国産ワクチン「スプートニクV」の偽物、メキシコで押収 indexへ

 【モスクワ】ロシアの新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の輸出振興に携わる露政府系基金は18日、ワクチンの偽物がメキシコで押収されたと発表した。偽物は、包装のデザインなどが本物と異なっていたという。
 この基金は「スプートニクVの信用をおとしめようとする挑発行為だ」と非難した。プーチン露政権が精力的に売り込むスプートニクVは、これまでに世界約50か国で承認されている。

◆「ワクチンは殺人兵器」「闇の勢力が計画」…県議が接種しないよう呼びかけ indexへ

 福井県議会の最大会派・県会自民党に所属する斉藤 新緑県議(64)が、新型コロナウイルスに関して「ワクチンは殺人兵器」などと記し、接種しないよう呼びかける文書を支援者ら1万数千人に配っていたことがわかった。斉藤県議は17日、取材に「信念に基づいており、撤回するつもりはない」と話した。
 斉藤県議は2月22日付で発行した活動報告書で、「新型コロナ騒動は『闇の勢力』が随分前から計画したもの」「(計画は)ウイルスを開発し、ドローンを使って世界に散布する」などと記載。そのうえで、ワクチンを世界中の人々に強制接種させ、人口を削減する狙いがあるなどと主張し、「人類初の遺伝子組み換えワクチンで、『殺人兵器』ともいわれている」などとも書いている。
 いずれも根拠のない情報だが、同趣旨の陰謀論はSNSなどで拡散している。
 同県議会には数件、抗議の声が寄せられているが、畑孝幸議長は「あくまでも議員個人の見解で、議会としてコメントするつもりはない」としている。
 斉藤県議は同県坂井市選出。1999年に初当選し、6期目。県議会議長や自民党県連幹事長などを歴任した。

◆HIV検査数が半減、コロナ拡大でためらいも「感染者を把握できていない可能性」 indexへ

 厚生労働省のエイズ動向委員会は16日、2020年の1年間に保健所などで行ったエイズウイルス(HIV)の検査が19年に比べて半減し、6万8998件となったと発表した。相談も半減し、6万6519件だった。
 新型コロナウイルスの感染が拡大し、HIVの検査や相談をためらう人が増えたほか、保健所の業務がコロナ対応で 逼迫し、HIVの検査を取りやめた時期があったことなどが影響したとみられる。
 一方、HIVの感染が新たに分かった人は、前年比160人減の1076人(速報値)。内訳は、エイズを発症した患者が前年比3人増の336人、無症状の感染者が前年比163人減の740人だった。
 同委員会の白阪琢磨委員長は「検査件数などの減少で、無症状の感染者を十分に把握できていない可能性がある。検査の機会を積極的に利用してもらいたい」と述べた。

◆防水スプレーで体調不良400件、はっ水樹脂が肺に付着…マスク着用呼びかけ indexへ

 衣服や靴に吹き付ける防水スプレーを吸い込み、体調不良を訴えるケースが相次いでいる。東京都などの集計では2019年までの5年間に、全国で少なくとも約400件の事例が確認されている。都は近く、メーカーなどに対し、使用時のマスク着用を消費者に呼びかけることなどを働きかける方針だ。
天気予報アプリで使用増える?
 防水スプレーには、はっ水効果のある樹脂が使われている。過度に吸い込むと樹脂が肺に付着して、呼吸困難や肺炎となる恐れが指摘されている。
 都や「日本中毒情報センター」(茨城県つくば市)によると、防水スプレーの使用で息苦しくなったり、吐き気をもよおしたりする事故は、1990年代前半には年100件以上確認されていた。当時はスキーブームで、ウェアへの使用が多かったためとみられる。
 その後、メーカー各社がスプレーの飛散範囲を狭めるといった対策を施し、96年以降は年間10~20件程度に減少。しかし、2013年から増加傾向に転じ、18年と19年はそれぞれ100件、95件に上った。東京消防庁によると、都内では19年までの5年間に、防水スプレーを使用して体調不良を訴えた22人が病院に運ばれ、うち7人が入院した。
 メーカーの一つ「コロンブス」(東京)によると、防水スプレーはスニーカーやバッグに使う若年層が増えるなどし、需要が拡大。業界全体の生産数は、12年の480万缶が5年後の17年には約3割増の650万缶に伸びた。コロンブスの担当者は「スマホのアプリなどで気象情報を手軽にチェックできるようになり、雨に備えて使う人が増えているのでは」と話す。
 都は今年度、防水スプレーの安全対策を検討してきた。昨年11月、防水スプレーの使用経験がある首都圏の約1000人を対象にアンケートを行った。実際にスプレーを吸い込んだか、吸い込みそうになったことがあるとの回答は12・7%あり、46・4%の人がスプレーによる事故が起きていることを知らなかった。
 こうした結果から、都は、使用時にマスク着用を推奨する注意書きをスプレー缶に表示することや、ピクトグラム(図記号)を活用してわかりやすく伝えることなどを、製造・販売各社などに提言する方針だ。都生活安全課は「屋外でも風向き次第で事故につながった例もあった。新型コロナウイルス禍でマスクの着用は定着しており、抵抗感も薄いのではないか」としている。

◆3タイプの変異ウイルスを迅速に特定、島津製作所がPCR検査キット開発 indexへ

 島津製作所は17日、変異した新型コロナウイルスを迅速に検出できるPCR検査キットを開発したと発表した。英国型、南アフリカ型、ブラジル型の3タイプの変異ウイルスを特定することが可能という。検査を手がける保健所や企業などに販売する。
 変異ウイルスかどうかは現在、新型コロナの感染者から抽出した検体の一部を国立感染症研究所が遺伝子解析するなどして調べており、確認に時間がかかることが課題となっている。島津製作所は2020年4月に発売した検査キットの試薬を改良し、1時間程度で変異ウイルスを特定できるようにした。

◆子供が使う鼻炎やじんましん治療薬、73万箱を自主回収…遺伝情報に変異の可能性 indexへ

 製薬会社の日本べーリンガーインゲルハイムは、主に子供が使うアレルギー性鼻炎やじんましんなどの治療薬「アレジオンドライシロップ」を、15日から自主回収していることを明らかにした。自主的な検査で、遺伝情報に変異が起きる可能性を持つ物質が製品に含まれていることが判明した。
 後発薬「エピナスチン塩酸塩DS」も、製造販売している沢井製薬、東和薬品、日医工の3社が回収する。
 対象は計約73万箱に上る。現在のところ健康被害は起きていないという。各社は製品の出荷も停止しており、医療機関には同様の作用を持つ医薬品を紹介するなどの対応をとっている。

◆塗るだけでコロナ不活性化、長期間効果持続の液剤を紙卸会社が大量生産 indexへ

 環境素材の販売などを手掛ける兵庫県加古川市の紙卸会社「釜谷紙業」が、新型コロナウイルスを長期間、不活性化させる液剤の大量生産に乗り出している。国家規格に基づく第三者機関の試験では、塗った3か月後もウイルスが99・9%以上減少することを確認。同社は「東京五輪会場などでも感染防止に役立ててもらいたい」と利用に期待している。
 「クリーンフィックス」という商品名の触媒水溶液で、主成分は特殊な酸化チタン化合物やケイ素化合物など。山口大学出身の研究者・岡原治男博士(工学)が開発した。
 同社によると、手すりやドアノブ、壁などに塗って乾かせば、接触した有害物質を分解し、抗ウイルス、抗菌、消臭などの効果が長期間続く。乾くと効果がなくなるアルコール消毒液などと違い、繰り返し塗る必要がない。光触媒とは異なり、暗所でも性能を発揮するという。
 日本繊維製品品質技術センター(東京)が国立感染症研究所の協力で実施した試験では、塗布後約3か月が経過した綿布に新型コロナウイルスを付着させ、暗所で2時間放置したところ、ウイルスが99・9%以上減少した。試験は日本産業規格(JIS)の定める方法で、結果は最高評価の「十分な効果あり」に該当する。
 これまでに、県立芸術文化センター(西宮市)や神戸国際会館(神戸市)などの大規模ホール、京福電鉄(京都市)や叡山電鉄(同)の車両など、300施設以上で採用された。
 新型コロナ患者を受け入れている姫路赤十字病院(姫路市)も6日、外来の待合室や受付などに施工。近く新型コロナ病棟にも散布する予定という。安田善彦事務部長は「第三者機関の試験で効果が長期間続くことが確認されており、品質的に信頼できるので採用した」と評価する。
 釜谷紙業の釜谷泰造常務は「頻繁に消毒する必要がなく、作業負担が軽減できるので、病院や高齢者施設、学校、ホテルなどで使ってもらいたい」と話す。市販価格は1リットル入り税抜き3万5000円。問い合わせは同社姫路事業所(079・253・2222)。

◆今季のインフル患者わずか1万4000人、昨季の500分の1未満に indexへ

 厚生労働省は、インフルエンザで医療機関を受診した患者が昨年秋から今月7日までの今季、推計約1万4000人だったと発表した。インフルエンザの患者数は現在の調査手法となった1999年以降では最も少なかったとみられる。患者が比較的少なかった昨季は、推計約728万5000人だった。
 今季は、新型コロナウイルスとの同時流行も危惧されていた。だが、手洗いや手指消毒、マスク着用の徹底が呼びかけられたことや、海外との人の往来が激減したことなどが影響し、インフルエンザの患者は大幅に減ったとみられている。
 インフルエンザの患者数は毎週、全国約5000の医療機関から報告され、この数値をもとに、全国の患者数が推計されている。今季最後の発表となった7日までの1週間の報告は26人だった。

◆吐き気止め薬「ドンペリドン」、胎児への悪影響なし…国立成育医療研究センター indexへ

 国立成育医療研究センターは、妊婦には使用しない吐き気止め薬「ドンペリドン」に、胎児への悪影響を及ぼすリスクは示されなかったとする調査結果を発表した。つわりだと気づかずに薬を服用し、妊娠を続けるか悩んできた女性にとっては安心につながるという。
 調査は、同センターの「妊娠と薬情報センター」と虎の門病院が1988~2017年に相談を受けた1万3599の事例を基に、妊娠初期のドンペリドン服用が胎児に及ぼすリスクを解析。ドンペリドンを飲んだ519例と、妊娠初期に使ってもリスクがないとされている胃薬や抗生物質などを服用した1673例を比較した。先天的な病気の発生率は、ドンペリドンが2・9%。それ以外の薬は1・7%で、統計学的に明らかな差はなかった。
 ドンペリドンは、国内で一般的に使われる吐き気止め。動物実験では骨格や内臓などの先天的な病気を引き起こす危険性が確認され、薬の添付文書で妊婦には「禁忌」とされている。
 村島温子・妊娠と薬情報センター長は「妊娠を知らずに薬を飲み、悩む女性が少なくなかった。安心して妊娠を継続してくださいと、根拠に基づいて言える」と話している。

◆ワクチンでアナフィラキシー、新たに12人…せきや嘔吐などの症状 indexへ

 厚生労働省は11日、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた医療従事者12人が、重いアレルギー症状のアナフィラキシーとして報告されたと発表した。国内でのアナフィラキシーの報告は計37人になった。これまでに接種を受けた人は18万741人となり、このうち443人が2回目の接種を受けている。
 厚労省によると、12人は20歳代~50歳代の女性11人と、30歳代の男性。8~10日に接種を受け、せきや 嘔吐などの症状が出た。全員、症状は改善しているという。医療機関からの報告では、全員が接種と「関連あり」とされた。厚労省は今後、専門家の意見を聞き、接種との因果関係を調べる。

◆陽性1人に「陰性」、陰性1人に「陽性」…コロナ検査結果取り違えるミス indexへ

 滋賀県は11日、今年1月に行った新型コロナウイルスのPCR検査で、陽性の1人を陰性、陰性の1人を陽性と取り違えるミスがあったと発表した。誤って陰性とされた人からの感染拡大はなかったとしている。
 県衛生科学センター(大津市)で1月21日に検査し、翌22日に陽性が判明した10人分を名簿に記載する際、取り違えた。陰性とされた人は別の感染者の濃厚接触者だったため、自宅待機を求めた。陽性とされた人は10日間、不要な宿泊療養をしたという。
 陽性者の検体を国立感染症研究所へ送るため、今月4日に検体に記された氏名と名簿を照合していて誤りが判明。1月は感染者が多く、複数人でのチェックができていなかったという。

◆血栓できて女性が死亡、アストラゼネカ製のワクチン接種を停止 indexへ

 【ロンドン】デンマーク政府は11日、英製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルスのワクチン接種を2週間停止すると発表した。60歳代の女性が接種後、血栓ができて死亡したことを受けた措置という。
 ロイター通信によると、接種後に血栓ができたケースはほかにも明らかになっており、ノルウェーやアイスランド、イタリアなどもアストラゼネカ製のワクチンの接種を見合わせた。
 ただ、接種と血栓との因果関係は不明で、欧州連合(EU)の薬事当局「欧州医薬品庁(EMA)」は「現時点ではワクチンの副反応とする証拠はない」として接種を続けても問題ないとしている。EMAによると、10日現在、欧州で同社製ワクチンの接種を受けた約500万人のうち、血栓 塞栓症を発症したのは30人という。
 同社は、日本でも2月5日に承認を申請している。

◆アナフィラキシー、初の男性の事例報告…国内で計25人 indexへ

 厚生労働省は10日、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた医療従事者8人が、重いアレルギー症状のアナフィラキシーとして報告されたと発表した。国内でこの症状の報告は計25人で、今回初めて男性の事例が報告された。この日までに接種を受けたのは14万8915人で、うち35人は2回目の接種を受けた。
 厚労省によると、8人は20~50歳代の女性7人と、50歳代の男性。いずれも9日か10日に1回目の接種を受け、吐き気、めまいなどの症状が出た。全員が投薬を受けるなどし、症状は改善。医療機関からの報告では7人が接種と「関連あり」とされ、1人は「評価不能」だった。厚労省は今後、専門家の意見を聞き、接種との因果関係を調べる。
 海外に比べ発生頻度が高く見えることに対し、厚労省の有識者部会の部会長を務める森尾友宏・東京医科歯科大教授は「アナフィラキシーの評価方法や、最新の海外の発生状況などもあわせて、12日の部会で議論したい」とした。

◆統合失調症の影響で「意思能力欠く状態で退職願」、依願免職の取り消し命じる判決 indexへ

 統合失調症の影響で意思能力を欠く状態で提出した退職願は無効だとして、長崎市選挙管理員会の元職員の50歳代女性が市や市選管などに依願免職処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決が9日、長崎地裁であった。古川大吾裁判長は、退職願の提出は「意思能力を欠く状態でされた」と認め、処分の取り消しを命じた。
 判決によると、女性は1992年に統合失調症を発症。通院や入退院を繰り返しており、2016年3月24日付で市選管に退職願を提出し、同31日付で依願免職した。
 古川裁判長は、女性が統合失調症の服薬を中断していた15年12月頃から職場での独り言など奇異な行動を取るようになり、「症状は悪化し続けていた」と指摘。退職願の提出時は「自身の言動がどのような法的効果をもたらすのか判断できない状態にあった」とした。
 同市選管は「判決の詳細を確認した上で対応していきたい」としている。

◆「くすりの富山」への信頼揺るがす…後発薬国内トップの日医工、品質より出荷優先 indexへ

 ジェネリック医薬品(後発薬)製造大手「日医工」(富山市)が富山県から約1か月の業務停止命令を受けた問題で、後発薬業界が抱えるひずみが浮き彫りになった。国が後発薬の使用を促す中、国内トップに駆け上がった日医工は約10年もの間、不正に手を染めていた。業界全体の信頼を揺るがし、関係者からは懸念の声が広がる。

◆ぜんそくの女性、ワクチン接種で国内初のアナフィラキシー…せき・全身のかゆみ indexへ

 厚生労働省は5日、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた医療従事者の女性(30歳代)が重いアレルギー症状のアナフィラキシーを起こしたと発表した。この症状の報告は初めて。投薬により症状は改善したという。医療機関からは接種と関連があるとの見立てが報告されているが、厚労省は今後専門家の意見も踏まえ関係性を詳しく調べる方針。
 厚労省によると、女性は5日に接種を受けた数分後、せきに続き、まぶたの腫れや全身のかゆみなどの症状が表れた。女性にはぜんそくなどの持病があった。
 新型コロナのワクチンでは、まれにアナフィラキシーの副反応が起きることが分かっている。厚労省の有識者会議の会長を務める岡明・埼玉県立小児医療センター病院長は「適切な治療で軽快したと考えられる。どのワクチンにもアナフィラキシーを起こす可能性があり、接種後15分以上接種場所で待機する観察期間の周知などが重要だ」としている。

◆国内2例目、ワクチン接種の20代女性にアナフィラキシー indexへ

 厚生労働省は6日、新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けた医療従事者の20歳代の女性が、重いアレルギー症状のアナフィラキシーを起こしたと発表した。この症状の公表は2人目となる。
 厚労省によると、女性は5日に接種を受け、約25分後にじんましんや息苦しさなどの症状が表れた。投薬で症状は改善したという。
 新型コロナのワクチンではまれにアナフィラキシーの副反応が起きる。この女性については、医療機関から接種と関連があると報告されている。厚労省は専門家の意見を聞き関係を詳しく調べる方針だ。

◆免許自主返納、昨年は55万人…過去最多の前年から8%減 indexへ

 警察庁は4日、昨年1年間に全国の55万2381人が運転免許証を自主返納したと発表した。過去最多だった2019年(60万1022人)から8%減った。75歳以上の返納者数が前年比15%減で、新型コロナウイルスの感染予防に配慮して、返納手続きに出向くのを控えた人が多かったとみられる。
 75歳以上の運転免許証保有者は昨年末現在、590万4686人。警察庁は、高齢ドライバーやその家族を対象にした相談ダイヤル「# 8080 」の利用を呼びかけている。

◆「二重マスク」と不織布マスク1枚、ほぼ変わらず…感染防止効果を「富岳」で解析 indexへ

 理化学研究所や神戸大などの研究チームは4日、マスクを二重に着用したときの感染防止効果を、スーパーコンピューター「 富岳 」を使って解析した結果を発表した。新型コロナウイルスを含む 飛沫の拡散は、二重マスクにしても、不織布マスク1枚をきちんと着けた場合とほぼ変わらなかったという。
 解析結果によると、不織布マスク1枚を鼻の金具を曲げて隙間なく着けた場合、飛沫の85%をキャッチし、拡散を防ぐ効果があった。不織布マスクにウレタン製のマスクを重ねて着用した場合は89%で、大きな差はなかった。
 二重マスクについては、効果が上がるとする報告を米疾病対策センター(CDC)が発表しているが、坪倉誠・理研チームリーダーは「二重マスクでは息苦しさも増す。不織布マスク1枚を顔に密着させて着けることを勧めたい」と話す。
 マスクを着用せず、歩行やランニング中に会話すると、後方に飛沫が飛ぶこともわかった。ウイルスを多く含む飛沫は、静止時は1メートル以内に落ちるが、歩行中は2~3メートル後ろにまで届いた。マスクを着ければ飛沫は抑えられた。

◆ワクチン接種した60代女性、3日後に死亡…死因はくも膜下出血か indexへ

 厚生労働省は2日、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた医療従事者の60歳代の女性が死亡したと発表した。ワクチン接種後に死亡が報告されたのは初めて。死因はくも膜下出血とみられる。接種との因果関係は不明で、厚労省は専門家の意見を踏まえ、安全性を評価する方針だ。
 発表では、女性は2月26日、米ファイザー製のワクチンの接種を受けた。女性には持病やアレルギー歴はなく、当初目立った副反応はなかったが、3月1日に亡くなった。
 新型コロナのワクチンは2月17日から全国100病院で順次、医療従事者への先行接種が始まっている。これまでに3万人以上が接種を受けた。
 くも膜下出血は40~60歳代で比較的起こりやすいとされる。ワクチンの副反応を検討する厚労省の有識者部会の部会長を務める森尾友宏・東京医科歯科大教授は「今のところ海外での接種でも、くも膜下出血と新型コロナワクチンに関連があるとはされていないようだ。偶発的な事例かもしれないが、情報を収集し、評価していく必要がある」としている。

◆ワクチン1000回分無駄、冷凍庫の電力不足が原因…コンセントに複数の機器接続 indexへ

 新型コロナウイルスワクチンを先行接種する病院で冷凍庫の温度が上がり、ワクチン約1000回分が使えなくなった問題で、厚生労働省は2日、コンセントに複数の機器を接続し、冷凍庫に十分な電力が供給されなかったことが原因と発表した。当初は冷凍庫の故障が原因としていたが、製品に問題は見つからなかったという。
 同省によると、1日、冷凍庫の温度が27度まで上昇しているのを病院の職員が発見した。2日に業者が調べたところ、2口あるコンセントに消費電力の大きい冷凍庫と、別の冷蔵庫のプラグをそれぞれ差していたため、電力不足になったことが分かった。同省は「同様の事態が起こらないよう、注意喚起していきたい」と話した。

◆中国入国時に複数地点で「肛門PCR」検査、日本大使館が見直し求める…米外交官も対象 indexへ

 【北京】中国当局が入国時に課している新型コロナウイルスのPCR検査で、一部の入国者に対して肛門からの検体採取が行われていることについて、在中国日本大使館が採取方法の再検討を中国側に申し入れたことがわかった。日本政府関係者が明らかにした。
 中国は入国の際にPCR検査を義務づけている。これまで鼻や喉から検体を採取していたが、中国メディアなどによると、1月初旬以降、複数の入国地点で肛門での検査が始まった。
 北京の日本大使館はこれに対し、身体的・心理的負担の重さや、日本人や外国人から不満の声が上がっていることなどを踏まえ、中国外務省に見直しを求めたという。米CNNによると、米国務省も、米外交官が対象となっているとして中国側に抗議した。
 中国メディアは、肛門採取の検体は鼻や喉に比べて陽性を示す期間が長く、感染の見落としを減らすことが可能だと伝えている。

◆花粉症・糖尿病の治療薬など自主回収続々…ジェネリック大手「日医工」を行政処分へ indexへ

 富山県は26日、後発医薬品(ジェネリック)製造大手「日医工」(富山市)に対して、3月中にも行政処分を行う方針を固めた。業務停止命令も視野に検討している。昨年から同社が製品の自主回収を相次いで行っていたため、県が調査していた。同社は、東証1部に上場する県内有数の企業として知られる。
 県や同社によると、昨年の同社の調査で、富山第一工場(滑川市)で製造した製品について、成分の管理指標(基準)を超えるなどしていたことが分かった。そのため昨年4月から今年1月にかけ、自主回収を行った。同工場で製造して自主回収した品目は、花粉症などの抗アレルギー薬や消化器系の治療薬、糖尿病治療薬など計75品目に及ぶ。
 現時点で、同社の製品による重篤な健康被害は確認されていない。ただ、県は一連の問題を巡り、同社への調査を継続。今後、県の対応を正式に決定するが、県は「自主回収の品目が多く、生産管理体制に問題があったと言わざるを得ない」(幹部)と問題視しており、医薬品医療機器法に基づき、行政処分に踏み切る方針だ。
 富山市に本社を置く日医工は1965年設立で、後発薬業界大手。手術に必要な抗菌薬「セファゾリン」や新型コロナウイルス治療に使われる抗炎症薬の製造・販売なども手がけている。昨年3月末の従業員数は1954人。
 自主回収が相次いだことについて、同社は「医療関係者、患者の皆様に大変ご迷惑をおかけし、心配させてしまい申し訳ない。関連する自主調査は、品質管理体制の改善につながったと思う。今後も定期的にチェックを継続していく」としている。

◆女性宅にウソ電話「ワクチン接種、今なら1万9千円に」 indexへ

 宮崎県警高千穂署は25日、西臼杵郡の80歳代女性宅に、有料で新型コロナウイルスのワクチン接種が受けられるとする不審電話があったと発表した。女性は同署に相談し、被害はなかった。県警はワクチン接種という言葉で気を引き、不正にお金を詐取しようとするうそ電話詐欺とみており、「接種費用は無料。絶対に応じないでほしい」としている。
 同署によると、24日午後6時頃、女性宅に男から電話があった。男は「新型コロナのワクチンの申し込みをされましたよね」「費用が4万円くらいかかりますが、今なら補助が出て1万9000円になります」などと述べたという。

◆ワクチン外交「将来の交渉有利に」、「中国製」効果に疑問 indexへ

 グローバルファンドの国井修医師と経済産業研究所の藤和彦コンサルティングフェローが24日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、新型コロナウイルスを巡るワクチン外交について議論した。
 国井氏は「最近はソフトパワーが大切になっている。他国へのワクチン支援がうまくいけば、将来、様々な交渉が有利になる」と指摘した。藤氏は、中国製ワクチンの効果に疑問を呈した上で「供給を受ける国も本当に良いワクチンかどうかを選別しており、ワクチン外交の効果は大きくないだろう」との見方を示した。

◆断水6日間、入院患者も非常食で我慢…「宮城病院」外来再開へ indexへ

 最大震度6強の地震の影響で、6日間断水が続いた宮城県山元町の国立病院機構「宮城病院」は、22日に外来診療を再開する予定だ。この間、職員が給水車との間を何度も往復、入院患者約260人に缶詰やレトルトの非常食で我慢してもらうなどして乗り切った。
 13日深夜の揺れで、入院患者は無事だったが、天井のスプリンクラーの配管が壊れ、診察室やレントゲン室の電子カルテを記録する機器や血圧計などが水をかぶって使えなくなった。翌日から外来診療を休止した。
 最も困ったのが断水だ。同町では一時、全世帯の6割にあたる2900世帯に及んだ。町の給水車が3~4時間おきに病院に来てくれたが、入院患者に提供する給食が作れなかった。水を節約するため、備蓄のレトルト食材などを盛る食器は、使い捨ての発泡スチロール製のものを使った。15日に雨が降ると、バケツ20個を玄関などに置き、トイレ用に雨水をためた。
 入浴もできないため、湿らせたタオルで患者の体を拭き、急きょ購入したドライシャンプーを使うなどした。新型コロナウイルスの感染防止のため、家族との面会も禁止されていたところに、地震が起きた。小野恵看護師長(52)は「不安を抱え不眠などのストレス症状の出る患者さんもいた」と話す。9日ぶりの外来診療再開で、大坂雄二管理課長(51)は「地域の人たちに安心してもらえると思う」と語った。

◆ワクチン接種の病院、過去に診療報酬1億6千万円を不正請求…保険医療機関の指定取り消しへ indexへ

 東海北陸厚生局は17日、金沢市古府の「医療法人社団博洋会 藤井病院」が診療報酬約1億5900万円を不正に請求したとして、保険医療機関の指定を取り消すと発表した。新型コロナウイルスの感染が広がる中、入院患者が不利益を受けないよう取り消し日は来年1月1日とした。
 発表によると、同病院は実際より看護師の配置人数や勤務時間を多く届け出るなどして、2016年7月~18年8月分の診療報酬を不正に請求し、受給した。不正の件数は950件に上った。
 記者会見した同法人の藤井博之理事長(74)は、コンプライアンスの欠如や組織統治の問題だったとし、「皆様にご迷惑をかけて申し訳ない」と述べた。
 同病院は新型コロナのワクチン接種を行う医療機関に指定されている。同法人は、別の法人に事業を継承してもらいたいとしている。現時点で約90人の入院患者への影響はない。約150人の医師や看護師らの雇用も維持するとしている。

◆小林化工の薬服用後、意識障害で1日3回の交通事故…男性「処分は当然だし短い」 indexへ

 小林化工の薬を服用し、健康被害が生じた人は239人に上り、うち2人が亡くなっている。信頼を裏切る会社の行為に被害者らは改めて憤りの声を上げた。
 昨年12月に抗菌薬「イトラコナゾール錠50『MEEK』」を服用後、約20時間記憶を失った岐阜県の会社役員女性(30)は9日、読売新聞の取材に「全てを明らかにしてもらわない限り、業務再開は望まない」と語った。
 この薬を使ったのはこのときが初めてで、以来、薬を飲むのが怖くなったという。1月に社員2人が謝罪に訪れたが、不正の詳しい説明はなかったといい、「会社の姿勢にあきれ、不信感でいっぱい」と話した。
 昨年11月に服用後、意識障害で1日3回の交通事故を起こして入院した大阪市の無職男性(55)は「処分は当然。短いくらいだ」と突き放した。同社の薬を10年間服用してきたといい、「信用していたのに、今となっては有効成分が入っていたのか疑問だ」と怒りをにじませた。
 患者にイトラコナゾール錠を処方し、意識障害などの被害に気づいた岐阜県高山市の久保賢介医師(63)も「多数の被害者を出したことや組織としての悪質性を考えると、処分は軽い」と憤り、「厚生労働省は第二、第三の小林化工を生み出さないよう、安全性に関する法的な枠組みを整備すべきだ」と語った。

◆睡眠剤混入の小林化工、116日間の業務停止命令…小林社長は引責辞任の意向 indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)の爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入した問題で、福井県は9日、医薬品医療機器法に基づき、116日間の業務停止命令を出した。同法に基づく業務停止命令としては過去最長で、県は7割超の製品で虚偽の製造記録が作成されるなどの法令違反があり、経営陣が黙認していたと認定した。
 混入があったのは、同社が昨年9~12月に約9万錠を出荷したジェネリック医薬品(後発薬)「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。医師の処方を受け、服用した324人のうち27都道府県の239人が健康被害を訴え、2人が死亡。22人が意識を失うなどして交通事故を起こした。
 県などによると、この薬について、厚生労働省が承認していない工程が記された「裏手順書」が存在。2人で行うべき作業を1人で行い、原料を継ぎ足す際、誤って睡眠導入剤成分を混入させていた。県の立ち入り調査に備えて虚偽の製造記録を記した帳簿(二重帳簿)をつくり、一部で品質試験結果を 捏造していた。
 ほかの薬でも、同様の裏手順書や二重帳簿が遅くとも2005年から存在。同社の製品のうち、二重帳簿は7割超で、承認外の工程で製造されたものも3割超あった。いずれも経営陣や現場責任者は把握しながら黙認していたという。  県は過去の立ち入り調査で虚偽の記録を示され、不正を見抜けなかった。県は9日の記者会見で「会社ぐるみで法令違反が長く続けられてきた」と指摘した。
 本社で同日、記者会見した小林社長は、法令違反を自身も認識していたことを明らかにした上で、「健康被害などを招いた責任は極めて大きい」と謝罪。同社は弁護士らでつくる調査委員会で混入の経緯を調べており、3月までに結果を公表する。
 厚労省によると、医薬品医療機器法に基づく業務停止命令は、2016年に熊本市の「化学 及および血清療法研究所」(当時)に出された110日間が最長だった。

◆「法令より作業効率を優先」小林化工の社長、十数年前から不正を把握 indexへ

 命に関わる医薬品製造での不正を経営トップも黙認していた。睡眠導入剤混入問題で9日、116日間の業務停止命令を受けた製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)。小林広幸社長は十数年前から不正を把握していたと記者会見で明らかにした上で謝罪したが、組織ぐるみで安全を軽視してきた責任は重く、信頼回復は容易ではない。
 9日夕、小林社長はあわら市内の本社で開いた記者会見の冒頭、硬い表情で「劣悪な製品を作ったこと、健康被害を招いたこと、ご遺族、医療従事者の皆様におわびします」と述べ、5回にわたり頭を下げた。
 小林社長によると、不正の把握は製造責任者だった2005~07年頃。厚生労働省が承認していない工程が記された「裏手順書」や、立ち入り調査に備えて虚偽の製造記録を記した帳簿(二重帳簿)の存在を知ったという。
 すぐに正せなかった理由について「会社が販路を拡大しており、一度に大量の製造は止められなかった」と説明。「数年かけて(改めよう)と思ったが、判断は大きな誤りだった」とうなだれた。
 民間信用調査会社などによると、同社は家庭用置き薬の製造販売業として創業し、1961年に株式会社化。小林社長は創業者の孫で、大手製薬会社を経て、94年に入社し、2007年に社長に就任した。記者に「 隠蔽ではないか」と質問されると、「隠してしまったということになるのか……」と苦渋の表情で答え、「法令やルールより作業効率を優先してしまった」と肩を落とした。
 小林社長は再発防止の道筋をつけてから辞任する意向を示し、「ミス防止のシステム導入や社員教育に力を入れる。(再発防止策を)やり遂げる」と強調した。
 睡眠導入剤の成分が混入した薬を処方されたのは344人。同社は全員に一律30万円の「見舞金」を支払った上、事故などの補償も行う考えだ。同社は会見で、うち321人を特定し、220人と補償手続きを進めていることを明らかにした。

◆WHO調査団「ウイルス発生は武漢とは限らない」…「研究所流出説」は否定 indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大の経緯や発生源を探る世界保健機関(WHO)の国際調査団は9日、武漢市での現地調査を終え、中国側と共同で記者会見した。国際調査団は国際社会が注目していた「武漢ウイルス研究所」からの流出説をほぼ否定しつつ、ウイルスが武漢以外の場所で発生した可能性にも言及した。今後、周辺国も含めて調査を続けたい考えという。
 国際調査団を率いる感染症専門家ピーター・ベンエンバレク氏は、人への感染経路について「中間の動物を介した感染が最も可能性がある」とした上で、「ウイルスが発生したのは武漢とは限らない」と述べた。調査団メンバーのマリオン・クープマンス氏によると、「治療に当たった233か所の病院の病例や死亡率から判断した」という。
 ベンエンバレク氏は、武漢で採取された新型コロナの遺伝子配列は「コウモリのものと高い相関がある」とし、ウイルスの起源究明には、中国だけでなく近隣諸国でもコウモリのサンプルを調べる必要があると強調した。
 調査団は人への感染経路について、〈1〉野生動物からの直接感染〈2〉中間の動物を介した感染〈3〉冷凍食品に付着したウイルスからの感染〈4〉武漢ウイルス研究所からの流出による感染――の「四つの仮説」を基に調査に臨んだ。
 ベンエンバレク氏はこのうち、米国のトランプ前政権が流出源の可能性を指摘したウイルス研に関しては「流出源となった可能性は極めて低い。以降は調査の必要はない」と語った。今後は〈1〉~〈3〉の可能性をさらに検討していくという。初期に感染者が集中した「華南海鮮卸売市場」を巡っては、中国政府の主張と同様、「輸入食品のサプライチェーン(供給網)の調査が必要だ」との考えを示した。
 中国側の調査団を率いた梁万年氏は記者会見で「(武漢で感染が拡大した)2019年12月以前に武漢で感染が起きた証拠はない」と述べ、武漢発生説を払拭しようと努めた。さらに「我々は証拠の蓄積を続けてきた。国際調査団にも透明性をもって協力した」と述べ、中国側が調査に制限を設けなかったとも主張した。
     *
 国際調査団の発表は、「発生源が中国とは限らない」とする中国政府の従来の主張をおおむね追認する内容となった。世界的流行の責任追及を警戒する中国側が今後、発表内容を徹底的に利用するのは確実だ。
 ベンエンバレク氏は「起源を遡るのは非常に複雑だ。答えは容易にはみつけられない」と述べ、調査は長引くとの見通しを示した。
 中国がWHOによる本格的な現地調査を約1年認めなかったことが、調査に影を落とした可能性は否定できない。ジュネーブ大グローバルヘルス研究所のアントワーヌ・フラオー所長は、「ウイルスは変異する。調査団の武漢入りは少し遅かったと言わざるを得ない」と批判する。
 WHOの調査権限拡充の必要性も浮き彫りとなった。WHOは、対象国の同意がなければ調査を行えないためだ。実際、WHOは昨年2月と7月にも中国に専門家を派遣したが、武漢の市場などの現地調査は中国側の同意が得られず、実施できなかった。
 調査権限の強化には、全加盟国・地域が参加するWHO年次総会で国際保健規則を変える必要がある。国家主権を重視する中国などが反対するのは確実視されている。フラオー所長は「WHOの機能強化は簡単ではない」と厳しい見方を示している。

◆小林化工の薬服用後、意識障害で1日3回の交通事故…男性「処分は当然だし短 indexへ

 小林化工の薬を服用し、健康被害が生じた人は239人に上り、うち2人が亡くなっている。信頼を裏切る会社の行為に被害者らは改めて憤りの声を上げた。
 昨年12月に抗菌薬「イトラコナゾール錠50『MEEK』」を服用後、約20時間記憶を失った岐阜県の会社役員女性(30)は9日、読売新聞の取材に「全てを明らかにしてもらわない限り、業務再開は望まない」と語った。
 この薬を使ったのはこのときが初めてで、以来、薬を飲むのが怖くなったという。1月に社員2人が謝罪に訪れたが、不正の詳しい説明はなかったといい、「会社の姿勢にあきれ、不信感でいっぱい」と話した。
 昨年11月に服用後、意識障害で1日3回の交通事故を起こして入院した大阪市の無職男性(55)は「処分は当然。短いくらいだ」と突き放した。同社の薬を10年間服用してきたといい、「信用していたのに、今となっては有効成分が入っていたのか疑問だ」と怒りをにじませた。
 患者にイトラコナゾール錠を処方し、意識障害などの被害に気づいた岐阜県高山市の久保賢介医師(63)も「多数の被害者を出したことや組織としての悪質性を考えると、処分は軽い」と憤り、「厚生労働省は第二、第三の小林化工を生み出さないよう、安全性に関する法的な枠組みを整備すべきだ」と語った。

◆スマホアプリ「かぜレコ」で風邪のひきやすさ予測…国立国際医療研究センターがデータを収集 indexへ

 国立国際医療研究センターは、スマートフォンアプリを活用して、生活習慣や気象などと風邪の発症のしやすさを探る臨床研究を始めた。情報収集のため独自に開発したアプリ「かぜレコ」を無料公開して、調査への協力を呼びかけている。
 風邪は急性の呼吸器感染症で、最も身近な病気だが、症状や原因が多様で、疫学的な調査が難しかった。今回の調査では、症状が似ている新型コロナウイルス感染症の流行状況もつかめる可能性があるとしている。
 臨床研究は16歳以上が対象。アプリには事前に性別、平均睡眠時間、運動の頻度、手洗い・うがい・マスクの使用頻度などを登録する。風邪を引いた時には、せき、のどの痛み、鼻水・鼻づまりなどの症状について回答する。アプリでは、登録した地域での風邪の流行状況を確認できる。
 「かぜレコ」は、iPhone(アイフォーン)の「App Store」で、入手できる。アンドロイド端末には4月頃、公開される予定。2024年3月末までに1万人以上のデータを集める計画だ。
 同センター国際感染症センターの寺田麻里研究員は「将来的には気象条件などをもとに、地域ごとに風邪の流行を予測できるようにしていきたい」と話している。

◆最悪「27病院が断り、通報から3時間9分後に病院到着」…「救急たらい回し」急増 indexへ

 救急患者の搬送先が見つからない「救急搬送困難事案」の件数が、緊急事態宣言が発令された11都府県で増えている。読売新聞が11都府県の県庁所在地と政令市の15消防本部(東京消防庁含む)について調べたところ、1月の事案発生件数は前年同期比で2・3倍に増えた。
 新型コロナ患者を受け入れる特定の医療機関の病床が埋まり、医療従事者の手も回らない状態になっていることが背景にある。
 救急搬送困難事案について総務省消防庁は、救急隊が医療機関に急患の受け入れを3回以上断られ、救急車が現場に30分以上とどまるケースと定義している。
 15消防本部の1月(4~31日)の搬送困難事案は計9865件で、前年同期より5676件増えた。事案が最も多い東京都は5720件(前年同期比2・5倍)、大阪市は1048件(同1・7倍)、横浜市は885件(同3・5倍)に増えた。増加率が最も大きいのは川崎市の4・0倍だった。
 千葉市では1月上旬、自宅で転倒した70歳代男性が搬送時に27の病院から断られ、通報から3時間9分後に病院に到着したケースもあった。コロナには感染していなかった。

◆江戸の人々も行動変容「波が去るのをひたすら待つ」…歴史から学ぶ感染症対策 indexへ

 「江戸時代の生活は、いつも病と隣り合わせだった」。仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で4日に開かれた「読売 Bizフォーラム東北」(主催・一般社団法人読売調査研究機構)で講演した日本文学者のロバート・キャンベルさんは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く現代に、過去の知恵を学ぶことの意義を語った。
 国文学研究資料館(東京都立川市)の館長を務めるキャンベルさんは、新型コロナの影響で同館に外部の人を受け入れられなくなった頃、収蔵庫で一人、思索にふける日々が続いた。それが、近代医学の確立以前に日本人が感染症とどう向き合い、社会が再生していったかを考え直すきっかけになったという。
 講演で紹介したのが、江戸後期に起きた天保の大 飢饉の頃に書かれた「豊年教種」。草を食べる際のあく抜きの方法などが記されているといい、「どうやって生き抜くかという知恵を描いた書物で、いわばサバイバルマニュアル。人間の安全を脅かすことが起きたときには知識を共有し、支え合っていたことがわかる」と語った。
 現在では幼少期からワクチンで守られ、感染症の多くを克服しているが、「(江戸時代では)はしかを例にとると、だいたい25年の間に流行が起きる。平均寿命が50歳だとすると、2回くらい。心の備えができるので、記憶から色々なことを思い出すことができる。江戸には江戸の知恵や技術がある」と指摘した。
 その一例が、客の行動。感染症が街を襲うと、ネットもテレビもないのに、人々は流行を察知し、行動を変容させた。「夜の街」も閑散としたといい、「町奉行所が営業停止を言うまでもなく客が引く。波が去るのをひたすら待つというわけです」と、過去の日本人の“自粛"行動を評価した。
 今でも、コロナ感染対策は、営業時間短縮など国民の自粛が基本になっている。「江戸時代も、それぞれの組合や業種、町の人たち、お寺を中心とする自治会のようなものが、ガイドラインを作り、その中で現場にあった課題解決を考え、自粛するという歴史的な経験があった。そんなことを、記録資料から学ぶことができる」と語った。
 宮城県大崎市で旅館などを経営する「サトー」の浅沼政幸副社長(59)は、「過去の歴史を知ることで、自分たちが歩むべき道を歩んでいきたいと思わせる講演だった」と話していた。

◆COCOAの接触通知、昨年9月から機能せず…アンドロイド版770万件 indexへ

 厚生労働省は3日、新型コロナウイルス感染者と接触した可能性を知らせるスマートフォン用アプリ「COCOA(ココア)」について、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」版で昨年9月下旬以降、接触があっても通知されない不具合が続いていたと発表した。アプリの利用者の3割が4か月間にわたり、機能が使えない状態になっていたことになる。同省は陳謝し、今月中旬の復旧を目指す方針を示した。
 田村厚生労働相は同日夜、緊急で記者会見し「大変責任の重いことだと感じている。猛省し、信頼を取り戻すために頑張っていきたい」と頭を下げた。
 厚労省によると、アプリは昨年6月に運用を開始。今月3日現在のダウンロード数は2464万件で、このうちアンドロイド版は約770万件(31%)に上る。
 アプリは、検査で陽性と判明した利用者が保健所から発行された処理番号を登録すると、その人と過去14日間以内に「1メートル以内に15分以上」の接触があったアプリの利用者に、陽性者との接触があったことが通知される仕組みだ。
 発表によると、昨年9月28日に同省の委託業者がアプリを改修した際に不具合が生じた。本来なら接触があったと判定されるべき人も、接触なしと誤って判断する設定になっていた。このため改修後のアプリを利用する人には接触通知が届いていなかった。
 利用者から「感染した人と接触したはずなのに通知が来ていない」との指摘がSNSなどで相次ぎ、業者が今年1月に改めて確認し、不具合が判明した。
 厚労省は業者に品質管理の徹底を指示するとともに、今後、アプリの動作検証を行う専門家を増員して再発防止を図る。
 アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」版では、同様の不具合は起きていない。
 ココアを巡っては、接触通知が来てアプリを開いても「接触は確認されませんでした」と表示されたり、検査で陽性となった人がうまく登録できなかったりする不具合がたびたび発生し、これまで計7回の改修を行っている。
 厚労省のオンラインシステムでは、「雇用調整助成金」の申請でも、申請者の個人情報を他人が閲覧できる状態になるなど2度のトラブルが起きた。
 ◆ COCOA(ココア) =新型コロナの感染拡大防止のため厚生労働省が昨年6月に導入したスマホ用の接触確認アプリ。水際対策で入国者にアプリのダウンロードを要請しているほか、飲食店やイベント会場でも利用を促している。これまでにアプリで感染したことを登録した人は1万人。名前は「COVID‐19 Contact Confirming Application」の略。

◆救急患者の搬送先30分以上決まらず、心肺停止2件…感染拡大で病床逼迫 indexへ

 名古屋市消防局は25日、今月22日と24日に、救急患者の受け入れ先が30分以上決まらず、搬送中に心肺停止に陥った事案が計2件あったと発表した。同市は新型コロナウイルスの感染拡大による市内の病床の 逼迫が背景にあるとみている。患者は最終的に市外の医療機関に搬送されたという。
 同局によると、心肺停止になったのは、70歳代女性と60歳代男性。ともに新型コロナ感染が疑われる症状はなかった。搬送先が決まるまで、それぞれ36分と30分かかり、搬送先に到着した時には、救急要請から1時間以上が経過していた。
 ベッド満床やスタッフ不足などの理由で、女性は8か所、男性は10か所の医療機関に受け入れを断られていた。2人の容体は明らかにされていない。
 新型コロナ患者の入院調整を担当する市感染症対策室の担当者は「一般医療にも影響が出ないよう、病床の調整に努める」と述べた。

◆「コロナに効く」と未承認漢方薬を計26万円で販売疑い…「ワンコイン漢方」薬剤師を書類送検 indexへ

 新型コロナウイルスに効くとうたって未承認の漢方薬を販売したなどとして、警視庁は26日、東京都中野区の漢方薬局「馬場香嶺堂薬局」と、薬剤師の宮本篤代表(68)(東京都墨田区)を医薬品医療機器法違反(無許可販売など)容疑で書類送検した。昨年1~9月に約1万6700袋を販売し、約830万円を売り上げたとみている。
 発表によると、宮本代表は昨年2~9月、未承認の漢方薬「 清肺排毒湯せいはいはいどくとう 」などについて、薬局内で「中国国家中医薬管理局が新型コロナに効果があると発表した」と宣伝し、埼玉、神奈川、福岡県在住の30~50歳代の男女3人に計約520袋を約26万円で販売するなどした疑い。
 清肺排毒湯などは自分で調合しており、「人助けをしたかった」と供述しているが、必要な生薬が抜けていたという。健康被害は確認されていない。
 同薬局は、500円で漢方薬を調剤する「ワンコイン漢方」として、テレビ番組で取り上げられていた。

◆ワクチンの「副反応」、「副作用」と違うの? indexへ

 Q 副反応とは。
 A ワクチンの接種によって体に免疫反応が起こり、感染症の発生や重症化を防ぐ免疫ができる。接種時に、有害な反応が起きることがあり、これを副反応と呼ぶ。
 Q 副反応は、副作用とはどう違うのか。
 A 薬やワクチンの使用後に起きる、期待されたものと異なる有害な影響という意味では同じだ。治療に使う薬では「副作用」と呼び、ワクチンの場合は「副反応」と分けて呼ばれる。英語では同じ「side effect」という言葉が使われるのが一般的だが、日本では薬害の歴史などもあり、より厳密な使い分けが進んだとみられる。
 Q 新型コロナウイルスのワクチンの副反応には、どんなものがあるのか。
 A 軽いものとしては、接種後に筋肉痛や頭痛、 倦怠けんたい 感などがある。重いものでは「アナフィラキシー反応」と呼ばれるアレルギー症状が報告されている。米疾病対策センター(CDC)の集計によると、昨年12月23日までに米国で米製薬大手ファイザーのワクチンを1回接種した約190万人のうち、21人にアナフィラキシー反応が起きた。20人は回復し、1人の容体は確認できていない。同様の症状がワクチンの接種後に起きる割合は、一般に100万人に1人とされるが、この集計時点では約9万人に1人だった。
 Q 副反応の情報は、どのように集めるのか。
 A はしかなど定期接種のワクチンの場合は、副反応が疑われる症状がわかった場合、医療機関から国への報告が予防接種法で義務付けられている。因果関係がわからないものも含めて幅広く集めるため、「副反応疑い」として報告される。その後、専門家の意見も踏まえて因果関係を調べ、安全対策に生かしている。

◆水虫薬の製造に「裏手順書」…小林化工で十数年前から indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、この薬について国の承認とは異なる製造手順を記した「裏手順書」が十数年前から製造現場で使われていたことが、関係者への取材でわかった。県は違法な手順による製造が常態化し、健康被害につながった事態を重く見て、医薬品医療機器法に基づき、同社に対し業務停止命令を出す方向で検討している。
 県は今月中にも同社に処分の方針を伝える。弁明の機会を設け、来月中旬にも正式に処分する。厚生労働省によると、同法に基づく製薬会社への業務停止命令は、2016年に国の承認外の方法で血液製剤などを製造した熊本市の「化学 及および 血清療法研究所(化血研)」に出された110日間が最長で、県はこれと同程度の処分とする考えだ。
 睡眠導入剤成分が混入したのは、04年7月に販売が開始された「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。関係者によると、国が承認した手順書では、薬の主成分を全て1回で入れることになっているが、「裏手順書」では2度に分けて入れると記載されていた。錠剤を固まりやすくするためとみられ、製造現場で十数年前から採用されていたという。
 問題の薬では、従業員が主成分を2度目に入れようとして、睡眠導入剤成分と取り違えていた。主成分と睡眠導入剤成分は、同じ棚の上下に並べて置かれていた。社内規定では2人1組でチェックすることになっていたが、守られず、出荷前のサンプル検査で異物混入の可能性を示すデータを検出しながら、見逃していた。
 県は同社に対し、年に2~4回程度の立ち入り調査を行ってきたが、その際は国が承認した正規の手順書のみが示されていた。
 問題の薬は20年夏に製造され、約9万錠が出荷された。服用した患者324人の6割超の214人が意識消失などの健康被害を訴えた。このうち2人が死亡し、意識を失うなどして22人が交通事故を起こしている。

◆深夜の路上、背後から女性の首絞めた男「コロナでバイト収入減ってムシャクシャ」 indexへ

 警視庁葛飾署は22日、住所不定、職業不詳熊田正昭容疑者(44)を殺人未遂容疑で逮捕したと発表した。逮捕は21日。
 葛飾署幹部によると、熊田容疑者は昨年7月6日午前1時頃、葛飾区東新小岩の路上で、徒歩で帰宅途中の会社員女性(23)に後ろから近づき、首を腕で絞めて殺害しようとした疑い。女性は首に全治2週間のけがを負った。
 熊田容疑者は逃走したが、周辺の防犯カメラの捜査で浮上。「新型コロナの影響でアルバイトの収入が減り、むしゃくしゃしていた」と容疑を認めているという。

◆TVに出ないで・感染拡大の責任取って…倉持医師の診療所に貼り紙 indexへ

 新型コロナウイルスについてテレビなどメディアで情報発信している倉持仁医師(48)が院長を務める「インターパーク倉持呼吸器内科」(宇都宮市)に、カッターの刃が送りつけられていたことが、倉持医師や栃木県警への取材でわかった。相談を受けた宇都宮南署は、脅迫の疑いも視野に調べている。
 倉持医師によると、14日にカッターの刃が入った封筒が診療所宛てに届いた。文書などは入っておらず、封筒の差出人には、日本医師会の幹部とみられる名前が記されていたという。
TVに出ないで・感染拡大の責任取って…倉持医師の診療所に貼り紙
診療所の駐車場のポールに貼られていた紙(倉持医師提供)
 17日には、診療所の駐車場のポール3本に「コロナが拡大したのは、インターパーク内科がTVに出たため」「責任とって下さい」などと中傷する紙が貼られているのが見つかった。また、診療所と名称が似ている県内の別の医療機関から、同様の被害があったと連絡もあったという。
 倉持医師は「医療機関の使命感から、診療や情報発信を行っている。病院や個人として今後の対応を変えることはないが、こういうやり方は危険で、怒りしか湧かない」と憤る。その上で「意見の違いはあり、一般の方の意見が参考になったこともある。建設的な意見は頂きたい」と話した。

◆がん研、患者の同意得ず採血…140人分の同意書不明で臨床研究中止 indexへ

 がん研有明病院(東京都江東区)は14日、がん細胞由来の血液中の物質を調べる臨床研究で、患者の同意を得ずに採血していたと発表した。病院側は倫理指針に反するとして研究の中止を指示し、再発防止策をまとめた報告書を厚生労働相に提出した。
 同病院によると、研究は2018年7月から始まり、通常診療での採血に合わせ、研究のために採血していた。採血した256人のうち、140人分は採血前に研究への参加に関する同意を得られていなかったり、同意書が保管されていなかったりした。19年11月に医師から申告があり、判明した。

◆東京都内の新規感染者、週6000人超が当日に入院先など決まらず…前週から倍増 indexへ

 新型コロナウイルス対策を検討する厚生労働省の助言機関が13日開かれた。東京都内で今月3~9日の1週間に、新規感染者のうち、当日中に入院先や療養先が決まらず調整中となった人が計6000人を超え、前週から倍増したとのデータが示された。保健所関係者の委員がまとめた。
 助言機関は「東京では、医療提供体制が非常に厳しい状況が継続、保健所での入院調整はさらに厳しさが増している」との見解を示した。

◆自宅療養の感染者死亡、知事「職員による観察体制そろそろ限界」 indexへ

 新型コロナに感染して自宅療養していた横浜市の60歳代男性が死亡したことを受け、神奈川県の黒岩知事は9日、県庁で記者団の取材に応じ、「健康観察や安否確認の体制を強化してきたが痛恨の極み。心からおわび申し上げたい」と陳謝した。今後、第三者委員会で検証していく。
 県などによると、男性は一人暮らしで、3日に陽性と判明。4日に県職員が聞き取った血中酸素濃度は通常を下回っていたが再測定ができないまま経過観察とした。その後、連絡が取れなくなり、6日に自宅で倒れているのを親族が発見し、搬送先の医療機関で死亡が確認されたという。
 黒岩知事は、データの入力漏れなどから安否確認や自宅訪問が行われなかったとし、「入力データの点検を徹底するなど直ちにできることは実施する」と説明。一方で、感染者の急増に伴い「職員による健康観察の体制はそろそろ限界と感じている」とも述べ、外部人材の活用などを検討していく考えを示した。

◆日本発のリウマチ薬、コロナ治療に有効…英政府が発表 indexへ

英政府は7日、関節リウマチの治療薬「トシリズマブ」と「サリルマブ」が新型コロナウイルスの治療に有効であると発表した。トシリズマブは岸本忠三・元大阪大学長と中外製薬が開発し、「アクテムラ」の商品名で知られる。
 英政府が支援した臨床研究で効果が分かった。集中治療室の患者に対して抗炎症薬「デキサメタゾン」の投与など通常の治療をした場合の死亡率は35・8%だったのに対し、搬送から24時間以内にトシリズマブなども追加で使った場合は27・3%まで低下した。
 この結果、二つの薬を追加で投与した場合に死亡リスクが24%下がると結論づけられ、患者が集中治療室に入る期間も7~10日間短縮できたという。英国では今後、集中治療室に運ばれた患者に対して使用する。

◆女児に「コロナの検査、警察だから安心して」…車庫に連れ込み下半身触った男逮捕 indexへ

 岡山県警水島署は8日、倉敷市連島町連島、会社員の男(30)をわいせつ誘拐と強制わいせつの容疑で逮捕した。
 発表では、男は昨年12月29日午後3時頃、同市内の路上で、県南部に住む小学生女児に「コロナの検査をする。警察だから安心して」などとうそをつき、女児を民家車庫に連れ込み、下半身を触るなどした疑い。容疑を否認している。
 女児は解放された直後に近くにいた母親に報告。母親が110番した。

◆コロナで受診控え、歯の病気「悪化」68% indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大で、院内感染などへの懸念から医療機関での受診を控える動きが出ているが、医科よりも歯科でその傾向が顕著であることが、岩手県保険医協会のアンケート調査でわかった。
 調査は昨年9月23日~10月31日、県内で開業医を営む医科317人、歯科344人に実施。それぞれ68人(21%)、66人(19%)から回答を得た。  受診を控えることで病状が悪化したと思う事例の有無を尋ねると、「あった」と回答したのは医科が5人(7%)だった一方、歯科は45人(68%)に上った。
 具体的な状況を聞くと、医科では糖尿病やアトピー性皮膚炎などの患者が受診の中断で症状が悪化したケースが報告された。歯科では歯周病の悪化が32例と最多で、受診の中断で虫歯が進行し、抜歯などに至ったケースも27例あった。
 歯科で受診控えの傾向が顕著であることについて同協会は、歯の治療は、ほかの治療より優先順位が低くなりがちなことがあるとみている。ただ、歯の症状が悪化してから受診する傾向があるといい、同協会は「受診控えはさらなる病状悪化につながる。自己判断で受診を控えず、かかりつけ医に相談して早期に適切な受診をしてほしい」と呼びかけている。

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 「新型コロナウイルスのワクチンを接種できる」とウソを言い、現金を要求する不審電話が東京都内で相次いでいることがわかった。警視庁は、コロナ禍に便乗した新手の詐欺とみて、注意を呼びかけている。
 警視庁幹部によると、6日午後、目黒区の80歳代女性宅に「感染症対策係」を名乗る男から「高齢者はワクチンを打てる。予約金10万円を振り込んで」と電話があった。女性が不審に思い、目黒署に通報した。
 目黒区では同日、別の高齢者宅2軒にも同様の不審電話があったという。警視庁は「接種予約はまだ始まっておらず、電話を受けたらすぐに警察に通報してほしい」としている。

◆母親の羊水にがん細胞、初泣きで吸い込んだ子が肺がん発症 indexへ

 国立がん研究センターは7日、母親の子宮 頸 がんの細胞が出産時に移行し、2人の男児が肺がんを発症した事例があったと発表した。こうしたケースの確認は世界で初めてとしている。研究成果は、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。
母親の羊水にがん細胞、初泣きで吸い込んだ子が肺がん発症
 研究チームは、2人の男児に見つかった肺がんの細胞から、本人のものではない遺伝子を発見した。いずれの母親も出産後、子宮頸がんと診断されていたため調べたところ、男児と母親のがん細胞の遺伝情報が一致したことから、がんの移行がわかったという。
 子どもが肺がんを患うことは極めてまれだ。同センターは、子どもが生まれて初めて泣いた時に、母親のがん細胞が混じった羊水を吸い込み、肺に広がったとみている。
 2人のうち1人は、がんに対する免疫の攻撃力を活性化する薬で、がんがほとんど消えた。母親由来のがん細胞のため体内で異物と認識されやすく、薬が効果的だった可能性があるという。もう1人は手術でがんを取り除いた。
 国立がん研究センター中央病院の小川千登世・小児腫瘍科長は「極めて珍しい事例だが、検診や予防接種で子宮頸がんを予防していくことが重要だ」と話している。
 横浜市立大産婦人科の宮城悦子教授の話「母親のがんが、子どもに移行したことは衝撃的だ。出産前のがん検診の精度を高めていくことも必要だ」

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 福岡県は6日、県内の新型コロナウイルス感染者約9500人分の氏名などの個人情報が漏えいしていたと発表した。第三者の男性1人にメールを誤送信したためで、これまでに感染が確認された県内のほぼ全員分の情報を男性が閲覧できる状態となっていた。情報の拡散は現時点で確認されていないが、県はほかにも漏えいがなかったかどうか調査を進めている。
 発表によると、閲覧可能となっていたのは、感染者の氏名のほか、年齢、居住地、症状など。県は入院の調整業務を円滑に行うため、これらの情報を昨年4月からインターネット上の専用ファイルで管理し、県の感染症対策本部や受け入れ先の医療機関の関係者らの間で共有していた。県が許可したり、URL(ネット上の住所)を知らせたりした人に限り、アクセスして閲覧できる仕組みとなっていた。
 しかし、対策本部の医療関係者が昨年11月30日、ファイルの閲覧許可を付与したメールを誤って男性に送信した。本来送付すべき相手と男性のアドレスは酷似していたという。
 県は同日中に男性から連絡を受けたが、アクセス制限などの対応が十分ではなく、その後もURLを知っていれば関係者以外でも閲覧できる状態が続いていた。6日に外部から指摘を受け、すべてのファイルを削除した。
 飯田幸生・県保健医療介護部長は記者会見し、「対象者に速やかに事実関係をお知らせし謝罪するとともに、再発防止策を早急に検討する」と述べた。

◆水虫薬混入の睡眠剤、同じ棚で保管…小林化工「形状異なり一般的な感覚では間違えない」 indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、本来入れるべき有効成分の容器と混入した成分の容器が、同じ棚の上下に並べて置かれていたことが、同社関係者への取材でわかった。用途の異なる原料がごく近くで保管されていたことになり、関係者は「ヒューマンエラーを起こしやすい状態だった」と危険性を指摘している。
 同社によると、有効成分を入れていたのは「高さ1メートル弱の大きな紙製のドラム缶」、睡眠導入剤成分は「小さく平たい缶」と大きさや形が全く異なっていた。同社は「一般的な感覚では間違えないレベル」と説明しており、同社が設置した調査委員会が取り違えの経緯を調べている。
 同社は4日、問題の薬を処方された患者の人数を、これまでの364人から344人に修正した。処方された人のうち、実際に服用した人が324人だったことも判明。服用して健康被害を訴えた人は207人、交通事故に遭った人は22人となった。

◆水虫治療薬に睡眠剤混入、入社数年の若手が作業か…「記憶がはっきりしない」と説明 indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、当時作業にあたったのは入社数年の若手男性従業員とみられることが、関係者への取材でわかった。従業員は「記憶がはっきりしない」との趣旨の説明をしており、弁護士ら第三者による調査委員会が原因を調べている。
 同社によると、睡眠導入剤成分は今年夏、薬の製造過程で主成分を補充する際、取り違えて混入した。出荷前のサンプル検査でも、異物混入が疑われるわずかな異常データを検出しながら、そのまま出荷していた。
 同社の小林広幸社長は、これまでの取材に対して「一般的な感覚では間違えない。なぜ取り違えたのか疑問だ」と話していた。

◆自費検査が可能な400機関のリストをウェブ公表…厚労省 indexへ

 厚生労働省は28日、新型コロナウイルスの検査を自費で受けられる検査機関のリストをウェブサイトで公表した。38都道府県の約400か所分を掲載した。自費検査は価格や精度のばらつきが指摘され、厚労省はリストを検査機関選びに活用してもらいたい考えだ。
 公表したのは、厚労省の調査に25日までに回答した医療機関や、医療機関と提携する検査会社。連絡先や費用、検査時間、精度を管理する責任者の配置、海外渡航用の陰性証明書の交付などの情報を並べた。厚労省はリストを随時更新し、情報公開を検査の質の向上につなげたいとしている。
 リストは厚労省のサイト( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-jihikensa_00001.html )で見られる。

◆水虫薬に睡眠剤混入、被害31人増え216人に…交通事故は1件増の23件 indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、同社は27日、健康被害を訴えた人が前日より31人増え、216人になったと発表した。薬を処方された364人の約6割に上る。同社は「医療機関からまとめて報告があったため」と説明している。
 服用後、意識を失うなどして起きた交通事故は1件増の23件となった。健康被害を訴えた人のうち、入院したか救急搬送された患者は37人。患者2人が死亡している。
 同社は、混入のあった「イトラコナゾール錠50『MEEK』」と、同錠の「100」「200」シリーズの計3品目のほか、厚生労働省の立ち入り調査の際に作業手順の再確認を求められたなどとして、高血圧の治療薬など16品目を自主回収している。問い合わせは同社学術部(0120・093・291)。

◆米軍基地、日本人従業員に未承認ワクチンの希望者募る indexへ

 沖縄県の米軍嘉手納基地(沖縄市など)で働く日本人従業員に対し、米軍側が新型コロナウイルスのワクチン接種希望者を募っていたことがわかった。基地従業員らでつくる全駐留軍労働組合沖縄地区本部は、日本ではワクチンが未承認であることを踏まえて接種の見送りを指示した。
 防衛省などによると、米軍側から今月中旬、基地従業員の一部に対し、ワクチン接種について口頭で説明があった。同省などは全駐労から接種の是非を確認され、「国内ではワクチンは未承認で、政府として副作用への補償が難しいので受けるべきではない」との見解を伝えたという。
 在日米軍は今月20日、米バイオ企業モデルナが開発したワクチンの緊急使用が許可されたのを受け、同基地や米海軍横須賀基地など全国各地で接種を始めると発表していた。沖縄県では26日現在、米軍関係者684人と基地従業員39人の感染が確認されている。

◆感染の20代東京地検事務官、自宅待機破り私用で福岡へ…高速バス利用 indexへ

 東京地検は26日、新型コロナウイルスに感染した20歳代の男性事務官が東京都内の自宅での待機を指導されていたにもかかわらず、私用で福岡市に出かけていたと発表した。高速バスで移動したという。山元裕史・次席検事は「極めて不適切な行為。関係機関に情報提供して適切に対応したい」と陳謝した。
 発表によると、事務官は捜査部門に所属。17日に感染が判明し、保健所が27日まで自宅で待機するよう指導していた。職員が事務官と連絡を取る中で無断外出が判明し、25日夜に福岡市に滞在していることを確認したという。
 山元次席検事は取材に「事務官には、滞在先から移動せず、人との接触も避けるよう指示した」とする一方、移動日や目的については「プライベートな事柄だ」として説明しなかった。

◆インフル患者数、昨年の「1500分の1」…専門家「油断できない」 indexへ

 インフルエンザの患者数が、昨年同期の1500分の1という極めて低い水準となっている。危惧されていた新型コロナウイルスとの同時流行は、今のところ起こっていない。
インフル患者数、昨年の「1500分の1」…専門家「油断できない」
 厚生労働省の発表では、20日までの1週間で全国約5000か所の医療機関から報告された患者数は70人(1医療機関あたり0・01人)で、昨年同期の10万5221人(同21・22人)に比べ1500分の1に激減している。
 秋以降ずっと低水準が続いている要因について、専門家は、新型コロナの感染拡大でマスクの着用や手洗いの徹底、3密の回避といった対策が行われ、海外との往来が減少している影響が大きいとみる。
 インフルエンザは新型コロナと同様、 飛沫 や接触でうつるが、ワクチンがあり、免疫がある人もいるため、広がりにくいとみられる。南半球の冬に流行し、北半球に広がることが多いが、今年は南半球でも患者が激減。海外との行き来も減ったことで、流入が少ないという。
 谷口清州・国立病院機構三重病院臨床研究部長は「今季は検査してもウイルスが検出されないケースがほとんどだが、油断できない。年末年始も基本的な対策をとり、新型コロナとともにインフルエンザを防いでもらいたい」としている。

◆コロナ下での全校集会に激高、教諭がガラスたたき割る indexへ

 鳥取県教委は24日、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に全校集会の開催に反対し、激高して学校のガラスを割ったとして、鳥取市立中の男性教諭(44)を戒告の懲戒処分にした。
 発表によると、教諭は7月31日午前8時30分頃、同中の玄関ドア横のガラスを右手で2度たたいて割った。
 この日は、同40分から体育館で夏休み前の全校集会が行われることになっていたが、職員室で教諭は「コロナなのに人が集まるのはどうか」と主張。教頭が感染防止策として換気や生徒間の距離を十分取ることなどを伝えたところ、「休暇を取る」と言い残して玄関に向かった。教頭が呼び止めて出席を促すと、怒り出してガラスを突き破ったという。
 この際、教諭は右腕に12針縫うけがを負い、学校の119番で救急搬送された。県教委は信用失墜行為に当たると判断。教諭は「迷惑をかけ、申し訳なかった」と反省しているという。

◆給付金詐欺、計279人を摘発…詐取額は2億1200万円 indexへ

 新型コロナウイルスの影響で収入が減った個人事業主らを支援する国の持続化給付金について、警察庁は24日、今月18日までに39都道府県警が計279人を詐欺容疑(未遂を含む)で摘発したと発表した。詐取額は摘発分だけで計約2億1200万円に上った。
 中小企業庁の集計では、持続化給付金の支給件数は21日現在、約395万件で、支給額は約5兆2000億円。大学生や別の仕事を持つ人が個人事業主などを装って不正受給するケースが後を絶たず、全国の警察が摘発を強化している。

◆心筋梗塞の持病ある患者、感染判明後に「すぐ入院不要」と帰宅させる…自宅で死亡 indexへ

 広島県と広島、呉、福山各市は20日、計98人の新型コロナウイルス感染者を確認したと発表した。広島市では患者2人の死亡も確認。県内の感染者は延べ2299人、死者は計15人となった。
 県と広島市によると、亡くなった2人のうち1人は60歳代で自宅療養中だった。患者は13日に感染が判明。14日に受診した県立広島病院が直ちに入院が必要な状態ではないと判断したため、帰宅した。しかし、同病院から報告を受けた県は、患者に心筋 梗塞 などの持病があったことから、15日の入院準備を進めていたが、同日午前に自宅で死亡が確認された。
 広島市では20日、80人の感染を確認。市教委はこれまでに児童らの感染が判明した市立小学校3校を消毒などのため、22日まで臨時休校とした。
 福山市は20~50歳代の4人。うち40歳代の1人は寺岡記念病院(福山市新市町)の職員で、同病院のクラスター(感染集団)は計57人となった。呉市では、児童と生徒各1人を含む5人の感染を発表した。県によると、廿日市市などで計9人が判明し、クラスターが発生した東広島市の高齢者施設では新たに4人が感染した。

◆ワクチン接種始まるなら…場所・予約状況の案内サイト開設へ indexへ

 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が国内で始まった場合、接種を受け付けている医療機関の場所や予約状況などを案内するウェブサイトを開設することを明らかにした。希望者が特定の接種会場に集中しないようにする狙いがある。
 サイト内で自治体名を選ぶと、医療機関や公民館などの会場名が一覧で示される。予約の空き状況や連絡先、接種できるワクチンの種類などを確認できるようにする予定だ。ワクチンの安全性や有効性などの情報も紹介する。
 新型コロナのワクチンは、接種や流通での混乱を避けるため、国や自治体が配分量を決めることになっている。厚労省は、自治体やメーカー、医療機関などからワクチンの供給や配分に関する情報を集約できるようにするシステムの整備を進めている。案内サイトは、そのシステムの情報を生かして、運用される。

◆睡眠薬混入、出荷前検査で異常データ「わずかだったため気付けなかった」 indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、同社が出荷前のサンプル検査で異物混入が疑われるデータを検出していたことがわかった。同社は「わずかな反応だったため気付けなかった。チェックが厳密だったのか検証したい」としている。健康被害を訴える人は15日午前0時現在、146人だという。
 薬は、今年9~12月に出荷した「イトラコナゾール錠50『MEEK』」約9万錠で、1錠あたり5ミリ・グラムの睡眠導入剤成分「リルマザホン塩酸塩水和物」が混入した。31都道府県の364人に処方され、このうち首都圏の病院に入院中の70歳代の女性が死亡した。
 同社によると、出荷前に行ったサンプル検査は、薬の含有成分を調べるもの。検査機器の画面に表示された波形が、水虫薬の有効成分よりも小さく、睡眠導入剤成分を示すものだった可能性が浮上している。
 薬の服用などに関する問い合わせは同社学術部(0120・093・291)。

◆小林化工、水虫薬以外に医薬品14品目を自主回収…検査が不十分と指摘 indexへ
 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、同社は24日夜、製造・販売する高血圧の治療薬など14品目を新たに自主回収すると発表した。同社は「(国などから)検査に不十分な点があったと指摘を受けた」としている。同社が製造し、別の会社が販売した数品目についても、販売会社が自主回収する。
 小林化工はこれまで、混入が判明した「イトラコナゾール錠50『MEEK』」に加え、同錠の「100」「200」シリーズを自主回収している。
 同社によると、新たに自主回収する14品目は、厚生労働省や福井県が21、22日に立ち入り調査を実施した際、作業手順の再確認などを求められた医薬品。2018年2月~今月に出荷され、いずれも医師の処方箋が必要という。
 そのうちの一つで局所麻酔に使う「アネトカインゼリー2%」については、同社の品質検査で異常が検出されたが、再検査で問題がなかったため、異常を検証せずに出荷していた。
 同社は「重篤な健康被害の恐れはないと考えているが、安全性に万全を期すため回収する」としている。
 回収対象の医薬品リストは、小林化工や独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」のホームページに掲載されている。

◆小林化工、承認外の手順で薬製造も…立ち入り調査の厚労省「あり得ない状況」 indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、同社が既に自主回収をしている薬品のほかにも、厚生労働省が承認していない手順で製造された薬があることが、福井県などの調査でわかった。厚労省と県は21日午前、医薬品医療機器法に基づき、同社への立ち入り調査を始め、業務停止命令も含めた行政処分を検討する。
 睡眠導入剤が混入したのは「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。今年9~12月に出荷した約9万錠に、1回の最大投与量の2・5倍となる1錠あたり5ミリ・グラムの睡眠導入剤成分「リルマザホン塩酸塩水和物」が混入した。服用した156人(20日現在)が健康被害を訴え、2人が死亡。意識を失うなどして起きた交通事故も22件(同)確認されている。
 薬は厚労省の承認を得ていない工程で製造され、従業員が原料をつぎ足す際、睡眠導入剤成分を取り違えて入れたとみられる。出荷前に成分を調べるサンプル検査で異物混入が疑われるデータが検出されたが、見過ごされていた。同社は「イトラコナゾール錠50」に加え、同錠の「100」「200」両シリーズについても国の承認を得ない工程で製造されたとして、自主回収を進めている。
 調査中に記者団の取材に応じた厚労省監視指導・麻薬対策課の田中徹課長によると、県の調査で、他にも国が未承認の工程で製造された医薬品があったことが判明したという。田中課長は「あり得ない状況で、医薬品業界全体の問題として極めて重大な事案と受け止めている。厳正に調査をするが、業務停止命令は免れないだろう」と話した。
 調査には医薬品の承認審査を担う独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」も加わり、22日まで実施する予定。

◆水虫薬服用と70代女性死亡に「因果関係」…小林化工が認める indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、この薬を服用して今月10日に死亡した70歳代の女性について、同社は服用と死亡との因果関係を認める調査結果をまとめた。近く、厚生労働省に報告する。同社関係者が取材に明らかにした。
 薬は「イトラコナゾール錠50『MEEK』」で、今年9~12月に出荷した約9万錠に1回の最大投与量を上回る睡眠導入剤成分が混入した。女性は死亡当時、首都圏の病院に入院中。関係者によると、同社は主治医に服用前後の健康状態を聞き取るなどし、主治医の見解なども踏まえ、「因果関係がある」と結論づけたという。

◆五つ子妊娠、減胎手術ミスで1人も出産できず…医療法人に55万円賠償命令 indexへ

 不妊治療で五つ子を妊娠し、胎児の数を減らす手術を受けた際、医師のミスで一人も出産できなかったとして、大阪府内の夫婦が府内の医療法人に約2300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、大阪高裁であった。西川知一郎裁判長は、請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更した上で、慰謝料など55万円の支払いを命じた。
 判決によると、妻は2015年6月、法人運営の病院で五つ子の妊娠が判明。医師から「5人を産むのは困難」として、2人を残す減胎手術を勧められた。胎児に針を刺し、薬を注入して心停止させる手法を採用。2回の手術で2人に減らしたが、この2人も流産した。
 高裁は、再手術時に海外などの減胎手術で多く使われている針より太いものを使った上、通常なら数回で済む注射を約30回実施したと指摘。「母体の危険防止に必要な注意義務に反した」として、妻の精神的苦痛を認めた。手術と流産の因果関係は否定した。

◆水虫薬に睡眠剤混入、2人目の死者…入院中の80代男性 indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、同社は17日、服用した80歳代の男性が11月23日に死亡していたと発表した。服用者で死亡が確認されたのは2人目。
 同社は、問題の薬を処方された患者全員に一律30万円の慰謝料を支払うほか、健康被害があった患者の治療費や事故への補償も行うと発表。第三者の専門家による調査委員会を設置して原因究明を進める。
 同社によると、死亡した男性は中部地方の病院に入院中だった。服用により軽い意識障害があったが、別の疾患があったことに加え、服用をやめてから一定期間後に死亡しており、同社は男性の主治医の見解として「服用と死亡との因果関係は薄い」としている。
 問題の薬は、医師の処方箋が必要な「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。今年9~12月に出荷した約9万錠に、1錠あたり5ミリ・グラムの睡眠導入剤成分「リルマザホン塩酸塩水和物」が混入していた。1回あたりの最大投与量の2・5倍にあたる。処方されたのは31都道府県の364人で、健康被害を訴えた人は157人(17日午前0時現在)。今月10日には、首都圏の病院に入院中だった70歳代の女性が死亡している。
 服用によって意識を失うなどして起きた交通事故は20件(同)となり、同社は17日、「人身事故もあった」と初めて明らかにした。事故で少なくとも1人が骨折したとしているが、詳細は明らかにしていない。

◆水虫薬に睡眠導入剤「入れた」記録の帳簿…県は行政処分検討 indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入した問題で、製造過程で従業員がこの成分を入れたと記録していたことが、福井県への取材でわかった。記録がありながら、同社は混入に気づかず出荷しており、県は品質管理が不十分だった可能性があるとみて行政処分を検討している。
 県によると、同社への立ち入り調査の結果、主成分を記載する帳簿に、本来含まれない睡眠導入剤成分を示す番号が記されていた。
 問題の薬は、同社が今年9~12月に出荷した「イトラコナゾール錠50『MEEK』」約9万錠。1錠あたり5ミリ・グラムの睡眠導入剤成分「リルマザホン塩酸塩水和物」が混入し、服用した70歳代の女性が死亡した。同社によると、16日午前0時時点で、健康被害を訴える人が前日から8人増えて154人、このうち入院や救急搬送の患者も2人増えて35人となった。
 同社は14日から、製造する全289製品の出荷を一時停止。再開の時期は未定という。
 問い合わせは同社学術部(0120・093・291)。

◆甘い判断・試算軽視・ピーク期読み違え…大阪「医療非常事態」宣言に indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大で「医療非常事態」を宣言した大阪府で病床の 逼迫が続いている。独自基準「大阪モデル」の赤信号を点灯させたが、まだ感染者数の低減の兆しはない。ここに至った経緯からは、過去の対策の成功ゆえの判断の甘さ、試算の軽視、感染のピーク期の読み違えなど複合的な要因が浮かぶ。
成功体験 判断甘く
 大阪府で感染拡大の傾向が顕著になったのは10月末。「大阪都構想」の住民投票が大詰めの頃だ。1日あたりの平均感染者数(1週間平均)が100人を超え、上昇カーブは明確だった。
 しかし府が最初に動いたのは11月12日。この日の平均感染者数は既に「第2波」のピークに迫る184・4人で、夏に時短・休業の要請に踏み切った水準だった。
 吉村洋文知事が呼びかけたのも「静かに飲食」で、夏の「5人以上での飲食自粛」より弱い内容だった。
 吉村知事の判断の背景を、府幹部は「過去2回の波を経験し、経済との両立でも乗り切れるとの判断があった」と語る。春夏の感染の波は、府が動くと減少傾向に転じた。感染者数が一定程度増えれば、府民の行動が慎重になるとの見方もあった。
 だが行楽シーズンもあって人出は減らず、感染者数は増大。同27日には大阪市の一部に「時短営業」を求めざるを得なかった。既に重症病床(206床)の使用率は50%超。約1週間後には赤信号の基準の70%を超えることが確実となり、点灯に追い込まれた。
 赤信号の点灯の可能性は早い段階で示唆されていた。11月18日の大 阪府の庁内会議。健康医療部は、最悪の場合、12月1日に重症病床使用率が70%を超え、同8日には最大限確保できる病床数を上回るとの分析を示した。と はいえ危機感は共有されなかった。これまで試算が当たらなかったからだ。「第1波」の3月、吉村知事は、国から1週間の感染者数が大阪府と兵庫県で計 3000人超になるとの試算を示され、兵庫県との往来自粛を要請。実際に大阪での感染者数は最大で週440人にとどまった。
 また「第2波」の7月には健康医療部が重症者数が8月半ばに194人に達すると試算したが、結果的にピーク時でも72人。府幹部は「最悪のシナリオを回避し続けたことが、判断の遅れになった」と明かす。
ピーク期 読み違え
 大阪府の重症病床の使用率は11日現在、75・2%。人口約880万人の大阪府で206床という水準は、東京都(人口約1400万人)が最大確保できると見込む500床には及ばないが、神奈川県(同約920万人)の200床と遜色はない。
 それでも病床数が不足するのは、他地域より感染拡大が進んでいるためだ。
 人口10万人あたりの感染者数(3~9日累計)は27・27人と全国で最多。神奈川県(12・75人)はもちろん、医療の逼迫が指摘される東京都(22・38人)や北海道(25・01人)をも上回る。
 また206床のうち約20床は他の患者が入院するなどし、まだ使えない。受け入れ可能な病床(188床)の使用率は82・4%だ。
 府は11月19日、各病院に206床の病床が全て使えるよう準備を求めたが、冬場で心疾患などの重症者も増え、対応が遅れている。
 府が警戒のピークを例年、インフルエンザが広がる12月下旬から1月と見込んでいたことも影響した。
 春から計画してきた重症者用プレハブ病棟「大阪コロナ重症センター」は15日からようやく稼働するが、看護師の確保が進まず、国や他の自治体に支援を要請する事態になった。
 1日あたりの平均感染者数は12月に入り、横ばいだが、これから下 がるのか、上昇に向かう「踊り場」なのかは見通せない。府庁内には、時短営業の解除を探る声もあるが、重症患者を受け入れる近畿大病院の東田有智病院長は 「府の要請で病床も増やし、人繰りもぎりぎりの状況。いまはブレーキをかけてもらわないと困る」とくぎを刺した。
新たな病床1床に1000万円…大阪市 協力金支給へ
 大阪市の松井一郎市長は11日、新型コロナウイルスの入院患者を受け入れる病床を新たに整備した市内の医療機関に対し、1床あたり1000万円の協力金を支給すると発表した。軽症・中等症用が中心になるとみられ、年内に100床の確保を目標とする。
 松井市長は市役所で記者団に、「(新型コロナは)軽症から中等症に 急激に進む場合もある。自宅やホテルでケアしにくい患者を受け入れる病床を募集する」と述べた。大阪府では「医療非常事態宣言」が今月3日に出されてい る。協力金の支給対象は4~31日に、病床を新たに整備した市内の医療機関で、来年3月末まで継続して運用することが条件となる。府によると、10日現 在、重症から軽症までの府内の運用病床1319床のうち、市内には約3割、405床がある。
 一方、府内でこれまでに判明した患者約2万4000人のうち市内は約1万2000人と約半数に上り、病床数と患者の発生状況が釣り合っていない。また、年末年始は医療機関の受け入れ態勢が縮小することが予想され、新たな病床の確保が急務となっている。

◆睡眠薬混入「重大な過失」、水虫薬メーカー謝罪…死者は70代女性 indexへ

 爪水虫などの治療薬約9万錠に睡眠導入剤成分が混入し、製造した製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が自主回収している問題で、同社は12日、薬を服用して首都圏の病院に入院していた70歳代女性が10日に死亡したと 発表した。死者が確認されたのは初めて。同社は死亡と服用の因果関係などを調べており、12日午後、小林広幸社長が問題について謝罪した。
 同社は問題の錠剤を処方された大阪府など31都道府県の患者364人 を特定、服用しないように求めた。11日午前0時現在、133人が健康被害を訴え、入院したか救急搬送された患者は34人(退院者を含む)に上る。車を運 転中に意識を失うなどして起きた物損事故も16件確認されている。
 同社によると、薬は「イトラコナゾール錠50『MEEK』」で、服用には医師の処方箋が必要。今年9~12月の出荷分に、1錠あたり5ミリ・グラムの睡眠導入剤成分「リルマザホン塩酸塩水和物」が混入していた。
 福井県によると、同社は製造の過程で減った薬の成分を補充しており、その際に従業員が誤って睡眠導入剤の成分を混入したという。県は、医薬品医療機器法違反の可能性があるとみて調査している。
 1錠に混入された睡眠導入剤成分は1回あたりの最大投与量の2・5倍。1日8錠服用する人もおり、その場合は20倍に相当する。大量に服用すると、副作用のリスクが高まり、意識がもうろうとするなどの状態に陥る恐れもあるという。
 船山信次・日本薬科大特任教授(薬学)は「亡くなった患者の状態を可能な限り明らかにする必要がある」と指摘している。  小林社長は混入について「重大な過失を犯し、深くおわびする」と話した。問い合わせは同社学術部(0120・093・291)。

◆睡眠導入剤混入の水虫薬、服用した1人死亡…健康被害訴え128人に indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬「イトラコナゾール錠50『MEEK』」に睡眠導入剤成分が混入し、自主回収が進められている問題で、同社は11日、薬を服用した1人が10日に死亡したと発表した。
 この薬は医師の処方箋を必要とし、市販はされていない。10日午後5時時点で、全国で計128人が健康被害を訴え、車を運転中に意識を失うなどして起きた物損事故も計14件確認されている。死者は初めて。
 同社は「患者様が亡くなったことを極めて重く受け止め、心より深くおわび申しあげる」とのコメントを発表した。現在、死因がこの薬の副作用によるものだったかなどを調べているという。
 同社によると、健康被害が確認された薬のロット番号は「T0EG08」。今年6~7月に製造され、9~12月に出荷された約9万錠に、睡眠導入剤の成分「リルマザホン塩酸塩水和物」が混入していた。
 同成分が混入した錠剤を処方された患者は364人で、薬を受け取った薬局などの所在地は全国31都道府県に上る。内訳は大阪府58人、徳島県57人、岐阜県49人、東京都35人など。問い合わせは同社学術部(0120・093・291)へ。

◆運転中に意識失い物損事故も…水虫薬に睡眠剤成分混入、113人が健康被害訴え indexへ

 爪水虫などの治療薬約9万錠に睡眠導入剤成分が混入し、製造した製薬 会社「小林化工」(福井県あわら市)が自主回収している問題で、健康被害を訴えている人が計113人となった。同社が10日、明らかにした。車を運転中に 意識を失うなどして起きた物損事故も計14件となった。
 同社によると、113人が服用したのは「イトラコナゾール錠50『MEEK』」で、健康被害が確認された薬のロット番号は「T0EG08」。
 問い合わせは同社学術部(0120・093・291)へ。

◆賞味期限切れ飲料、JR観光列車「べるもんた」で販売 indexへ

 城端・氷見線活性化推進協議会は8日、JR西日本の観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」(愛称・べるもんた) の車内で販売した350ミリ・リットル入りのペットボトル飲料242本のうち、賞味期限切れのものが48本混入していたと発表した。乗客の指摘で判明し た。今のところ健康被害の報告はないという。
 同協議会によると、期限切れ商品は11月8~29日に同車内で販売され、車内での食事のセットにも付いていた。賞味期限はいずれも8月26日で、商品名は明らかにしていない。同協議会が販売業者「ビーライン」(富山市)に販売を委託していた。
 同協議会事務局(富山県高岡市総合交通課)は「受託業者には在庫管理の徹底と再発防止を指導した。ご心配、ご不安をおかけし深くおわびする」などとしている。問い合わせは、ビーラインお客様相談室(076・422・3222)へ。

◆医薬品談合、公取委が執行役員ら7人を告発「悪質だ」 indexへ

 独立行政法人「地域医療機能推進機構」(東京)の医薬品発注を巡る談 合事件で、公正取引委員会は9日午前、医薬品卸大手3社と、執行役員を含む各社の担当者7人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に告発し た。東京地検特捜部は3社を起訴し、7人を在宅起訴する見通し。公取委の告発は2018年3月のリニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件以来。
 公取委は告発理由について「生活に欠かせない医薬品の入札談合は全国民に影響が及ぶ可能性があり、悪質だ」としている。
 発表によると、告発された3社は「アルフレッサ」、「東邦薬品」(い ずれも東京)、「スズケン」(愛知)。7人はアルフレッサの五味信幸執行役員(62)やスズケンの中原岳志常務執行役員(61)、東邦薬品病院統括部の部 長(50)ら(肩書はいずれも2016年や18年当時)。
 3社とともに公取委や特捜部の捜索を受けた「メディセオ」(東京)は、同法の課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づいて最初に違反を自主申告したとみられ、担当者を含め、告発は見送られた。
 発表によると、3社は16年と18年、機構が発注した医薬品の入札に関し、担当者らが都内の貸会議室などに集まって事前に受注割合を決めるなどし、談合した疑い。
 機構は、運営する57病院で使う約7000~8000種類の医薬品を2年に1度、一括調達しており、16、18年の入札は4社のみが参加していた。
 公取委は昨年11月、4社の強制調査を実施。特捜部も今年10月、公取委と合同で4社の本社や医薬品卸の業界団体を捜索していた。

◆爪水虫の治療薬に睡眠導入剤成分、9万錠回収…運転中に意識失い事故起こした人も indexへ

 製薬会社「小林化工」(福井県)は、爪水虫など皮膚病の治療薬「イトラコナゾール錠50『MEEK』」の9~12月の出荷分約9万錠に、睡眠導入剤の成分を誤って混入していたとして自主回収すると発表した。
  同社によると、この治療薬は医師の処方箋が必要で市販されていない。4日までに大阪府と佐賀、岐阜、秋田各県の医療機関を受診し、薬を処方された男女計 13人(2~77歳)から意識消失などの副作用が出た。1人が入院し、別の2人は車を運転中に意識を失って物損事故を起こしていた。
 12月に入り、医療機関に患者から「意識がもうろうとする」などの連絡が相次ぎ、同社が調べたところ、本来含まれない睡眠導入剤の成分「リルマザホン塩酸塩水和物」が混入していることが判明した。
 同社は「製造に関わった従業員のミスで、チェックもできていなかった」と説明している。治療薬には、通常の睡眠導入剤1回あたりの約2・5倍の量が混入していたという。
 同社は4日、厚生労働省などに経緯を報告。自主回収の対象は、ロット番号「T0EG08」。問い合わせは、同社学術部(0120・37・0690)。

◆新型コロナ後遺症、「日常生活に戻れず困っている人たくさん」 indexへ

 厚生労働大臣政務官で医師の大隈和英氏、自治医科大付属さいたま医療センター集中治療部部長の讃井将満氏が4日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、新型コロナウイルスに感染した後に起こる後遺症について議論した。
 後遺症については、けん怠感や集中力低下などの症状が報告されてい る。讃井氏は「非常に多彩な症状が出る。日常生活になかなか戻れずに困っている人が、たくさんいることがわかってきた。原因は、まだはっきりしない」と説 明。大隈氏は「うつ症状など精神的に悩む場合もある。無症状で経過した人が、あとから症状が出た場合、どう対応すべきかというのも問題だ」と指摘した。

◆クラスター発生の病院側、市を名指しで批判…「対応遅く」患者転院できず indexへ

 新型コロナウイルスのクラスター(感染集団)が発生した慶友会吉田病院(北海道旭川市)を運営する医療法人のトップが、感染拡大の経緯を公表する中で旭川市などの対応を名指しで批判したことが波紋を呼んでいる。
 医療法人社団慶友会の吉田良子理事長は1日付で署名付きの文書をホー ムページ(HP)上に投稿。市保健所の対応が遅く、感染症指定医療機関ではない同病院に患者がとどまる事態になったと主張。また、市に対し、院内の医療支 援のため自衛隊の派遣を道に依頼してほしいと要請したが却下されたことなどで、院内感染が拡大したとしている。
 これに対し、西川将人市長は2日の記者会見で「自衛隊派遣の要請については道の見解に従った」と話した。市保健所も、市はできる範囲で患者の転院先を探したと主張。同病院の入院患者は基礎疾患を持つ高齢者が大半を占め、「患者の状況を鑑みると、転院は容易でない。他の病院からの拒否もある中、市は全力で調整を重ねた」と説明した。
 吉田病院は旭川医科大学病院についても、同病院の感染患者の受け入れ拒否で転院が遅れたとHPで批判。
 これに対し旭川医大病院は、「元々は重症者を受け入れる役割を担っていた。11月以降の感染拡大を受け、現在は吉田病院の患者を含めた感染者の受け入れ体制を強化している」とした。吉田病院では3日までに計167人の感染が判明した。

◆未認証の体温計など宣伝、中国人の男を逮捕…通常より高い数字出る粗悪品 indexへ

 医療機器として未認証の赤外線体温計などを宣伝したとして、警視庁は3日、中国籍で東京都江戸川区北小岩、職業不詳の 男(35)を医薬品医療機器法違反(認証前医療機器の広告)容疑で逮捕したと発表した。4月以降、新型コロナウイルスの影響で品薄になった体温計など約 5800点を中国から輸入して販売し、約2000万円を売り上げたとみている。
 警視庁幹部によると、男は6~7月、いずれも未認証の赤外線体温計や血中酸素濃度を測る「パルスオキシメーター」を通販サイトで宣伝した疑い。逮捕は1日。「生活の足しにしたかった」と容疑を認めている。体温計は通常より0・6度~2度高い数字が出る粗悪品だった。

◆女性医師殺害、元山形大生に懲役20年求刑 indexへ

 山形県東根市のマンションで2019年5月、住人の眼科医師矢口智恵美さん(当時50歳)を殺害したとして、殺人と住居侵入の罪に問われた山形市東原町、元山形大生(今年3月に退学処分)加藤紘貴被告(25)の裁判員裁判が3日、山形地裁(今井理裁判長)であり、検察側は懲役20年を求刑した。弁護側は情状酌量を求めた。同日結審し、判決は11日の予定。
 起訴状などによると、加藤被告は19年5月19日午前5時20分頃、マンション2階の無施錠だった矢口さん方に侵入し、廊下にあったゴルフクラブで矢口さんの頭などを殴って殺害したとされる。矢口さんは一人暮らしで、当時大学4年の加藤被告と面識はなかった。
 これまでの公判で、検察側は、加藤被告が事件前に周辺のアパートも物色しており、性的欲求を満たすために侵入したと指摘。頭部を複数回殴っており、殺意があったとしている。
 一方、弁護側は殺意を否定。事件当時は抗うつ剤の服用と飲酒の影響で、心神耗弱状態だったと主張しているほか、殴ったのは、居間で矢口さんと鉢合わせとなってパニックになったためだとしている。

◆感染者の男「道に迷った」と面会者装い病院抜け出す…温泉施設や勤務先へ indexへ

 新型コロナウイルスに感染して入院した病院を抜け出し、感染を隠して温泉入浴施設に入って業務を妨害したとして、埼玉 県警は2日、同県春日部市の建築業の男(49)を偽計業務妨害と建造物侵入の両容疑で逮捕した。捜査関係者によると、男は看護師に面会者を装って「道に 迷った。出してほしい」とうそを言い、病院を抜け出したとみられるという。
 発表によると、男は7月31日午前、新型コロナに感染していることを隠して同県川越市の温泉入浴施設に入り、職員に消 毒や風評被害による苦情の対応などをさせるなどして業務を妨害した疑い。調べに「川越市内で用事があり、時間があったので風呂に入ろうと思った。何も言わ なければ、施設はわかるはずがないと思った」などと供述しているという。
 県によると、男は7月16日に感染が判明し、県内の病院に入院。同30日夜に病院を無断で抜け出し、タクシーで自宅に戻った後、31日未明には県内の勤務先にも立ち寄っていた。

◆個人事業主と偽り、給付金200万円詐取…国立印刷局の2職員逮捕へ indexへ

 新型コロナウイルスの影響で収入が減った中小事業者に支給される国の 「持続化給付金」をだまし取ったとして、警視庁は、独立行政法人国立印刷局(東京都港区)の20歳と21歳の職員の男2人について、詐欺容疑で逮捕状を 取った。2日にも逮捕する。警視庁は、2人のうち21歳の職員が同僚数人を含む数十人に不正を指南したとみている。
 捜査関係者によると、2人は6月頃、それぞれ自分が個人事業主だと偽 り、新型コロナの影響で収入が前年より大幅に減ったとする虚偽の売り上げ台帳や確定申告書を作成。中小企業庁の専用サイトから申請手続きを行い、持続化給 付金計200万円をだまし取った疑いが持たれている。
 21歳の職員がSNSで知り合った人物から不正受給の手口を教わり、同僚の20歳職員を誘って給付金の申請手続きをしたという。  警視庁はこの21歳の職員が6~8月頃、20歳代の同僚数人を含む知人ら数十人に不正の手口を教え、計数千万円を詐取させた上、一部を手数料として受け取っていたとみている。
 国立印刷局は、紙幣や切手、パスポートなどの印刷を行う独立行政法人で、職員は国家公務員。国家公務員による同給付金詐取の摘発は初めて。
 持続化給付金の詐取を巡っては、大阪府警が1日に大阪国税局OBの元税理士を逮捕。沖縄県警も先月、沖縄タイムス社の元社員を逮捕するなど、不正が全国に広がっている。

◆感染隠して入浴施設でシャワー、職場にも立ち寄った男を逮捕 indexへ

 新型コロナウイルスに感染して入院した病院を抜け出し、感染を隠して温泉入浴施設に入って業務を妨害したとして、埼玉県警が2日、同県春日部市の男(49)を偽計業務妨害などの容疑で逮捕したことが捜査関係者への取材で分かった。
 捜査関係者によると、男は7月31日午前、新型コロナに感染していることを告げずに、同県川越市の温泉入浴施設に入り、職員に消毒させるなどして業務を妨害した疑い。
 県の発表によると、男は7月16日に感染が判明し、県内の病院に入院。同30日夜に病院を無断で抜け出し、タクシーで自宅に戻り、県内の勤務先にも立ち寄っていた。
 家族の届け出を受けて、警察官が同31日午前、入浴施設周辺にいる男を確認した。男は当時、「仕事の進み具合が心配だった。入浴施設ではシャワーを浴びたが、浴槽にはつかっていない」と話したという。

◆医師が国道で47キロ超過、同じ病院の女性看護職員は県道で32キロ超過…懲戒処分 indexへ

 山形県病院事業局は30日、道路交通法違反(速度超過)で摘発された県立新庄病院の30歳代男性医師と40歳代女性看護職員を戒告の懲戒処分にした。
  発表によると、男性医師は9月、乗用車で出勤途中に、村山市本飯田の国道13号を時速107キロで走行し、法定速度(60キロ)を47キロ上回る速度違反 で摘発された。女性看護職員も5月、乗用車で退勤途中に庄内町狩川の県道で、法定速度(40キロ)を32キロ上回る時速72キロで走行していた。
 2人とも免許停止処分と、山形と鶴岡の簡裁から罰金の略式命令を受けた。

◆強制不妊手術で国への賠償請求棄却…大阪地裁、旧優生保護法は「憲法違反」 indexへ

  旧優生保護法に基づく不妊手術を強制されたとして、障害を抱える近畿地方の70~80歳代の男女3人が国に計5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が 30日、大阪地裁であった。林潤裁判長は旧法を憲法違反としたが、賠償請求権は時間の経過で消滅したと判断、3人の請求を棄却した。
 旧法を巡る訴訟は8地裁1支部に起こされ、すでに仙台、東京両地裁で判決が出ている。違憲判断は仙台地裁に続き2例目。一方で、両地裁と同様、この日の判決も損害賠償請求権は20年で消えるとする民法の規定「除斥期間」が原告の壁となった。
 訴状によると、原告のうち知的障害のある女性(77)は1965年頃、母親に連れて行かれた病院で不妊手術を受けたと主張。残る2人は聴覚障害を持つ夫婦で、70歳代の妻が74年に第1子の長女を出産した際、同意なく不妊手術をされたとしていた。

◆わいせつ行為で生徒自殺、教員免許失効を官報掲載せず…懲戒免職になったのに indexへ

 2013年に沖縄県で当時中学3年生だった女子生徒が男性教員からわいせつ行為を受け、その1年後に自殺した問題で、 沖縄県教育委員会が、わいせつ行為で懲戒免職処分となり、教員免許を失効した男性教員について、失効情報を官報に掲載していなかったことがわかった。教員 免許法では官報掲載を義務づけており、同教委は「なぜ掲載が漏れたのか、早急に調査したい」としている。
 教員免許法では、懲戒免職などで教員免許が失効した教員について、教委が官報に氏名や免許状の種類などを公告しなくてはならないと定めている。
  沖縄県教委は14年3月19日付で男性教員を懲戒免職処分とし、教員免許が失効したが、官報に掲載していなかった。教員免許は失効から原則3年で再取得で きる。男性教員はその後、教職には就いていないが、同県教委の担当者は「本来なら失効時にきちんと掲載すべきだった。当時の対応を確認し、文部科学省にも 報告したい」と話している。
 わいせつ行為で処分を受ける教員が増えていることから、文科省は各教委の採用時の 参考にしてもらうため、過去40年間に懲戒免職処分などを受けて官報に掲載された教員約4000人分の情報が検索できるシステムを来年2月に導入する。官 報掲載に漏れがあれば教委が過去の処分に気付かないおそれもあり、文科省の担当者は「掲載の周知徹底を図りたい」としている。

◆市販のお茶に「コロナ無害化の効果」…カテキンが関係する可能性、教授が指摘 indexへ

 市販のお茶に新型コロナウイルスを不活化(無害化)する効果があると、奈良県立医大(橿原市)が27日、発表した。30分でほぼウイルスが不活化したお茶もあった。飲料メーカーに結果を伝え、より不活化させる力が高い銘柄を見つけ、商品名を公表する。
 実験したのは、市販されているペットボトル入りの緑茶2種類、茶葉から入れた紅茶と大和茶の計4種類。ウイルスが入った液体を混合し、作用を調べた。その結果、30分後に紅茶は99・99%、大和茶は99・9%までウイルスが減少。ペットボトルでは緑茶1種類も99%まで減り、別の緑茶はあまり変化がなかった。
 ボトル入りのお茶や茶葉など数百種類以上から無作為で選んでおり、矢野 寿一教授(微生物感染症学)は「感染力を失わせる能力が高いお茶とそうではないお茶があった」と説明。不活化する仕組みは不明だが、お茶に含まれるカテキンが関係する可能性を指摘した。
 飲用しての感染予防効果は検証していない。MBT(医学を基礎とするまちづくり)研究所の細井 裕司所長は「会食時にコロナ対策ができる可能性がある。今後、不活化のメカニズムなどを明らかにしたい」と話した。

◆キャバ嬢に給付金申請させて詐取、店長ら逮捕…暴力団に流れた可能性も indexへ

 新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を支援する国の「持続化給付金」をだまし取ったとして、静岡県警静岡南署と県警組織犯罪対策課などは24日、静岡市駿河区東静岡、キャバクラ店経営者(46)と駿河区広野、キャバクラ店店長(36)を詐欺の疑いで逮捕した。県警は、虚偽申請で得た給付金が暴力団に流れていた可能性も視野に調べている。
 発表によると、両容疑者は8月下旬頃、運営するキャバクラ店に勤めるホステス女性を、給付対象の個人事業主であるかのように装って必要書類を準備させ、虚偽の申請をして持続化給付金100万円をだまし取った疑い。県警は認否を明らかにしていない。
 両容疑者は女性に指示して個人事業主として確定申告をさせ、申告後に受け取った必要書類で8月中旬頃に給付金を申請したとみられる。給付金は女性個人の口座に振り込まれていた。
 この店には20人ほどの従業員がおり、同じ時期に同様の申請が複数あった。両容疑者は申請の手数料名目として、従業員から給付額の約2~3割を受け取っていたという。持続化給付金の不正受給容疑を巡る逮捕は県内で初めてで、県警は24日、関係先を捜索した。

◆市議「この若造が」、女性職員にマスク着用求められ…大便入り検体袋を投げる indexへ

 岡山県赤磐市の行本恭庸市議(73)が、マスクの着用を求めた市職員に対し威圧的な言動を行ったとして、市が市議会に対応を求める申し入れ書を提出し、受理されたことが分かった。提出は17日付。
 市などによると、行本市議が4日、市が管理する「熊山保健福祉総合センター」を検診で訪れた際、受付の女性職員から新型コロナウイルス対策でマスクを着用するよう求められた。行本市議は「検体を出すだけなのにマスクがいるのか、この若造が」などとどなり、大便が入った検体袋を机に投げつけたとしている。市は職務の妨げとなるうえ、市議としての品位を欠く行為として、市議会側に申し入れを行ったという。
 行本市議は取材に「投げつけたのではなく、放っただけ。事前に検体を提出してすぐ帰ることを伝えており、相手にも落ち度がある」と説明し、「威圧するつもりはなかったが、反省している」と話した。行本市議は市役所のトイレで清掃業務を行っていた福祉事業所の職員らに対し高圧的な言動を取ったとして、9月、議会で辞職勧告決議案が可決されている。
 また、同市の市議を巡っては、市教育委員会が勤務実態のない臨時職員に給与を支払っていた問題に関わった疑いがあるとして、市が別の市議を背任容疑で告訴。相次ぐ不祥事を受け、市は職員への不当な要求や行為を防止するための条例案を市議会に提出している。

◆感染女性に「陰性」、無感染の男性に「陽性」と誤通知…県が謝罪 indexへ

 山口県は24日、岩国市の男女2人に対し、新型コロナウイルスの検査結果を誤って通知していたと発表した。県は19日に男性が陽性で女性が陰性だと通知していたが、実際は反対だった。県は2人に謝罪した。
 発表によると、2人はいずれも会社員で、男性は40歳代、女性は60歳代。女性はすでに感染が判明している同市の男性2人の濃厚接触者で、12日に発熱やせきなどの症状が出ていた。
 19日にPCR検査を行った県環境保健センターの職員が、2人の検査結果を名簿に転記する際に記入欄を取り違え、県はその名簿を基に通知していた。センター職員が検査結果のデータを整理していて誤りに気付いた。
 再度検査を行ったところ、女性は陽性で、男性は陰性だった。女性は軽症で、発症前後の濃厚接触者はいないという。同センターは「チェック体制を強化し、再発防止に努める」としている。

◆大病院の5割「医療事故」届け出ゼロ…第三者「なかったのかどうか分析必要」 indexへ

 医療機関に患者の予期せぬ死亡事故の届け出を義務づけた医療事故調査制度で、第三者機関「日本医療安全調査機構」は24日、2015年の制度開始から5年の届け出が計1847件だったと発表した。一般的に病床が多いほど医療事故も増える傾向にあるが、全国の400床以上の大病院の5割がこの5年間で一度も届け出をしていない。機構は「果たして医療事故がなかったのかどうか、分析が必要だ」としている。
 厚生労働省は当初、年間1300~2000件の届け出を見込んだが、1~4年目は360~390件で推移し、5年目も347件にとどまった。同機構は「医療機関や医師会に制度の重要性が十分に伝わっていない可能性がある」と分析する。
 病床規模別では400床以上の408施設の届け出はゼロ。一方、900床以上の大規模な病院は8割に当たる42施設が届け出た。
 届け出には地域差もある。100万人当たりの年間の届け出は宮崎県が最多の5・6件、最少は山梨県の1・2件だった。同機構は「医療機関の意識に地域差があるのは大きな問題だ」として医師会への周知を強化する。

◆教員からわいせつ行為、命絶った女子生徒の母「慕う気持ち利用…許せない」 indexへ

 沖縄県で2013年、当時中学3年生だった女子生徒が男性教員からわいせつ行為を受け、その1年後に自ら命を絶っていたことがわかった。女子生徒は亡くなる直前まで、教員についての苦悩を医師に打ち明けていた。その死から6年。深い喪失感を抱えて生きてきた母親が今月、読売新聞の取材に応じ、「娘がどれだけ悩み、大きな傷を負ったかを知ってほしい」と言葉を絞り出した
過呼吸や突然の涙、心身不調に
 亡くなったのは、那覇市内の高校1年生の女子生徒(当時16歳)。
 那覇市教育委員会の報告書などによると、女子生徒は市立中3年だった13年11月14日、男性教員に理科の準備室に呼ばれ、突然キスをされた。女子生徒は泣きだし、過呼吸状態となった。女子生徒の友人から話を聞いて事態を把握した学校側は、男性教員に事実を確認した上で、校長らが母親(41)に謝罪した。
 男性教員は、女子生徒が入部していた部活動の副顧問だった。当時、女子生徒を含め3人の女子部員が早朝に学習指導を受けていたが、その日はたまたま女子生徒1人が参加していた。
 その後の調査で、男性教員はキス以外にも▽膝に乗せ、後ろから抱きかかえる▽休日に女子生徒をドライブに誘い、抱きしめる▽女子生徒のスカートの下に手を入れてお尻をたたく――などのわいせつ行為を女子生徒に繰り返していたことが発覚。男性教員はほどなくして休職し、14年3月に懲戒免職処分を受けた。
 一方、女子生徒は家でも過呼吸などの症状が出て、13年11月から心療内科を受診していた。母親によると、キスされた後の診察では「教員への怒りと、自分のせいで教員に迷惑をかけてしまったという罪悪感で気持ちが不安定な状態が続いている」と医師から伝えられたという。
 男性教員の休職後も女子生徒は別の病院で治療を続け、「急性ストレス反応」との診断を受けている。
 最後の受診は、高校1年だった14年12月4日。母親が開示を受けた当時のカルテには、〈先生との出来事は仲の良い友達しか知らないと思っていたが、友人から「みんな知っていて、うわさになっていた」と聞いた〉〈11月頃から(教員とのことが)思い起こされ、泣くことも多い〉と記され、女子生徒が悩んでいたことがうかがえる。
 約3週間後の12月29日、女子生徒は自宅のベランダから飛び降りて亡くなった。
手に傷、何本も
 「娘は男性教員を慕っていた。その気持ちにつけ込んだことが許せない」。最愛の娘を失った母親の怒りは今なお消えない。
 シングルマザーとして女子生徒を育ててきた母親によると、友人に囲まれ、学校生活を楽しんでいるかに見えた女子生徒は、わいせつ行為を受けた頃から気持ちが不安定になった。
 女子生徒は睡眠薬を服用するようになり、体重は42キロから35キロに急減。「娘は穏やかな性格だったが、声を荒らげたり、物を投げたりするようになった」と母親は言う。
 女子生徒の死後、「先生のことを思い出すと苦しくなるから、自分の手をかきむしってしまう」と友人に打ち明けていたことを知った。かつての動画を見返すと、笑顔で料理する女子生徒の手の甲には何本ものひっかき傷があった。「心配するので私にはあまり言わなかったのだと思う。守ってあげるのが親なのに」。母親は自らを責める。
 娘の死がつらく、この6年間、母親は積極的には語ってこなかった。しかし教員によるわいせつ事案が全国で後を絶たない現状に、「黙っていてはいけない」と考えたという。母親は「『たかがキス』では済まされない。教員の行為が子供にどんなに重大な影響を与えるか、広く考えてほしい」と訴えている。
  性的被害を受けた子供の心のケアなどに携わる武蔵野大の藤森和美教授(臨床心理学)の話 「性暴力被害は、子供の心に深いトラウマを残す。『心配をかけたくない』という子供なりの優しさや気遣いから、大丈夫そうに振る舞っていても、本人は苦しみ続けているケースは多い。トラウマの回復には長い時間がかかることを周囲が理解し、支援を続けることが大切だ」
元教員「なぜあんなことを」
 懲戒免職となった元教員の男性は沖縄県内で読売新聞の取材に応じ、「なぜあんなことをしたのか。時を戻せるなら戻したい」とうつむいた。
 那覇市教委の担当者は「服務規律が守られていなかった。教員への監督指導を徹底するよう校長ら管理職に求めている」と話した。
教員からわいせつな行為を受けた方、お子さんが被害に遭ったという保護者の方、「許すな」取材班までご連絡ください。メールアドレスは sos@yomiuri.com 。郵便は〒100-8055 読売新聞社会部 ファクスは03・3217・8363
 不安や悩みの相談は、こころの健康相談統一ダイヤル(0570・064・556)へ。

◆胃がん検診で肺にバリウム入った女性、救急搬送されず…死亡との因果関係調べる indexへ

 公益財団法人「ふくおか公衆衛生推進機構」は20日、前身の「県すこやか健康事業団」が2015年8月に福岡市西区で実施した胃がん検診で、女性(当時73歳)がバリウムを飲んだ際に誤って肺に入ったが、救急搬送されなかったことを明らかにした。女性は今年8月に死亡しており、機構は因果関係を調べている。
 機構によると、市内を巡回する集団検診の一環で、女性は介助スタッフの前でバリウムを飲み、胸部の検査を受けた。その際、放射線技師が肺にバリウムがあるのを確認。スタッフが付き添い、タクシーで付近の医療機関まで移動したが、バリウムは取り除けなかった。さらに、別の医療機関に移動したが、ここでも除去できなかったという。
 機構は救急搬送しなかった理由について「救急車を呼ぶより、近くの病院に向かった方が早いと判断した」と説明。遺族と示談交渉中といい、「今後も(死亡との)因果関係を調べる」としている。

◆非常用発電に切り替え忘れ、手術室が停電…県立病院で手術2件中断 indexへ

 県立宮崎病院(宮崎市)で2日に院内が8時間あまり停電したことについて、同病院は20日、屋外の配電線と病院構内をつなぐ引き込み線を覆っている部分が一部破れ、雨水が入って漏電したことが原因とみられると発表した。停電発生後、職員が非常用発電装置に手動で切り替える作業を失念したことで、手術室などへの停電につながったことも明らかにした。
 同病院によると、停電は2日午後1時15分頃に発生し、同9時40分頃に復旧した。この間、外来の受け入れを取りやめたほか、調理などができなくなり、入院患者には非常食を出した。手術室への電力供給も止まり、2件の手術を中断し、後日、改めて手術した。
 同病院では停電が起きた際、バッテリー式の電源装置が作動し、手術室などへの電力供給が続けられる。その後、より安定して電力が供給できる非常用発電装置に自動で切り替わるが、この日は何らかの理由で切り替わらなかった。こうした場合、職員らが手動で切り替える手はずになっていたが、当日はそれを行わなかった。
 同病院は「手動で切り替えていれば手術室などの電源喪失は防げた」としており、切り替えが行われない際は警報で通知されるようシステムを改良したという。

◆大学共通テスト、マスク着用しないと受験できず…フェースシールドのみは不可ぐ indexへ

 大学入試センターは20日、来年1月に実施する「大学入学共通テスト」の受験上の注意事項を公表した。新型コロナウイルスの感染予防対策として、受験生に試験場内で常にマスクを正しく着用することを求め、フェースシールドやマウスシールドの着用のみでは受験できないと明記した。
 受験生には、マスクの常時着用と予備を含めたマスクの持参を求めた。感覚過敏などで着用が難しい場合は事前申請が必要となる。マスクを着用せずに受験はできず、追試験での対応となるとした。
 また、試験の7日程度前から毎朝体温を測り、味覚や嗅覚などのチェックを含めた健康観察記録をつけることも求める。さらに、感染が拡大している地域では2週間程度前からの実施を促し、無症状の濃厚接触者が受験できる4要件なども盛り込んだ。

◆使用済みマスクや消毒容器、海水浴場や河川にポイ捨て相次ぐ indexへ

 【ジュネーブ】世界保健機関(WHO)は20日、日米などで新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認されている抗ウイルス薬「レムデシビル」について、感染症の患者に対する治療効果はないとして、症状の程度にかかわらず利用を推奨しないとの指針を発表した。WHOで指針づくりを行う専門家グループが取りまとめた。
 発表によると、7000人以上を対象にした国際的な研究結果を分析したところ、レムデシビルについて「患者の死亡率や、症状の改善に要する時間などに有意な効果はない」と結論づけた。健康を害する可能性や、比較的価格が高いことなどから利用を推奨しないとした。
 米製薬会社ギリアド・サイエンシズが開発したレムデシビルは、新型コロナ治療薬として、日本で5月に特例承認され、米国では10月に正式承認された。重症患者向けに利用され、トランプ大統領も感染した際に投与を受けていた。
 WHOはレムデシビルの利用を推奨しないとする指針を発表したが、厚生労働省は現時点で特例承認の取り消しを考えていない。厚労省の「診療の手引き」によると、原則として重症患者に投与するとされている。手引きの改訂時に、WHOが今回示したデータの追加などを検討する。
 東京都内の重症患者を多数受け入れてきた昭和大病院の相良博典病院長(呼吸器内科)は、「長期の安全性が担保されていないことなどを考えると、WHOの見解も理解できるが、治療現場では効果を感じることもある。数少ない治療の選択肢として残しておきたい」と話している。

◆レムデシビル、WHOが「治療効果なく推奨せず」…厚労省は投与方針変えず indexへ



◆関空到着客の女性17人陽性、クラスターは出発前に発生か…陰性証明の信頼性揺らぐ indexへ

 今月11日にインドネシアのジャカルタからの直行便で関西空港に到着した10~20歳代の女性17人が、入国手続き前の新型コロナウイルス検査で陽性になっていたことがわかった。全員が出発前の検査での陰性証明書を持っていた。検査後に陽性に転じた可能性はあるものの、厚生労働省は陰性証明の信頼性について確認している。
 大阪府によると、17人はインドネシアから広島県に向かう予定だった技能実習生ら計49人のグループの一部。海外から到着後、検査で陽性になる人は1日あたり数人から二十数人程度いるが、厚労省によると、空港で家族以外の集団感染を確認したのは今回が初めてだという。
 現在、インドネシアを含む約150か国は入国拒否の対象となっている。ただし、10月以降、留学生や技能実習生は、〈1〉受け入れ先の企業・団体が防疫措置を取るとの誓約書を国に提出〈2〉出発前72時間以内の検査の陰性証明〈3〉日本入国前の検査で陰性確認〈4〉入国後14日間の自主待機と公共交通機関の不使用――などの条件を満たす場合に限り入国できるようになった。
 今回の17人は〈3〉の抗原検査やPCR検査で陽性となった。到着時は全員が無症状だった。陽性者は陰性になるまで入国手続きができず、現在は大阪府内のホテルで療養中だという。
 中国や韓国、シンガポール、ベトナムなど感染状況が落ち着いている一部の国からの入国は、〈2〉と〈3〉が免除されている。
 厚労省の担当者は、「ジャカルタを出発する前に既にクラスター(感染集団)が発生していた可能性がある。陰性証明書を持つ人の陽性判明が増えるようであれば、証明書のあり方の検討が必要になる」と話している。

◆女性患者の下半身触った元勤務医、別の患者にも就寝中にわいせつ行為 indexへ

 女性患者に薬物を投与して下半身などを触ったとして島根大医学部付属病院の元勤務医、梅本 洵朗被告(29)(出雲市白枝町)=窃盗罪などで起訴=が準強制わいせつ容疑で逮捕された事件で、出雲署は17日、別の女性患者にもわいせつな行為をしたとして、梅本被告を同容疑で再逮捕した。梅本被告は「間違いありません」と容疑を認めているという。
 発表などによると、梅本被告は昨年6月14日午後1時30分頃~同15日午前0時頃の間、勤務していた同病院で、就寝中だった県東部在住の20歳代の女性患者にわいせつな行為をした疑い。
 同署によると、梅本被告から押収した証拠品から被害が発覚。これまでの捜査関係者への取材では、梅本被告が複数の女性患者のわいせつ画像を所持し、複数の患者にわいせつ行為をしたという趣旨の供述をしていることがわかっている。
 島根大医学部付属病院の井川幹夫病院長は「被害に遭われた患者に対し、多大な迷惑をかけ申し訳ない」とコメントを出した。
 また、松江地検は17日、梅本被告を準強制わいせつ罪で松江地裁に起訴した。起訴状などによると、梅本被告は昨年2月7日夜、県東部在住の20歳代の女性患者に薬物を投与して 昏睡状態にし、下半身を触ったとされる。

◆使用済みマスクや消毒容器、海水浴場や河川にポイ捨て相次ぐ indexへ

 新型コロナウイルスの影響により、静岡県内の河川や海岸などに感染防止対策で利用されたごみが捨てられるケースが増加している。こうした事態を受け、県は16日、ごみの清掃活動を行う団体に対し、清掃用具の購入費用などを補助すると発表した。
 県によると、ウイルスの感染が拡大した今年度になって、県内市町の担当者から消毒液の空ケースやテイクアウト用の食品 ケース、不織布マスクといったゴミが捨てられている事例の報告が県に相次いでいるという。例えば、伊東市内の海水浴場や静岡市の清水港付近などでは、「使 い捨てマスクのゴミをよくみかける」という情報が寄せられている。多くはプラスチックごみで指摘されるように分解されずに残り続けるため、蓄積により海洋 をはじめとする環境への悪影響が懸念されている。
 今回の補助金は国の臨時交付金が充てられた。清掃活動を行う団体を中心に、清掃用具の購入費用やゴミの処分費用として最大10万円を補助する。補助金申請受け付けは今月20日から来年1月29日まで。
 受付窓口、問い合わせ先は清掃活動を行う場所によって分かれている。海は「美しく豊かな静岡の海を未来につなぐ会」 (054・340・1801)、川は「県河川協会」(054・221・3032)、森は「NPO法人ホールアース研究所」(0544・66・0790)、 その他が「県環境衛生自治推進協会連合会」(054・221・2426)。

◆はしか、昨年の死者推計20・7万人…コロナで9400万人超がワクチン接種できない恐れ indexへ

 【ジュネーブ】世界保健機関(WHO)などは12日、2019年に世界で報告されたはしかの症例数が86万9770人となり、1996年以降最多だったと発表した。死者数は20万7500人と推計されており、2016年から5割増となった。
 子どもへのワクチン接種が減っていることが、患者や死者数の増加の主な要因という。新型コロナウイルスの流行でワクチン接種にさらに支障が出るとみられ、26か国の約9400万人以上が接種を受けられない恐れがあるという。
 WHOのテドロス・アダノム事務局長は談話を出し、「はしかのワクチンが世界のすべての人に届くように各国を支え、地域社会と協力する必要がある」と指摘した。

◆「俺、陽性だけど大丈夫」離陸直前の機内でウソ…男に有罪判決 indexへ

 成田空港を出発する直前の航空機内で、新型コロナウイルスに感染して いると思わせて運航を遅らせたとして、偽計業務妨害罪に問われた愛媛県東温市、無職の男(70)に対し、千葉地裁は11日、懲役10月、執行猶予3年(求 刑・懲役1年)の判決を言い渡した。佐々木公裁判官は「新型コロナウイルスの脅威につけ込む卑劣な行為」と述べた。
 判決によると、男は3月26日午後、成田発松山行きのジェットスター・ジャパンの航空機に搭乗し、機体が滑走路へ移動し始めて間もなく、客室乗務員に「俺、陽性だけど大丈夫」などと言って、出発を約1時間15分遅らせた。
 男は感染しておらず、公判で弁護側は「ウイルス性の下痢を『陽性』と 表現した」などと主張。佐々木裁判官は「感染拡大が懸念されていた当時の社会情勢からすれば、『陽性』という言葉は新型コロナウイルスへの感染を容易に想 起させる状況だった」と指摘した上で、反省していることなどを理由に執行猶予をつけた。

◆クルーズ船、外国人医療費2億円 94%公費負担、ルール策定へ indexへ

 新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の外国人乗客のうち、342人の医療費が計2億8843万円だったことが10日、専門家の調査で分かった。うち94%が公費負担だった。自民党のプロジェクトチームは調査結果を受け、訪日外国人客の医療に関するルール作りを進めたい考えだ。
 新型コロナウイルスは「指定感染症」のため、国籍にかかわらず原則自己負担なしで治療を受けられる。クルーズ船の外国人乗客の多くは日本の公的医療保険に未加入とみられ、ほぼ全額が国や自治体の公費で賄われる。

◆受動喫煙被害の子供、9割に喫煙者の同居家族…千葉市が尿検査で実証 indexへ

 受動喫煙による子供の健康被害を防ぐ取り組みの一環として、千葉市は5日、児童を対象に初めて実施した尿中コチニンの検査結果を発表した。コチニンの濃度が高かった児童は1割で、このうちの9割に喫煙者の同居家族がいた。市は「家族の喫煙と受動喫煙の関係が裏付けられたのではないか」としている。
 市は今年4月施行の受動喫煙防止条例で、受動喫煙からの未成年者の保護を規定している。児童と保護者に受動喫煙の影響を分かりやすく示し、自ら被害を防ぐ行動につなげてもらおうと、全国的にも珍しい検査を行った。
 全6区の中で保護者の喫煙率が最も高いとされる若葉区で昨年10月、市立小20校に通う4年生の児童1033人を対象にアンケートを実施。このうち保護者が希望した757人の児童に12月、尿検査を受けてもらった。
 日本禁煙学会の基準をもとに、受動喫煙を受けているとする尿中コチニン値を1ミリ・リットルあたり5ナノ・グラム以上(ナノは10億分の1)と設定した。検査結果によると、5ナノ・グラム以上は77人(10・2%)おり、このうち93・5%にあたる72人に喫煙者の同居家族がいた。
 アンケートに回答した1002人のうち、同居家族に「喫煙者あり」は418人(41・7%)。「なし」は575人(57・4%)、不明9人(0・9%)。喫煙者は、父が329人で、母(158人)の倍以上だった。両親とも喫煙は92人だった。
 市は今年度、若葉区に加え、花見川区でも同様の検査を行う予定だ。保護者に結果を伝え、「子供のそばでは吸わない」など受動喫煙を避ける行動を促す。市の担当者は「子と親が受動喫煙の実態を正しく理解する手助けをしたい」としている。
条例効果 喫煙可能施設が半減
 国の法律より厳しい規則を盛り込んだ千葉市の受動喫煙防止条例は、4月の施行から7か月たった。市によると、屋内での喫煙が半減するなど、条例の効果は出ている。一方で、指導しても違反を繰り返す店があり、市はより強い措置も視野に入れている。
 10月末現在のまとめでは、市が巡回訪問した事業所は延べ1万37施設。このうち訪問時に屋内で喫煙可能としていたのは1割弱の887施設だった。条例施行前の半年間と比べて半減したという。
 飲食店約4000店を対象に行った外観調査では、135店で条例違反が確認された。126店は喫煙標識を掲示しておらず、要件を満たさず店内喫煙可としたのが6店、不当に喫煙目的店の標識を掲示したのが3店あり、それぞれ改善するよう指導した。
 市民らが違反を見つけた場合、市は無料通信アプリ「 LINE 」などで通報を受け付けている。10月末時点で延べ536件の通報があった。内訳は飲食店169件、コンビニ店52件、パチンコ店24件となっている。
 改正健康増進法の違反に対し、国は繰り返しの丁寧な指導を求めている。市はこれに倣い「条例の目的は罰則ではなく指導を通した改善」として、現在までに罰則を適用した例はない。ただ、5回の指導で改善されない飲食店もあり、今後は勧告など、より強い法令上の手続きも検討する。
  ◆尿中コチニン =たばこに含まれる有害物質ニコチンは、体の中でコチニンという物質に変化する。コチニンは尿と一緒に排出され、その値は受動喫煙の影響を測る目安となる。数値は遺伝的要因や体調、時間などにも左右される。

◆消毒液を「空容器」と称して転売、40本で6万円売り上げ indexへ

 愛知県警は9日、同県西尾市の自称アルバイトの女(44)を国民生活安定緊急措置法違反容疑で名古屋地検に書類送検した。
 発表では、女は今年7月24日、同県蒲郡市内のドラッグストアで2671円で購入した消毒用アルコール(300ミリ・リットル)3本を、インターネットのフリーマーケットサイトに空の容器と偽って出品し、名古屋市内の男性に4800円で転売した疑い。「金を稼ぐためだった」と容疑を認めている。
 県警は女が7~8月、ドラッグストアで購入した消毒液を少なくとも40本転売し、計約6万円を売り上げていたとみている。

◆少年院官舎で大麻栽培、元法務教官に猶予付き有罪判決「強い非難に値する」 indexへ

 大麻取締法違反(栽培)などに問われた瀬戸少年院(愛知県瀬戸市)の元法務教官専門官中川裕介被告(32)に対し、名古屋地裁(西沢恵理裁判官)は9日、懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決(求刑・懲役2年6月)を言い渡した。
 中川被告は麻薬及び向精神薬取締法違反(所持)、覚醒剤取締法違反(製造予備)にも問われていた。判決によると、中川被告は在職中の6月、少年院敷地内の官舎で大麻草1株を育てたほか、合成麻薬MDMAを所持し、覚醒剤の原料を製造目的で準備した。
 判決で西沢裁判官は「少年の更生指導に携わる自身の立場を顧みることなく犯行に及んだ。言語道断と言うほかなく、強い非難に値する」と指摘した。一方、中川被告が反省の態度を示し、再乱用防止のカウンセリングを受けていることなどから、執行猶予とした。

◆給食の食器に油や野菜の汚れ、提供遅れ…授業を一部中止 indexへ

 茨城県つくば市は6日、中学校1校で、給食の食器に汚れが見つかり、新しい食器に取り換えるなどしていて給食の提供が遅れ、午後の授業を一部、取りやめたと発表した。配膳前に教員が気づいたため、生徒らの健康に影響はなかったという。
 市によると、食器は「つくばほがらか給食センター谷田部」(つくば市藤本)から配送された。一部の食器に、油や野菜などによる汚れが付着していた。

◆給食みそ汁、浮かぶアブラムシ数匹…同じ釜で調理したみそ汁を食べた生徒も indexへ

 山形県鶴岡市教育委員会の市学校給食センターは6日、市立第1中学校(同市道田町)で、学校給食のみそ汁にアブラムシが混入しているのが見つかったと発表した。
 同日午後1時頃、同中2年5組の給食係の生徒が、配膳前のみそ汁の食缶にアブラムシ数匹が浮いているのを見つけた。同中では、みそ汁を食べないように指導した。同じ釜で調理したみそ汁は、市立第3中学校(同市城南町)の1学級にも配られていたが、給食中に連絡があり、一部生徒はすでに食べていた。
 同給食センターによると、年2回の「オール鶴岡産給食」の日で、「きのこのみそ汁」の食材の白菜にアブラムシが付いていたことが分かった。センターではマニュアル通りに食材を3回水洗いしていたが、アブラムシの体長は約0・5ミリと小さく、洗い流しきれなかったとみられる。今後、野菜によっては4回以上洗い、目視確認を徹底する。

◆洗面台に汚れ、換気不十分の可能性…コロナ院内感染で入院患者5人死亡 indexへ

 長野赤十字病院(長野市若里)は6日、新型コロナウイルスに院内感染していた入院患者ら9人のうち、入院患者5人が死亡したと発表した。院内感染が広がった原因については、病室の換気が不十分だったり、洗面台などが汚れたりしていた可能性があるとした。記者会見した和田秀一院長は「地域の基幹病院として十分な感染対策を行ってきたが、不安と心配を与えたことをおわびする」と陳謝した。
院内感染が起きた長野赤十字病院(6日、長野市若里で)
 同病院や市保健所、県による合同チームが院内感染について検証を進め、報告書にまとめた。
 報告書などによると、9人は患者7人、職員2人で、患者は三つの病室に入院していた。最初の1人の陽性が判明したのは9月25日で、29日に同室の2人が陽性。29日と10月3、6日に別の病室の3人、さらに別の病室の1人が9日にそれぞれ陽性となった。三つの病室は同じ病棟だった。
 亡くなった5人はいずれも高齢で重篤な基礎疾患があった。新型コロナと死亡との因果関係や年齢、性別などについて、和田院長は「プライバシーのため明らかにできない」と語った。
 一方、病室の洗面台はうがいなどで汚れており、水栓や洗面台を介して接触感染で同室者に感染が広がった可能性があると指摘。職員の手指を通じて感染が広がったり、施設の老朽化で換気が不十分だったりしたことも一因として考えられるとした。
 職員らの手指消毒はマニュアルに沿って行われていたといい、和田院長は「ウイルスの侵入を防ぐのは難しく、気をつけて対応する中でも感染は広がる可能性がある」と話した。同病院は報告書をホームページに掲載した。

◆女性の体内に医療器具、13年間「置き忘れ」…傷縫合の糸つかむ「鉗子」 indexへ

 鹿児島市立病院は5日、16年前の手術で女性(現在60歳代)の体内に医療器具を置き忘れるミスがあったと発表した。約13年後に取り出し、後遺症はないという。
 同病院によると、女性は2004年9月に外科手術を受けた。17年4月、別の病気のため同病院で磁気共鳴画像(MRI)検査を受診した際、腹痛を訴えた。レントゲン検査を行ったところ、傷を縫合する糸をつかむ鉗子(長さ約14センチ、幅約6センチ)が体内に残っているのが確認された。同月、摘出手術を行った。
 女性はMRI検査を受けるまで、器具が原因とみられる体調不良はなかったという。今年8月、病院側が女性に和解金130万円を支払った。同病院は「今後、こうした事故が二度と起こらないよう再発防止に努める」としている。

◆2歳女児衰弱死、母親「起訴状に書かれていることは絶対に真実ではない」 indexへ

 札幌市中央区で昨年6月、虐待を受けた池田詩梨ことりちゃん(当時2歳)が衰弱死したとされる事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の池田莉菜被告(22)の裁判員裁判の初公判が2日、札幌地裁(石田寿一裁判長)で始まった。莉菜被告は罪状認否で「起訴状に書かれていることは絶対に真実ではない」と起訴事実を否認し、無罪を主張した。
 起訴状によると、莉菜被告は昨年5月15日頃から詩梨ちゃんに十分な食事を与えずに放置したほか、同居する交際相手の藤原一弥被告(25)から暴行を受けた詩梨ちゃんを病院に連れて行かず、6月5日に衰弱死させたとされる。
 検察側は「(詩梨ちゃんは)昨年5月末にはぐったりしていた。ほとんど食事を与えず、医療措置も受けさせず、部屋に閉じ込めて放置した」と指摘。弁護側は「衰弱死ではなく窒息で亡くなった」と主張した。
 札幌地裁は10月16日、藤原被告に傷害と保護責任者遺棄致死の罪で懲役13年(求刑・懲役18年)の判決を言い渡した。藤原被告は控訴している。

◆神戸から上京し羽田空港で出産、港区の公園に乳児遺体埋める…口の中にはティッシュ indexへ

 生後まもない女児の遺体を公園に埋めたとして、警視庁は1日、神戸市西区押部谷町和田、母親の会社員の女(23)を死体遺棄容疑で逮捕した。遺体の口の中にはティッシュペーパーが詰められており、警視庁は、2日に特別捜査本部を設置し、殺人容疑でも捜査する方針。
 捜査関係者によると、女は昨年11月3日頃、東京都港区東新橋の「区立イタリア公園」の土中に、生後まもない女児の遺体を埋めて遺棄した疑い。
 女は同日午後に神戸空港(神戸市)から航空機で上京。港区の東京モノレール浜松町駅から現場の公園付近に徒歩で向かう姿が防犯カメラに映っていた。調べに対し、死体遺棄容疑を認め、「当日に羽田空港のトイレで出産した」と供述している。
 5日後の同8日午前、公園を利用した保育園児が土中から遺体の一部が出ているのを発見し、保育園が110番した。司法解剖の結果、死因は窒息の疑いで、口の中にティッシュペーパーが詰められていた。

◆三重大付属病院の医師を懲戒解雇…電子カルテ改ざん、診療報酬2800万円不正請求 indexへ

 三重大医学部付属病院(津市)の医師が手術で薬剤を投与したように電子カルテを改ざんし、診療報酬を不正請求した問題で、同大は30日、40歳代の男性医師を懲戒解雇にした。
 男性医師は臨床麻酔部の准教授で、第三者委員会の調査によると、上司の50歳代教授が推奨する薬剤の使用実績を上げるため、1人で不正を行った。教授は31日付で依願退職する。
 第三者委によると、准教授は2018年4月~今年3月、抗不整脈剤「ランジオロール塩酸塩」を投与したように電子カルテを改ざんした。不正請求は約2200件、総額約2800万円に上る。同大は准教授を公電磁的記録不正作出・同供用容疑で津地検に刑事告発している。

◆20代女性患者に薬物投与、昏睡状態にして下半身触る…大学病院の元医師逮捕 indexへ

 入院中の女性患者に薬物を投与して、わいせつな行為をしたとして島根県警出雲署は27日、島根大医学部付属病院の元医師、梅本洵朗容疑者(29)(島根県出雲市)を準強制わいせつ容疑で逮捕した。容疑を認めているという。
 発表によると、梅本容疑者は昨年2月7日夜、勤務していた同付属病院で、県内在住の20歳代の女性患者に薬物を投与して昏睡状態にし、下半身を触った疑い。
 巡回中の看護師が女性の異変に気づき、病院が翌8日、県警に連絡。梅本容疑者は女性の主治医ではなく、面識もなかったという。
 同署などによると、梅本容疑者は付属病院で勤めた後、今年4月から県立病院で勤務。今月7日、別の女性宅に侵入し、下着を盗んだとして窃盗容疑などで逮捕され、県立病院を辞職していた。
 付属病院の井川幹夫病院長は「心よりおわび申し上げる。綱紀粛正に努め、信頼回復に取り組みたい」とコメントした。

◆胃がん検診、8人に別人の検査結果を通知…要精密検査なのに「異常なし」も indexへ

 東京都練馬区は、区医師会に委託した胃がん検診で、30~80歳代の男女計8人に検査結果を誤って通知していたと発表した。
 発表によると、ミスがあったのは、保健相談所などで行うレントゲン車内でのバリウム検査。今月上旬に70歳代男性が検査を受けた際、この男性に昨年度、別人の検査結果を伝えていたことが判明した。
 そこで、記録が残る過去5年間の延べ約3万7000人分を調べたところ、同様のケースが7人分あることがわかった。うち2人には、本来の結果が「要精密検査」であるにもかかわらず、「異常なし」と伝えていた。区は対象者に謝罪し、2人には再検査を受けるよう案内した。

◆メタボ健診補助金、国が市区町村などに過大交付…2年で6億8000万円 indexへ

 生活習慣病予防のための特定健診(メタボ健診)を実施した市区町村などへの補助金を会計検査院が調べたところ、国が2年間に約6億8000万円を過大に交付していたことがわかった。検査院は、厚生労働省に改善を求めた。
 国は2008年から、40~74歳の住民らに特定健診を実施した市区町村などを財政支援。腹囲などの基本検査とは別に、貧血、心電図、眼底検査のうち一つでも受ければ、3検査の平均費用を基にした一律の補助金を支給している。
 検査院は、23都道府県の942市区町村などの実施状況(16~17年度)を調査。3検査を受診した約141万人のうち約93%(約132万人)は、貧血検査だけを受けていることが分かった。貧血検査の実施費用は一律の補助額より安く、検査院は約6億8000万円が過大だったと試算した。
 厚労省は、「適切な補助額の設定に努める」としている。

◆がんの疑い、CT画像を見落とす…腫瘍は最大9・2cmに indexへ

 兵庫県は22日、県立尼崎総合医療センター(尼崎市)と県立西宮病院(西宮市)の医師が、がんの疑いを示すCT(コンピューター断層撮影法)の画像を見落とすなどの医療ミスがあったと発表した。
 発表によると、尼崎総合医療センターで2017年9月、70歳代の男性を検査した放射線科の医師が、CT画像から肺がんの疑いがあると指摘したが、主治医がその指摘を見落としたという。今年8月、別の病院の検査で肺がんや骨への転移が判明。腫瘍は最大9・2センチの大きさになっていた。
 西宮病院では18年8月、別の病院からCT画像の提供を依頼されたことを機に、70歳代男性のがんを見落としていたことが判明。県は家族に400万円の和解金の支払いを決めた。また、17年に丹波医療センター(丹波市)で起きたCT検査の見落としについても、県は患者に1050万円の和解金を支払うことにした。
 八木聡・県病院事業副管理者は「いずれも放射線画像の見落としが原因の事案であることを重く受け止める。再発防止に努める」とコメントした。

◆救急車が脱輪、14分後に脱出…搬送の女性患者はその後死亡 indexへ

 23日午前6時40分頃、秋田県北秋田市綴子の市道で、救急搬送中の同市消防署の救急車が脱輪し、動けなくなった。同市消防本部の発表によると、応援隊員3人が出動して車を押して脱出し、14分後に搬送を再開した。搬送された女性患者(82)はその後死亡が確認された。
 左折した際に左後輪を側溝に脱輪しており、運転していた救急隊員が運転操作を誤ったのが原因という。女性は終末期医療を受けており、担当医師は病院到着が遅れたことと患者の死亡には因果関係はないと説明したという。

◆療養中の感染者、ホテル抜け出し量販店へ…店員の首つかみ引きずる indexへ

 埼玉県は23日、新型コロナウイルスに感染し、ホテルで宿泊療養中だった外国籍の40歳代の男が無断で外出し、立ち寄り先の量販店で店員への暴行容疑で県警に逮捕されたと発表した。県は、男が立ち寄った場所を消毒するとともに、店員や警察官など接触した人の検査を実施する方針。
 県や県警捜査関係者によると、男はペルー国籍で同県東松山市在住。22日午後5時15分頃、同市内の量販店で商品を精算せずに立ち去ろうとし、注意した40歳代男性店員の首をつかんで引きずるなどした疑いがある。逮捕後、ホテルから抜け出していた患者と判明した。
 男は15日に感染が確認され、医療機関に入院した後、20日から同県加須市内のホテルにいた。22日午後、知人らが差し入れを巡って警備員と押し問答になった隙に無断で外出した。感染による症状はなかったという。

◆未承認サプリを販売、医師ら3人逮捕…がん予防や動脈硬化対策に効果と宣伝 indexへ

 がん予防に効くとうたって未承認のサプリメントを販売したなどとして、警視庁は23日、東京都新宿区四谷の内科クリニック「四谷メディカルクリニック」院長で、健康食品販売会社「メディカルサロン」社長の風本真吾容疑者(57)(新宿区四谷)と社員の女2人の計3人を医薬品医療機器法違反(承認前医薬品の広告など)容疑で逮捕したと発表した。逮捕は21日。
 警視庁幹部によると、3人は3~6月、医薬品として未承認のサプリやお茶について「がん予防や動脈硬化対策に効果がある」とサイト上で宣伝し、都内のエステ経営会社など2社に販売するなどした疑い。風本容疑者は「医薬品に当たると思わなかった」と容疑を一部否認している。

◆隔離中の感染者、ホテル抜け出しホームセンターへ…店員の首つかみ引きずる indexへ

 新型コロナウイルスに感染し、ホテルに隔離され療養していた埼玉県東松山市、ペルー国籍の40歳代の男がホテルを抜け出し、同市内のホームセンターで店員への暴行容疑で同県警東松山署に逮捕されていたことが捜査関係者などへの取材でわかった。県は、男が立ち寄った場所を消毒するとともに、接触した人の検査を実施する方針。
 捜査関係者によると、22日午後5時15分頃、東松山市のホームセンターで、商品を精算せずに立ち去ろうとした男を注意した40歳代の男性店員に対し、男は首をつかみ引きずるなどの暴行を加えた疑い。男は、その場で現行犯逮捕された。「覚えていない」と容疑を否認しているという。
 逮捕後、男が新型コロナに感染し、ホテルから抜け出していた患者だと判明した。県によると、男は15日に新型コロナの感染が確認され、16日に県内の医療機関に入院、20日に加須市内のホテルへ移っていた。22日午後3時頃、男は無断で外出していた。

◆患者や家族に大きな希望…米FDA、レムデシビルを正式承認 indexへ

 【ワシントン】米食品医薬品局(FDA)は22日、米国初の新型コロナウイルスの治療薬として、抗ウイルス薬「レムデシビル」を正式承認したと発表した。これまでは緊急時の使用に限られていたが、今後は入院患者などに投与できるようになるという。
 レムデシビルを開発した米製薬会社ギリアド・サイエンシズは22日の声明で「投与で回復を大幅に早め、患者や家族に大きな希望を与える」と強調した。
 レムデシビルは米国立衛生研究所(NIH)の臨床試験で患者の回復が早まるなどの効果が確認され、FDAは5月に重症患者などへの緊急使用を許可した。トランプ大統領が新型コロナに感染した際には投与を受けた。日本も特例承認している。
 一方、世界保健機関(WHO)は今月15日、レムデシビルが入院患者の死亡率の改善に「効果がゼロかほとんどない」とする臨床試験の暫定結果を公表した。ギリアド社は臨床試験の方法に問題があった可能性があると反論している。

◆理科実験でアンモニア吸い込む…小6男女12人を救急搬送 indexへ

 22日午後2時25分頃、川崎市麻生区虹ヶ丘の市立虹ヶ丘小学校で、教頭が「理科実験中にアンモニア臭気を吸い込んで、児童が喉の痛みを訴えている」と119番した。市消防局などが6年生の男子8人、女子4人の救急搬送に当たっている。全員意識はあるという。
 現場は戸建てや集合住宅が並ぶ住宅街。

◆縦割り打破へ、医療現場模索 安全責任者置き、情報共有 東京女子医大・男児死亡 indexへ

 東京女子医大病院の男児死亡事故では、治療に携わった耳鼻咽喉科と麻酔科が事故後、別々に会見を開くなどして責任のなすり付け合いに発展。
  第三者委員会の調査でも両科の連携不足が浮かび上がった。医療現場では、重大事故につながりかねない縦割りの弊害を打破しようと模索が続く。
 高度医療を提供する「特定機能病院」の東京慈恵会医科大付属病院では、2002年に同大付属青戸病院で腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた男性患者が死亡した事故を契機に、安全体制の構築に注力してきた。
  慈恵医大病院の院長補佐時代、医療安全の責任者を務めた同大の落合和徳客員教授は「大きな病院ほど縦割り意識が強く、医療安全はそれをつなぐ横串としての役割が必要」と指摘する。同病院は、各診療科に最低1人ずつ医療安全を担う「セーフティマネージャー」を置き、定期的な会議や相互視察などで情報共有を図っている。
 同病院ではコミュニケーション不足が原因のミスや事故が多かったため、関係する診療科と看護師らによる手術前の会議を10年に設置。1人でも必要と主張すれば開かれるため、現場では当初反発も強かったが、今では手術がスムーズに進み、落合客員教授は「チームワークを意識した診療をしやすい環境ができつつある」と話す。
 女子医大病院について、厚生労働省は15年6月、特定機能病院の承認を取り消した。禁忌薬の理解不足など安全管理体制が確保されておらず、情報共有も不十分だったことを理由に挙げた。
 腹腔鏡手術を受けた患者8人が死亡した群馬大付属病院でも、同時期に承認が取り消された(19年4月再承認)ことから、同省は特定機能病院の承認要件を見直した。新たに▽安全管理責任者の配置▽全死亡事例の報告▽適応外、禁忌に該当する薬の処方を行う際の指導▽監査委員会による外部監査―などを要件に追加した。

◆「偽薬」を投与されたのに…コロナワクチン臨床試験に参加、医師死亡 indexへ

 ブラジル保健当局は21日、英製薬大手アストラゼネカと英オックス フォード大が共同開発している新型コロナウイルスのワクチンについて、臨床試験の参加者1人が死亡したと発表した。参加者は偽薬を投与されていたとみら れ、開発側はワクチン自体の安全性に問題はないとして、試験を継続する方針だ。
 当局は詳細を明らかにしていないが、地元紙グロボは、リオデジャネイ ロの男性医師(28)が15日に死亡し、ワクチンではなく偽薬を投与されていたと報じている。オックスフォード大は既に試験継続の意思を示し、ロイター通 信も、「ワクチンの投与で死亡したのなら、試験は中止になっていただろう」とする関係者の話を伝えた。
 このワクチンを巡っては、日本でも18歳以上の約250人を対象とした臨床試験が行われている。政府は、アストラゼネカとの間で、開発に成功した場合に1億2000万回分の供給を受けることで基本合意している。

◆鎮静剤投与された2歳児死亡、業過致死容疑で書類送検へ…麻酔科医6人処置怠る indexへ

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年2月、鎮静剤「プロポ フォール」を投与された男児(当時2歳)が死亡した事故で、警視庁は、同病院中央集中治療部(当時)の元副運営部長(60)ら麻酔科医の男6人を業務上過 失致死容疑で21日に東京地検に書類送検する方針を固めた。長時間に及ぶ投与で重い副作用が出る可能性を認識できたのに、投与開始後の安全管理を怠ったと 判断した。
 捜査関係者によると、6人は14年2月18~21日の約70時間にわ たり、集中治療室(ICU)で男児にプロポフォールを点滴投与し、心電図の異常や尿の減少などの容体変化があったにもかかわらず適切な処置を怠り、プロポ フォールの副作用に伴う急性循環不全で21日夜に死亡させた疑い。
 男児は同18日、首にできた良性の腫瘍に薬剤を注入するなどの約7分 間の手術を受け、ICUで人工呼吸器を付けて経過観察中だった。痛みなどで体を動かすと人工呼吸器が外れる恐れがあるとして、元副運営部長がプロポフォー ルの使用を決め、他の5人が容体の管理などを担当していた。
 プロポフォールは、使用上の注意をまとめた添付文書で、ICUで人工 呼吸中の小児患者への投与が「禁忌」とされていたが、法的な拘束力はなく、医師の裁量に任されていた。文献などでは投与開始から48時間を超えると副作用 のリスクが高まるとされ、男児への投与量は成人の許容量の約2・7倍に達していた。
 同病院の事故調査委員会は15年2月にまとめた報告書で、プロポ フォールの長時間・大量投与による副作用が直接の死因と結論付け、医師団の用法・用量への認識が不十分だったなどと指摘。厚生労働省は同年、同病院につい て、高度な医療を担う「特定機能病院」の承認を取り消した。警視庁は、病院側から届けを受けて捜査していた。

◆ALS患者嘱託殺人、別の難病患者の診断書偽造で医師2人追起訴 indexへ

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(当時51歳)に対する嘱託殺人罪で起訴された医師2人について、京都地検は20日、別の難病患者が海外で自殺ほう助を受けるために必要な診断書を偽造したとして、有印公文書偽造罪で追起訴した。地検は2人の認否を明らかにしていない。
 追起訴されたのは、大久保愉一(42)、山本直樹(43)両被告。
 起訴状によると、2人は共謀し、昨年9月28日、福岡市で、九州地方に住む20歳代の女性難病患者の病状などが書かれた英文の診断書2通を国立大学病院名で偽造し、偽名で署名したとされる。
 捜査関係者らによると、この女性は「安楽死」を望む思いをツイッターで発信し、大久保被告と連絡を取り合っていた。診断書は女性の依頼で大久保被告が文案を作成し、山本被告が署名。女性がスイスで自殺ほう助を受けるため、現地の団体に提出するものだったという。

◆動物のふん尿1m積もらせ逮捕の男、犬26匹を無登録で飼育…狂犬病の予防接種せず indexへ

 宮城県警亘理署と県警生活環境課は19日、住所不定、無職の男(55)(動物愛護法違反で起訴)を狂犬病予防法違反の疑いで仙台地検に書類送検した。
 発表によると、男は9月24日午前8時頃、亘理町内のビニールハウスで飼育していた犬26匹を登録申請せず、狂犬病の予防接種を受けさせなかった疑い。調べに対し、「金がなくてできなかった」と容疑を認めている。
 男は9月24日、飼育していたヤギや犬をふん尿などが約1メートル積もった状態で飼育したとして、動物愛護法違反(虐待)の疑いで逮捕されていた。

◆レムデシビル、死亡率改善に「効果ほとんどない」…WHO indexへ

 【ジュネーブ】世界保健機関(WHO)は15日、新型コロナウイルス感染症への治療薬として抗ウイルス薬「レムデシビル」を利用することについて、入院患者の死亡率改善に「効果がゼロかほとんどない」との臨床試験の暫定結果を公表した。ただし、専門家による検証は経ておらず、WHO自身が「臨床現場での指針にはならない」として、投与取りやめなどは求めていない。
 レムデシビルは元々、エボラ出血熱の治療のため開発され、新型コロナウイルスでは重症患者向けに、ウイルス増殖を抑える効果があるとされる。日本では今年5月に国内初の新型コロナウイルス治療薬として厚生労働省が特例承認した。今月、新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領にも投与された。
 WHOは30か国の約400の病院で、1万1000人以上の成人を対象に臨床試験を行い、投与の有無で比較したという。
 レムデシビルの開発元の米製薬会社ギリアド・サイエンシズは声明を出し、WHOの臨床試験について、患者への投与方法にばらつきがある可能性があるとし、「何らかの結論を導き出せるかは不透明だ」と反論した。

◆コロナ検査、息吹き込むだけ…1時間でPCRと同じ精度で判明 indexへ

 東北大と島津製作所(京都市)は16日、呼気から新型コロナウイルス感染の有無を確認する検査システムを開発したと発表した。鼻の粘液などを採取する手法よりも簡単で、PCR検査と同程度の精度があるという。1年以内に検査法としての確立を目指す。
コロナ検査、息吹き込むだけ…1時間でPCRと同じ精度で判明
採取装置(右)に吹き込んだ息を液体化した上で分析し、感染の有無を調べる
 検査システムは、患者が呼気の採取装置に息を吹き込むと、装置内部で息が冷却されて1ミリ・リットル程度の液体に凝縮される。これを分析装置に移して、ウイルス特有のたんぱく質や遺伝子などがあるかを確認する。結果は約1時間でわかる。重症化リスクや他のウイルスの感染の確認も可能だという。
 鼻の奥に綿棒を差し込んで粘液を採取する方法が一般的なPCR検査に比べ、患者への負担が大幅に減る。唾液検査の場合も、必要量を得るのに時間がかかるなどの課題がある。
 また、粘液の採取時に患者のくしゃみなどで、医療従事者が感染する恐れがあるが、呼気検査は感染リスクや防護服着用の負担が軽減される。  東北大と同社は1年以内に医療機器の承認を厚生労働省に申請する予定。将来的には機器を小型化して、患者が自宅で呼気採取をできるようにする。
 開発に携わった同大の赤池孝章教授(環境医学)は記者会見で、「PCRに代わる革新的な検査方法になると思う」と話した。

◆「この顔に、ピンと来たらコロナ注意!」中傷の名字・顔写真入りチラシまく indexへ

 新型コロナウイルスの感染者だと中傷するチラシを路上にまいたとして、愛媛県警今治署は13日、今治市の古物買い取り会社代表の男(26)、今治市の自動車整備士の男(26)の両容疑者を名誉毀損の疑いで逮捕した。2人の認否を明らかにしていない。
 発表によると、2人は7月24日午後4時30分~6時頃、今治市松本町の飲食店前の路上で、30歳代男性がコロナに感染したとする内容のチラシ複数枚を置き、名誉を傷つけた疑い。8月に男性から被害届を受理し、署が防犯カメラの映像などを調べて2人の関与が浮上したという。
 チラシには男性の名字や顔写真のほか、「この顔に、ピンと来たらコロナ注意!」などと記されていた。
 経営する飲食店の前にチラシをまかれたという男性は「顔見知りの客を中傷する内容で、腹が立った。誰もがコロナに感染する可能性があり、感染者に非はない」と話した。

◆看護学部の女性教授、同僚に嫌がらせ続ける…2度目の懲戒処分 indexへ

 椙山女学園大(名古屋市)に勤める看護学部の50歳代の女性教授が同僚にハラスメントを行ったとして、停職1か月の懲戒処分を受けたことがわかった。
 同大によると教授は、昨春頃から今夏頃まで、特定の同僚に対して、言葉による嫌がらせを続けていたといい、処分は10月6日から1か月間。この教授は2013年にも同様のハラスメントで停職10日の懲戒処分を受けている。

◆医薬品発注巡る談合疑惑、大手4社を捜索…東京地検特捜部と公取委 indexへ

 独立行政法人「地域医療機能推進機構」(東京)の医薬品発注を巡る談合事件で、東京地検特捜部と公正取引委員会は13日午前、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、医薬品卸大手4社の一斉捜索を始めた。特捜部と公取委は、4社が談合で利益を分け合い、機構への納入価格を高止まりさせていた疑いがあるとみて入札の経緯を調べる。
 捜索を受けたのは、医薬品卸業界大手の「アルフレッサ」、「メディセオ」、「東邦薬品」(いずれも東京)、「スズケン」(愛知)の4社。  機構は運営する57病院で利用する医薬品を2年に1度、本部が一括調達している。2018年6月には約8000種類の医薬品を調達するため、医薬品メーカーごとに約150のグループに分けて入札を実施した。
 入札への参加には全国で医薬品を納入できるといった条件が設けられており、4社のみが参加。契約額は税抜きで総額約680億円で、1社あたりの契約額は約144億~約216億円に上った。
 関係者によると、4社は入札にあたって事前に協議し、医薬品メーカーごとに入札価格や落札予定業者をあらかじめ決めるなどして談合した疑いが持たれている。機構が16年に実施した入札でも参加したのは4社だけで、特捜部と公取委はこの入札でも談合が行われた疑いがあるとみて、捜索で資料を押収し、分析を進める。
 医療品卸の市場規模は年9兆円に上り、4社だけで約8割を占める。

◆メタボ健診指導、心臓・血管病のリスク軽減につながらず…経費に見合う「効果」疑問の声 indexへ

 特定健診(メタボ健診)で生活習慣の改善が必要とされた人に行う特定保健指導の効果は、1年後にわずかな肥満改善を認める程度で、心臓や血管の病気のリスク軽減につながっていないとする分析結果を、京都大などの研究チームが米国医師会雑誌電子版に発表した。
 メタボ健診は40~74歳の男女が対象。今回の分析には、2014年に健診を受けた男性約7万5000人のデータを活用。腹囲の基準85センチを少し超えて特定保健指導の対象になった人と、少し下回って対象外になった人について、4年間追跡して効果を比較した。
 1年後の肥満度では、指導対象外の人は体重、BMI(体格指数)などが微増したのに対し、対象になった人はいずれも微減した。ただ、3、4年後には差がなくなった。
 脳卒中や心筋 梗塞 などのリスクに関係する血圧や血糖値、コレステロール値なども調べたが、指導による改善はみられなかった。
 理由として、研究チームは〈1〉指導対象になった人のうち16%しか指導を受けていない〈2〉全体の約半数が当てはまる腹囲85センチ以上の基準が厳しすぎる可能性がある――などを挙げた。
 分析結果をまとめた福間真悟・京大特定准教授は「メタボ健診は毎年約2800万人が受けているが、年間数百億円以上とされる経費に見合った効果が得られていない。科学的根拠に基づき、基準や手法を見直し、有効な制度に改善していくための議論が必要だ」と話している。

◆女子高生に薬誤投与の医師に有罪判決 大阪地裁堺支部 indexへ

 大阪府高石市の高石藤井病院で平成27年、患者の高校3年の女子生徒=当時(18)=に用法用量を誤って薬を投与し、死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた医師、槙原(まきはら)優(まさる)被告(45)の判決公判が12日、大阪地裁堺支部で開かれ、安永武央裁判長は禁錮1年、執行猶予3年(求刑禁錮1年)の判決を言い渡した。
 判決によると27年12月29日、食物アレルギーで救急外来を訪れた女子生徒に対し、筋肉か皮下に注射すべきアドレナリンを希釈せずに点滴で静脈に過剰投与するよう看護師に指示。翌30日、致死性不整脈による心停止で死亡させた。
 判決理由で、安永裁判長は、基本的な医学知識の適用を怠り、あやふやな知識で切迫性のない被害者に静脈注射したとし、「重大な過失で、被害者の死という取り返しのつかない結果が生じた」と指弾した。
 女子生徒の家族が病院側と槙原被告に損害賠償を求めた訴訟は、病院側が診察に落ち度があったとして謝罪し、29年9月に大阪地裁で和解が成立している。

◆介護疲れで「ストレス発散のため」、警察署に無言電話540回…女に執行猶予判決 indexへ

 警察署に無言電話を繰り返したなどとして、偽計業務妨害罪などに問われた千葉県我孫子市、無職女(53)に対し、千葉地裁松戸支部は7日、懲役2年、保護観察付き執行猶予3年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。
 判決によると、女は今年3月3日~4月24日、携帯電話で540回にわたって、我孫子署に無言電話をかけ、業務を妨害するなどした。捜査関係者によると、多い日には113回の無言電話があったという。
 女は公判で、家族の介護で疲れていたとして、「ストレス発散のためにやった」などと話した。本間敏広裁判官は判決で「動機にくむべき事情はないのに犯行を重ねており、態様は悪質」と指摘。その上で、「反省の気持ちを示している」と、執行猶予の理由を述べた。

◆元外国語指導助手、「医療目的で吸うため」大麻栽培…大きくなりすぎてベランダでも indexへ

 大麻を所持していたとして県警に逮捕された高校の元外国語指導助手(ALT)の被告(57)=高知市帯屋町=が、大麻草を自宅の室内やベランダで栽培していたことが、捜査関係者への取材でわかった。地検は大麻取締法違反(栽培、所持)で起訴した。
 起訴状では、被告は4月下旬頃から8月26日までの間、自宅で大麻草1株を植木鉢で栽培し、水を与えるなどして育てたとされる。また、所持していた大麻は、自宅にあった約1・72グラムだったとしている。
 捜査関係者によると、植木鉢の大麻草は、室内で大きくなりすぎたため、その後ベランダで栽培していた。被告は「医療目的で自分で吸うために栽培していた」と供述しているという。

◆「良識を欠くこと甚だしい」診察室で女性患者にキスした精神科医に実刑判決 indexへ

 高知県内の病院で昨年7月、医師の男(56)が診察中の女性患者にキスをしたとして強制わいせつ罪に問われた裁判の判 決が6日、地裁であり、吉井広幸裁判官は懲役1年(求刑・懲役1年6月)の実刑判決を言い渡した。「成人男性としての分別だけでなく医師としての良識を欠 くこと甚だしい」と指摘した。
 判決によると、男は診察室で精神科治療を受けている患者の両肩付近を押さえ、頬や唇にキスし た。被害者と合意の上で100万円の損害賠償が支払われたが、吉井裁判官は「精神的打撃が大きく、回復のめどが立っていない」ことなどから、「相当程度の 慰謝の措置がとられたとは認められない」と判断した。
 男は、今年5月に在宅起訴されていた。弁護側は控訴する方針。

◆医師と勘違いされたのに乗じ「医療行為」…女性の体触った看護師逮捕 indexへ

 愛知県警蒲郡署は6日、豊橋市大岩町、看護師の男(48)を準強制わいせつの疑いで逮捕した。
 発表では、男は4月6日午後6時半頃、勤務する蒲郡市内の診療所のトイレで、患者の女性(31)が、自身を医師と勘違いしているのに乗じて医療行為を装い、体を触るなどのわいせつな行為をした疑い。
 男は「触ったことは間違いないが、わいせつ目的ではない」と否認しているという。不審に思った女性が2日後、同署に相談していた。

◆感染の危険高まる「7つの場面」…第1波やクラスターの調査から選出 indexへ

 政府の需要喚起策「Go To キャンペーン」が本格化するなか、新型コロナウイルス感染症対策分科会が、感染が広がりやすい「七つの場面」を明 示し注意を呼びかけている。今月1日から「Go To トラベル」の補助対象に東京都発着の旅行が加わり、中旬以降にイベント支援も始まる。感染拡大リス クが高い行動を具体的に挙げて防止策の徹底を促し、社会経済活動との両立を目指す。
 「七つの場面」の第一は「飲酒を伴う懇親会」だ。酒の影響で大声になりがちで、狭い空間に長時間、大人数が滞在するといった条件がそろうと、感染 の危険性が高まる。「深夜におよぶ飲食」は飲酒を伴いやすく、「寮などでの集団生活」も懇親会と同じ条件がそろってしまうことが多い。
 「マスクなしでの会話」は、 飛沫感染のリスクが高まる。感染対策がとられた場所での事務仕事は問題ないが、「仕事の後や休憩時間」は、密な環境でおしゃべりしてしまいやすいので要注意だ。「閉鎖空間での激しい呼吸を伴う運動」も避けるべきだという。
 分科会は、「屋外活動の前後の車での移動や食事」も注意すべき場面に挙げた。スポーツ観戦などの屋外活動自体が感染リスクを高めるわけではない。ただし、参加者が行き帰りの車中や飲食する際に密な環境で過ごすことがあるため、あえて注意を促した。
 観光やイベントのほか、飲食店の支援策「Go To イート」などの需要喚起策で、人の移動は活発化する。だが、分科会では、各地の感染者数が少ない場合、国民一人ひとりが行動に注意すれば、往来が増えても感染拡大を抑えられると判断した。
 そのうえで、感染の第1波や今夏のクラスター(感染集団)発生原因の調査結果などから「七つの場面」を選んだ。「3密(密閉、密集、密接)」や「大声」に加えて、「回避」を重視した内容となっている。
 尾身茂分科会長は記者会見で「日本国内は今のところ、感染拡大を制御できる状況にある。(感染を広げないために)人々の行動が重要だ」と強調した。

◆82歳のコロナ感染死者の遺族、発熱のヘルパーを訪問させた介護事業所提訴 indexへ

 新型コロナウイルス感染症で死亡した広島県三次市の女性(当時82歳)の遺族が、死亡したのは発熱などの症状があった 介護ヘルパーに訪問を続けさせたのが原因だとして、訪問介護事業所の運営会社(三次市)に4400万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こしたことが わかった。
 訴状などによると、一人暮らしだった女性は2019年11月からこの事業所の介護サービスを利用。今年4月3日からせきなどの症状が出て、PCR検査で9日に陽性が判明した。入院治療を受けたが、新型コロナによる肺炎で10日後に死亡した。
 女性を担当していたヘルパーは、女性の陽性が分かった翌日に感染が確認された。女性宅には3月23日~4月6日の間の計5日、訪問しており、3月31日には発熱して味覚・嗅覚異常があったが、翌日には症状が改善したため、出勤を続けていた。
 原告側は、ヘルパーが女性に感染させたと主張。ヘルパーの体調を把握し、訪問をやめさせるなどの注意義務を怠ったとして、事業所の運営会社に対し損害賠償を求めている。
 運営会社は「コメントできない」としている。

◆がん見落とし患者死亡、遺族に謝罪…大阪市立病院 indexへ

 大阪市民病院機構は1日、市立総合医療センター(都島区)で昨年7月に受診した60歳代の女性のがんを見落とすミスがあったと発表した。女性は7か月後にがんと診断され、今年5月に死亡。センター側は治療の遅れが死亡につながったとして、女性の遺族に謝罪した。
 発表では、女性は2006年から子宮筋腫の治療でセンターに通院。19年7月、子宮の摘出手術に伴ってコンピューター断 層撮影法(CT)検査を受けた際、放射線診断科の医師が、画像診断報告書で肝臓がんの疑いを指摘したが、婦人科の担当医がこの記載を見落とし、治療せずに 女性を退院させたという。
 今年2月、女性が体調不良を訴え再びCT検査を受けたところ、肝臓付近のがんが肥大化し、肺や骨などに転移して いるのが見つかった。女性は抗がん剤治療を受けていたが今年5月に死亡した。19年に指摘された段階で精密検査を受けていれば、摘出できた可能性もあった という。
 センターは今回のミスを受け、画像診断報告書でがんなどの疑いが指摘された患者のリストを作成し、必要な対応が取られているかを確認したという。同病院機構は「単純な見落としで、医師間の連携も不足していた。深くおわびし、再発防止に努める」としている。

◆コロナ下の児童虐待、最悪ペース…上半期1割増の9万8814件 indexへ

 新型コロナウイルスの感染が拡大した今年上半期(1~6月)に、全国の児童相談所が対応した虐待は9万8814件で、前年同期より1割増えたことが厚生労働省の30日の発表でわかった。過去最悪だった2018年(15万9838件)を上回るペース。
 月別では、3月(2万3601件)が最多で、前年同月比で18%増えた。全国に緊急事態宣言が出た4月(1万4475件)は4%増、5月(1万3462件)は4%減、宣言解除直後の6月(1万7473件)は8%増と動きは小幅だった。
 才村純・東京通信大教授(児童福祉論)は「外出自粛や接触を避ける『新たな生活様式』で、自宅での虐待が潜在化している恐れがある」と指摘している。
 一方、乳幼児健診を受けないなど、安否が分からなかった18歳未満の「所在不明児」は8月時点で16人に上った。うち6人は5年以上前から行方不明で、警察などが行方を調べている。
 厚労省は30日、2018年度に虐待死と確認された18歳未満の子どもが全国で73人(前年度比8人増)に上ったことも明らかにした。無理心中を除いた54人のうち、ネグレクト(育児放棄)が25人で最多で、身体的虐待が23人だった。

◆「乗りやすい」タクシーのはずが、車いすを拒否…44日間の停止処分 indexへ

 車いすのまま乗り降りできるユニバーサルデザイン(UD)タクシーにもかかわらず、車いす利用者の乗車を拒否したとして、国土交通省関東運輸局が東京都内のタクシー会社に道路運送法に基づき車両の使用停止44日の行政処分を行っていたことがわかった。
 国交省によると、処分は昨年3月。UDタクシーの乗車拒否は全国で相次ぎ、同省は2018年11月に拒否には厳正に対処するとの通達を出している。行政処分は通達後、初めて。

◆生後1か月の長男に血飲ませた母親、鼻と口ふさぐ…傷害容疑で再逮捕 indexへ

 母親が生後1か月の長男に血液を飲ませたとされる事件で、大阪府警は28日、長男の鼻と口をふさいで窒息させるなどしたとして、大阪市住之江区新北島、無職の女(23)を傷害容疑で再逮捕した。女は「弁護士と相談する」と認否を留保しているという。
 府警によると、女は2月上旬、同市内の病院に入院していた長男の鼻と口を手でふさいだほか、同月下旬にも血液を飲ませた上で、鼻と口をふさいで呼吸を一時停止させた疑い。いずれも女が看護師を呼び、長男は数分後には自発呼吸が再開したという。後遺症はなかった。
 府警は8日、2~3月に2回にわたって長男に血液を飲ませ、嘔吐させたとして、女を同容疑で逮捕。大阪地検は28日に処分保留とした。

◆校庭で蹴る踏みつける、養護学校の卒業生が元教諭を提訴 indexへ

 名古屋市立天白養護学校(天白区)に在学中、担任の教諭から暴行を受けて精神的苦痛を受けたとして、卒業生の男性(21)が25日、同市と元教諭男性を相手取り、慰謝料など550万円を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。
 訴状では、元教諭は2017年11月、校庭で男性を蹴ったり踏みつけたりするなど、日常的に暴行したほか、他の生徒にも暴言を吐き、暴行を加えたが、学校側は適切な指導をせず放置したとしている。
 元教諭は18年12月に男性に対する暴行罪で略式起訴された。19年3月に正式裁判となり、名古屋地裁で罰金30万円の支払いを命じる判決を受け、定年退職した。
 提訴を受け、市教育委員会は「現時点ではコメントを差し控える。訴状を受け次第、真摯に対応する」とコメントした。

◆「ヘディング練習、11歳以下禁止」英で指針…「サッカー選手は認知症などでの死亡リスク3・5倍」 indexへ

 三重県桑名市総合医療センターは25日、部下にパワーハラスメントを繰り返したとして、歯科口腔(こうくう)外科の部長の50歳代男性医師を減給10分の1(3か月)の懲戒処分とした。
 発表では、男性医師は昨春から約1年半にわたり、部下の歯科衛生士4人に対し、ミスをした際 に「どうして、こんなこともできないのか」と暴言を吐き、精神的な苦痛を与えたなどとしている。男性医師は2014年1月から勤務。この間、複数の歯科衛 生士が退職しており、同センターは、4人以外へのパワハラ行為があった可能性もあるとした。

◆「ヘディング練習、11歳以下禁止」英で指針…「サッカー選手は認知症などでの死亡リスク3・5倍」 indexへ

 発達中の子どもの脳に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、イングランドサッカー協会(FA)が11歳以下の選手のヘディ ング練習を禁止する指針を打ち出した。米国では2016年から同種の指針が運用され、今年6月には欧州サッカー連盟(UEFA)も若年層を対象に「ヘディ ング練習を極力減らす」との指針を発表。今後各国の動きが注目される。
 「サッカー選手は一般人に比べて認知症などの神経変性疾患で死亡するリスクが3・5倍」。 FAの指針の背景には、元プロ選手7000人以上の死因を分析した英グラスゴー大の研究結果がある。また英BBCによると、02年に59歳で亡くなったイ ングランド選手の死因が慢性外傷性脳症だったことが14年に判明し、検視官が「重いボールを何年もヘディングし続けたことが原因」とした。
 FAの指針は11歳以下のヘディング練習を原則禁止し、「12歳以下は最大5回までの練習を月に1度」など、18歳まで年齢に応じて回数や頻度を制限。ボールの空気圧を上げすぎないことも呼びかけている。
  一方、認知症などは年齢や生活習慣が関係しているとされる。FAは「今回の研究でも(ヘディングとの)因果関係は不明」とし、「調査によると、小さな子ど もの試合ではヘディングをする場面が1試合に2回ほどしかない。不必要な反復練習をなくし、量より質を重視した」と指針の意義を強調する。
 UEFAの指針では、ヘディング練習でめまいや頭痛などの症状が出た場合、「医師の診断を受けて1週間以上の休息をとる」などとしている。
 プロの試合では、ヘディングの豪快な一撃はサッカーの醍醐味でもある。子どもたちの健康を守り、適切な技術を習得させる指導法が求められている。

◆歯科衛生士4人に「こんなこともできないのか」と暴言、50代医師を懲戒処分 indexへ

 三重県桑名市総合医療センターは25日、部下にパワーハラスメントを繰り返したとして、歯科口腔(こうくう)外科の部長の50歳代男性医師を減給10分の1(3か月)の懲戒処分とした。
 発表では、男性医師は昨春から約1年半にわたり、部下の歯科衛生士4人に対し、ミスをした際 に「どうして、こんなこともできないのか」と暴言を吐き、精神的な苦痛を与えたなどとしている。男性医師は2014年1月から勤務。この間、複数の歯科衛 生士が退職しており、同センターは、4人以外へのパワハラ行為があった可能性もあるとした。

◆無施錠の検診車に乗り込んで男女が寝泊まり、注意した技師を殴る蹴る indexへ

 医療センターの検診車に無断で乗り込み、職員に暴力をふるって大けがを負わせたとして、神奈川県警逗子署は25日、いずれも自称自営業の男(42)(住所不詳)、無職の女(27)(横須賀市)の両容疑者を傷害容疑で逮捕した。
 発表では、2人は24日午後2~4時頃、逗子市池子の逗葉地域医療センター駐車場に止まっていた検診車内で、センター職員の男性放射線技師(58)に殴る蹴るの暴行を加え、頭や顔などに重傷を負わせた疑い。
 逗子署幹部によると、2人は2日ほど前から、無施錠だった検診車に勝手に乗り込んで寝泊まりしていたとみられ、健康診断業務の準備に訪れた男性技師から注意されたことに腹を立て、暴行したという。

◆「陽性」女性、後の検査で陰性に…連絡受けた保健所が放置 indexへ

 埼玉県内では23日、新たに12人の感染が確認された。内訳は、県が10人、さいたま市、川口市が各1人。
 さいたま市は、17日に発表した蓮田市の女性(50歳代)について、病院から発生届の取り下げがあったとして、訂正を発表した。これにより県内の感染者数は1人減り、23日までの累計は4473人となった。
 さいたま市の発表によると、女性は同市内の病院で受けた抗原検査で いったん陽性とされたが、その後の2回の遺伝子検査と1回の抗原検査で陰性とされた。同市保健所は、18日に蓮田市を管轄する幸手保健所から連絡を受けて いたが放置していた。23日に同保健所から再度、問い合わせがあり、発表した。
 さいたま市はこのほか、19日に感染が確認された市内の男性(60歳代)が、市の国勢調査員だったと発表した。市民との面会はなかったという。
 県の新規感染者のうち、飯能市の未就学の男児は、すでに職員4人の感染が判明している幼児施設に通所していた。
 県によると、23日夕現在、入院者は指定医療機関が58人、一般医療機関が132人。ホテル療養は45人、自宅療養は13人。医療機関の退院やホテル・自宅療養の終了者は4114人。死者は100人。

◆父親、就寝中の2歳息子の額に肘打ち…妻が動画ライブ配信 indexへ

 2歳の息子に肘打ちをしたとして、岩手県警一関署が一関市の会社員の男(25)を暴行容疑で逮捕・送検した。肘打ちす る様子が映った動画が配信サイトにアップされ、視聴した人から同署に多数の通報が寄せられたほか、県の一関児童相談所が14日に同署に通報したことが逮捕 のきっかけになった。
 発表によると、男は14日午後9時15分頃、自宅で就寝中だった息子の額に肘打ちをした疑い。息子にけがはなかった。逮捕は17日で、盛岡地検への送検は19日。男は容疑を認めており、同署は日常的に暴力があったかなどを調べている。
  動画は、男の妻が動画配信サイトに作ったチャンネルにアップされた。このチャンネルは1万3000人以上の「フォロワー」を持つ人気で、14日は自宅の一 室に固定したカメラで家族の様子をライブ配信し、ここに肘打ちの様子が映っていた。動画はツイッターで1万3000回以上リツイート(転載)された。
 男は肘打ちの数時間後、妻のチャンネルで「申し訳ありませんでした」と題した動画を配信。「(息子が)なかなか寝なくて、ちょっと感情的になってしまって」「すみませんでした」などと釈明していた。
  県内では2018年、北上市で1歳9か月の男児が父親から十分な食事を与えられず死亡する事件が起き、県と県警は児童虐待に関する情報共有を強化する協定 を結んだ。一関児童相談所は「虐待は『疑わしければ(児相が)関与する』というのが児相のスタンス。今回の事案もその一例だ」と説明した。
 容疑者宅の近所に住む女性は「子供たちとサッカーで遊ぶ姿をよく見かけ、いいお父さんだと思っていた。驚いている」、別の女性は「『うるさい』といったどなり声や子供の泣き声を聞くことはあったが、子供の多い地域で、気になるほどではなかった」と話した。

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 交際相手の長女(3)を踏み付けてけがを負わせたとして、兵庫県警尼崎北署は22日、埼玉県行田市持田、ガス設備工の男(23)を傷害容疑で逮捕した。容疑を認めているという。
 発表では男は今年5月、同居していた20歳代女性と共謀。女性の長女を蹴ったり、踏み付けたりして腰などに全治2週間のけがを負わせた疑い。女性が男と別れ、尼崎市に転居後に知人からの通報で発覚。同署は傷害容疑で女性にも話を聞いている。

◆感染の女性、症状出てから11日後に検査…市「医師の判断」 indexへ

 宮城県と仙台市は18日、30~60歳代の男女5人が新たに新型コロナウイルスに感染したと発表した。感染経路不明は2人。県内の累計感染者は351人になった。
 このうち、塩釜市の40歳代女性は、17日に感染者が確認された同市の「特別養護老人ホームこころの樹」の職員。検査した42人の1人で、ほかの41人は陰性だった。県は18日、さらに26人に検査を行った。
 また、仙台市の50歳代女性は、医療機関を受診し、コールセンターにも相談したが、PCR検査を受けたのは症状が出てから11日後だった。市は「症状を見た医師の判断」としている。
 県は19日からの4連休について、体調不良の人に外出自粛を求める「緊急警報」を初めて発表した。

◆出産した男児の頭を木材に打ち付けて殺害…母親、起訴事実認める indexへ

 出産したばかりの男児を殺害したとして、殺人罪に問われた母親の二家本佳代子被告(42)(山口県周南市)の裁判員裁判の初公判が15日、山口地裁(小松本卓裁判長)であった。二家本被告は起訴事実を認めた。
 起訴状では、二家本被告は昨年10月26日頃、自宅の倉庫で、出産したばかりの男児の首などを両手でつかみ、頭を木材に複数回打ち付けて殺害したとしている。
 検察側は冒頭陳述で、二家本被告が離婚後に前夫との間にもうけた男児を殺せば、誰にも妊娠を知られないで済むと殺害を決意したと主張。「犯行に至る経緯と動機は強い非難に値する」と述べた。
 弁護側は閉廷後、報道陣の取材に、情状酌量を求めていく考えを示した。

◆健康診断の受診者3割減、感染拡大の影響で中止・受診控え indexへ

 今年1~9月の健康診断の受診者数は前年同期より3割以上減っているとの調査結果を、日本総合健診医学会と全国労働衛生団体連合会が発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による健診中止や受診控えが影響しているとみられる。
 2団体は7~8月、職場や学校などで健診を実施する459機関を対象に調査し、180機関 (39%)から回答を得た。1~9月(8、9月は予約数)の受診者数は、前年同期より約700万人少ない約1400万人だった。特に、緊急事態宣言が発令 されていた4~5月は前年の約2割に落ち込んでいた。6月以降は回復傾向にあった。
 同学会などは、健診は生活習慣病などの早期発見につながるとして受診を呼びかけている。

◆インフル患者わずか3人、昨年の1000分の1以下…手指消毒やマスク徹底で indexへ

 インフルエンザの患者数が昨年の同時期に比べて1000分の1以下と いう低い水準になっている。厚生労働省が公表した今季初の患者数のまとめによると、全国約5000か所の医療機関からの報告数が6日までの1週間で3人に とどまった。新型コロナウイルス対策で手指消毒やマスク着用の徹底など、国民の衛生意識の高まりが影響しているとみられる。
 厚労省によると、8月31日~9月6日の1週間に岐阜、大阪、沖縄で1人ずつ報告があった。昨年の同時期は、沖縄で大流行が起こっていたこともあり、3813人だった。例年も9月初旬に数百人の患者が報告される傾向があり、今季は異例の少なさだ。
 インフルエンザは通常、1月から2月にかけてピークを迎える。厚労省の担当者は「新型コロナの予防のために実践している対策はインフルエンザにも効果がある。引き続き予防の取り組みを徹底してほしい」と呼びかけている。

◆医師「上司によく思われたかった」…病院カルテ改ざん、実績水増し indexへ

 三重大付属病院(津市)の医師が手術で薬剤を投与したように電子カルテを 改ざんし、診療報酬を不正請求していた問題で、伊佐地秀司病院長が11日、三重大で記者会見を開き、第三者委員会による調査結果を明らかにした。上司の推 奨する薬剤の使用実績を上げるため、臨床麻酔部の医師が単独で行ったと認定され、医師は「上司によく思われたかった」と話しているという。
 病院長は2人の肩書を公表しなかったが、大学関係者によると、医師は40歳代の准教授、上司は50歳代の教授。
  第三者委の調査では、教授は「合併症を減らせる効能がある」として、抗不整脈剤「ランジオロール塩酸塩」の使用を推奨。それに応えようと准教授は2018 年4月~今年3月、同薬剤を生理食塩水に溶かして点滴使用できる状態にして手術室に持ち込み、使わなかった時は廃棄していた。
 カルテ改ざんは、薬剤師から記載内容と在庫が一致しないとの指摘を昨年3月頃に受け、つじつまを合わせていたという。
 第三者委は、薬剤の使用実績が伸びれば製薬会社にアピールできることから、教授に奨学寄付金を依頼したいという意思があったとみられると指摘。調査では製薬会社と2人の間で金銭の授受は確認できなかったという。
 伊佐地病院長は「患者や県民に迷惑をかけ、申し訳ない。再発防止に努め、信頼回復に取り組みたい」と陳謝した。

◆手術で使わなかった薬剤、大学病院医師がカルテ改ざん…不正請求2800万円超か indexへ

 三重大医学部付属病院(津市)は8日、同病院の医師が、実際には投与していない一部の薬剤を手術中に投与したかのよう にカルテを改ざんし、診療報酬を不正請求したと疑われる事案が発覚したと発表した。改ざんが疑われるのは約2200件で、不正請求額は2800万円を超え る見込み。
 同病院によると、不正は3月末に発覚。手術の際に心拍を安定させる「ランジオロール塩酸塩」が投与されたことになっていたが、実際は投与されていなかった。外部委員でつくる第三者委員会を設置して調査を進めている。患者の健康に影響は出ていないという。
 同病院は、電子カルテを改ざんした医師の行為が、公電磁的記録不正作出・同供用罪に当たる可能性があるとして、刑事告訴も検討している。

◆生後1~2か月の長男に血液飲ませ嘔吐させた疑い、母親を逮捕 indexへ

 生後間もない長男に血液を飲ませて 嘔吐させたとして、大阪府警は8日、母親の大阪市住之江区新北島、アルバイト井田莉歩容疑者(23)を傷害容疑で逮捕したと発表した。長男は命に別条はなく、児童相談所が保護している。長男は約2か月間で20回以上血を吐き出しており、府警が詳しい経緯を調べる。
 発表では、井田容疑者は2月中旬と3月上旬の計2回、同市内の病院の病室で、入院していた当時生後1~2か月の長男の口に何者かの血液を注ぎ入れ、嘔吐させた疑い。「血液を注入するようなことはしていません」と容疑を否認しているという。
 長男は生後約10日で発熱を理由に入院。病室内では複数の乳児が集中治療を受けており、2回とも井田容疑者のほかに看護師も在室していた。看護師が目を離している間に、長男の具合が悪くなり、井田容疑者から「血を吐いた」と申告があったという。
 病院の検査では長男に吐血するような異常は見つからず、井田容疑者の 付き添い時に限って症状を繰り返したことから、病院が3月、府警に相談した。府警は、周囲の関心を引くために子どもに危害を加える児童虐待の一種「代理 ミュンヒハウゼン症候群」の可能性もあるとみて調べる。

◆訪問先で全身に消毒液をかけられる…看護職員に差別・中傷 indexへ

 山形県内にある病院の2割近くで、勤務する看護職員が、新型コロナウイルスを理由に、 誹謗・中傷や差別を受けていたことが、県看護協会のアンケート調査で分かった。保育園や学童から預かりを断られたり、医療機関への受診を拒否されたりしており、同協会は「最前線の現場で奮闘する職員に対し、節度ある対応を取ってほしい」と訴えている。
 調査は、看護師、准看護師らに対する差別や、メンタルケアの取り組み状況などを尋ねたもので、6月に県内の全67病院と全71訪問看護ステーションなどに調査用紙を配布。67病院(回収率100%)、56ステーション(同78・8%)などから回答があった。
 アンケート結果によると、誹謗・中傷、差別があるとしたのは12病院(17・9%)で、新型コロナの患者が入院していない病院も含まれていた。家族から「家に帰ってこないで」と言われたことや、配偶者が会社での勤務自粛を求められるなどしたという。
 また、訪問看護ステーションも8施設(14・2%)で、中傷や差別的な扱いを受けたと回答。訪問先で全身に消毒液をかけられたという報告もあった。
 一方、職員のストレスチェックや、カウンセリングの機会を用意するなど、看護職員のメンタルケアに取り組んでいると答えた病院は、53病院(79・1%)あった。約半数の34病院は、中傷などに対する、職員の相談先があると回答した。
 同協会の井上栄子会長は「結果を他の医療団体や県などとも共有し、県全体で医療従事者へのサポート体制を考えるきっかけにしていきたい」と話した。

◆体調不良で119番、搬送不要と判断され…包丁で救急隊員脅す indexへ

 北海道警釧路署は6日、釧路市(自称)の無職の男(65)を暴力行為等処罰法違反容疑で逮捕した。
 発表によると、男は5日午後11時20分頃、自宅アパートから体調不良で119番し、到着した救急隊員に搬送不要と判断された際、包丁を手に釧路市消防本部の男性救急隊員(36)を脅した疑い。

◆陽性患者に「陰性」と誤通知…検査結果の判明前に、市が謝罪 indexへ

 大阪府東大阪市は29日、新型コロナウイルスのPCR検査の結果が陽性だった患者1人について、検査結果の判明前に同市保健所が誤って陰性と通知するミスがあったと発表した。
 同市によると、患者は27日に検査を受けた。同日、保健所の職員が管内の検査結果を集計する 際、陰性と取り違え、確認が不十分なまま本人に通知した。28日に陽性が判明し、謝罪した。この患者は28日に自宅近くの医療機関を受診したものの、他に 立ち寄った場所はないという。

◆陽性患者に「陰性」と誤通知…検査結果の判明前に、市が謝罪 indexへ

 大阪府東大阪市は29日、新型コロナウイルスのPCR検査の結果が陽性だった患者1人について、検査結果の判明前に同市保健所が誤って陰性と通知するミスがあったと発表した。
 同市によると、患者は27日に検査を受けた。同日、保健所の職員が管内の検査結果を集計する 際、陰性と取り違え、確認が不十分なまま本人に通知した。28日に陽性が判明し、謝罪した。この患者は28日に自宅近くの医療機関を受診したものの、他に 立ち寄った場所はないという。

◆重症認定なく、人工呼吸器も装着せず…70代男性が死亡 indexへ

 岐阜県は29日、新型コロナウイルスに感染し、県内の病院に入院していた患者が同日、死亡したと発表した。感染者の死亡は県内10人目。発表によると、亡くなったのは、愛知県在住の70歳代男性。重症とは認定されておらず、人工呼吸器も装着していなかったという。

◆知人女性に勝手に堕胎手術行った34歳医師、起訴…岡山地検 indexへ

 知人女性に無断で堕胎手術を行い、けがを負わせたとされる事件で、岡山地検は29日、岡山済生会総合病院(岡山市北区)の医師、藤田俊彦容疑者(34)を不同意堕胎致傷罪で起訴した。
 起訴状などによると、藤田容疑者は5月17日、妊娠約2か月の20歳代の知人女性に対し、承諾を得ずに同病院内で麻酔薬などを投与して意識を失わせ、無水エタノールを注入して胎児を堕胎。その際、女性にけがを負わせたなどとしている。地検は認否を明らかにしていない。

◆睡眠薬混ぜたスープ飲ませ、看護師の体触る…介護・看護の現場ではびこるセクハラ indexへ

 介護や看護の現場で働く職員が、利用者らから受けるセクハラ被害が後 を絶たない。労働組合や国の調査では、介護職員の約3割が被害を経験し、訪問看護では5割を超える。薬物を使った悪質なわいせつ事件も相次いでいる。国や 自治体は対策を打ち出しているが、費用や人員に限りがある中、各事業所での対応は遅れがちだ。
◆スープに睡眠薬
 「女性と接する機会がなく、触りたい衝動を抑えられなかった」
 法廷でそう述べた男(79)は今年2月18日、神戸地裁で懲役2年6月の実刑判決を受けた。罪名は準強制わいせつ。昨年12月、点滴や問診で自宅を訪れた30歳代の女性看護師に、睡眠薬を混ぜたスープを飲ませ約10分に及び体を触っていた。
 被害女性は法廷で「恐怖心と怒りで、忘れたくても忘れられない」と涙ながらに意見陳述。判決で裁判官は「訪問看護の現場に少なからぬ不安を与えた」と男を指弾した。
 同種の事件はほかにもあり、さいたま市では今年7月、訪問介護の女性を脅し、体を触ったとして利用者の男(83)が埼玉県警に強制わいせつ容疑で逮捕された。
◆泣き寝入り
 介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」(東京)が2018年に実施した調査では、回答した2411人のうち29・8%の718人が「不必要に体に触れる」などのセクハラ被害を経験していた。
 厚生労働省も18年度、「通所介護」「介護老人福祉施設」など従事する12種のサービス別に被害を調査。被害を受けた職員の割合は12種すべてで30%を超え、「訪問看護」が53・4%と最も高かった。
 クラフトユニオンによると、介護現場は、入浴や 排泄の介助など接触を伴う業務が多い。相手が高齢者や病人で、被害職員や事業所が強く抗議しにくい面もあり、セクハラが起きやすく、防ぎにくいという。
 17年前から川崎市の老人ホームで働く介護職員の女性(39)は、「被害に遭っても我慢が当たり前との雰囲気がある」と話す。
 約10年前、老人ホームに入る80歳代男性から約2年、排泄や入浴の世話のたび、わいせつな言葉を浴び、体も触られた。上司に相談しても「病人だから」と取り合ってもらえなかった。
 19年に異動した別の施設でも、計3人の男性から胸を触られるなど被害を受けた。報告を受けた事業所は男性らに注意したが、すぐ元に戻り、今も日常的にセクハラが続いているという。
◆付き添い費用補助
 厚労省では18年度にセクハラなどを防ぐための事業所向けマニュアルを作成。訪問介護については今年4月から、利用者と二人きりになるのを避けるため、付き添うスタッフを派遣する費用の一部を補助する制度も導入したが、現場に浸透するかは未知数だ。
 複数の福祉事業所を運営する「京都福祉サービス協会」(京都市)は、弁護士や警察OBを非常勤で雇い、事業所を巡回し、職員の相談を受けるなどして被害の未然防止を図るが、費用もかかるため、まだこうした取り組みは多くない。
 兵庫県では、国に先駆け17年度から2人以上の職員を訪問させる場 合、2人目の一部費用を補助する制度を設けたが、19年12月までの約2年で利用は4件。同県姫路市の訪問介護事業所は一時利用を検討したが、結局断念。 「そもそも人手が不足する現場で2人を一緒に派遣するのは厳しい」と話した。
 神戸市東灘区の訪問介護事業所は「セクハラ被害の訴えがあっても、交代させる余裕すらないこともある。被害を防ぎきるのは難しい」と実情を明かした。
業界全体で意識改革を
 関西医科大の三木明子教授(精神保健看護学)の話「これまで介護、 看護の現場では、ある程度の我慢が当然とされる傾向があり、業界全体が意識を変える必要がある。増加する介護需要に対応し、職員の離職を防ぐためには安心 して働ける環境が欠かせない。行政は対策を打ち出すとともに、地道に事業所の啓発を進めることが重要だ」

◆「夜の街」PCR検査、個人宅に10人の情報流出…申込用紙に誤ったファクス番号 indexへ

 群馬県と前橋市が同市千代田町周辺のホストクラブやキャバクラ38店舗を対象に進めている新型コロナウイルスのPCR 検査を巡り、県は24日、検査を希望した2軒について従業員計10人の個人情報が外部に流出したと発表した。配布した用紙のファクス番号が間違っており、 申込用紙が個人宅に送付された。
 発表によると、県は19日に、PCR検査の実施案内とファクス番号の下4桁を間違えた申込用紙を各店舗に送付。22日にファクスを返信した2軒の従業員の名前や電話番号、居住する市町村や職種などが個人宅に流出した。
  ファクスを受信した個人宅の住民が23日に用紙を県庁に持参したことで、誤記が発覚し、県は住民と2軒の従業員に謝罪した。中村多美子・県保健予防課長は 書類のチェック体制が不十分だったとし、「情報管理を徹底し、再発防止に万全を期す。深くおわび申し上げる」と陳謝した。
 千代田町では、ホストクラブ2軒でクラスター(感染集団)が発生し、感染者が増加している。県によると、検査希望は24日までに11軒の約90人からあり、そのうち54人の検体を採取。2人は陰性で、残りは検査結果を待っている状況だという。

◆部下の救急隊員に「何やっているんだ」…頭たたき、ひざ蹴る indexへ

 千葉県松戸市消防局は21日、救急活動の現場で部下に暴力を振るったとして、馬橋消防署救急隊長の男性消防司令補(44)を停職1か月の懲戒処分にした。
 発表によると、隊長は6月4日、救急車の中で機材の準備に手間取っていた20歳代男性隊員にいらだち、左足のすねを蹴った。7月1日には、患者の家族に付き添っていた隊員がなかなか帰ってこないことに腹を立て、「何をやっているんだ」と叱責し、ヘルメットの上から頭を平手でたたいたり、ひざを蹴ったりした。
 隊員が精神疾患を理由に休暇を申し出て、判明した。同局は監督責任があるとして、馬橋消防署長と副署長を訓告処分とした。

◆「治療気にくわない」…診療室に金づち持参、担当医の頭殴り骨折させた男逮捕 indexへ

 通院先の病院で、担当医師を金づちで殴ったとして、大阪府警西堺署は20日、堺市南区の職業不詳内田久夫容疑者(72)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。大筋で容疑を認めているという。
 発表では、内田容疑者は20日午後2時20分頃、堺市中区のベルランド総合病院の泌尿器科を 受診。診療室に入り、担当の男性医師(43)の頭や肩を持参した金づち(全長28センチ)で複数回殴り、頭の骨を折るなどのけがを負わせた疑い。病院から の110番で駆けつけた同署員が取り押さえた。
 内田容疑者は調べに対し、「医師の治療方法が気にくわなかった」と供述しているという。

◆5月の医療機関受診者、前年の4分の3に…コロナ影響で小児科は46%減 indexへ

 厚生労働省は19日、新型コロナウイルスの影響で、今年5月に医療機関を受診した患者数が前年同月比で約4分の3に減ったと発表した。診療所の診療科別では、小児科で46・1%減、耳鼻咽喉科で41・7%減、眼科で32・4%減だった。
 厚労省が、会社員らの医療費を取り扱う「社会保険診療報酬支払基金」の診療報酬明細書(レセプト)を基に算出し、同日の中央社会保険医療協議会(中医協)で示した。
 病院を受診した人(入院含む)は前年同月比23・4%減、診療所は24・0%減だった。

◆がん研究論文5本で捏造・改ざん…国循研究センター、阪大に在籍した医師 indexへ

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)と大阪大は18日、両機関に在籍した男性医師が執筆した研究論文5本で、 捏造や改ざんの不正があったとの調査結果を発表した。がんの合併症を防ぐと期待される薬の効果が、実際より高くなるようデータを操作してグラフを作成するなどしていたと認定した。両機関は今後、男性医師に不正認定した論文を取り下げるよう勧告する。
 大阪大などは、この論文を参考にして肺がん患者を対象に臨床研究を進めているが、実際に薬を投与された患者への健康被害は確認されていないとしている。

◆無断で堕胎の医師、非番に無許可で立ち入りか…麻酔薬使用「抜け穴ついた」 indexへ

 岡山済生会総合病院の外科医が妊娠中の知人女性に無断で胎児を堕胎させるなどしたとして逮捕された事件を受け、同病院が10日記者会見を開き、塩出純二院長は「被害に遭われた方、地域の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。
 逮捕されたのは藤田俊彦容疑者(33)。今年5月、同病院で、親しい関係だった女性を麻酔薬でもうろう状態にした上で堕胎させるなどした疑いが持たれている。女性から妊娠の相談を受け、「診察してあげる」と同病院に呼び出したとされる。
 同病院によると、藤田容疑者は2017年4月から勤務。事件当日は非番で、塩出院長は「部署の管理者の許可を得ずに立ち入ったと思われる」と述べた。施錠されていた診察室や手術室は職員カードなどを使えば入室できるという。
 藤田容疑者が麻酔薬を使っていたとされる点については「抜け穴をついたと推測している。管理を強化したい」とした。
 一方、岡山県警は10日、藤田容疑者を不同意堕胎致傷容疑で送検した。

◆療養宿泊の男性、タクシーで無断帰宅「部屋の衛生よくない」 indexへ

 大阪府は8日、新型コロナウイルスに感染して宿泊施設で療養中の30歳代男性が、無断で自宅に戻っていたと発表した。マスクを着用し、タクシーで帰宅しており、濃厚接触者はいなかった。
 発表では、男性は6日、療養先の「大阪アカデミア」(大阪市住之江区)に入所。7日朝、看護師が健康観察のため携帯電話や居室の電話に連絡したが、つながらず、施設から姿が見えなくなった。夜になって男性の家族と連絡が取れ、男性が自宅にいることがわかった。
 男性は「部屋の衛生面がよくなかったため、施設を出た。迷惑をかけて申し訳ない」と話しているという。府は原則、軽症者や無症状者について施設療養としているが、男性については自宅療養に切り替えた上で、本人や家族の経過を観察することにした。
 施設では3日にも別の男性が無断外出しており、7日から警備を強化したが、男性はその直前に帰宅していた。

◆陰性なのに「陽性」と入力ミス…検査の医療機関、入院男性に謝罪 indexへ

 佐賀県は8日、新たに佐賀市などの男性5人が新型コロナウイルスに感 染したと発表した。このうち4人は、祖父と孫など家族間での感染が疑われるという。また、7日に陽性と発表した鳥栖市の40歳代男性について、医療機関の ミスで実際は陰性だったと訂正した。県内の感染者数は延べ145人。
 県によると、新たな感染者は、佐賀市の10歳代2人、嬉野市の20歳代、小城市の30歳代、鳥栖市の80歳代。10歳代の2人は中学生で、6日に陽性が判明した80歳代男性と同居する孫。男性の70歳代の妻も感染が確認されている。
 鳥栖市の80歳代男性は、7日に感染が分かった孫の男性(10歳代)と接触していた。小城市の男性も、同居の母親(50歳代)の感染が判明している。嬉野市の男性は同市職員。
 記者会見した大川内直人・健康福祉部長は「家庭内での感染が多い印象。帰省の場合にも、家族に感染させないよう細心の注意を払ってほしい」と呼びかけた。
 一方、検査結果のミスに関しては、県から委託されて検査を実施した医療機関が、陰性を誤って陽性と入力したのが原因と説明。間違いに気付いて再検査を行い、改めて陰性となり、男性に謝罪した。男性は7日に入院したが、個室だったため、感染の恐れはないという。
嬉野市職員感染で庁舎を消毒
 嬉野市は8日、感染が確認された市職員について、観光商工課に勤務していることを明らかにした。9日、同課が入る嬉野庁舎の消毒作業を行う。
 市によると、職員は3日夜に発熱があり、4日は欠勤。熱が下がったため、5日は出勤したが、6日に再び体調不良で欠勤し、7日に検査を受けた。7月下旬に業務の関係で東京、大阪方面からの来訪者と市内を巡ったが、感染との関連は不明という。

◆「早口で通報聞き取れず」救急車の到着遅れる…女性が搬送先で死亡 indexへ

 埼玉県川越地区消防組合は7日、119番の通報内容を聞き取れず、現場が特定できなかったため、救急車の到着が28分遅れたと発表した。川越市の女性(71)は搬送先の病院で死亡した。同組合は遅延と死亡との因果関係は不明としている。
 発表によると、5日午後5時50分頃、女性の家族から通報があったが、早口だったため職員が 内容を聞き取れなかった。119番をかけた公衆電話を特定し、午後6時頃、救急車が到着したが、通報者とは会えなかったという。その後、再び119番があ り、午後6時28分、公衆電話から約90メートル離れた住宅の玄関で車いすに座り、ぐったりとした女性を見つけ、搬送した。
 同組合は「適切に内容を聞き取っていれば、午後6時頃には救急車が現場到着できた」としている。

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◆日本の人口、1年間で鳥取県の人口分近い「50万人」減る indexへ

 総務省は5日、住民基本台帳に基づく今年1月1日現在の日本の人口を発表した。日本人は1億2427万1318人とな り、前年に比べ50万5046人(0・4%)減少した。人口は2009年をピークに11年連続減少しており、減少幅は1968年の調査開始以降、過去最大 となった。
 減少幅は初めて50万人を超えた。1年間で鳥取県の人口(55万6195人)に近い人口が 減ったことになる。昨年1年間の出生者数から死亡者数を引いた「自然増減数」はマイナス51万1998人で、最大の減少数となった。12年連続で自然減少 数は拡大している。出生者数は86万6908人で、死亡者数は137万8906人だった。
 都道府県別では、人 口が増えたのは、東京、神奈川、沖縄の3都県だった。埼玉、千葉両県が前年の増加から減少に転じた。減少数が多かったのは北海道の4万2286人、兵庫の 2万6937人、静岡の2万5600人の順だった。出生者数が死亡者数を上回る自然増は沖縄県のみだった。
 東京は前年比0・52%増の6万8547人増で、増加数、増加率ともにトップだった。三大都市圏で人口が増えたのは、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)のみで、東京一極集中の傾向が続いている。
 日本に住む外国人は286万6715人で、前年比19万9516人(7・48%)増加し、島根県以外の都道府県で増えた。総人口に占める割合は2・25%で、2012年の調査開始以降、最も高くなった。

◆感染対策ステッカー店急増…自己申告制、マスク着けないバー経営者「不安なら来なければいい」 indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大で、大阪府が6日から、一部飲食店などに休業や営業時間短縮を要請する繁華街・ミナミで、府の「感染防止宣言ステッ カー」を取得し、掲示する店が増えている。ミナミでは府の要請方針が発表されてからの取得ペースは約3倍に急増。要請に応じた店に出る協力金の受け取りに 必要なことも影響しているとみられるが、ステッカーは店側の自己申告で簡単に取得可能で、対策の実効性を疑問視する声も出ている。
 府は 6~20日、ミナミの一部区域を対象に、接待を伴う飲食店やバー、カラオケ店のうち、感染防止宣言ステッカーを掲示していない店には改正新型インフルエン ザ対策特別措置法に基づき、休業を要請。掲示している店や、居酒屋など酒を提供する店については営業時間を午前5時~午後8時の間にするよう求める。
 ステッカーは5日までに掲示すれば、府の要請に応じた店には府と大阪市が1日計2万円、最大30万円の協力金を支払う。
 府によると、ステッカー取得店舗数は、発行を始めた7月1日~同31日夜までに、府内で約2万9000店だったが、府が要請方針を発表した同日夜 以降、8月4日午前までに約3万6200店に増加。特にミナミを含む同市中央区での増え方が大きく、1日あたり取得店舗数は方針発表後、同区で3倍超に上 昇した。
 ステッカーは、店側が府のホームページで業種別の感染予防ガイドラインに沿った対策をとることに同意し、店名などを登録すれば、登録番号と店名が 記載されたステッカーを印刷できる仕組み。府の要請方針発表後に取得したミナミのバーの男性店長は、店員のマスク着用など対策を徹底しており、「協力金は 家賃の経費の足しにする」と話した。
 一方、ステッカー発行時、府は対策が講じられているかどうか、確認はしておらず、すべて店側の自己申告に基づき、印刷も店のパソコンなどで行える。このため店舗関係者からは「対策をとっている証明にはならない」との声もあがる。
 ステッカーを取得したミナミの別のバーの経営者はマスク着用などはしておらず、「役所も一軒一軒確認できないはず。完璧な対策は不可能。不安なら来なければいい」と話した。協力金は受け取る方針という。
       ◇
 吉村洋文知事は4日の記者会見で、休業要請などの対象エリアをミナミの一部に限定した理由について説明。6月1日~7月28日にミナミ全体で確認 された感染者は、梅田周辺のキタの3倍を超える279人で、半数近い136人が要請エリア内に集中。市内で発生した集団感染17例のうち13例もエリア内 だったとして、理解を求めた。


◆「うちの県にコロナ持ってきた」…「感染者狩り」横行、実名特定・中傷エスカレート indexへ

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、インターネット上では、感染者やその家族らを特定し、中傷や差別的な内容の書 き込みが繰り返されている。「感染者狩り」と呼ばれる行為だ。実際に標的となった東海地方に住む40歳代の男性が「目に見えないウイルスより、人の目の方 が恐ろしかった」と胸の内を明かした。
被害男性「ウイルスより恐ろしい」
 感染したのは、男性の10歳代後半の子供だ。普段は隣県の都市で暮らしているが、4月に帰省した際、発熱があり、感染が判明。その当日、男性の居住県は「県外から来た感染者」の1人として匿名で発表した。
 しかし、発表前に<○○地域で感染者ってほんと?>などとネット上でうわさが広まり、東海地方向けのネット掲示板やSNS上には〈うちの県にコロナを持ってきた〉〈このバカな感染者は誰なんだ?〉と、子供や家族を特定しようとする書き込みも現れた。
 県の発表から数時間後。<○○病院(に入院)って噂がある>などと投稿され、子供や男性がまもなく特定された。その後は一部を伏せた実名とともに、2人を中傷する書き込みが相次いだ。
 〈バイオテロリスト〉〈世の中から消えてほしい〉
 その頃、政府は県境を越える不要不急の移動自粛を呼びかけていた。投稿の内容は敵意をむき出しにしたものへとエスカレートし、デマもあふれていった。
 〈スーパーで目撃情報がある〉〈毎日パチンコに通っていた〉。子供は帰省してから入院まで一度も外出していないが、根も葉もない情報が独り歩きした。
     ◎
  家族の生活は一変した。「コロナ持ち込むな。出て行け!」。自宅の留守電には2人を罵倒する言葉が吹き込まれていた。家族の感染はなかったが、なじみの スーパーや美容院から、「もう来ないでほしい」と遠回しに告げられた。外に出られなくなり、一時は食料や生活用品を親族に届けてもらって過ごした。
 子供の行動について、男性は「そこまで非難されることなのだろうか」と戸惑う。納得しがたいのは、デマを信じ込んで〈素行の悪いやつだ〉と中傷を書き込まれたことだ。
 男性は「そんな子ではないと説明したい」と訴えるが、行動できずにいる。「再びネットに中傷やデマが広がれば、家族に危害が及ぶかもしれない。黙って時がたつのを待つしかない」と悩んでいる。
県境またぎ 標的に
 「感染者狩り」の被害者は、外出自粛要請下で都道府県境を越える移動をした感染者やその家 族らが多い。3月末には、クラスターの発生した京都府の大学のイベントに参加していた女子学生が帰省先の富山県で県内最初の感染者となり、実名や住所が出 回った。5月上旬には、実家のある山梨県から高速バスで東京都内に戻った感染者の女性に対し、〈家族も抹殺されて当然〉などといった非難がSNSにあふ れ、本人とされる写真も掲載された。
 7月29日に最初の感染者が出た岩手県では、県職員がネット上をチェックし、問題のある書き込みがあれば画像で保存する対策に乗り出した。名誉毀損などで提訴する際の証拠として活用できるようにするためだ。
 県内初確認となった男性の勤務先企業が感染をホームページで公表すると、2日間で100件以上の電話やメールがあり、中には「感染した社員をクビにしたのか」などと執拗に迫るものもあったという。ネット上には「たたかれて当然」といった書き込みもあり、県は10件程度の画像を保存した。
 法務省によると、ネット上の人権侵犯事件は2019年に1985件あった。10年(658件)比で約3倍に増加したが、コロナ禍の今年はさらに増える可能性がある。

◆犬2匹がコロナ感染、飼い主が感染…国内初か indexへ

 新型コロナウイルスに感染した飼い主から預かった犬2匹がPCR検査で陽性になったと、ペット保険事業などを行う「アニコムホールディングス」が3日、発表した。同社は、国内で犬が新型コロナに感染した事例は聞いたことがないという。
 同社がいずれも関東地方に住むコロナ感染者2人から7月下旬に預かった犬各1匹を複数回、検査したところ、陽性となった。2匹とも健康状態に異常はなく、1匹は既に陰性を示しているという。
 同社はコロナに感染した飼い主から犬や猫などのペットを預かる事業を4月から実施。既に42匹を預かっていて、全てのペットに対し複数回のPCR検査を行っている。

◆80・90代感染者の3割超死亡、死者平均年齢79・3歳…都分析 indexへ

 東京都は31日、新型コロナウイルスに感染し、6月末までに死亡が確認された325人に関する分析結果を公表した。死者の平均年齢は79・3歳で、大半が糖尿病や高血圧、腎疾患などの基礎疾患を持っていたという。
 90歳代の感染者は33・9%が死亡し、80歳代も30・2%に上った。70歳代は17%で高齢者ほどリスクが高まる実態が裏づけられた。50歳代以下の死亡率は0・5%にとどまった。基礎疾患の有無を確認できた死者198人のうち、疾患がなかった人は4人だった。
 小池知事はこの日、東京版CDC(米疾病対策センター)の新設計画を公表した。インフルエンザ流行期に備えて10月以降に本格運用を始めるといい、専門家の助言を基に政策立案や医療体制の確保にあたる。

◆ビル・ゲイツ氏、PCRは「全くの無駄」…結果判明の遅さを批判 indexへ

 【ロサンゼルス】マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、米国内で実施されている新型コロナウイルスのPCR検査について、結果判明までに時間がかかりすぎるとし、「全くの無駄」だと批判した。複数の米メディアのインタビューで語った。
 CNNテレビが当局者の話として伝えたところによると、米国内のPCR検査の約半数を担う民間の試験所では、結果判明までに平均4・27日かかるという。
 感染者はこの間に感染を広げる恐れがあるため、ゲイツ氏は「感染者が行動を変えるよう、もっと結果通知を急がなければならない」と語った。結果判明まで48時間以上かかる検査にはコストをかけるべきではないとも主張した。
 ゲイツ氏は妻と設立した慈善基金団体を通じ、ワクチンの開発支援や途上国への支給など、世界の感染症対策に力を入れている。

◆国の自粛通知あったのに…市三役ら幹部17人、ホテルで飲酒伴う懇親会 indexへ

 新型コロナウイルスの感染者が栃木県内で最多の16人に上った7月29日、栃木市の部長級職員14人が大川秀子市長ら市の三役を来賓として招き、市内のホテルでアルコールを伴う懇親会を開いていたことが分かった。国は全国の飲食店で多発するクラスター(感染集団)対策で自治体を含めた関係団体に対し、大人数での会食や飲み会を避けるよう通知したばかりだったが、出席した部長の一人は「懇親会時点で国の通知は知らなかった」と弁明している。
 出席者によると、市役所の部長級で組織する部長会が、市内の飲食店の困窮する実情をみて、「ウィズ・コロナの時代、自粛ばかりでなく、経済との両立を考えたい」と企画した。自由参加で、29日夜、部長級21人のうち有志14人が出席。来賓として市長と副市長、教育長も参加、約1時間半懇談した。会場は「密」を避けるため、8人がけテーブルに半分の人数が座り、窓がなかったためドアを開け、換気に注意するなどしたという。
 一方、「飲食店等におけるクラスター発生防止のための総合的取組」として、内閣官房が7月28日付で各団体あてに文書を通知。飲食店の感染防止の徹底や、利用者にも注意を呼びかけたほか、職場絡みのクラスター発生防止のため、経済団体、公務員などには業務後の大人数での会食や飲み会を避けることなどを要請している。
 栃木市では、国の情報を見ることができるシステムで担当者が29日午後1時過ぎに内容を把握していた。しかし、課長が午後から不在だったため、内容はその日には部長に届かず、「部長会は知らないまま、当日夜に懇親会を行った」(出席部長)という。結局、国の方針を各部に連絡したのは30日になってからだった。
 懇親会については、31日の市議会議員研究会で取り上げられ、議員が「市民が自粛しているさなかに市長や部長が飲み会をしていて納得してもらえるのか」と指摘。出席した部長は、「市内では、新型コロナ患者の新規発生は比較的落ち着いている。賛否の意見はあると思ったが、経済との両立も考えた」と答えた。
 市では、新型コロナ感染防止のため、今春の異動時期に職員同士の歓送迎会を自粛。その後、市内で複数の感染者が出たため、4月18日から約1か月間、非常事態宣言を発令し、市民に感染対策の徹底を求めた。最近は少人数の職員同士の飲食を部長判断で行っている部署もあるというが、ある職員は「職員同士で懇親会をやったという話は私の周りでは聞いたことがない。この時期になぜ部長らが懇親会を開いたのか分からない」と話した。
新たに4人感染
 県と宇都宮市は7月31日、新たに4人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内の感染者は計195人。
 県の発表によると、佐野市の40代男性、真岡市の30代男性、那須塩原市の30代男性の感染が判明。このうち佐野市の男性は都内にも自宅があり、25日には都内の接待を伴う飲食店を2か所利用していた。
 宇都宮市は市内在住の30代女性の感染を発表した。4人はいずれも重症ではないという。

◆マスク拒否の感染患者と会話、マスク・防護服着用の看護師感染 indexへ

 千葉県船橋市は28日、市立医療センターの新型コロナウイルス感染症患者専用病棟に勤務する20~30代の女性看護師2人が感染したと発表した。このうち1人は、マスクを着けていない入院患者の看護を通じて感染した可能性がある。
 30歳代看護師は21日夜に37度の発熱があり、翌22日から勤務を休んだ。喉の痛みが強まったため、PCR検査を受けた。発症の数日前、入院直後でマスクの着用を拒否していた高齢の感染患者と近距離で30分以上会話をし、体調の聞き取りなどを行っていた。同病院は「看護師はマスク、防護服を着用していたが、感染している方がマスクをしていないとリスクは非常に高い。ここで感染した可能性がある」としている。
 20歳代看護師は21日、職員用休憩室で、30歳代看護師と一緒に昼食を取った。27日に発熱し、同日中に陽性が確認された。この看護師は、別病棟の看護師2人と病院外で会食していた。市保健所は2人について、濃厚接触者として検査を進めている。
 今のところ、感染症患者専用病棟で働く他の職員21人の中で体調不良を訴えている人はいない。感染者は専用病棟内にとどまっていることから、一般診療も含めて従来通り行う。
 専用病棟では3月末以降、61人の新型コロナウイルス患者を受け入れ、現在も14人が入院している。
 23人感染、2人死亡
 千葉県内では28日、新たに23人の新型コロナウイルス感染が確認された。このほか死者2人の発表があった。
 県の発表によると、いずれも基礎疾患があり、県内の医療機関で治療を受けていた70歳代男性2人が27日に亡くなった。1人は千葉県市川市在住。もう1人について、県は「遺族が風評被害を受けたため」として居住地などを公表していない。
 このほか、県管轄の保健所では20~70歳代の男女13人の感染が分かった。千葉県印西市の60歳代男性と50歳代女性は夫婦で、2人とも東京都葛飾区役所に勤務している。
 千葉市は、市内在住の40歳代男性2人の感染を確認した。発表によると、2人は市内でそれぞれの友人と会っており、いずれも友人の感染が先に判明した。
 船橋市は市立医療センターの看護師2人を含めて、市内在住者7人の感染を発表した。このうち10歳未満の小学生の女児は、感染した看護師の家族。60歳代無職女性と30歳代自営業の男性は、先に感染が明らかになった70歳代男性会社員の家族という。
 柏市では、40歳代女性の感染が確認された。女性は16日、都内の居酒屋で友人と飲食した。その後、友人の陽性が分かった。

◆全身麻酔で抵抗できない状態、手術中の女性患者にわいせつ容疑…医師を逮捕 indexへ

 全身麻酔をした患者にわいせつな行為をしたとして、広島県警は28日、札幌市中央区、元福山市民病院整形外科長大野晋太郎容疑者(37)を準強制わいせつ容疑で逮捕した。
 県警や病院の発表では、大野容疑者は福山市民病院で勤務していた今年1月下旬、助手として加わった手術中に、全身麻酔で抵抗できない状態だった30歳代女性患者の下半身を数回触った疑い。容疑を認めているという。
 大野容疑者は2017年4月から今年3月まで同病院で勤務。手術に関わった職員が大野容疑者の行為を目撃し、報告を受けた病院が診療行為から外した上で、今年2月に県警に刑事告発していた。
  喜岡幸央院長は「被害に遭われた患者や家族をはじめ、市民に深くおわびする」とコメントした。

◆特養入所者に誤ってドーナツ食べさせ死なす、准看護師に逆転無罪 indexへ

 長野県安曇野市の特別養護老人ホームで2013年、入所者の女性(当時85歳)に誤ってドーナツを食べさせ、その後死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた同施設職員で准看護師の山口けさえ被告(60)の控訴審判決が28日、東京高裁であり、被告を罰金20万円とした1審・長野地裁松本支部判決を破棄し、無罪を言い渡した。

◆コロナとインフル、同時判定できる抗原検査キット…鼻の粘液使い30分程度で indexへ

 検査試薬メーカー「富士レビオ」(東京)は27日、抗原検査キットを使って、新型コロナとインフルエンザのウイルスへの感染の有無を30分程度で同時に判定することが可能になったと発表した。医療機関ですぐに利用でき、インフルエンザの患者が増える秋から冬にかけて、効率的に検査を行えるようになる。
 同社は新型コロナ、インフルエンザそれぞれに、小型のキットを開発しており、医療機関などで既に活用されている。いずれも、採取した鼻の奥の粘液を処理液に混ぜてキットに垂らし、判定する仕組みだ。
 新型コロナの処理液がインフルエンザにも併用できることを確認した。二つのキットに数滴ずつ垂らせば、同時に感染の有無を調べられる。検査用の粘液の採取が一度で済むので、患者の負担が軽くなり、医療従事者が感染する恐れも減る。

◆女性保育士、泣く幼児を肘で床に押し付け…「両生類のハイハイ」指導中の動画 indexへ

 埼玉県加須市の認可保育所で、女性保育士が1歳前後の園児に「両生類のハイハイ」と呼ばれる運動を指導する中で、肘で園児の体を床に押しつけるなど、けがにつながりかねない行為を行っていたことが、関係者への取材でわかった。乳幼児の発達に詳しい小児科医は「あまりにも危険で、いつ事故が起こってもおかしくない」と指摘している。
 関係者によると、両生類のハイハイは、子どもが床の上をうつぶせの姿勢で足の指の力を使って前に進む運動。音楽に合わせて運動することで、身体的な発達を促すだけでなく、脳を活性化する効果があるとされ、全国の幼稚園や保育園で取り組まれている。
 読売新聞は、昨年5月10日に園関係者により撮影された動画を入手した。動画では、園児が泣き声をあげる中、約1分半にわたって女性保育士が園児の体を床に押しつけている。
 撮影した園関係者によると、園児は当時1歳前後で「しっかりと歩けるようになっていない園児に両生類のハイハイは危険だと思い、撮影した」と話す。複数の園関係者によると「他の園児にも時々、同様の指導をしていた」という。
 動画に映っていた女性保育士の行為について、県小児保健協会に所属する小児科医は「股関節が固定されていない年齢の子の腰から股関節にかけてを押しつけているので、脱臼を起こしてしまう」と指摘する。
 県内の別の保育園の代表者は「保護者に対して『こういう保育をしたい』と説明した上での指導なのか」と疑問を呈しているが、今回の加須市の保育園に子どもを預ける保護者の一人は「説明を受けていない」としている。
 女性保育士は読売新聞の取材に「子どもたちのためにやっていること。動画を撮った人が保育士だとしたら、私が何のためにやっているのかしっかり伝えられなかったのかもしれない」と話している。
 今回の加須市の保育園を巡っては、市が昨年5、6月に臨時監査を実施したところ、当時の主任保育士に「虐待に当たると疑われる行為」があったことが判明。また、市による臨時監査では、市からの委託費(年間約8200万円)などで用意すべき土曜保育の際の給食も提供していなかったほか、評議員会を開いたとする虚偽の報告文書の作成も明らかになった。その後、当時の主任保育士や運営する社会福祉法人の理事長兼園長は退職した。
 市地域福祉課は「今回の件について、情報提供はなかった」としている。

◆「手足口病」昨年の100分の1、過去最低水準…「コロナ予防で手洗い徹底」 indexへ

 手足や口の中に発疹ができる手足口病の患者数が過去最低の水準となっている。子どもに多い病気だが、7月上旬のデータで、今年は大流行した昨年のわずか100分の1。新型コロナウイルスの感染予防が奏功したとみられている。
 国立感染症研究所によると、7月6~12日の1週間に全国約3000の小児科から報告のあった患者数は436人(昨年同期約4万人)。1医療機関あたり0・14人(同12・64人)だった。例年7月下旬から8月上旬がピークだが、この時期としては、1981年に統計を取り始めて以来、最低水準という。
 過去の統計でも流行の翌年は患者数が減る傾向がある。感染研の藤本嗣人・感染症危機管理研究センター第3室長は「ヘルパンギーナや咽頭結膜熱(プール熱)といった夏に流行する他の感染症も低水準で推移している。新型コロナの感染予防で手洗いなどを徹底していることが影響している」と分析する。
 子どもの感染症に詳しい峯小児科(さいたま市)の峯真人院長は「感染予防に神経質になり過ぎるのもよくない。子どもの心身の発達には社会生活も大事なので、登校や登園も含め、通常通りの生活を送ってほしい」と呼びかけている。

◆聖職者ら、女性職員に「一信徒のくせに」…PTSD発症で労災申請 indexへ

 聖職者らからのパワーハラスメントで心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、休職を余儀なくされたとして、カトリック長崎大司教区(長崎市)の女性職員(50歳代)が長崎労働基準監督署に労災申請することが21日、わかった。
 女性の代理人弁護士によると、女性は大司教区の「子どもと女性の人権相談室」で相談業務を担当していた。2019年2月、100人以上の聖職者らが集まった場で叱責されたり、「思い通りになると思うな」「一信徒のくせに」などの暴言を受けたことが原因で、PTSDを発症し、今年6月から休職しているという。
 大司教区は読売新聞の取材に対し、「現段階で申請の事実や内容を確認できておらず、コメントは差し控える」としている。

◆新型出生前診断、無認定54施設 美容外科や皮膚科でも―実施体制を検討へ・厚労省 indexへ

 妊婦の血液から胎児のダウン症などの可能性を調べる新型出生前診断をめぐり、厚生労働省は22日、専門家部会を開き、少なくとも54施設が日本医学会の認定を受けずに実施していたと報告した。同省は今秋にも、適切な実施体制の在り方を議論する検討会を設置する。
 同省は昨年部会を設け、新型検査の実態調査を進めていた。インターネット上の情報を調べたところ、無認定の54施設のうち、専門外の美容外科・皮膚科が最多の24施設を占めていた。40施設がカウンセリングをしていなかったほか、認定施設では認められていない胎児の性別や全ゲノム(遺伝情報)の検査を実施しているケースもあった。
 新型検査は2013年に国内で始まったが、「命の選別」との批判や、十分な情報を得られないまま人工妊娠中絶につながる可能性があることなどから、日本産科婦人科学会(日産婦)が指針を策定。カウンセリング体制が整った医療機関に限って日本医学会が認定する仕組みをつくった。

◆赤ちゃん用フェースシールドに熱中症リスク…小児科医会「お勧めしない」 indexへ

 新型コロナウイルスの感染防止のために販売されている赤ちゃん用フェースシールドについて、静岡県小児科医会はホームページで、熱中症リスクなどへの注意を呼びかけている。
 赤ちゃん用フェースシールドは大人用と同じような形状を小さくしたり、帽子に装着したりするタイプなどが販売されている。
 同会は1歳以下が使用した場合、〈1〉赤ちゃんは呼吸数が多く代謝が高いためシールド内の温度、湿度が上がりやすく熱中症のリスクが高まる〈2〉シールド内に新鮮な空気が入りにくく、二酸化炭素の濃度が高い呼気を再び吸い込む〈3〉ずれて鼻が圧迫された場合、呼吸ができなくなる――などの注意点があるとし、小児科医として「お勧めしない」としている。
 同会の三田智子会長は、「製品自体を否定はしない」とし、電車やバスによる移動の際といった短時間の使用などには一定の理解を示した。そのうえで「リスクを把握し、状況に応じて必要性を判断してほしい」と呼びかけている。

◆台所用漂白剤、勘違いでこども園プールに…園児15人が15分間遊ぶ indexへ

 徳島市は16日、市立勝占認定こども園で、プールの塩素濃度を調整するために使用する薬品を取り違えるミスがあった、と発表した。このプールに入った園児15人には健康被害は確認されていないという。
 市によると、園の職員が、本来使用する消毒液の代わりに、新型コロナウイルスの消毒剤として置いていた台所用漂白剤を代用できると勘違いして使ったという。15人は約15分間、プールで遊んでいた。

◆2倍量の日本脳炎ワクチン、1歳児に誤って接種 indexへ

 長崎市は13日、定期予防接種を委託している市内の医療機関が、日本脳炎ワクチンの接種に来た男児(1)に、誤って2 倍の量を接種したと発表した。
 健康状態に異常はないという。発表では、5月29日、3歳未満の被接種者には0・25ミリ・リットル接種すべきところを、 0・5ミリ・リットル接種した。6月23日に市こども健康課が報告書を確認して発覚したという。

◆「手術直後の患者の胸舐めた」準強制わいせつ罪に問われた乳腺外科医に逆転有罪 東京高裁 indexへ

 男性の乳腺外科医が、手術直後の女性患者の胸をなめたとして準強制わいせつ罪に問われたものの、一審の東京地裁では女 性の被害の訴えは、麻酔の影響による「術後せん妄」の可能性があるとして、無罪とされてた事件。東京高裁(朝山芳史裁判長、伊藤敏孝裁判官、高森宣裕裁判 官)は13日、原判決を破棄し、医師を懲役2年の実刑とする逆転有罪判決を言い渡した。被告・弁護側は記者会見で、「このまま冤罪を放置できない」とし て、即日上告した。

一審は科捜研の鑑定方法にも疑問符をつけていた
 一審判決では、被害を訴えるA子さんのほか、その母親、他の医師や看護師、同室の患者などの証言を細かく検討し、A子さんの訴えは麻酔薬や痛みの影響による「せん妄」の可能性が否定できない、と判断した。
 さらに、A子さんの胸から採取した微物鑑定を行った警視庁科学捜査研究所の研究員が、実験ノートにあたるワー クシートを鉛筆で記載し、少なくとも9カ所を消しゴムで消して書き直していたり、あるいは本件ではDNAの量が争点になることを検察官から知らされた後 に、定量検査についてのデータや抽出液を廃棄したために、鑑定結果が検証不能になったりしたことが、一審では問題になった。地裁判決は、「検査者としての 誠実性」に疑問符をつけ、鑑定書について「証明力は十分なものとはいえない」とした。

科学的厳密さには欠けてもOK
 これに対して控訴審は判決要旨によると、A子さんの一審証言を「強い証明力を有する」と全面的に評価。科捜研の鑑定についても、DNA定量検査の記録や抽出液の残余を廃棄したことについて、 「検証可能性の確保が科学的厳密さの上で重要であるとしても、これがないことが直ちに本件鑑定書の証明力を減じることにならない」として、信用性を認め た。

「非科学的な判決」に弁護団は衝撃
 主任弁護人の高野隆弁護士は、一 審で手術後のA子さんの状況を語った3人の看護師証言を高裁が疑問視したことについて、「(高裁は)証言を見ても聞いてもいない、同室の患者の証言もあるのに、一切無視して、(看護師は)病院関係者だから偽証する動機があるなどとして退けた」と批判。
 その一方で、科捜研の鑑定の信用性を認めたことについて、高野弁護士は「裏付けるものが何1つないのに、思い 違いや偽証をする動機がない、としてそのまま採用した。科捜研の技官が『ちゃんとやった』と言いさえすれば、何の裏付けがなくても裁判所は信用する。21 世紀も20年が経つというのに、こんなに非科学的な裁判が行われ、冤罪が生まれていることに衝撃を受けている」と怒りをにじませた。刑事事件の経験豊富な 高野弁護士が、会見の途中「このような裁判に、我々は怒りを通して、どうすればいいか分からないくらいだ」と口走ったところにも、その衝撃の大きさが伺え た。

外科医は「生活が再び壊される」
 有罪判決に被告人の乳腺外科医は「私はやっていません。それに も関わらず、公正であるべき裁判官が公正な判断をしないということに怒りを覚えている。(逮捕・起訴によって)一度壊れた生活を、やっとここまで立て直してきたのに、(有罪判決によって)再びこれが壊されることに憤りを覚える。この生活が守られるよう戦っていく」と語った。
注)リードの「上告する方針を明らかにした」を「即日上告した」に改めました。

◆病院側、1億6700万円賠償し和解 長崎・医師過労死訴訟 地裁判決受け入れ indexへ

  長崎市の長崎みなとメディカルセンターに勤務していた男性医師(当時33歳)が急死したのは過重労働が原因として、遺族が病院側に損害賠償などを求めた訴訟は10日、和解した。病院側は過労死と認め、約1億6700万円の支払いを命じた1審の長崎地裁判決を全面的に受け入れた。
 地裁判決によると、男性は2014年4月から同センターで心臓血管内科医として勤務しており、同年12月に自宅で心肺停止状態で見つかり、亡くなった。1カ月平均の残業時間は177時間に上り、長崎地裁は過労死ラインを大幅に上回る業務が男性の過労死につながったと認定した。
 病院側は福岡高裁に控訴していたが、安全配慮義務を怠ったため過労死を招いたと判断を改め、10日に控訴を取り下げて遺族に謝罪した。遺族側は「病院は命を守る場所。働く職員の命も守ってほしい」とのコメントを発表した。

米、WHO脱退を国連に正式通告…来年7月に indexへ

 【ワシントン】米政府高官は7日、米国が世界保健機関(WHO)から来年7月に脱退することを国連に正式に通告したと明らかにした。ト ランプ大統領は5月末、WHOが中国寄りの運営を続け、新型コロナウイルス対応で過ちを繰り返したと批判し、脱退する意向を表明していた。

鹿児島「夜の街」に休業要請へ…知事「クラスターの連鎖防ぐため」 indexへ

 鹿児島市のショーパブで新型コロナウイルスのクラスター(感染集団)が発生したことを受け、鹿児島県の三反園訓知事は6日、8日から2週間、接待を伴う飲食店に対し、県全域で休業要請を実施する方針を明らかにした。
 対象はナイトクラブやスナック、パブなど。協力した中小企業や個人事業主には最大30万円の協力金を支給する。三反園知事は「同様の事態が発生すれば、医療体制が逼迫することが考えられる。クラスターの連鎖を防ぐための措置だ」と説明した。
 鹿児島市では繁華街・天文館にあるショーパブ「NEWおだまLee男爵」でクラスターが発生。従業員のほか利用客とその職場の同僚などに感染が広がり、同店に関わる感染者は5日時点で80人を超えている。

研修医、駅前で高2女子の下半身触る…迎えに来た母親が取り押さえる indexへ

 神奈川県警都筑署は3日、滋賀県近江八幡市内の市立病院に勤める研修医の男(25)を、県迷惑行為防止条例違反(痴漢)容疑で現行犯逮捕した。
 発表によると、男は同日午後10時10分頃、横浜市都筑区の市営地下鉄駅前で、同区の高校2年生の女子生徒(16)の下半身を触った疑い。迎えに来た女子生徒の母親がその場で取り押さえ、同署員に引き渡した。

認知症の行方不明者1万7479人、7年連続増加…最多は大阪2007人 indexへ

 昨年1年間に全国の警察に届け出があった認知症(疑いを含む)の行方不明者は、延べ1万7479人に上り、過去最多を更新したことが警察庁のまとめでわかった。前年より552人増え、2012年の統計開始以来、7年連続の増加となった。高齢化の進行が背景にある。
 認知症の行方不明者のうち、男性は9503人、女性は7976人。都道府県別では、大阪が2007人で最も多く、次いで埼玉が1960人、兵庫が1778人、神奈川が1593人、愛知が1468人だった。
 昨年中に無事が確認された認知症の行方不明者は1万6775人。届け出を受理した当日に見つかったのが約7割、2~7日が約3割で、ほとんどが1週間以内に見つかっていた。死者は460人で、路上で車にはねられたり、山中に迷い込んで倒れたりするなどしていた。
 一方、認知症以外も含む行方不明者の総数は、ほぼ横ばいで推移。昨年 は8万6933人で、前年より1029人減少した。年齢別では、20歳代が最多の1万7852人(21%)。次いで10歳代が1万5572人(18%) だった。9歳以下も1253人いた。原因・動機は、10歳代では「家庭関係」が39%を占め、次いで学業不振やいじめなどの「学業関係」が10%だった。

最大クラスター発生の永寿総合病院、看護師手記に「泣きながら防護服着るスタッフも」 indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大で、国内最大のクラスター(感染集団) が発生した永寿総合病院(東京都台東区)の湯浅祐二院長が1日、東京都内の日本記者クラブで記者会見し、「感染者がいる可能性を常に想定するという認識が 十分に浸透していなかった。予防策が不十分だった」と語った。病院側が会見するのは感染判明後初めて。
 永寿では入院患者2人の感染が確認された3月23日以降、214人の 感染が判明し、入院患者43人が死亡した。厚生労働省クラスター対策班の調査やこれまでの取材で、3月上旬に発症したとみられる入院患者2人の感染に気付 くのが遅れた結果、「アウトブレイク(大量感染)」が起きたことが判明している。
 湯浅院長は感染拡大を謝罪した上で、感染者に気付くのが遅れた理由として「発熱や肺炎を起こす患者は珍しくなく、当時は感染が 蔓延している地域からの帰国者や濃厚接触者以外の検査は一般的でなかった」と説明。職員の手指消毒が不十分で、病棟の休憩室などで職員同士の感染が広がった可能性にも言及した。
 永寿など多くの総合病院では、一つの病棟に複数の診療科が入る「混合 病棟」の形態が採られている。湯浅院長は「医師が病棟を行き来したことが感染拡大の一因になった」とも述べ、重症化しやすい血液疾患などを持つ患者につい ては、疾患ごとに病棟を限定していく考えを示した。
 会見に合わせ、看護師と医師計3人の手記も公開された。看護師の手記には「未知のウイルスへの恐怖に泣きながら防護服を着るスタッフもいた」などとつづられていた。

消毒用アルコールを2倍の価格で転売、女を全国初摘発「生活費稼ぐため」 indexへ

 消毒用アルコールを購入額の約2倍の価格で転売したとして、愛知県警は1日、名古屋市中村区の無職女(36)を国民生活安定緊急措置法違反容疑で名古屋地検に書類送検した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消毒液の違法転売の摘発は全国初。
 発表によると、女は6月2日、自宅近くのドラッグストアで1966円で購入した消毒液(30ミリ・リットル入り)6本を、フリーマーケットアプリを介して県内の男性に4000円で転売した疑い。「生活費を稼ぐためだった」と容疑を認めている。
 女は購入時、店頭で「施設で働いていて大量に必要」と伝えていたという。県警は、女がこのほかにも消毒液の転売を繰り返し、約1万円の利益を得ていたとみて調べている。

「レムデシビル」1人分価格、25万円に設定…国内は「負担なし」継続 indexへ

 【ワシントン】新型コロナウイルス治療薬として国内で特例承 認された「レムデシビル」について、米製薬会社ギリアド・サイエンシズは29日、公的医療保険を持つ先進国向けの患者1人分の価格を2340ドル(約25 万円)に設定した、と発表した。これまで各国に無償提供していたが、7月から有償に切り替える方針を示していた。
 発表によると、1回分の価格は390ドルで、患者には通常5日間で薬を計6回投与する。米国の民間医療保険の加入者向けは1回520ドルとした。
 日本政府は5月に特例承認し、重症者に優先的に配分してきた。国内の患者は引き続き費用負担なしでこの薬の治療を受けられる。

「コロナ感染は自業自得」日本は11%、米英の10倍…阪大教授など調査 indexへ

 新型コロナウイルスに感染する のは本人が悪い――。3~4月の時点で、そう考えていた人の割合が、日本は米国や英国などと比べて高かったという調査結果を、三浦麻子・大阪大教授ら心理 学者の研究グループがまとめた。国内で感染者が非難されたり、差別されたりしたことと、こうした意識が関係している可能性があるとしている。
 三浦教授らのグループが3~4月、日本、米国、英国、イタリア、中国の5か国で各約400~500人を対象にインターネット経由で回答を得た。
 「感染する人は自業自得だと思うか」との質問に、「全く思わない」から「非常に思う」まで賛否の程度を6段階で尋ねた。
 その結果、「どちらかといえばそう思う」「やや――」「非常に――」 の三つの答えのいずれかを選んだのは、米国1%、英国1・49%、イタリア2・51%、中国4・83%だった。これに対し、日本は11・5%で最も高かっ た。反対に「全く思わない」と答えた人は、他の4か国は60~70%台だったが、日本は29・25%だった。
 三浦教授は「日本ではコロナに限らず、本来なら『被害者』のはずの人 が過剰に責められる傾向が強い。通り魔被害に遭った女性が、『深夜に出歩くほうが悪い』などと責められることもある。こうした意識が、感染は本人の責任と みなす考えにつながっている可能性がある」としている。

市が寄付募った雨がっぱ33万枚、保管法巡り条例違反の疑い indexへ

 大阪市が新型コロナウイルス対策で寄付を募った約33万枚の雨がっぱの保管法を巡り、市消防局が市に対し、条例違反の疑いがあると注意したことがわかった。
 雨がっぱは、防護服不足を受けて市が4月中旬に提供を呼びかけた。市は本庁舎の1階ロビーで 今月中旬まで段ボール箱に入れ保管。市火災予防条例は、燃えやすい合成樹脂類を大量に保管する際は届け出を義務づけており、市消防局は届け出を怠ったとし て市を注意した。雨がっぱの受け入れを担当した市健康局の担当者は「違反の認識はなかった」と話している。

医師「大麻使って気分悪い」と119番、警察が部屋でコカイン発見 indexへ

 コカインを所持したとして、大阪府警高槻署は24日、高槻市白梅町の医師武田実容疑者(34)を麻薬取締法違反(所持)容疑で逮捕したと発表した。「知り合いの売人から買った」と容疑を認めているという。
 同署によると、武田容疑者は4月21日、自宅で微量のコカインを所持した疑い。武田容疑者は同日未明、「大麻を使って気分が悪くなった」と自ら119番し、救急搬送された。消防から通報を受けた同署が武田容疑者の部屋でコカインを発見したという。

県のあっせんマスク、2000万枚以上売れ残り…販売開始遅すぎか indexへ

 新型コロナウイルスの感染防止のため、富山県が県民に購入をあっせんしたマスク約4000万枚のうち、最終的な販売枚 数は約1776万枚だったことが22日、分かった。2000万枚以上のマスクが余ったことになるが、県は販売に協力したスーパーから買い戻し、災害時の備 蓄などに活用するという。
 同日の県議会予算特別委員会で、藪田栄治議員(自民)の質問に竹野博和・生活環境文化部長が答えた。5月中旬の販売が始まる頃にはマスクの品薄状態が和らぎ始めていたことが、売れ残りが出た原因とみられている。
 竹野部長は「県民に十分なマスクが行き渡ったことが一番大きな成果だ」とも強調した。県は売れ残り分を災害避難所や介護施設などで備蓄用に回すという。
 県のあっせん事業では、5月18日~6月14日に県内のスーパー計76店舗で販売が行われた。各世帯に購入券を配布し、当初1世帯2箱までの制限があったが、途中からは購入券なしで最大40箱まで買えるようにしていた。

血液型A型は感染後の重症化リスク45%高…欧州研究チーム indexへ

 血液型がA型の人は他の血液型の人に比べ、新型コロナウイルス感染後 に重症化しやすい傾向にあるとする研究結果を、欧州各国の研究者でつくるチームが発表した。多くの感染者が出たイタリアとスペインの患者らを対象にした研 究で、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に論文が掲載された。
 チームは、患者らのゲノム(全遺伝情報)を分析し、遺伝的要因と感染リスクとの関連を調べた。重症患者1980人と、一部軽症者を含む健康な人2381人を比較し、遺伝情報のわずかな違い850万か所を分析したところ、血液型によって重症者と健康な人に違いが見られた。
 分析結果によると、A型の人は他の血液型の人に比べ、感染後に重症化するリスクが45%高いことが判明。一方、O型の人はこのリスクが35%低いことも明らかになったとしている。
  徳永勝士・国立国際医療研究センタープロジェクト長(ゲノム医学)の話 「今回の結果を直ちに日本人に当てはめるのは難しいが、今後、欧州やアジアなどで広くゲノム分析が進むと、血液型を含む遺伝的要因との関係が明らかになるかもしれない」

性風俗店「全従業員が陰性」と虚偽広告…実際は一人も検査せず indexへ

 新型コロナウイルスの感染を巡って、大阪府枚方市の性風俗店が「全従業員が検査で陰性」と虚偽の宣伝をしたとして、府警は24日、大阪市北区、同店経営の男(63)ら2人を不正競争防止法違反(誤認惹起など)容疑で逮捕した。従業員でPCR検査や抗体検査を受けたのは、一人もいなかったという。
 発表では、男らは5月6日、同店のホームページに「ウイルス検査の結果、全従業員に陰性診断がおり、安全が確認されました」などと虚偽の広告を掲載した疑い。
  府警によると、同店は府の休業要請を受け4月15日から休業していたが、5月16日に営業を再開するにあたり、虚偽広告を掲載した。再開後の半月で約 550人が利用していたという。男らは今月3日、風俗営業法で禁止されている区域内で営業した同法違反容疑で逮捕されていた。

柳井正氏、京大に100億円寄付へ…本庶・山中氏ら支援 indexへ

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は24日、京都大学に総額100億円を寄付すると発表した。ノーベル賞を受賞した本庶佑・京大特別教授のがん免疫療法の研究や、山中伸弥教授のiPS細胞を活用した新型コロナウイルスのワクチンの開発などを支援する

虫歯予防のうがい、濃度4倍液を児童に使わせる…2人が気分悪化や違和感 indexへ

 鹿児島県鹿屋市の小学校で虫歯予防のための「フッ化物洗口」を行った際、学校職員が誤って通常の4倍の濃度の溶液を児童に使わせていたことが分かった。児童約120人のうち2人がのどの違和感などを訴えたという。
 同市では、昨年度から全小学校でフッ化物洗口を行っており、週1回、給食後などに児童が口をゆすいでいる。溶液は、学校職員が薬剤の顆粒を水に溶かして作っている。
 この学校では、薬剤の小袋を1・8グラム入りと7・2グラム入りの2種類使っており、5月21日に職員2人が7・2グラム入りを1・8グラム入りと勘違いして溶液を用意。味の異変に気付いた児童が担任に報告して判明した。
 学校は溶液をはき出させ、水でうがいさせたほか、気分の悪化やのどの違和感を訴えた5年生2人を保健室で休ませた。その後、体調不良の報告はないという。
 市教委は「児童や保護者に申し訳ない。確認作業の徹底や改善を図り、再発防止に努める」としている。

シーツ洗濯を拒否される病院続々、業者が感染懸念…3か月分たまった例も indexへ

 新型コロナウイルスの感染が拡大した3~5月にかけ、感染者を受け入れた医療機 関で、シーツなどのクリーニングや院内の清掃を委託先の業者に拒否される事例が相次いでいたことがわかった。委託業務が滞れば、医療現場の負担につながる 恐れがあり、専門家は第2波、第3波を見据え、対策の必要性を指摘している。3か月分
 5月下旬、大阪府豊中市の市立豊中病院の一室に約3か月分の使用済みシーツや枕カバーなどが袋に詰めて積み上がっていた。
 同病院は感染症指定医療機関の一つで、2月下旬から感染者の受け入れをスタートした。感染者の標準的な入院期間は2~3週間。通常なら週1回程度の頻度でシーツ交換が必要だ。
  感染症患者が使用したシーツなどのリネン類のクリーニングは、1993年の厚生省(現・厚生労働省)通知で、外部に委託する前に院内で80度以上の熱湯で 消毒するなどとされている。しかし同病院の本来の感染症病床は約15床。その3倍近い病床をコロナ感染者の受け入れに充て、院内での消毒が追いつかなく なった。
 通知では「やむを得ない場合」は未消毒でも委託できると認めており、病院はこれに基づき、委託業者と交渉したが「未知のウイルスで感染リスクがある」と話がまとまらなかった。
 こうしたケースは各地で起きたとみられ、全国約140業者が加盟する「日本病院寝具協会」(東京都)には3月頃から、医療機関から「委託先に未消毒のリネン類の回収を断られた」との相談が複数寄せられた。 清掃も
 厚労省は4月24日、未消毒のリネン類のクリーニングも外部委託可能とする方針を決定。容器に密閉し「未消毒」と明記するなどの手順を各自治体に周知した。
 それでも改善につながらなかったケースもあり、京都第二赤十字病院(京都市)ではシーツを医療廃棄物として捨てる判断をした。
  ただ「使い捨て」にはコストが伴う。同じくリネン類を廃棄処分した大阪府内の医療機関によると、1人分のシーツや枕カバーのクリーニング費用は70円程度 だが、廃棄し、買い替えるとその40倍。医療機関の担当者は「受け入れ期間が長引けば、病院経営も圧迫される」と明かした。
 院内の清掃を巡っても同様の問題が起きた。
 新型コロナの専用病棟を設けた大阪府内の病院は3月、清掃会社から「従業員に感染の恐れがある」と業務を断られ、看護師が消毒、清掃を行っている。4月下旬から軽症者の受け入れを始めた東日本のホテルは、契約していた清掃会社から解約を申し出られた。
 リスクにためらい
 業者側にも事情がある。
  医療機関など400施設以上の寝具のリース・洗濯を請け負う「三栄基準寝具」(大阪府羽曳野市)は未消毒のリネン類も引き受けたが、消毒の工程はゴーグ ル、マスク、手袋を着用し、細心の注意を払う必要があり、吉川武社長(75)は「従業員の感染リスクは常につきまとう」と不安を口にする。
  東京都内の清掃会社は4月、従来の委託先に拒否されたとみられる複数の医療機関から「コロナ感染者の病棟の清掃を頼めないか」と、打診を受けたが断った。 フェースガードや防護服は購入したが、同社の男性社長は「次に依頼があっても、病院と感染予防について十分に協議してからの決断になる」と慎重な姿勢をみ せた。
 九州大の馬場園明教授(医療経営学)の話「医療従事者が治療に専念する環境を整えるには、外部業者の協力が欠かせない。第2、第3波での医療体制を維持するためには、国や自治体は外部業者も含めた感染予防を、コストを含めどう支援していくか検討を進めるべきだろう」

50万枚の中国製医療用マスク、性能不備で1枚も配れず…県が購入した経緯を追及 indexへ

 新型コロナウイルスの感染者受け入れ病院などに配るため、神奈川県が購入し、4月下旬~5月上旬に納品された中国製の 医療用防護マスク50万枚の一部に不良品が見つかり、一枚も配備できないまま保管されていることが18日、分かった。県内で1日あたりの新規感染者が2桁 に上る日が続き、入院患者も多かった時期に、医療現場にマスクが届かなかったことになる。
 県によると、県内の医療機関では、4月には医療用防護マスクの在庫が減り、切迫した状況にあった。そのため、県は4月16日、通商会社「越洋通商」(東京)から約1億3000万円で中国製の50万枚を購入する契約を結び、4月30日と5月7日に納品された。
  しかし、5月25日に第三者機関を通じてマスクの性能などを検査したところ、後日、サンプル8枚のうち5枚が高性能のN95マスク相当の機能を有していな いことが判明。県は中等症患者を集中的に受け入れる「重点医療機関」などにマスクを配備する予定だったが、不良品が混在していると判断し、中止した。現在 は、国からのマスク配備などもあり、在庫に問題はないという。
 県は越洋通商に対し、代替のマスクを6月29日までに納品するよう要請している。同社側も応じる意向を伝えてきているというが、納入が遅れたり、再び不良品が混じっていたりした場合は契約を解除し、代金の返還や違約金を求める。
 このトラブルを巡っては、複数の県議が「県がなぜ越洋通商を選び、契約したのか、経緯を確認していく」と語っており、開会中の議会で追及する構えだ。
 県の担当者は取材に、「契約当時は国内メーカーから調達できる状況になく、緊急を要したため、この会社と契約した」としている。

大半の人が抗体持たない…感染歴ある人は東京0・1%、大阪0・17% indexへ

  厚生労働省は16日、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査の結果を公表した。東京、大阪、宮城の3都府県で計7950人に実施、感染歴がある人の 割合は、東京が0・1%、大阪が0・17%と、感染が広がった地域でも、大半の人が抗体を持っていないことがわかった。一方、感染者の少ない宮城では0・ 03%だった。同省では、より正確な実態把握のため、追加の調査を検討する。
 抗体検査は、ウイルスが感染した際に体の中にできる抗体の有無を血液で調べる。今回の検査は今月1~7日に行われた。判定をより正確に行うため、2種類の試薬を使い、両方で陽性が確認されたものを「抗体有り」とした。
 現在、医療現場で、その時点で感染しているかどうかの診断には、PCR検査や抗原検査が行われている。ただ、新型コロナでは無症状やごく軽症の感染者が多数いるとされ、厚労省は、感染状況の実態を調べるため、今回、抗体検査を行った。
 また、検出された抗体が体内でどのぐらい持続するかや、再度の感染を防ぐ効果があるかは、定かではない。国立感染症研究所で、調べる。

母親が感染しても授乳を…WHO「リスクより利点が勝る」 indexへ

 【ジュネーブ】世界保健機関(WHO)は12日、母親が新型コロナウイルスに感染している場合でも、授乳 を推奨するとの考えを明らかにした。スイス・ジュネーブで記者会見したテドロス・アダノム事務局長は、これまでの調査の結果、「新型コロナウイルスの感染 によるリスクよりも、授乳による利点の方が勝る」と述べた。
 テドロス氏は、子どもは新型コロナウイルスのリスクが比較的低い一方、授乳によって多くの疾 病から乳幼児を守れると指摘した。その上で、「新型コロナウイルスに感染したり、感染が疑われたりする場合でも、よほど母親の体調が悪くない限り、乳幼児 は隔離されるべきではない」と語った。
 WHOは、これまで母乳から生きた新型コロナウイルスが検出された事例はないと説明している。母親が感染している場合には手洗いの励行や医療用マスクの着用などを求め、マスクがなかったとしても授乳の継続を推奨している。

弁当で医療従事者応援のはずが…病院職員53人が食中毒 indexへ

 京都府は9日、同府長岡京市の西山病院で、医師や看護師ら職員53人(22~70歳)が下痢や発熱などの症状を訴え、 うち8人からサルモネラ菌が検出されたと発表した。府は職員らが食べた弁当が原因の集団食中毒と断定。弁当を提供した同市のカフェ「Unir(ウニー ル)」を同日から3日間の営業停止処分にした。弁当は新型コロナウイルスに対応する医療従事者を応援しようとカフェが無料で届けたものだった。
 府などによると、職員133人が1~4日に弁当を食べ、2日頃から体調不良で欠勤する職員が相次いだ。病院側が4日、保健所に連絡。発症した53人中1人が入院したが、全員快方に向かっているという。
 カフェは今月2日の取材で、「クラウドファンディングで資金を募り、5~6月に市内の7医療機関に計500食を提供する」と説明していた。府によると、他の医療機関では発症者の報告はないという。

漂白剤で食品洗浄、うがいまで…CDCが注意呼びかけ indexへ

米疾病対策センター(CDC)は5日、新型コロナウイルスの感染防止に関するアンケート結果を 公表し、食品を漂白剤で洗うなど、不適切な使用法が米国民に広がっている可能性を指摘した。CDCは健康に悪影響を与える恐れのある行為だとして、注意を 呼びかけている。
 調査は5月上旬にインターネットで行い、502人が回答した。新型ウイルスの消毒のやり方を 尋ねたところ、19%が「野菜や果物を漂白剤で洗った」と答えたほか、18%が「家庭用の洗剤で身体を洗った」と回答した。「漂白剤を薄めてうがいするな どした」との回答もあった。
 回答者の一部は、頭痛や吐き気などを感じたと答えたという。

持続化給付金の委託先法人、義務の決算報告行わず…経産相「大変遺憾」 indexへ

 梶山経済産業相は5日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小企業向けの持続化給付金制度に関する業務を委託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が2016年の設立以来、決算報告をしていなかったことを明らかにした。梶山氏は「大変遺憾であり、早急な対応を要請している」と述べ、8日に公表させる方針を明らかにした。
 経産省は法令に対応していない法人に対して業務委託していたことになる。一般社団法人は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」で毎年、官報などで決算を公告することが義務づけられている。違反した場合は、100万円以下の過料という罰則がある。
 協議会は8日に2019年度分を含めた4年分を公表する方針だ。
 持続化給付金を巡っては、政府から受託した協議会が業務の大半を電通に再委託したとして野党が問題視している。

学校で次亜塩素酸水「噴霧しないで」、文科省が注意喚起 indexへ

 新型コロナウイルスの消毒を目的とした次亜塩素酸水の噴霧について、文部科学省は4日、児童生徒がいる空間では行わないよう、全国の教育委員会などに注意喚起した。新型コロナウイルスに対する有効性が十分確認されていないうえ、世界保健機関(WHO)が「消毒剤を人体に噴霧することは推奨しない」としているためだ。
 次亜塩素酸水は品薄のアルコール消毒液の代替品として、一部の学校で感染者が出た際などに噴霧器で散布されている。

昨年の出生率1・36、4年連続で低下…自然減は初の50万人超え indexへ

 厚生労働省は5日、2019年の人口動態統計(概数)を発表した。1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は1・36で、4年連続で低下した。死亡数から出生数を差し引いた人口の自然減は51万5864人と初めて50万人を超え、人口減少の加速化が鮮明になった。
 出生数は86万5234人(前年比5万3166人減)と大きく減り、1899年の統計開始以降で最少を更新した。合計特殊出生率は2015年の1・45から毎年0・01ポイントずつ低下してきたが、今回は0・06ポイント減と下落幅が大きくなった。
 死亡数は138万1098人(同1万8628人増)で戦後最多だった。この結果、自然減は前年から7万1794人広がり、過去最大となった。自然減は13年連続。

救急搬送で「たらい回し」倍増、搬送先決定まで16回問い合わせも indexへ

 神戸市内の救急搬送で4月、4か所以上の医療機関に受け入れを断られるなどしたケースが176件に上り、前年同期比で 約2倍に増えたことが、神戸市消防局への取材でわかった。新型コロナウイルスの感染が疑われる患者について、医療機関側が受け入れを拒むケースが相次いだ とみられ、対策が急がれる。
 総務省消防庁は、医療機関に受け入れが可能かどうかを4回以上照会し、現場に到着してから搬送先が30分以上決まらなかった場合について、「救急搬送困難事案」と分類している。
 神戸市消防局によると、こうした「たらい回し」事案は、3月は82件だったが、新型コロナの感染が広がった4月は176件と2・1倍に。昨年1年間では計1093件で、月平均91件と比べても1・9倍となった。
 5月も18日時点で122件あり、前年同期(55件)に比べて2・2倍に上る。
 4月中旬に発熱した80歳代の男性が運ばれた事案では、搬送先が決まるまでに16回にわたって問い合わせを繰り返し、約1時間40分かかった。
 4月の176件のうち、99件(56%)が37・5度以上の発熱や、息切れといった呼吸器系の症状など、新型コロナの感染が疑われる症状を訴えた患者だった。
 救急隊員が搬送する際、複数の病院から「新型コロナに感染している可能性がある場合、院内の態勢が整っておらず受け入れは難しい」と説明されたといい、多くのケースが院内感染を恐れて拒否したとみられる。
 厚生労働省は4月、自治体に発熱などの症状だけを理由に診療を拒否しないよう医療機関に周知することを求める通知を出していた。
 市消防局救急課は「感染の減少とともに、搬送を拒否される事案も減りつつあるが、第2波に備え、医療機関には受け入れ態勢を確保するよう求めていきたい」としている。
外出自粛要請 総件数は減少
 一方、4月の救急出動の総件数は減っており、新型コロナの感染拡大で外出する人が減ったことなどが影響しているとみられる。
 神戸市消防局によると、4月の救急出動件数は5332件で、前年同期(6769件)と比べて21・2%減少。内訳 は、発熱などの急病3401件(前年同期比21・1%減)▽路上での転倒や階段からの転落といった一般負傷957件(同14・8%減)▽交通事故260件 (31・2%減)――などとなった。
 市消防局は「外出自粛が要請され、自宅にいることが多くなり、事故などが減ったのではないか」とみている。

慶大病院が「手術ミスで脳に障害」と訴えた賠償訴訟、請求棄却…東京地裁 indexへ

 慶応大病院(東京)で2010年、心臓手術を受けた女児(9)が手術時のミスにより脳に障害が残ったとして、女児と両親が、病院を運営する学校法人「慶応義塾」に約2億円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は29日、原告側の請求を棄却する判決を言い渡した。

PCR検査 唾液でも「鼻奥の粘液と同等」精度確認…島津製作所 indexへ

 島津製作所は、4月から医療機関などに販売している新型コロナウイルスの検査キットで、唾液でも感染の有無が判定できるようになったと発表した。鼻の奥の粘液を採取する従来の手法に比べて検査が簡単で、検査にあたる医療従事者の感染リスクを軽減できるという。
 感染の有無を調べるPCR検査では通常、鼻の奥から粘液を採取するが、咳せきやくしゃみなど による飛沫ひまつ感染の恐れがあった。島津の検査キットもこれまで粘液を検体にしていたが、同じキットを使い、唾液でもほぼ同等の精度で感染の有無が判定 できることが、北海道大病院の協力で確認できたとしている。
 厚生労働省は5月中にも、唾液を検体として使う手法を認める方針だ。島津の検査キットは、感染の有無を約1時間で判定できる特長がある。コロナ感染の第2波に備え、月間生産量を当初計画の3倍の30万検体分に増やし、医療機関や検査機関へ提供する方針だ。

「妊娠したかも」10代の相談、5月に急増…休校で交際相手と過ごす時間長く indexへ

 望まない妊娠に悩む10歳代の少女が増えている。群馬県助産師会の専用窓口「ぐんま妊娠SOS」に届く15~17歳の 相談メールは従来、ひと月に2、3件程度だったが、今月は20日までに9件に上っている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中学や高校の休校が長期化 したことが背景にあるとみられる。
 専用窓口は、県や県助産師会が昨年度に開設した。メールでの受け付けを始めた昨年8月以降、相談件数は今年4月末までに計25件だったが、5月は急増した。「妊娠したかも」「高校に行けなくなる」と悩む内容だという。
 県は、休校で交際相手と過ごす時間が長くなったことの影響を指摘。アルバイト先の休業などで、生活費や小遣いを稼ごうとSNSを通じて見知らぬ男性と会い、結果的に性被害に遭う恐れも懸念されている。
 メール相談に応じる相談員は女性の助産師らで、内容に応じた助言や行政サービス・病院の紹介をしている。妊娠に至った詳細な経緯を積極的に尋ねることはない。メール返信後、相談者が応じれば面会し、妊娠を親に伝えていない場合には間を取り持つこともあるという。
 相談のメールは「ぐんま妊娠SOS」ホームページから。火、土曜の午後7~10時には電話(0276・37・5660)でも応じる。

「ウイルス流出」真相握る女性、中国テレビに「検体調査まで存在知らず」 indexへ

  新型コロナウイルスが中国・武漢市の武漢ウイルス研究所から拡散したとする米国の主張を巡り、真相のカギを握るとされる女性研究員が、中国のテレビ局によ る25日公開のインタビューで疑惑を否定した。中国政府は関係者を総動員してウイルス流出説の打ち消しにかかっている。
 この女性研究員は、コウモリを宿主とするウイルスの研究で知られる石正麗氏で、国営中国中央テレビの海外放送を手がけるCGTN(電子版)がインタビューを伝えた。
  石氏は、公開された9分の動画の中で、新型ウイルスの存在について、感染者の検体が研究所に持ち込まれるまで知らなかったと主張した。昨年12月30日に その検体を調べた結果、「我々が知っているウイルスの配列とは異なることが証明された」という。ウイルスの遺伝子配列情報の解析などの作業を「遅滞なく 行った」とも語った。
 中国当局はウイルスの流出も隠蔽もなかったと強調している。CGTNは24日にも、米国の主張を「捏造だ」として否定する研究所の女性所長のインタビューを報じていた。
  石氏はフランスの名門大でウイルス学の博士号を取得し、かねて「バット(コウモリ)ウーマン」の異名で知られていた。武漢市の地元紙によると、 2002~03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)大流行の後、自ら洞窟に赴いて野生のコウモリを捕獲し、ウイルスがコウモリに由来することを突き止め たという。
 新型コロナウイルスは研究所から流出したのではないかとの説がささやかれ始めて以降、石氏の動向は中国の内外で注目を集めてきた。仏紙ル・モンドは4月下旬、石氏が、研究所からの流出の可能性を危惧していたと報じた。
 中国のネットメディア「澎湃新聞」によると、石氏は2月2日に流出疑惑を全面否定し、SNSで友人ら向けに「自分の命にかけても保証する」と投稿していた。ただ、今回のインタビューまで公の場に姿を現さなかったため、外国への亡命説など、様々な臆測が飛び交っていた。

国が優先供給した消毒液「濃度低い」「医療用に使えない」と苦情…医療機関側が製品選べず indexへ

 新型コロナウイルスの感染防止で、国が医療機関に優先供給したアルコール消毒液について、厚生労働省は24日、「濃度 が低く、医療用に使えない」などの苦情が数十件寄せられたことを明らかにした。医療機関が製品を選べなかったことが原因で、今月中旬からは濃度の選択を可 能にした。
 厚労省は3~4月、品薄となった消毒液を医療機関が購入できるよう業者との間を仲介した。通常、手術などで使われるのは濃度70~80%台だが、50%台の製品が納入されたケースも確認された。
 1リットル当たり2000円の価格差があったが、医療機関側は製品を選べず、返品もできなかった。厚労省などには「濃度が低い」「詐欺ではないか」という苦情が相次ぎ、受け取りを拒否する医療機関もあった。
 厚労省の担当者は「緊急対応なので価格や濃度に差があることを自治体や医師会を通じて知らせたが、十分に伝わっていなかった」と話している。

給食の麦ご飯に洗浄用ブラシの毛、生徒は取り除いて食べる indexへ

  島根県浜田市教育委員会は22日、市立第三中学校(日脚町)の給食で配膳された麦ご飯に、プラスチック製の洗浄用ブラシの毛(長さ約9センチ、太さ0・ 02センチ)が混入していたと発表した。盛り付けの際に生徒が気付いた。毛を取り除いた後、麦ご飯は生徒ら33人が食べ、健康被害の報告はないという。
 市教委は、調理した浜田学校給食センターで炊飯機器の清掃時に抜け落ちたものと判断。再発防止策として、機器の洗浄はブラシを使わず高圧水流のみで行い、目視確認の徹底を指示した。

「水商売を守る会」、ナイトクラブ感染対策実演…着席前に消毒など16項目 indexへ

 鹿児島市の繁華街・天文館のナイトクラブに勤めるホステスらでつくる「水商売を守る会かごしま」は21日、新型コロナウイルス感染防止対策を行う様子を店舗で報道陣に公開した。
  同会は一般社団法人・日本水商売協会(東京)と協議のうえ、独自に新型コロナウイルス感染防止に関する16項目のガイドライン(指針)を作成。店内を禁煙 とするほか、おしぼりを使い捨てることなどを定めた。同会はこれまでガイドラインを天文館のナイトクラブやスナック約150店に配布してきたという。
  この日は、天文館のナイトクラブで働くホステス(28)が客役を務めた同会の下山直哉会長(32)に対して感染防止対策を実演。着席する前に消毒液で手を 消毒していた。下山会長は「ガイドラインに沿ってそれぞれの店舗でできる対策をするようにこれからも伝えていきたい」と話した。

東京美々卯が「解雇を強行」、従業員組合が救済申し立て indexへ

 うどんすきで知られる和食店「美々卯」を関東で展開する「東京美々卯」(東京都中央区)が、新型コロナウイルスの感染 拡大の影響で20日、全6店を閉店した。同社の従業員が加盟する労働組合は22日、事業継続を求める団体交渉に誠実に応じないのは不当労働行為にあたるな どとして、東京都労働委員会に救済を申し立てたと発表した。
 同社などによると、東京美々卯は、大阪の「美々卯」がのれん分けする形で1973年に設立さ れたが、感染拡大に伴う業績の落ち込みで閉店。組合側の申立書などによると、4月19日に同社は全従業員約150人に対し、退職への同意を求めた。同社は 団体交渉には応じたが、組合側は「事業継続の可能性を協議するのに必要な資料を示さず、退職に応じない組合員の解雇を強行した。誠実な団交とはいえない」 などと主張している。
 同社は「不当労働行為はないと認識している」とコメントした。

「LINE」がオンライン診療参入へ…全国の医師2000人活用を想定 indexへ

 無料通信アプリ「LINE」は今夏にも、スマートフォンなどを使ったオンライン診療事業に参入する。新型コロナウイル スの感染拡大でオンライン診療の需要が高まるなか、国内で8000万人以上の利用者がいるLINEの参入は、普及に向けた呼び水になりそうだ。月内にも表 明する。
 診察は、医師と患者がアプリ内のビデオ通話機能を使って行う。アプリ内では予約から診察、会計までをワンストップで済ませられる仕組みを検討し、支払いもLINEが手がける決済サービス「LINEペイ」の活用を見込む。
 全国で少なくとも約2000人の医師の利用を想定し、薬剤師による服薬指導なども導入したい考えだ。利用料については今後、具体化を進める。
 運営は、LINEなどが出資する合弁会社「LINEヘルスケア」が行う。同社は昨年12月、アプリを通じて医師に健康相談できるサービスを始めていた。

医療従事者、ストレス大…大阪医労連調査 施設の経営悪化懸念 indexへ

 看護師などが加盟する大阪医療労働組合連合会は20日、医療従事者や医療機関に実施した新型コロナウイルスの影響に関する聞き取り調査の内容を公表した。医療従事者からは感染への不安やストレスを、医療機関からは経営への影響を訴える声が目立った。
 調査は4月から連合会に加盟する医療・介護従事者112人と、12の医療機関・福祉施設の経営側に実施。調査は継続中で、今回はその結果の一部を公表した。
 医療従事者らからは「緊張とストレスが計り知れない」「薬局で薬に関する説明をしたら、患者から『しゃべるな』と言われた」などの声がよせられ、精神的な負担を強いられている様子が明らかになった。
  一方、医療機関・福祉施設からは「感染予防のための備品を、赤字を覚悟で確保しないと職員の安全が守れない」「感染を恐れて病院に近寄りたくないからか、 外来が激減。医療収入は減っている」「(新型コロナの患者を)受ければ受けるほど赤字。使命感だけで受けている」など、財政面を懸念する声が多かった。

4月の訪日客、99・9%減の2900人…1964年以降で最少 indexへ

  日本政府観光局が20日発表した4月の訪日外国人旅行者数は、前年同月比99・9%減の2900人で、統計を取り始めた1964年以降で最も少なかった。 新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限などが影響した。7か月連続の減少で、減少幅は3月(93・0%減)を上回り、過去最大だった。
 訪日客数の国・地域別では、韓国と台湾、米国がそれぞれ300人で最も多かった。主要22か国・地域で100人を超えたのは6か国・地域だった。
 一方、4月の日本人の海外旅行者数は99・8%減の3900人だった。

乳児のワクチン接種率が低下…感染恐れ外出自粛影響か indexへ

 新型コロナウイルスの影響で、子どものワクチンの接種率が低下している可能性が高いとする調査結果を、NPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」がまとめた。
 同会は、小児科医らが中心となって活動しており、予防接種のスケジュール管理ができるアプリを提供している。
 生後2~6か月に3回の接種が推奨される小児用の肺炎球菌ワクチンについて、アプリに登録されている保護者約7万9000人のデータを分析した。
 その結果、生後3か月までの初回接種率は、昨年11月生まれの子どもから徐々に低下。今年1月生まれの子どもは74%で、昨年1月に生まれた子どもより20ポイント低かった。肺炎球菌に感染すると、細菌性髄膜炎など重い病気を引き起こすことがある。
 麻疹・風疹のワクチンでも同様の傾向がみられた。同会は、感染の恐れから予防接種のための外出をためらっていた保護者に対し、「かかりつけ医などに相談した上で、ワクチン接種は確実に、早めに受けてほしい」と呼びかけている。

「解雇されるかも」勤務先の宿泊客減少、事務所で174万円盗む indexへ

 勤務先のホテルから現金約174万円や商品券を盗んだとして、窃盗と建造物侵入罪に問われた男の初公判が前橋地裁(稲 田康史裁判官)で18日に開かれ、検察側が懲役2年6月を求刑し、即日結審した。検察側は、新型コロナウイルスの感染拡大による宿泊客の減少で「解雇され るかもしれない」と不安がり、今後の生活資金などを得る目的で犯行に及んだと指摘した。
 窃盗罪などに問われているのは、群馬県草津町の会社員の男(60)。起訴状によると、3月30日未明、同町のホテル事務所に侵入し、現金などを盗んだとされる。
 検察側は論告で、週末分の売上金が保管されている日を狙ったなどとし、「短絡的な動機で、計画的で悪質だ」と非難。盗んだ現金のうち約6万3000円はパチンコや孫へのプレゼントに使っていたという。

市立病院管理の40代元社員、マスク400枚盗みネットで売る indexへ

 三重県名張市は18日、市立病院で、施設管理を委託している会社の40歳代の元社員の男が、院内の倉庫からマスク400枚を盗み、ネットオークションで売っていたと発表した。被害届を受けた名張署は13日、元社員を窃盗容疑で津地検伊賀支部に書類送検している。
  市立病院と会社によると、元社員は今年1月から2月にかけ、管理する鍵を使い、複数回にわたってマスクなどを保管する院内の地下倉庫に侵入。医療用マスク N95を10箱(200枚)、サージカルマスク4箱(200枚)(計2万4612円)を盗み、インターネットオークションに出品、計23万632円で売っ ていた。
 病院で使う消耗品の在庫管理をしている別の業者から3月10日、マスクの在庫数が記録と合わないと指 摘を受け、病院側が調査。元社員は3月30日に、会社の上司に持ち出したことを申し出た。同社は4月1日付で元社員を懲戒解雇処分にし、病院に被害に遭っ たのと同種のマスクを提供した。
 事件後、病院はマスクなどの備品を、別室で保管するなど管理を徹底。吉岡昌行事務局長は「全国的にマスク不足のなかで被害に遭ったことを重視した。在庫管理や施設管理体制を見直して再発防止に努める」とコメントした。
 元社員は18年間、病院を担当し、担当の4人の班長を務めていた。記者会見で同社幹部は「迷惑をかけおわび申し上げる。元社員の勤務態度にこれまで問題はなく驚いている。コンプライアンスの徹底に向け、社員教育、管理体制の強化を図る」とした。

歯科医院の9割、外来減…大阪府内 indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大阪府内の歯科医院の9割超で外来患者が減っていることが、府歯科保険医協会のアンケートでわかった。同協会は「受診を控えて歯周病などが悪化すれば、免疫機能の低下にもつながる」と適切な受診を呼びかけている。
 協会加入の歯科医師を対象に4月27日~5月7日に実施し、608人(21・5%)から回答を得た。
 4月の外来患者が前年4月より減ったと回答したのは97%。21%は5割以上の減だった。保険診療収入も94%が減り、16%は5割以上減ったと答えた。診療状況については、緊急事態宣言に伴い、50%が診療時間や日数を減らしていると回答した。
 医療資材については、マスクは54%、手指消毒剤は61%、フェースシールドは63%の医師が「足りない」と回答。「通常の3倍以上の価格で購入しており、負担が大きい」といった声も寄せられた。
 同協会の小澤力理事長は「新型コロナ対応の長期化で、経営が立ち行かなくなる医院が続出し、歯科医療の崩壊が懸念される」として、国や自治体の援助拡充を求めている。

マスク着けたまま勤務、熱中症の懸念「口元に熱こもれば…リスク高まる」 indexへ

 本格的な夏本番を迎える前に、新型コロナウイルス感染予防としてマスクを着用することで熱中症になる懸念が高まっている。山梨労働局は、マスクを着けたまま労働する機会が増えるとして、熱中症対策の徹底を関係団体に通知した。
 通知では休憩の頻度を増やしたり、水分や塩分をこまめに摂取したりするなどして予防の徹底を呼びかけた。7月中旬から気温が一気に上昇した昨年は、職場で熱中症になった労働者が前年比4人増の58人となり、過去10年で最多を記録した。
 同労働局健康安全課の篠原敦課長は「マスクで口元に熱がこもればリスクが高まる。多くの人が搬送されれば医療現場の負担が増すので、例年以上に予防に取り組んでほしい」と話した。

家族から「帰ってくるな」、アパート借りた病院職員も…労組対象調査 indexへ

 新型コロナウイルスに関連して、病院職員が心ない言葉を浴びせられるケースが岩手県内でもあったことが、県医療労働組合連合会(岩手医労連)が行ったアンケート調査でわかった。県医療局も同様の事例を把握しており、県は医療関係者への配慮を呼びかけている。
 岩手医労連は4月14~20日、全県立病院を含む県内37病院の各労働組合を対象にアンケート調査を実施、13病院の労組が回答した。このうち、「病院職員への差別的対応やハラスメントがあるか」という質問に対し、3病院の労組が「ある」と答えた。
  具体的には、県内では新型コロナの感染者が確認されていないにもかかわらず、近所の住民から『あなたの勤務先の病院にコロナで入院した人がいると聞いたこ とがある』と言われたケースや、職員が別の医療機関で診察を受ける際、病院勤務であることが知られ、「電話での診療に変えられないか」と言われたケースが あった。同居する家族から「コロナが落ち着くまで帰ってくるな」と言われ、アパートを借りた職員もいたという。
 調査では「感染の疑いがある患者への対応が必要で、業務量が膨大になっている」といった回答もあり、県内の医療現場でも人手不足が進んでいることがうかがえる。
 岩手医労連の五十嵐久美子書記長は「医療従事者は使命感を持って取り組んでいるが、心ない言葉や態度で働く意欲が失われる可能性がある。県内の医療機関は元々人手が不足しており、差別や偏見によって離職や休職を招くと、医療体制が崩れかねない」と話す。
 県医療局が県立病院に行った聞き取り調査でも、現場の職員が差別や偏見を受けていたことがわかった。具体的には、県立病院に勤める看護師の配偶者が、職場で「(新型コロナの)患者さんが出たら、来ないで」と言われ、出社拒否をほのめかされたケースもあったという。
  県は15日に改定した新型コロナに関する対処方針に、医療関係者への人権侵害が生じないよう取り組むと明記した。野原勝・保健福祉部長も、同日の対策会議 で「医療関係者をはじめ、県民生活に不可欠なサービスの提供に従事する皆様に、感謝と思いやりの気持ちをもって応援してほしい」と呼びかけた。

近づく夏、「マスク熱中症」にご用心…気づかぬうちに脱水症状 indexへ

 夏本番を前に、新型コロナウイルスの感染対策としてマスクを着用することで熱中症の懸念が強まっている。熱が体にこもり、気づかないうちに脱水症状を起こす恐れがあり、専門家は「こまめに水分補給を」と注意を呼びかけている。
水分足りていると錯覚
  気象庁によると、15日午後1時の東京都中心の気温は26.5度で、6日連続で夏日になった。東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街では14日、強い日差しの 下、マスク姿の高齢者が行き交っていた。仕事帰りに立ち寄ったという足立区の清掃業の女性(74)は「先日、マスクをして買い物中に、暑くてめまいがし た。それ以降、人が密集していない場所ではマスクを外すなど無理はしないようにしている」と話した。
マスクを着用して商店街を歩く人たち。気温が上がる中、熱中症が心配される(14日午前9時17分、
 政府の専門家会議が4日に提示した「新しい生活様式」では、外出時に会話する際などには症状がなくてもマスクを着用するよう求めており、当面はマスクが手放せない生活が続く見通しだ。気象庁によると、今年の夏は全国的に平年より気温が高くなると予想される。
 「マスクの着用で熱中症になるリスクは一段と高まる」と指摘するのは、熱中症予防に取り組む医師らでつくる「教えて!『かくれ脱水』委員会」委員長の服部益治・兵庫医科大特別招聘教授だ。
  マスクを着用すると、体の熱が放出されにくく、体内温度が上昇。一方、口の中は湿っているため、水分が足りていると錯覚して脱水症状を起こし、熱中症にな る危険性があるという。特に今年は、新型コロナによる外出自粛で、体が暑さに慣れていないことも懸念材料だ。日頃から水分が不足しがちな高齢者や水分を蓄 える筋肉の量が少ない子どもは注意が必要という。
運動時は「換気」と「距離」適切に
 マスクをつけての運動でも熱中症のリスクが高まることが懸念される。
  スポーツ庁は感染防止のため運動時のマスク着用を呼びかけている。大分県教育委員会は4日付で、子どもたちにマスクを着用させて体育の授業を実施するよう 各県立学校に通知していた。しかし、中国でマスクを着けたまま体育の授業を受けた生徒が死亡したとの報道があり、熱中症も懸念されることから方針を転換。 子ども同士の距離が十分にあり、換気が適切に行われていれば、着用は必ずしも必要ではないとする通知を7日付で改めて出した。
  熱中症の予防策について、服部特別招聘教授は、喉が渇いていないと感じてもこまめに水分を補給することや、首回りや手のひらの血流が多い部位を冷やすこと などが有効だと指摘。「夏にマスクを着用することは多くの人が経験がない。いつもの年以上に体の変化に注意し、こまめに休息を取るようにしてほしい」と呼 びかけている。

「政令指定都市で保健所1か所の市も」…最前線の現状指摘 indexへ

 全国保健所長会の白井千香副会長と、千代田保健所(東京都)の山崎崇地域保健課長が15日、BS日テレの「深層 NEWS」に出演し、新型コロナウイルス感染症の防止を最前線で担う保健所機能を維持するための課題を語った。特別コメンテーターは映画監督の河瀬直美さ んが務めた。
 白井副会長は「行政改革で保健所職員が削減されてきた。政令指定都市でも保健所が1か所という市もある」と現状を指摘した。
 山崎課長は、新型コロナウイルス感染者が発生した際の届け出について、「紙での報告からITなどを使った新しい段階に入っていく。課題を修正しながら整えていきたい」と述べた。

女性医師、偏見に苦しむ…入院患者が感染「風下にウイルス飛んだら責任取れるのか」電話相次ぐ indexへ

  新型コロナウイルスに入院患者が感染していることが判明した茨城県内の病院に勤める50歳代女性医師が読売新聞の取材に応じ、偏見に苦しんだ当時を「職員 を含め、病院全体が汚染されているように見られていた」と語った。病院は既に外来診療などを再開しているが、「次に感染者が出れば、『やっぱりまた』とい う目で見られ、駄目になってしまう」と述べ、不安な胸の内を明かした。(前村尚)
■多くの非難の声
 「病院の風下にウイルスが飛んできたら、どう責任を取るのか」。この病院には当初、こうした電話が相次ぎ、職員は対応に忙殺された。近くの別の病院にも「そこは大丈夫か」「受診をやめたい」といった問い合わせがあったという。   女性医師は街中で買い物をしている姿を見られれば、非難されるのではないかと不安になり、「病院も職員も周辺地域も汚染されているように見られている」と 感じた。職員の中には、眠れず、話し出すと涙があふれる人も何人かいた。「コロナの病院と言われてもいい。1回、全部休みにしたい」という声もあった。
■助け合う難しさ
 新型コロナ特有の大変さも経験した。
 自然災害なら、「お互いさま」という意識で、地域の医療機関同士が助け合って診療する。しかし、今回は、感染拡大防止のため、医師の派遣や患者の受け入れが中止になった。女性医師は「感染者が出れば、その医療機関には大きな迷惑がかかってしまう」と話す。
 特に経営規模の小さな開業医で感染者が出れば、廃院の危機すらある。女性医師は「職員の家族が先日、ある開業医を受診しようとしたら、『あそこの病院の家族なら駄目だ』と断られたと聞いた」と説明する。
■心も駄目に
 新型コロナは無症状の感染者がいるほか、発症前に感染力が強いとも聞く。外来診療に訪れた人が後日、陽性と判断される可能性も否定できない。
 女性医師は「対策を徹底しても防げない時があるかもしれない。でも感染者が出れば、『やっぱりまた』と見られてしまう。そうなると、病院自体も、医師や看護師の心も駄目になってしまう」と話す。
 その上で「診療を行わなければ、病院で感染者は出ないが、それでは、地域の他の医療機関にしわ寄せが行く。本来、予定していた治療が受けられない患者を生むわけにはいかない」と話し、不安と闘いながら診療に当たっているという。
     ◇
 全国的に、医師や看護師への激励や感謝の声が集まっている。だが、医療機関を支えるのは、こうした人たちだけではない。
 「病院清掃作業員も、感染のリスクを負いながら仕事をしている。厳しい声に耐えながら、電話で応対したり、窓口で業務にあたったりしている事務職員も大勢いる。そういう人たちにも直接、温かい言葉をかけてほしい」。最後に女性医師はそう付け加えた。
 筑波大医学医療系の高橋晶准教授(災害・地域精神医学)は「新型コロナは人の心も壊す。今は、誰もが感染のリスクがある異常事態だ。そういう時には、偏見が無意識に表に出やすくなりがちだ」と分析する。
  その上で「医療従事者は地域の人の命を守るために働いていることに思いを巡らせてほしい。積極的に診療をすればするほど、感染者が出るリスクは高くなる。 対応が難しい新型コロナでは、感染者が出ることはミスではなく、むしろ新型コロナと闘った証しととらえてほしい」と強調する。
  高橋准教授は、医師や看護師をアスリートにたとえ、「私たちの命を守るために、医師や看護師が最高のパフォーマンスを発揮できるよう手伝ってほしい。我々 の言動が彼らのパフォーマンスを低下させてしまえば、ブーメランのように私たちに跳ね返り、地域医療に悪影響を及ぼすと想像してほしい」と話す。

中国、体育での「N95」着用を禁止…急死相次ぎ「子どもの体に害」 indexへ

 【北京】13日付の中国紙・新京報によると、中国政府は、小中学校などの体育の授業に際し、子どもが医療現 場用の高性能マスク「N95」を着けることを禁止する方針を決めた。新型コロナウイルスの感染を防ぐためN95を着用したまま体育の授業に出た中学生が、 相次いで急死したことを受けた措置だ。
 教育省の担当者が12日の記者会見で禁止の方針を明らかにし、「N95は通気性がとても悪く、子どもの体に害を与えやすい」などと理由を説明した。今後、教育現場向けの指針を正式に発表するという。
 浙江、河南、湖南の3省の中学校で4月、マスク姿で体育の授業に参加した中学生3人が急死し、このうち少なくとも2人はN95を着けていた。中国では新規感染者の減少を受け、各地で小中学校の授業が再開している。

未承認アビガン使用の院長「患者や家族と相談して決断」 indexへ

 福岡記念病院(福岡市)の上野高史院長と、琉球大(沖縄県)の植田真一郎教授が12日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、新型コロナウイルス感染症の治療で期待される薬について語った。
 入院患者に未承認のアビガンを使った上野院長は、「特効薬がない中、倫理委員会をクリアし、患者や家族と相談して決断した。効いていると感じる症例もあるが、絶対に効いたと言うこともできない」と語った。
 植田教授は、国が特例承認したレムデシビルについて「一つの選択肢として大事だが、まだ有効性がきちんと証明されていない。研究を続けないといけない」と指摘した。

「抗原検査」キット、13日から使用可能に…1週間に20万件分供給 indexへ

 新型コロナウイルスの感染の有無を短時間で調べる「抗原検査」のキットが13日から使えるようになる。厚生労働省が 12日、このキットを13日付で薬事承認すると発表した。同日にも公的医療保険の対象になる見通し。主に「帰国者・接触者外来」で使用する方針で、PCR 検査と併用して感染者の早期発見につなげる。
 検査試薬などを手がける「富士レビオ」(東京)が開発し、4月末に薬事承認を申請していた。1週間に20万件分の検査ができるよう供給する予定だという。
 キットは、ウイルス特有のたんぱく質(抗原)を調べる。鼻の奥から採取した粘液などの検体を混ぜた試薬を、小さな測定器にたらす。約15分で青色の線が出たら陽性、30分たっても出なければ陰性と判定される。一連の作業が医療現場で完結し、すぐに結果を確認できる。
 PCR検査は専用の機器が必要で、結果が出るまで4~6時間かかる。採取した検体を地方衛生研究所などに運んで調べる必要があるため、結果の判明まで数日から1週間程度かかることもあった。
 抗原検査の精度は、ウイルス量がある程度あれば、PCR検査の8~9割程度とされる。少ないと陰性になることがあり、確認のためのPCR検査を行う。
 厚労省は、緊急搬送された患者の検査やクラスター(感染集団)対策にも役立てたい考えだ。

PCR検査で鼻の奥から粘液採取、セキ・くしゃみで感染拡大の恐れ…唾液使用を容認へ indexへ

 新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査で、加藤厚生労働相は12日、検体に唾液を使うことを認める方向で検討していることを明らかにした。
 現在、綿棒で鼻の奥から粘液を採取する方法が一般的だが、患者がせきやくしゃみをすると感染を広げる恐れがある。担当する医療者は、防護具やマスクを身につけて対応しているが、負担感が大きいという。
 唾液でも高い精度の検査ができるとの研究報告があり、国立感染症研究所(感染研)などで確認の研究を実施している。精度に問題ないことが分かれば、感染研のマニュアルを変更し、唾液の使用を認める方針だ。

テレ朝「グッド!モーニング」謝罪…医師が「映像編集され真逆に放送」と指摘 indexへ

 テレビ朝日は12日、情報番組「グッド!モーニング」内で、新型コロナウイルスのPCR検査に関する医師のコメントを紹介する際、視聴者に誤った印象を与えたなどとして謝罪した。
 同番組は7日の放送で、「(PCR検査の範囲を限定するのは)世界的に珍しい政策」などとす る、心臓外科医・澁谷泰介さんのコメントを紹介。放送後、澁谷さんはSNSで、「今の段階で検査をいたずらに増やそうとするのは得策ではない」と話したに もかかわらず、「検査を大至急増やすべきだというメッセージの一部として僕の映像が編集され真逆の意見として見えるように放送された」などと指摘してい た。
 12日の番組では、澁谷さんの取材VTRを改めて放送し、「医療現場の声の部分の受け止め方をおろそかにしていた。おわびいたします」などとした。

「ご主人感染したの?」「コロナで経営者死亡」…デマ猛威、一時休業・予約キャンセル続々 indexへ

 「あそこで感染者が出た」。新型コロナウイルスを巡り、そんな間違ったうわさが地域で拡散し、無関係の商店などで売り 上げが激減したり、休業に追い込まれたりする被害が続発している。各自治体も、感染者のプライバシー保護のため詳しい情報公開は難しく、未知のウイルスへ の恐れと感染者への偏見が、デマの増殖を生んでいるようだ。
「心当たりない」
 岡山県里庄町でスーパーを夫婦で営む女性(65)は3月28日、常連客からこうささやかれて驚いた。
 「ご主人、感染されたんだって。大丈夫なの?」
 県は前日の27日、フィリピンから帰国した同町在住の男性が感染したと発表。その後、なぜか夫(68)を名指しして、「感染者だ」「フィリピンに一緒に行っていた」という事実ではない内容がネット上などに広まった。
 客は激減。県は「誤った情報が流れている」と事実上否定したが、「店を消毒していたのを見た」などのうわさは止まらず、店に「なぜ営業してるんだ」と怒りをぶちまける電話もかかってきた。
 最近になって、客足は戻りつつあるが、4月中旬までの売り上げは普段の約4割減。夫は「全く心当たりもないし、誰が言い出したのかも分からない。本当に恐ろしい」と語った。
休業強いられ
 「あの居酒屋で感染者が飲んでいた」「社員が感染している」……。そうしたデマの被害は各地の企業や商店で後を絶たない。

 愛知県瀬戸市のスポーツ用品店を巡っては4月、経営者の男性(70)が「コロナで死亡した」との情報まで流れた。男性は「全くのデマ」と書いた文書を貼り出すなどしたが、一時休業を余儀なくされた。  被害は複数の医療機関にも及んでいる。広島市の「五日市記念病院」では4月中旬、「コロナ患者発生」「家族、友人、周囲の方に教えてあげて」といった事実無根の投稿がSNSで拡散。問い合わせの電話が連日寄せられ、診察予約のキャンセルが相次いだ。
悪意に基づかず
 こうしたデマは、必ずしも悪意から発生しているわけではないという。社会心理学の専門家らによると、人々が強く求めている情報が十分手に入らない時、空白を埋めるように臆測が広がりやすいとされる。
 今回の場合、ウイルスへの防衛意識から、「誰が」「どこにいるか」などの情報を求める人が多い。
  各自治体は通常、感染者の特定につながる情報は公開していない。それでも住民らから、氏名や勤務先、行動歴などを「教えろ」と求める電話が相次いでいる。 厚生労働省の相談窓口にも1日数千件の電話があるが、症状の相談などと並んで多いのが、感染者情報を求める声だという。
 デマが横行する背景には、こうした実態がある。
刑事責任も
 だが、うわさを本当だと思って拡散させたとしても、責任を問われることがある。
 長野県では、ネット掲示板に実在する会社名を挙げ、感染者が勤務していると書き込んだとして、松本市内の会社員の男(51)が4月17日、名誉毀損容疑で県警に書類送検された。
 「知人から聞いた話を信じてやった。早く情報を知らせなければならないと思った」。男は調べに対し、こう供述した。
 うわさやSNSの投稿を誤情報だと思わずに拡散させた場合でも、真実かどうか十分に確認していないと判断されれば、名誉毀損罪に当たる可能性がある。また、相手方から民事訴訟を起こされ、損害賠償を命じられることもあり得る。
 中谷内一 也・同志社大教授(社会心理学)は「住民の不安やデマを生まないためにも、行政機関は感染者のプライバシーに配慮しつつ、可能な限り情報を公開する必要が ある。一方で、不確かな話を拡散させる軽率な行為が、いかに社会に深刻な影響を与えるか、もっと認識を広めていく必要がある」と指摘する。

感染疑い理由に救急搬送困難に…119番から病院到着まで1時間超 indexへ

 新型コロナウイルス感染の疑いを理由に、救急搬送の受け入れを複数の医療機関に断られ、119番から病院到着まで1時間余りかかった事例が3日に大津市で発生したことがわかった。
 同市消防局によると、3日夜、50歳代の男性宅から119番があった。男性は熱やせきの症状があり、日中に帰国者・接触者相談センターに連絡。かかりつけ医での受診を指示されたが、症状が悪化したという。
  駆けつけた救急隊が、搬送を救急指定病院に打診したものの、市内の2医療機関は「感染の可能性がゼロではない」として拒否。別の重症者に対応中でいったん は断った市立大津市民病院が最終的に受け入れ、男性は通報から1時間6分後、病院に到着した。診断の結果、PCR検査の必要はないとされ、帰宅したとい う。
 搬送困難事例は都市圏を中心に増えており、厚生労働省は、発熱や呼吸器症状のみを理由に受け入れを断らな いよう医療機関に求める通知を都道府県や中核市などに出した。大津市は4月22日に市内の医療機関にメールで伝えたが、県は全県的な要請をしておらず、5 月8日に周知する方針。

都内のパチンコ15店、休業要請応じず…都HPで店名公表 indexへ

 東京都は9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請に応じずに営業を続ける都内のパチンコ店15店舗の名称を都のホームページ上で公表した。改正新型インフルエンザ対策特別措置法45条に基づくもので、都が施設名を公表するのは初めて。
 都によると、8日時点で営業を確認した19店を都職員が訪れて休業を求めたが、15店が9日も営業していたという。このほかにも営業を続けているパチンコ店の情報が寄せられているといい、都が実態調査を続ける。

赤ちゃん用ガーゼ・布オムツ・さらしが品薄、マスクの材料に?…店や妊婦さん困惑 indexへ

 新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、各地のベビー用品店で、赤ちゃんの顔をぬぐうガーゼや布オムツなどが品薄になっている。全国的なマスク不足を受け、布マスクの材料として購入されているとみられ、店側からは「商品を必要とする赤ちゃんや妊婦さんにきちんと行き渡るようにしたいのだが……」と困惑する声が上がっている。

都庁に侵入容疑、51歳の男を逮捕「コロナの給付金もらいにきた」 indexへ

 東京都庁に侵入したとして、警視庁新宿署は8日夜、自称大阪府の職業不詳の男(51)を建造物侵入容疑で現行犯逮捕した。
 新宿署幹部によると、男は8日午後8時過ぎ、新宿区の都庁本庁舎1階にある職員通用口ゲート を乗り越え、同庁舎に侵入した疑い。そのまま31階に移動し、新型コロナウイルス対応などにあたる福祉保健局のフロアで「金がなくなったので来た」などと 大声で騒ぎ、駆けつけた警察官に取り押さえられた。
 調べに対し、男は「コロナの給付金をもらいにきた」などと供述しており、同署は都庁を訪れた経緯を調べている。

商業施設で検温求められ…女性店員に立腹、突き飛ばす indexへ

 千葉県警流山署は8日、流山市の男(37)を暴行容疑で現行犯逮捕した。
 発表によると、男は8日午後1時5分頃、市内の商業施設「流山おおたかの森SC」内にある店 舗で、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として店が行っていた検温に応じず、検温をするよう繰り返し求めた女性店員(38)に腹を立て、突き飛ばした 疑い。調べに容疑を否認しているという。
 店から逃走する男を警備員らが取り押さえ、同署員に引き渡した。

息苦しさ「すぐ相談」、「37・5度」削除…コロナ受診の新目安公表 indexへ

 厚生労働省は8日、新型コロナウイルス感染が疑われる場合の新たな「相談・受診の目安」を公表した。2月に示した目安では「37・5度以上の発熱が4日以上続く」場合に、保健所などの相談窓口に連絡するよう求めていたが、新たな目安では体温や日数の基準は削除した。
 新たな目安では、▽息苦しさや強いだるさ、高熱などの強い症状がある▽高齢者ら重症化しやす い人で、発熱やせきなどの比較的軽い風邪の症状がある――場合などには、保健所などに設置された窓口「帰国者・接触者相談センター」にすぐ相談するよう求 めている。また、一部の感染者に確認された「味やにおいを感じにくくなる症状」が出た場合も、相談できる。
 同省結核感染症課の担当者は「自宅療養中の軽症者の容体が急変し、亡くなる事例もあった。『おかしい』と思ったらすぐに相談してもらえるよう、分かりやすく整理した」としている。

特例承認の「レムデシビル」、患者の費用負担なし indexへ

 新型コロナウイルス治療薬として特例承認されたレムデシビルについて、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会 (中医協)は8日、公的医療保険の適用外に位置付け、入院費などの保険診療との併用を認めた。薬は製薬会社から無償で提供され、保険診療分は公費で賄われ るため、患者は費用負担なしにこの薬の治療を受けられる。
 レムデシビルは米製薬会社ギリアド・サイエンシズが開発した点滴薬で、ウイルスの増殖を抑え る効果が期待される。販売名はベクルリーで、投与期間は原則10日間となる。同社からの供給量は限られる見通しのため、厚労省は、人工呼吸器や体外式膜型 人工肺(ECMO=エクモ)などが必要な重症の患者に優先配分する。
 厚労省は同日、レムデシビルの治療が実質 的に患者の費用負担なしに受けられることについて、都道府県などに通知した。一方、腎臓や肝臓の機能が低下するなどの副作用が出る恐れがあるため、薬の添 付文書に基づき、これらの機能の検査を毎日行うよう医療機関に求めた。同社にも、副作用が疑われる事案の報告を義務付けている。

東京のPCR検査「陽性率」、7日間平均で7・5%…都が初めて公表 indexへ

 東京都は8日、新型コロナウイルスのPCR検査で検査数に占める感染者の割合を示す「陽性率」を初めて公表した。直近7日間の平均値を日ごとに示しており、今月7日までの7日間の平均は7・5%だった。4月中旬に31・6%でピークに達して以降は下落傾向が続いている。
 データには民間の医療機関が独自に実施した検査分などが含まれていない時期もあるため、一部を抽出した形だが、都は「一定の傾向を把握することはできる」としている。
 陽性率は、検査件数によって変動する感染者の実数よりも、地域の感染状況を測る目安になるとされる。大阪府では、7日間にわたって7%未満となることなどを休業要請解除の条件としており、大阪府の8日時点の7日間平均は2・7%だった。
 都は今回、PCR検査が始まった1月25日以降のデータを分析。2月中旬に10%を突破後、3月下旬には20%を超え、4月中旬に31・6%と最も高くなった。4月17日には1日当たりの感染者が201人に達していた。

都内のパチンコ店19店、休業要請に応じず…9日に店名公表へ indexへ

 東京都の休業要請に応じずに営業を続けているパチンコ店が、8日時点で19店に上ることが都の調査でわかった。都は、改正新型インフルエンザ対策特別措置法45条に基づき、9日に店舗の名称を公表する方針。
 都によると、都内約780店のパチンコ店のうち、24店が7日に営業していることを確認。都の職員が8日に各店を訪問し、営業を続けていた19店に店名公表を通告したという。
 9日も営業をやめなければ、同日午後にも都のホームページ上に店名を掲載する。このほかにも営業中のパチンコ店の情報が寄せられていることから、都は調査を続ける。

感染疑い理由に救急搬送困難に…119番から病院到着まで1時間超 indexへ

 新型コロナウイルス感染の疑いを理由に、救急搬送の受け入れを複数の医療機関に断られ、119番から病院到着まで1時間余りかかった事例が3日に大津市で発生したことがわかった。
 同市消防局によると、3日夜、50歳代の男性宅から119番があった。男性は熱やせきの症状があり、日中に帰国者・接触者相談センターに連絡。かかりつけ医での受診を指示されたが、症状が悪化したという。
  駆けつけた救急隊が、搬送を救急指定病院に打診したものの、市内の2医療機関は「感染の可能性がゼロではない」として拒否。別の重症者に対応中でいったん は断った市立大津市民病院が最終的に受け入れ、男性は通報から1時間6分後、病院に到着した。診断の結果、PCR検査の必要はないとされ、帰宅したとい う。
 搬送困難事例は都市圏を中心に増えており、厚生労働省は、発熱や呼吸器症状のみを理由に受け入れを断らな いよう医療機関に求める通知を都道府県や中核市などに出した。大津市は4月22日に市内の医療機関にメールで伝えたが、県は全県的な要請をしておらず、5 月8日に周知する方針。

国内初、新型コロナ治療薬として「レムデシビル」を特例承認…厚労省 indexへ

 厚生労働省は7日、新型コロナウイルス感染症の治療薬としてウイルス薬「レムデシビル」を特例承認したと発表した。国内初の新型コロナウイルス治療薬となり、重症患者を対象に使用する。
 レムデシビルは米製薬会社のギリアド・サイエンシズが開発した点滴薬。同社の日本法人(東京)が4日、承認を申請した。厚労省は、緊急時に迅速に審査する医薬品医療機器法の特例承認制度に沿って手続きを進めた。
  同社は全世界で約14万人分(患者1人に10日間投与する場合)の供給を表明している。厚労省は病院ごとの必要量を把握し、重症者向けに優先的に分配する 方針だ。同社による供給は無償の予定。公的医療保険の適用外となる。厚労省は入院費など、保険診療となる部分との併用を認める検討をしている。  レムデシビルはエボラ出血熱の治療のために開発されたが、新型コロナウイルスの増殖を抑える働きが期待されている。米国での臨床試験では、患者の回復までの時間を約3割短縮する効果が確認された。一方、肝機能が低下するなどの副作用が出る可能性も指摘されている。
 また安倍首相は、主に軽症者向けに新型インフルエンザ治療薬のアビガンを新型コロナウイルス治療薬として、月内に承認することを目指す考えを示している。

営業再開のパチンコ店、都内で24・神奈川は33…名称公表へ indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて東京都が休業を要請している都内のパチンコ店のうち、7日時点で24店舗が営業を再開したことが都の調査でわかった。
 都は都内に780店あるパチンコ店に対し、今月31日まで休業を続けるよう求めている。4月 30日以降、営業する店は確認されていなかったが、7日に一部の店が営業を始めたことがわかったという。都は8日、改正新型インフルエンザ対策特別措置法 45条に基づき、各店に公表を事前通告する予定で、その後も休業しない店については9日にも名称を公表する。
 一方、神奈川県は、休業していた県内のパチンコ店約470店のうち、少なくとも33店が営業を再開していたと発表した。県は8日、休業が確認できなかった8店を含めた41店に改めて休業要請し、応じない場合には11日にも店名を公表する。

GWの新幹線・特急利用者95%減…高速道路も70%減 indexへ

 JR各社は7日、大型連休中(4月24日~5月6日)の新幹線や特急列車の利用者数が昨年比95%減の91万6000人だったと発表した。新型コロナウイルスの影響が大きく、連休中の利用者数は1987年のJR発足以来、最低となった。
 JR各社によると、秋田、山形新幹線が前年比97%減、東北新幹線は同95%減、東海道新幹 線は同94%減だった。利用者が最も少なかったのは秋田新幹線で、13日間で計4000人(昨年11万8000人)にとどまった。東海道、山陽、九州の各 新幹線は11日以降、定期列車の便数を当面2~4割減らすことを決めた。
 全国の主な高速道路でも4月25日から5月6日までの交通量が昨年比70%減と大幅に減った。東日本、中日本、西日本の高速道路3社の管内では10キロ以上の渋滞が一度も発生しなかった。

開店前から300人行列、大阪の一部パチンコ店が営業再開…客「開いていると来てしまう」 indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大阪府の休業要請に応じていたパチンコ店のうち一部の店が7日、営業を再開した。府は、改めて休業を要請する。
 大阪府は4月24日、休業の要請に応じない店の名前を、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき全国で初めて公表。その後、それでも応じない7店に対し、より重い措置の「休業指示」を出す方針を示したが、全店が休業したため、実施を見送っていた。
  営業を再開したのは大阪市や堺、高槻両市などの店。府が休業指示を検討していた堺市堺区の店には、午前10時の開店前から300人以上の客が訪れ、入り口 には行列ができていた。同市内の30歳代の男性は「営業を再開すると知って訪れた。世の中の風当たりは強いが、店が開いている以上は来てしまう」と話し た。
  府は、国が4日に緊急事態宣言を5月末まで延長すると決めたことを受け、休業要請を継続する方針を表明。ただ、これまでの要請の対象期間は、当初の緊急事 態宣言の期間である「6日まで」としていた。府は7日から開店状況を調査し、営業を続ける店には、同特別措置法に基づき再度要請を行い、応じない場合は、 前回のように店名を公表するかどうか検討するという。
 兵庫県では、3店が名前の公表後も最終的に要請に応じなかったため、1日に休業指示に踏み切った。県によると、7日時点で3店とも休業しているという。

「37・5度」こだわらず、息苦しさ・だるさ・高熱はすぐ相談…受診目安を見直しへ indexへ

  加藤厚生労働相は6日、新型コロナウイルス感染が疑われる場合の「相談、受診の目安」を見直す方針を明らかにした。「37・5度以上の発熱が4日以上続 く」とした現在の基準を変更し、息苦しさやだるさ、高熱がある場合には、すぐに相談することを求める方向で調整している。
  厚生労働省は2月、保健所などに設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談する場合の目安を公表。重症化しやすい高齢者らを除き、「風邪の症状 や37・5度以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」のいずれかに該当する場合には、同センターに相談するよう求めていた。
  しかし、こうした基準に当てはまらないことを理由に受診できなかったり、ウイルス検査を受けられなかったりするケースが判明。加藤厚労相は6日、神奈川県 内の医療施設を視察後、記者団に対し、平熱が人によって異なることや、容体が急変するケースもあることなどから、37・5度を下回る場合や発熱の日数が4 日を下回る場合でも、一定の条件を満たせばすぐに受診できることを明記する方針を示した。
 厚労省は、政府の専門家会議の意見も踏まえて新たな目安をまとめており、近く公表する方針。

救急患者「搬送困難」倍増、コロナ感染疑い拒否か…8病院に断られた高齢者も indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、119番した患者の受け入れを医療機関に3回以上断られるなどの搬送困難事 例が、全国52消防本部で前年の約2倍になっていることが総務省消防庁の調査でわかった。感染の疑いを理由に、医療機関に拒否されたケースが多いとみられ る。
 県庁所在地など救急搬送者数の多い全国52の消防本部で4月20~26日の1週間、患者の受け入れを少なくとも3回拒まれ、かつ30分以上搬送先が決まらなかったケースを調べたところ、前年同期比91%増の1656件あった。
 増加件数が最も多かったのは東京消防庁。調査期間中の搬送困難事例は854件で前年比520件増だった。次いで大阪市消防局が212件で66件増、札幌市消防局が67件で46件増だった。  増加率では、福岡市消防局の575%(23件増)が最も高く、川崎市消防局が371%(26件増)だった。
 川崎市消防局によると、4月23日、市内の高齢者施設から「90歳代の入所者が発熱し、呼吸が苦しそうだ」と救急搬送の要請があったが、八つの病院から「受け入れは難しい」などと断られた。搬送先が見つかったのは2時間半後だったという。
 厚生労働省は4月18日付で、発熱など新型コロナ感染が疑われる症状を理由に、救急隊からの受け入れを医療機関が断らないように求める通知を、自治体に出している。ただ、「院内感染を警戒し、受け入れてもらえないケースもある」と消防関係者は話す。
 高市総務相は同28日の閣議後記者会見で、「発熱など感染が疑われる患者に対し、医療機関が受け入れを 躊躇するため対応に苦慮する消防本部が出ている。全国の状況の早急な把握が必要」と指摘し、原則1週間ごとに搬送状況の報告を受けることにした。また、厚労省や都道府県に、医療機関側の受け入れ態勢確保を求めている。

楽天のPCR検査キット、販売見合わせ…適切な結果出ない恐れ indexへ

 楽天(東京)は30日、今月から法人向けに販売を始めた新型コロナウイルスのPCR検査用の検体を採取するキットについて、一時的に販売を見合わせると発表した。
 このキットでは、検体採取は医師らではなく、利用者本人が行う。このため、採取がうまくいかず、適切な検査結果が得られない恐れがあるなどとして、日本医師会や専門家から懸念の声が上がっていた。
 同社は「急な変更により多大なご迷惑をおかけすることになり、大変申し訳ございません」とのコメントを出した。

マスクつけずに会議出席、「買えなかった」嘱託男性を懲戒処分…大阪の専門学校 indexへ

 マスクを着けずに会議に出席したことなどを巡り、大阪電子専門学校(大阪市天王寺区)を運営する学校法人木村学園 (同)が、嘱託職員の男性(60)を出勤停止の懲戒処分にしていたことが28日、わかった。同校職員らの労働組合は「行きすぎた処分」として同日、法人側 に団体交渉を申し入れ、来月には抗議文を提出する方針。
 組合などによると、男性は今月7日、新年度の授業内容を話し合う会議にマスクを着けずに出席。会議後、法人幹部に未着用の理由を聞かれ、「どこに行っても買えない」と返答したという。後日、男性は面談した幹部から「感染源になったらどうするんだ」などとただされ、顛末書を提出して説明しようとしたが、「受け取れない」と言われ、4日間(5月12~15日)の出勤停止の懲戒処分を受けた。
 法人側は取材に「学園内のことであり、お答えできない」としている。

マスク着用しない客ともみ合い、警備員が発砲…流れ弾が女性店員の首に命中し死亡 indexへ

 【リオデジャネイロ】ブラジル紙グロボ系列のニュースサイトなどによると、ブラジル南部パラナ州クリチバのスーパーで28日、マスクの着用を巡って客の男ともみ合いになった警備員が銃を発砲し、流れ弾で女性店員(28)が死亡した。
 男は入店時、マスクをしていないことを別の店員に指摘され、憤慨して殴りかかった。警備員が止めに入ったが、襲われたため持っていた銃を2発発砲し、1発が近くにいた女性店員の首に命中した。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、パラナ州ではこの日から外出時のマスク着用が義務化されていた。

都内の救急たらい回し、前年比4倍に…院内感染恐れ indexへ

 東京都内の救急搬送で今月1~25日、5か所以上の病院に受け入れを断られるなどして搬送先が決まらないケースが1919件に上り、前年同期比で4倍に増えたことが28日、東京消防庁の調べで分かった。
  新型コロナウイルスの感染が疑われる患者が増え、院内感染などを恐れて受け入れを拒否する病院が相次いだことを受け、東京消防庁が調査した。5か所以上の 病院が受け入れを断ったり、搬送先が20分以上決まらなかったりしたケースは、3月は前年同期比1・3倍の計931件だった。4月は1~25日で1919 件に上り、前年同期の481件を大きく上回った。
 一方、総務省消防庁は、全国の政令市のうち、搬送数の多い13市の消防本部に、受け入れ拒否の状況や搬送時間を調査。3月は「昨年と比べて増えた」と回答したのは5市だったが、4月は11市に拡大したという。
 東京都では20日から、専門外来などがある病院約90か所に、新型コロナウイルスに感染した疑いのある患者を優先的に搬送している。

メタノール飲料で中毒、イランで525人死亡…「ウイルス死滅させる」との情報広がり indexへ

 イラン保健省の報道官は27日の国営テレビで、国内で新型コロナウイルスの感染が確認された2月中旬以降、メタノール が含まれた飲料で中毒を起こし、5000人以上が病院に運ばれ、525人が死亡したと明らかにした。「アルコール飲料はウイルスを死滅させる効果がある」 との不確かな情報の拡散が原因だとみられる。
 イランでは酒造や飲酒が法律で禁じられており、地方を中心に、メタノールを使った密造酒によ る中毒死が多い。新型コロナウイルスの感染拡大後は、子供も口にしたという。メタノールは主に工業用に使われ、毒性が強い。不確かな情報が広まる背景に は、ロハニ政権の感染対策への不信感があるとの指摘も出ている。

「関西人を病原菌扱いか」「妨害する」岡山県に電話やメール、高速道PAで予定の検温中止 indexへ

 岡山県は28日、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、高速道路を使った来県者に実施予定だった29日の検温の中 止を決めた。検温を妨害するとの電話があったためだという。検温を中止するかわりに、県は高速道路会社に多数の観光客が利用するインターチェンジ(IC) の閉鎖を要請する。
 同県は大型連休の開始にあわせて、感染者が急増している兵庫県との県境に近い山陽道下りの瀬戸パーキングエリア(岡山市東区)で、体温計を使った検温を29日に実施予定だった。
 強制力はなく、帰省や観光に伴う移動自粛を求める狙いがあったが、「現場に行って妨害する」「関西の人を病原菌扱いするのか」などの電話やメールが約50件あったという。
 伊原木隆太知事は「職員や周囲の安全を確保するためにはやむを得ない判断だった」と説明している。

妊婦・乳児の悩み専用コールセンター、厚労省が設置…29日から6日まで indexへ

 大型連休に合わせ、厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、不安をかかえる妊婦や乳児の保護者からの相談に助産師が答える専用コールセンターを設ける。期間は今月29日~5月6日、受付時間は午前9時~午後5時。電話番号は0120・220・273。
 あす28日からは、厚労省のウェブサイトで、専門家のビデオメッセージを配信する。産婦人科や小児科の医師らが、妊婦や乳幼児の感染リスク、外出自粛中のストレス解消策などについて解説する。

マスク購入個数で声かけられ、従業員に頭突き…建設作業員の男逮捕 indexへ

 マスクの購入を巡って量販店の従業員に注意されたことに腹を立て、頭突きをしてけがを負わせたとして、福岡県警直方署 は24日、同県鞍手町八尋の建設作業員の男(21)を傷害容疑で現行犯逮捕した。発表によると、男は同日午前11時20分頃、同町中山の量販店敷地内で、 男性従業員(42)の胸ぐらをつかみ、顔に1回頭突きをして顔面打撲のけがをさせた疑い。店が決めていた客1人へのマスクの販売個数を超えるマスクを購入 しようとして、従業員から声をかけられたことに腹を立てたという。「頭にきて暴行した」と供述している。

保育所が病院職員の子の登園拒否…知事「感謝こそすれ中傷するのは、とんでもない話」 indexへ

 徳島県は24日、新型コロナウイルスの感染者が通院・入院していた病院で働く職員の子どもについて、保育所が登園拒否 していたことを明らかにした。ほかにも職員や家族に対する不当な行為がみられるという。病院は徳島市内にあり、飯泉知事と内藤佐和子市長は、いわれのない 中傷をやめるよう訴えた。
 県などによると、この病院では、入院患者の転院や他の病院に依頼した診察が断られたほか、感染者と接触していない職員の家族が就労を拒否されたり、保育所や学童の利用を断られたりするなどの被害があったという。
  飯泉知事は「感染症と最前線で闘っているのは医療従事者。家族にうつすかもしれないという思いもありながら、悲痛な思いや決意で取り組んでくれている」と したうえで、「『保育所に来ないでくれ』など、その一言で心が折れてしまう。本人や家族らに感謝こそすれ、中傷するのは、とんでもない話だ」と訴えた。
 また、徳島県外ナンバーの車を運転する県民らから「あおり運転された」、「暴言をはかれた」などの声が、県などに寄せられたといい、内藤市長は「通院など必要な移動もあるし、徳島に住んでいても県外ナンバーの人もいる。徳島を分断させないよう協力してほしい」と述べた。

飲食店内くしゃみでケンカ・マスク購入行列で揉め事…コロナ絡みの通報続々 indexへ

 マスク購入を巡るもめ事など新型コロナウイルスに関連するトラブルで、大阪府警への通報が相次いでいる。
 府警通信指令室によると、新型コロナウイルスに関連する110番通報の受理件数は3月に32 件あり、今月(15日時点)は132件に急増した。マスクを買うために並んでいたところでもめたほか、「飲食店で食事中にくしゃみをしたら感染を疑われ、 けんかになった」というケースもあった。
 一方、110番通報の総件数は3月が7万9320件で、昨年同期に比 べ5564件少なかった。府の要請に応じ、府民が不要不急の外出を控えたことが影響したとみられる。府内では新型コロナウイルスの感染拡大に便乗した特殊 詐欺や休業中店舗での窃盗被害が多発していることから、府警は注意を呼びかけている。

「ご主人、感染したと聞いたよ」デマに苦しむスーパー店主の妻 indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、地域やインターネット上では、デマや中 傷が横行している。3月末に住民男性の感染が確認された岡山県里庄町では、スーパーの店主が、感染していないのに「感染者だ」とするデマの被害に遭った。 1か月近くたっても客足が十分戻っていないといい、取材に応じた店主の妻は、「一度広がったデマを打ち消すことがこんなに難しいとは」と胸中を語った。
 里庄町里見のスーパーを夫(68)と2人で営む女性(65)。生鮮食品などの必需品を取り扱っている。
 女性が異変を感じたのは3月28日。前日に県が、里庄町在住で、フィリピンから帰国した50歳代自営業男性が新型コロナウイルスに感染したと発表していた。県内ではまだ2例目の感染確認だった。
 女性がいつもより来客が少なく不思議に思っていると常連客から「ご主人、感染したと聞いたよ。大丈夫?」と小声で話しかけられた。
 想像もしていない言葉に耳を疑った。女性の夫は60歳代のうえ、パスポートも持っていない。常連客には笑って否定した。
 「事実じゃないからすぐに収まるだろう。意外と若く見られているのね」。そう軽くとらえていた。
 ところが日を追うごとに客は減り続けた。店内にはり紙をしてデマを打ち消そうとしたが、拡散は止まらない。地元商工会も4月3日からホームページに店名をあげたうえで、風評被害の防止を呼びかけた。
 それでも、「店の従業員がフィリピンに同行していた」「店内を消毒していた」といった根も葉もないうわさも耳に届き、1週間ほどで売り上げは4割減少した。
 現在は徐々に客足が戻りつつあるも、「元通りにはほど遠い。あと何か月かかるのだろうか」と女性。「うわさが確かな情報か一歩立ち止まって考えてほしい」と話している。
 ◆里庄町=人口は1万1166人(3月末時点)。面積は約12平方キロ・メートルで、岡山県内の自治体で2番目に小さい。

陽性の女性看護師に夜勤をさせる、集団感染の病院に保健所が指導 indexへ

 新型コロナウイルスの集団感染が起きている大阪市生野区の「なみはやリハビリテーション病院」が、陽性反応が出た女性看護師を継続して勤務させていたことが23日、市保健所への取材でわかった。市保健所は同病院に対し、医療法に基づく口頭指導を行った。
 同病院では今月に入って医療従事者や患者の感染が相次ぎ判明。22日時点で感染者は127人に上る。
  市保健所によると、看護師は院内で感染者が出たことから検査を受け、20日に陽性が判明。同病院は検査結果を把握していたにもかかわらず、看護師を同日 夕~翌朝の夜勤業務に従事させた。同病院は保健所の調査に、「代わりの看護師を探したが手配できなかった」と説明しているという。

千葉から「里帰り出産」妊婦の救急搬送、岩手の2病院が受け入れ断る indexへ

  「里帰り出産」をするために千葉県から岩手県に帰省した30歳代の妊婦に対し、同県立の2病院が救急搬送の受け入れを断っていたことが23日、県医療局などへの取材でわかった。   同局によると、帰省した女性は今月17日、同県一関市内に滞在中、破水しそうになったため救急車を要請。消防が市内の県立磐井病院に受け入れを依頼した が、女性は帰省して3~4日後だったため断られたという。同様に北上市の県立中部病院にも断られ、その時には女性はすでに破水していたという。その後民間 病院に搬送され、無事出産した。
 2病院は里帰り出産の受け入れに際し、来県して2週間は実家などでの待機を求めていた。女性に発熱などの症状はなく、PCR検査でも陰性だったという。
 読売新聞の取材に磐井病院の千田了事務局長は「重大なことと受け止めている」と話し、中部病院の海沼建司事務局長は「院内感染のリスクを考え、やむを得ず断った。手術室に陰圧装置を設けるなど、受け入れ環境を整備したい」と語った。

来店者用の消毒液入ったボトル盗む-78歳女逮捕 indexへ

店の出入り口に置いてあったアルコール消毒液入りのボトルを盗んだとして、高知県警室戸署は20日、室戸市室戸岬町、無職の女(78)を窃盗の疑いで逮捕した。

楽天のPCR検査キット、日本医師会「リスク高い」と懸念 indexへ

 日本医師会は22日、楽天(東京)が今月、法人向けに販売を始めた新型コロナウイルスのPCR検査用の検体を採取する キットについて、「リスクが高い」と懸念を示した。医師らが行うものではないため、採取がうまくいかず、適切な検査結果が得られないなどで、混乱をもたら す可能性があるという。
 キットは、楽天が出資する遺伝子検査会社の「ジェネシスヘルスケア」(同)が開発した。発熱などの症状はない人が対象となる。利用者は自宅で鼻やのどの粘液を綿棒で採取し、容器に密閉する。同社が回収した後、3日以内に結果がわかるという。
 ただ、医療機関による検査ではないため、結果は感染の可能性を示すにとどまり、陽性・陰性の判断は医師の診断が必要となる。楽天の広報担当者は「無症状の感染者が感染を広げている可能性もある。社員を自宅待機にするかなどの判断材料に使える」と話す。
 釜萢かまやち敏・日本医師会常任理事は、医師や看護師でないと、適切に採取できないため、「実際には陽性でも陰性となる場合もある。判断が難しい」と指摘する。企業が結果を扱う場合に、個人情報をどう保護するかなどほかの課題もある。

看護師とその家族への偏見や差別、いじめが拡大 看護協会会長が会見で訴え  indexへ

 新型コロナウイルス問題について、日本看護協会の福井トシ子会長は22日、東京・千代田区の日本記者クラブからオンライ ンで記者会見した。看護師と、その家族に対する偏見や差別などが広がっている現状を説明したほか、リスクに直面しながら働いている看護師への危険手当や、 公費によるPCR検査の実施、防護服の確保の見通しを示すことなどを国に求めた。さらに国民に対して「感染しないことが、看護職を含む医療関係者には何よ りのエールになる」として、感染予防の徹底を訴えた。
 会見では、現場で働く看護職からメンタルヘルスの相談や、差別・偏見の実態が寄せら れていることが明らかにされた。たとえば、「感染者を受け入れる病棟が限られる中で、対応する看護師も単身者等の条件で選抜され、自らの感染・家族への感 染が不安で精神的につらい」「妊娠を継続しながら医療機関で勤務しており、家族からは『出勤するな』と言われ、とはいえ看護職としての使命感と一緒に働い てきた仲間をないがしろにできず、苦しい」などの声があったという。
「保育園の登園自粛求められた」「タクシーが乗車拒否」
   また、差別や偏見もひどく、「新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている医療機関の看護職の子供が、保育園の登園の自粛を求められた」「医療機関での 業務終了後、タクシーに乗車しようとした際、看護職という理由で乗車を拒否された」「なじみの定食屋等から看護職は来店しないでほしいと言われた」といっ たもののほか、「感染症病床で勤務していることが夫の会社に知られ、夫が勤務先より休むよう言われた」「親が新型コロナウイルス感染症患者を受け入れてい る医療機関に勤務していることを理由に、学校で子供がいじめにあった」など、家族に対する差別や偏見の例も挙げられた。
「危険手当」支給を国に要望
  同協会では国に対し、いくつもの要望を行っているが、なかでも、リスクを負いながら働いている看護師に対し「危険手当」を支給してほしいこと、一時的では あっても看護師に安心感を与えられるよう公費によるPCR検査を実施してほしいこと、不足している防護服などの確保の見通しを示してほしいことなどを強く 訴えた。
 そのうえで、「国民の皆様が感染しないこと、これが看護職を含む医療関係者には何よりの励みになり、何よりのエールになります」として、「3密」を防ぐなどの感染予防に国民ひとりひとりが取り組むよう求めた。

妊婦向けマスク「汚れ」「黄ばみ」計7870枚…厚労省、配布を一時中止へ indexへ

 政府が妊婦向けに配布した布マスクに汚れなどが見つかった問題で、加藤厚生労働相は21日の閣議後記者会見で、同日午前までに見つかった不良品の総数が、143市区町村で7870枚に上ることを明らかにした。厚生労働省は配布を一時中止し、原因などを調べる。
 同省によると、既に見つかっていた1901枚と同様、汚れや黄ばみなどがあった。大半はまだ市区町村で保管されており、配布されていないという。
 政府は、国内メーカー4社が海外で製造した妊婦向けの布マスク約1000万枚を配布する予定で、14日から市区町村に約50万枚の発送を始めていた。加藤厚労相は「問題があるものは早急に回収し、原因を分析したい」と述べた。
 政府が全戸向けに配布予定の布マスクにも一部不良品が見つかっているが、市区町村に確認の徹底を求め、配布を続ける。

手洗いや消毒が原因、女性の7割が「手荒れ」…傷口にウイルス残りやすくなる可能性 indexへ

 新型コロナウイルス感染予防のための手洗いやアルコール消毒の励行で、手の荒れを感じる女性が7割超にのぼることが、化粧品大手マンダムの調査でわかった。手の皮脂などが落ちて乾燥するためとみられ、昨年より荒れていると答えた人も4割を超えた。
  調査は3月6~8日、インターネットで行い、21~39歳の女性431人が回答した。手荒れについて、71・0%が気になると回答し、41・2%が昨年よ りも荒れていると答えた。頻度については手洗いで68・7%が、消毒では61・7%が昨年より増えたとした。頻度が3倍以上になったと答えた割合も消毒で 25・7%、手洗いで14・5%となった。
 手指が荒れた状態だと、傷口にウイルスが残りやすくなるといった可能性もあり、担当者は「ハンドクリームなどで、油分や水分を補ってほしい」と話している。

政府配布の布マスクに「汚れ付着」「虫が混入」…不良品の報告相次ぐ indexへ

 厚生労働省は18日、政府が国民に配布を始めた布マスクの一部に、汚れが付着するなどの不良品が見つかったと発表した。妊婦向けのものが中心だが、学校への発送分では虫の混入なども確認されているという。同省は不良品を回収し、交換に応じる方針。
  同省によると、妊婦向けの布マスクは約1000万枚の配布を予定しており、14日から市町村に発送を開始。しかし、16日以降、「変色している」「髪の毛 が混入していた」などの報告が相次いだ。17日現在、報告は80市町村の1901件に上る。介護施設や小中学校、国内全戸への発送分でも確認されていると いう。
 同省は市町村に発送前の確認の徹底を求め、メーカーには検品強化などを要請した。担当者は「不良品を見つけたら、居住自治体に申し出てほしい」としている。

インフルエンザ、例年より1~2か月早く終息…コロナ対策効果 indexへ

 厚生労働省は、今季のインフルエンザの流行が終息したとして、週に一度行ってきた患者の発生状況の公表を、10日で終了した。例年より1~2か月早く、同省は「新型コロナウイルスへの対応で多くの人が感染防止対策を徹底した効果ではないか」としている。
 発表によると、3月30日~4月5日に、全国約5000か所の定点医療機関から報告された患者数は、1医療機関あたり0・15人。流行の目安となる1人を3週連続で下回り、今季の流行は終息したと判断した。
 今季の流行のピークは昨年12月23~29日で、1医療機関あたりの患者数は23・24人と、前季ピーク時(57・09人)を大きく下回った。入院患者は計1万2955人で、前季(計2万607人)の63%程度だった。

研究員がコウモリから新型ウイルスに感染、外部に拡散?…米報道 indexへ

 【ワシントン】米FOXニュースは15日、複数の情報筋の話として、新型コロナウイルスは中国・武漢にあるウイルス研究所の所員から外部に拡散したとする見方を報じた。米政府内には懐疑的な意見もあり、調査を継続しているという。
  報道によると、情報筋は、所員が研究用のコウモリから新型ウイルスに感染したのが端緒となり、外部の人に広がった可能性があるとしている。中国当局は武漢 を中心に感染が広がり始めた当時、野生動物を扱う武漢の海鮮市場で働く人に感染者が多いと発表したが、情報筋は「研究所から責任をそらすため」の中国によ る情報操作の一環だと話したという。
 エスパー国防長官は16日、米NBCニュースのインタビューで「我々が注視してきたことだが、結果は断定的なものではない」と述べた。

花街も先斗町も、京都は厳戒ムード…「こんなに人いないのは昭和天皇の崩御以来」 indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大で、京都府と京都市が10日、政府に緊急事態宣言の対象に加えるよう要請したことを受 け、京都の観光地や繁華街は同日夜から11日にかけ、厳戒ムードに包まれた。府は、感染が広がっている大阪府や兵庫県から、週末に観光客がやって来ること に神経をとがらせている。
 ■「困難乗り越える」
 お茶屋や料亭が軒を連ねる京都・祇園の花見小路通は10日夜、石畳を歩く芸舞妓の姿もなく、静まりかえっていた。お茶屋の格子戸には「勝手ながらお休みさせて頂きます」との貼り紙があった。
 10日午前、京都府の西脇隆俊知事とともに記者会見した京都市の門川大作市長は市民らに外出自粛を求め、「お茶屋さんにも行かないで」と言及した。
 芸舞妓のもてなしがあるお茶屋は京都を代表する社交の場だ。市内の五花街の代表者らは営業自粛を呼びかけることを7日に申し合わせていたが、門川氏の発言を受け、自粛の動きはさらに加速するとみられる。
 花街・宮川町のお茶屋「駒屋」(東山区)の女将、駒井文恵さん(75)は「お客さんに感染させず、芸舞妓を守るため。困難を乗り越えて花街文化を存続させたい」と語った。
金曜の夜でも閑散とした先斗町
 市中心部の繁華街・先斗町も10日夜は閑散としていた。京料理店を営む滝井義郎さん(69)は「こんなに人がいないのは、昭和天皇の崩御の時以来。先が見通せないのが何より怖い」と話した。
 ■深刻さ増す
 門川市長は10日の記者会見で、国民全体に対しても、「京都への観光は自粛をお願いしたい」と訴えた。
 嵐山では、先週末には花見客の姿も見られたが、11日午前はほとんど人影がなかった。
 大阪府守口市から、友人と訪れた20歳代の男性会社員は「予想以上に人が少なくてびっくりした。少し後ろめたさはあるけど、大阪で散策するよりも大丈夫だと思って来たのですが……」と打ち明けた。
 京都府内では3月末から感染者が増え、4月10日までに174人が確認された。京都市内の3~9日の1週間の感染者は前週の倍近い53人で、その47%で感染経路がわかっていない。
  感染者数は大阪(696人)、兵庫(316人)より少なく、政府は現状では緊急事態宣言への積極姿勢は見せていないが、門川市長は会見で「大阪、兵庫から 約20万人が京都に通学、通勤している。厳しい状況は変わらないのに、京都はましという誤解がある」と危機感をあらわにした。
 嵐山の五つの商店街でつくる協議会は2月中旬、〈人間よりサルの方が多いとか、久しぶり。〉など、人の少なさを自虐的にPRするポスターを作成し、客足は一時的に回復していた。  しかしその後、感染状況は深刻さを増し、商店主らからは「もう積極的に観光客は呼び込みづらい」との声も漏れる。
 ■「実家に帰れない」
 京都市内は約30の大学がある「大学のまち」。京都産業大の学生らの間にクラスター(感染集団)が発生したこともあり、京都大(左京区)が対面での授業開始を5月7日にすることを決めるなど、各大学は軒並み、開始時期の繰り下げを決めている。
  京大に入学したばかりの男子学生(18)は岡山県から引っ越し、一人暮らしを始めたが「先行きが見えず、やることもなくて不安」と漏らす。「授業がないと 早く分かっていたら、実家に残っていたのに……。家族は今も『帰ってきたら』と言ってくれるが、自分や家族の感染リスクを考えると怖く、迷っているうちに 状況が深刻になり、帰れなくなってしまった」と語った。

「キャバクラどうですか」客引きは堂々と活動…市の啓発活動、ほぼ効果なし indexへ

 浜松市が繁華街での客引き行為禁止条例を今月1日に全面施行してから10日になるが、客引きは依然として活発だ。新型 コロナウイルスの影響で飲食店の客が激減しており、勧誘しないと生き残れないという背景がある。少ない客の奪いあいの様相を呈しており、市の啓発活動もほ とんど効果がなさそうだ。
 7都府県に緊急事態宣言が出て2日後の9日夜、JR浜松駅に近い繁華街「有楽街」には、前掛 けを着けるなどした客引きの男女が計20人ほどたむろしていた。この時期としては気温が高くビール日和だったが、通行人はまばらだ。この日も「キャバクラ どうですか」「居酒屋をお探しですか」などと、勧誘は活発だった。
 7日に買い物帰りに通った女性は、約100メートル間で女性の客引き2人に相次いで居酒屋に勧誘された。無視すると客引きは足を止めたが、「怖い。安心して街を歩けるようになってほしい」と困惑していた。
 市の条例は有楽街など中区の繁華街が対象だ。昨年11月に施行され、4月1日から5万円以下の過料など罰則適用が始まった。蛍光色のジャンパーを着た市職員が定期的に啓発活動を行っているが、客引きは堂々と活動している。
 ある居酒屋の男性店員は「店にいても客が来ず、暇なので通りに出てきた。罰則は知っているが、声をかけないと商売にならない。怖い雰囲気を作らなければ指導されないでしょう」と素知らぬ顔で話した。
  自ら通りに出て客待ちをしていた居酒屋の男性店長は「1日15万円あった売り上げが今や3万円という日もある。知り合いが通らないかと待っているだけ」と 強調した。一方、店の敷地内で「ビール200円」と書いたボードを持っていた居酒屋の男性店員は「特定の人に声を掛けない。ルールは守っている」と話し た。
 広報活動を行う市職員は「客引き行為等同意書」を携行し、違反行為を見つけたら違反者に氏名や住所を書か せることにしているが、9日現在、書かせた同意書は一件もない。担当者は「客がおらず手持ちぶさたで、通りで遊んでいるだけに見える。違反と断定するのは 難しい」と話した。

「丸の内に人がいないなんて」…緊急事態宣言から一夜、ビジネス街や商業地閑散 indexへ

 新型コロナウイルスの感染者急増に伴い、緊急事態宣言が7日に発令されたことを受け、対象となった東京都な どでは8日、法令に基づく不要不急の外出自粛が始まった。デパートなどの民間施設の休業も相次ぎ、東京都内のビジネス街や商業地では通勤客や買い物客の姿 も少なく、閑散としていた。

 改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に政府が発令した緊急事態宣言は7日深 夜、官報に公示されて正式に発効した。これを受け、東京都などでは8日午前0時、同法に基づく不要不急の外出自粛要請などの措置が始まった。期間は5月6 日までの1か月間。
 JR東日本や首都圏の主な私鉄各社は8日、始発から通常ダイヤで運行した。しかし、ラッシュの時間帯でも車内には空席が目立ち、多くの路線が乗り入れるJR東京駅や新宿駅では、行き交う通勤客らがまばらだった。
  通勤で東京駅を利用していた東京都三鷹市、会社員男性(58)は「電車は昨日よりも乗客が少なく、普段の5分の1くらいの印象だった」と話した。東京・丸 の内で勤務先に向かっていたさいたま市の会社員女性(26)は「こんなに丸の内に人がいないなんて……」と驚いた様子だった。
 国内最大級 のバスターミナル「バスタ新宿」(東京都渋谷区)では、普段1日当たり約800本の運行本数が約650本に減り、営業時間も短縮している。約200席ある バスタ新宿の待合室では8日朝、座っている人は10人程度。大学の授業開始が延期になり、山梨県に帰省するという横浜市の女子大学生(19)は「緊急事態 宣言が出されて怖さを実感した。帰省中も実家からは出ないつもり」と語った。
 東京・銀座や渋谷では、大手デパートや商業施設が8日から休 業した。東京・渋谷では「SHIBUYA109」や「渋谷パルコ」などが休館し、飲食店やアパレル関連の店舗なども臨時休業の貼り紙が目立った。渋谷駅近 くのそば屋の従業員男性(68)は「人通りは普段に比べて3分の1ぐらい。新型コロナウイルスの騒ぎが出てから客も数えるほどに減った」とこぼした。
  大阪や福岡でも人出が減った。大阪・ミナミの道頓堀では、名物人形「くいだおれ太郎」があるビルの店舗のシャッターに「臨時休業」のお知らせが貼られてい た。大阪・黒門市場の酒屋の男性店主(55)は「宣言が発令された7日だけでも20件以上の取引先から配達を断られた。影響が短くなれば」と願った。福岡 市のJR博多駅でも、通常よりもまばらな通勤風景が見られた。

「医療用マスク」輸出するな…米が製造企業に要求、カナダ首相「間違った判断だ」 indexへ

 【ニューヨーク】米国のトランプ政権は2日、医療用の高機能マスクを製造する米大手「3M」社に対し、カナダと南米各国にマスクを輸出しないよう求めた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて発動した国防生産法に基づく措置で、国内の在庫を確保するためだ。
 3Mが3日公表した声明によると、医療現場で使われる「N95」マスクについて、政府は、米連邦緊急事態管理庁の注文を優先させ、輸出を停止するよう求めたという。3Mは国内外でN95マスクを月1億枚生産し、このうち約3分の1が米国産だという。
 これに対し、カナダのトルドー首相は3日、記者団に「間違った判断だ」と強い抗議の意思を示した。

街が死んでいる・恐怖あるけど接待…北新地、風景一変 indexへ

 大阪府の吉村洋文知事は1日、新型コロナウイルスの感染が確認され、府の要請に 応じて施設名の公表に同意した事業者に補償する独自の制度を創設する考えを明らかにした。クラスター(感染集団)が発生し、店名を公表した大阪市のライブ ハウスに適用する方針。一方、客足減少を懸念して同意しないナイトクラブなどもあり、感染拡大防止のための情報公開の難しさも課題になっている。
     ◇
 大阪府はナイトクラブやバー、カラオケなどの利用自粛を求めており、大阪市北区の北新地などの繁華街の風景は一変している。
 「考えられないほどお客さんが減った。北新地で働いて60年になるが、こんなことは初めて」
  北新地の老舗「クラブ山名」のママ、山名和枝さん(84)は嘆く。売り上げは3分の1に減ったといい、感染防止のため、店は1日から1週間程度、臨時休業 することにした。大阪市港区の会社員男性(59)は「行きつけのラウンジも閉まっていて、街が死んでいる印象。こういう状況なので、まっすぐ帰ります」と 話した。
 営業を続けるラウンジの男性店長(38)は「閉めている店も多いが、来てくれる人もいる。閉めるべき か悩ましいところだ」と言う。取引先を接待し、2軒目はバーに向かうという会社員男性(49)は「コロナの恐怖がないと言ったらウソになるが、お客さんか ら誘いがあったのに『自粛要請があるので行けません』とは言えない」と話した。

感染学生の電子カルテ、LINEで流出か…青森 indexへ

 青森県五所川原市など6市町で構成される「つがる西北五広域連合」は1日、新型コロナウイルスの感染が確認された青森県に住む20歳代男子学生の電子カルテが無料通信アプリ「LINE(ライン)」に流出した可能性があると明らかにした。

 同連合によると、流出したのは電子カルテの画像データとみられる。電子カルテは、同連合内の病院に勤める医療関係者であれば閲覧が可能という。学生が受診した病院が流出の原因を調べている。

高級クラブで「夜の街クラスター」発生か…複数の感染者が利用 indexへ

 専門家で組織する厚生労働省のクラスター(感染集団)対策班は、新型コロナウイルスの感染者が急増している東京都で、夜間を中心に営業する飲食店などで感染が広がっている可能性が高いとの見方を強めている。
 都は、人混みへの不要不急の外出自粛を要請し、飲食店などに行くことを念頭に、夜間外出を控 えるよう呼びかけた。関係者によると、複数の感染者が銀座や六本木の高級クラブなどを利用していたことが調査で判明した。クラスター対策班は、こうした場 でクラスターが形成された可能性があるとみて分析を進めている。都内にはこのほか、新宿や渋谷といった繁華街が多くある。
  政府の専門家会議は19日に公表した提言の中で、「密閉空間」「人の密集」「近距離の会話」の3条件がそろう場を避けるよう求めた。近距離の会話を伴う接 客業の店について、専門家会議メンバーの押谷仁・東北大教授は「人が密集していなくても、1人の従業員が近距離で多数の客に次々に接客するような場合は、 クラスターが発生しやすい」と指摘する。

出産時脳性まひ、補償対象者に最大2倍の地域差…都道府県別  indexへ

 出産時に脳性まひとなった子どもに補償金を支給する産科医療補償制度で、登録された出産件数に占める補償対象者の割合を都道府県別に見ると、最大で2倍以上の格差があることが、日本医療機能評価機構のまとめでわかった。こうしたデータの公表は初めて。
 同機構は、制度が始まった2009年から13年までの5年間に掛け金 支払いの登録手続きが行われたお産のうち、生まれた赤ちゃんが脳性まひで補償対象となった例がどれくらいあるか都道府県別に集計した。それによると、登録 された出産522万2421件のうち、補償対象者は1869人に上り、1000件当たりの割合は0・36だった。
 都道府県別では、この割合が最も高かったのは岡山の0・55、次いで 静岡0・54、高知0・53、富山0・51、滋賀0・50だった。最も低かったのは秋田と山梨の0・24で、宮城0・26、福井0・27、北海道と福島 0・28と続いた。最も高い岡山は、最も低い秋田、山梨の2・3倍に当たる。
 都道府県間の格差について、同機構が設けた有識者からなる制度の運営委員会委員長で、公衆衛生学が専門の小林 廉毅・東大教授は「母親の年齢、多胎(双子や三つ子など)や低出生体重児かどうかなどの生物学的要因と、高度な医療を受けられる病院への距離といった社会的要因などが関わっている可能性がある。さらなるデータの蓄積と分析が必要だ」と話している。

外務省の「感染症危険情報」、27か国・地域に indexへ

 新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、外務省が渡航注意などを4段階で呼びかける「感染症危険情報」の対象が13日時点で27か国・地域に達した。
 外務省は12日深夜、スペインのマドリード、バスク、ラ・リオハの3州とスイスのティチーノ 州に感染症危険情報でレベル2の「不要不急の渡航自粛」を出した。両国の他の地域はレベル1の「渡航に十分注意」を維持している。米ワシントン州と、ノル ウェー、スウェーデンなど欧州12か国、中東のカタール、バーレーンにも新たにレベル1を出した。
 外務省は新 型コロナ関連での感染症危険情報を1月21日に中国に初めて出し、その後も各国・地域の感染者の実数や感染率、医療事情などを踏まえて、危険情報発出を判 断している。同省によると、13日時点の国別の1万人あたりの感染者数では、イタリア(2・5人)や韓国(1・54人)は発生国の中国(0・58人)より も高い。日本は0・05人となっている。
 一方、13日午前7時時点で日本からの入国・入域制限を行っている国・地域は35、日本からの入国・入域後に行動制限を行っている国・地域は76となった。

出産時脳性まひ、補償対象者に最大2倍の地域差…都道府県別 indexへ

 出産時に脳性まひとなった子どもに補償金を支給する産科医療補償制度で、登録された出産件数に占める補償対象者の割合を都道府県別に見ると、最大で2倍以上の格差があることが、日本医療機能評価機構のまとめでわかった。こうしたデータの公表は初めて。
 同機構は、制度が始まった2009年から13年までの5年間に掛け金 支払いの登録手続きが行われたお産のうち、生まれた赤ちゃんが脳性まひで補償対象となった例がどれくらいあるか都道府県別に集計した。それによると、登録 された出産522万2421件のうち、補償対象者は1869人に上り、1000件当たりの割合は0・36だった。
 都道府県別では、この割合が最も高かったのは岡山の0・55、次いで 静岡0・54、高知0・53、富山0・51、滋賀0・50だった。最も低かったのは秋田と山梨の0・24で、宮城0・26、福井0・27、北海道と福島 0・28と続いた。最も高い岡山は、最も低い秋田、山梨の2・3倍に当たる。
 都道府県間の格差について、同機構が設けた有識者からなる制度の運営委員会委員長で、公衆衛生学が専門の小林 廉毅東大教授は「母親の年齢、多胎(双子や三つ子など)や低出生体重児かどうかなどの生物学的要因と、高度な医療を受けられる病院への距離といった社会的要因などが関わっている可能性がある。さらなるデータの蓄積と分析が必要だ」と話している。

ハンセン病「特別法廷」訴訟、原告は控訴見送り…違憲判決が確定へ indexへ

 ハンセン病とされた男性が死刑となった「菊池事件」の再審を巡る国家賠償請求訴訟で、特別法廷での審理を憲法違反と認めた熊本地裁判決について、 原告・弁護団は控訴期限の11日、控訴を見送ると発表した。原告の請求は棄却されたため国側は控訴できず、特別法廷を違憲とした判決が確定する。
 原告はハンセン病国立療養所の入所者ら6人。2月26日の判決は、ハンセン病を理由に設置し た特別法廷とその審理を「法の下の平等などを定めた憲法に違反する」と指摘。最高裁の報告書が1960年以降の特別法廷を違法としたのに対し、50年代の 菊池事件での差別的な運用を認めた。一方で、男性の親族ではない原告の請求は退けた。
 原告らは「最高裁より踏み込んだ初の違憲判断」と評価。今後、確定判決を基に、検察に再審請求するように要請する。
 原告団は「再審に向けた大きな足がかりになる。男性の無罪を勝ち取り、司法の責任を明らかにすることを諦めない」との声明を発表。最高裁広報課は「個別の判決へのコメントは控える」とした。

医学部不正入試、東京医大に受験料返還義務…消費者裁判特例法で初判決 indexへ

 東京医科大(東京)の医学部不正入試問題を巡り、特定適格消費者団体 のNPO法人「消費者機構日本」が、消費者裁判手続特例法に基づき、入試で不利な扱いを受けた元受験生に受験料などを返還する義務が同大にあることの確認 を求めた裁判の判決が6日、東京地裁であった。前沢達朗裁判長は請求を大筋で認め、同大には、女子と浪人の元受験生らに受験料などを返還する義務があると の判断を示した。
 2016年施行の同法に基づいて提起された裁判で、判決が言い渡されたのは初めて。

カニューレ外れて昏睡状態に 群馬県が示談金支払いへ indexへ

 群馬県立小児医療センター(同県渋川市)で昨年8月、10代の男性患者の呼吸を確保する管「カニューレ」が外れているのを病院が見落とし、男性が低酸素脳症で昏睡(こんすい)状態になった医療事故で、県が男性に1500万円の示談金を支払う見通しになった。県病院局が3日の県議会常任委員会で明らかにした。6日の県議会本会議で承認後、男性の家族との示談を成立させるという。
 病院局やセンターによると、男性は呼吸状態が悪化したため入院し、のどを切開してカニューレを挿入していた。事故後、病院は蘇生措置をして男性の心拍は再開したが、男性は自発呼吸がなく、今も人工呼吸器を装着する状態が続いているという。

県立病院勤務の40代女性臨時職員、倉庫のマスク480枚売却…通常価格の10倍 indexへ

 岩手県医療局は29日、県立二戸病院に勤務する40歳代の女性臨時職員が、院内から無断で持ち出したマスクをフリー マーケットアプリ「メルカリ」で売却していたと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各地でマスクが品薄状態になるなか、通常価格の10倍にあ たる約1万5000円で売っていたという。
  発表によると、臨時職員は16日と24日、倉庫から一般用使い捨てマスク計8箱(480枚)を持ち帰り、メルカリに出品した。マスクの使用量が急増したた め、病院が調査を始めたところ、27日に臨時職員が自ら上司に申し出た。「高値で取引されていることを知って売却した」と話しているという。
 同局の三田地好文次長は「新型コロナウイルスの対策に取り組んでいるなか、極めて遺憾。深くおわびする」と謝罪した。病院は、県警に被害届を出す方針。

足の骨折手術でミス、和解金200万円 大垣市民病院 indexへ

 大垣市民病院は21日、事故で救急搬送された市内の40代(事故当時30代)男性の左大腿(だいたい)骨骨折の手術で、骨がねじれた状態で接合する医療事故があったと発表した。1月20日に和解金200万円の覚書を結んだ。
 病院によると、男性は2009年9月、骨の中に金属プレートを入れる手術を受けた。11年1月、骨折部分が接合したと診断されたが、その後、足の違和感で別の医療機関を受診して、大腿骨が内側に34度ねじれていたことが分かった。歩行時の痛みや正座ができないといった症状があったという。一般的に内側へのねじれは15度程度が許容範囲という。手術中と、術後のX線で確認したがミスに気づかなかった。
 再発防止について、同病院の桐山勢生副院長は「X線とCTのダブルチェックで異常がないかを確認していく」と話した。
 3月議会の議決を経て、正式に和解するという。

投薬ミス後に死亡 山口県光市が2100万円の和解案 indexへ

 山口県光市の市立大和総合病院で2015年11月に投薬ミスがあり、その後患者が死亡したとして、市は患者の遺族に和解金2100万円を支払うことを決めた。19日開会の市議会定例会に議案を提出する。
 市によると、亡くなったのは県内の女性(当時89)。女性は15年11月5日、大和総合病院に入院。同12日に看護師が別の患者の降圧薬などを誤投与した後、容体が急変し、同16日に死亡した。
 病院側は医療事故調査委員会を院内に設置して調べた結果、「誤投薬と死亡事故の因果関係は必ずしもあるとはいえない」と結論付けた。遺族側が納得せず、厚生労働省指定の第三者機関「医療事故調査・支援センター」に調査を依頼。センターは19年3月、「降圧薬の誤投与を契機に血圧が長時間低下し、血流循環不全による多臓器不全で死亡した」との結果をまとめた。病院側はこの結果を尊重。遺族と和解交渉を進めてきた。

不要なCT検査、男性死亡 造影剤でアレルギー反応 栃木の病院 indexへ

 栃木県壬生町の独協医大病院で、CT検査で使われた造影剤によって、県内の男性(当時76)が重篤なアレルギー反応「アナフィラキシーショック」を起こして死亡する医療事故があったことがわかった。男性が造影剤にアレルギー反応があることは病院側も認識していたが、担当した医師が確認していなかった

アレルギーある男性、不要なCT検査で死亡 病院が謝罪 indexへ

 栃木県壬生町の独協医大病院で、CT検査で使われた造影剤によって、県内の男性(当時76)が重篤なアレルギー反応「アナフィラキシーショック」を起こして死亡する医療事故があったことがわかった。男性が造影剤にアレルギー反応があることは病院側も認識していたが、担当した医師が確認していなかった。CT検査そのものも不要だった。病院は遺族に謝罪し、事故調査の結果をホームページで7日公表した。
 病院によると、男性患者は2019年9月13日に入院し、肝細胞がんの手術を受けた。術後に胆汁が漏れる症状が出たため治療をしたが、当初予定されていた腹部のCT検査は治療が済んだため不要となったのに、医師や看護師の間で情報が共有されず、電子カルテにCT検査の予定が残されたままになっていた。
 男性は治療の直後に造影剤を用いたCT検査を受け、容体が急変。同年10月28日に多臓器不全で死亡した。男性に造影剤へのアレルギー反応があることは入院直前の8月に検査をした際、判明していたという。
 平田幸一院長は「取り返しのつかない重大な医療事故が発生し、心より深くおわびする」とのコメントを出した。

投薬ミス認め和解 indexへ

 大阪府済生会泉尾病院(大阪市大正区)で脳梗塞(こうそく)の治療 中、看護師の伝達ミスで投薬されず、再発したとして、男性患者が病院側に約5300万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴し、病院側が解決金1400万円 を支払う内容で和解したことがわかった。病院側が落ち度を認め、謝罪した。
 和解は3日付。訴状によると、男性は2010年頃、軽い脳梗塞を発 症。血液を固まりにくくする「抗凝固薬」を服薬していたが、15年6月、同病院で胃ろうの手術を受けることになり、医師の指示で中断。術後、医師が投薬を 再開するよう看護師に指示したが、看護師が別の看護師に伝達する際に内容が伝わらず、そのまま投薬されなかった。
 男性は手術の約10日後に脳梗塞を再発し、右目を失明し、会話ができなくなる障害を負った。
 男性は18年1月に提訴し、翌2月、78歳で死亡した。

出産後死亡「搬送遅れた」 1億2千万円賠償命じる事故・訴訟 indexへ

 2015年に東京都練馬区の「桜台マタニティクリニック」で出産し、出血性ショックにより死亡した女性=当時 (35)=の遺族が、医師とクリニックの運営法人に計約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は30日、「高度な医療機関への搬送が遅れ た注意義務違反がある」として計約1億2千万円の賠償を命じた。
 判決で伊藤正晴(いとう・まさはる)裁判長は、帝王切開後に出血が続いて おり、日本産科婦人科学会などのガイドラインに照らし危険な状態だったと指摘。輸血できる機関に搬送すべきだったとした。その上で「医師は緊急性の認識が 薄かったとうかがわれる。もっと早く搬送されていれば助かったと認められる」とした。
 原告は静岡県在住の夫(40)と長女(5)。夫は判決後に都内で記者会見し「娘には、自分のせいで母が死んでしまったと絶対に思ってほしくない。そのために真相を明らかにし、病院の責任を明確にしたい、という願いが少しかなった思いだ」と話した。
 判決によると、女性は15年1月9日午後6時すぎに緊急の帝王切開で長女を出産。10日未明に大学病院に搬送されたが、同日朝に死亡した。
 クリニックの運営法人は「判決文が届いておらず、コメントは差し控える」としている。

「納豆よく食べる人」循環器疾患の死亡リスク、2割低い…みそ・豆腐は差なし indexへ

 日常的に納豆をよく食べる人は、食べない人より、心筋 梗塞などの循環器疾患による死亡リスクが2割低いとする研究結果を、国立がん研究センター(東京)などの研究チームが30日、発表した。
 研究チームは1995年と98年、過去に循環器疾患になったことのな い10都府県の45~74歳の男女約9万人に、食事に関するアンケートをした。このうち納豆やみそ、豆腐について、それぞれ食べる頻度と1回当たりの量を 聞いた。それから約15年間の死亡リスクを追跡して調べた。
 1日あたりの食べる量が多い人から少ない人まで5グループに分けて比べたところ、納豆を毎日26グラム(半パック程度)以上食べるグループは、全く食べないグループより、循環器疾患で死亡するリスクが男女とも約2割低かった。みそや豆腐では差がなかった。
 同センター分析疫学研究室の沢田典絵室長は「納豆などの発酵食品は栄養素が製造過程で失われにくく、動脈硬化の予防につながっている。みそは塩分が影響し、豆腐は加工で栄養が少なくなっているのではないか」と話している。

新コロナウイルス電話窓口開設…自治体や保健所 indexへ

 新型コロナウイルスによる肺炎拡大で、各地の自治体や保健所は、電話相談窓口を設置するなど対応に追われている。
 大阪府は29日に府民向けの電話相談窓口を開設した。受付時間の午前9時から午後6時までの間、3台の専用電話が途切れることなく鳴り続けた。健康医療部の職員8人が交代で、173件の相談に対応した。
 京都府も29日に相談窓口を設置した。兵庫県は同日から、疾病対策課が夜間と休日も含めて電話相談に応じる態勢を整えた。
 鳥取県は、県内の3保健所で24時間態勢で電話を受け付けている。徳島県は、業務時間外は警備会社を通じて各保健所に相談できる。
 京都府 075-414-4726 大阪府 06-6944-8197 兵庫県 078-341-7711内線3296 夜間休日は090-3265-8583 奈良県 0742-27-8561 東京都 03-5320-4509 毎日午前9時から午後9時まで

東京医大OB「男子医科大という名にしておけば」…同窓会機関紙が発言掲載大学 indexへ

 東京医科大の医学部医学科の同窓会が昨年12月に発行した機関紙に、女子差別の容認と受け取れるOBの発言が掲載されていることがわかった。記事の中で、前同窓会長の「男子医科大学という大学名にしておけばよかった」との発言などが記されていた。
 同窓会が昨年12月15日に発行した機関紙「東京医大同窓会新聞」によると、昨年9月の愛知県支部会総会(名古屋市)で、「大学の明日を語ろう」 と題した同大OBの意見交換会があった。同窓会長や副会長、前会長、支部長ら17人が参加し、機関紙には、そこでかわされた意見などが記事としてまとめら れていた。
 同大では19年入試で女子差別などを撤廃した結果、女子が男子の合格率をわずかに上回った。記事では、出席者の発言として「入試がガラス張りにな り、女医が6割超になってしまうかもしれない」「女性は出産を機に仕事を減らすこともあり、男性医師1人に対し女医は3人、日本は日本らしく男性医師がバ リバリ働けばいいのではないか」などと記されていた。
 同窓会は、同大の維持発展を目的に組織された一般社団法人。大学を運営する法人の役員や評議員の推薦も行うなど大学への影響力は大きい。
 同大関係者は、機関紙に掲載されたOBの発言について「学校全体で信頼回復に取り組む中で、あってはならない発言だ」と話す。同窓会事務局は「会長個人を含め、取材には応じられない」、同大は「コメントは控えたい」としている。

不正報酬問題に「遺憾」旭川医大学長、給与返納大学 indexへ

 旭川医科大(北海道旭川市)は28日、医学部教授による不正報酬受給が相次いだことを受け、吉田晃敏(よしだ・あきと し)学長らが記者会見し「地域の住民や病院に多大なご心配をお掛けした。誠に遺憾だ」と陳謝した。吉田学長は給与の10%を3カ月間自主返納する意向も示 した。
 吉田学長は冒頭、最初の処分から2カ月半後の会見となったことについて「検察の捜査の妨げになることからスピーディーな対応ができなかった」と釈明した。
  旭川医科大を巡っては昨年11月、医師を派遣した外部の医療機関に報酬を要求して多額の金銭を受け取ったとして、医学部の40代男性教授が懲戒解雇処分を 受けた。大学の顧問弁護士は会見で、元教授が2018年8月、医師派遣の権限を持つ優位な立場を利用し、派遣の打ち止めを恐れる病院側に不当な報酬の支払 いを要求するメールを送っていたと明らかにした。札幌地検特別刑事部が任意で事情聴取しており、不透明な資金の流れの解明を進めている。
 また昨年12月には、製薬会社などに自身が役員を務める企業に多額の報酬を支払わせていたとして、医学部の別の40代男性教授が停職12カ月の懲戒処分となった。
 旭川医科大は同月、服務規律徹底のために有識者委員会を設置。今月27日に初会議を開いた。内容を明らかにしていなかったが、大学の顧問弁護士は28日、外部通報窓口の設置や不正事案を調査する内部委員会の設置について議論したと説明した。

術後対応誤り後遺症 徳島市の男性、7673万円賠償求め徳島大を提訴大学 indexへ

 徳島大学病院(徳島市)で肺がんの手術を受けた際、医師が対応を誤ったため後遺症が残ったとして、同市の男性(72)が徳島大を相手取り、慰謝料など約7673万円の損害賠償を求める訴訟を徳島地裁に起こした。
 訴状によると、男性は2016年4月、がんを切除する手術を受けた。その際、肺動脈の一部などから3度出血し、いずれもシートを貼るなどの処置が施された。  男性は手術から約40分後、血圧が急激に低下するなど、急性心筋梗塞が疑われる症状が見られた。しかし、医師が適切な治療をしなかったため、脳梗塞を生じさせたと主張。男性には心臓機能障害などの後遺症が残ったとし「医師と病院に注意義務違反があった」と訴えている。
 徳島大総務課は「訴状が届いたばかりで、調査を進めている段階。内容を精査して対応したい」とコメントした。

製薬謝金:15教授ら1000万円超受領 製薬会社から講師謝金 国公立大大学 indexへ

 全国の国公立大医学部教授ら少なくとも15人が2018年度、製薬会社から1000万円を超える講師謝金を 受け取っていた。業界団体「日本製薬工業協会」に加盟する71社(関連会社含む)が公開した金額を毎日新聞が集計した。最多は2298万円で、講演を 154回も引き受けていた。一般に国公立大教授の給与は年1000万円程度。本業以上の収入を禁じる大学もある中、15人は16年度にも1000万円を超 えて受領しており、副業に励む医学部教授の実態が浮かび上がった。
 製薬会社との癒着を生まないよう、教授など研究者には研究発表などの 際、謝礼を受け取った会社を明示することが求められているが、金額は明らかにされていない。文部科学省の調査で16年度に講師謝金などについて1000万 円以上受け取っていた国公私立大の医学部教授らを対象に、製薬協加盟社(関連会社含む)のうち昨年末までに公開した71社の18年度分の金額を集計した。 1社が報道目的の利用を認めなかった。
 1000万円を超える講師謝金を受け取っていた国公立大教授と准教授は15人。佐賀大教授が最多の 2298万円だった。講演数は154回で、週3回のペースに相当する。次いで、香川大教授2140万円、徳島大教授1675万円――など。特定の1社から 918万円を受領した教授もいた。15人の専門や診療科は、循環器内科と糖尿病が各5人、消化器内科が2人。いずれも多くの薬を処方するとみられる分野 だった。
 15人のほか、有期雇用の特任教授(東京大)も1人いた。また、私立大も含め1000万円を超えて受け取っていた教授らは全体で32人で、文科省の調査でも16年度に講師謝金を中心に1000万円以上受け取っており、継続的に兼業をしているとみられる。
 講演会は、製薬会社が主に土日や夜間、学術集会の開催日などに開き、講師は医師ら向けに最新の治療方法などを紹介するが、主催する会社の製品の効果を伝える側面もある。一般に講師は製薬会社から1回数万~20万円程度の謝礼金を受け取っている。
 兼業を巡っては、製薬会社との癒着を防ぐ観点から教員の年間給与を上回る講師謝金などの受け取りを禁止する大学がある。研究や教育、診療など本業への支障も懸念されるため、文科省は各大学に規定の見直しを求める。
◇受領額の多い医学部教授
所属   講演料総額
(1)佐賀大 2298万円
(2)香川大 2140万円
(3)徳島大 1675万円
(4)岡山大 1562万円
(5)群馬大 1536万円

検証:中立性脅かす製薬マネー 医薬品講演の教授「めちゃくちゃ効いた」 専門家「患者の信頼失墜」大学 indexへ

 1000万円超の講師謝金を受領していた国公立大教授らが2018年度に15人いた。私立大も含めると32 人に上る。大半が医師でもある教授らは「社会貢献だ」と主張し、高額報酬を当たり前のように受け取っている。癒着が疑われ、研究や教育への影響が懸念され るが、対策に乗り出す大学も出始めた。
 「めちゃくちゃ効いた。僕もこれ、使ってます」。昨年末の平日夜、奈良県内で開かれた製薬会社主催 のセミナーで、西日本のある国立大教授はこう力説した。教授は認知症の専門家だ。医師ら約100人に対し、この会社の神経症治療薬の効果や症例を解説。別 の会社が製造販売する認知症治療薬との飲み合わせについて「足し算で働く」と効果を訴えた。約1時間の講演を終え、製薬社員に見送られながら、教授は黒塗 りのハイヤーに乗り込んだ。
 教授は18年度、製薬会社のセミナーに100回以上招かれ、16社から1000万円を超える謝金を受領。16 年度にもほぼ同額を受け取っていた。依頼が最多だったのは認知症治療薬を製造販売する製薬大手で、55回の講演で918万円。認知症に詳しいある医師は 「論文などで特定の薬に肩入れしすぎだ」と懸念する。
 所属大学によると、教授は外来診療を週2日と学生らの授業を担当。「兼業による影響はない。講演は社会貢献で必要だ」と説明する。教授は取材を拒否。918万円を支払った製薬会社も「個別の事例には答えられない」と話した。
 講演によって本業に支障が出たケースもある。旭川医大の40代教授は19年1~9月だけで139回も講演。同大は「教授としての職責を果たさず、大学運営に支障があった」として昨年末、停職12カ月の懲戒処分にした。今後、兼業規制の厳格化を検討するという。
 製薬会社が公開した16年度分の資金提供に関する情報について、文部科学省が集計したところ、講演会などに伴う謝金を100回以上受け取った大学教授らは43人に上ったという。
  他の医師の模範となるべき医学会の幹部ですら例外でない。内科学会や外科学会など100以上の分科会を傘下に置く日本医学会のある幹部は15社から 1124万円を受領していた。日本糖尿病学会の幹部として、19年の糖尿病診療ガイドライン(指針)策定にも関係した人物だ。
 教授や大学は「最新の治療法を伝える社会的な使命。(高額な謝金も)正当な対価だ」と説明する。だが、多額の報酬は教授と製薬業界との癒着を生み出す。本来求められるはずの公平性や中立性が疑われ、患者らの信頼が損なわれる事態を招きかねない。
  一般に大学教授らは研究や大学病院での診療、学生への教育、関連病院でのアルバイトなどで多忙だ。ある診療指針の策定委員会委員長を務めた経験のある医師 は「講演資料の作成には時間がかかる。忙しい日常業務の中で、講演のため毎回オリジナルの資料を作っているとは到底考えられない」と指摘する。
  この医師によると、1年前、講演会を主催する製薬会社から「使ってください」と説明用のキットを講演会の前に渡されたことがあったという。「キットの資料 には製薬会社にとっていいことしか書かれていない。もちろん使わなかったが、別の医師が同じキットを使って講演会で説明しているのを見て驚いた。製薬会社 の広報マンのように都合よく利用されていることを、医師はもっと自覚すべきだ」と訴える。
 製薬会社の資金提供問題に詳しいNPO「医療ガ バナンス研究所」の谷本哲也医師は「教授らが講演を引き受けるのは、診療より効率よく稼げ、知名度を上げて医学会で偉くなることを望むからだ。製薬会社か ら多額の報酬をもらって薬を宣伝すれば癒着が疑われる。中立性が揺らぎ、患者らの信頼を失墜させかねない重大事態だ」と批判する。【熊谷豪、河内敏康】
 ◇届け出不要/額の制限なし 大学、兼業ルール甘く
 大学教授が製薬会社の講演を繰り返すことができる背景には、大学側の兼業ルールの甘さがある。
  「講演できるのは名誉なこと。患者のためにもなる」。国立大のある幹部がこう明かすように、大学は兼業をそれほど問題視していない。調査で受領額の多かっ た大学に取材しても「届け出は必要だが、受け取りの額に制限はない」「講演などの短期兼業は届け出不要」などとする大学が少なくなかった。むしろ、講演す れば大学の宣伝になるという考えがあるようだ。
 一方、講演料を通じて製薬会社と結びつきが強くなり、公平性や中立性が疑われることに対し て危機感を持つ大学もある。千葉大は19年7月、兼業の報酬が大学の年間給与を超えないよう定めた。本業を上回る「兼業」は社会通念を逸脱するというわけ だ。国立病院機構も受領できる報酬を1回10万円程度に制限している。文科省も、こうした取り組みを各大学に促す方針だ。
 課題なのは実効 性。京都府立医大は製薬会社からの年間の報酬額が給与を上回りそうになると、新たな業務を引き受けないよう注意を促す。だが、19年の途中で教員に確認す ると、糖尿病が専門の教授が年収を上回っていた。18年度にも1369万円の講演料を受け取ったこの教授は「公立の医大の教員である私の使命には本務に加 え、学外での活動も含まれている」と大学を通じて答えた。
 一方、教授や医師らと製薬会社との癒着を監視するため、製薬会社の資金提供の流 れを透明化させることが近年、ますます重要になっている。業界団体「日本製薬工業協会」の加盟社は現在、講演料など資金提供についての情報を各社のウェブ サイトなどで毎年自主的に公表しているが、谷本医師は「個々人について受領額を一括検索できるなど、一覧性の向上が課題だ」と話している。
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 ◇認知症専門の国立大教授への講演料支払い状況
 製薬会社      講演料   回数
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(1)第一三共      918万円(55回)
(2)小野薬品工業    417万円(25回)
(3)武田薬品工業    273万円(16回)
(4)日本イーライリリー 122万円(11回)
(5)エーザイ      102万円 (9回)

乳腺外科医事件、高裁では2人の精神科医が証言へ検察側「アミラーゼ・DNA鑑定」の追加立証は認められず indexへ

 東京都足立区の柳原病院で自身が執刀した女性患者に対してわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪で逮捕・起訴され、一審無罪判決となった男性外科医に対する東京高裁での控訴審が2月に始まることを受けて、医療関係者有志で作る「外科医師を守る会」は1月23日、東京都内で 「乳腺外科医冤罪事件 高裁無罪を目指す決起集会」を開催した。会場には支援者ら約100人が訪れた。控訴審では女性患者のせん妄の有無が主たる争点とな り、2人の精神科医が証言する。
 柳原病院顧問弁護士で、弁護団の黒岩哲彦弁護士は刑事訴訟における控訴審の役割を説明した。刑事事件の控訴審は「事後審査審」として、一審の証拠 に基づき、一審の判決が正しいかを審査するものであり、新しい証拠の提出は「やむを得ない事由」が必要とされる。裁判所は「職権で事実を調査できる」ことになっている(民事裁判では「続審」として、一審の続きという位置づけで新しい証拠も提出できる)。
 本件裁判の一審は、実質的な争点を(1)被害を訴える女性患者の発言の信用性、外在的な補助事実に関する争点として、被害を訴える女性患者の術後せん妄の有無および程度、(2)DNA型鑑定およびアミラーゼ鑑定の信用性――と整理し、いずれも弁護側の主張を採用し、無罪とした(『乳腺外科医裁判で無罪判決、わいせつ行為否定』を参照)。
 検察側は控訴趣意書で「各証拠の意味するところを正確に把握・理解した上で、これらを分断的に検討・評価せず、総合して検討・評価すれば、女性患者の証言の信用性は優に認められ、女性患者の証言に基づいて、本件公訴事実の記載の準強制わいせつの事実が認められるのは明らかであり、原判決は破棄され なければならない」と主張。「原判決がこのような判断をすることは想定できなかった」とし、「やむを得ない事由」で新たな証拠として「アミラーゼ鑑定およ びDNA定量検査に関する研究者からの資料・聴取報告書」合計7点を提出しようとした。しかし、東京高裁は進行打ち合わせの中で採用しないとし、検察側の 追加立証を認めなかった。
 黒岩弁護士によると、「東京高裁の関心事」は、(1)女性はせん妄であったか、(2)身の回りで起きたことを認識する能力およびLINEメッセー ジを発信する能力、(3)せん妄と診断された場合に、さらに幻覚・錯覚が生じる可能性――にあり、控訴審では2月4日に検察側、2月26日に弁護側がそれ ぞれ推薦した精神科の教授に対する裁判所の職権での事実調査が行われる。その後、3月24日に最終弁論があり、4月27日(調整中)に判決が下される見込 み。本裁判を担当する東京高裁裁判長が5月で定年退官となることから、4月中の判決はほぼ確実という。
 弁護団は一審と同じ12人の弁護士が担当し、主任弁護人は引き続き高野隆氏が務める(『「あり得ないと肌で感じた」、乳腺外科医裁判-高野隆・主任弁護人に聞く
 ◆Vol.1』を参照)。
 柳原病院外科医局長で、外科医師を守る会の八巻秀人医師は、「やっていないから当然ではあるが、皆さんの署名活動や運動、募金があって一審で無罪とさせることができた。引き続き12人の先生の弁護団で、高裁でも無罪をはっきりさせる」と話した(『乳腺外科医事件、前立ち医師「被害届に愕然とした」-八巻秀人・柳原病院外科医局長に聞く
 ◆Vol.1 』)。同会によると、1月17日に無罪判決を求める署名1万707筆を東京高裁に提出したという。これまでに約1400万円の募金が集まり、検証実験などに使われた。
 柳原病院院長の石川晋介氏は、「男性外科医の名誉回復、医療の健全さの回復のために絶対に負けてはならない」と訴えた。逮捕直後から男性外科医を 支援している東京保険医協会理事の佐藤一樹氏(東京都葛飾区のいつき会ハートクリニック院長)は、「検察側の控訴趣意書と弁護側の答弁書を読み比べるとサ イエンスリテラシーが違う。検察官はサイエンスに則っていない。弁護側は丹念に論理的な構成で検察側主張を否定している」と述べた。
 最後に男性外科医のメッセージが代読された。
何事もないかのように、医師として患者さんに向き合い、手術や外来診療、学術学会・研究会にも参加しています。現在のように院内外で忙しく 働けるのも、支援頂いている皆さん、弁護士の方のおかげととても感謝しています。一審無罪の判決の時は、緊張して周りを見る余裕がありませんでしたが、二 審の無罪の時には、一方のみの見方で客観視ができず国家権力を振りかざす人たちの様子を、しっかりみてやろうと思っています。
m3.com編集部

肝臓検査でミス、賠償命令 北里研究所に1億3千万円事故・訴訟 indexへ

 埼玉県北本市の北里大学メディカルセンターで肝臓の検査を受けた埼玉県の女性(65)と家族が、医師のミスにより後遺 症を負ったとして総額約2億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、病院を運営する北里研究所(東京)に計約1億3千万円の支払いを 命じた。
 伊藤正晴(いとう・まさはる)裁判長は、体の外から針を刺す穿刺(せんし)で、肝臓の一部を採取する際に医師が誤って肺を刺したのが原因だと判断。「超音波検査の画像で肝臓の位置を十分に確認できる状態ではなかったのに、穿刺を繰り返し強行した過失がある」と指摘した。
 判決によると、女性は2016年1月、肝硬変の検査を受けた後に意識を失った。血管に気泡が入り込んだ影響で脳梗塞を発症し、左半身がまひして介護が必要な状態となった。
  原告側の岡本祐司(おかもと・ゆうじ)弁護士は「肝臓を狙って5回も穿刺したのに全く採取できず、むしろ肺を刺してしまったことなどから過失を認めてお り、妥当な判決だ」と話した。北里大学メディカルセンターは「詳細が確認できていないため、コメントは控える」としている。
 乳腺外科医事件、高裁では2人の精神科医が証言へ検察側「アミラーゼ・DNA鑑定」の追加立証は認められず

妊婦乱暴疑い医師逮捕 東京・足立の婦人科医院 indexへ

 自身が開業する医院の婦人科を受診した30代の妊婦に乱暴したとして、警視庁捜査1課は23日までに、強制性交の疑いで東京都足立区、「矢追医院」院長の医師矢追正幸(やおい・まさゆき)容疑者(55)を逮捕した。逮捕は22日。
 捜査1課によると、矢追容疑者は容疑を認め「好みのタイプだった」との趣旨の供述をしている。他にも同様の被害を受けたとの相談が複数あり、同課が調べる。
 逮捕容疑は昨年11月21日午後2時45分ごろから約40分間にわたり、診察室の奥にある個室のベッドで、女性に「先生のことを好きと言ってごらん」と言って体を触るなどの性的暴行をした疑い。
 当時、医院には事務員らがいたが、個室は矢追容疑者と女性の2人きりだった。女性が近くの交番に届け出て発覚した。
 医院は1995年5月に開業。ホームページによると、婦人科や美容皮膚科、女性泌尿器科などがある。

介護保険料ミス 6億円過剰徴収…18、19年度、不足も4億 indexへ

 厚生労働省は27日、2018、19年度の介護保険料に計算ミスがあり、40~64歳の会社員らが健康保険組合などを 通じて納める保険料を本来より約6億1000万円多く徴収していたと発表した。一方で自営業者らが加入する国民健康保険などを通じて徴収した保険料は、約 4億5000万円不足していた。
 徴収事務を担う厚労省所管の法人「社会保険診療報酬支払基金」が保険料を計算する際、制度改正の内容を反映していなかった。
 厚労省は「制度変更があった際の情報共有が不十分だった」としており、誤って徴収した分を20年度の保険料で調整する方針だ。

調剤報酬、不当請求23万件…医薬品卸大手9500万円返還へ indexへ

 医薬品卸大手「アルフレッサホールディングス」(東京)は26日、関連会社が運営する全国の薬局で、調剤報酬の不当請求が2014年以降に約23万件あったことを明らかにした。同社は不当請求で得た計約9500万円を患者や健康保険組合などに返還する方針。
 調剤報酬を請求する際は、薬剤師が調剤や服薬指導の内容を記した「薬剤服用歴(薬歴)」を残すことが必要となる。同社では今年6月、子会社が運営する北海道の店舗で薬歴の改ざんが発覚し、弁護士でつくる第三者委員会が調査していた。
 調査報告書によると、14年1月~今年4月に薬歴の記録がなかったケース(未記載)が計23万155件あった。
 また、最初に問題が発覚した北海道の店舗では、薬歴の改ざんが1万4404件あったとして、約600万円を返還する。同社は関与した薬剤師らの処分を検討している。
 調剤報酬を巡っては15年にも、ドラッグストア大手のツルハホールディングスで15年、薬歴の未記載による約42万件の不当請求があったことが発覚している。

障害者虐待、最多の2745件…施設職員の加害急増 indexへ

 厚生労働省は20日、全国の自治体などが認定した2018年度の障害者虐待は2745件(前年度比127件増)に上り、過去最多を更新したと発表した。
 虐待の加害者別にみると、父母、夫ら家族による虐待が1612件(同 55件増)と全体の6割近くを占め、最も多かった。また、グループホームやデイサービスなど福祉施設の職員による虐待が592件に上り、前年度(464 件)に比べ大きく増加。障害者グループホームの世話人と、短期入所(ショートステイ)のサービス管理責任者による虐待で2人が死亡した。
 施設職員に関する虐待通報は約2600件で、このうち3割が施設の管理者や職員からの通報だった。同省は「虐待を隠さず、相談や通報をする施設が増えてきている」と分析している。

裸眼視力1.0未満の小学生、過去最悪34%…文科省「スマホの影響か」 indexへ

  文部科学省が20日発表した2019年度学校保健統計調査(速報値)で、裸眼視力1.0未満の割合が、小学生34.57%(前年度比0.47ポイント 増)、中学生57.47%(同1.43ポイント増)、高校生67.64%(同0.41ポイント増)となり、いずれも過去最悪を更新した。文科省は「スマホ やパソコンの画面を近くから見る時間が増えた影響もあるのでは」と分析した。
 調査は今年4~6月に実施。全国の幼稚園や小中高校などの児童生徒ら(5~17歳)のうち、全体の25.2%にあたる約337万人を抽出し、健康診断の結果を集計した。
 裸眼視力1.0未満の割合は前年度、小学生と高校生が悪化する一方、 中学生はやや改善していたが、今年度は小中高とも、調査を始めた1979年度以降で最悪を更新。79年度と比較すると、小学生が16.66ポイント、中学 生が22.28ポイント、高校生が14.62ポイント悪化している。幼稚園児は今年度、26.06%(前年度比0.62ポイント減)で改善した。
 鼻や耳の疾患も増えた。蓄のう症やアレルギー性鼻炎などの「鼻・副 鼻腔疾患」は中学生12.10%(同1.11ポイント増)、高校生9.92%(同0.07ポイント増)、中耳炎や内耳炎などの「耳疾患」は高校生2.87%(同0.42ポイント増)で、いずれも過去最悪だった。
 一方、虫歯はピーク時の1970年代頃に9割を超えたが、以後は減少傾向が続き、中学生34.00%、高校生43.68%で調査開始以来最も低かった。

医師偏在、徳島が最多で埼玉が最少…格差1.94倍 indexへ

 厚生労働省は19日、全国の医師数が昨年末時点で32万7210人に上り、過去最多を更新したと発表した。人口10万人当たりの病院や診療所で働く医師数は、最多の徳島と最少の埼玉の格差が1.94倍となり、改めて地域による医師偏在が浮き彫りとなった。
 調査は2年に1度実施。2016年の前回調査に比べ、医師の総数は7730人増加した。また、女性の割合も過去最高を更新し、前回比0.8ポイント増の21.9%に上った。
 人口10万人当たりの医師数は、全国平均が246.7人(前回比 6.6人増)。都道府県別にみると、最多の徳島(329.5人)、京都(323.3人)、高知(316.9人)など、24都府県が全国平均を上回った。一 方、最も少なかった埼玉は169.8人にとどまり、西日本が多く、東日本が少ない「西高東低」の傾向がみられた。
 同省地域医療計画課は「医師の偏在を解消するため、都道府県の医師確保策を支援していく」としている。

こうじみそに金属片、37万個を自主回収…製造ライン破損か indexへ

 食品メーカー、マルサンアイ(愛知県岡崎市)は18日、同社製の「純正こうじみそ 750g」の一部に、金属片が混入していたと発表した。混入の恐れがある約37万個を自主回収する。
 同社によると、工場の製造ラインが一部破損し、金属片が混入したとみられる。今のところ健康被害の連絡は受けていないという。
 問い合わせ先は同社お客様相談室(0120・833・252)。受付時間は午前9時~午後6時。

医師と歯科医 16人を処分 indexへ

 厚生労働省は18日、犯罪が明らかになった医師と歯科医師計16人の行政処分を発表した。あおり運転をした危険運転致傷などの罪で有罪判決が確定した杉本壮医師(27)ら2人を来年1月7日から業務停止3年とした。
 このほか9人が1年6か月~1か月の業務停止。帝王切開手術の際に体内にガーゼを残し、炎症を引き起こした業務上過失傷害の罪で罰金刑が確定した産婦人科医ら5人が戒告。同省の医道審議会医道分科会の答申を受けて処分内容が決まった。厳重注意は2人。
 業務停止1年以上の処分を受けた医師・歯科医師は次の通り。(敬称略、カッコ内は当時所属していた機関と所在地)
 【医業停止3年】杉本壮(伊勢原協同病院、神奈川県伊勢原市)、楢原創(なし)【歯科医業停止1年6月】田中良和(大森町駅前歯科など、東京都大田区など)【歯科医業停止1年】児玉宜正(児玉歯科医院、横浜市)

事故死疑いあるのに届けず「病死」…入院男性が入浴中に死亡 indexへ

 大阪府寝屋川市の一般財団法人「大阪府結核予防会」が運営する大阪病院が2017年、入院患者の男性(当時72歳)が入浴中に死亡し、事故死の疑いがあったのに警察に届けず、病死として扱っていたことがわかった。
 医師法では、明らかに病死などと判断できない「異状死」の疑いがある場合、24時間以内に警察に届け出ることが義務づけられており、山本隆文院長は18日、「当時の対応は不十分だった」とのコメントを出した。
 病院によると、男性は同府枚方市在住で、17年6月に肺結核で入院。病状は回復に向かっていたが、同年10月13日午前11時30分頃、結核病棟の浴室の浴槽内で心肺停止の状態で発見され、翌14日午前7時5分に当直医により死亡が確認された。
 当直医は、看護師から「肺結核の患者」と聞いたことなどから死亡診断書に「肺結核」と記載。遺体を詳しく調べなかった。男性には軽度の認知症状があったが、当時は介助や見守りは行っていなかった。
 大阪病院では10月、末期の肺がんで入院していた女性がモルヒネを過剰投与された後に死亡。府警は、投与ミスが原因とみて業務上過失致死容疑で調べている。

在職老齢年金で支給ミス、3068万円過払い…未払いも1713万円 indexへ

 地方公務員共済組合連合会は17日、働きながら受給する在職老齢年金で、延べ640人に計約3068万円の過払い、延べ442人に計約1713万円の未払いがあったと発表した。
 2015年10月に公務員らが対象の共済年金を廃止し、会社員と同じ厚生年金に一元化した際、計算システムの変更を間違えたのが原因。その後、データ入力のミスもあったという。今年1月、支給額などの点検中にミスが見つかった。
 同じ計算条件に該当する受給者はほかにも数千人いるといい、同連合会は支給額が正しいか調べている。

紹介状なしで大病院受診、患者負担額引き上げへ…1000~2000円軸に検討 indexへ

 政府は、紹介状なしで大きな病院を受診した場合の患者の負担額について、引き上げる方針を固めた。引き上げ幅は1000~2000円を軸に検討する。
 全世代型社会保障検討会議(議長・安倍首相)が近くまとめる中間報告に、見直しの方向性を盛り込む。
 現行制度では、紹介状なしで大きな病院を受診すると、原則1~3割の窓口負担とは別に、初診で5000円以上、再診で2500円以上を徴収している。軽症者には身近な「かかりつけ医」の受診を促し、大病院などが専門性を生かした治療に集中できるようにするためだ。
 政府は、「紹介状なし」の場合に患者負担を求める病院の数をさらに増やし、こうした役割分担の明確化を進めるとともに、今回の負担額引き上げで公的医療保険の給付を減らしたい考えだ。
 引き上げ幅は、年明けから社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会などで詰める。

梅毒患者、2年連続で6000人超…女性は20代目立つ indexへ

 国立感染症研究所は10日、今年に入ってから今月1日までに、性感染症の梅毒患者の報告数が6079人になったと発表した。報告数は、2年連続で6000人を超えた。
 都道府県別では、東京1565人が最も多く、次いで大阪976人、愛知334人、兵庫269人、神奈川254人など、患者は都市部に多い。
 感染研によると、今年9月末までの報告数では、患者の6割以上は男性で、幅広い年代でみられる。女性は20歳代が目立っている。
 梅毒は、性的接触を通じて感染する。一般的に3週間ほどで感染した部分にしこりができる。治療をせずに3か月以上たつと、手足など、体全体に発疹が出る。妊婦がかかるとおなかの赤ちゃんに感染し、死産や早産などになる恐れがある。
 治療には抗菌薬が使われる。

薬剤耐性菌による死者、少なくとも8000人…2017年推計 indexへ

 抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性菌による死者は2017年に国内で少なくとも8000人とする推計を国立国際医療研究センター(東京都新宿区)などの研究チームがまとめ、米科学誌(電子版)に発表した。耐性菌に関する死者数の推計は国内で初めて。
 チームは、代表的な2種類の耐性菌を対象に、国に報告された感染件数と、過去の研究に基づく死亡率などから死者数を推計した。
 この結果、17年には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による死亡が約4200人、フルオロキノロン耐性大腸菌が約3900人に上った。ほかにも耐性菌はあり、実際はさらに多くの人が亡くなっているとみられ、今後、ほかの耐性菌の死者数も推計する予定だ。
 チームは「対策は待ったなしで、社会全体で取り組む必要がある」としている。

実験施設の社員、サルから異例の「Bウイルス病」感染…直接の接触なし indexへ

 鹿児島市は28日、医薬品研究開発会社「新日本科学」(本社・東京)の同市内にある動物実験施設で、社員1人がサルとの直接接触で感染する「Bウイルス病」を発症したと発表した。厚生労働省によると、国内で人への感染が確認されたのは初めて。
 Bウイルス病は、サルにかまれたり体液に直接触れたりすることで感染する。潜伏期間は2~5週間で、発熱やまひなどを引き起こし、重症の場合は神経障害が残る。
 同市などによると、社員は実験業務の補助を担当。2月に頭痛や発熱を 訴えて医療機関を受診したが原因が特定されず、8月末に別の医療機関で遺伝子検査を受けた。今月上旬に感染が判明し、医療機関が感染症法に基づき市に届け 出た。空気感染はなく、市は「感染拡大の恐れはない」としている。市や同社は社員の容体や性別、年齢を明らかにしていない。
 Bウイルス病には、有効な治療薬があるが、人への感染はまれで、世界でも50例ほどしか確認されていない。社員は実験用のサルに直接触れる機会はなく、かまれたりひっかかれたりした痕はなかった。

薬剤師資格ない職員、患者に3年間薬を調剤…「近隣に薬局なく」 indexへ

 北海道旭川市東旭川町の愛生病院(60床)で2016年9月から約3年にわたり、薬剤師の資格のない職員が、院内薬局で患者の薬を調剤していたことがわかった。薬剤師法は医師が直接処方する場合を除き、薬剤師以外の調剤を禁じており、同市保健所は今年9月、行政指導した。
 厚生労働省は「院内薬局で無資格者の調剤事例は聞いたことがない」としている。職員が調剤した診療報酬は約150万円で、同省北海道厚生局は22日にも、報酬の不正請求にあたるとみて同病院を指導する。
 同病院を運営する社会医療法人元生会(旭川市)によると、無資格での調剤は少なくとも16年9月~今年7月、延べ279人の患者に対して行われていた。これまで健康への影響は確認されていないという。
 同病院には常勤とパートの薬剤師計2人が在籍しているが、毎月第1、3土曜日は2人とも休みで不在だった。本来は外部の調剤薬局で調剤しなければならないが、同病院は「近隣に薬局がなく患者の便宜を図るため、職員が調剤してしまった」と説明している。
 同病院から今年7月、元生会に報告があり発覚した。同月以降は薬剤師の不在を解消している。元生会の森山領理事長は「患者に対して深くおわびする。今後は適切に対応していきたい」としている。。

「長時間の叱責繰り返す」「性的指向・病歴を暴露」…パワハラ指針 indexへ

 職場での「パワーハラスメント」の防止に向け、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会は20日、企業に求める具体的な対策を盛り込んだ指針をまとめた。パワハラに該当する例と該当しない例を示しており、厚労省は、パワハラ防止を企業に義務づける改正労働施策総合推進法が施行される来年6月までに指針を周知する方針だ。
 指針では、「必要以上に長時間、 叱責を繰り返す」「新人に高い目標を課し、達成できないと厳しく叱る」などがパワハラに当たるとした一方で、「ルールを欠いた言動を強く注意する」「育成のために少し高いレベルの業務を任せる」などは該当しないとした。
 パワハラを巡っては、被害を受けた労働者の精神疾患発症や自殺が問題化する一方で、企業関係者からは「指導との線引きがあいまい」といった戸惑いの声が上がっていた。このため分科会は今回、該当例とともに、あえて「該当しない例」も指針に盛り込んだ。
 ただ、労働者側からは「該当しない例が拡大解釈され、企業の『パワハラ逃れ』に利用される」といった反発も出ている。厚労省は「指針の例が全てではない。あらゆる要素を総合的に判断してパワハラかどうかは決まる」として、今後、パンフレットなどを作成して適切なパワハラ防止策の実施を各企業に求める。
 指針ではこのほか、就業規則でパワハラ防止の方針を示すことや、加害者の懲戒規定を設けること、相談窓口の設置などを盛り込んだ。違反した企業については、厚労省が指導や勧告、企業名の公表を行うことが可能になる。

6倍の高濃度薬剤投与、京大病院で患者死亡…蘇生ミスも indexへ

 京都大病院(京都市)は19日、通常の6倍を超える高濃度の薬剤を投与したり、蘇生措置を誤ったりするなど複数のミスが重なり、入院中だった成人の男性患者が死亡したと発表した。京大病院は「遺族の意向」として、事故日時や男性の年齢などを明らかにしていない。
 発表によると、男性は腎機能障害や心不全で京大病院に入院中、コンピューター断層撮影法(CT)検査を受けるため、腎臓への影響を和らげる炭酸水素ナトリウムの点滴を受けた。その際、心臓血管外科の担当医が誤って適正濃度の6.7倍の薬剤の投与を看護師に指示。男性は血管の痛みや首のしびれなどを訴え、「医師を呼んでほしい」と看護師に求めたが、相談を受けた担当医は投与速度を落とすよう看護師に指示しただけで診察しなかった。
 男性はその後トイレで倒れて、心停止。駆けつけた別の医師が心臓マッサージを行ったが、男性が血液が固まりにくくなる薬を服用していたことを把握していなかったため、大量出血し、6日後に出血性ショックによる多臓器不全で死亡した。
 京大病院では、腎機能障害患者にCTを行う際のマニュアルがあったが、担当医は経験がなく、マニュアルの内容も十分に把握していなかったという。
 京大病院は事故後、院内に事故調査委員会を設置。遺族に謝罪した。
 記者会見した宮本享病院長は「患者の訴えを的確に受け止められず、家族の期待を裏切る結果になり申し訳ない」と陳謝。再発防止策として、電子カルテ上で薬の過剰投与を指示した際に警告が出るシステムを導入したという。

関節炎で骨を不必要に破壊…「悪玉破骨細胞」を発見 indexへ

 関節炎で骨を不必要に破壊する「悪玉破骨細胞」を発見したと、大阪大の石井優教授(免疫学)らの研究チームが発表した。関節リウマチの新しい治療法の開発につながる可能性があるという。論文が19日、英科学誌「ネイチャー・イミュノロジー」に掲載された。
 骨を破壊する「破骨細胞」には、傷付いた古い骨を壊して健康に保つ役割がある。これまでは、破骨細胞は1種類しかなく、異常に活発になると骨を壊し過ぎて、関節炎などが起きると考えられてきた。
 研究チームが関節炎のマウスの細胞を詳しく調べたところ、破骨細胞には「善玉」と、体のどこかの炎症から生じる「悪玉」の2種類があり、悪玉の破骨細胞が不必要に骨を破壊していることが判明した。
 悪玉の破骨細胞ができるのに必要なたんぱく質の働きを薬で抑えると、関節炎の症状が改善した。人間の関節リウマチ患者の細胞を使った実験でも、同様の結果が得られたという。
 溝口史高・東京医科歯科大医学部内講師( 膠原 病・リウマチ内科学)の話「さらに研究が進んで、人間に対する効果が詳しく確認できれば、創薬につながる可能性がある」

入れ歯を毎日手入れしない高齢者、肺炎発症リスク1、3倍 indexへ

 入れ歯の手入れを毎日はしない65歳以上の高齢者が肺炎を発症するリスクは、毎日手入れをする人より1.3倍高いという研究結果を東北大などのチームが発表した。75歳以上に限ると、リスクは約1.6倍に高まった。高齢者の肺炎は命にかかわるため、入れ歯清掃の重要性が示された形だ。英電子版科学誌に掲載された。
 相田潤・東北大准教授( 口腔衛生学)らは、2016年に行われた高齢者調査の結果を基に、入れ歯をブラシで磨いたり、洗浄液に浸したりする頻度と、過去1年間の肺炎発症との関係を調べた。要介護認定を受けていない全国39市町の約7万1000人を対象にした。
 その結果、肺炎になる割合は、手入れを毎日する人が2.3%、毎日はしない人は3.0%だった。75歳以上では、毎日する人が2.9%、しない人は4.3%だった。性別などの影響を除くと、毎日は手入れをしない人の肺炎リスクは1.30倍、75歳以上は1.58倍高かった。
 入れ歯の清掃が不十分だと、付着した細菌が増殖。唾液や食物と一緒に気管に入ると、肺炎のリスクが高まる。高齢者の場合、のみ込む力の衰えが要因だが、頬周辺のマッサージや発声練習で改善できる。相田准教授は「口の機能が低下するオーラルフレイルの予防も重要だ」と指摘する。
  桜井薫・東京歯科大名誉教授(老年歯科学)の話 「入れ歯の手入れが高齢者の健康に及ぼす影響を調べた意義のある研究だ。入れ歯を使っている人は、残っている歯や舌の清掃も丁寧に行ってほしい」

胃腸薬に禁止物質、資格停止のレスリング選手が製薬会社に損害賠償請求 indexへ

 服用した胃腸薬に本来含まれていない禁止物質が混入し、ドーピング検査で暫定的資格停止処分を受けたレスリングの阪部創選手(26)(自衛隊)が、製造元の沢井製薬(大阪市)と陽進堂(富山市)に計約6000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東京地裁であった。
 沢井製薬側は答弁書で「原告はアスリート特有の事情を強調しているが、圧倒的多数の国民にとっては欠陥のない医薬品」などと反論。両社とも請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

「施設側に犯人扱いされ適応障害」無罪確定の介護職員を労災認定 indexへ

 老人ホームで介護職員として勤務中、入所者のカテーテルを抜き取り負傷させたとして傷害罪に問われ、その後に無罪が確定した佐賀県鹿島市の女性(34)が「施設側に犯人扱いされた」として適応障害を発症し、労働基準監督署に労災と認定されていたことがわかった。
 女性の代理人の吉田俊介弁護士によると、認定は4月23日付。女性が同県嬉野市の施設で働いていた2014年12月、入所者の男性(当時95歳)の胃ろうのカテーテルが抜けた。女性は施設側に関与を疑われて15年2月に自宅待機となり、翌月に適応障害を発症した。
 女性は男性に全治2週間の胃粘膜障害を起こさせたとして、5月に同県警に傷害容疑で逮捕され、その後起訴された。女性は公判で無罪を主張。佐賀地裁は17年12月、「女性が引き抜いたと認定するには合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡した。女性は逮捕や約1年間の勾留で症状が悪化し、無罪確定後もうつ状態で働くことができなくなったという。
 女性は18年10月、「施設側に犯人扱いされ、自宅待機を命じられたことが適応障害のきっかけ」と主張し、同県の武雄労働基準監督署に労災を申請。労基署は自宅待機と適応障害の因果関係を認めた。
 吉田弁護士は「類似事案が少ない中、本件の労災を認めたのは画期的な判断。使用者側に誤った疑いをかけられて被害を受けた労働者は、労災という手段で責任を問えるということが広く認知されるきっかけになるのではないか」と話している。

一般病院の利益率、2.7%赤字…人件費膨らみ赤字続く indexへ

 厚生労働省は13日午前、病院や診療所の経営状況を調べた医療経済実態調査を発表した。国公立を含む一般病院の2018年度の利益率は2.7%の赤字となった。前年度から0.3ポイント改善したものの、人件費が膨らみ赤字が続いた。
 調査は同日の中央社会保険医療協議会(中医協)で示された。医療サービスの価格を決める2020年度の診療報酬改定に向けた基礎資料となる。
 調査によると、人件費は一般病院の支出の5割以上を占めた。医療従事者の増加が支出を押し上げた。また、利益率は一般病院のうち医療法人運営の病院は2.8%の黒字だったが、国公立はいずれも赤字で国立がマイナス2.3%、公立がマイナス13.2%だった。
 診療報酬は原則2年に1度改定される。医師や薬剤師の収入に直結する「本体」と、医薬品などの価格である「薬価」から成る。政府は12月上旬に出される薬価の調査結果も踏まえ、同月中旬頃に改定率を決める。

ポリオウイルス入り培養液を下水に流す…「発症の恐れなし」 indexへ

 ワクチン製造大手の一般財団法人・阪大微生物病研究会(大阪府吹田市)は9日、製造子会社「BIKEN」の瀬戸事業所(香川県観音寺市)が、ポリオウイルスが入った培養液100リットルを誤って下水に流したと発表した。ウイルスは、2012年まで経口生ワクチンに使われていた毒性の弱いタイプで、人体に入っても発症する恐れはないという。
 発表によると、同事業所のポリオを含む乳幼児向け4種混合ワクチンの製造工程で、ウイルスを完全に死滅処理していない培養液を10月26日に35リットル、同30日に65リットル下水に流していたという。同社が誤って廃棄した経緯を調べている。

マダニ介したウイルス感染症が増加、3人死亡 indexへ

 マダニを介して発症するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者の報告が増えている。国立感染症研究所(感染研)は23日、今年に入って13日までの報告が88人になったと発表した。うち、少なくとも3人が死亡している。2013年に統計を取り始めてから最多だった17年の90人に迫っており、専門家は注意を呼びかけている。
 感染研によると、都道府県別では、山口が11人で最も多い。島根、徳島、長崎、宮崎が各8人、鹿児島が7人、広島、高知が各6人と続き、中国、四国、九州の報告が目立つ。
 SFTSウイルスを持つマダニにかまれることで感染し、6~14日後に発熱や 嘔吐などの症状が出る。重症化し、命にかかわることもある。農作業などで山に入った後にかかることが多い。
 慈恵医大の 嘉糠洋陸教授(熱帯医学)は「完全に防ぐのは難しい。ただ、マダニが肌に付いてもすぐにはかまない。山から戻った後にシャワーを浴びて、着替えることでマダニにかまれる機会を減らせる。ぜひ実践してほしい」と話す。

都内の10代男女がデング熱に…修学旅行の奈良か京都で感染か indexへ

 東京都は16日、都内に住む10歳代の男女2人がデング熱に感染したと発表した。ウイルスを持つ蚊が媒介するデング熱は海外でかかるケースが多いが、2人は直近の渡航歴がなく、修学旅行で訪れた奈良市か京都市で蚊に刺された「国内感染」とみられるという。
 発表によると、2人は修学旅行で同じグループに所属し、9月18~20日に両市を訪れていた。26日以降に体調不良を訴えて受診したところ、今月10日に感染が確認された。2人はすでに回復しているという。
 デング熱の潜伏期間は2~14日。発熱や筋肉痛、発疹などの症状が出て、重症化することもある。都内では2014年、渋谷区の代々木公園などを訪れた多数の人が感染した事例がある。

梅毒患者、3年連続の5000人超え…都心部など indexへ

 国立感染症研究所(感染研)は15日、今年に入ってから6日までの梅毒患者の報告数が5111人になったと発表した。年間の患者数が5000人を超えるのは3年連続となる。都道府県別では、東京1310人、大阪810人、愛知280人、兵庫228人、神奈川214人、福岡213人などが多く、都市部を中心に広がっている。
 感染研によると、患者は男性に多く、幅広い年代にわたっている。女性は20歳代が目立っている。
 梅毒は、性的接触を通じて感染する。3週間ほどで感染した部分にしこりができる。その後、手足など全身に発疹が出る。症状は治まったり再発したりを繰り返す。妊婦がかかるとおなかの赤ちゃんに感染し、死亡する恐れがある。
 治療では、抗菌薬を服用する。

胃潰瘍薬11社が回収…発がん性物質含むおそれ indexへ

 胃潰瘍などの治療薬「ラニチジン塩酸塩」について、製造販売する全ての製薬会社11社が自主回収を始めた。発がん性物質が含まれる可能性があるためだが、現時点で健康被害の報告はないという。
 自主回収を進めているのは、先発薬を製造販売するグラクソ・スミスクライン(東京都)と、後発薬を製造販売する日医工(富山県)や沢井製薬(大阪府)、東和薬品(同)など10社。米食品医薬品局(FDA)などが発がん性物質の検出を発表したことを受け、厚生労働省は9月、各社に分析や出荷停止を指示していた。
 ラニチジン塩酸塩は、胃酸を抑える作用があり、胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療に使われる。厚労省は「同じ作用を持つ薬が他にあり、医療現場での大きな混乱はないだろう」としている。

ゲノム編集食品 届け出開始 indexへ

 厚生労働省は1日、遺伝子を効率良く改変する「ゲノム編集技術」を使った食品について、流通や販売に向けた届け出の受け付けを始めた。血圧上昇を抑える成分が豊富なトマトや肉厚のマダイなどの開発が進められており、年度内にも1例目の食品が市場に登場する可能性がある。
 ゲノム編集には、特定の遺伝子を壊して働かなくする手法と、外部から別の遺伝子を導入する手法がある。厚労省は、前者の手法のみによる食品は従来の品種改良と同等とみなし、安全性審査を求めない。

民間病院の実績 厚労省が公表へ indexへ

 病院の再編・統合を検討している厚生労働省は、民間病院の診療実績を近く、公表する方針を決めた。全国に定めた339の区域ごとに、病院の統廃合や診療科の再編などの議論を深めてもらう。
 公表の対象は、民間病院のうち、救急や手術などに対応する「高度急性期」や「急性期」の病床のある約3000病院。具体的にどのような形で診療データを開示するか今後詰める。
 厚労省は、全国にある病院について、がんや心筋 梗塞 、脳卒中など2017年度の手術・治療件数の診療データを分析。公立病院や、国が認めた団体が運営する公的病院のうち、診療実績が一定以下などの424病院を9月に公表した。

人工心臓不具合で回収 indexへ

 心臓移植を待つ患者が体内に植え込んで使う補助人工心臓に不具合が出る恐れがあるとして、製造販売元の「サンメディカル技術研究所」(長野県)が30日、自主回収を実施していると発表した。9月10日、部品の劣化で血液を送るポンプが停止し、成人患者1人が死亡したことを受けた措置だという。
 回収の対象は、2013年3月~17年5月に出荷した「EVAHEART(エバハート)」。使用中の患者22人へは、すでに情報提供された。

RSウイルス感染、1週間で1万人超…過去最多 indexへ

 国立感染症研究所(感染研)は24日、9~15日の1週間に全国約3000の小児科から報告されたRSウイルス感染症の患者数が、過去最多の1万846人を記録したと発表した。
 都道府県別では大阪が最多の889人で、福岡724人、東京646人、愛知429人など。今年の患者数は8万7072人で、年間13万9557人と最も多かった2017年の同時期を上回るペースとなっている。
 この感染症は、患者のくしゃみなどのしぶきを吸い込んだり、ウイルスが付着した物に触ったりすることでうつる。
 発熱など風邪に似た症状が出るが、多くは軽症で数日で治る。予防のためのワクチンや治療薬はなく、感染研は手洗いの徹底を呼びかけている。

乱用の恐れある薬、使用目的聞かず…薬局の半数 indexへ

 乱用の恐れがある薬を複数購入しようとした客に対し、使用目的の確認などをせずに販売していた薬局やドラッグストアが48.0%に上ることが、厚生労働省による2018年度の調査でわかった。不適切な販売事業者の割合は17年度の前回調査(38.8%)よりも増えており、厚労省は販売を許可する都道府県に対し、監視や指導を強化するよう求める通知を出した。
 調査は、全国5000か所の薬局などを調査員が一般客として訪れる形で毎年実施している。
 せきを鎮め、たんを取り除く作用があるものなど一部の一般薬は、乱用により依存状態が懸念される成分を含んでおり、注意が必要とされる。そのため、医薬品医療機器法では、複数購入しようとする客に対し、薬剤師らが使用目的や理由を聞くことを義務づけている。
 薬のインターネット販売をしている500のサイトを対象とした調査では、53.2%がこうした不適切な販売方法だった。

乳房再建手術 情報知った上で 自分に向いた方法を indexへ

◎矢野智之・がん研有明病院形成外科部長インタビュー
 国内で最多の乳がん手術を手がけるがん研有明病院(東京都江東区)で、乳房再建手術を行う矢野智之・形成外科部長に、人工乳房の自主回収を受けた対応や、ニーズが高まる自家再建について聞いた。
 Q これまでがん研有明病院では、乳房再建手術をどのように行ってきましたか。
 A 主に院内で乳がん手術を受けた患者さんに行ってきました。ここ数年は、年600~700件程度です。
 私が着任する直前は、9割以上が人工乳房でした。でも2017年春に着任して以降、自家組織(自分のおなかや背中などの組織)を使った手術(自家再建)の割合が徐々に増えて、今は半々ぐらいです。
 Q 自家再建の割合が増えたのはなぜですか。
 A 患者さんが希望すれば、自家再建に対応できる体制をしっかり整えたからだと思います。その結果、患者さんに、両方の手術の特徴(メリット、デメリット)を公平にしっかり説明して、「どちらの方法でも対応できますよ」と言えるようになった。患者さんが選べるようになったからだと思います。ただ、当院のように年間100件以上の自家再建手術を手がけている病院は全国でも当院、横浜市大総合医療センター、都立駒込病院など10施設ぐらいにとどまるのが現状です。
 Q なぜでしょうか。
 A 自家再建は、国内でも1980年代から本格的に始まりました。昔から公的医療保険が適用されています。自然なやわらかい乳房が作れるのが強みです。自分の背中やおなか、太ももなどの組織を乳房に移植して再建する方法です
 術式はいくつかあります。私が行っているのは、「DIEP」(深下腹壁動脈穿通枝皮弁)、「PAP Flap」(深大腿動脈穿通枝皮弁)という二つの方法です。脂肪と血管を移植する方法です。筋肉ごと移植する古くからある術式と比べ、体への負担は少ないです。
 手術には高度な技術が求められます。顕微鏡を見ながら細い血管をつなぎあわせていきます。手術時間も長いです。人工乳房では2時間程度ですが、自家再建の場合、どの部位を移植するかで多少異なりますが、だいたい6、7時間はかかります。
 技術を持った形成外科医と、長時間の手術室の確保が必要なので、人工乳房と比べて、行える医療機関は限られているのが現状です。
 Q 人工乳房か自家再建か、患者さんはどうやって選ばれていますか。
 A 乳房以外に新たな傷がつくのは抵抗がある、入院期間が短い方がいいという人は人工乳房を選ぶことが多いように感じます。ただ、人工物を入れているので、感染がないかどうかなど画像検査も含めた経過観察が必要です。おおむね10年ぐらいで新しい人工乳房への入れ替えが必要です。
 自家再建では、入院期間は8泊9日程度で、社会復帰にはさらに1~2週間かかるものの、その後は一生持ちますし、画像検査も必要に応じて行う形です。そもそも人工物を入れることに抵抗がある人や、仕事があっても、ある程度まとまった期間休めて、育児があってもサポートがある人も、自家再建を選ばれることが多いです。
 Q 自家再建に関する具体的な情報を得にくいという声も聞きます。
 A 自家再建のデメリットとして、先ほど、「乳房以外に傷がつく」ということを話しました。その通りです。でも、どんな傷なのか、ご存じでしょうか。形成外科医は、極力、傷が目立たないように努めています。おなかの組織を使う場合は、おなかのたるみに合わせたカーブ状にメスを入れたり、しわにそってメスを入れたりしますし、下着に隠れる位置にします。
 本来はこうした情報もしっかり知った上で、自分に向いた再建を選ぶのが望ましいと思います。でも、自家再建を行っていない医療機関では、具体的な情報を得るのが難しいようです。
 海外の報告ですが、それぞれの方法の満足度は、術後3年時点までは人工乳房を入れた患者さんのほうが高いけれど、その後は自家再建の患者さんのほうが高くなるという結果でした。
 Q 人工乳房が自主回収になってから、人工乳房による再建手術はストップしています。どんな影響がありますか。
 A 自主回収が決まった時点で拡張器(エキスパンダー)を入れている患者さんが260人ほどいました。人工乳房の入れ替えを希望していた患者さんは、自家再建への切り替えを決めた方、もう少し様子を見て決めるという方、それぞれです。
 Q ほかに対応をしていますか。
 A 当院では、人工乳房の手術枠を、自家再建の枠にあてて、これまで週3~4日だった自家再建の手術を、週5日行える体制に変更しました。さらに、緊急事態なので、他院でエキスパンダーを入れて自家再建手術に切り替えたいという患者さんの受け入れも始めました。当院は乳房再建手術を担う形成外科医が5人と多いので、そういう対応が可能です。それでも、手術予約は1年先の日程になります。
 自家再建へのニーズが高まってはいますが、技術を持った形成外科医が限られているので、そう簡単に、受け入れ態勢を拡充することは難しいです。
 Q 自家再建に切り替えようと思っても、また「待機」になるのですね。
 A 当院に限らず、これまで精力的に自家再建を手がけてきた病院の多くは、今回の事態に協力対応していますが、限りがあります。今回の自主回収は、日本の乳房再建手術を巡る様々なゆがみが浮き彫りになったと思います。
 Q ゆがみとは何でしょうか。
 A 自家再建をしっかり行える医療機関が限られていること、人工乳房では1社しか保険適用を受けた製品がないことです。私が留学したベルギーでは2016、17年当時、人工乳房よりも自家再建が主流でした。
 今年9月、ロンドンで行われた乳がん関連の学会に参加しました。自主回収は全世界で行われていますが、深刻な影響があったのは日本だけのようでした。他のメーカーの人工乳房が流通していることが大きいでしょう。
 また、おなかなどの脂肪を吸引して使う脂肪注入との併用も普及しています。併用すると、今度販売が再開されるスムースタイプの人工乳房でも仕上がりが美しくなるし、再建した乳房が硬くなるのも防げます。人工乳房を覆う特殊なシートを使えば、ずれやすいスムースタイプでも、理想の位置に固定できます。日本では、脂肪注入もシートも保険診療の対象外です。
 今回の事態を機に、日本でも自家再建を行える医療機関を増やしていくことや、安全で美しい人工乳房製品の保険適用を実現することが求められると思います。
  やの・ともゆき  2000年、東京医科歯科大学卒。同大形成外科、北海道大学形成外科、国立がん研究センター東病院頭頸科などを経て、16年4月から17年3月までベルギー・ゲント大学形成外科に留学。17年4月、がん研有明病院形成外科医長、18年8月から現職。

人工乳房「待てない」…再建手術中止、患者ら不安と戸惑い indexへ

 人工乳房による再建手術が突然中止となる、思いがけない事態に直面した乳がん患者らはこの2か月、不安と戸惑いの中で過ごした。
 「届くかどうかもわからない他社製品を待つ余裕はなかった」
 東京都東村山市の主婦(36)は、拡張器が入った左胸に手を当てながら胸中を語った。9月中にも再建手術を受ける予定だったが、中止になった。その後、販売を再開する予定のアラガン社の別製品を使う手術が10月中旬に決まった。
 再建手術を急ぐのは、乳がんの手術後、わきの下のリンパ節への転移が判明したためだ。再発を防ぐ放射線治療は、拡張器を入れている間は難しいと説明された。「ずいぶん悩みました。治療の先延ばしは不安でした。予定と違う製品になってしまったけれど、仕方がないですね。再建が終わったら、子どもと温泉やプールに行きたい」という。
 近畿在住の40歳代女性医師は8月、自分のおなかの組織を使った自家再建手術を受けた。当初、人工乳房の入れ替えを予定していた。自家再建は大きな傷ができるため、心身の負担が大きいと考えたからだ。変更はやむを得ない決断だった。昨年の乳がん手術は2回にわたり、「早く終わりにしたい」と思った。お盆以外は休めそうになかった。
 めまぐるしい状況の変化による心労、10時間以上に及んだ手術、おなかにできた40センチの傷。手術後は1週間、寝込んだ。「心の準備ができないままの手術で参ってしまった。医師の私がこんなに苦しんだのだから、他の患者さんはもっとしんどいと思う」と話す。
 ただ、自家再建にスムーズに切り替えられるケースは珍しい。元々、国内では、自家再建ができる医療機関はごく限られる。
 がん研有明病院(東京都江東区)は今回の事態を受け、自家再建手術枠を拡充し、他院で手術を予定していた待機患者の受け入れも始めた。形成外科医5人で対応するが、予約は1年先まで埋まっている。
 海外では複数のメーカーの人工乳房が使われているが、国内では公的医療保険の対象になっているのは1社の製品のみだ。同病院の上野貴之乳腺外科部長は「今回の事態を機に、自家再建でも人工乳房でも、患者の希望にそった再建方法を選べる体制を整えていくことが重要だ」と指摘する。

乳房再建「中断」3千人…自主回収で混乱、代替品なく indexへ

 乳がん患者の乳房再建で使う人工乳房が特殊な血液がんを発症するリスクがあるとして自主回収になった影響で、代替品がなく、予定していた手術がとりやめになり、治療の中断を余儀なくされた患者が3000人超いることが、関係学会の緊急調査でわかった。自主回収が始まり間もなく2か月だが、混乱が続いている。
 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が8月上旬、人工乳房による再建手術を行う全603医療機関に調査した。回答があった414か所で、乳房再建のため、胸の皮膚を伸ばす拡張器を挿入中の患者が3493人いた。学会は、この9割以上が人工乳房による再建手術を予定していた患者とみている。
 3493人のうち、172人が人工乳房への入れ替えなど緊急の手術が必要と報告された。拡張器が挿入されていることで、磁気共鳴画像(MRI)検査や追加のがん治療が受けられないケースなどだ。
 米食品医薬品局(FDA)が7月24日、人工乳房の挿入後に特殊な血液がんを発症した人が世界で573人おり、33人死亡していたと発表、発症リスクが高い製品の自主回収をアイルランドの製薬大手アラガンに要請した。アラガンは8月末、日本で緊急の入れ替えが必要な患者に限り、別製品の先行受注を始めた。10月中旬から本格販売を始める。
 ただ、この製品は2013年に公的医療保険の適用になったが、破損しやすいなどの問題があり、昨年、販売中止になった。治療を中断した患者は、▽再販売されるアラガン社の別製品を使う▽自分の脂肪などで乳房をつくる「自家再建」に変更する▽他社製品を待つ――などの選択を迫られている。
  ◆拡張器 =風船のような袋状の医療機器。主に人工乳房による再建手術で使う。胸の下に入れ、生理食塩水で膨らませ、約6~8か月かけて皮膚などを伸ばし、人工乳房と入れ替える。。

「ゲノム」食品 表示義務なし…消費者庁決定 indexへ

 消費者庁は19日、ゲノム編集技術のうち、特定の遺伝子の働きを止めただけの手法を使った食品の表示について、事業者の任意とすることを決めた。従来の手法で品種改良された食品と見分けることが困難なことから義務表示とはせず、事業者の任意での表示にとどめた。
 ゲノム編集食品の届け出制度を10月から始める厚生労働省は、遺伝子の働きを止めただけの食品には、安全性審査は求めない。

医学部入試不正、日大「辞退多く子弟で入学者確保」…報告書 indexへ

 医学部の不正入試問題で、日本大(東京)は17日、調査検証委員会の報告書を公表した。日大は2018年12月、16~18年度入試で本来なら不合格だった医学部同窓生の子弟を優先的に合格させたと発表していた。
 同委員会は報告書で、日大医学部では例年、合格者の多くが入学を辞退するため入学者確保に苦慮しており、「早期に入学者を確保することが必要だった」などと指摘。同窓生なら愛校心があり、子弟が追加合格になっても入学すると想定したため、優先的に合格させたとした。
 子弟を優先するのは2次、3次の追加合格を出す際で、学部長や学務担当、事務局長が同窓会の情報を基に選んでいたという。優先が始まった時期や誰の指示かは明確にしなかった。
 本来は合格だったのに子弟の優先により不合格とされた受験生は16年度2人、17年度8人、18年度2人の計12人に上る。7月時点で3人が入学し、9人は辞退した。日大は12人一律20万円の補償金の支払いを決めたが、複数の受験生からは了承を得られておらず、話し合いが続いている。
 一方、13、14年度入試では不自然な点は見られなかったという。15年度は追加合格者に成績下位の受験生が不自然に含まれる可能性があったが、4年以上たっており詳細は把握できなかったとした。
 報告書は8月29日付。公表まで約20日かかったことについて、日大は「学内での共有、文部科学省への提出など手続きが必要だったため」と説明している。。

米で6人死亡「風味つき電子たばこ」販売を規制へ indexへ

 米国のトランプ大統領は11日、若者の間で流行している電子たばこの販売の規制に乗り出す方針を明らかにした。電子たばことの関連が疑われる健康被害が相次いだことを受けたもので、米食品医薬品局(FDA)が数週間以内に、香りや味がついた電子たばこを対象とする新たな規制を策定する。
 トランプ氏はホワイトハウスで記者団に「人々が病気になり、若者が影響を受けるのを許すわけにはいかない。これは大きな問題だ」と語り、規制に取り組む考えを強調した。
 AP通信などによると、米政府はミントなどの風味がついた電子たばこの販売を全面的に禁止する。その上で、FDAが許可した製品のみ販売を認めるようにすることを検討しているという。
 米疾病対策センター(CDC)によると、電子たばことの関連性が疑われる深刻な肺疾患で、これまでに全米で6人の死亡が確認されている。CDCや米医師会は原因が判明するまで、電子たばこの使用を控えるよう呼びかけている。
 米国で販売されている電子たばこにはニコチンが含まれているケースが多い。特に若者の間で風味付きの電子たばこが流行し、健康への影響が懸念されていた。このため、米国内ではミシガン州が今月に入って電子たばこの販売禁止を決めるなど、規制の動きが進んでいた。  一方、電子たばこの推進団体からは、トランプ氏の方針について「販売の禁止は、多くの喫煙者から禁煙という選択肢を失わせる」などと反論の声が上がっている。

緊急避妊薬、必死に探す女性に朗報…医療機関検索サイト開設 indexへ

 性犯罪や避妊の失敗などで望まない妊娠の可能性がある女性が緊急避妊薬を手に入れやすいよう、日本家族計画協会は今月、処方する医療機関を検索できるウェブサイトを開設した。日本で認められた薬は性行為から72時間以内に飲む必要があるため、速やかな入手をサポートする。
 検索サイトには、緊急避妊薬を処方し、同協会の調査に応じた全国約1500医療機関が登録されている。都道府県ごとに検索でき、スマートフォンなどの位置情報を利用して、現在地から近い20か所が挙がる。休診の可能性があれば「!」マークが表示される。
 そのうえで、医療機関に直接電話し、予約が必要かどうかや処方できるかを確かめてから受診する。
 緊急避妊薬は対面診療での処方が原則だが、医師が少ない地方など受診しづらい環境では、服用時間に間に合わない場合もある。国は今年、スマホなどを通して診察するオンライン診療での処方を認めたが、実用化はされていない。
 同協会の北村邦夫理事長は、「不安で必死に医療機関を探す女性も多い。少しでも早く安心でき、その後の正しい避妊行動につながれば」と話す。検索サイトは、https://www.jfpa-clinic.org/s/から見られる。

新型出生前 検査医師に注意喚起…産婦人科医会 indexへ

 胎児に染色体の病気があるかを妊婦の血液から調べる新型出生前検査(NIPT)について、日本産婦人科医会(木下勝之会長)は6日、会員の産婦人科医に対し、日本医学会の施設認定を受けずに検査を実施しないように注意喚起した。
 医学系の主要学会が加盟する日本医学会が、検査前後に行う専門家によるカウンセリング体制などについて、一定の基準を満たすと実施医療機関に認定している。しかし強制力はなく、認定を受けずに検査を行うところが急増していた。

「ダイエット支援」サプリで下痢など…注意喚起 indexへ

 カプセル型の健康食品で下痢などを起こす被害が多発しているとして、消費者庁は6日、消費者安全法に基づき、この健康食品を販売している「e.Cycle」(東京都渋谷区)の社名を公表して注意を呼びかけた。
 同庁によると、被害が多発しているのは、同社が3月から販売している「ケトジェンヌ」。国内で製造され、「ダイエットをサポートしてくれるサプリメント」などとして、主にインターネットで1袋7500円程度で販売されている。
 これまで、全国の消費生活センターなどに、「飲んだ翌日に水のような下痢になった」など、89件の情報が寄せられた。うち、下痢などの消化器障害が72%、じんましんなどの皮膚障害が17%を占めている。同社は同庁に対し、「6、7月にはそれぞれ3万人の新規購入客がいた」と説明しているという。

胸が女性のように膨らみ…筋肉増強剤で肌に亀裂・幻覚も indexへ

 筋トレ(筋力トレーニング)愛好家に健康被害が広まっている恐れがあるとして、厚生労働省が筋肉増強剤「アナボリックステロイド」の利用状況や流通経路などの調査に乗り出した。同剤は肝機能障害や生殖機能低下などの副作用があり、実際に被害も報告されている。インターネットで容易に海外から購入できるため、同省は危険性が高いと判断した場合、輸入規制も行う考えだ。
 「薬に頼った結果、障害を抱えてしまった」。岡山県の男性(27)は、アナボリックステロイドを使って筋トレを続けた3年間を悔やむ。
 体を鍛えようとジムに通うようになった17歳の時、雑誌で知って使い始めた。同剤の服用と連日の筋トレで体重は1か月で10キロ増加。100キロが限界だったベンチプレスは150キロまで挙げられるようになった。筋肉が大きくなるのがうれしく、より強力とされるものに手を伸ばした。
 異変が生じたのは使用から半年後。イライラすることが増え、胸部が女性のように膨らんだ。急激な筋肉量の増加で肌には亀裂が。幻覚も現れるようになり、統合失調症と強迫性障害と診断された。
 その後、使用をやめたが、障害の影響で仕事が続けられず、皮膚には今も亀裂の痕が残る。SNSで同剤が好意的に紹介されている最近の状況に危機感を抱き、ブログで体験談をつづって安易に使用しないよう訴えている。。

「マタニティマーク」認知度まだ58%…20代男性は37% indexへ

 妊娠中であることを周囲に示し、協力を求める「マタニティマーク」について、昨年11月時点の認知度が58%だったことが、厚生労働省研究班の調査でわかった。4年前に比べて約13ポイント増加した。妊娠・出産が多い年代の女性や、その親世代の関心は高いが、20歳代男性には十分に浸透していない状況となっている。
 マタニティマークは、電車などで妊婦にさりげなく席を譲るといった社会の配慮を期待し、国民運動計画「健やか親子21」の有識者会議が提案。国が2006年に発表した。
 調査はインターネットで行われ、20歳以上の2400人から回答を得た。「知っていた」(58%)に対し、「言葉だけは知っていた」(22%)、「知らない」(16%)という結果だった。女性は20~60歳代まで6割以上、男性は30~50歳代で5割以上で認知されていたが、20歳代男性の認知度は37%にとどまった。
 五十嵐隆・国立成育医療研究センター理事長は「国が学校現場や企業に呼びかけて、妊婦の大変さやマークの意義を改めて紹介することが必要だ」とする。

入院患者7200人情報HPに…吹田市民病院 氏名や病名 indexへ

 大阪府吹田市の市立吹田市民病院は27日、2017年度に入院していた患者約7200人の氏名や病名などの個人情報がホームページ(HP)で一時閲覧できる状態になっていたと発表した。病院は、個人情報の悪用は現時点では確認されていないとしている。
 発表によると、個人情報は今月1~18日、病院の概要などが書かれたページに掲載されていた。氏名や年齢、手術予定日、退院予定日などをエクセルの表でまとめたもので、入院していた児童の保護者から18日に指摘があり、同日中に消去した。
 掲載された表は、本来は個人情報を伏せる必要があったが、手違いで残っていたという。
 病院は「今後、情報の管理態勢を見直し、再発防止に努める」としている。

海外で抗菌薬「使わないで」…耐性菌増やす恐れ indexへ

 海外旅行の“お土産"に薬が効かない耐性菌を持ち帰らないで――。国立国際医療研究センター病院(東京都)は、海外旅行中の下痢や腹痛で安易に抗菌薬(抗生物質)を服用すると、耐性菌を国内に持ち込む恐れがあるとして注意を呼びかけている。
 同病院が6月にインターネットでアンケートしたところ、東南アジアや南アジアに旅行した経験がある20~60歳代の男女331人のうち、63%が旅行中に下痢や腹痛になったことがあった。予防のために日本から抗菌薬を持参・服用していた人も43%に上った。
 抗菌薬の入手は、国内では医師の処方箋が必要。海外旅行に持参したという抗菌薬は、過去に治療で処方されたり、家族が使ったりした残りが考えられる。
 同病院によると、抗菌薬は薬ごとに効く細菌が決まっており、タイプが違うと効果がないだけでなく、腸内の細菌バランスが崩れるなどして、耐性菌を増やす危険がある。下痢の原因がマラリアや腸チフスなどであれば、診断が遅れ、命にかかわる恐れもある。
 予防・対応策として〈1〉こまめに手洗いをする〈2〉生の野菜や果物、屋台での食事は避ける〈3〉軽い下痢なら整腸剤で様子を見る〈4〉重い場合は現地の医療機関にかかる〈5〉自己判断で抗菌薬を服用しない――ことなどを挙げている。

患者情報3275人分 メールを誤送信…横浜市大病院医師 indexへ

 横浜市立大学は5日、大学病院(横浜市金沢区)の泌尿器科の40歳代の男性医師が、膀胱がんの患者3275人分の名前や生年月日、症状などの個人情報を宛先不明の二つのメールアドレスに誤送信したと発表した。
 発表によると、男性医師は7月24日、膀胱がんの臨床研究で協力を得ている同病院を含む20病院の医師22人に対し、内容に更新などがないか確認するため、患者の情報が記されたエクセルファイルを送信。このうち13人のアドレスの入力を間違えたが、二つのアドレスが実在していたことから送られてしまったという。

体内にワイヤ放置、転院先で手術死…医師2人書類送検 indexへ

 大阪府寝屋川市の病院で2017年、男性患者が体内にカテーテルの誘導用ワイヤを放置され、転院先で抜き取られた際に死亡した事故で、府警は1日、同市の寝屋川生野病院の男性医師(71)と、転院先の明生病院(大阪市都島区)の男性医師(47)を業務上過失致死容疑で書類送検した。府警は双方のミスが重なったことで死亡につながったと判断した。
 発表では、寝屋川生野病院の医師は17年11月、入院していた寝屋川市の男性(当時69歳)の血管にカテーテルを挿入した際、ステンレス製ワイヤ(長さ約1メートル)を抜き忘れ、明生病院の医師は18年2月、ワイヤの除去手術時に男性の心臓を傷つけ、死亡させた疑い。府警は2人の認否を明らかにしていないが、いずれにも起訴を求める意見を付けたという。
 男性は、肺炎などの治療で寝屋川生野病院に入院。食事がとれなかったため、医師が栄養補給用に脚の付け根から心臓付近にカテーテルを挿入した。
 ワイヤはカテーテルをスムーズに挿入するためのもので、使用後に抜き取ることになっている。しかし、寝屋川生野病院の医師は抜いたと思い込み、エックス線検査で心臓付近に影があることに気づいたが、別の医療器具と考えて確認しなかったという。
 また、明生病院の医師は、ワイヤがスムーズに抜けなかったのに、胸を開く外科手術などを行わず、そのまま引っ張っていた。
 医師は今も両病院に在籍しているという。

てんかん薬の治験で成人男性死亡…因果関係は不明 indexへ

 製薬会社・エーザイ(東京)は30日、てんかん薬の臨床試験(治験)に参加した健康な成人男性1人が死亡したと発表した。治験との因果関係は不明という。厚生労働省によると、治験で健康な参加者が亡くなるのは異例。同省は医薬品医療機器法に基づき、治験が適切に行われたかを調査する。
 同社によると、男性は治験薬をのんだ4日後、医療機関を退院。この時点で副作用などの異常はなかったが、その後、神経が過敏になる症状を訴え、6月25日に亡くなったという。
 今回の治験は、開発中の薬の安全性を確かめる初期段階のもので、健康な成人男性118人(20~85歳)が参加。他の参加者で健康面の異常は確認されていないが、治験を中断しているという。
 同省によると、確認できる2013年度以降、国内の治験で健康な参加者が亡くなるのは初めてという。

人工乳房で血液がん、自主回収…世界的に死亡例 indexへ

 アイルランド製薬大手の日本法人「アラガン・ジャパン」(東京)は25日、同社の人工乳房の製品を自主回収すると発表した。米食品医薬品局(FDA)が24日、同社の製品が原因とみられる血液がん(リンパ腫)で世界的に死亡例が出ていることを踏まえ、同社に該当製品の自主回収を要請したのを受けた措置。
 回収するのは、乳がんなどの手術後に入れる人工乳房など3製品。日本では2013年から医療機器として公的医療保険の適用を受けている。公的保険が使えるのは同社の製品のみで、関連学会の調査では、同年以降の利用者は約3万人。  FDAによると、人工乳房が原因とされるリンパ腫の発症者は世界で573人で、このうち33人が亡くなっている。多くの人が同社の製品を使っていた。日本でも1人の発症が初めて確認されたのを受けて、厚生労働省が6月、製品を使用する前にリンパ腫のリスクを患者に十分説明することなどを同社に求めていた。
 FDAは、人工乳房をすでに入れ、がんが確認されていない場合は、取り出すことを推奨していない。
 乳がんの患者会「KSHS(キチンと手術・ホンネで再建の会)」代表理事の溝口綾子さんは「実際に使っている患者としては、安全性についての正しい情報をきちんと示してもらいたい」と話している。

障害年金受給のひとり親、児童扶養手当不支給「違憲」 indexへ

 障害基礎年金を受け取る親が児童扶養手当を申請すると、夫婦だと手当を受給できるのに、ひとり親には支給されないのは法の下の平等を定めた憲法に反するとして、京都府内の女性が不支給を決定した府の処分取り消しを求め、近く京都地裁に提訴する。同様に手当を受け取れないひとり親は多いとみられ、弁護団は法改正が必要と指摘する。
「夫婦と差 不平等」提訴へ
 訴状によると、山田さんは児童扶養手当を受け取っていた2017年4月、全身の痛みが続く「線維筋痛症」で障害年金を受給し始めた。だが、18年1月、年金受給を理由に手当の支給を停止され、府に審査を請求したが、今年2月に棄却された。
 児童扶養手当法の規定では、一人で複数の公的給付は原則受けられず、ひとり親の場合、障害年金と児童扶養手当のうち、高い方の金額しか給付されない。過度な所得保障を防ぐ目的があり、多くの場合は障害年金の方が高くなるという。
 一方、夫婦のどちらかに重い障害があって障害年金を受け取っている場合、配偶者が手当を申請すると両方を受給できる。弁護団の試算では、山田さんと同じく子供4人だと、手当は月約5万円になるという。
 山田さんは「受給条件に差を設ける合理的な根拠はない」と主張。憲法が保障する生存権の侵害も訴える。

 厚生労働省の16年の調査によると、父子・母子家庭は約140万世帯と推計され、このうち1%が障害年金を受給。また、配偶者と死別し、遺族基礎年金を受け取るひとり親も同じく手当が支給されず、山田さんと同じようなケースは一定数いるとみられる。
 1962年施行の児童扶養手当法は法改正などで頻繁に運用が変わっており、弁護団長の田中俊弁護士は「変更を重ねる中、障害者のひとり親が支援のエアポケットになったのではないか。支給目的と矛盾する運用だ」と語る。厚生労働省は「法律を厳格に運用しており、問題はない」とコメントしている。

「理不尽すぎる」
 「子供は何も悪くないのに……」と山田さんは嘆く。
 約10年前、夫の家庭内暴力(DV)から逃げるため、家を出た。離婚後、線維筋痛症を発症。風に当たっても痛むため、外出時は服を着込み、車いすを使う。生活費は月10万円。自宅にテレビやエアコンはなく、食べ盛りの子供4人を優先させ、自身は1日1食だけだ。
 家族で遊びに出かける余裕もなく、子供らは夏休みの思い出の作文を白紙で小学校に提出したこともある。昨夏、年金事務所の職員から「結婚していたら両方もらえた」と言われ、受給条件の差に初めて気づいた。山田さんは「理不尽すぎる。手当があれば少しは生活がましになるのに。同じように苦しむひとり親のため、裁判を闘いたい」と語った。  龍谷大の木下秀雄教授(社会保障法)の話「児童扶養手当を受給するのは親だが、子供のためのもので、障害者のための年金と目的が全く異なる。ひとり親が両方を受け取ると過度な給付になると判断するのは不合理だ。夫婦の場合と同等に支給するように制度を見直す必要がある」
児童扶養手当  18歳以下の子供を持つひとり親や障害者らの低所得世帯に自治体が支給する手当。1962年に子供の育成支援を目的に導入され、2018年3月時点で約100万世帯が受給している。子供が1人の場合、最大で約4万3000円を受け取れる。

がん検診で「要検査」、市が誤って「異常なし」通知…女性死亡 indexへ

 岐阜市は、市のがん検診で「要精密検査」「要注意」との結果だった50~70歳代の女性5人に、「異常認めず」と誤った通知をしていたと16日、発表した。このうち50歳代の女性は同日夜に胃がんで死亡。市は「精密検査を早く受けていれば、がんを早期発見できた可能性もある」としている。
 市によると、亡くなった女性は今年1月10日に胃がん検診を受診。「要精密検査」と判定されたが、同28日、誤った内容の通知書を発送した。女性は4月に医療機関を受診して肺がんが見つかり、胃がんからの転移と判明。家族から今月10日、要請があり、調べたところ、ミスが発覚した。
 これを受けて市は2014~18年度にがん検診を受けた延べ約16万人分の通知を点検し、他にも17、18年度の検診で「要精密検査」「要注意」の結果が出た4人に、誤った通知をしていたことがわかった。4人にがんの自覚症状はないといい、市は精密検査などの受診を促している。市のマニュアルでは、検診結果と通知の入力内容を2人1組で読み合わせることになっているが、ミスをした職員は1人でチェックしていた。

無痛分娩被害者の会、結成の思い「事故二度と…」 indexへ

 出産時の痛みを局所麻酔で和らげる無痛 分娩で被害に遭った女性の家族2人が8日、被害者の会を結成して大阪府内で記者会見した。無痛分娩で麻酔を行う医師の資格制度の創設や、定期的な講習の義務化を求めて国や医師の団体に要望書を提出するとしている。
 会のメンバーは2017年1月、大阪府和泉市の「 老木レディスクリニック」で処置後に死亡した長村千恵さん(当時31歳)の父・安東雄志さん(70)と、12年11月、京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」(休院中)で起きた事故で寝たきりとなったロシア国籍のエブセエバ・エレナさん(42)の夫(57)。
 安東さんは「妊婦に必要な出産方法だからこそ、安全に行える制度を国などが整備するべきだ」と訴え、エレナさんの夫は「同様の事故が二度と起こらないよう活動していく」と話した。

輸入病原体 5種を指定 indexへ

 根本厚生労働相は5日、国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)の研究施設に今夏にも輸入する病原体について、エボラ出血熱など5種類を感染症法に基づき指定した。
 指定されたのはこのほか、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱の病原体。いずれも致死率が高く感染症法で最も危険度が高い1類の感染症に指定されている。生きた病原体を使えば従来より精度が高い検査ができるようになる。

マスクが「花粉を分解」根拠なし、大正製薬などに措置命令 indexへ

 花粉などを分解するとしたマスクの広告表示に根拠がないとして、消費者庁は4日、大正製薬、DR.C医薬、玉川衛材(いずれも東京)とアイリスオーヤマ(仙台市)の4社に対し、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。
 発表によると、4社は2013年10月以降、販売するマスク計約20商品の包装に、「花粉を水に変える」「光の力で分解する」などと記載。花粉などの体内吸入を防ぐ効果があるかのように商品を宣伝していたが、4社が同庁に提出した資料では、根拠を確認できなかったという。
 読売新聞の取材に、大正製薬は「今後の対応を検討する」とし、ほかの3社は「 真摯に受け止め、再発防止に努める」などとしている。

臓器移植の連絡 優先順位に誤り…患者に影響なし indexへ

 日本臓器移植ネットワークは21日、臓器をあっせんする際、移植希望者がいる医療機関への事前連絡でミスがあったことを明らかにした。移植を受ける患者に影響はなかった。同日開かれた厚生労働省の委員会で報告した。
 同ネットによると、移植を受ける優先順位が高い患者がいる医療機関に臓器提供の可能性を連絡する際、間違った優先順位を伝えた。患者のリストに誤りがあったためで、連絡を受けた医療機関の指摘で発覚した。今後、確認作業の強化など再発防止策を徹底する。

九大に1.5億円賠償命令 病院 「脳腫瘍の疑い」見落とす…福岡地裁 indexへ

 九州大学病院(福岡市)の医師が脳腫瘍の疑いがあるとする検査結果を見落とし、脳腫瘍を放置したため後遺症が残ったとして、福岡県に住む30歳代の女性が病院を運営する九大に約1億9700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は21日、九大に約1億5750万円の支払いを命じた。波多江真史裁判長( 松葉佐 隆之裁判長代読)は、病院側の過失で後遺症が生じたと判断した。
 判決によると、女性は2006年、不眠などを訴えて同病院心療内科を受診し、頭部CT検査を受けた。放射線科の医師は脳腫瘍の疑いがあるとする報告書を作成したが、心療内科の医師がその記載を見落とした。
 女性は5年後に自宅で転倒して再び検査を受け、増大した脳腫瘍が見つかった。腫瘍の摘出手術を受けたが、記憶力の低下や左手の機能障害などが残った。
 大学側は記載を見落とした過失を認める一方、検査時点で脳腫瘍を見つけていても後遺症は残ったと主張。しかし、判決は「見落としがなければ腫瘍が増大する前に摘出手術を受け、後遺症を防げた可能性が高かった」と判断。今後の介護費用などの賠償責任を認めた。
 女性の母親は判決後に福岡市で記者会見し、「娘は前日の出来事も忘れるようになり、普通の生活を奪われた。九大には謝罪をしてほしい」と話した。九大は「結果として治療開始が遅れたことを大変申し訳なく思う。判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」とのコメントを出した。

診療報酬8800万円 保険者に返還へ…玉名中央病院 indexへ

 熊本県玉名市の公立玉名中央病院が嘱託医を常勤医として診療報酬を請求した問題で、同病院は4日、4年間分の診療報酬を保険者に返還する方針を明らかにした。九州厚生局から自主返還を指導されたためで、病院は返還額を8846万円と試算している。
 問題の診療報酬は、患者の血液や尿の検査に対して支払われる「検体検査管理加算」で、常勤医がいると診療点が高くなる。病院は2015年4月から、担当する常勤医1人がいると九州厚生局に届けていたが、実際は嘱託医だった。  病院の就業規則では常勤医の所定労働時間を週5日(40時間)と定めるが、嘱託医は週4日勤務で、足りない1日を「研修日」として常勤扱いにしていた。
 九州厚生局は1月から病院を調査し、4月26日付で「(当該の)医師は常勤とは認められない」と通知。期間中の診療報酬の請求を自己点検し、不適切な請求部分は自主的に返還するよう指導した。
 同病院の島崎賢二事務部長は「厚生局の指導を 真摯に受けとめ、再発防止を徹底したい」と話した。

透析中止で死亡 病院説明「適切」…学会が見解 indexへ

 東京都 福生市の公立福生病院で透析治療を中止した患者の女性(当時44歳)が死亡した問題で、日本透析医学会は5月31日、病院側の対応について、患者や家族に対する説明と同意が適切に行われていたとする見解を公表した。
 同学会は、同病院の医師への聞き取り調査や提出資料を基に、当時の患者の状態を検証。女性患者が透析終了の意思を表明しており、学会も「その意思が尊重されてよい事案」との判断を示した。
 一方で、この女性以外に、透析の見合わせや中止をした計23例については、医療者側からの具体的な説明内容は不明であるとした上で、「今後はできるだけ詳細に記載するのが望ましい」と注文を付けた。

オンライン診療で「緊急避妊薬」入手可能に indexへ

 性犯罪被害者や、避妊に失敗した女性の望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬が、オンライン診療で手に入れられるようになる。5月31日の厚生労働省の検討会で決まった。今月にも国の指針を改定し、例外的に認める。
 オンライン診療はスマートフォンやパソコンを通じて医師の診察を受ける仕組み。現行の指針では、初診時は対面診療を原則義務づけている。
 緊急避妊薬は医師の処方薬。性交後72時間以内の服用が必要だが、医療機関の受診に抵抗を感じる女性も少なくない。このため、医療機関が近くにない時や、性犯罪による心理的負担を抱える場合などに限り、初診で対面しなくてもオンライン診療を可能とする。

医学部入試「不適切」 10大学訪問調査…文科省 indexへ

 医学部の不正入試問題で、文部科学省は、昨年の調査で不適切、または不適切な可能性が高い入試があったと指摘した10大学に対し、今春入試についての訪問調査を始めた。性別や浪人年数など受験生の属性によって、合否判定に差別がなかったかを確認する。6月中にも結果を公表する。
 文科省では各大学に職員を派遣し、今春入試の受験者、合格者などのデータを分析。合格者の男女比率や年齢構成などを確認し、面接や小論文の採点基準も点検する。

不適切な鉄剤注射は根絶、食事・練習量で対処…陸連指針 indexへ

 高校駅伝の一部強豪校で貧血治療用の鉄剤注射が不適切に使われていた問題で、日本陸上競技連盟は30日、不適切な鉄剤注射の防止に関する指針(ガイドライン)を発表した。「不適切な鉄剤注射の根絶」を明記し、使用につながりやすい、やせすぎや栄養不足の選手への具体的対処法を示している。指針は、鉄剤注射根絶へ向けた、陸連の全ての施策の基本に位置付けられる。
 鉄剤注射は、重度の貧血治療に使われる一方、持久力を高める効果があるとして女子の長距離選手を中心に全国的に広まったとされる。陸連は、一部強豪校での不適切使用が明らかになった昨年12月、「不適切な注射の禁止」を明確にしたうえで指針の策定を決めた。
 指針では、鉄剤注射が「若い競技者の生涯にわたる身体的・精神的な健康を阻害する」と指摘。繰り返して使用した場合、鉄の過剰摂取状態に陥り、肝機能障害などを引き起こす恐れがあると説明する。
 鉄剤注射が広がった背景について、体内の鉄分不足を招く「食事制限」と「過度なトレーニング」の2点を挙げ、対策として食事の増量や練習量の抑制を求めた。また、全国高校駅伝大会については今年から、出場選手に血液検査の結果報告を求め、異常値や虚偽申告があったりした場合は、ヒアリングをしたうえで出場停止や順位を 剥奪する可能性もあると明記した。
 陸連は指針の内容を冊子にまとめ、6月中旬以降、陸上部のある全国の中学、高校、47都道府県の教育委員会、日本学生陸上競技連合、日本実業団陸上競技連合など計約1万か所に配布する。

千葉大病院で肺がん見落とし、治療開始遅れる indexへ

 千葉大医学部付属病院(千葉市)は29日、70歳代男性患者の肺がんを見落とし、治療の開始が2年1か月遅れたと発表した。男性は治療中。同病院は昨年6月、がんの見落としで男女2人の患者が死亡したと発表したが、その時点では男性の肺がんを把握していなかったという。
 発表によると、男性は2013年に同病院で舌がんを手術。その後、年2~3回、コンピューター断層撮影法(CT)検査を行い、耳鼻咽喉科の担当医が経過観察していた。ところが、16年5月以降、放射線診断医に4回依頼したCT画像の診断報告書が作成されなかったこともあり、肺がんに気づかなかった。今年1月、男性は別の医療機関で肺がんの疑いを指摘され、同大医学部付属病院の呼吸器内科を受診。18年5月の画像を見直したところ、肺がんが確認された。
 同病院は「17年1月には肺がんに気づけた。CT検査の数が非常に多く、放射線診断医が足りなかった」と釈明している。

「世界で最も高価な薬」認可…2億3000万円 indexへ

 米食品医薬品局(FDA)は24日、全身の筋力が低下する難病の脊髄性筋 萎縮症(SMA)について、スイス製薬大手ノバルティスの新たな遺伝子治療薬を認可したと発表した。ロイター通信によると、1回分の価格は212万5000ドル(約2億3000万円)で、「世界で最も高価な薬」としている。
 SMAは体がまひし、呼吸困難などに陥る病気で、主に小児期に表れる。筋肉を動かす神経細胞に関わる遺伝子の異常が原因とされる。難病情報センター(東京)によると、小児期までに10万人に1~2人の割合で発症するという。
 承認された治療薬は、この遺伝子に異常があった2歳未満の乳児が対象。ウイルスを使って体内に正常な遺伝子を運び、筋肉を動かせるようにする。FDAは「臨床試験で明らかな症状の改善が見られた」として認可を決めた。
 SMAを巡っては、米国内で別の治療薬が既に認可されているが、継続的な投与が必要となる。一方、今回の新薬は1回の投与で効果が長期間続くとされる。ノバルティスは日本での認可も目指している。

群大手術死執刀医ら、遺族が改めて行政処分要望 indexへ

 手術死が相次いだ群馬大学病院の遺族が執刀医ら2人の行政処分を求めている問題で、遺族会と弁護団は22日、賛同の署名6363人分を厚生労働省に提出した。医師法に基づく行政処分は対象者に再教育を義務づけている。遺族は「反省がない以上、再発防止のために処分が必要」と改めて要望した。
 遺族会は、専門家の調査が終わった後の2017年夏、執刀医、元教授と面談。2人は調査で指摘された問題を認めず、大学を解雇された後も医師の仕事を続けていたという。遺族会は同年9月と今年2月、処分を求める要望書を提出していた。
 行政処分には医師免許の取り消しや医業停止などがあり、医道審議会を経て決まる。刑事罰に追随した処分となっているのが実情だが、2人は刑事罰を受けていない。厚労省は「慎重に検討している」とする。
 東京都内で記者会見した遺族会代表の木村豊さん(50)は「反省せず再教育もなく医療を続ければ、第二、第三の被害が出るかもしれない」と指摘。同じく代表の小野里和孝さん(39)は「厳しい処分を」と訴えた。

保健医療経営大 募集停止を発表 indexへ

 保健医療経営大(福岡県みやま市)は20日、2020年度に入学する学生の募集を停止し、今春入学した学生が卒業した後に閉校する方針を正式に発表した。学生の確保や経営改善が見込めないことが主な理由という。
 広田良夫学長によると、08年度に開校してから定員割れが続き、同大を運営する学校法人をつくった社会医療法人(同県久留米市)からの借入金などが膨らんだ。文部科学省からも財政健全化に向けた指導を受けており、他大学との統合も検討していたが難しいと判断した。広田学長は「全ての学生が卒業するまで教育の質を落とさずに運営にあたりたい」と述べた。

保育園で石綿対策せず改修工事…園児いる時間帯 indexへ

 長野県飯田市の私立保育園で昨年12月、園児や職員がいる時間帯にアスベスト(石綿)飛散のおそれがある改修工事が行われていたことがわかった。園は県に作業の届け出をしておらず、大気汚染防止法に基づき、県の行政指導を受けた。今のところ、園児らから健康被害の報告はないという。
 保育園を運営する社会福祉法人によると、工事は市内の業者2社が昨年12月20、21日に実施。園舎2階天井裏の改修工事で鉄骨に石綿が吹き付けられているにもかかわらず、飛散防止対策をせずに天井板をはがし、周囲に飛散させた可能性がある。当時、園内には園児約120人と職員約30人がいたという。
 石綿は、吸い込むと15~50年程度の潜伏期間を経て中皮腫や肺がんなどを引き起こすおそれがあるとされる。園では、今後被害が出た場合の対応などを保護者と協議しているという。
 同法人は「不勉強だった。大事なお子さんを預かっている立場として大変申し訳ない」と話している。

乳がん薬投与後3人死亡、厚労省が注意喚起指示 indexへ

 厚生労働省は17日、昨年11月から今年5月までに、乳がん治療薬「ベージニオ錠」(一般名・アベマシクリブ)を使った患者14人が重い間質性肺疾患を発症し、うち3人が死亡したと発表した。死亡した1人を含む4人は、薬との因果関係が否定できないという。製造販売元の日本イーライリリー(神戸市)に対し、薬の添付文書の改訂と医療関係者への注意喚起を指示した。
 厚労省によると、ベージニオ錠は、手術ができなかったり、再発したりした乳がん患者に使われる飲み薬。昨年9月に製造販売が承認され、11月に発売されて以降、約2000人が使用しているとみられる。
 注意喚起では、医療関係者には、呼吸困難など間質性肺疾患の初期症状に注意し、異常があれば投与を中止するよう求める。薬を使う患者には、息切れや息苦しさ、空せき、発熱などの症状が出たときは、すぐに医師や薬剤師に連絡するよう呼びかける。

精神保健指定医の資格不正 国の処分「違法」…東京地裁判決 indexへ

 精神保健指定医の資格不正取得問題で、厚生労働省から資格取り消し処分を受けた田沼龍太郎医師が、国に処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁(古田孝夫裁判長)は15日、国の処分を違法として、取り消しを命じた。厚生労働省によると、この問題で処分の取り消しを命じた判決は初めて。同省は「判決内容を精査し、対応を検討する」としている。
 判決によると、同省は2016年、北里大東病院(神奈川)に勤務していた田沼医師が指定医の資格を申請する際、患者の診断や治療への関与が不十分なのに、十分に関わっていたとするリポートを提出したとして、資格を取り消した。
 国側は「診療録の一部にしか田沼医師の名前がなく、不正なリポートだ」と主張したが、判決は「診断に十分に関与した」と認定した。

保健医療経営大 募集停止へ…福岡・みやま indexへ

 保健医療経営大学(福岡県みやま市)が、2020年度に入学する学生の募集を停止することが、同大関係者への取材でわかった。08年度に開校してから定員割れが続き、今後も学生の確保が難しいと判断したとみられる。今年度に入学した学生が卒業した後に閉校する見通し。
 関係者によると、今月11日、同大を運営する学校法人「ありあけ国際学園」の理事会が開かれ、来年度の学生募集を停止する方針を決定。早ければ22年度末に閉校するという。
 同大は、保健医療経営学科のみの4年制単科大。病院経営に携わる人材を育成するために設立され、約10ヘクタールの用地は、みやま市が無償で貸与している。
 同大のホームページによると、初年度から大幅な定員割れとなり、17年度の入試でも定員80人に対して、志願者は65人で、入学者も42人にとどまっていた。
 同大は読売新聞の取材に「関係機関に説明中で、現時点ではコメントできない」としている。

致死量3人分の筋弛緩剤1本を紛失…大阪の病院 indexへ

 大阪市大正区の大阪府済生会泉尾病院が4月下旬、手術の麻酔に使う筋 弛緩剤「エスラックス」1本(50ミリ・グラム)を紛失していたことがわかった。
 筋弛緩剤は呼吸困難を引き起こす作用があるため、医薬品医療機器法で毒薬に指定されており、1本で大人3人分の致死量に相当する。病院は市保健所と府警大正署に届け出た。
 捜査関係者によると、4月25日午前0時頃、病院で薬を管理する職員が、薬剤室の金庫に保管していた筋弛緩剤が1本足りないことに気づいた。金庫は施錠されていたという。
 泉尾病院は取材に対し、「盗難か紛失か、わからない状況。捜査を見守りたい」と説明している。

大津市民病院 分娩休止へ…医師不足で6月から indexへ

 地方独立行政法人・市立大津市民病院(大津市)で6月1日から当面の間、医師不足を理由に 分娩の取り扱いを休止することがわかった。滋賀県医師会などと連携し、近隣の医療機関で出産できるよう対処する方針。
 産婦人科医6人のうち、1人が3月末に退職し、2人も5月末に辞めるという。近隣の大学に医師の派遣を要請したが、確保できない状況だという。
 同病院の昨年度の分娩実績は218件。6月以降に出産する妊婦66人には他の医療機関を紹介する。分娩以外の診察などは続ける。
 大津市民病院は「迷惑をかけて申し訳ない。態勢が整い次第、再開したい」とコメントしている。

介護職員半数以上 ハラスメント被害…利用者から indexへ

 特別養護老人ホーム(特養)や訪問介護事業所などの介護職員の半数以上が、利用者から身体的・精神的な暴力や性的な嫌がらせなどのハラスメントを受けた経験があることが、厚生労働省が初めて実施した調査でわかった。同省は10日、事業者向けの対応マニュアルをまとめた。
 調査を委託された三菱総合研究所が今年2月、介護事業所を通じ、約1万人の介護職員から回答を得た。特養職員の70.7%、訪問介護職員の50.1%が「利用者からハラスメントを受けたことがある」と回答。利用者家族からの被害経験がある人も2割程度いた。
 昨年1年間に受けた被害の内容(複数回答)は、特養では身体的暴力が最多で90.3%。訪問介護では精神的暴力が81%。被害を受けた特養職員の22.1%、訪問介護職員の9.2%はハラスメントを原因に病気やケガをしたことがあった。

介護保険料に計算ミス、200億円不足の可能性 indexへ

 厚生労働省は4日、40~64歳の会社員らが健康保険組合などを通じて納める2019年度の介護保険料に計算ミスがあったと発表した。本来の徴収予定額に対して、約200億円不足する可能性がある。厚労省は、介護保険を運営する市町村に影響を与えないように対応する方針で、各健保組合などに対し、不足分を解消するよう求めている。
 会社員が負担する介護保険料は、健保組合などが徴収を代行している。保険料の納付額は、各健保組合が、厚労省所管の法人「社会保険診療報酬支払基金」が示す係数を参考にして計算するが、この係数の一部に誤りがあった。厚労省は、「(同基金が)係数の計算に使う加入者数を誤ったことが原因。誠に遺憾」としている。
 厚労省によると保険料の不足見込み額は、企業の健保組合で計約150億円、公務員の共済組合で計約50億円。各健保組合が19年度の予算編成を終えた後にミスが判明したため、一部で不足分の解消に対応できない事態も懸念されている。
 このため、一部の健保組合が20年度予算で対応するまでの間、厚労省は不足分の納付猶予を認める方針だ。同基金が一時的に保険料を肩代わりすることも検討している。
 計算ミスは、19年1月に同基金から厚労省に報告された。厚労省は保険料の再計算を指示したが、各健保組合への正式な連絡は、正しい数字が確定した3月になってからだったという。

社会福祉士国家試験で出題ミス、418人を追加合格に indexへ

 厚生労働省は28日、今月15日に合格発表を行った今年度の社会福祉士国家試験について、出題ミスがあったため合否判定をやり直し、418人を追加合格にしたと発表した。
 追加分を合わせた合格者は1万2456人となった。選択式の問題で正答とされていた選択肢の内容にミスがあり、全員に得点を与えることとした。

医師残業「月155時間」で過労死ラインの倍…研修医ら2024年度から上限 indexへ

 厚生労働省は28日、地域医療を担う特定の病院の医師らについて、特例として残業時間の上限を年1860時間(休日労働含む)まで認めることを決めた。月155時間の残業に相当し、「過労死ライン」(月80時間)のほぼ2倍。2024年度から適用される。
 この日開かれた有識者検討会に同省が報告書案を示し、了承された。1860時間の上限が適用される地域の病院は、国が定めた指標をもとに都道府県が選定し、1500か所程度になる見通し。技能を磨きたい研修医らも、本人が希望すれば適用対象となる。連続勤務は28時間までに制限するなど健康確保の措置を病院側に義務づける。
 報告書では、長時間労働の是正には、医師の仕事の一部を他職種に任せる「タスクシフト」や都市部に医師が集中する「偏在」対策の推進の必要性も指摘した。一方、正当な理由がなければ診療を拒めない医師法の応召義務については、医師に際限のない長時間労働を求めているわけではないとして同省研究班が今夏をめどに具体的な解釈を示す。
自殺遺族は憤り
 
 「国は本気で過労死をなくそうと思っているのか」。報告書を受け、16年に過労自殺に追い込まれた女性研修医(当時37歳)の遺族は憤った。
 遺族によると、女性は15年4月、消化器外科の研修医として新潟市民病院に着任し、手術や診察に加え、院内の勉強会などにも参加。着任以降、休日はほとんどなく、深夜の帰宅後に緊急手術で未明に呼び出されることもあった。夏頃から物忘れが多くなり、身なりを整える余裕もなくなっていったという。16年1月、同市内の公園で自殺した。
 新潟労働基準監督署は17年5月、長時間労働が原因で、うつ病を発症し、自殺したと労災認定した。労基署の調査では、女性の発症前1か月間の残業時間は177時間に達し、休みは1日だけだった。
 女性のように、訓練しながら病院の「戦力」として働く研修医は多い。報告書は、研修医ら若手の医師などについて年1860時間の時間外労働を認める一方、終業から次の始業まで休息する「勤務間インターバル」を9時間取得することも義務づけた。女性の遺族は「月155時間の残業が許される状況では、追い込まれる医師が必ず出る。せめてインターバルを取れる態勢をしっかり確保し、残業時間の上限は早く見直すべきだ」と声を絞り出した。

東京医大の評価、「適合」から「不適合」に変更…大学基準協会 indexへ

 大学の運営状況などを評価する公益財団法人「大学基準協会」は26日、入試での不正な得点操作があった東京医科大(東京)について、2017年度の評価結果を「適合」から「不適合」に変更したと発表した。
 各大学は、同協会など文部科学相が認定した外部評価機関の審査を7年以内ごとに受けるよう義務付けられている。同協会は昨年3月に発表した17年度の審査で、東京医科大を「適合」と評価した。しかし、その後、文科省事業を巡る汚職事件や不正入試が発覚したことから同協会は再評価を実施し、「公正かつ適切な学生の受け入れが実施されているとはいえない」などとして、評価結果を「不適合」に変更した。
 文科省によると、外部評価で不適合とされた大学に対するペナルティーなどはないが、問題点を改善し、再審査を受けるのが一般的という。東京医科大は「今後の対応も含めてコメントできない」としている。
 大学の外部評価制度を巡っては、不適合の大学に改善報告や関連資料の提出を求めることができる学校教育法の改正案を文科省が今国会に提出しており、制度を厳格化する方針だ。

公立福生病院で透析受けず21人死亡…中止の女性、「透析再開」求めた記録 indexへ

 東京都 福生市の「公立福生病院」で透析治療の中止を選んだ患者の女性(当時44歳)が昨年8月に死亡した問題で、この女性を含め、同病院で透析治療を受けない選択をしたり中止したりした患者計21人が死亡していたことを都が確認した。また、この女性が亡くなる前に透析の再開を求めたとの記録を診療録(カルテ)で確認したことも判明。都は、病院側の一連の対応が適切だったかどうか調べている。
 都のこれまでの調査で、同病院の腎臓病総合医療センターが2013年4月に開設して以降、44歳の女性に加え、80代の女性2人と50代の男性1人の計4人が透析治療を中止していたことが判明。さらに、透析経験のない患者17人が、透析治療を受けない「非導入」を選択していた。これらの患者について、都が診療録の確認や追跡調査を行った結果、計21人全員が死亡していることが確認されたという。
 一方、昨年8月に死亡した女性について、同病院は、医師や医療ソーシャルワーカーら複数人で、女性本人と夫にリスクも含めて透析治療の中止について説明。女性は中止を選んで意思確認書に署名し、その5日後に同病院に入院、さらに2日後に死亡した。
 しかし都が女性の診療録などを確認したところ、女性が入院後に透析再開を求めた旨の記録が残されていた。また、病院側が女性に、意思確認書で同意した治療方針を変更できることを説明しておらず、患者の意思決定に関するルールが適切に整備されていなかったことも都が確認したという。

医師が「透析中止」提示、患者死亡…東京都が立ち入り検査 indexへ

 東京都福生市の「公立福生病院」で昨年8月、人工透析治療を中止した40歳代の腎臓病患者の女性が約1週間後に死亡していたことがわかった。外科医が治療方針についての話し合いの中で人工透析をやめる選択肢を示し、女性が中止を選んだという。同病院を監督する都は6日、透析治療の中止などに関する指針から逸脱していた可能性があるとして、医療法に基づく立ち入り検査を行った。
 同病院は、福生市と羽村市、瑞穂町でつくる福生病院組合が運営。都などによると、女性は昨年8月9日、人工透析治療を受けていた別の診療所の紹介で、同病院の腎臓病総合医療センターを受診した。今後の治療方針についての話し合いで、医師は透析治療をやめる選択肢を提示し、女性の夫にも、治療をやめれば命に関わる旨も伝えた。
 話し合いの結果、女性は透析治療をやめることを選び、意思確認書に署名して帰宅したという。その後、女性は「息が苦しい」などと訴え、同14日に同病院に入院したが、容体が悪化して同16日に死亡した。都は、女性が途中で、透析治療の再開を求める意思表示をしなかったかなど経緯を調査している。
 同病院は「都の調査が入っているのでコメントできない」としている。
透析医学会、独自調査へ
 問題の発覚を受け、日本透析医学会は7日、独自に調査することを決めた。同学会理事の土谷健・東京女子医大教授を委員長とした調査委員会を近く発足させる。患者の死亡にかかわった医師らから、診療の経緯などを聞く方針だ。
 同学会が2014年に示した提言では、透析中止を検討する状況について、「安全に行うのが困難で、患者の生命を著しく損なう危険性が高い」「患者の全身状態が極めて不良で、患者の意思が明示されている」といった場合に限定。終末期の患者を対象としている。
 厚生労働省が18年3月に改訂した終末期の指針では、医療行為の中止について、「医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべき」と求めている。
 同学会の提言作成にかかわった理事の岡田一義・川島病院(徳島市)副院長(腎臓内科)は「終末期ではない患者に医師が透析中止を提案したのだとすれば問題で、医師の倫理から外れている」と話している。
医療ミスで1千万円支払いへ 入院中の80代男性死亡 indexへ

 大分県国東市の市民病院で2017年7月、治療を受けた同市内の80代男性が、医療ミスが原因で死亡していたことが4日、わかった。病院側はミスを認め、遺族に和解金や損害賠償金として1千万円を支払う議案を11日開会の市議会に提案する。
• 今年も届いた花 広尾病院事故から20年、遺族の思い
 病院によると、男性は尿路感染症や脱水症の疑いで17年7月19日に入院。21日午前11時ごろ、治療のため30代医師が静脈に点滴用カテーテルを挿入したところ、左肺に気胸を起こして呼吸不全や循環不全となり、意識が戻らないまま同日午後4時ごろに死亡した。カテーテルの針の先が静脈を突き破って、肺に達したとみられる。
 遺族が同年7月、「医療事故調査委員会にかけて」と要請。病院側は翌月に委員会を設置し、医療事故調査・支援センター(東京)へも届けた。17年8月28日~18年8月2日に計5回、大分大医学部の平松和史・医療安全管理部教授ら病院外部を含む12人と原因や再発防止策を調査。病院は医療ミスを認め、野辺靖基・市民病院事業管理者兼院長は昨年末に遺族に謝罪した。和解金は市民病院事業特別会計から支払われる。

カテーテル抜く際、処置誤る 70代患者に後遺症 indexへ

 名古屋市は20日、市立東部医療センター(千種区)で医療事故があり、市内の70代男性患者に後遺症が残ったと発表した。賠償金約476万円を支払うことで和解し、関連議案を2月定例市議会に提案する。
• 広尾病院、死亡事故から20年 医療安全は進歩したか
 市によると昨年2月、患者の右の内頸(けい)静脈から透析用カテーテルを抜き去る際の処置を医師が誤った。血管に流れ込んだ空気が脳に達した影響で、男性は動作が緩慢になるなどの障害が残ったという。

便秘治療、過って直腸に穴 立ったまま浣腸、人工肛門に indexへ

 高知市の高知医療センターで、入院中の80代男性患者に看護師が便秘治療のため浣腸(かんちょう)をした際、過って直腸に穴を開ける医療事故があったことが分かった。症状悪化を防ぐため患者は人工肛門(こうもん)を開設する手術を受け、経過観察のためセンターに通院しているという。
 医療センターを運営する高知県・高知市病院企業団の議会が18日に開いた議員協議会でセンターが報告した。島田安博病院長の説明によると、事故があったのは昨年11月以降。患者は別の病気で入院中で慢性便秘だった。看護師は患者の求めに応じ、立った姿勢で浣腸のチューブを挿入した。
 だが排便が難しく、肛門周囲に少量の出血などがあったため詳しく調べたところ、直腸に穴が開いていることが確認されたという。
 島田病院長によると、ベッドで横たわった状態で浣腸をするのが通常の処置。立った姿勢の場合は直腸に穴が開く事例が知られている。だが、看護師は認識していなかったと話しているという。
 患者は経過が良好であれば半年後をめどに人工肛門を閉じる。島田病院長は「高齢者に負担をかけ、申し訳ない。今後は、通常と異なる処置をする時は上司に相談するなど原点に返った対応をしたい」と話している。

虫歯治療後2歳死亡…異変にも医師「問題ない」 indexへ

 福岡県春日市の歯科医院で2017年7月、女児(当時2歳)が虫歯の治療を受けた後に容体が急変して死亡する事故があり、県警は7日午後にも、当時の男性院長を業務上過失致死容疑で福岡地検に書類送検する方針を固めた。
 亡くなった女児は、同市の山口叶愛(のあ)ちゃん。捜査関係者らによると、叶愛ちゃんは17年7月1日、歯茎に局所麻酔をかけられ、歯を削るなどの治療を受けた。治療後、叶愛ちゃんがぐったりした状態になったのに、元院長は適切な処置を怠り、2日後、死亡させた疑いが持たれている。死因は低酸素脳症だった。
 叶愛ちゃんの両親らによると、両親が治療直後に叶愛ちゃんの異変に気づき、「様子がおかしい」と医院側に訴えたが、元院長は脈を計測して「特に問題ない」と話したという。このため、両親が近くの病院に連れて行った。
 元院長の代理人弁護士は7日、読売新聞の取材に「専門家として求められる措置は取っており、対応は適切だった」と主張。両親はこれまでの取材に「なぜ治療を受けた後、命を落とさなければならなかったのか。真相を解明してほしい」と訴えていた。

アドレナリン過剰投与で女子高生死亡…医師を書類送検 indexへ

 大阪府高石市の病院でアレルギー症状を抑える薬を過剰投与し、女子高校生(当時18歳)を死亡させたとして、府警は6 日、男性医師(44)を業務上過失致死容疑で書類送検した。医師は「正しく治療していれば、死ななかったと思う」と容疑を認めているという。府警は、検察 に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。
 発表では、男性医師は2015年12月、非常勤で当直を務めていた高石藤井病院で、目の腫れなどを訴えていた高校3年の女子生徒に、適正量の2倍を超えるアドレナリン薬を投与するよう看護師に指示し、約3時間後に死亡させた疑い。医師は現在、別の病院に勤務している。
 この薬は本来、筋肉などに注射すべきだが、医師は用法を確認せず、点滴で投与するよう指示していた。
 生徒の両親は16年、病院を運営する医療法人と医師に損害賠償を求め提訴。法人と医師は過失を認め、17年に和解が成立している。

高槻赤十字病院、はしか受診制限を陳謝…「検査やワクチン接種の予算不足」 indexへ

 大阪府高槻市の高槻赤十字病院が麻疹(はしか)の疑いのある患者の受け入れを制限していた問題で、同病院の古川福実院長らが5日、記者会見を開いて「地域の皆さんにご迷惑をかけた」と陳謝した。
 地域医療の要として、かかりつけ医の紹介状を持参した患者を受け入れ ている同病院では、来院患者の感染が2月12日に判明。同15日から他の医療機関に対し、はしかの疑いのある患者の紹介を控えるようホームページで通知し ていた。同時期、府内では患者が急増しており、高槻市保健所は速やかに通常の診療に戻すよう要請した。
 古川院長は対応の理由について、▽医師や看護師を含むスタッフ約 600人の免疫を確認する検査やワクチン接種の予算が不足していた▽建物の構造上、他の患者と接触しないよう誘導するのが難しかった――などと説明。通知 については「『はしか患者は診療しない』というふうに受け止められても仕方がないと思う。ホームページを見て受診を自主規制した人がいたとしたら申し訳な い」と話した。
 病院では今月3日まで、患者と接触した可能性がある入院患者ら30人以上の健康状態の確認、スタッフ全員の免疫検査の実施など、院内感染対策に追われた。この間、はしかの疑いがある患者3人が直接来院し、災害救護車の中などで診察した。
 4日以降は、はしか患者に対応できる医療チームを編成し、態勢を立て直したという。古川院長は「はしかに対する備えが十分でなかった。今後は免疫の検査とワクチン接種を徹底して対応したい」と話した。

介護ベッド事故やまず…07年以降、挟まれ43人死亡…安全な規格に交換遅れ indexへ

 介護用ベッドの利用者が手すりに首や手足を挟まれる重大事故が後を絶たない。消 費者庁への報告が義務づけられた2007年以降、79件が発生し、このうち43人が死亡した。大半が介護施設などでの事故とみられ、安全対策を強化した ベッドへの入れ替えが進まないことが背景にある。
 死亡事故の中で多いのが、手すりと手すりの隙間や、手すりと頭部のボードとの間に首が挟まれるケースだ。重傷事故では、手すりの隙間に腕や足などを挟まれ、骨折する高齢者が多い。
 「入所者が手すりに片手を突っ込んだ状態でリクライニングを動かしてしまい、強い力で挟まれたことがあった」。東北地方の特別養護老人ホームで働く男性職員はそう打ち明ける。
 07年施行の改正消費生活用製品安全法では、生活関連製品による重大事故や火災が発生した場合、メーカーなどに国への報告が義務づけられた。以後、介護用ベッドに関する重大事故は毎年数件~十数件が報告され、同庁は、大半が認知症の高齢者とみている。
 07、08年度に計27件の重大事故が報告されたことから、経済産業省は09年3月、介護用ベッドに関する日本工業規格(JIS)を改正。頭や手足が挟まらないよう、手すりの隙間を狭くするなどの安全対策が強化された。
 重大事故が後を絶たないのは、規格改正前のベッドが依然利用されているためだ。介護用ベッドメーカーの業界団体「医療・介護ベッド安全普及協議会」などによると、介護用ベッドは高いもので50万円を超える。大量に入れ替えた場合の負担は大きい。
 消費者庁の担当者は「十分な見守りができない場合は、できるだけ改正後のベッドを利用してほしい」と呼びかけている。
 
隙間塞ぐだけでも効果
 
 規格改正後の介護用ベッドへの入れ替えが難しい場合、手すりの隙間を塞ぐことが事故防止に有効とされている。各メーカーが配布する専用の補助器具やカバーのほか、クッションや毛布などで隙間を塞ぐだけでも効果がある。
  向殿政男・明治大名誉教授(安全学)は「介護用ベッドの重大事故は、あまり知られておらず、国はもっと注意喚起する必要がある。事故がなくならなければ、規格改正前のベッドの使用を禁止する措置も検討すべきだ」と指摘している。

てっちり、豚しゃぶ、すしなど食べ21人食中毒…14人からノロウイルス検出 indexへ

 大阪市は3日、同市北区の飲食店「がんこ梅田本店」で食事をした男女 21人(18~83歳)が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴え、うち11人と従業員3人からノロウイルスが検出されたと発表した。市は店の食事が原因の 集団食中毒と断定し、5日までの営業停止を命じた。
 市によると、2月24~25日にてっちりや豚しゃぶ、すしなどを食べ、24日夜~27日に発症した。入院した人はおらず、全員快方に向かっているという。

肺がん治療薬の副作用か、2年半で52人が死亡 indexへ

 肺がん治療薬「タグリッソ」の副作用とみられる症状で、約2年半で52人が死亡していたことが、製造販売元のアストラゼネカによる調査で判明した。報告を受けた厚生労働省は、患者の治療歴に注意して使うよう呼びかけた。
 調査は、2016年3月から昨年8月までに、タグリッソによる治療を 受けた患者3578人を調べた。このうち2079人に下痢や爪の炎症などの副作用がみられた。亡くなった52人中、27人が間質性肺疾患を発症していた。 背景を調べたところ、免疫治療薬オプジーボでの治療後にタグリッソを使うと、治療歴のない患者と比べ、同肺疾患を発症するリスクが2倍以上に高まることが わかった。

がん見落としで杉並区と医療法人を提訴…肺がん検診受けた70代男性 indexへ

 東京都杉並区の肺がん検診でがんを見落とされ、病状が悪化したとして、同区の70歳代の男性が28日、同区と社会医療法人「河北医療財団」に約1600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 同区の肺がん検診では、同法人が運営する「河北健診クリニック」でがんを見落とされた女性が昨年6月に死亡。同区が検診を受けた約9400人のレントゲン画像を再調査し、原告を含む44人の精密検査が必要だと判断した。
 訴状によると、男性は2017年8月の検診で「異常所見なし」とされ たが、再調査後の昨年8月に肺がんと診断された。原告側は訴状で「見落としがなければ、ステージI(5年生存率約83%)でがんを発見できたが、診断時は ステージ3(同約22%)まで進行していた。重大で深刻な被害を受けた」と主張している。
 同区は「病状の回復を心よりお祈り申し上げる。訴状が届き次第、対応を検討する」とコメント。同法人は「訴状を拝見しておらず、コメントしかねる」としている。

「脂肪吸引で痛み」「二重まぶた腫れ」美容医療トラブルで男性の相談、年400件 indexへ


 整形手術や脱毛などの「美容医療」を巡り、施術を受けた男性がトラブルを訴える ケースが多発している。国民生活センターには年間400件前後の相談が寄せられるほか、医師に損害賠償を求める訴訟も起きた。消費者庁は、専門機関に相談 することなどを呼びかけているが、ためらう男性は多いとみられ、専門家は「男性が話せる窓口の拡充が必要」と指摘する。
  国民生活センターによると、美容医療に関する相談件数は、2017年度は1878件。ピークだった14年度の2501件より減ったものの、毎年2000件 前後にのぼっており、高止まりが続く。このうち、男性からの相談は、17年度は20%の382件。過去10年間で見ても、年間約400件前後にのぼる。
 相談内容は、「脂肪吸引の手術を受け、痛みが残った」「二重まぶたに整形したが、腫れがひかない」など。症状などの改善のために、更なる手術を求められたケースもあり、女性と同様に様々なトラブルが起きているという。
 医師らでつくる「日本美容外科学会」(JSAS、東京)によると、ホームページなどで「男性歓迎」をPRしたり、専用待合室を設けたりする美容医院も増えてきている。特に都市部で目立つという。
 
賠償提訴
 
 施術を受けた男性が訴訟を起こすケースも生じた。
  大阪府内の男性(58)は17年3月、脂肪吸引手術で痛みが出たとして、大阪市内の美容外科の医師に慰謝料など約270万円の賠償を求めて提訴。訴状によ ると、会社勤めの男性は仕事でストレスを感じるうちに、体形をスリムにして自信を取り戻したいと考え、ホームページで探して来院。13年に1900ccの 脂肪を吸引する手術を受けた。
 しかし、腹部にへこみが残ったほか、手術痕が引きつるなどの痛みが出たという。 男性は「医師は危険性に関する説明義務を怠り、吸引量も過剰だった」と主張し、美容外科側は「吸引行為は適切で、へこみは通常の人と同程度」と反論。訴訟 は昨年6月、美容外科側が50万円を支払い、再発防止策を講じると誓約するなどの内容で和解した。
 
ためらい
 
 美容医療のトラブルについて、消費者庁は、ホームページや広告をうのみにせず、手術内容や危険性を把握することが重要として、相談業務を行う各地の医療安全支援センターなどに相談するよう呼びかけている。また、異常を感じたら、すぐに医療機関を受診するよう助言する。
 しかし、相談をためらう男性は少なくないとみられる。内閣府が12年にまとめた意識調査結果で「悩みがあったら気軽に相談する」と回答した男性は2割しかおらず、「男性は悩みや弱音など私的な感情を見せない志向性がある」とされた。
  著書に「『男らしさ』のゆくえ」がある京都大の伊藤公雄・名誉教授(文化社会学)は「男性は、問題を自分一人で解決しようとする傾向が強い。『美容医療を 受けるなんて男らしくない』との考えも根強く、相談できずに苦しむ男性は多いのではないか。相談窓口を週に1回は男性専用にするなどして、相談しやすい環 境を整える必要がある」と話す。

医師充足度、最大2・2倍差…産科・小児科の都道府県別推計 indexへ


 医師が都市に集中し、地方で不足する「偏在」の解消を目指している厚生労働省は27日、産科医と小児科医の都道府県別の充足度について、両科とも最大2・2倍の開きがあったとの推計結果を明らかにした。
 単純な人口比の医師数ではなく、医師の性別や年齢、患者の需要などの影響も加えた指標で示した。値が大きい方が充足度が高い。
 産科で1位は東京(18・4)で、秋田(15・8)、和歌山(14・3)と続いた。最下位は新潟(8・2)で、熊本(8・6)、福島(8・8)の順だった。
 小児科では1位が鳥取(173・8)で、東京(142・4)、京都(140・6)が続いた。最下位は茨城(78・3)で、埼玉(79・0)、鹿児島(82・7)の順だった。
 医師全体の偏在指標でみると、1位は東京で、最下位の岩手とは1・9倍の開きがあった。値はいずれも暫定値としている。
 厚労省は、この日開かれた有識者検討会に産科、小児科の推計結果を示すとともに、医師の偏在解消策などを盛り込んだ中間とりまとめ案について大筋で了承を得た。

入院患者と職員計17人がインフル集団感染、患者2人死亡 indexへ

 群馬県藤岡市のくすの木病院(高木均院長、214床)は22日、入院患者8人と職員9人の計17人がインフルエンザA型に集団感染し、このうち患者の2人が死亡したと発表した。
 発表によると、今月13日に職員1人の感染が判明。22日までに20~90歳代の男性8人と 女性9人の感染が確認された。このうち70歳代男性が19日に肺炎で、90歳代男性が21日に多臓器不全で死亡した。インフルエンザの感染と死亡との関連 は不明という。現在も8人が治療を受けている。

ビルの受水槽からノロウイルス、飲食店利用した6人が発症 indexへ

 神戸市は20日、神戸市中央区・三宮の商業ビル「ゼウスタウンビル」(7階建て)で水道水を一時ためる受水槽が汚染され、ノロウイルスが検出されたと発表した。入居する飲食店を利用した20代の男性6人が下痢や 嘔吐
おうと
の症状を訴え、ノロウイルスが検出された。全員軽症という。市はこの水が原因の食中毒とみて原因を調べる。
 発表によると、4日にビル内の別の飲食店から「水から異臭がする」と市水道局に連絡があった。市保健所が調べたところ、1月上旬から複数の飲食店利用者に下痢などの症状が出ていることがわかり、一部の飲食店の水道からノロウイルスを検出したという。

旧優生保護法の強制不妊、被害者に一時金300万円超…救済法案調整 indexへ

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が行われた問題で、与党のワーキングチーム(WT)は、被害者に支給する一時金を300万円以上とする方向で調整に入った。救済法案を検討している超党派の議員連盟と協議した上で、通常国会に議員立法を提出する。
 厚生労働省によると、旧優生保護法に基づき、約1万6000人に同意なく不妊手術が行われた。同意も含めると約2万5000人に上る。一時金は、手術記録や同意の有無にかかわらず、一律に支給する。
 与党WTは、約200万円の一時金を支給したスウェーデンなど海外の救済事例も参考に、300万円以上で検討を進める。ただ、国を相手取った不妊手術を巡る訴訟では、原告側が賠償金として1000万円以上を請求しており、調整は難航も予想される。
 差別的な政策を繰り返さないための教訓として、救済法案には、当時の 社会風潮や不妊手術が強制された実態に関する「調査」も盛り込まれる方向だ。原告側は、責任の所在を含めた旧優生保護法の「検証」を求めているが、WTメ ンバーは「裁判が続いている状況で検証するのは難しい」と話している。
 WTと超党派議連は昨年12月、救済策の基本方針を了承した。法案には「我々は、 真摯に反省し、心から深くおわびする」と明記する。救済対象は原則として法施行時点の生存者とし、厚生労働省内に設ける第三者の認定審査会が申請に基づいて判断する。

別の入所者の薬、誤って飲ませる…80代男性死亡 indexへ

 東京都足立区の「特別養護老人ホームさの」で15日未明、80歳代の男性入所者が意識不明になり、搬送先の病院で死亡した。施設によると、職員が前日、別の入所者の薬を誤って飲ませたといい、警視庁が死亡との関連を調べている。
 施設によると、男性は毎日、認知症と高血圧の薬を服用していた。14日の朝食時、女性職員が、男性の隣に座っていた別の入所者の抗てんかん薬などを誤って飲ませた。職員はミスに気づいたが、薬を吐き出させなかったという。
 同日午後、男性は体調不良になり、病院で治療を受けた。その後、容体が安定し、夕方に施設に戻ったが、翌15日未明に呼吸が停止し、救急車で病院に運ばれたという。
 施設では、入所者に薬を飲ませる際、職員2人が確認することになっていた。施設の山田裕之所長は「警察の捜査に協力し、再発防止に努める」と話した。

不適切入試の昭和大医学部、5人を追加合格に indexへ

 昭和大(東京)は13日、医学部の不適切入試で不合格となっていた受験生が2017年と18年で計16人に上り、このうち入学の意思を示した5人を追加合格にすると発表した。
 今年4月の入学を認める。同大は、13年から医学部一般入試の2次試 験で現役と1浪の受験生の得点に一律に加算する得点操作を行っていたほか、補欠合格者の中から卒業生の子弟を優先的に合格させていた。同大で得点操作など がなかった場合の得点を改めて算出した結果、17年は9人、18年は7人が追加合格の対象となり、このうち17年は3人、18年は2人が入学の意思を示し たという。

高血圧症治療剤76万錠を回収…「発がん可能性物質が混入」 indexへ

 製薬大手のファイザーは8日、高血圧症治療剤の一部に発がんの可能性のある物質が含まれていたとして、アムバロ配合錠「ファイザー」約76万4000錠を自主回収すると発表した。
 対象は昨年12月3日から今年1月23日までに出荷された製品の一部で、使用期限は2021年の4月か7月。問い合わせは専用ダイヤル0120・281・787。

初診料60円上げ、10月から indexへ

 厚生労働省は6日、今年10月に予定されている消費税率10%への引 き上げに伴い、医療機関に支払われる初診料(現在2820円)を60円、再診料(同720円)を10円それぞれ引き上げることを決めた。同日開かれた中央 社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に示し、大筋で了承された。
 引き上げにより、10月以降は患者の窓口負担が増える。3割負担の患者の場合、初診料が18円増の864円、再診料は3円増の219円となる。入院基本料なども引き上げられる。
 保険医療機関の医療費は非課税となっており、医療機器などを仕入れる際に負担する消費税を医療費に転嫁できない。このため、診療報酬を増額して補充する。
 2014年に消費税率が8%に引き上げられた際は、医療機関に支払われる初診料は120円、再診料は30円それぞれ引き上げられた。

誤作動恐れの米ペースメーカー、対象製品が増加…使用患者が失神する事例も indexへ

 医療機器会社「日本メドトロニック」(東京都港区)が米国の製造元から輸入販売した心臓ペースメーカーの不具合問題で、東京都は4日、誤作動を起こす恐れのある機器が新たに778台増え、計1936台になったと発表した。
 プログラムの修正や機器の交換が必要で、同社は、納入先の医療機関計820施設を通じて患者に連絡している。
 発表によると、1月18日の問題発表時の同社側のリストに漏れがあ り、「Adapta DR」「Adapta VDD」「Versa DR」(2017年7月~19年1月出荷分)の3機種計775台で、新たに問題がある ことが発覚。別機種の「Sensia DR」(同)の3台についても対応が必要と判明した。
 問題の機器を巡っては国内で1月中旬、機器の使用患者が失神する事例が1件報告されたという。

東大病院で心臓カテーテルの男性死亡…最先端治療、都が中止指導 indexへ

 東大病院(東京都文京区)で昨年9月、カテーテルを使った心臓病の最先端治療を受けた40代の男性患者が死亡し、東京都が医療法に基づく立ち入り調査を行っていたことがわかった。安全が確認されるまでこの治療を中止するよう指導したという。
 都や同病院によると、男性には心臓弁の働きを補う器具を使った治療を試みたが、心臓にカテー テルを挿入するのに必要な穴がうまく開かず、治療は中止された。男性はその後、容体が悪化。10月に死亡した。この治療法は昨年4月に保険適用となり、同 病院では男性が6例目だったという。
 同病院は昨年12月、第三者機関の日本医療安全調査機構と都に報告。外部の専門家を含めた調査委員会を設置し、検証結果が出るまでこの治療法を中止することを決めた。

東京医大は赤字転落…助成金回復、早くて5年後 indexへ

 私学助成金は、日本私立学校振興・共済事業団が学生や教 職員の数に応じて年2回、各大学に配分している。原資は国の補助金で、2017年度は873の大学や短大などに計約3170億円を交付した。各大学の運営 費用のうち助成金は平均約1割を占める重要な財源で、減額されれば経営に対するダメージは大きい。
 全額カットの場合、翌年度分も交付されず減額幅は2年後75%減、3年後50%減と徐々に縮む。全額、回復するのは早くても5年後だ。ある医大幹部は「助成金で黒字を確保している。なくなれば教員数や設備を維持できず、教育の質が落ちてしまう」と語る。

東京医大への助成金、2018年度はゼロ…私学事業団 indexへ

 日本私立学校振興・共済事業団は21日、文部科学省の私大支援事業を 巡る汚職事件や入試での不正な得点操作が昨年発覚した東京医科大(東京)に対して、2018年度の私学助成金を全額、交付しないことを決めた。同大は前年 度、約23億円を受給していた。私大の助成金が不交付となるのは極めて異例だ。
 同事業団は合わせて、アメリカンフットボール部の危険なタックル問題の後、大学としての対応に問題があった日本大(同)などの助成金の減額も決めた。柴山文科相が22日の閣議後記者会見で正式発表する。

女児の甲状腺に「最大100ミリ・シーベルト被曝」…原発事故時に情報 indexへ

 2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故直後、福島県双葉町にいた小学校高学年の女児が、甲状腺に最大で100ミリ・シーベルトの 被曝をした可能性があるとの情報が、放射線医学総合研究所(千葉市)に寄せられていたことが分かった。
 放医研によると、福島県の職員が事故直後に女児を測定したデータを基に、徳島大の専門家が甲 状腺の被曝線量(等価線量)を計算したところ、最大100ミリ・シーベルトと推定された。甲状腺に100ミリ・シーベルト以上の被曝をすると、甲状腺がん のリスクが高まるとされる。
 この情報は同年4月末、文部科学省から放医研にメールで伝えられた。調査依頼ではなく情報共有のメールだったといい、それ以上の調査はしなかったため、女児は特定されておらず、正確な被曝線量も不明だ。
 国は原発事故後、15歳以下の1080人を調査し、甲状腺の被曝線量は50ミリ・シーベルト以下になるとの見解をまとめている。

「賢くなる薬」25品目、個人輸入ダメ…海外で健康被害 indexへ

 「頭が良くなる」「集中力が高まる」などの触れ込みで海 外で販売されている「スマートドラッグ」について、厚生労働省は今月から、25品目を対象に、医師の処方箋などがなければ個人輸入を認めない規制措置に踏 み切った。海外での報告を踏まえ、健康被害や乱用のおそれがあると判断した。厚労省は「医師の処方箋がない薬を安易に使用するのは危険」と注意を呼びかけ ている。
 スマートドラッグには明確な定義はないが、本来、注意欠陥・多動性障 害(ADHD)やてんかん、睡眠障害などの治療に使われる医薬品を指すことが多い。厚労省によると、これらの薬には脳の血流を増やす成分などが含まれてお り、個人輸入代行業者が本来の用法とは異なり、集中力向上や学習能力の改善などを宣伝して販売している。

米の心臓ペースメーカー3製品、誤作動の恐れ indexへ

 東京都は18日、医療機器会社「日本メドトロニック」(港区)が米国の製造元から輸入販売した心臓ペースメーカー3製品について、誤作動を起こす恐れがあると発表した。死亡事例など重大な健康被害の報告はないという。
 都によると、2017年7月~19年1月に出荷された「Adapta DR」「Adapta  VDD」「Versa DR」の計1158台。ICチップの不具合で停止する恐れがあり、海外で4件の不具合があった。同社は納入した526の医療機関 を通じて患者に連絡。プログラムの修正や機器自体の交換が必要になるという。

地域医療の医師残業上限「年2000時間」厚労省提案…一般の倍、疑問の声も indexへ

 医師の働き方改革について厚生労働省は11日、地域医療に従事する勤 務医の残業時間の上限を「年1900~2000時間(休日労働を含む)」とする案を有識者検討会に提示した。医師不足の解消が見込まれる2035年度末ま での特例とする。一般労働者の2倍にあたる長時間労働を容認するもので、委員の一部からは疑問の声も上がった。検討会で議論を重ね、同省は3月末までに結 論を出す予定だ。
 特例の対象は、救急や周産期などを担う地域の医療機関で、やむなく長時間労働にあたる医師に限る。医師の仕事の一部を看護師など他職種に移管する「タスク・シフティング」を計画的に推進することを義務付け、労働時間の削減を図ることとしている。
 一方、一般の医療機関の勤務医については、一般労働者と同じ水準で、 休日労働を含め年960時間を提案した。脳卒中などで労災認定される目安の「過労死ライン」(月80時間超)を踏まえた。長時間労働による医師の健康悪化 を防ぐため、地域医療に従事する勤務医について、次の始業まで9時間の間隔(インターバル)を空けるなどの健康確保策を義務付ける。一般の医療機関の勤務 医に対しては努力義務とする。
 この日の検討会では、残業時間の上限を巡り、医師側の委員から「地域医療を守ることを考えると、やむを得ない」と容認する意見が出された一方、労働側からは「2000時間は長すぎる。いつ労働災害が起きてもおかしくない」と批判する声も聞かれた。
 小児科医の夫(当時44歳)を過労自殺で亡くした「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子さん(62)は検討会を傍聴後、「医師も家庭を持つ一般の労働者。長時間労働を、医師個人に押しつけるような基準は作らないでほしい」と訴えた。

たん吸引ミスで26歳男性が植物状態、千葉大病院に1億5千万円賠償命令 indexへ

 埼玉県の男性(26)が植物状態となったのは、たんの吸引中の医療ミ スが原因だとして、男性と両親が千葉大医学部付属病院(千葉市)側に約3億2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(佐藤哲治裁判長)は 10日、病院側に約1億5300万円の支払いを命じた。
 判決によると、頭蓋骨に先天性の疾患を抱えていた男性は2012年8 月、同病院で顎の骨を切断する手術を行い、気管切開の処置を受けた。手術から4日後、看護師2人がたんを吸引中、チューブが詰まった状態となり、男性は低 酸素脳症に陥り、意識障害の後遺症を負った。原告側によると、現在も寝たきりで、意思疎通ができないという。
 訴訟で病院側は「チューブが詰まったことと看護師の作業には関係がな い」と主張したが、判決は「看護師は、表情を観察したり呼吸が苦しくないか尋ねたりする義務を怠った」と判断。「異常に気づき、吸引を中止するなどすれ ば、救命処置が可能だった」と結論付け、病院側の責任を認めた。
 判決後に記者会見した男性の父親(55)は「初歩的なミスによる重大事故だ。病院には息子が回復するよう、しっかりとした治療を行ってほしい」と語った。
 千葉大医学部付属病院総務課の話「判決文を確認していないので、コメントは差し控える」

「がんや認知症に効く」未承認医薬品を無許可販売疑い…社長ら7人逮捕 indexへ

 がんや認知症に効くなどとして未承認の医薬品を無許可で販売したとして、愛媛、徳島、山口、沖縄の4県警は9日、松山市の健康食品販売「オハナ生活倶楽部」(破産手続き中)の社長・橋本哲容疑者(63)ら7人を医薬品医療機器法違反(無許可販売)の疑いで逮捕した。
 発表では、7人は共謀し、医薬品販売業の許可を受けずに、2016年1月~18年6月、愛媛や兵庫、山口、沖縄など8県の店舗で、国から承認を受けていない医薬品13種類約700点(約2500万円相当)を60~80歳代の男女36人に販売した疑い。

歯のX線撮影、無資格で1833人に3971回…容疑の歯科医ら書類送検 indexへ

 大阪市北区の歯科医院「ザ・ホワイトデンタルクリニック大阪院」で歯のエックス線撮影が無資格で行われたとされる事件で、無資格撮影が約2年半の間に、患者1833人に対し3971回実施されていたことが、大阪府警への取材でわかった。
 健康被害の訴えはないという。府警は9日、このうち一部について歯科医師4人と歯科助手ら7人の計11人を診療放射線技師法違反容疑で書類送検した。
 発表によると、歯科医4人は2017年6月~18年5月、17回にわたって、患者12人の歯のエックス線撮影を無資格の従業員や歯科助手ら計7人にさせた疑い。
 同法の規定で、エックス線撮影ができるのは医師と歯科医、国家資格の「診療放射線技師」に限られており、歯科医4人のうち2人は「治療に忙しかった」などと容疑を認めている。残り2人は否認しているという。
 府警は情報提供を受け、昨年6月に同医院を捜索。押収したカルテなどの資料から、同医院では16年1月~18年6月、無資格の歯科助手らがエックス線撮影をしていたことが判明した。
 労働安全衛生法などで義務づけられたエックス線撮影者の 被曝線量の記録と保管も行われていなかったという。

東京医大、不正入試問題で追加調査へ indexへ

 東京医科大(東京)の不正入試問題で、同大は8日、第三者委員会が昨年末にまとめた最終報告書の内容について、追加の調査を行うことを決めた。最終報告書では、入試問題の漏えいや国会議員による合格依頼、裏口入学と寄付金の関連性などの疑惑が指摘されていた。
 同大は昨年12月29日に最終報告書を同大のHPで公表しただけで記者会見も開かなかった。文部科学省への説明もなく、同省は今月7日、同大に対し、詳細な報告を求めていた。
 8日に開かれた同大の理事会で、疑惑について改めて第三者委で事実確認を行い、背景や原因の究明、再発防止策などについても調査依頼することを決めた。同大によると、第三者委が調査結果をまとめる時期は未定という。

歯のX線、無資格撮影…容疑で歯科医ら書類送検へ indexへ

 歯のエックス線撮影を資格のない歯科助手らにさせたなどとして、大阪府警は9日にも、大阪市北区の歯科医院「ザ・ホワ イトデンタルクリニック大阪院」の歯科医師数人と歯科助手ら計十数人を診療放射線技師法違反容疑で書類送検する。捜査関係者への取材でわかった。歯科医は エックス線撮影が可能だが、同医院の歯科医は「診察で忙しく、手間を省いた」などと供述しているという。
 同医院は、美容目的で歯を白くする「ホワイトニング」や歯列矯正などを主に実施する美容歯科。捜査関係者によると、歯科医数人は一昨年から昨年の間、患者の歯のエックス線撮影を無資格の従業員や歯科助手に行わせ、従業員らは実施した疑いがある。
 エックス線撮影は人体に影響を与える恐れがあり、診療放射線技師法で、医師と歯科医、国家資格の「診療放射線技師」だけが実施できると規定されている。
 同医院の担当者は取材に対し、「答えられない」としている。
美容歯科で激しい競争
 美容歯科を巡っては、競争激化による価格競争の影響で、勤務する歯科医を減らす医院が出てきており、事件の背景になったとの指摘もある。
 ホワイトニングや歯列矯正などを中心に行う美容歯科は近年、人気が高まっている。明確な定義はないが、美容歯科などでつくる日本歯科審美学会(東京)によると、昨年の会員数は10年前の倍の5647人に増加している。
 美容歯科の関係者によると、価格競争などに対応するため、雇用する歯科医の数を抑える医院が増えているという。大阪市内の歯科助手は「歯科医の手が回らず、エックス線撮影を頼まれた。他にもそういう医院があると聞く」と話す。
 歯科医院は2017年に6万8600か所に達し、供給過剰の状況とされており、今後も美容歯科への参入は増えるとみられる。
 昭和大歯学部の真鍋厚史教授(美容歯科)は「過当競争の弊害で不適切な診療が横行しかねず、国などによるチェックを強化する必要がある」とする。

アトピー情報共有アプリ、元患者が開発…症状や薬、匿名で投稿 indexへ

 アトピー性皮膚炎の元患者が開発した患者向けスマートフォンアプリ「アトピヨ」 が注目を集めている。患者が匿名で写真や症状を投稿し、情報を共有。治療経過の「見える化」を図り、孤立しがちな闘病を支えるのが目的だ。アプリは先月、 慶応大主催の医療ビジネスコンテストで入賞したのをはじめ各種の賞を受け、広く評価されている。
 アトピヨは米アップルのアイフォーン用無料アプリ。公認会計士のRyotaro Akoさん(仮名・39歳)が薬剤師の妻らの協力を得て開発した。2018年7月に配信を始め、これまでに2600人がダウンロードしたという。
 利用者は、患部の画像と症状のメモ、使った薬を匿名で投稿し、他の会員と共有できる。投稿は部位ごとに、時系列で表示される。
 投稿した患者にとっては自分の治療経過の記録になり、医師への説明にも使える。会員同士で投稿内容が見られ、他の人の経過を参考にすることもできる。
 Akoさん自身も幼児期、アトピーやぜんそくのアレルギー疾患があった。成長後ほぼ治まったが、3年前の苦い経験がアプリ開発のきっかけになった。
 家族旅行で古びた旅館に泊まったとき、上半身が手から顔まで腫れ上がり、息苦しくなって救急車で病院に運ばれた。ハウスダストのアレルギーだった。
  これを機にアレルギーの患者会に入ると、会員の多くがアトピー性皮膚炎で、つらい様子を目の当たりにした。24時間かゆみと隣り合わせ。荒れた肌が人目に 触れるのは大きなストレスになる。「症状の悪化で、外出したくてもできない人たちを助けたい」。Akoさんはプログラミングを学び、約10か月かけてアプ リを完成させた。
 治療に詳しい京都府立医大の加藤則人教授(皮膚科)は「画像で記録することによって、患者は 症状が変化するきっかけや治療の到達度を自覚しやすくなる。医師も受診までの経過を知ることができる」と評価。ただし、「アプリで知った治療法を自己判断 で始めるのは避け、医師に相談してほしい」としている。
 Akoさんは、「今後は、オンライン診療での活用や、データの集積による新薬開発などにも役立てたい」と目標を語っている。

全盲の女性、音楽祭の席「無理やり」最後列案内 indexへ

 名古屋市中区で昨年7月に開かれたクラシックコンサートで、購入した席から離れた端の席に無理やり移動させられ、精神 的苦痛を受けたとして、市内の視覚障害者の女性(78)が、コンサートを共催した市とCBCテレビ(名古屋市中区)を相手取り、慰謝料など約165万円を 求める訴訟を名古屋地裁に起こした。提訴は昨年12月13日付で、今月31日に第1回口頭弁論が開かれる。
 訴状などによると、女性は中区の日本特殊陶業市民会館であった「名古屋国際音楽祭」のチケッ トを4000円で購入。当日、会場入り口で男性スタッフに車いすに乗せられ、購入した後列中央の席ではなく最後列の端に案内された。何度も抗議したのに聞 き入れられず、仕方なく端の席で鑑賞したという。
 女性は全盲で 白杖を使っていたが、スタッフの肘につかまれば座席まで歩けたと主張。本人の意向を無視して移動させたのは、障害者の権利を侵害する違法行為だと訴えている。
  市とCBCは昨年11月の3者協議で女性に謝罪したが、女性は読売新聞の取材に「協議の中で、私が納得して席に座ったと言われたことに憤りを感じる」と話 した。一方、CBCは転倒防止などのための対応だったとしたうえで、「話し合いによる解決に努めてきたが、訴訟になり残念」としている。市は「適切に対応 する」とした。

「無痛分娩で障害」産院側5840万円支払いで和解…大阪高裁 indexへ

 麻酔で出産の痛みを和らげる無痛 分娩の処置が原因で、生まれた長女が脳に重い障害を負ったとして、京都府内の両親が医療法人「ふるき産婦人科」(京都府京田辺市、休院中)と男性院長に約1億 円の損害賠償を求めた訴訟が、大阪高裁で和解した。昨年12月7日付。産婦人科側が、長女が重篤な状態に至ったことを厳粛に受け止めて遺憾の意を表し、今 月末までに5840万円を支払う。
 訴状などによると、30歳代の母親は2011年4月、同産婦人科で無痛分娩のため、背中に細 い管を差し込み麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受けた。お産が進まなかったことから陣痛促進剤を注入するなどしたがうまくいかず、帝王切開で出産。仮死 状態で生まれた長女は脳性まひで寝たきりとなり、3歳で死亡した。
 昨年3月の1審・京都地裁判決は、院長が通常より高濃度の麻酔薬を投与し、分娩中に胎児の状態を確認する装置を使用しなかった過失があると認定したが、脳性まひとの因果関係は認めず、請求を棄却。両親が控訴し、高裁が昨年9月に和解を勧告していた。
 和解条項では、和解金を7400万円とした上で、出産事故に関する公的な補償金制度で両親に支給された1560万円を和解金から差し引き、産婦人科側には5840万円の支払い義務があるとした。両親が産婦人科側の刑事責任を問わないことも盛り込まれた。
 ふるき産婦人科では、12年と16年にも母子2組が麻酔後に重度障害を負う事故があり、いずれも京都地裁で損害賠償請求訴訟が起こされている。
「命の重み分かって」
 「娘にはつらい思いしかさせられなかった。院長は命の重みを分かってほしい」。和解成立前の昨年11月、両親は取材に対し、訴訟への思いを語っていた。
 母親は妊婦健診で血圧が高いと指摘されたが、院長から「無痛分娩に対応できる。大丈夫」と言われた。分娩の痛みで血圧が過度に上昇する恐れもあり、「リスクは少ない方がいい」と、無痛分娩を選んだ。
  待望の第1子だった。夫婦が望んだ女の子で、名前も出産前に決めていた。しかし、長女は仮死状態で生まれた。脳に重い障害を負い、寝たきりとなった長女 は、両親の声を聞くと笑顔を見せることもあったが、2014年に急性呼吸不全で死亡。両親はひつぎの中に、長女が履くことはなかった靴を入れ、送り出し た。母親は「私たちが体験したような出来事は、二度と起きてほしくない」と話した。

東大病院、画像診断書「未開封」4割…主治医の確認形骸化 indexへ

 東京大学病院で、CT(コンピューター断層撮影法)などの画像を専門医が診断して作成した報告書の4割を主治医が「未開封」だったことが、病院関係者への取材でわかった。
 今年10月に実施された1~8月作成分に対する院内調査で判明した。画像診断報告書の確認不足によるがんの見落とし発覚が相次ぐなか、確認システムの形骸化が浮き彫りになった。
  関係者によると、この8か月間に作成された報告書は約5万2000件。各診療科の主治医は、パソコン画面で報告書の「開封」ボタンを押して内容を確認する システムになっている。しかし、そのうち約1万9500件が10月25日時点で「未開封」だった。調査後、病院が呼びかけると、約2週間後に「未開封」は 約7500件に急減した。
 報告書は、主治医の依頼を受けて放射線科の専門医が画像すべてを詳しく見て作成し、電子データで提出する。千葉大や横浜市大などで発覚したがんの見落としは、主治医が報告書を十分確認していなかったことが主な原因だった。
 病院によると、報告書は「開封」ボタンを押さなくても読める。このため、広報担当者は「『未開封』でも見ているケースもあるし、『開封』しても確認が不十分なケースもあるだろう」とし、主治医が本当に内容を認識しているかどうかははっきりしていない。
 日本医学放射線学会は今年7月、報告書を必ずチェックする仕組みづくりを求める見解を出している。
  同学会理事の蒲田敏文・金沢大学病院長は「報告書をよく確認せず、主治医が自分で画像を見るだけで診断するのが常態化している病院は多く、このケースも、 問題になって慌てて開封ボタンを押したのではないか。報告書を確認したうえで患者に説明することを徹底すべきだ」としている。

抗菌薬、半数近くが飲みきらず…完治しない恐れや耐性菌出現も indexへ

 抗菌薬(抗生物質)を処方された人の半数近くが最後まで飲みきらず、残った薬を体調が悪くなった時に飲んだ人も2割を 超えることが、国立国際医療研究センター病院の調査で分かった。家族や他人からもらって飲んだ人も約2割いた。調査は8~9月、10~60歳代の男女 721人にインターネットで行った。
 抗菌薬は細菌が増えるのを抑えるために用いる。服用して症状が改善しても、途中でやめると完治しなくなる恐れがあり、薬が効かない耐性菌の出現にもつながる。抗菌薬をきちんと飲みきり、使い回しは避ける必要がある。
 今回、処方された抗菌薬を飲みきっているかどうか尋ねた質問では、「最後まで飲みきっている」が52%だった。「治ったら途中でやめる」(34%)、「最初からできるだけ飲まない」(8%)など、不適切な飲み方をする人もほぼ同数の48%に上った。
 飲み残した薬について、45%が「全て捨てている」と回答。一方で「いつか使おうととってある」30%、「体調が悪い時に飲んだことがある」22%と、半数以上が捨てずに保管していた。「他人にあげたことがある」も3%いた。
 別の質問で、家族または他人から抗菌薬をもらい、飲んだことがあると答えた人は21%。医師以外からもらった抗菌薬を飲むことについて、「症状が同じならば問題ない」18%、「受診せずに済むので好都合」10%など、肯定的にとらえる人も一定数いた。
 抗菌薬は、風邪やインフルエンザなど、ウイルスで感染する病気には効かない。しかし、風邪で抗菌薬の処方を希望する人が3割いるなど、正しい理解の普及が課題だ。
 薬剤耐性の研究を行う同病院AMR臨床リファレンスセンターの藤友結実子さんは、「医師が処方した通りに抗菌薬を飲みきることが、薬剤耐性対策にもつながる」と話している。

卵巣切除で左右取り違え、直後に体内に戻す手術…自治医大病院 indexへ

 自治医科大付属病院(栃木県下野市)は21日、女性患者に行った右卵巣腫瘍の切除手術で、誤って左卵巣を切除したと発表した。直後に気付き、左卵巣を体内に戻す手術を行ったという。女性患者は手術後9日目に退院し、現在通院している。
 発表によると、手術は今年前半、婦人科の医師が担当し、右卵巣腫瘍にメスを入れる前に左卵巣 の癒着を治す際、卵巣も切除したという。同病院は患者と家族に謝罪し、第三者委員会を設置して原因を調査した。佐田尚宏病院長は「患者様とご家族様に深く おわびします。一層安全で確実な医療の提供に努めていく」としている。
 このほか、今年6月、成人3人分の致死量に相当する筋 弛緩剤「エスラックス」の瓶1本(50ミリ・グラム)を手術室で紛失した。同病院は誤って廃棄した可能性が高いとみているが、盗難の可能性もあるとして下野署に届け出た。

鉄剤注射、警告後も17校で使用…高校駅伝女子 indexへ

 日本陸上競技連盟(陸連)主催で、23日に京都市で開か れる「全国高校駅伝大会」の2016~18年の女子出場校(今年は出場予定)計76校に対し、読売新聞がアンケート調査したところ、陸連が体への危険性を 警告した16年4月以降、鉄剤注射を使ったことがあると回答したのは、17校で2割超に上った。使用目的では大半が「貧血治療」を挙げたが、専門家は「注 射が必要なのは試合に出られないほどの状態」との見方を示す。
 調査は本紙が今月、警告後の使用状況について、女子76校を対象に電話(一部書面)で実施。監督など全校の責任者から回答を得た。
 17校の使用目的(複数回答可)で最も多かったのは、「貧血治療」で16校に上った。2校が「競技力向上・持久力強化」、1校は「栄養剤と思っていた」と答えた。
 医療関係者によると、鉄剤注射の使用は、内服での治療ができず、重度の貧血などの場合に限られる。

「スマホ3時間超」の子供急増、体力は平均以下に indexへ

 スマートフォンなどで映像を平日1日当たり3時間以上視聴している児童や生徒が昨年度から急増し、その児童らの体力は全国平均値よりも低いことが、スポーツ庁が20日に公表した2018年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力テスト)」で分かった。
 調査は今年4~7月、全国の小学5年生と中学2年生約206万人に実 施。紙による生活習慣などの質問に加え、小学生は握力や反復横跳び、50メートル走など8項目、中学生は男子1500メートル、女子1000メートルの持 久走または20メートルシャトルランの選択を含めた8項目を点数化し、体力合計点(80点満点)を算出した。

認知症の人の運転免許証返納 介護者半数「困った」 indexへ

 公益社団法人「認知症の人と家族の会」(京都市)は、認知症の人の自動車運転免許返納について介護者に行ったアンケートの結果をまとめた。本人が納得しなかったり、返納後の生活に支障があったりして対応に困った経験があるとした介護者は半数に上った。
 昨年3月の道路交通法改正に伴い、75歳以上の高齢ドライバーは免許更新時などに受ける検査で「認知症のおそれ」があると判定された場合、医療機関の受診が義務付けられた。実際に認知症と診断されると、免許取り消しか停止となる。
  調査は今年1~2月に実施。認知症の人を介護する配偶者や子どもら計338人の回答では、免許返納で「困ったことはなかった。自分から運転を自粛し返納す ると言った」が41%(138人)だった。一方、「本人が納得しなかった」は31%(103人)、「運転できないことで生活や仕事が成り立たなくなる」は 20%(68人)で、半数が対応に苦慮していた。
 返納後の困りごと(複数回答)では、「運転させないことで怒り、落ち着きがなくなった」(42人)、「運転できないことにショックを受け、閉じこもりがちになった」(41人)、「返納したことを忘れ、運転しようとしてしまう」(40人)などが目立った。
 同会は「免許返納への心理的葛藤は大きい。移動の代替手段、買い物や通院に関するサービスを充実させるなど、返納後の生活が変わらないような仕組みが必要だ」と訴えている。
体育館の石綿が原因で中皮腫発症、死亡…劇団員の労災認定 indexへ

 1970年代に全国の学校を公演で回り、2016年に中皮腫で死亡した元劇団員の男性(当時70歳)について、池袋労 働基準監督署(東京)が、公演会場だった体育館のアスベスト(石綿)が原因で中皮腫を発症し、死亡したと労災認定していたことがわかった。遺族らが19 日、記者会見で明らかにした。  労災認定されたのは、埼玉県富士見市に住んでいた加藤大善さん。遺族の支援団体「中皮腫・ア スベスト疾患・患者と家族の会」によると、加藤さんは東京都内の劇団に所属し、1974~78年、全国の高校などの体育館で開かれる公演に参加していた。 2014年に胸膜中皮腫を発症し、16年に死亡。今年7月、同労基署に労災認定された。
 当時の学校の体育館や校舎では防火対策として広く石綿が使われていた。同労基署は劇団への聞き取りなどから、加藤さんが天井裏に照明機材を取り付ける際などに石綿を吸い込んだと認定したという。
批判受け「妊婦加算」導入9か月で事実上廃止へ indexへ

 根本厚生労働相は19日午前、中央社会保険医療協議会(中医協、厚労 相の諮問機関)に、妊婦が医療機関を受診した際に負担する「妊婦加算」を来年1月1日から凍結するよう諮問し、了承された。厚労省は速やかに告示する方針 だ。妊婦加算は導入から9か月で事実上の廃止となる。

使用が後絶たぬ鉄剤注射、「治療名目」も禁止へ indexへ

 高校駅伝の一部強豪校による鉄剤注射の不適切使用問題 で、日本陸上競技連盟(陸連)は、貧血治療名目の鉄剤注射の使用を原則禁止とする方針を固めた。これまで鉄剤注射を使わないよう警告にとどめてきたが、注 射の使用が後を絶たないためだ。年度内に指針としてまとめ、中学生から社会人までの陸上選手、指導者に周知する考えだ。
 鉄剤注射は重度の貧血治療に使われる一方、持久力を高める効果がある として、女子長距離選手を中心に2000年頃から全国に広まった。過剰使用は肝機能障害などを引き起こす恐れがあるため、陸連は16年4月、「アスリート の貧血対処7か条」として文書にまとめ、体への危険性を警告した。しかし、「治療目的」を名目に使用は続いていた。

看護師2交代制の病棟、「夜勤16時間以上」が6割 indexへ

 医療機関で働く看護師らの勤務体制で、「2交代制」を採用する病棟は約4割に上り、このうち6割近くが16時間以上の 夜勤を行っていることが、日本医療労働組合連合会(組合員17万7093人)の実態調査で分かった。長時間の夜勤は、看護師らの健康を害するだけでなく、 患者の安全に影響を及ぼす恐れもある。
 今年6月の勤務実績を加盟組合から集計。回収数は378施設で、看護師や助産師ら看護職員の勤務実態は、2616の病棟単位で調べた。
 24時間を日勤と夜勤に分ける2交代制の病棟の割合は39%で、データが残る1999年以降で最高を記録した。このうち「16時間以上の夜勤」を行っている病棟は59%に上った。2交代制の夜勤に入る回数は平均で月4・12回だった。
 勤務の終了から、次の勤務開始までの休息時間(勤務間インターバル)について、最も短い場合を尋ねたところ、疲労の回復が難しい「8時間未満」の施設が45%あった。
 長時間夜勤や勤務間インターバルが短い働き方は、看護師の心身に及ぼす悪影響が懸念される。同連合会は「看護師の多くが過酷な長時間の夜勤を強いられている。患者と職員の命と安全を守るためにも、労働環境の抜本的な改善が必要だ」としている。

インフル薬、広がる選択肢…錠剤1回服用だけの新薬「ゾフルーザ」も indexへ

 インフルエンザが全国的な流行期に入った。粉を吸入するタイプや点滴薬が普及しているが、今年は錠剤を1回飲むだけの新薬も登場した。治療薬の選択肢は広がっている。
 12月上旬、大阪府大東市の「水野クリニック」。近隣の小学校がインフルエンザで学級閉鎖されたこともあり、午前9時の開院から待合室は患者で埋まった。
 39度超の発熱でインフルエンザと診断された近くのパート女性(39)は、塩野義製薬の錠剤「ゾフルーザ」を処方された。服用は1回で済む。数日前に発症した小学4年の次男(10)も使い、女性は「普段は薬を嫌がる子どもも文句を言わずに飲んでくれた」と話した。
 ゾフルーザは今年3月に発売され、今冬、本格的な流行期を初めて迎え る。これまでの治療薬がいずれも細胞内で増殖したウイルスが外に広がるのを防ぐのに対し、増殖そのものを抑制する。水野仁文医師(51)は「ウイルスを減 らすのが速く、高熱や体の痛みで苦しむ日が少なくて済む」と説明し、患者にはゾフルーザを薦めているという。
 インフルの治療薬は2000年に粉末の薬を吸入する「リレンザ」(英グラクソ・スミスクライン)が初めて発売され、01年にはカプセルを複数回服用する「タミフル」(中外製薬)が登場した。現在、最も供給されているのは吸入式の「イナビル」(第一三共)だ。
 治療薬は飲み方や回数が異なり、症状や年齢などに基づいて医師が判断する。

医師の勤務間休息9時間、医療機関に義務づけへ…厚労省方針 indexへ

 長時間労働が常態化している医師の働き方改革として、厚生労働省は、 地域医療を担う医師らの残業を一般の医師よりも長く認める一方で、終業から次の始業まで9時間の休息を確保する「勤務間インターバル制度」を導入するよ う、医療機関に義務づける方針を決めた。2024年度の導入を目指しており、17日の有識者検討会に提示する。
 厚労省は、一般の医療機関で働く医師の残業については上限を「年 960時間」とする方向で調整している。これに対し、地域の中核的な医療機関の医師や、診療経験を積む必要がある研修医は、残業時間の上限を大幅に緩和す る代わりに、インターバルの取得を義務づける「二段構え」の仕組みを検討している。関係者によると、インターバル制度では、泊まり勤務後は18時間の休息 を確保するよう定める予定。連続勤務時間の上限は28時間とする。

東京医大理事11人辞任へ、不正入試引責…評議員46人も indexへ

 東京医科大(東京)の不正入試問題で、同大を運営する学校法人の理事 会の理事16人のうち、問題発覚後に就任した理事長や学長ら5人を除く11人が21日付で一斉辞任することがわかった。理事会の選出母体である評議員会を 構成する評議員50人のうち46人(理事との兼務を含む)も辞任する。一連の問題の責任を取る形で、問題発覚時の体制は一新される。
 同大では7月、文部科学省の私大支援事業を巡る汚職事件で、同省前局長の息子を医学部医学科に裏口入学させていたことが発覚。当時の臼井正彦理事長(77)(贈賄罪で起訴)と鈴木 衛
まもる
学長(69)(同)が同月、引責辞任した。
 翌8月には、医学科の入試で女子や浪人回数を重ねた受験生を一律に減点したり、裏口入学の対象者とみられる受験生計19人に加点したりしていたことが明らかになった。

向精神薬を約200錠、無断で持ち出し…薬剤師「自分で服用」 indexへ

 名古屋第一赤十字病院(名古屋市中村区)で、薬剤師が向精神薬約 200錠を無断で持ち出していたことがわかった。外部からの通報を受け、愛知県は12日、麻薬及び向精神薬取締法に基づき、同病院へ立ち入り検査に入り、 速やかな県への届け出や薬剤管理の徹底を指導。病院は同日夕、持ち出しを届け出た。
 同病院によると、調剤助手が11月20日、向精神薬の在庫数を確認し た際、管理簿の記録と一致しないことに気付いた。原因は職員による記載ミスだったが、その後、管理簿と患者の電子カルテを改めて照合した結果、薬剤師が6 月中旬~11月中旬、いずれも向精神薬の「サイレース」10錠、「ハルシオン」10錠、「マイスリー」175・5錠を無断で持ち出していたことが判明し た。向精神薬は医師の診断で患者に処方されるが、薬剤師は実際の処方量より多い錠数を管理簿に記載し、水増し分を持ち出したという。薬剤師は11月29 日、病院側の聞き取り調査に「眠れなかったので自分で服用した。出来心だった」と説明し、今月3日以降、体調不良で入院しているという。
 県医薬安全課によると、向精神薬は睡眠導入剤などとして使われるが、 依存性が強く過剰に服用すると、けいれんや幻覚などの症状を引き起こす恐れがある。そのため、麻薬及び向精神薬取締法は、盗難や一定量の紛失が判明したら 速やかに都道府県知事へ届け出るよう義務付けているが、同病院は県の指導を受けるまで届け出をしていなかった。
 同病院の担当者は読売新聞の取材に対し、「直ちに死に至る薬ではな く、持ち出された量が大量ではなかったので、全容がわかってから県に届け出ようと思っていた」と釈明。向精神薬を保管する棚の引き出しに鍵をかけ、持ち出 しは上司と2人1組で行うなどの再発防止策を取っているという。

鉄剤注射「自粛を」、陸連が医師会に協力要請へ indexへ

 高校駅伝の強豪校で貧血治療用の鉄剤注射が不適切に使われていた問題で、日本陸上競技連盟(陸連)は各地の医師会に対し、治療以外で選手に注射をしないよう協力を求める方針を固めた。年度内にも、都道府県の陸上競技協会(陸協)を通じて要請する。
 鉄剤注射は本来、重度の貧血治療に用いられる。過剰に投与すると内臓 に鉄分が蓄積し、肝硬変などを引き起こす恐れがあるが、一部で持久力向上のために使われている。体への悪影響に関する医師側の認識不足が指摘されており、 注射の前に血中の鉄分が過剰になっていないかを検査していないケースもある。

順大医学部で不適切入試、48人を追加合格 indexへ

 順天堂大(東京)は10日、今年と昨年の医学部入試で、女子と浪人の受験生を不利に扱い、合 格者数を抑制していたとする第三者委員会(委員長=吉岡桂輔弁護士)の調査結果を発表した。この影響で不合格となった受験生は計165人(男子44人、女 子121人)に上り、同大はうち、2次試験で不合格となった48人(男子1人、女子47人)を追加合格とする。同大では少なくとも2008年入試から女子 や浪人生を差別していたという。

3大学医学部も不適切入試…現役・出身者ら優遇 indexへ

 東京医科大(東京都)による不正入試問題を受けて文部科学省が全国調査を続ける中、金沢医科大(石川県)、岩手医科大(盛岡市)、福岡大(福岡市)の3大学は8日、記者会見を開き、これまでの医学部入試などで不適切な扱いがあったと発表した。
 発表によると、金沢医科大では、2018年度の医学部・特別推薦入試(AO入試)で、北陸3県の高校出身者、同大卒業生の子弟、現役と1浪の受験生に、3~20点加点していた。

東京医大、女子5人の入学認めず…支援団体反発 indexへ

 東京医科大(東京)による不正入試問題で、同大は7日、今年と昨年の 医学部入試で不利益を受けた追加合格対象者101人の中で入学を希望した49人について、44人(男子15人、女子29人)の追加合格を認める一方、定員 を理由に5人(いずれも女子)の入学は認めないと発表した。受験生の支援団体は「希望者は全員合格させるべきだ」と反発している。
 発表によると、追加合格者44人の内訳は、昨年が14人、今年が30人。入試区分別では「一般」34人、「大学入試センター試験利用」3人、「推薦」7人だった。

認知症事故被害者に最大2億円賠償金、最大3千万円の見舞金…神戸市条例改正 indexへ

 神戸市議会は5日、認知症の高齢者らが事故を起こした際、被害者に最大2億円の賠償金や最大3000万円の見舞金を支 給する制度を盛り込んだ「認知症の人にやさしいまちづくり条例」改正案を可決した。市民税を1人あたり年400円引き上げて財源に充てる。来年4月から運 用を始める。
 市によると、認知症と診断されて事前登録した市民について、市が保険料を支払う形で賠償責任保険に加入。事故を起こした本人や家族が賠償責任を負った場合、被害者側に賠償金を支払う。火災や傷害、列車事故などを想定し、自動車事故は対象外とする。
 さらに、法的な賠償責任の有無にかかわらず公費から見舞金を支給することとし、被害者の泣き寝入りを防ぐ。こうした見舞金制度の創設は全国初という。
 また、65歳以上を対象にした認知症診断費の助成制度も来年1月からスタートさせる。認知症の人は市内で推計約6万3000人。市はこれらの事業の経費を年3億円と見込んでいる。
 市は今年4月、制度の基本的な考え方を示した条例を施行。有識者会議がまとめた制度案に基づき、改正案を提案していた。

順大医学部入試で女子と浪人差別…第三者委認定 indexへ

  順天堂大(東京)の第三者委員会(委員長=吉岡桂輔弁護士)が、同大の医学部の一般入試で、女子や浪人回数の多い受験生が差別されていたことを認める調査 結果をまとめたことが関係者の話でわかった。第三者委はこうした差別を「不適切」と認定。同大は来週にも報告書の内容と今後の対応を公表する見通し。
  同大の一般入試は、主に学力を測る1次試験と、面接と小論文の2次試験で実施される。今年は4151人が受験し、男子239人(合格率10・1%)、女子 93人(同5・2%)が合格した。文部科学省の調査では、過去6年間の平均合格率で同大は男子9・2%、女子5・5%。男女に1.67倍の開きがあり、全国81大学の中で最も差が大きかった。  順天堂大(東京)の第三者委員会(委員長=吉岡桂輔弁護士)が、同大の医学部の一般入試で、女子や浪人回数の多い受験生が差別されていたことを認める調査 結果をまとめたことが関係者の話でわかった。第三者委はこうした差別を「不適切」と認定。同大は来週にも報告書の内容と今後の対応を公表する見通し。
  同大の一般入試は、主に学力を測る1次試験と、面接と小論文の2次試験で実施される。今年は4151人が受験し、男子239人(合格率10・1%)、女子 93人(同5・2%)が合格した。文部科学省の調査では、過去6年間の平均合格率で同大は男子9・2%、女子5・5%。男女に1.67倍の開きがあり、全国81大学の中で最も差が大きかった。

「腰が悲鳴」「よく風邪をもらう」…孫育てのグチこぼすサイト、阪大招聘教授が開設 indexへ

 「あちこち走り回る孫に付いていくのがつらい」「孫からよく風邪をもらう」――。孫の世話をする祖父母がグチをこぼすサイト「 孫育のグチ帳」を、大阪大 招聘教授で医師の石蔵文信さん(63)が作った。共働き世帯の増加などで祖父母が育児にかかわる「孫育て」が注目を集める一方、「孫疲れ」という言葉も生まれている。当事者でもある石蔵さんは「不満をはき出し、悩みを相談しながら、一緒に楽しもう」と呼びかける。
 
「ストレス発散し前向きに」
 
 グチ帳は、男性更年期などの治療に携わる石蔵さんが、患者から度々孫育てのグチを聞く中で思いついた。「井戸端会議のようにグチを言い合える場所になれば」と7月にサイトを開設。孫育てに役立つ情報や孫の自慢話なども投稿できる。
 「『私、こんなに頑張ってるの』って誰かに聞いてほしいんです」
 1歳の男の子を育てる次女(26)から度々“SOS"の連絡を受けるという大阪府河内長野市の会社員女性(56)は、グチ帳を利用する理由をこう話す。
 「車で小一時間走って、お土産まで持って行く」「予定を早めに言っておかないと、聞いてない!!と逆ギレされる」と投稿。「孫も重くなり、腰が悲鳴を上げそう」という別の人の投稿には「私も抱き上げる時が特に 辛
つらい」とコメントする。周りにまだ孫のいる友人が少なく、グチ帳は孫の話ができる貴重な場という。
          ◇
  2018年版の「男女共同参画白書」によると、共働き世帯は年々増え、17年には1188万世帯と、専業主婦のいる世帯の2倍近くに上る。これに加えて、 産後うつや虐待が社会問題化する中、育児の支援者として祖父母への期待は大きい。第一生命経済研究所が14年に孫のいる男女に聞いた調査では、孫の母親か ら頼まれて孫の面倒をみた経験がある人は66%で、同居や30分未満の距離に住む場合に限れば8割を超えた。
  一方、孫の世話は体力的な負担に加え、時間的な負担、子や孫との食事代などの経済的負担ものしかかる。宿泊予約サービスを提供する「ゆこゆこ」の16年の 調査では、孫の面倒をみることがある人の4割が「孫の親に不満を持ったことがある」とし、「感謝の気持ちが感じられない」「遠慮がなさすぎる」などが理由 に挙がった。
          ◇
 石蔵さん自身、3人の孫を世話するため、昨年春、教授を務めていた大学を退職。孫育てに影響しない範囲で診察や講演活動などをこなす。
 孫から風邪をうつされるなど苦労は絶えないが、「孫を抱っこしていれば筋トレ要らず。疲れるからこそ、ごはんもおいしいし、夜もよく眠れる」と笑う。「うまくストレスを発散し、前向きにとらえてほしい」と話す。
 
自治体「祖父母手帳」で助言
 
 孫育て支援のため、祖父母向けに育児情報をまとめたガイドブック「祖父母手帳」などを作る自治体もある。今と昔の育児の違いなどを紹介するほか、「孫疲れ」に配慮した内容もある。
  広島県が作るガイドブックでは子育て世代、祖父母世代それぞれの「うれしかったこと」「イヤだったこと」を紹介。祖父母世代の嫌なことでは「一緒に出かけ るときに必ずスポンサーにされる」などがあった。担当者は「祖父母世代は我慢強く、嫌と言えないことも多い。どちらかが我慢するのでなく、双方が歩み寄る ことが大事」と話す。
 公益財団法人「いしかわ結婚・子育て支援財団」(石川県)のガイドブックでは「自分の生活も大事にする」など、負担を背負いすぎないよう勧める。香川県三豊市の冊子は体力面や経済面の助言を盛り込んだ。負担がかかる足腰を鍛える筋トレの方法も紹介する。

救急医の宿直数、基準超…愛知の病院に労基署が2度指導 indexへ

 愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センターが、救急医に基準を超える回数の宿直をさせていたとして、半田労働基準監督署から2度にわたって行政指導を受けていたことがわかった。
  県病院事業庁によると、医療機関は月4回程度を限度に医師に宿直させることができるが、同センター救急科では2016年2月以降、医師5人が交代で宿直。 月6回以上の宿直が常態化していたことが昨年11月の同労基署の立ち入り調査で判明し、同12月に改善するよう指導を受けた。
  同科では医師を1人増やし、研修医2人も加えた8人の宿直体制を組んだが、研修医の宿直の際には、サポートする別の医師がセンター内で待機することが常態 化。今年4月に再度調査に入った同労基署から、実態は改善されていないとして同8月に指導を受けた。サポート役の医師には、宿直手当より安い待機手当が支 払われており、指導を受けて差額も支払われた。
 センターでは、他の診療科でも月4回超の宿直が散見され、同労基署からセンター全体の改善を指導されたという。県の担当者は「小児の医師は全国的に不足しており、対応に苦慮している。確保の努力を続け、医師の健康管理にも一層配慮したい」と話した。

米ペースメーカーなど2万5千台、誤作動恐れ…失神など健康被害起こす可能性 indexへ

 東京都は28日、医療機器会社「ボストン・サイエンティフィック ジャパン」(中野区)が米国の製造元から輸入販売した心臓ペースメーカーなど3製品について、部品の不具合で誤作動を起こす恐れがあると発表した。
  現時点で重大な事故は確認されていないが、使用を続けると患者が失神するなどの健康被害が起きる恐れがあるという。同社は医療機関を通じ、問題の機器を使 用している患者の経過観察を行う。発表によると、問題の機器は、2015年11月~今年11月に出荷されたペースメーカー「アコレード」「アコレード MRI」と、心不全の症状を改善させる「ヴァリチュード」の計約2万5000台。

豊胸手術で合併症相次ぐ…美容学会、ジェル注入自粛要請へ indexへ

 日本美容外科学会は27日、美容目的でジェル状の 充填剤を胸に注入する豊胸手術で、胸に塊ができるなどの合併症が相次いでいるとする調査結果を公表した。同学会は1年以内を目標に、同様の手術を控えるよう医師たちに求める指針を作る方針。
 調査対象は、化学物質を水に溶かしたジェルや、ヒアルロン酸などを胸に注射する保険適用外の手術。同学会によると、昨年行われた約1万件の豊胸手術のうち約5割を占めていた。
 調査は今年6~7月、会員の医師ら3874人に対して行われた。回答 した132人中72人に、この手術による合併症の診察経験があった。108例あった合併症例の内訳は、胸に塊ができたケースが48件と最多で、雑菌への感 染が24件、皮膚に凹凸ができていた例が9件と続いた。
 同学会の 大慈弥裕之理事長は「リスクがあることは明らかで、手術の自粛を求めたい」と話した。

がんと誤診、胃の3分の2を切除し後遺障害…998万円支払いで和解 indexへ

 愛知県東海市の公立西知多総合病院で昨年4月、同市の男性患者が胃がんと誤診され、誤って胃の3分の2を切除された問題で、同病院は27日、男性に約998万円を支払うことで和解したと発表した。
 発表によると、男性は昨年4月、同病院で内視鏡検査を受診。胃の検体 を調べたところ、胃がんと診断され、同5月に手術で胃の3分の2を切除された。その後、切除された胃の病理検査で胃がんでなかったことが判明し、別の患者 の検体と取り違えていたことがわかった。男性は胃の切除により、消化不良で頻繁に下痢を起こす後遺障害が残ったという。
 検体の取り違えで悪性胃がんを胃潰瘍と誤診され、同7月に死亡した男性の遺族とは、すでに250万円を支払うことで和解している。浅野昌彦院長は「誠に申し訳なく、深くおわびする。再発防止策を講じて信頼回復に努めたい」としている。

京大病院で心臓手術ミス…女性が大量出血、4か月後死亡 indexへ

 京都大病院(京都市左京区)は26日、今年6月に心臓手術を実施した 60歳代の女性患者の心臓に誤ってカテーテルを縫い込み、女性が4か月後に死亡したと発表した。担当医師が縫い込みに気づかず、引き抜いた際に大量出血し たという。病院は「カテーテルの使用に関するルールが不十分だった」としている。
 発表などによると、女性は、心臓の弁の開きが悪くなる「大動脈弁 狭窄
きょうさく
症」で、今年6月15日、人工の大動脈弁の取り換え手術を受けた。担当医らは手術前、心臓の状態を監視するセンサー付きカテーテルを肺動脈に挿入しようとしたが、先端が肺動脈まで進まなかったため、心房の中にとどめたまま、手術を始めた。
 人工弁を取り換えた後、カテーテルを引き抜こうとした際、大量に出 血。先端から約5センチの位置に縫合糸がかかっており、手術の過程で心臓内に縫い込まれていたという。心臓の損傷部は修復したが、約30分にわたって脳に 血液が十分行き渡らず、女性は4か月後に低酸素脳症で死亡した。
 事故後、病院は事故調査委員会を設置し、26日、結果を公表した。稲垣暢也病院長は「亡くなった患者や家族に深くおわびし、再発防止に努める」と陳謝した。
 遺族側弁護士によると、遺族は調査内容が不服として、第三者機関の「医療事故調査・支援センター」に再調査を申し立てたという。

精製水と間違えて、内視鏡検査でホルマリン液投与…医師と技士を書類送検 indexへ

 兵庫県姫路市の製鉄記念広畑病院で2015年7月、内視鏡検査の際に誤って劇物のホルマリン液を投与し、患者を負傷さ せたとして、県警は21日、検査を担当した男性医師(62)と臨床工学技士の男性(29)を業務上過失傷害容疑で書類送検した。捜査関係者によると、2人 は、検査を受けた80歳代の男性患者に対し、誤ってホルマリン液を尻から注入して、十二指腸などを傷つけるなどした疑い。
 技士が内視鏡の画像を鮮明にするために注入する精製水と間違えてホルマリン液を準備、医師も中身を確認しないまま投与したという。16年に告訴していた男性患者は「今も神経痛などの後遺症に苦しんでおり、二度と起こらないよう望みます」とコメントを出した。

医学部不正入試、大学名「公表を」…弁護団要望 indexへ

 東京医科大(東京)の不正入試問題を受け、被害者支援を行う「医学部入試における女性差別対策弁護団」は20日、不適切な入試を行った大学名の公表を求める柴山文部科学相あての要望書を提出した。
 医学部を持つ大学を調査している文科省は10月、複数の大学で不正な入試が行われていたことを発表したが、大学に自主的な公表を求めるにとどまり、大学名は公表していない。
 弁護団は要望書で「大学名の公表は各大学により強く説明責任を課し、被害を受けた女性の救済につながる」などと訴えた。

大阪の梅毒感染、今年累計1000人超…女性は20代多く、主婦OLに広がりか indexへ

 大阪府内で今年に入り、梅毒の感染者数が累計1000人を超えたことが、府などの調査で分かった。全国的にも近年増える傾向にあり、大阪府は昨年1年間で845人だったが、今年は1200人に迫る勢いという。関係機関は心当たりがある人に検査を呼びかけている。
 大阪府は東京都に次ぐ梅毒の流行地で、今月11日までの府の集計によると感染者数は1028人。1999年に現在の集計法になって以降、最多となった。
 梅毒は個別の感染経路の追跡が難しく、流行の原因は断定できていない。全国的な傾向では、感染者の男女比は2対1で、男性は20~50歳代にまんべんなくいる一方、女性は半数が20歳代に集中している。
 2012年以前は感染者の大半が男性で、女性は珍しかった。近年は、性風俗店の利用者や女性従業員の感染のほか、主婦やOLにも広がっているとみられる。
 大阪府以外の近畿では、11日までの集計で兵庫県222人、京都府95人、奈良県43人、和歌山県26人、滋賀県16人で、滋賀以外は昨年1年間の数を超えた。
 府内の感染者の7割を占める大阪市は、若者の間での広がりに危機感を強める。2日には、市の担当者が大阪市立大の大学祭に参加してクイズ形式で啓発した。「府内ではHIV(エイズウイルス)とセットで検査が無料になるので、公的検査の活用を」と話す。
 大阪健康安全基盤研究所の小林和夫・公衆衛生部長は「不特定多数の相手との性的接触を避けるべきだ。一定の予防効果のあるコンドームの着用を心がけてほしい」と話す。
         ◇
【梅毒】  細菌による性感染症。感染3か月以降は背中や腕に発疹が出ることもある。感染後しばらくすると症状が消えるため、治療せずに感染を広げるケースが目立つ。妊婦に感染すると、子どもに視力低下などの障害が出ることもある。

精神疾患患者、医師の説明「不十分」4割 indexへ

 精神疾患で医療機関を受診した患者の4割は、精神科医や心療内科医ら担当医の説明が不十分だと感じていることが、精神 科医らでつくる研究チームの大規模調査で分かった。精神科を担当する医師の態度について、患者側に尋ねる調査は珍しく、日本精神神経学会の学会誌に掲載さ れた。
 調査は、全国の患者団体などを通じて患者と家族の計1万8000人に郵送で質問用紙を送った。有効回答は6202人(患者2683人、家族3519人)。
 医師の診察時の態度に対する患者の評価は、「早く診察を切り上げようとする雰囲気がある」41%、「病名や薬について十分な説明がない」37%、「回復の見通しについて納得できる説明がない」36%――など、十分な説明がないことへの不満が目立った。
 一方で、「専門家として自信を持っている」85%、「親しみやすい雰囲気」83%、「頼りがいがある」83%など、高い評価を受けている項目もあった。
 調査を行った「やきつべの 径診療所」(静岡県焼津市)の精神科医、夏苅郁子さんは「精神疾患の治療には良好なコミュニケーションが不可欠。医師は患者との接し方を見直すきっかけにしてほしい」と話している。
 調査結果は、小冊子にして全国の精神科病院などに配布する予定。

「がん」見落とし新たに5人…杉並のクリニック indexへ

 東京都杉並区の河北健診クリニックで肺がん検診を受けた40歳代女性ががんを見落とされて死亡した問題で、区は15 日、検診で精密検査不要と判断された人のレントゲン画像を再確認した結果を発表した。新たに5人が検診でがんのリスクを見落とされた可能性の高いことがわ かった。
 区によると、7月のがん見落としの発覚後、区は同クリニックに対し、2014~18年に肺がん検診を受診して異常なしと判断された9424人について、レントゲン画像を再度確認するよう要請した。
  その結果、44人について精密検査が必要と判断された。このうち現在肺がんと診断されている70歳代の男性2人は、検診を受けた時点で1人は「肺がんの疑 い」、もう1人は「要精密検査」と診断されるべきだったという。また再確認により60~70歳代の男女3人に肺がんの疑いがあることがわかった。この3人 も検診時点で「肺がんの疑い」と診断されるべきだったという。残る39人は肺がんではなかった。
 田中良区長は記者会見で、「検診への信頼が揺らぐ事態で、実施体制に大きな問題があった」と陳謝し、一定の基準を満たした医師がレントゲン画像の判断に関わるようにするなどの再発防止策を講じるとした。
 死亡した40歳代女性は14~18年、同クリニックでがんの検査を受けたが、3回にわたりがんを見落とされ、今年6月に死亡した。

結核の医師が診察、患者11人感染か…日本医科大病院 indexへ

 日本医科大学付属病院(東京都文京区)は12日、耳鼻咽喉科の医師1人が結核を発症したまま診察を続け、この医師と接触した患者11人が結核に感染した疑いがあると公表した。11人は検査で結核の陽性反応が出ているが、今のところ発症はしていないという。
  医師は6月頃からせきなどの症状があり、改善しなかったため検査したところ、7月に結核と判明。同病院は、この医師から診察を受けた患者たち374人に検 査を呼びかけていた。陽性だった患者には、追加の健診や、発症予防の治療を行うという。医師は結核と判明した直後に入院し、診療は行っていない。
 厚生労働省結核感染症課によると、結核は発症した人のせきやたんを通じて感染するため、検査で陽性でも発症していなければ他人にうつすことはない。

国立病院機構運営65病院が経営悪化、改善計画達成できず…会計検査院指摘 indexへ

  全国141の病院を運営する独立行政法人「国立病院機構」が、2016年度に設立以来初めて赤字に転落したことを受け、会計検査院が各病院の経営状況を調 べたところ、同年度に経営改善計画を立てていた92病院のうち、約9割の82病院が計画を達成できていないことが分かった。約7割の65病院は15年度よ り経常収支が悪化していた。
 機構は、国の医療政策や地域医療の向上に貢献することを目的に、04年に設立さ れ、国立病院・療養所の大半の経営を国から引き継いだ。ただ、全体の経常収支比率は10年度の107%をピークに悪化に転じ、診療報酬改定や消費増税の影 響などから16年度は99・2%(経常収支は68億円のマイナス)と設立以来初めて経常赤字を記録。17年度も99・7%(同21億円のマイナス)で2年 連続の赤字となった。
 検査院は、機構の財務状況や各病院の経営改善に向けた取り組みを調査。その結果、国公立 や医療法人などの他の病院に比べ、支出に占める医薬品や医療器具などの購入にかかる材料費の割合が高く、一貫して上昇傾向にあった。収入の大部分を占める 一般大規模病院では、病床利用率が低下していた。
 各病院は、資金余力に不足が見込まれる場合、機構の通知に基づき経営改善計画を作成し、実行することになっている。しかし、16年度決算では、15年度より経営が改善されたのは27病院にとどまった。
 各病院が経営改善計画で掲げた実施項目は「収益の増加」が89%を占め、その内容は「患者数を増加させる」が大半だった。実現可能性や医療需要などを加味しないまま、患者数の増加を安易に盛り込んだことで、計画を達成できなかった病院が多かったとみられる。
 検査院は「実現可能性や妥当性に疑念が生じる内容では実行の意欲に欠け、経営改善に結びつかない恐れがある」と指摘した。
 機構は「参考となる実施項目の事例や注意点を具体的に示し、改善計画の実現可能性を高めたい」としている。

保育施設、重大事故への対策不十分…総務省が勧告 indexへ

 保育施設で、死亡の恐れもある重大事故への対策が不十分だとして、総務省行政評価局は9日、内閣府と厚生労働省に対し、保育施設への適切な指導や助言を行うことなどを自治体に要請するよう勧告した。
 同局は2017年4月~18年11月、抽出した認可・認可外保育施設149か所、44自治体、厚労省などに調査を実施した。その結果、睡眠中の呼吸などの点検を1歳児に行っていない施設が11%、プール活動中に指導役と監視役を配置していない施設が14%あった。
 また国は重大事故が起きた場合、全ての保育施設に自治体を通して国への報告を義務付けているが、4自治体と9保育施設で、意識不明や骨折などの重大事故を報告していなかった。

風疹猛威、週100人増ペース…「空白の世代」30~50代男性は予防接種を indexへ

  風疹の流行が拡大している。国立感染症研究所(感染研)によると、この2か月間、国内の患者報告数は毎週100人以上のペースで増え続けている。患者の多 くは、子どもの頃に予防接種の機会がなかった30~50歳代の男性。風疹は妊婦が感染すると赤ちゃんに深刻な影響が出る恐れがあり、接種費用を企業や自治 体で負担する動きが広がっている。

飲酒、赤ちゃんだけでなく妊婦自身にも悪影響確認…「高血圧症候群」リスク indexへ

 妊婦が飲酒すると妊娠高血圧症候群になるリスクが高まるとの調査結果を、東北大学病院周産母子センターなどの研究チームがまとめ、7日発表する。赤ちゃんの先天異常や発達の遅れといった危険性はすでにわかっていたが、妊婦自身への悪影響が確認された。
 妊娠高血圧症候群は、妊婦の5~10%に生じるとされる。高血圧から脳出血、肝臓や腎臓の機能障害など重い合併症につながる恐れがある。
 チームは、国が全国規模で実施する「エコチル調査」に参加した妊婦7万6940人について、妊娠初期と妊娠中後期に飲酒の状況を質問。妊娠初期に酒を飲んでいた人は7323人(9・5%)おり、妊娠中後期でも飲んでいた人は1965人(2・6%)いた。
 このうち、妊娠高血圧症候群のリスクが上がるのは、妊娠中後期に毎日、日本酒1合以上に相当する飲酒を続けていた妊婦(58人)。この場合、全く飲酒しない妊婦に比べて、3・45倍リスクが高かった。

「朝食抜くと太る」代謝狂いエネルギー消費減…名大チームがラット実験 indexへ

 朝食を抜くと体内時計が狂い、肥満につながりやすいことがラットの実験でわかったと、名古屋大の研究チームが発表した。論文が米科学誌「プロスワン」に掲載された。
  名古屋大の小田裕昭准教授(時間栄養学)らのチームは、ラットを2グループに分け、片方は活動開始から食事を与えた。もう片方は食事を4時間遅らせ、人間 の「朝食抜き」に相当する状態にした。その結果、食事の量に差はなかったが、朝食抜きのグループは脂肪が増え、朝食をとったグループよりも体重が増加し た。朝食抜きのグループは、肝臓で脂質の代謝に関係する遺伝子の働きが遅れていた。食事中の体温上昇時間も短かった。

結核予防のBCGワクチン出荷停止、接種時の溶液からヒ indexへ

 厚生労働省は5日、結核を予防するBCGワクチンの出荷が8月から停止していることを明らかにした。ワクチンを打つ際 に混ぜる生理食塩液から、国の基準を超えるヒ素が検出されたため。ただ、接種時に体内に入るヒ素はごく微量で、健康に悪影響はないとして、出荷済みの分は 回収しない。

睡眠中1歳児の呼吸点検、保育施設1割が「未実施」…重大事故未報告も indexへ

 重大事故防止策として国が指針で定めている睡眠中の呼吸などの点検について、1歳児に実施していない保育施設が1割に 上ることが、総務省行政評価局が全国の保育施設と自治体を抽出して行った調査で分かった。同省は近く、内閣府と厚生労働省に、保育事故対策の周知徹底や、 保育施設を監査する際に適切な指導を行うことを自治体に要請するよう勧告する。
 調査は2017年4月~18年11月、抽出した44自治体、保育施設約150か所、厚労省などを対象に行った。
  その結果、1歳児の呼吸などの点検をしていない施設が約10%、0歳児に実施していない施設が5%程度あった。事故防止対策を取っていない施設に対し、自 治体が監査時に必要な指摘や助言をしていない事例も見られた。内閣府などによると、保育施設の死亡事故は0~1歳児に集中し、場面別では睡眠中が最も多 い。
 国は、死亡や意識不明、全治30日以上の重大事故が起きた場合、全ての保育施設に自治体を通して国への報 告を義務付けている。しかし、今回の調査では、一部の自治体と保育施設で、国への報告が義務付けられている重大事故を報告していなかった。事故の状況を記 録していない施設もあった。

看護師の精神疾患、「患者の暴力・暴言」が最多…過労死白書 indexへ

 政府は30日、労働現場での過労の実態などをまとめた「過労死等防止対策白書」(2018年版)を閣議決定した。今年 の研究では、過去5年間に教員と看護師が精神疾患となったケースを調べ、保護者や患者など「業務上の関係者」とのトラブルが、それぞれ疾患の原因の半数近 くを占めていることを明らかにした。
 白書は過労死等防止対策推進法に基づき、16年から毎年まとめられている。今年版では教員や医療従事者などについて、10~15年の公務災害と労災の認定事案を分析した。
 医療従事者では、看護師52人の精神疾患の原因52件のうち、最も多い23件が患者からの「暴力や暴言」だった。次いで多かったのが、「事件・事故などに遭遇」(17件)だった。
 根本厚生労働相は30日の閣議後記者会見で「職場での健康確保措置を総合的に推進することが重要だ」と述べた。

不合格24女性、東京医大に受験料と慰謝料請求 indexへ

 東京医科大(東京)の不正入試問題を受け、2006~18年度の同大入試で不合格となった18歳から30歳代までの女性の元受験生24人が29日、支払った受験料と慰謝料の計769万円を同大に請求した。入試結果を2週間以内に開示することも求めた。

前学長一声「関係者なので」…異論なく裏口合格 indexへ

 東京医科大が23日に公表した第三者委員会(委員長・那須弘平弁護 士)の中間報告は、同大にはびこる不正入試の根深さを改めて浮かび上がらせた。受験生に対する差別は、性別や浪人回数にとどまらず出身校にも及び、特定の 受験生を合格させる「個別調整」は一般、推薦入試を問わず、あらゆる場面で行われていた。同大は来週にも、不正によって不合格となった受験生の救済策を決 める見通しだ。
 入試委員会が不正の一端を把握しながら黙認していた疑いも浮上している。
 中間報告などによると、入試委員会は学長や副学長、副学長補らで構成され、入試の合否判定を行う。今年の一般入試の合否を判定した入試委員会では、鈴木衛前学長(69)が特定の受験生について「関係者なので」と発言していた。

「小さな文字もバッチリ!」飲むだけで視力が良くなるかのような広告に課徴金 indexへ

 販売する発酵飲料を飲むだけで視力が良くなるかのような広告を表示したことが景品表示法違反(優良誤認)にあたるとし て、消費者庁は25日、健康食品販売会社「言歩木(ことほぎ)」(千葉県市川市)に対し、約1800万円の課徴金納付を命じ、再発防止を求める措置命令を 出した。
 発表などによると、同社は2016年5月以降、ブルーベリーの発酵飲料について、新聞広告で「小さな 文字や画面もバッチリ!」などと視力が回復するかのような表示をしたが、実際に効果はなかったという。昨年10月末に販売を終了したが、広告開始からの売 り上げは約6億円に上ったという。同社は取材に対し、「景品表示法の認識不足だった。再発防止に努める」としている。

膀胱がん、17人発症…発がん性物質「モカ」扱う7工場で indexへ

 発がん性物質「MOCA(モカ)」を取り扱っていた全国の化学工場7か所で、計17人が 膀胱がんを発症していたことが厚生労働省の調査でわかった。
 2016年に静岡県で5人の発症が発覚したことなどを受け、同省が調査していた。同省は業界団体を通じ、全国の工場に従業員のがん検査の実施などを求めた。
 モカは、マンションの防水材などに使うウレタン樹脂の硬化剤として使用され、世界保健機関(WHO)の下部組織にあたる「国際がん研究機関」が2010年、発がん性物質と認定した。同省によると、昨年時点で全国の333工場の3747人に取り扱い歴がある。

人気「プチ整形」トラブル相次ぐ…未承認薬使用 indexへ

 顔のしわ取りなどの美容医療で、皮膚の下に化学物質を注射する「フィラー( 充填剤)施術」を巡るトラブルが相次いでいる。メスを使わない「プチ整形」として人気だが、使われる物質の多くは国内未承認で、安全性が確認されていないという。後遺症が出たとして訴訟になるケースも出ている。
 「今日なら割引があり、他の注射もサービスします。全く危険はありません」
 大阪府内の女性(66)は昨年6月、奈良市内の大手美容整形外科を訪ねた際、こんな言葉でフィラー施術を勧められた。来院は初めてだったが、その日のうちに頬などに充填剤「アルカミド」を注射する施術を受け、342万円の費用を支払った。
 だが、直後から鼻、頬に痛みやしこりを感じるようになった。

都内の病院、結核に24人集団感染…2人が死亡 indexへ

 東京都は24日、大田区の総合病院で昨年11月以降、入院患者と病院職員ら計24人が結核に集団感染し、60歳代の患者2人が死亡したと発表した。
 集団感染があったのは、牧田総合病院。都の発表によると、昨年11月下旬、全身が衰弱した状態で病院に搬送された男性患者(68)が、入院6日後に肺結核と診断された。男性は結核病床がある別の病院に移ったが、12月に死亡したという。
 男性が当初、一般病棟にいたことから、大田区保健所が今年1月~6月、接触した可能性がある患者や病院職員らを調べたところ、23人が結核に感染していることが判明。このうち9人が発病し、60歳代の女性患者が死亡したという。

東京医大、女子82人合格→操作で43人に…今年の一般入試 indexへ

 東京医科大(東京)による不正入試問題で、同大の第三者委員会(委員長・那須弘平弁護士)は23日夜、中間報告を公表した。
 今年の一般入試では、82人の女子が合格していたが、不正によって合格者は43人に抑えられていた。推薦入試で女子差別が行われた疑いも浮上した。
 同大は、一般入試の2次試験で小論文の得点を操作し、女子と3浪以上の男子を不利に扱っていた。1次試験でも裏口入学の依頼のあった受験生の得点を加算する不正を行っていた。
  報告書によると、第三者委は、操作がなかった場合の得点を復元。今年の一般入試の合格者選定名簿を分析すると、操作によって女子の合格者数は半数に抑えら れていた。また、今年と昨年の一般入試と大学入試センター試験利用の受験者を合わせると、合格ラインに達した女子は計223人に上ったが、合格者数は計 168人に抑えられ、計55人が不合格となっていた。

東京医大、高卒認定者も差別…女子同様加点せず indexへ

 東京医科大(東京)が医学部医学科の一般入試で女子受験者らの合格者数を抑制していた問題 で、同大が高卒認定試験の合格者や海外の学校出身の受験生も差別していたことが、23日に公表された第三者委員会の報告書でわかった。今年の入試では、昨 年よりも女子の減点幅が拡大され、より不利に扱われていたことも判明した。
 同大は今年の一般入試と大学入試セ ンター試験利用の受験者について、2次試験の小論文(100点満点)で受験者全員の得点に「0・8」の係数を掛けて減点した後、現役と1、2浪の男子に 10点を、3浪男子に5点を加点。女子と4浪以上の男子には加点せず一律に減点したままとし、女子と3浪以上の男子の合格者数を抑制していた。

認知症、3割が身体拘束…病気・けがで入院時に indexへ

  認知症の人が様々な病気やけがの治療で病院に入院した際、ほぼ3割が身体を縛られるなどの拘束を受けていたとする全国調査結果を、東京都医学総合研究所と 国立がん研究センターの研究チームがまとめた。拘束の主な理由は入院中の事故防止だった。研究チームは「認知症の高齢者は、身体拘束を受けると、症状が進 んだり筋力が低下したりしやすい。不必要な拘束を減らす取り組みが求められる」と指摘している。
 中西三春・同研究所主席研究員らは昨年、全国の一般病院(100床以上)3466施設に調査書を送り、937施設から有効回答を得た。主に病気やけがの初期治療を行う急性期とリハビリなどを行う回復期の病院を対象とした。集中治療室(ICU)や、精神科病院は除外した。
  集まったデータを分析したところ、認知症かその疑いがある入院患者2万3539人のうち、28%にあたる6579人が、拘束帯やひもなどを使った拘束を受 けていた。ベッドの四方を柵で囲むだけのケースは含んでいない。こうした一般病院での実態は、これまでほとんど明らかになっていなかった。
 身体拘束の内容(複数回答)は「車いすに拘束帯などで固定」13%、「点滴チューブなどを抜かないよう(物をつかみにくい)ミトン型の手袋をつける」11%、「ベッドからの転落防止で患者の胴や手足を縛る」7%、「チューブを抜かないよう手足を縛る」5%、「 徘徊防止で胴や手足を縛る」4%などだった。
  身体拘束は本来、意識が混乱した患者の生命や安全を守ることが目的だ。研究チームによると、医療現場では看護師らの人手が不足している上、安全管理の徹底 を求める入院患者の家族などに配慮し、事故防止を最優先する意識が働く。その結果、他の対策を検討することなく、拘束を行いがちだという。
 精神科病院を除いた一般病院では、身体拘束の可否や範囲について定めた法律や規定はなく、医療現場の判断に委ねられている。一方、介護施設では、介護保険導入の際、身体拘束は原則、禁じられた。
 国内の認知症の人は、2012年の約462万人から25年には約700万人に増えると推計される。
 白澤政和・桜美林大学教授(老人福祉学)の話「人権に対する配慮の観点からも残念な数字だ。身体拘束を減らすため、病院は認知症の人に対する意識を変え、防止に向けた検討会の設置や、リスク管理のマニュアルづくりを進めるべきだ」

保育所、あえて「落選狙い」…育休延長目的で横行 indexへ

  育児休業を延長するため、入所倍率の高い保育所に申し込み、あえて「落選」を狙う保護者が増えている。延長手続きに「落選通知」が必要なためだが、本当に 保育所に子どもを入れたい保護者が利用できなくなる事態が生じているため、厚生労働省は手続きを見直すことを決めた。申し込み段階で保護者の意向を確認 し、落選狙いなら入所選考の優先順位を下げる方針だ。
 育児・介護休業法では、育休は原則、子どもが1歳になる まで取ることが可能。取得者には最高で賃金の67%の給付金が出る。育休は最長2歳になるまで延長できるが、その際、保育所に落選したことを示す自治体の 証明書が必要になる。このため、各地の自治体には、延長を希望する保護者から、落選通知をもらうための申し込みが相次いでいる。
 大阪市が今春、保育所の利用を申し込んだ保護者に確認したところ、入れなかった2503人のうち163人が落選狙いと判明。「これらの人にも書類の確認や選考作業が生じ、現場の負担になっている」という。
  千葉県船橋市は、「入れない保育所を教えてほしい」と窓口で聞く保護者や、入所内定を辞退したのに「落選通知を出してほしい」と要望する保護者への対応に 苦慮している。担当者は「こうした申し込みで、本来なら入れたはずの人が入れなくなっている可能性がある」と話す。各自治体の担当者らによると、保護者が 落選通知を求める理由には「もう少し家庭で育てたい」「子どもの発育が遅れ、保育所に預けるのが不安」などがあるという。
 この問題を巡っては、大阪市など32自治体が同省に制度の改善を求め、内閣府の地方分権改革有識者会議で議論を続けてきた。
  22日の同会議に厚労省が示す改革案は、保育所の申込書に「絶対に復職したい」「場合によって育休の延長もやむを得ない」といったチェック欄を設けるなど して、保護者の意向を確認できるようにする。「延長が目的」と自治体が判断した場合、入所選考での優先順位を下げられるようにする。同省の担当者は、「落 選したい人の入所内定が避けられれば、選考の手間が省ける」としている。
 同会議で結論がまとまれば、同省は来年以降の選考に適用する方針だ。

順天堂大医学部も、女子と2浪以上受験生差別か…不適切入試の疑い5大学に indexへ

 順天堂大(東京)が医学部の一般入試で、女子と2浪以上の男子の受験生を差別していた疑いが あることが、文部科学省の調査でわかった。調査では、既に2浪以上の受験生への差別が明らかになった昭和大(同)と今回の順大を含め、少なくとも5大学に 不適切な入試の疑いがあることも判明した。同省は近く事例を公表し、全国の大学に注意喚起する。
 関係者による と、順大では、主に学力を測る1次試験の合否判定で、受験生の成績が下位だった場合、現役と1浪のみを合格とし、2浪以上は不合格にしていたとされる。小 論文と面接を課す2次試験でも、男子と女子で異なる合格最低点を設定し、女子を不利に扱っていた疑いがある。
 同省は既に大学側に問題点を指摘。同大は18日、第三者委員会を設置し、事実確認を進めると発表した。ただ、指摘の内容は明らかにしておらず、第三者委の報告を受けて速やかに公表するとしている。
 文科省の調査では、ほかに関東の別の私大が2次試験で浪人を重ねた受験生を不利に扱っていた疑いが浮上。さらに、別の私大2校でも不適切な事例が見つかったという。

昭和大医学部入試、13年から得点操作…卒業生の子優遇も indexへ

 昭和大(東京)は15日、記者会見を開き、 医学部一般入試の2次試験で、2013年から現役と1浪の受験生に一律に加算する得点操作をしていたと発表した。同年以降、卒業生の子弟計19人を補欠合 格者の中から優先的に合格させていたことも明らかにした。募集要項に説明はなかった。同大は、第三者委員会を設置して改めて調査し、不利益を被った受験生 への対応も検討する。
 小出良平・学長と会見に出席した小川良雄・医学部長は「受験生や社会の信頼を損ない、深くおわびする」と謝罪した。来年の入試では、得点操作や子弟への優遇措置を取りやめる。
 同大では、医学部の一般入試は1期と2期の2回にわけて行われ、英 語・数学・理科の1次試験(400点満点)と、小論文と面接、調査書の内容を総合的に判定する2次試験(80点満点)の得点を合算して合否を決定。同大は 2次の得点で現役の受験生に10点、1浪に5点を一律に加算する一方、2浪以上には加算していなかった。
 小川医学部長は、理由について「現役や1浪の受験生の方が入学後に伸びる。将来的に可能性があると認識していた」と説明した。

梅毒、20代女性に流行…男性は20~40代 indexへ

 性感染症の梅毒の感染者数が、昨年に続き5000人を超えた。国立感染症研究所(感染研)は10日、今年の報告数が9月30日までに5081人になったと発表。44年ぶりに5000人台となった昨年を上回る勢いを見せている。
 梅毒は性的接触を通じて感染する。現在の流行は男性が20~40歳 代、女性は20歳代が中心。性感染症の治療を行うプライベートケアクリニック東京(東京都新宿区)の尾上泰彦院長は「性風俗に関わる職業の女性や客の男性 が多い。夫が感染し、妻にうつしたケースもある」と説明する。
 都道府県別にみると、東京1284人、大阪874人、愛知338人、神奈川280人、福岡229人など都市部に感染者が多い。
 梅毒は、感染して約3週間で陰部や口、肛門にしこりができ、その後、 手足など全身に発疹が出る。症状は治まったり再発したりを繰り返す。抗菌薬で治療できるが、放置すると脳や心臓などに異常が出る恐れがある。妊婦がかかる とおなかの赤ちゃんにも感染し、死亡することもある。
 感染研細菌第1部の大西真部長は「不特定多数との性的接触は避け、コンドームを使うことで感染リスクは減らせるが、完全ではない。感染が疑われる場合は速やかに検査を受け、感染が分かったらすぐに治療してほしい」と話している。

梅毒2年連続5千人超…昨年上回るペース indexへ

 国立感染症研究所は10日、性感染症の梅毒の感染報告者数が、今年1月から9月30日までの累計で5081人になったと発表した。年間の感染者数は、昨年の5824人(暫定値)に続いて5000人を超えた。
 今年は、44年ぶりに5000人台を記録した昨年を上回る勢いで増えている。都道府県別では、東京1284人、大阪874人、愛知338人など、都市部で多くなっている。
 梅毒は性的接触を通じて感染する。3週間程度で感染した部分にしこりができるなどし、その後、手足など全身に発疹が出る。症状は治まったり再発したりを繰り返す。
 抗菌薬で治療できるが、放置すると脳や心臓などに異常が出る恐れがある。妊婦が感染した場合、胎盤を通しておなかの赤ちゃんに感染し、死亡することもある。
 予防するには、コンドームを使用し、粘膜や皮膚が直接接触するのを避ける。それでも完全に防げるわけではなく、感染が疑われる場合、早めに医療機関を受診する。

美容医療で不適切HP、業界団体調査…目立つ未承認機器 indexへ

 美容医療を行う医療機関が、ホームページ(HP)で医療法で認められていない不適切な表示をしているケースが多数あることが、医療機関向けのコンプライアンス講習会などを行う一般社団法人eヘルス協議会(東京)の調査で分かった。
 今年6月施行の改正医療法では、美容医療などでトラブルが相次いだことを踏まえ、医療機関のHPでの情報発信も「広告」とみなし、内容が規制される対象になった。
 eヘルス協議会が7~8月、HPを持つ全国の美容医療機関から無作為 に101件を選んで調べたところ、外国製のレーザー脱毛機など、情報発信が認められていない「国内未承認の医療機器を用いた治療の広告」とみなされる表示 が、78件で見つかった。未承認であることなどを明示すれば表示できる規定もあるが、そうした記述もなかった。
 承認済みであっても認められていない「機器の販売名の表示」(22件)や男性型脱毛症(AGA)などの「治療薬の販売名の記載」(17件)も見つかった。
 厚生労働省医政局総務課の担当者は「医療広告のガイドラインなどを作り周知してきたが、わかりにくいとの指摘もあった。今後は学会などでも説明を行っていきたい」と話した。
 eヘルス協議会の三谷博明代表理事は「法律への対応が遅れていることが浮き彫りになった。第三者がHPの表示を認証する仕組みづくりなども検討すべきだ」としている。

眼腫瘍、治療可な52病院を公開…国立がん研究センター indexへ

 国立がん研究センターは27日、患者が極めて少ない希少がんの一つの 眼腫瘍について、専門的な治療ができる52の医療機関名と診療実績をホームページに公開した。希少がんは治療に関する情報も少なく、適切な治療を受けるこ とが難しいため、患者の速やかな受診につながることが期待される。
 眼腫瘍は、網膜や角膜、まぶたなど目にできる様々ながんの総称。これ らのがんになる割合は、国内では10万人あたり3・1人と、まれだ。同センターは今回、がん診療連携拠点病院を中心に52病院をリスト化。がんの種類別 に、診断や治療の可否、治療件数のほか、治療内容や診療連携している病院も掲載した。
 例えば、子どもにみられる網膜芽細胞腫では、診断や治療した患者数(2013~15年の年平均)が多かったのは、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)76人、名古屋医療センター(名古屋市中区)19人、兵庫県立こども病院(神戸市中央区)11人などだった。
 国立がん研究センターは、手足などの筋肉や皮下組織にできる軟部肉腫についても、同様に情報公開している。ホームページ「がん情報サービス」(https://hospdb.ganjoho.jp/rare/)に掲載されている。

回収した高血圧治療薬、がんの危険性を公表 indexへ

 あすか製薬(東京)が、中国で製造した原材料に発がん性のある物質が混入した疑いがあるとして、高血圧治療薬「バルサルタン錠『AA』」4製品を自主回収した問題で、厚生労働省は服用した場合にがんになる危険性の評価を公表した。
 薬が販売されていた2017年までの4年間、最大量を毎日服用した場合、がんを発症する割合は1万5000~3万人に1人だという。4製品はこれまでに約1万9000人に処方されたと推計されている。

手術死問題 群大安全委公開へ…遺族の要望受け indexへ

 手術死が続発した群馬大学病院(前橋市)の医療安全を推進する委員会 について、病院側が遺族の要望を受け入れて会議を全面公開することが21日、わかった。遺族会代表あてに20日付で送付された病院長名の文書で、会議を報 道関係者も含めて、原則、全面公開することや議事録全文のサイトでの公表を伝えた。次回会議は10月中に開かれる予定。
 同病院は医療事故の教訓を踏まえ、安全性向上など病院改革のために患者参加型医療推進委員会を設置。遺族会の2人の代表を委員に迎え、6月に初会合を開いた。両代表は委員会の透明性を確保するため、会議の公開などを求めたが、病院側は、報道関係者が傍聴すると議論が 萎縮するなどとして難色を示した。遺族会は8月にも要望書を提出し、「閉鎖的な組織からの脱却」を訴えていた。
 小野里和孝代表(38)は「うれしく、感謝の思いだ。『あたたかい医 療現場』づくりに向け精進したい」とコメント。木村豊代表(49)も「安全で高度な医療を安心して受けられる病院を目指し、病院と共に進んでいけることを 切に願っている」と抱負を語った。同病院は「患者さんと協力して安心安全な医療を提供できるように努めたい」としている。

「乳児ハチミツ注意」、死亡事故受け表示義務化 indexへ

 ハチミツを食べた乳児が昨年3月、ボツリヌス菌が原因の「乳児ボツリヌス症」で死亡した事故を受け、業界団体が会員業者に、容器への注意表示を義務付けることを決めた。来夏にも規約を改正し、統一した表示基準を設けて、乳児に対する危険性を明確にする。

インフル接種、13歳以上は原則1回…ワクチン安定確保のため indexへ

 厚生労働省は、今季のインフルエンザワクチンの接種回数について、13歳以上は原則1回とするよう、都道府県を通じて、医療機関に通知した。昨季はインフルエンザが流行し、一時、ワクチンが不足した地域があった。
 今季は、例年より多い約2650万本(1本で大人2回分)のワクチンが準備される見通しだが、全国で安定的な供給を確保するため、適切な接種回数の徹底を求める。
 同省によると、接種が2回必要と考えられるのは13歳未満の小児で、13歳以上は1回でも、ワクチンの効果が期待できる。ただ、ワクチンメーカーは従来、13歳以上に対しても接種回数を「1~2回」としてきたため、健康な大人でも2回接種を受ける人がいる。

がんの5年生存率、病院ごと・ステージ別で230施設公表「受診の参考に」 indexへ

 国立がん研究センターが12日、病院ごとに病期(ステー ジ)別で公表したがんの5年生存率。患者団体の要望が強かったもので、今回初の取り組みだ。数値には病院により差があるが、同センターは「治療の優劣を示 すものではない点に留意して、受診の参考にしてほしい」としている。
 5年生存率は、がん診療連携拠点病院など251施設で、 2008~09年にがんと診断された約50万人分を集計した。病院別のデータは、公表を見送った病院を除く230施設について、主な5部位(大腸、胃、 肺、乳房、肝臓)で、がんの進行度に応じたステージ1~4の数値を公表した。
 例えば肺がんは、同センター中央病院はステージ1が85・5%、同4が10・3%、全体で60・6%。がん研有明病院は同1が84・2%、同4が4・5%、全体で52・2%などとなった。
 同センターの東尚弘・がん登録センター長は「病院が治療を振り返る機会となり、医療の質向上につながれば」としている。
 集計結果は同センターのサイト「がん情報サービス」に掲載されている。
          ◇
【解説】情報共有、信頼の一歩
 主ながんのステージ別5年生存率が病院名を明示して公表されたのは、医療の透明性を高めるうえで前進だ。生存率の情報は病院選びの重要な参考になる。
 ただし、これは必ずしも治療成績の優劣を示すとは限らない。患者にとってまず大事なのは、主治医とよく話し合うことだ。
 病院により患者の年齢構成や状態は異なる。がん以外の持病を抱えているなど、難しい患者が多ければ、数値は低くなりやすい。こうした背景は、患者も理解しておく必要がある。
 しかし、患者にしてみれば、最も知りたい情報の一つであることは間違いない。医療側と患者側の情報共有は、信頼関係を深める第一歩だ。今回の公表を契機に、適切な透明化を進めたい。

がんの3年生存率を初公表…前立腺99%、膵臓は15% indexへ

 国立がん研究センターは12日、がんの3年生存率を初めて公表した。部位別では、早期発見が難しい 膵臓が15・1%と最も低く、新たな治療法開発など、難治性がん対策の必要性が改めて浮き彫りになった。
 がんは5年生存率が回復の目安だが、データが古くなり最新の医療実態を反映しにくい。このため、より新しいデータとなる3年生存率について、がん診療連携拠点病院など268施設で2011年に診断された約31万人分を集計した。
 その結果、がん以外の死亡の影響を除いた生存率は、全てのがんの平均で71・3%だった。部位別では、前立腺が99・0%、乳房が95・2%と高い一方、食道は52・0%、肺は49・4%と低めだった。
 これとは別に、胃など主ながん5部位の5年生存率が、全国230の病院名とともに病期(ステージ)別に初めて公表された。

17人に1人は体外受精児…累計50万人を突破 indexへ

 2016年に国内で行われた体外受精により、過去最多となる5万 4110人が誕生していたことが日本産科婦人科学会のまとめでわかった。17人に1人が体外受精で生まれたことになる。国内で初めて体外受精児が誕生した 1983年以降、累計で53万6737人となり、50万人を突破した。
 体外受精は、卵子に針を刺して精子を注入する方法や受精卵を凍結保存する技術が開発されるなど、進歩してきた。特に凍結保存は妊娠時期を調整できることから利用者が多く、16年の体外受精で生まれた子どもの8割を超える4万4678人がこの方法だった。
 埼玉医科大の石原理教授(産婦人科)は「体外受精で生まれる子どもは、もはや珍しい存在ではない。不妊に悩む人たちの有力な選択肢として啓発することや経済的支援など、環境整備が必要だ」と話している。

「人工股関節」英語で表示…ステッカーを財団が無料提供 indexへ

 人工股関節の手術を受けた人が、海外の空港で金属探知機による保安検査をスムーズに受けられるようにするため、日本股関節研究振興財団(東京)は、人工股関節の英語名とイラストが入ったステッカーを作成した。無料で希望者に郵送している。
 手術は、生まれつきの関節のずれや、老化などで損傷した股関節を人工物に取り換えるために行う。人工股関節は金属などでできており、患者から「海外の空港の保安検査で反応してしまった時に、英語で説明するのが難しい」との相談が、同財団に寄せられていた。
 ステッカーは縦7・1センチ、横4・4センチ。シールのため、パスポートケースに貼って使える。外見からはわかりにくい障害や病気のある人が、周囲の助けを必要としていることを示す「ヘルプマーク」にもぴったりの大きさだ。
 別府 諸兄理事長は「ステッカーには人工股関節の絵も描いており、海外の旅先はもちろん、日常生活でも、周囲に理解してもらうために役立ててほしい」と話している。
 問い合わせは同財団((電)03・3421・6552)へ。ステッカーは財団のサイト(http://www.kokansetu.or.jp/)から申し込める。

旧優生保護法の強制不妊、個人特定3033人…手術全体の12%のみ indexへ

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らが不妊手術を強制され た問題で、厚生労働省は6日、27都道府県の3033人分について、手術記録など個人が特定できる資料が残っていたと明らかにした。ただ、同法に基づく不 妊手術は全国で少なくとも2万4993人に行われたことが分かっており、記録が確認できたのは約12%にとどまった。
 この問題を巡っては、議員立法などでの救済が検討されている。しかし、手術を受けたことを証明する個人別の資料が当事者らの手元に残っていないケースが多く、厚労省が4月、都道府県や政令市など計150自治体に、資料の有無を調査するよう求めていた。
 その結果、不妊手術について個人が特定できる資料があったのは27都 道府県の3033人分で、いずれも本人の同意がない手術だった。不妊手術を受けた人のうち本人同意がないケースは1万6475人で、これをベースに考える と、資料が残っていたのは約18%。手術の適否を決める都道府県の審査会で「適」とされた記録は5676人分で、このうち個人名が分かる記録は4885人 分だった。
 厚労省は医療機関や福祉施設に残る資料の確認も自治体に求めており、個人を特定できる資料は増える可能性もある。今後、見つかった資料の開示方法や、記録がない人への対応などが議論になるとみられる。
 一方、厚労省はこの日、同法に関する内部資料も公開。「不良な子孫の出生防止」といった法の目的について、旧厚生省内で度々、「時代に合わない」などと問題点が議論されてきたことがわかった。

妊産婦の死因、3割は自殺…産後うつが影響か indexへ

 2015~16年の2年間に死亡した妊産婦のうち自殺は102人で全 体の3割を占め、死因として最多だったとする調査結果を国立成育医療研究センター(東京都)の研究チームが5日発表した。無職世帯や35歳以上の女性が産 後に自殺するリスクが高く、産後うつの影響がうかがわれた。妊産婦の自殺に関する全国の実態が分かったのは初めて。
 研究チームは、各自治体に提出された12~60歳の女性の死亡届や出生届、死産届を基に死因を調査した。
 妊娠中から産後1年未満に死亡した妊産婦は357人(死産を含む)。死因を調べたところ、自殺は102人(妊婦3人、産婦99人)で、がん75人(妊婦はゼロ)、心臓病28人(産婦27人、死亡時期不明1人)が続いた。
 産後に自殺した92人の背景を分析すると、無職世帯の女性の自殺率が 最も高かった。年齢別では、35歳以上が45人と半数近くに上り、29歳以下(21人)を大きく上回った。研究チームは自殺の要因として、経済的な困窮や 高齢出産、産後うつなど心の問題の関わりについて指摘している。
 調査をまとめた森臨太郎・同センター政策科学研究部長は「産後の健診や、助産師や保健師による自宅訪問などで育児や生活の不安についてもすくいあげ、支援につなげる地道な取り組みが重要だ」と話す。
産後うつ 出産後に起きる心の病気。抑うつ状態になり、物事への興味や楽しいと思う気持ちが失われ、不眠や意欲の低下に悩まされる。ホルモンバランスや環境の急激な変化、育児での孤立など様々な要因があるとされる。
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貧困・高齢が背景に…欠かせぬ支援
 妊産婦の死因に自殺が多いことは医師の間で経験的に語られてきたが、初めて調査で裏付けられた。より正確なデータが出たことで、事態の深刻さが浮き彫りになった。
 死亡届だけを使った国の妊産婦死亡統計では、実態は分からなかっ た。産後数か月の死亡や、死亡診断書で妊娠・出産について書かれていないケースが漏れるためだ。今回の調査でも、妊娠中の自殺者が把握しにくい同様の弱点 はあるが、出生届や死産届との突き合わせで産後の情報が増え、実態に近づいた。
 幸せと思われがちな妊娠・出産期、おなかの子を道連れに、あるいは乳飲み子を残して自ら命を絶つ。家族や社会に与える影響は大きい。追いつめられた妊産婦を見つけ出し、適切な支援につなぐ必要がある。
 国は昨年、自殺総合対策大綱を改定し、妊産婦への支援を初めて重点施策に掲げた。各市町村は今年度、新たな対策計画を作る。調査からは、貧困や高齢出産の不安が背景にあることも分かった。調査結果を生かしたきめ細かな支援の実現が急がれる。
岐阜の病院、死亡直後に別の患者を冷房利く部屋に移動…暑さの危険性認識か indexへ

 岐阜市の「Y&M藤掛第一病院」で8月26~28日に入 院患者5人が死亡した事件は、4日で発覚から1週間を迎える。病院は「対応に問題はなかった」とするが、患者の死亡直後、エアコンの故障したフロアの入院 患者を冷房の利く病室に移動させていたことが判明。岐阜県警は、同病院が熱中症の危険性を認識しながら患者の死亡を回避する措置を怠った可能性もあるとみ て、業務上過失致死容疑を視野に捜査を進めている。
 「入院している82歳の父は、8月28日午後に本館4階の病室から本館2階に移された」。岐阜市の男性会社員(47)は読売新聞の取材に、「報道で(他の)患者が死亡していたことを知って驚いた」と話した。
 本館3、4階のエアコンは8月20日に故障した。男性によると、見舞 いに訪れた27日、病室は暑く、「同じ部屋の患者はあせもができて、体調がとても悪そうだった」と振り返る。病院側に対応を求めたところ、父親は冷房の利 く2階の病室に移された。移動は県警の捜索の前だった。
 別の男性は、本館4階の病室にいた父親が、27日夜に新館へ移された と証言した。同病院では26日夜から27日午前にかけ、入院患者約50人のうち、本館3、4階の83~85歳の男女4人が死亡した。27日に本館の3階か ら2階に移動した男性(84)も28日に亡くなった。26、27日の岐阜市の最高気温は36度を超えていた。
 捜査関係者によると、県警の司法解剖で5人は病死とみられるが、一部 からは熱中症になっていたことをうかがわせる痕跡が見つかった。熱中症と死亡との因果関係を調べるため、県警は引き続き血液の分析などを行う方針。因果関 係が認められた場合、病院が患者の死を予見できたか、十分な回避措置を取ったかが捜査の焦点となる。
 市保健所などによると、同病院はエアコン故障後、本館3、4階から新館への患者の移動を検討。定期的に患者の体温も測るなどしており、暑さの危険性や死亡との因果関係を認識していた可能性もある。
 一方、県の調査などでは病院のエアコン11基中、本館の4基は法令に基づく定期点検を受けていた。故障したエアコンは3年に1度、点検を受けたとの記録が残され、直近は昨年4月だった。故障後は扇風機9台を用意し、冷房の利かない病室に一つずつ配置していた。
 藤掛陽生院長は28日、報道陣の取材に対応が適切だったと説明し、故障と死亡との因果関係を否定。30日には代理人の弁護士を通じ、「対応に刑事責任を問われるような問題があったとは考えていない」とのコメントも出しており、捜査は長期化が予想される。 医師法「異状」定義は曖昧
 Y&M藤掛第一病院で短期間に相次いだ入院患者の死亡は、関係者か らの通報で発覚した。医師法では、医師が「遺体に異状がある」と認めた時は24時間以内に警察へ届け出ることを義務付けているが、「異状」の定義は曖昧な まま。同病院は、5人は病死だとして、警察への届け出や岐阜市への報告はしていなかった。事件では、病院内で患者の死亡に問題があったとしても、それを把 握する難しさが浮き彫りになった。
 岐阜県警の捜査幹部は「医師が『異状ではない』と判断したなら、医師法違反を問うのは難しいのでは」とする。異状の定義を巡っては、専門家の間でも意見 が分かれている。日本法医学会の指針では「診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの」などとして「異状」を幅広く捉えている。これに 対し、日本外科学会は「医療の 萎縮を招く」などとして批判的な立場を取っており、届け出先は警察ではなく、「中立的専門機関がふさわしい」としている。
 京都府立医科大の池谷博教授(法医学)は「異状の定義をしないまま、届け出を義務付けていることに問題がある。今回の件では通報すべきだったと考えるが、法医学会の指針は医療界で広く受け入れられているとはいえないのが現状だ」と指摘している。
認定こども園、園児ら36人が食中毒…給食のサバ塩焼きからヒスタミン検出 indexへ

 大分県は1日、同県中津市の私立認定こども園で、先月31日の給食を食べた男女の園児33人(1~4歳)と女性職員3人(20、30歳代)が食中毒になったと発表した。全員が軽症で、快方に向かっているという。
 発表によると、同日の給食を食べたのは園児と職員計80人で、うち 36人に口の周りに発疹ができるなどした。県北部保健所の調査の結果、給食で提供されたサバの塩焼きから、食中毒を引き起こす「ヒスタミン」が検出され た。保健所は園に対し、食材を適切に取り扱うよう文書で指導した。
 県によると、ヒスタミンは、原因物質を含むサバやマグロなどの魚が常温で放置されるなどした場合に生成され、食べると発疹などアレルギーのような症状が出ることがある。

過去最悪、薬販売サイト6割が違法…監視強化へ indexへ

 市販薬を取り扱うインターネットサイトの6割で、乱用の恐れがある薬が違法な方法で販売されていたことが厚生労働省による2017年度の調査でわかった。調査を始めた14年度以降、最悪の結果で、厚労省は自治体と連携し、監視を強める方針だ。
 薬のネット販売は14年6月に解禁され、現在は約1900サイトが届け出ている。調査は昨年11~12月、薬を販売する507のサイトを対象に、厚労省が委託した民間会社の調査員が実際に購入して実施した。
 乱用の恐れのある成分を含み、医薬品医療機器法で原則1度に一つしか購入できないせき止め薬などについて、正当な理由の確認もなく複数買えたサイトは63%で、前年度より9ポイント上昇した。調査を始めた14年度は46%、15年度は62%と、悪化の傾向にある。
 市販薬の中でリスクが高い第1類を販売するサイトのうち、同法で義務付けられている副作用の情報提供をしていなかったのは24%で、前年より1ポイント上がっていた。

国の評価トップの病院、医師残業最長205時間 indexへ

 神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市 中央区)が昨年4月、医師を労使協定に基づく時間外労働の上限(月80時間)を超えて働かせたとして、神戸東労働基準監督署から是正勧告を受けていたこと がわかった。時間外労働が国の過労死ラインを上回る医師は全体の2割の45人に達し、最長で月205時間の医師もいた。勧告後も慢性的な長時間労働が続い ており、病院側は外来診療の縮小などの検討を始めた。
 中央市民病院は厚生労働省の救命救急センター約280病院の調査(2014~17年度)で、患者の受け入れ実績などから4年連続トップの評価を受けている。

市教育委員、難病女児に「養護学校の方が合う」…差別発言で辞職 indexへ

 兵庫県宝塚市教育委員会は31日、市教育委員の男性(72)が市立小学校に通学する難病の4年生女児の保護者らに対して差別的な発言をし、7月26日付で辞職したと発表した。
 市教委によると、女児は筋力が低下する脊髄性筋 萎縮症のため、人工呼吸器を装着して通学。特別支援学級に所属し、看護師が付き添っている。
 男性は6月1日、同小のオープンスクールに参加し、特別支援学級を見学した際、女児の母親らの前で「大変やね。環境の整っている養護学校の方が合っているんじゃないの」「周りも大変でしょう」などと発言したという。
 女児の父親の抗議を受けて市教委が調査。男性は市教委の聞き取りに対し「家族の心情を傷つけた。申し訳ない」と話したという。
 男性は須貝浩三教育長(当時)から口頭で注意を受け、父親に謝罪した。その後、「批判を浴びたまま委員を続けられない」として7月25日に辞職願を提出、翌日受理された。

無痛分娩の陣痛促進剤 安全対策を盛り込む添付文書改訂が見送りに…産婦人科医が反対 indexへ

 無痛 分娩の多くで使われている陣痛促進剤について、厚生労働省の有識者会議は28日、安全対策として厚労省側が提案した添付文書(薬の医師向け説明書)の改訂を見送った。参考人として出席した産婦人科医の強い反対があり、合意に至らなかった。
 無痛分娩は、麻酔をかけて痛みを弱める出産方法。産後の疲労を軽減するメリットがあり、人気が高まっている。無痛分娩 が普及した米国などと違い、国内の無痛分娩は人工的に陣痛を起こす計画分娩が主流で、陣痛促進剤が使われることが多い。2017年に無痛分娩を巡る重大事 故が相次いで発覚したが、厚労省研究班の報告によると、無痛分娩をした妊産婦の死亡14例のうち13例で陣痛促進剤が使われていた。
 この日、開かれたのは、厚労相の諮問機関である薬事・食品衛生審議会に設けられた安全対策調査会。薬の安全性について有識者が話し合う。 
 会議の場で、厚労省は、2015~17年度の3年間に、無痛分娩で使った陣痛促進剤による副作用の疑いが報告された ケースの調査結果を発表した。報告は29例あったが、情報不足で因果関係の評価が困難だったため、厚労省は、「現時点での新たな注意喚起に合理的な理由は ない」とした。ただし、麻酔をかけた状態で陣痛促進剤を使うと、副作用で異常に強い陣痛(過強陣痛)が起きていてもわかりにくく、対応が遅れる恐れがあ る。そのため厚労省は、添付文書にある、過強陣痛の防止策を示した警告欄の一文を修正し、無痛分娩時にも十分な監視を促す内容の改訂案を提示した。
 これに対し、参考人として出席した研究班代表の海野信也・北里大学病院長は、「合理的な根拠がわからない」とし、今 後、さらにデータを蓄積する必要性を指摘した。もう一人の参考人の石渡勇・日本産婦人科医会副会長も「無痛分娩は怖いという印象を与えかねない」などと強 く反対した。委員の中には、厚労省案に賛成する声のほか、書き方の工夫で対応してはどうかという意見もあったが合意できず、改訂見送りが決まった。
 無痛分娩で使われる陣痛促進剤に対しては、出産事故の被害者らでつくる「陣痛促進剤による被害を考える会」が今年3 月、慎重に使うよう添付文書の改訂を求める要望書を厚労省に提出していた。同会の出元明美代表は「医師らがしっかり監視していればよいが、そうでないケー スで重大な事故が起きている。広く注意を促せるせっかくの機会が生かされず、信じられない結果だ」と話している。

風疹大流行時、感染妊婦から生まれた11人死亡 indexへ

 関東地方で風疹の患者が急増している。国立感染症研究所(感染研)の 28日の発表によると、19日までの1週間で43人増え、今年の患者数は184人。風疹は妊婦への感染が最も懸念されるため、感染研が2012~13年の 前回大流行時の実態を調べたところ、感染した妊婦から生まれた先天性風疹症候群の赤ちゃん45人のうち、11人が亡くなっていたことが分かった。

東京医科大、不正入試問題で第三者委設置 indexへ

 東京医科大(東京)の不正入試問題で、同大は28日、第三者委員会を 設置したと発表した。今春の入試まで行われていた女子受験生らの合格者数抑制や不正な加点などを調べ、原因究明や再発防止策の提案を行う。委員は、元最高 裁判事の那須弘平弁護士と元青山学院大理事長の半田正夫弁護士、医師で東京医科歯科大の大野京子教授の3人。

高血圧治療薬「ディオバン」論文、米科学誌掲載を撤回…名大申し入れ indexへ

 製薬会社ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研 究データ改ざん問題で、名古屋大の研究チームが「心不全の治療ではディオバンが他の薬よりも優れている」と結論づけた論文について、2012年に掲載した 米科学誌が掲載を撤回したことがわかった。名大が今年5月、「研究は不適切だった」と同誌に伝えていた。
 撤回は今月8日付。名大によると、研究チームが大学側に提出した計画では、心不全による入院や通院治療を研究対象の症例に含めると説明していたが、心不全による入院とされたうち5例は実際に入院していなかったことが判明。
 さらに、症例を判定する委員会について、メンバーではないノ社の元社 員が運営に関わっていたこともわかり、名大は昨年11月、「不適切な前提で研究が行われており、論文は妥当性を欠く」として、論文の撤回を研究チームの教 授に勧告していた。教授側は論文撤回を拒否しているという。

職場で障害者虐待1308人…昨年度35%増、過去最悪 indexへ

 厚生労働省は22日、昨年度に職場で虐待を受けた障害者が1308人だったと発表した。前年度から35%増え、過去最悪となった。同省は「障害者への虐待問題に関する関心が高まり、通報が増えたことも一つの要因」としている。
 障害者虐待防止法に基づき2013年度から毎年調査。昨年度は、過去最多の1483事業所の2454人について虐待疑いの通報があり、労働基準監督署などが調査した結果、597事業所の1308人が虐待を受けたと認定された。
 虐待の種類については、賃金が最低賃金を下回るなどの「経済的虐待」が84%を占め、差別的言動などの「心理的虐待」が8%、暴行などの「身体的虐待」が6%と続いた。
 経済的虐待では、製造業の事業所で知的障害者の賃金が最低賃金(時給)を200円下回るケースがあり、労基署が是正勧告をした。

インド製美白クリームで腕赤く腫れる…個人輸入 indexへ

 厚生労働省は22日、インターネットの個人輸入で入手したインド製の美白クリームを使った20歳代の女性が、腕が腫れ るなどの健康被害を起こしたと発表した。女性は7月にインド製美白クリーム「ユークロマクリーム」を購入して使ったところ、両腕が赤く腫れ、水ぶくれが出 来た。医療機関を受診して、現在は症状が改善している。クリームの成分は不明で、アレルギー反応の可能性が高いという。
 同省は、健康被害の恐れがあるとして、安易に海外製の化粧品や医薬品を個人輸入しないよう、注意を呼びかけている。

群大と9遺族が合意…手術死の謝罪、再発防止で文書 indexへ

 群馬大学病院(前橋市)の手術死問題で、補償問題などについて病院側と交渉していた遺族会の9遺族が10日、謝罪や再発防止の約束を盛り込んだ文書を交わし、合意した。
 遺族代表は群馬県庁で記者会見し、「これで終わりではなく、より安全な病院に変わっていってほしい」と語った。
 9遺族が個々に交わした合意書には、それぞれの損害賠償に加え、病院側が組織や体制の不備、診療や説明の過失を認めて謝罪することが明記された。
 再発防止については、事故を教訓に二度と起きないよう最大限の努力を続けることを確約。「医療安全週間」を設けるほか、2人の遺族代表が委員を務める「患者参加型医療推進委員会」で、共に改革に取り組むこととした。
 合意成立で、遺族が病院や医師らへの民事提訴や刑事告訴といった責任追及をしないことも確認されたが、執刀医とその上司だった元教授は除外された。
 記者会見で、木村豊代表(49)は「発覚してからだいぶ時間がたっ て、やっと合意できた。まだやることはあるが、一段落つくことができた」と語った。小野里和孝代表(38)は「患者に寄り添った医療が提供される病院づく りを目指し、これからも頑張っていきたい」と決意を述べた。
 田村遵一病院長は「引き続き、安全・安心な医療を提供し、信頼される病院になるよう、改善・改革に取り組んでいく」とのコメントを出した。

抗がん剤39日間連続投与、副作用の影響で死亡 indexへ

 国立病院機構関門医療センター(山口県下関市)は10日、70歳代の男性患者に対して抗がん剤を過剰に投与する医療ミスがあり、男性が副作用の影響で死亡したと発表した。
 同センターによると、男性は2月中旬、土手から転落して足を骨折するなどして入院。男性は他の病院で脳腫瘍の治療を受け、抗がん剤を服用しており、親族がセンターに持参した。
 センターによると、この抗がん剤は5日間連続で投与後、23日間投薬期間を空けることになっている。しかし、医師は3月下旬まで39日間連続で投与した。
 男性が口の中から出血したことから血液検査を実施。白血球や赤血球が減るなどしており、過剰投与が判明した。男性は感染症が悪化して6月上旬、多臓器不全などで死亡した。
 センターは、医師や薬剤師らが抗がん剤の処方について認識が不足していたとしている。この日、記者会見したセンターの林弘人院長は「ご遺族に心からおわび申し上げ、再発防止に努めます」と陳謝した。

元受刑者「がん見落とし」和解…国が遺族に見舞金500万円 indexへ

 服役中にがんと診断され、出所後に死亡した男性(当時62歳)の遺族が、「拘置所や刑務所の医師が、がんを見落とし、治療が遅れた」などとして、国に計約7300万円の損害賠償を求めた訴訟が、大阪地裁で和解した。国が遺族に見舞金計500万円を支払う。
 和解は7月27日付。和解条項に、国が過失を認める文言は含まれていない。
 訴状などによると、男性は窃盗などの罪で2008年、懲役3年8月の実刑判決を受けた。控訴中の09年1月、大阪拘置所で頭のしびれなどを訴え、大阪医療刑務所でCT検査を受診。左耳に腫瘍が疑われる所見があったが、医師は「異常なし」とした。
 男性は京都刑務所に服役した09年6月以降、約10回、耳の出血で鎮痛剤を処方されるなどし、12年1~3月に受けた再検査で耳のがんと、肺への転移が判明。東京都内の医療刑務所へ移送され、12年8月に出所したが、15年に死亡した。
 訴訟で国側は医師の過失を否定。地裁が今年2月、和解を勧告した。国側は「コメントできない」としている。

介護現場でセクハラ…労働組合、厚労相へ防止要請 indexへ

 介護現場で働く人が、サービス利用者や家族からセクハラなどを受けている問題を受け、介護職の労働組合「日本介護クラフトユニオン」は9日、加藤厚生労働相に対し、ハラスメント防止に取り組むよう求める要請書を提出した。
 要請は、▽サービス利用のルールについて利用者や家族へ周知・啓発▽ ハラスメントがあった場合、事業者がサービス提供を拒否できることを法令に規定――など5項目。ハラスメント対策として2人で訪問したくても、利用者の負 担が2倍になるため同意が得られないことが多いとして、利用者負担への補助も求めた。
 同ユニオンが4~5月に組合員へ行った調査では、約7割がパワハラ、約3割がセクハラを受けた経験があると回答した。
 同省は今年度、介護現場でのハラスメントの実態や、対策に取り組む事業者の事例などを初めて調査する。

「生産性ない」謝罪求め声明 indexへ

 自民党の杉田 水脈衆院議員(比例中国ブロック)が性的少数者(LGBT)は「生産性がない」と月刊誌に寄稿したことを受け、難病患者や障害者らの団体は7日、東京都内で記者会見を開き、杉田氏に謝罪などを求める声明を発表した。
 声明を出したのは、今月6日に発足した難病患者や障害者団体の幹部ら で作る団体「生きてく会」。声明では杉田氏がLGBTのカップルについて「子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」と寄稿したことに触れ、「出産 しない人は生産性がないから、行政的支援に値しないと断じたもので、障害者の心を深く傷つけた」と指摘。杉田氏の謝罪や処分を求めた。

群大手術死…遺族が安全委公開を要望「閉鎖的組織、脱却を」 indexへ

 手術死が続発した群馬大学病院(前橋市)が遺族を委員に迎えて医療安 全に取り組もうと設けた「患者参加型医療推進委員会」について、遺族会は6日、会議の公開などを求める要望書を病院に提出した。遺族会は「病院改革をオー プンにすることは再発防止のために必要」と訴えた。
 委員会の透明性確保を巡っては、遺族会の代表2人が6月の初会合に委員として出席し、会議や議事録の公開を強く要望した。病院はいったん前向きな意向を示したものの、報道関係者の傍聴を認めると、議論が 萎縮するとして消極的な姿勢に転じた。
 このため、遺族会は2度目の要望書を提出した。〈1〉会議はマスメディアも含め公開〈2〉議事録全文をホームページに公開〈3〉病院への提言を少なくとも年1回提出し、病院長は対応状況を報告――などと求めた。
 この日、前橋市内で記者会見した木村豊代表(49)は「遺族の代表と して責任を果たすためにも議論を広く知ってもらいたい」と説明した。小野里和孝代表(38)も「一連の事故では閉鎖的な組織の問題が明らかになった。委員 会の公開はそれを脱することにつながる」と語った。
 第2回会合は9月にも開かれる可能性がある。同病院は「遺族会と十分協議をしながら対応したい」とのコメントを発表した。

耐性菌検出で鹿児島大病院謝罪、ICUで感染拡大か indexへ

 鹿児島大病院(鹿児島市)で、入院患者15人から複数の 抗菌薬(抗生物質)が効かない多剤耐性の細菌アシネトバクターや類似菌が検出された問題で、同病院は3日、記者会見を開き、死亡した8人のうち、感染症を 発症した3人は「(細菌が)病状悪化に関与した可能性がある」と発表した。
 夏越祥次院長は「亡くなられた患者さま、ご家族の皆さまに深くおわび申し上げます」と謝罪した。死因との因果関係は、明確ではないとしている。

鹿児島大病院、会見で「リスク甘くみた可能性」…ICUでの耐性菌対策不十分か indexへ

 多剤耐性の細菌アシネトバクターや類似菌が患者15人から検出された鹿児島大病院(鹿児島市)。同病院は3日午後の記者会見で、うち14人が治療を受けていた集中治療室(ICU)での対策が不十分だった可能性があるとの認識を示した。
 同病院によると、多剤耐性の細菌が最初に検出されたのは昨年4月でICUに入院していた患者から。この時、同大は徹底した清掃・消毒をしていなかったといい、川村英樹・感染制御部門長は「リスクを甘めにみた可能性がある」と話した。
 同10月にはICU内の手洗い場から類似菌が検出され、今年4~5月にも床ずれ用のマットレスの一部から多剤耐性の細菌が出た。医療従事者を介して感染が広がった恐れがあり、大石充副院長は「職員全員が手洗いなどを徹底する必要があった」と厳しい表情で語った。
 死亡した8人のうち、発症したのは4人。外部の専門家も交えた検証の結果、うち3人は感染が病状の悪化に影響を与えた可能性があると結論付けた。
 夏越祥次院長は「大学病院を信頼してきた患者や、地域の方々の信頼を回復できるよう全力で取り組みたい」と語った。
 15年間通院しているという鹿児島県姶良市の女性(68)は、3日 朝、ニュースで知った。「病院はもっと早く公表するべきだった。患者が安心できるようしっかりと説明してほしい」と語った。がん治療の入院を控え、検査に 訪れた同県枕崎市の男性(68)は「病院には早く原因究明してもらいたい」と話した。
厚労相、病院への立ち入り検査も視野
 鹿児島大病院の入院患者らから抗菌薬(抗生物質)が効かない多剤耐性 の細菌アシネトバクターなどが検出された問題で、加藤厚生労働相は3日の閣議後記者会見で、「院内の対策を適切に実施するよう指導したい」と述べた。同病 院への立ち入り検査も視野に、情報収集にあたっているという。
 加藤厚労相によると、厚生労働省に感染の報告があったのは昨年11月。厚労省は感染拡大防止に向けた厳重な対応を求めたが、今年4月と6月中旬に死亡事例の報告があったという。

抗生物質効かない耐性菌か、入院患者ら8人死亡…鹿児島大病院 indexへ

 鹿児島大病院(鹿児島市)の入院患者ら15人から、複数の抗菌薬(抗生物質)が効かない多剤耐性の細菌アシネトバクターや類似菌が検出され、うち8人が死亡していたことが鹿児島県への取材で分かった。同病院は3日、記者会見して詳細を発表する。
 県によると、同病院の患者ら5人から多剤耐性アシネトバクターが検出され、別の患者ら10人からは類似の菌が検出された。
 入院患者ら抵抗力が弱い人が多剤耐性アシネトバクターに感染すると、肺炎や敗血症など重篤な感染症を引き起こす恐れがある。

介護福祉士の復職支援不発…人材登録利用、1割以下 indexへ

  介護分野の人手不足解消のため、国が昨年始めた介護福祉士の復職支援策が低迷している。仕事を辞めた介護福祉士を登録し、求人情報を提供して復職を促す仕 組みだが、登録者は離職者の1割以下。不人気ぶりに、国の担当者は「嫌気がさして辞めた人を登録させるのは難しい」と頭を抱えている。
 登録制度は改正社会福祉法に基づき、2017年4月に始まった。離職 した介護福祉士は、連絡先や希望する勤務条件を各地の社会福祉協議会が運営する「福祉人材センター」に届け出ることが努力義務とされた。登録者には求人情 報のほか、介護に関する研修など、再就職に向けた情報がメールなどで提供される。
 厚生労働省によると、登録者は今年3月末現在で約5700人。年間離職者の正確な統計はないが、「年間10万人以上いるのではないか」(同省)ということから、1割以下の人しか登録していない計算になる。
 資格を持ちながら介護現場で働いていない介護福祉士は約62万人(15年度)。高齢化で25年度には介護職が約34万人不足するとされており、潜在的な人材を確保することで人手不足解消を目指していた。しかし、思惑通りに進んでいない状況だ。
 登録制度を運営する全国社会福祉協議会の担当者は、「利用者が少ないままでは登録者向けの研修も開けない」と嘆く。介護現場では、認知症高齢者や 看取りへの対応から、専門職の確保が必要とされている。登録制度の低調ぶりに厚労省の担当者は、「給与の引き上げや社会的地位の向上にも取り組む必要がある」としている。
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【介護福祉士】  介護現場で中心的な役割を担う国家資格。〈1〉養成校で教育や実習を2年程度受けて卒業する〈2〉現場で3年以上働き、研修を受けて試験に合格する―― などして取得できる。有資格者約140万人(2015年度)のうち、現場で働いているのは約78万人(同)。介護福祉士を含めた介護職全体の平均給与は月 約26万円。全産業平均より約10万円低い。

「がんに効果」と虚偽の説明、健康食品会社「健楽園」に停止命令 indexへ

 健康食品の電話勧誘で「がんにならない」などと虚偽の説明をしたなどとして、消費者庁は27日、健康食品販売会社「健楽園」(東京)に対し、特定商取引法違反(不実告知など)で3か月の業務停止を命じた。
 発表によると、同社は電話勧誘で販売していた「 還生源」というカプセル状の健康食品について、「がんにならないためにはこれを飲んだらいい」などと虚偽の説明をしたなどとされる。
 全国の消費生活センターには2015年以降、同社に関する100件以上の相談が寄せられており、100万円以上の商品購入契約を結んだケースもあったという。同社は取材に対し、「担当者が不在でわからない」としている。

重度障害を理由に地元小学校就学認めず…「拒否は違法」児童本人と両親が提訴 indexへ

 重度の障害がある児童に地元の小学校への通学を認めず、県の特別支援学校を指定したのは違法だとして、川崎市の男児(6)と両親が11日、川崎市と神奈川県を相手取り、地元の小学校への就学を求めて横浜地裁に提訴した。
 2013年に成立した障害者差別解消法では、障害を理由とした差別的扱いを禁じ、文部科学省は就学先の決定について「本人・保護者の意見を最大限尊重する」と通知している。弁護団によると、同法施行後、就学先の指定を巡って行政の違法性を問う訴訟は初めて。
 訴状などによると、男児は難病の先天性ミオパチーで、人工呼吸器を使って生活。両親は昨年11月、市教委に地元の小学校への入学を求めたが、市教委は今年2月、「県の特別支援学校での専門的な教育が適切だ」とし、県教委が3月、特別支援学校への就学を指定した。

地震で停電した国立循環器病センター、電気事業法違反が判明…経産省立ち入り indexへ

 大阪北部地震で国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が3時間にわたって停電した問題で、経済産業省の中部近畿産業保安監督部は4日、電気事業法に基づき、同センターに立ち入り検査を行った。
 同センターでは6月18日の地震発生後、全館が停電。自家発電機と非常用バッテリーが作動したが、途中で自家発電機からの送電が止まり、復旧に約3時間かかった。
 その後の同センターの調査で、毎年1回、全館を停電状態にして行う電気設備の点検を5年以上怠り、同法に違反していたことが判明。報告を受けた同監督部が事実を確認するため、立ち入った。

医師不足の刑務所…93人の刑執行停止中、透析受けられないことを理由に indexへ

  刑事事件で実刑判決が確定したのに、腎臓病の人工透析が刑務所で受けられないことを理由に、刑の執行が停止されている確定者が5月末現在で93人に上るこ とが、法務省への取材でわかった。医師不足に加え、機器を備える施設と受刑者の「ミスマッチ」も起きており、刑の執行に不公平感を生じさせかねない異例の 刑事手続きが常態化している。
 2008年10月に開設された官民で運営する「島根あさひ社会復帰促 進センター」(島根県浜田市)。15台の人工透析設備が設置され、治療が必要な受刑者30人を収容する予定だった。ところが、治療を受けた受刑者は11年 の13人をピークに年々低下。16年11月に4人まで落ち込み、同センターは同年末、治療設備を廃止した。
 「誤算」が生じたのは、同センターが受け入れる収容者を「初犯で集団生活に適応できる模範囚」に限定したためだ。定員約2000人の受刑者を収容する同センターの収容棟の大半は個室になっており、テレビやベッドがあるが、窓に鉄格子はない。
 法務省の担当者は「入所条件に合致しつつ、人工透析治療が必要な受刑者が予想より少なく、設備の利用が伸びなかった」と話す。
 同省によると、全国69の刑務所や少年刑務所のうち、人工透析治療の 機器があるのは9刑務所、63台。今年1月に全国最多の30台が設置された「東日本成人矯正医療センター」(東京都昭島市)が開所し、治療可能な受刑者数 は大幅に増加した。それでも治療を受けている受刑者は5月末時点で全国で81人にとどまる。
 63台の機器は現在、緊急用の予備機を除きすべて稼働しているが、機 器を扱える専門医は非常勤が多く、人手不足が続いている。東日本のセンターでは、1台で複数の受刑者が治療できるよう週3回の治療日を月、水、金と、火、 木、土曜日の二つに分け、48人が治療を受けるが、小規模な施設では医師不足からこうした取り組みはできていない。
 刑事訴訟法では、実刑判決が確定した者が心神喪失の状態にある時は、 執行を停止する。さらに刑の執行によって著しく健康を害する時や生命を保つことのできない恐れがある時も執行を停止できる。同省関係者によると、透析治療 以外で執行停止が認められるのは、再審が開始されたり、脳疾患などで重体となって入院が長期化したりした場合など「極めてまれなケース」に限られるとい う。
 透析治療を理由に執行が停止された場合、自宅などから病院に通い、治療可能な刑務所に空きが出れば順次収容される。その間は刑期に算入されず、警察などの監視下には置かれない。
 同省によると、執行停止中の93人の中に殺人などの凶悪犯はいないが、再犯者は少なくないとみられる。中には執行停止中に再び罪を犯しながら、透析治療を理由に刑の執行が再び停止されている者もいるという。
 同省幹部の一人は「再犯防止や刑の執行の公平性を考えれば重大な問題だが、医師や予算を確保するにも、『なぜ罪を犯した者に予算を割くのか』という意見は根強く、解消のメドは立っていない」と明かした。
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【人工透析】  機能が低下した腎臓の代わりに機器を使うことで、血液中の老廃物や余分な水分を取り除く治療方法。治療は週に3回、1回あたり数時間を要する。人工透析を受ける患者は年々増え続け、2016年の患者数は全国で約33万人。

がんの疑い見落とし、患者死亡…横浜市立大病院 indexへ

 横浜市立大学は25日、大学病院(横浜市金沢区)で行ったコンピュー ター断層撮影法(CT)検査で、がんの疑いがあるとする報告を見落とし、適切な治療を行わなかった結果、60歳代の男性患者が今年4月に死亡したと発表し た。担当医が専門外の領域の結果を確認していなかった。ほかにも付属市民総合医療センター(同市南区)を含め、がん患者計10人の検査で結果の見落としが あったことも明らかにした。

乳幼児用無呼吸アラーム、不具合見つかり1万9千台を自主回収へ indexへ

 JCRファーマは25日、子会社のファミリーヘルスレンタルが販売する無呼吸アラーム装置「ベビーセンス」の一部に不具合が見つかり、計約1万9000台を自主回収すると発表した。現時点で、健康被害はないという。
 ベビーセンスは、乳幼児の睡眠時に呼吸をセンサーで監視する装置で、呼吸が止まった場合は自動でアラームが鳴る仕組み。
 今年に入り、利用者から「アラームが正常に作動しない」と連絡があり、同社が調査したところ、内部の部品の故障が見つかったという。問い合わせは、平日午前9時~午後6時、専用コールセンター(0120・112・586)へ。

転移したがん見落とし、症状悪化…女性に謝罪 indexへ

 兵庫県は22日、県立がんセンター(兵庫県明石市、吉村雅裕院長)で2015年4月、主治医が神戸市内の40歳代女性患者の肺に転移したがんを見落とす医療ミスがあったと発表した。
 今年4月に発覚するまでの3年間、女性のがんは悪化しており、同センターは女性に謝罪した。
 発表では、女性は09年、同センターで子宮 頸がんの手術を受け、子宮を摘出。15年4月にコンピューター断層撮影法(CT)検査を受けた際、放射線科の医師が「右肺に転移性腫瘍の疑い」と所見を書いたのに、主治医は目を通さず、がんを見落としたという。
 後任の医師が今年4月、CT検査で女性の右肺や肝臓など4か所に腫瘍を見つけたため過去の検査画像を再点検したところ、がんの見落としが判明。
 見つかった腫瘍の一つは、15年に検査した時の7ミリから12ミリに拡大しており、女性は抗がん剤治療を続けている。
 同センターでは15年にも別の医師がCT検査の所見に目を通さず、がんを見落とすミスが発覚している。

千葉大のCT見落とし、厚労省が全国の医療機関に注意喚起 indexへ

 千葉大医学部付属病院(千葉市中央区)で、コンピューター断層撮影法(CT)検査結果の見落としがあり、がん患者2人が死亡した問題で、厚生労働省は14日、文書で、全国の医療機関に見落とし防止策を徹底するよう求めた。
 同様の注意喚起は昨年11月と今年5月、厚労省と日本医療機能評価機構が出していた。

がん検査薬、競合他社の参入妨害で立ち入り検査 indexへ

 がん診断などに利用されるPET(陽電子放射断層撮影)検査の検査薬を製造・販売する医薬品メーカーの日本メジフィジックス(東京)が、競合他社の新規参入を妨害したとして、公正取引委員会は13日午前、独占禁止法違反(私的独占)の疑いで同社に立ち入り検査に入った。
 PET検査薬を患者に注入する際には、特殊な装置が使われる。PETの検査薬の製造・販売は、長年、メジ社が独占状態を続けていたため、装置メーカーが開発し、各地の医療機関に設置される装置は、メジ社の検査薬を想定した規格になっている。

千葉大病院患者2人死亡、担当医「専門外」目届かず…CT報告書には「がん」 indexへ

 がんの疑いの指摘が4年余りも 見過ごされ、命が失われた。8日、千葉大医学部付属病院(千葉市中央区)が公表した画像診断の見落とし問題。コンピューター断層撮影法(CT)検査の結 果、治療対象でなかったがんの疑いが浮上しても、担当医が専門外の領域に目が行き届かないという盲点が次々と判明した。「同様のケースは各地の病院に埋も れている」との指摘も出ている。
 千葉市中央区で8日午後に行われた記者会見で、山本修一病院長は「患者と家族の皆様に多大な負担と心痛をおかけしたことをおわびする」と述べ、深々と頭を下げた。患者や遺族には既に謝罪しており、金銭的な補償も検討するとした。
 一連の問題が判明したきっかけは、50歳代の男性が昨年7月、肺がんの疑いで呼吸器内科を受診したことだった。男性は2016年6月に 頭頸部の腫瘍を確認するため、同病院でCT検査を受けており、当時の画像診断報告書を確認したところ、その時点で肺がんの疑いがあると指摘されていたことがわかった。
 担当医が専門領域の頭頸部にだけ注目し、肺がんに関する記載を十分に確認していなかった。男性は現在も治療中だ。これを受け、病院が全診療科で調査した結果、今年2月末までにCT検査結果を巡って計9人の患者について確認不足などがあった。
 このうち死亡した男女2人は画像診断報告書の見落としの後、病状が判 明した際、手術もできない状態に悪化。4年余り治療が遅れ、腎がんで死亡した60歳代の女性について、市川智彦副病院長は会見で「その時点で治療したので あれば、経過に大きな違いがあったと考える。(報告書の見落としと死亡に)因果関係があったと言われれば、そのとおりだと思う」と述べた。肺がんで死亡し た70歳代男性については「死亡が早くなったという意味で因果関係はあった」とした。
 CT画像は担当医が確認するとともに、放射線診断専門医に画像診断報 告書の作成を依頼する。報告書には、治療対象の患部以外に関する所見も記載されるが、同病院は「担当医は専門領域については画像を見て診断するが、放射線 診断専門医の報告書も合わせて確認するという認識が不十分だった」と説明する。
 同病院は外部の有識者による調査委員会の提言を受け、再発防止策に乗 り出す。7月1日に画像診断センターを新設し、放射線診断専門医の常勤を5人増の10人体制にして担当医との連携を強化。患者に対しては画像診断報告書を 確認してもらうなど説明を手厚くするほか、担当医による報告書の確認状況の管理を電子カルテのシステムで徹底する。
医師間確認「仕組み作りを」
 「他の病院でも起きていると考えるほうが自然」――。専門家の間には、今回のような画像診断報告書の見落としなどは、「氷山の一角」との見方がある。関西の大学の放射線科教授は「自分の専門領域以外は熱心に見ない、ということは日常的に起こりがち」と打ち明ける。
 表面化しただけでも千葉大の例にとどまらない。慈恵医大病院(東京都港区)は昨年2月、肺がんの疑いの記述を見落とされた患者が死亡したと発表。同10月には名古屋大や横浜市大でも、同様の例が発表された。
 これを受け、厚生労働省は同11月、全国の医療機関に防止を呼びかける文書を出した。医療事故のデータを集めている日本医療機能評価機構も今年5月、文書で注意喚起している。
 放射線診断が専門の江原茂・岩手医大教授は「画像診断報告書には多くの記載があり、専門外の分野まで主治医がすべて入念にチェックするのは現実的に難しい面もある。意思疎通の行き違いを防ぐシステム作りが必要だ」と指摘する。
 慈恵医大病院は再発防止のため、報告書を主治医が確認し、必要な対応をしたか事務員が2度に分けて、医師に念押しする仕組みを導入。報告書の内容を患者に配布している。
 厚労省は「あってはならないことだが、現実に起きている。再発防止を徹底したい」としている。
千葉大付属病院、がん疑い見落とし…患者2人死亡 indexへ

 千葉大医学部付属病院(千葉市中央区)は8日、コンピューター断層撮影装置(CT)検査の画像診断報告書の見落としがあり、適切な治療が行われず、がん患者2人が死亡したと発表した。
 発表によると、2017年7月、50歳代の男性が肺がんの疑いで呼吸器内科を受診したが、16年6月に 頭
とう
けい部のCT検査を受けた際の画像診断報告書を改めて確認したところ、その時点で肺がんの疑いがあると指摘されていたことが分かった。男性は現在、治療中。
 この問題を受けて院内で調査したところ、ほかにも画像診断報告書の確認不足などが計8人で報告された。腎がんと肺がんをそれぞれ患っていた2人が死亡したという。
 山本修一病院長は記者会見で「患者や家族に多大な負担と心痛をかけ、誠に申し訳ない」と謝罪した。

医師過労自殺の新潟市民病院…91人の残業代、1億800万円が未払い indexへ

 新潟市民病院(新潟市中央区)で2015~16年度、医師ら職員91人の残業代計約1億800万円が未払いだったことが、病院の調査で分かった。医師らの自己申告と勤務実態に隔たりがあったためで、市は未払い分を支払う方針。
 同病院では16年1月、女性研修医(当時37歳)が過労で自殺。新潟労働基準監督署が労災認定し、17年6月に病院に是正勧告した際、時間外労働の実態を調査するよう指導していた。
 同病院によると、調査は17年8月から職員1197人を対象に実施。 15~16年度の勤務実態を聞き取り、電子カルテの入力状況なども確認した。その結果、勤務医を中心に91人が計約1万7400時間の時間外労働を申告し ていなかったことが判明。未払い額は最大約600万円に上った人もいた。

「認知症」検査、免許取り消し・停止1892人 indexへ

 75歳以上の高齢ドライバーの認知機能検査を強化した改 正道路交通法について、警察庁は7日、施行から1年の実施状況を発表した。検査を受けた210万5477人のうち2・7%にあたる5万7099人が「認知 症のおそれ」と判定され、このうち1892人が免許取り消し・停止となった。一方、教習所での検査待ちが長期化するなど課題も浮かび上がっている。

移植患者登録、手続きミス2件 indexへ

 厚生労働省は6日、臓器移植をあっせんする日本臓器移植ネットワーク(JOT)で2件のミスがあったと明らかにした。いずれも移植を受ける患者に影響はなかった。
 同省の臓器移植委員会で報告された。移植希望者は毎年度末に登録の更新手続きを行うが、JOTの担当者のミスで1人が一時、未更新となった。また、移植する患者を選ぶリストに誤った病院が含まれていた。

投薬ミスで後遺障害、名大に3878万円賠償命令…名古屋地裁 indexへ

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市)で肝硬変の治療中、誤った投薬 によって後遺障害を負ったなどとして、名古屋市内の男性(85)とその家族が同大に計約1億185万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、名古屋地裁で あり、末吉幹和裁判長は同大側に計約3878万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は肝硬変の治療のため、2005年4月から同病院 で抗ウイルス薬の投与を受けた。08年12月、この薬の副作用による骨疾患が強く疑われる検査結果が出たが、同病院の医師が誤診。11年12月まで同じ量 の投薬が続けられたことによって重い骨軟化症を発症し、自力で歩くことが困難になるなどの後遺障害が残った。
 後遺障害と誤診との因果関係については同大側も認めており、訴訟で は、障害の程度や賠償額が争点となった。男性側は、投薬によってほぼ寝たきりの状態になったと主張したが、判決は、男性が高齢であることや、別の病気も 患っていたことなどから、請求の一部については、問題となった誤診による損害とはいえないと判断した。
 同病院は「判決内容を精査し、対応を検討する」とのコメントを出した。

がん疑いがある患者のCT報告書見落とし、治療7か月遅れる indexへ

 愛知県東海市の公立西知多総合病院は31日、S状結腸がんの疑いがある患者のCT(コンピューター断層撮影)画像診断報告書を見落とし、がん治療が遅れる医療事故があったと発表した。病院は患者に500万円を支払うことで和解した。

都立病院医師、子供57人分の遺伝子異常情報など個人情報入りパソコン紛失 indexへ

 東京都は30日、都立小児総合医療センター(府中市)で内科系を担当する30代男性医師が、同センターで診察を受けた子供57人分の個人情報が保存されたパソコンを紛失したと発表した。
 発表によると、医師は今月23日、職場で私物のパソコンを使い臨床研 究用の資料を作成。資料には子供57人の氏名、生年月日、疾患名、遺伝子異常の有無、血液検査結果などが含まれていた。26日朝に職場でパソコンをバッグ に入れたが、同日夜にはパソコンがなくなっていたという。29日に警視庁府中署に紛失届を提出した。

がん検診で異常見えにくい「高濃度乳房」一律通知勧めず…厚労省、自治体に文書 indexへ

 自治体が行う乳がん検診のマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)で 異常が見えにくい高濃度乳房について、厚生労働省は24日、「(受診者に)一律に通知することは望ましくない」とする文書を全国の自治体に送付した。高濃 度乳房に関する標準的な対応方法を示したもので、同日夕、同省の有識者会議で報告される。
 高濃度乳房は、超音波検査を併用すれば異常を見つけやすいとされる。乳がん患者らが、高濃度乳房であるかどうかを受診者に通知すべきだと訴えていた。
 これを受けて厚労省は通知の方法を検討。超音波検査を併用した場合、がんの発見率は向上しても、死亡率を減らすかどうか効果が明確になっていないことから、受診者への一律の通知は、時期尚早と判断した。
 高濃度乳房については、一部の自治体が独自に通知するなど対応にばらつきがあり、高濃度乳房自体を病気と誤解するなど、混乱も生じている。厚労省が今回、配布した文書は同省研究班が作成したQ&A集で、自治体職員が受診者に正しい説明をするよう求めた。
 研究班の笠原善郎・福井県済生会病院副院長は「検査体制が未整備な現段階では、一律の通知が不安や過剰な受診を招く恐れもある。正しい理解に基づいた検診が受けられるようにすることが大切だ」としている。
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【高濃度乳房】  乳腺組織の密度が高く、マンモグラフィーで全体が白っぽく写るため、がんが見つかりにくい傾向がある。日本人では40歳以上の約4割が高濃度乳房と推測される。

歯科分野の専門医を客観評価、一括管理…専門医機構を設立 indexへ

 歯科分野の専門医を客観的に評価して一括管理する一般社団法人「日本歯科専門医機構」(住友雅人理事長)が4月設立された。
 日本歯科医学会連合、日本歯科医師会や関連学会などが参加する。東京都内で記者会見して発表した。
 歯科分野の専門医(認定医を含む)は同連合の所属学会だけでも30種類以上あるほか、未加盟の団体のものもあるという。同じ分野に複数の学会の専門医があるなどの問題が指摘されている。
 機構は、各学会から申請された専門医研修の内容を審査し、一定の基準にあると判断したものを認定する。各学会に参加を促し、今年秋には第1弾の認定を行いたい考えだ。

医療・福祉職員、3人に1人がセクハラなど嫌がらせ受ける indexへ

 病院などで働く医療・福祉職員の約3人に1人が、職場でセクハラなど何らかのハラスメント(嫌がらせ)を受けたことがあることが、日本医療労働組合連合会の調査でわかった。
 調査は2017年3~9月、全国の組合組織を通じて行い、看護・介護職やリハビリ専門職など7225人が回答した。
 過去3年間に、全体の31.5%が、患者や上司らから何らかのハラスメントを受けていた。
 セクハラ経験者は全体の12%、妊娠などを理由に上司や同僚が嫌がらせなどをするマタニティー・ハラスメント(男性含む)は2.5%だった。経験者のうち、約半数が退職を考えたことがあると回答。15.5%は、誰にも相談していなかった。
 同連合会は「人手不足で現場にゆとりがなく、ハラスメントが生じやすくなっているのでは」としている。

民間のさい帯血取引禁止…自公、規制強化へ改正法案 indexへ

 自民、公明両党は17日、他人のさい帯血を使った再生医療が国に無届けで行われていた事件を受け、規制を強化する造血幹細胞移植推進法改正案をまとめた。
 国に許可を受けた公的バンクを除き、民間バンクなどが第三者とさい帯血の取引を行うことを原則禁止とする。違反者には、3年以下の懲役か300万円以下の罰則を科す。
 自民、公明両党は野党にも理解を呼びかけ、今国会に議員立法で提出して成立を目指す。
 さい帯血は主に出産時のへその緒にある血液で、白血病の治療などに有効性がある。2014年施行の現行法では公的バンクの事業を許可制とし、厳重な品質管理を義務付けたが、民間バンクは対象外となっていた。

薬品入りの水でパン製造…京都のホテルが自主回収 indexへ

 グランドプリンスホテル京都(京都市左京区)は17日、防さび剤などの薬品が含まれた水を使って製造したパンを昨年3月から約1年2か月間、ホテル内で提供していた可能性があると発表した。自主回収を進めているが、現時点では健康被害の訴えはないという。
 ホテルによると、パンはホテル地下2階で製造。パン生地を蒸気で発酵させる機器に、本来は水道水のバルブをつなぐが、誤って薬品入りの冷却水のバルブを接続していたという。

インドから個人輸入した未承認中絶薬で健康被害…厚労省、新たに規制 indexへ

 厚生労働省は14日、インターネットの個人輸入で入手したインド製の経口妊娠中絶薬を服用した20歳代の女性が、大量出血などの健康被害を起こしたと発表した。
 女性は回復しているが、厚労省は同日、インド製の「ミフェプリストン」「ミソプロストール」などの成分を含む経口妊娠中絶薬について、医師の処方がなければ個人輸入できないよう規制した。厚労省は、安易に服用しないよう呼びかけている。
 厚労省によると、この女性は今年4月にインド製の2種類の経口妊娠中絶薬計7錠を服用し、大量の出血やけいれん、腹痛などの症状が出たという。
 厚労省は2004年、米国や中国などで販売されている妊娠中絶薬について医師の処方がないと個人輸入も認めない措置を取っていたが、インド製品は含まれていなかった。

患者心理につけ込む…医療機関HP「広告」監視 indexへ

 医療機関によるホームページ(HP)での情報発信を「広 告」とみなし、虚偽・誇大表示などを禁じる改正医療法が6月に施行されるのを前に、厚生労働省が監視を強めている。昨年12月までの約4か月間で、112 の医療機関に改善を求めた。患者らからは「必死に治療法を探す患者心理につけ込む広告を野放しにしないで」と切実な声が上がっている。
厚労省改善要求
 「国内最高峰の治療を行うクリニック」「最先端医療のがん療法に副作用はありません」――。
 厚労省が昨年8月下旬から、医療機関のHPの監視を委託している一般財団法人「日本消費者協会」(東京)。平日は毎日、職員が黙々とパソコン画面に向かい、虚偽や誇大などの記述を見つけては、メモを取る。

介護職3割 セクハラ被害…「不必要に接触」半数、高齢者や家族から indexへ

 高齢者宅や施設で介護を行う介護職の約3割が、高齢者やその家族からセクハラを受けた経験があることが27日、介護職の労働組合「日本介護クラフトユニオン」の調査でわかった。
 調査は今月、組合員のヘルパーやケアマネジャーら約7万8000人に実施。20日までに回答した1054人分の速報値をまとめた。
 その結果、304人(28.8%)がセクハラを受けたことがあると回答。うち286人が女性だった。複数回答で内容を 尋ねると、「不必要に体に触れる」が51.0%で最も多く、「性的冗談を繰り返す」(46.7%)、「胸や腰をじっと見る」(25.7%)の順に多かっ た。
 セクハラについて78.6%が上司や同僚などに相談したが、うち47.3%は相談後もセクハラが続いたとした。一方、相談しなかった人(19.4%)の理由で最も多いのが、「相談しても解決しない」(44.1%)だった。
 同ユニオンは「セクハラが起きた時に、介護職が一人で抱え込むことがないように、多角的な対策を考えたい」としている。

受精卵で無断出産、男性の控訴を棄却…大阪高裁 indexへ

 凍結保存していた受精卵を別居中の妻が無断で用いて出産した長女 (3)について、父親で奈良県内に住む40歳代の外国籍の男性が、法的な父子関係がないことの確認を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は26日、請求を 退けた1審・奈良家裁判決を支持し、男性の控訴を棄却した。
 昨年12月の1審判決は、体外受精による子との間に法的な父子関係を認めるには「受精卵使用時に夫の同意が必要」との判断基準を示したが、この日の判決で江口とし子裁判長は「判断は不要」と言及しなかった。
 そのうえで、今回の裁判は、結婚中に妻が妊娠した子は夫の子とみなす民法の「嫡出推定」に該当するかどうかで争うべきで、「親子関係の不存在確認訴訟」は不適法だと判断した。男性は上告する。
 判決によると、男性は2004年に日本人女性と結婚。10年に奈良市内の医院で受精卵を凍結保存した。その後、夫婦関係が悪化して別居したが、女性は男性の同意を得ずに受精卵を移植し、15年に長女を出産。夫婦は16年に離婚した。

強制不妊手術、全国の相談窓口公表 indexへ

 旧優生保護法に基づき知的障害者らが不妊手術を強制された問題で、厚生労働省は24日、手術を受けた当事者や家族からの問い合わせを受け付ける各都道府県の相談窓口を公表した。
 都道府県の担当部署名や電話番号を一覧にしたもので、同省のホームページで確認できる。
 この問題を巡っては、同省が月内にも都道府県などを対象に不妊手術を 受けた人に関する資料の保管件数を把握するための調査を始める予定で、6月中に自治体からの回答を求める。資料が残っている可能性が高い市町村や医療機 関、障害者施設にも資料を廃棄しないよう求める方針だ。

不妊治療死、担当医「治療に夢中になっていた」 indexへ

 セントマザー産婦人科医院(北九州市八幡西区)で2016年、不妊症 の検査・治療を受けた福岡県内の女性が死亡した医療事故で、県警は23日、担当医(37)(東京都墨田区)や院長(68)(八幡西区)ら男性医師3人を業 務上過失致死容疑で福岡地検小倉支部に書類送検した。
 発表によると、担当医は16年11月16日、同県宗像市の会社員女性(当時37歳)の卵管の通りをよくするため、複数回にわたり子宮内に大量の空気を注入し、その一部が血管内に流入したことにより、同年12月1日、肺 塞栓
そくせん
症に伴う多臓器不全で死亡させた疑い。院長は担当医に治療の危険性を教えず、別の医師(37)(八幡西区)は治療に立ち会ったが止めなかった疑い。県警は担当医について、起訴を求める「厳重処分」の意見をつけた。
 3人は当初、右側の卵管の詰まり具合を調べるため、生理食塩水を流す 「通水検査」を実施した。院長は「問題がなかった」として検査の終了を指示したが、担当医は、空気を注入して通過性を高める「通気治療」を行うことで、よ り改善が見込めると判断。同医院では通常30~40ccの空気を送り込んでいたが、担当医が注入を繰り返し、計数百ccに達した。県警は、この際に子宮内 の血管に空気が流入したとみており、担当医の措置に重大な過失があると判断した。
 担当医は事故後、派遣元の大学に戻った。県警の調べに、担当医は「通気治療の危険性は認識していたが、治療に夢中になっていた」と容疑を認め、院長と別の医師は容疑の一部を否認しているという。
 書類送検を受け、同医院は「残念な結果となったことは大変遺憾で、事態を重く受け止め、ご遺族にはおわびした。捜査中のため、内容に対する回答は差し控える」とのコメントを出した。
 同医院は1990年開業。不妊治療を専門としており、全国から患者が訪れている。

不妊治療の検査で女性死亡、担当医ら書類送検へ indexへ

 セントマザー産婦人科医院(北九州市)で2016年、不妊治療の検査 を受けた福岡県内の女性(当時30歳代)が死亡する医療事故があり、県警は担当した男性医師(30歳代)と男性院長(60歳代)ら医師3人について、23 日にも業務上過失致死容疑で福岡地検小倉支部に書類送検する方針を固めた。
 捜査関係者によると、女性は16年11月、不妊症の治療のため、卵管に詰まりが生じていないかを調べる検査を受けた。

名大病院職員の残業、過労死ライン超の月99時間…勤務管理は出勤の押印だけ indexへ

 名古屋大医学部付属病院(名古屋市昭和区)が労使協定(36協定)の上限を超えて事務職員に残業させたとして、名古屋東労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが同大に対する情報公開請求などで分かった。
 同大によると、病院側は2016年3月、医師を含む職員の代表者との間で残業時間の上限を月45時間などと設定。突発的な業務で対応する場合、年6回を限度に月60時間まで認めるとする協定を締結した。
 しかし、労基署は月60時間超の残業をした事務職員を7人確認。うち 1人は同年4月、国が定める過労死ライン(80時間)を超える99時間を記録した。年度初めで事務が重なったのが原因という。勤務時間の把握について、病 院側は出勤簿の押印だけを確認し、出退勤時間は把握していなかったという。
 労基署は同年12月2日付で是正勧告を出した。病院側は部署内での仕 事や情報を共有化し、互いにカバーできる体制を整えたほか、時間外の会議を見直すなどした。是正勧告について同大総務部は、「重く受け止める。管理・監督 者の意識改革を行い、職員にも協定の趣旨を周知徹底している」とコメントした。

「医療用医薬品」広告違反疑い30件、抗がん剤など誇大表現…厚労省調査 indexへ

 医師が処方する「医療用医薬品」に関する製薬会社の広告について、厚 生労働省が医療機関を通じて実態を調査したところ、抗がん剤など23製品で効能の誇大表現など法律や通知に違反する疑いのあるケースが、計30件あったこ とがわかった。同省は、製薬会社に情報提供の適正化を求める指針を作成する。
 調査は2017年度の2か月間実施。全国の医療機関の医師ら20人程 度をモニターに指定した。医師にパンフレットなどで製品情報を提供する医薬情報担当者(MR)の説明などで、問題がありそうなケースの報告を求めたとこ ろ、「事実誤認の恐れのある表現を使った」(9件)などの事例が見つかった。
 こうした事例が後を絶たないため、同省は指針の中に、MRを監督する部門の設置など社内体制の整備や、MRへの教育を製薬会社の責務とすることなどを盛り込む方針だ。

日本水産トクホ商品、成分含有量満たさず…消費者庁 indexへ

 消費者庁は9日、水産大手「日本水産」(東京)が通信販売していた「特定保健用食品」(トクホ)の「イマーク」で、健康に関与する成分の含有量が必要な量を満たしていなかったと発表した。
 同庁によると、イマークは2003年にトクホ表示の許可を得た清涼飲 料水(100ミリ・リットル入り)。血中の中性脂肪を低下させるという栄養素のEPA(エイコサペンタエン酸)が600ミリ・グラム、DHA(ドコサヘキ サエン酸)が260ミリ・グラム含まれるとされているが、同庁が昨年10月から行った抜き打ちの買い上げ検査(40品目対象)の結果、いずれも不足してい た。
 日本水産は「検査方法が異なり、自社の検査では問題なかった。栄養素の検出方法の変更を報告していなかったことが原因」としている。イマークは今年2月に製造を終了した。これまでに300万箱(1箱10本)以上売れたという。

50年前に新生児取り違えか、相手には伝えず…順天堂 indexへ

 順天堂医院(東京都文京区)を運営する学校法人順天堂は6日、約50年前に同院で新生児の取り違えが起きた可能性が高いと発表した。
 一部週刊誌で報道され、ホームページに経緯を掲載した。発表によると、最近行ったDNA検査で、約50年前に同院で生まれた当事者と、母親の間に遺伝上のつながりがないことが判明した。取り違えが起きた可能性は極めて高いとし、当事者らに謝罪したという。
 過去のカルテで取り違えの相手は絞られたが、現在の平穏な生活を乱す恐れがあるとして、伝えないことにしたという。ただし、本人や家族から問い合わせがあれば対応するとした。
 同法人は「関係者の皆様に心よりおわびする」とのコメントを掲載した。

17年の医療事故、過去最多の4095件 indexへ

 2017年に報告された医療事故の件数は、前年より213件多い計4095件で、報告が始まった05年以降、過去最多だったことがわかった。全国1049医療機関の集計。事故情報の収集を行っている公益財団法人「日本医療機能評価機構」(東京)が29日発表した。
 内訳は、医療事故の報告が義務づけられている大学病院など計276医療機関からの報告が、9割近い3598件だった。このほか、任意で773医療機関が497件の事故を報告した。

「無痛分娩で障害」因果関係を認めず…京都地裁が請求棄却 indexへ

 麻酔で出産の痛みを和らげる無痛 分娩での処置が原因で長女が脳に重い障害を負ったとして、京都府内の両親が医療法人「ふるき産婦人科」(京都府京田辺市、昨年末で休院)と男性院長に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は27日、請求を棄却した。
 判決などによると、母親(36)は2011年4月、同産婦人科で無痛 分娩のため、背中から麻酔薬を入れる「硬膜外麻酔」を受けた。院長は陣痛促進剤を注入するなどしたがうまくいかず、帝王切開で出産。長女は仮死状態で生ま れ、脳性まひで寝たきりのまま、3歳で亡くなった。
 藤田昌宏裁判長は判決で、院長には胎児の状態を確認する「分娩監視装置」を使わないなどの過失があったとする一方、長女が低酸素状態に陥った時期が不明で、院長の処置が脳性まひの原因になったとはいえないとして、請求を退けた。原告側は控訴する方針。
 無痛分娩を巡っては昨年、重大事故が各地で相次いでいたことが発覚。同産婦人科では12、16年にも事故が起きており、同地裁で2件の損害賠償請求訴訟が争われている。

群大病院13億円返還へ…診療報酬を不正・不当請求 indexへ

 手術死が続発した問題に絡み、診療報酬の不正請求が判明した群馬大学病院は23日、計13億4500万円の不正・不当 請求を確認し、返還すると発表した。同病院が昨年、厚生労働省関東信越厚生局から戒告の行政措置を受け、再点検したところ、すでに判明していた分の約17 倍に当たる返還額となった。
 このうち、「不正」と確認されたのは1億2800万円で、その約9割が保険適用外の 腹腔鏡手術について保険請求したものだった。算定要件や施設基準を満たさないなど「不当」と判断された請求は、計12億1700万円だった。
 同厚生局は昨年3月、監査の結果、計342件約8000万円の不正・不当請求を指摘。同病院は、監査前にさかのぼり、2010年4月~15年3月の診療報酬の記録を調べ、同様の不正がないか精査していた。
 病院側は「組織としての対応に問題があった」と認めたが、関係者の処分については、「現状ではお答えできない」と述べるにとどまった。
 同病院を巡っては、保険適用外の腹腔鏡手術を受けた患者8人の死亡が14年11月に発覚。後に開腹手術でも死亡が相次いでいたことがわかった。同病院は15年6月、高度な医療を担う特定機能病院の承認を取り消されている。

医師国家試験、合格率90.1%…合格者は9024人 indexへ

 厚生労働省は19日、医師国家試験の合格者を発表した。受験者1万 10人に対し、合格者は9024人。合格率は90.1%で前年より1.4ポイント上昇した。合格者は、男性5958人(合格率は89.1%)、女性 3066人(同92.2%)。新卒者の合格率は93.3%、既卒者は63.9%だった。

医療事故届け出370件…責任追及恐れて? 推定件数の2~3割にとどまる indexへ

 病院や診療所に患者の予期せぬ死亡事故の届け出などを義務付けた医療事故調査制度で、制度を運営する第三者機関「日本医療安全調査機構」は15日、昨年の届け出件数が前年より36件少ない370件だったと発表した。
 2015年の制度開始からの累計は857件で、厚生労働省が推定した年1300~2000件の2~3割にとどまっている。
 「手術」( 分娩を含む)に起因したものが最多の177件で、点滴などの「処置」が44件、輸血を含む「投薬・注射」が37件など。死亡から届け出までの平均日数は57・2日で、半年以上、届け出なかったケースも24件(6・5%)あった。
 同省は「医療機関が責任を追及されるのではと恐れ、届け出をためらっているのではないか。再発防止のため、積極的な届け出を促したい」としている。
 一方、医療機関が昨年、院内調査を終えて、報告書をまとめたのは 321件。このうち、約9割の297件に再発防止策が記載された。報告書の分量は最も少ないケースで1ページ、最多は49ページと医療機関によってばらつ きがあった。遺族らが同機構に再調査を依頼したのは39件だった。

血液製剤を不正製造…「化血研」の譲渡最終合意、7月から「KMバイオロジクス」 indexへ

 血液製剤を不正製造していた一般財団法人・化学 及び血清療法研究所(化血研、熊本市)は13日、「明治ホールディングス(HD)」と「Meiji Seika ファルマ」(いずれも東京)で構成する明治グ ループと熊本県内の地元企業グループ(7社・団体)、熊本県との間で、事業譲渡に関する最終合意に達し、契約書を締結したと発表した。今年7月から新会社 「KMバイオロジクス」として事業を引き継ぐ。
 同日開いた臨時評議員会を経て、臨時理事会で決議した。内容は昨年 12月の基本合意通りで、新会社への譲渡価格は約500億円。うち約200億円について〈1〉明治グループ49%〈2〉肥後銀行、再春館製薬所などの地元 企業グループ49%〈3〉熊本県2%――の割合で出資し、議決権を持つ。残り約300億円は、化血研と明治グループで無議決権株式として持ち合うほか、借 入金などを充てる。
 新会社は、すでに化血研が今月上旬に設立。7月までに化血研の事業を引き継いだ後、株式を買収され、明治HDの連結子会社となる。本社と製造拠点は熊本に残る。約1900人の従業員は希望すれば新会社へ移ることができる。
 蒲島郁夫・熊本県知事は「新会社が熊本を拠点に、更なる飛躍を遂げるよう、『扇の要』としての役割をしっかりと果たしたい」とのコメントを出した。

名大病院研究生が患者情報PC盗難…3000人分 indexへ

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)と大垣市民病院(岐阜県 大垣市)は13日、付属病院の男性研究生(33)が、両病院の患者計約3000人分の個人情報が入った私物のノートパソコンとUSBメモリーを盗まれたと 発表した。個人情報の不正流用などは確認されていないという。発表によると、研究生は2月25日、東京都内で開かれた勉強会に参加した後、ゲームセンター でパソコンなどが入ったかばんを盗まれた。

介護職員の虐待、最悪…2016年度の高齢者被害870人・女性が7割 indexへ

 厚生労働省は9日、2016年度の介護職員による高齢者への虐待件数が452件で、統計を取り始めた06年度以来、最多を更新したと発表した。前年度比10・8%増。5年間で3倍に増え、人手不足が背景にあるとの指摘も出ている。
 職員や家族らから相談や通報を受け、自治体が虐待と認定した件数を集計した。1件で複数の被害者がいる例もあるため、被害者数は870人に上り、このうち女性が7割を占めた。
 施設別では、特別養護老人ホーム(124件)、有料老人ホーム(120件)が多かった。過去に虐待が発生した事業者で再び虐待が起きた事例が20件。同じ施設で被害者が10人以上いた事例も12件あった。
 要因は、「教育・知識・介護技術等に関する問題」(66・9%)が最 多で、「職員のストレスや感情コントロールの問題」(24・1%)が次いだ。虐待内容は、殴るなどの身体的虐待、暴言を吐くなどの心理的虐待、必要な介護 を怠る介護放棄、横領などの経済的虐待の順に多かった。
 一方、家庭内での虐待は1万6384件(前年度比2・6%増)で、25人が死亡した。息子からの虐待が4割を占めた。

患者死亡相次いだ千葉県がんセンター、がん拠点病院に再指定へ indexへ

  腹腔鏡を使う 膵臓手術などで患者の死亡が相次いだ千葉県がんセンター(千葉市)について、厚生労働省の有識者検討会は9日、がん診療連携拠点病院への再指定を認めることを決めた。
 同センターは2015年、一連の医療事故を理由に指定から外れていたが、医療安全対策の改善が評価された。これを踏まえ、厚労相が4月1日から1年間、拠点病院に指定する見通し。指定されれば診療報酬が優遇され、補助金が交付される。

強制不妊、旧厚生省が積極手術促す…自治体に文書「違憲ではない」強調 indexへ

 旧優生保護法に基づき知的障害者らが不妊手術を強制され た問題で、旧厚生省が同法施行翌年の1949年と57年、都道府県に対し、強制手術が違憲ではないことを強調し、積極的に手術することを促す文書を送付し ていたことが、わかった。専門家は「被害者の救済とともに、人権を無視した強制手術の実態を徹底して調査するべきだ」と指摘している。
 2通の文書は京都府立京都学・歴彩館に保管されていた。49年に旧厚 生省公衆衛生局長名で出された文書では、不妊手術を強制することについて、「強制優生手術を行うには医師により『公益上必要である』と認められることが前 提で、決して憲法の精神に背くものではない」と明記。憲法13条(幸福追求権)に反しないことを強調していた。
 また、手術が必要だと判断した審査会の決定が確定すれば、「本人が手術を受けることを拒否した場合にも手術を強行できる」とし、やむを得ない場合に限り、身体拘束なども認められるとしている。
 57年の旧厚生省公衆衛生局精神衛生課長名の文書では、手術件数が増えているものの、同省が確保した予算上の件数を下回っていると指摘。都道府県ごとの強制手術件数を示し、「実施件数が極めて不均衡」としたうえで、「関係者に対する 啓蒙活動と貴職の御努力により相当程度成績を向上せしめ得られるものと存ずる」などと積極的な手術を促していた。
 しかし、旧優生保護法は人権上問題があるとして96年、母体保護法に改正され、強制不妊手術の条文などは削除された。
 同法に詳しい藤野豊・敬和学園大教授は「国会や厚生労働省は当時、国や自治体が積極的に政策を推し進めていた事実を重く受け止める必要がある。この問題に無関心だった社会のあり方も含めて早急に検証し、国は補償を検討すべきだ」と話している。 「早く救済措置講じて」
 強制手術を受けた人らからは早期の救済を望む声が上がっている。
 全国で2例目となる国家賠償請求訴訟を仙台地裁に起こすことを決めた仙台市の70歳代の女性は6日、取材に応じ、「手術を受けた人たちは高齢化している。できる限り早く救済措置を講じてほしい」と訴えた。
 女性は中学3年の頃、民生委員の指導で親元を離れて市内の知的障害 児が通う施設に移り、16歳の時、事前の説明もないまま不妊手術を受けた。後に、両親が「不妊手術を受けた」と話しているのを聞き、事実を知ったという。 東京で就職して結婚もしたが、子供を産めないことに引け目を感じ、離婚したという。
 1960年代に勤務していた東京都立病院で優生保護手術の申請に関わったという精神科医の岡田靖雄さん(86)(東京都杉並区)も「立法による救済を急ぐ必要がある」と話す。
 同病院では年に数回、医局の黒板に不妊手術が必要な患者を書きだすよう通知があり、30歳代ぐらいの女性の手術の申請に関わり、不妊手術にも立ち会ったという。
 岡田さんは「当時、自身を含めた多くの医師が疑問を持たず、差別的な制度に加担してしまった」と振り返り、「審査の過程も含め、問題点を明らかにすべきだ」としている。
救済目指す超党派議連が発足
 旧優生保護法下の強制不妊手術問題で、議員立法などによる救済を目指す超党派の議員連盟が6日、国会内で設立総会を開いた。
 設立総会には自民、公明、立憲民主などの衆参両院議員約20人が参加した。会長には自民党の尾辻秀久・元厚生労働相が就いた。不妊手術を強制された人などからヒアリングを行い、具体的な支援策を検討する。
 読売新聞の調査では、手術を強制された1万6475人のうち、個人を特定できる資料は約2割しか残っておらず、実態の把握が課題だ。勉強会では、出席した議員から、政府に実態調査を求める声が相次いだ。厚労省は「関係省庁としっかり協議して対応する」と回答した。
医師残業、月178時間…名古屋・東部医療センターに労基署が是正勧告 indexへ
 名古屋市千種区の市立東部医療センターが労使協定(36協定)の上限を超えて医師を働かせていたとして、名古屋東労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。
 同センターは一般の救急医療機関では対応できない患者に対し、24時間体制で高度な医療を提供する愛知県指定の「救命救急センター」で、勧告は昨年11月30日付。
 センターによると、最長で月150時間の残業を可能とする協定を締結していたが、同労基署が調査した結果、外科などに所属する20、30歳代の若手4人が昨年4~9月、月152~178時間の残業をしていたことが判明。残業代は支払っていたという。
 勧告を受け、当直明けに早く帰宅するなど勤務体制を改善し、1月に上限を超える医師はいなくなった。センターは病床数498床。在籍する医師は86人で、1日時点の欠員は9人。担当者は「医師を補助する事務員を増やすなどし、改善を図りたい」としている。
岐阜・羽島の病院も…月103時間残業
 岐阜県羽島市の羽島市民病院が労使協定(36協定)の上限を超えて医師に残業させたとして、岐阜労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。勧告は昨年2月24日付。
 同病院によると、残業の上限を月45時間とした上で、特別条項として年6回を限度に85時間まで認める協定を結んでいたが、昨年1月に男性医師1人が103時間の残業をしていた。同病院は「手術が長引いたり、容体の変化に対応したりしたため」としている。
 勧告を受け、同病院は昨年4月、特別条項の残業の上限を月100時間に引き上げて協定を結び直した。さらに、非常勤の医師を夜間当直に2人、日中の外来に3人増やすなどした結果、医師の残業時間が大幅に減ったという。
 浅井朱門事務局長は「勧告を 真摯に受け止め、医師の確保や業務改善に引き続き取り組む」と話した。
強制不妊手術調査、60人分の資料発見…愛知県 indexへ

 愛知県は1日、旧優生保護法に基づき、知的障害などのため県優生保護審査会で強制不妊手術の適否を判断された県内60人分の資料が見つかったと発表した。
 見つかったのは、1966~71年度に不妊手術の適否を判断された人 の氏名や生年月日、住所のほか、家族の精神障害や知的障害の状況が記された資料。審査会の決定通知や保護者の同意書などもあった。この間に、医師ら9人か らなる審査会は8回開かれ、審査した男性8人、女性52人のうち男女55人について、強制的な手術が適当としていた。ただ、医師が手術後に県に出す記録は 見つかっておらず、実際に手術したかどうかは不明という。
 県の統計によると、県内では49~81年に255人に対して強制不妊手術が行われ、66~71年は17人となっている。

精神指定医資格の不正取得…医師の処分、地裁が執行停止 indexへ

 精神障害者の強制入院などを判断する精神保健指定医の資格の不正取得問題で、厚生労働省が業務停止処分とした医師1人について、東京地裁が今月6日、執行停止を命じていたことがわかった。
 関係者によると、執行停止となったのは、精神保健指定医の資格不正取 得に関与したとして、厚労省が今年1月、1か月の業務停止処分を決定した指導医。処分の発効は今月8日からだったが、医師は「業務停止は地域医療に影響が 出る」などとして、東京地裁に執行停止を申し立てていた。

強制不妊、101人に「手術適当」…大分県に資料2年分 indexへ

 旧優生保護法(1948~96年)に基づき、知的障害者らが不妊手術を強制されていた問題で、大分県は22日、手術の適否を決める1957年度と60年度の県優生保護審査会に関する資料が県公文書館に保管されていたと発表した。
 県健康づくり支援課によると、資料は57、60年度に医師が審査会に提出した申請書や病名などが記された調査書、審査結果を盛り込んだ議事録など。
 申請があったのは12~49歳の延べ110人(男性44人、女性66人)。「保留」の審査結果を受け、複数回申請された人が含まれている。
 このうち、手術が適当との決定が出ていたのは計101人(男性41人、女性60人)で、最年少は14歳女子、最高齢は49歳男性だった。実際に手術を受けた人数は不明という。
 県の公衆衛生年鑑によると、県内では54~76年に、同法に基づく手術が計663人に行われたとの記録が残っているが、57年度と60年度以外の審査や手術に関する資料は見つかっておらず、破棄されたと考えられるという。

同意のない手術1万6475件…強制不妊、救済の動き indexへ

 自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長は21日、東京都内のホテルで会談し、旧優生保護法に基づき知的障害者らが不妊手術を強制された問題について、議員立法も含めた救済措置を検討する方針で一致した。
 会談では、公明党の井上幹事長が「与党として何らかの形で救済すべきだ」と訴え、自民党の二階幹事長は「その通りだ」と応じた。
 自民党の森山裕国対委員長は会談後、記者団に、「救済は極めて大事な問題との認識で一致した」と語った。
 そのうえで、「法案化するなら議員立法になるだろう。野党も含めた対 応が必要になってくる」と述べ、野党にも協力を呼びかける考えを示した。まず自民、公明両党の政務調査会で問題の経緯などについて調べた後、与党内にプロ ジェクトチームを作り、救済に向けた法案を議員立法で作成する方針。立憲民主党や社民党など野党内でも、救済に向けた超党派の議員連盟設立の動きがある。
優生保護法下で…女性7割、北海道が最多
 この問題を巡っては、国に損害賠償を求める訴訟や自治体による資料の開示の動きが広がりつつある。
 宮城県内の60歳代の女性は今年1月、全国で初めて国に1100万円 の損害賠償を求め、仙台地裁に提訴した。今月19日には、村井嘉浩知事が手術の公的記録がない仙台市の70歳代の女性について、「いくつかの論拠を示せ ば、裁判で手術を受けたことは認める」と明言。これを受け、この女性も同地裁への提訴を決めた。
 このほか、東京都と札幌市の70歳代の男性2人がそれぞれ、東京、札幌両地裁に提訴を検討している。
 また、北海道も19日、資料が保存されていた1210人分の性別や年代、疾患の内訳などを公表。9割超の1129人が道の審査会で手術が適当と判断されたことなどを明らかにした。
 厚生労働省によると、旧優生保護法の下で行われた、本人の同意のない手術は少なくとも1万6475件あり、このうち女性が7割を占めた。都道府県別では北海道(2593件)が最も多く、以下、宮城(1406件)などが続いた。
 同省幹部は「与野党から求められれば、都道府県の資料の保管状況などについて調査することも検討せざるをえない」としている。
草加市立病院、基準満たさず腹腔鏡手術…子宮がん「開腹」と不正請求 indexへ

 埼玉県の草加市立病院は16日、必要な基準を満たしていないにもかかわらず、子宮がんの腹腔鏡手術を行い、開腹手術をしたとする不正請求をして診療報酬を受け取っていたと発表した。2012年度からの累計で不正請求は69件、受け取った診療報酬と患者側の支払い分は計約1億円という。
 問題があったのは、58人に対する子宮体がん手術と、11人に対する子宮頸がん手術。国の基準では、早期の子宮体がんの腹腔鏡手術は、経験豊富な常勤医が配置されている場合に限り保険適用が認められている。子宮頸がんの場合は保険適用外だ。

「胃がん」検査結果見逃す…堺市医療センター、治療7か月遅れ indexへ

 地方独立行政法人・堺市立病院機構は14日、運営する市立総合医療センター(堺市西区)で、男性主治医が70歳代の女性患者の検査結果を見落とし、がんの発見が約7か月遅れる医療ミスがあったと発表した。
 女性は治療開始から約1年後に死亡。同機構は「治療の遅れを招いた」として遺族に謝罪した。
 発表によると、女性は16年2月、胃の痛みを訴え、同センターで胃の内視鏡検査と病理検査を受診。病理検査の担当医師は胃がんを見つけ、電子カルテに添付された報告書に記載したが、主治医がこれに気付かず、カルテに書かれた内視鏡検査の所見だけで胃潰瘍と判断した。
 約7か月後に女性が吐き気を訴えたため、別の医師が再検査した際、以前の検査結果に気付いた。女性は16年10月、胃の一部を切除する手術を受け、抗がん剤治療を続けたが、昨年9月に死亡した。
 主治医は既に退職し、別の病院に勤務中。調査に「内視鏡検査の結果が『胃潰瘍』と書かれており、そう思い込んでしまった」と話しているという。
 同機構は「ミスと死亡の因果関係は不明だが、がんは当初からかなり進行していたと考えられる」と説明。一方で、医師間の情報共有が不十分だったとして、病理検査結果の連絡体制やカルテの記載方法を見直すなどの再発防止策をまとめた。
 花房俊昭院長は「情報共有とチェック体制の不備で医療ミスを起こし、患者のご家族に深くおわびする」と陳謝した。

強制不妊手術:旧厚生省が「優生手術」増を要請 indexへ

 国家予算で障害者への不妊手術を強制した旧優生保護法(1948~96年)をめぐる問題で、厚 生省(当時)が57年、手術件数の少ない県を暗に批判した上で、手術実施に伴う費用が国の予算を下回っていることを理由に各都道府県に件数を増やすよう求 める文書を送付していたことが判明した。前年の56年は、それまで増加傾向にあった全国の強制手術件数が初めて減少に転じていた。専門家は文書が送付され た背景に「予算枠を減らしたくない役所の論理」があったと指摘している。
 文書は手書きの計2枚で、旧厚生省公衆衛生局精神衛生課が57年 4月27日に作成。同課の課長名で差し出され「各都道府県衛生主管部(局)長」宛てになっている。同省と都道府県の担当者間で交わされた書簡の一つとみら れ、京都府立京都学・歴彩館(公文書館)に保管されていた現物の写しを毎日新聞が入手した。
© 毎日新聞 京都府立京都学・歴彩館に保管されていた、旧厚生省精神衛生課長名で全国に送付された…
 文書はまず「例年優生手術の実施件数は逐年増加の途を辿(たど)っているとはいえ予算上の件数を下回っている」と懸念を示している。その上で、 56年に各都道府県が同省に報告した強制手術件数をまとめた一覧表を添付し、「実施件数を比較してみますと別紙資料のとおり極めて不均衡である」と都道府 県の件数格差を指摘。「手術対象者が存在しないということではなく、関係者に対する啓蒙(けいもう)活動と貴殿の御努力により相当程度成績を向上せしめ得 られるものと存ずる次第」「本年度における優生手術の実施につきまして特段のご配意を賜りその実をあげられるよう御願い申し上げる」などとし、手術件数を 増やすよう求める内容だ。
 旧厚生省の衛生年報などによると、強制手術を受けた数は全国で55年に1362件とピークを迎えた後、56年に 1264件と減少に転じた。文書が送付された57年も全国的な減少傾向に歯止めはかからなかったが、山形▽宮城▽愛知▽長野▽徳島▽福岡▽鹿児島など10 県以上は57~58年にかけて増加に転じていた。
 同法が改定された後の母体保護法を所管する厚生労働省の担当者は「原本が(手元に)なく、どういう経緯で出されたのか把握できないためコメントできない」と話している。
 国の責任大きい
  旧優生保護法をめぐる問題に詳しい、東京大大学院総合文化研究科の市野川容孝教授(医療社会学)の話 今回の都道府県宛て文書からは、予算枠を減らしたく ないという役所の論理がにじみ出ている。強制手術が推進された裏には(行政の)予算の力学が働いていた可能性が大きい。予算消化が優先されたならば、手術 の可否を決める都道府県の審査会の判断に影響を及ぼした可能性は否定できない。国の責任は大きく、早急に実態を解明すべきだ。

脳内圧力下げる機器で事故7件…脳出血、意識障害など重篤状態も indexへ

 脳内の圧力を下げる医療機器の不適切な取り扱いで事故が複数あったため、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が医療者向けに注意を呼びかけている。
 対象の医療機器は「開放式脳室ドレナージ」。脳腫瘍やくも膜下出血などの患者の脳に管を入れて、余分な脳脊髄液や血液を排出するために使われる。
 その際、管の中の圧力を調整するクリップを開き忘れると、液を吸い出す圧力が高まり、脳脊髄液などが過剰に排出されてしまう。
 PMDAによると、こうした事故が2004~17年に7件あり、患者が脳出血や意識障害などの重篤な状態に陥った事例もある。
 PMDAは「機器の仕組みを理解し、正しい手順で使用してほしい」と注意を促している。

チューブ位置「正しいと過信」…大阪市医療センター、乳児事故で謝罪 indexへ

 大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)で昨年9月、生後2か月の女児に、医師が気管に空気を送るチューブを誤って食道に入れ、女児の脳に重い障害が残った事故で、同センターの幹部が14日、市役所で記者会見し、謝罪した。
 会見には事故調査を担当した山根孝久・副院長ら4人が出席。西上和伸・総務部長は冒頭、「患者さまやご家族には深くおわび申し上げます」と述べ、全員で頭を下げた。
 同センターなどによると、女児は心臓に持病があり、昨年9月19日に手術。気管にチューブを通し、人工呼吸を受けていた。
 集中治療部の30代の男性医師2人は同22日午後2時50分、回復具合を確かめるためチューブを出し入れした際、誤って食道にチューブを入れた。女児の心拍や血圧が下がり、チューブを複数の医師で確認したが、「気管に正しく入っているように見える」と判断した。
 午後4時10分には、気管支内を映すカメラではチューブが食道に入っ ていることを認めたが、挿管の手続きは正しく行われたため気管に入れたと判断し、チューブを抜かなかった。ただ、肺に十分な空気が届いていることを示す データを確認できず、午後4時50分頃に最終的に正しく入れ直したという。
 2時間にわたって女児に酸素が送り込めず、その間、心臓は29分間停 止。医師らは蘇生措置を施したが、女児は低酸素脳症に陥り、脳に重い後遺症を負った。山根副院長は「(正しく入っているとの)過信があった。疑いがあれば 早期にチューブを抜くよう再発防止を徹底する」と述べた。
 女児は集中治療室で治療中で、回復のめどは立っていない。山根副院長は「視覚や聴覚、運動機能などに重度の障害が残る可能性がある」と話した。

「脅された」「見せ物のよう」…精神科入院経験者、身体拘束「納得せず」約半数 indexへ

 精神科に入院し、ベッドに手足を縛られるなどの身体拘束を受けた経験がある人のうち、約半数が納得していない、という調査結果をNPO法人「地域精神保健福祉機構」(千葉県市川市)がまとめた。
 精神科では、精神保健福祉法で資格を持つ医師が国の基準に基づき患者を最小限、身体拘束できる。昨年5月に拘束を受けたニュージーランド人が死亡。同機構は同9月、精神疾患を持つ人にインターネットで調査を行った。
 200人の回答のうち170人が精神科病棟のある病院への入院を経験。80人が身体拘束を受けたことがあると回答した。41人は「納得していない」と振り返った。拘束時に理由を説明されたかとの問いには、20人が「なかった」とした。
 調査には「看護師に笑顔で『きつく縛ってやる』と脅された」「拘束される私を見に看護師が集まり見せ物のようだった」という声も寄せられた。
 身体拘束に詳しい杏林大学教授の長谷川利夫さんは「人権が守られていないケースが見られ、問題だ。拘束する時の様子を録画する仕組みを取り入れ、後から検証できるようにし、不要な拘束をなくすことが重要」と話している。

呼吸の管を食道に、医療事故で乳児寝たきり…大阪市医療センター indexへ

 大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)で昨年9月、生後2か月の女児に心臓手術を施した後の処置で、気管に空気を送るチューブを医師が誤って食道に入れてしまい、女児が一時的に心停止する事故が起きていたことがわかった。
 女児は低酸素脳症による重度の後遺症があり、現在も寝たきりの状態が続いている。センター側はすでに親族に謝罪している。
 大阪市や親族によると、女児は生まれつき心臓病があり、昨年9月19日に手術を受け成功した。その際、気管にチューブを通し、呼吸の補助を受けていた。
 回復してきたため、同22日、自発呼吸ができるか調べようと、医師がいったんチューブを抜いてみたが、正式にチューブを抜くにはまだ時間が必要と判断。改めてチューブを口から差し込んだ際、誤って食道に入れてしまったという。
 医師がしばらく誤りに気付かなかったため、十分な酸素が行き届かず、女児は約30分間、心臓が停止。人工心肺装置を付け、心拍は再開したものの、低酸素脳症に陥って脳に障害を負った。現在も意識が戻っていない。集中治療室から出られず、退院のめどは立っていない。
 女児の母親は取材に応じ「娘の容体がおかしくなった時にすぐにチューブを抜いていれば、ここまでひどくはならなかったのではないか。事故で娘の人生は一変してしまった」と話している。
 センター側は慰謝料などの補償を検討している。大阪市は「重大な事故だと認識している。今後、再発防止へ安全管理の徹底が必要だ」としている

中核99病院、医師の違法残業などで是正勧告 indexへ

 地域医療の中心となる全国約350の病院のうち、少なくとも99病院が2016年1月以降、医師の違法残業などで労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、読売新聞の調査でわかった。
 病院側は長時間労働の理由を、医師不足や正当な理由なく診療を拒めない「 応召義務」があるためなどと説明。医師の厳しい労働実態と労務管理の難しさが浮き彫りになった

新型出生前検査、学会の認定外3施設が対象疾患拡大へ…無秩序拡大に歯止め効かず indexへ

 妊婦の血液で胎児の病気を調べる新型出生前検査について、学会の認定 を受けずに検査をしている民間の3医療機関が近く、検査の対象疾患を大幅に拡大することがわかった。認定外施設の存在を問題視してきた学会は、実施施設の 制限を緩和して無秩序な広がりを抑える方針だが、拡大に歯止めがかからない実態が浮き彫りになった。
 新型検査の実施に法規制はないが、学会が独自に認定制度を創設。日本産科婦人科学会(日産婦)の指針のもと、条件を満たした89施設を日本医学会が認定し、ダウン症など染色体の病気3種に限り、臨床研究として行うこととしている。
 ただ、強制力はなく、少なくとも三つの認定外施設が検査を手がけ、この3種以外にいくつかの病気も検査対象としていた。
 このうち、大阪の病院とその系列である東京の診療所の計2施設は取材 に、全染色体の数の異常を調べる検査を4日から導入すると表明。これにより、20以上の病気を調べられる。5月には、染色体の一部が欠けていることで知的 障害などの原因となる「微小欠失」という病気の検査も行う方針。院長の男性は「妊婦の期待に応えるため」としている。
 東京の別の認定外診療所は、染色体の数や形に異常はないが、一つの遺伝子の変異により発症する「筋ジストロフィー」などを新たに対象に加えるという。
 日産婦は先月、検査の認定条件を緩和し、一般診療として幅広く実施を認めることで、認定外施設に妊婦が流れることを抑止する方針を固めていた。
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【 新型出生前検査 】 妊娠10~22週の妊婦の血液中に混じる胎児のDNAを調べる。陰性なら99%病気はないが、陽性なら羊水を採取する確定検査が必要。現在は、遺伝カ ウンセリング体制が整った施設を学会が認定する。対象となる妊婦の条件は、〈1〉高齢(35歳以上)〈2〉過去に染色体異常の胎児を妊娠〈3〉超音波検査 などで胎児の病気の疑いが判明――など。

奈良県の2病院に労基署が是正勧告…残業超過や手当未払い indexへ

 奈良県西和医療センター(奈良県三郷町)が、労使協定(36協定)の上限を超えて医師を働かせ、時間外手当の一部が未払いだったとして、昨年8月に奈良労働基準監督署から是正勧告を受けたことがわかった。
 同センターによると、医師との間に特段の事情がある場合、最長月80 時間の残業を可能とする協定を締結していたが、同労基署が医師の労働時間を調査したところ、上限を超えて働いたり、超過時間分の時間外手当の一部が未払い だったりした。同センターは、すでに未払い分として38人に計約3000万円を支払っており、「医師不足で長時間勤務になりがちだが、再発防止に努めた い」としている。
 このほか、奈良県立医科大病院(同県橿原市)が、時間外手当の一部が未払いの医師が複数いるとして、昨年9月に葛城労働基準監督署から是正勧告を受けたことも判明した。未払いの賃金は今後、支払うという。同病院は「勧告を 真摯に受け止め、改善したい」としている。

生のシカ肉食べた献血者から感染か…輸血でE型肝炎、80代女性が死亡 indexへ

 多発性骨髄腫の治療を受けていた80歳代の女性が昨年7月に血液製剤の輸血でE型肝炎ウイルスに感染し、約100日後、劇症肝炎で死亡していたことがわかった。
 日本赤十字社が31日に開かれた厚生労働省の有識者会議で報告した。日赤によると、E型肝炎ウイルスの混入による死亡例は海外も含めて初めてという。
 日赤によると、女性は輸血の5か月前から抗がん剤の投与を受けており、肝機能が低下していたことに加え、E型肝炎ウイルスに感染したことが複合要因となって死亡したとみられる。
 また、献血者が食べた生のシカ肉にウイルスが潜み、E型肝炎に感染した可能性があることも判明。このため、日赤は当分の間は、加熱が不十分な野生動物の肉を食べるなどした人に献血を自粛するよう呼びかけるという。

理研に提供した健康データ386件にミス…東北メディカル・メガバンク indexへ

 住民の健康データを集めて将来の医療に役立てるプロジェクト「東北メディカル・メガバンク」で、2014年に理化学研究所に提供された1万人分のデータのうち、転記ミスなどによる性別の間違いが386件あったことが分かった。
 同バンクは理研の指摘で修正、再発防止策もとり、他の提供データに影響はないとしている。
 医学研究などに利用されるデータには正確性が求められるが、一度に400件近いミスは異例だ。
 同バンクは東日本大震災の復興事業。東北大学と岩手医科大学が連携し、主に健康な人の血液や生活習慣のデータを集めて研究者に提供、病気の解明などに役立てる。国内3大バイオバンクの一つ。
 理研は、糖尿病やがんなど47疾患に関係する遺伝情報を研究するため、比較対象となる健康な人のデータを両大学から半分ずつ、計1万人分を提供された。
 ミス386件の内訳は、転記ミスが371件、検体取り違えが14件、その他が1件。転記ミスは、すべて東北大学分だった。
 バンクは「事業初期で作業に不慣れな上、納期まで期間が短く、十分な確認作業を怠ったことが原因」などと説明している。

旧優生保護法に基づく不妊手術強制、初の提訴「国が障害者差別」 indexへ

 旧優生保護法に基づき知的障害を理由に不妊手術を強制されたのは憲法違反であり、救済措置も行われていないとして、宮城県内の60歳代の女性が30日、国を相手取り1100万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。
 弁護団によると、強制不妊手術の責任を国に問う訴訟は全国で初めて。旧優生保護法下で行われた本人の同意のない手術は、全国で1万6000件以上とされる。
 弁護団によると、女性は15歳だった1972年、県の検査で「遺伝性 精神薄弱」と判断され、県内の病院で不妊手術を強制された。裁判では、同法は子供を産むかどうかの自己決定権や個人の尊厳を侵害しており、幸福追求権を保 障する憲法に違反していると主張。さらに、障害者差別にあたるとして96年に母体保護法に改正された後も、被害者の救済制度を作らなかった国の不作為も追 及する。
 民法は賠償請求権が失われる除斥期間(20年)を設けているが、弁護団は国の違法性は現在も続いており、該当しないとみている。
 過去に同様の手術が行われたドイツやスウェーデンでは、国が謝罪し、補償を行っている。

介護事業者の倒産、111件で過去最多「事業計画甘い零細業者が多数か」 indexへ

 2017年1~12月の介護事業者の倒産が111件に上り、過去最多だった16年の年間倒産件数(108件)を更新した。信用調査会社の東京商工リサーチが、発表した。人手不足による賃金の高騰などで、小規模業者を中心に経営が厳しくなっているようだ。
 111件の業種別内訳では訪問介護(45件)とデイサービスなど (44件)で8割を占めた。倒産の理由では、業績不振(51件)、事業の失敗(26件)が多かった。同社は、「事業計画の甘い零細事業者が思惑通りに業績 を上げられず、経営に行き詰まったケースが多いとみられる」とする。
 負債総額は約150億円と、16年(約94億円)から大幅に増加。負債10億円以上の大型倒産が計5件あったことが影響した。

マタハラ「退職扱い」違法…歯科医院に賠償命令 indexへ

 産休や育児休業に関して嫌がらせを受け、うつ病を発症して休職中に退 職扱いとなった20歳代の女性が、勤務先の岐阜市の歯科医院や上司に約1050万円の損害賠償と従業員としての地位確認を求めた訴訟の判決が26日、岐阜 地裁であった。鈴木基之裁判長は、うつ病の発症は産休や育休に関して非難されるなどした精神的負荷の積み重ねが原因と認め、「退職扱いは違法」として、計 約500万円の支払いを命じた。
 訴えたのは、岐阜県本巣市の女性。判決によると、女性は2010年、 岐阜市の「コメット歯科クリニック」に歯科技工士として採用されたが、13年に妊娠を報告した頃から有給休暇の取得を断念させられる嫌がらせなど、上司か らマタニティー・ハラスメントを受けるようになった。
 女性は産休や育休を取得し、職場に復帰。再び妊娠すると、上司に「また産休やるの」「自分の都合ばっかりで、こっちの不利益は考えないの」と言われるなどし、うつ病を発症した。
 半年間の休職後、同クリニックは就業規則が定めた休職期間を満了したとして、女性を退職扱いとした。
 判決は、うつ病の発症について「業務に起因するもので、療養中になされた退職扱いは違法で無効」と判断し、慰謝料などの支払いを命じた。
 女性の代理人弁護士は「マタハラの違法性を認めた判決で、高く評価できる」と話した。一方、同クリニック側は「判決を確認した上で控訴する」としている。

偽造の肝炎薬、夫婦逮捕へ…卸売業者に販売疑い indexへ

 高額のC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が流通した事件で、警視 庁は26日、住所不定、無職の男(43)と妻(49)が医薬品卸売業者に偽造品を販売した疑いが強まったとして、医薬品医療機器法違反(模造医薬品の販売 など)容疑で逮捕状を取った。2人は昨年、覚醒剤や危険ドラッグの所持容疑で広島県警に逮捕されて公判中で、同庁は今後、身柄を移送し、入手ルートを調べ る。
 捜査関係者によると、2人は昨年1月4日、東京・神田の「現金問屋」 と呼ばれる卸売業者(廃業)に、ハーボニーの偽造品のボトル2本を、薬価より約120万円安い計約180万円で販売したほか、2016年8~10月には石 川県の業者にC型肝炎治療薬「ソバルディ」のボトル2本を計約100万円で無許可で販売した疑い。

日赤和歌山、残業最大で月150時間…労基署が是正勧告 indexへ

 日赤和歌山医療センター(和歌山市)が、労使協定(36協定)の上限を最長50時間超えて医師を働かせ、一部の時間外手当が未払いだったとして昨年8月、和歌山労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。
 同センターは、医師との間に、特段の事情がある場合は最長月100時 間の残業を可能とする協定を締結。しかし、2016年11月~17年4月、常勤医約200人のうち毎月10~20人の残業時間が上限を超え、最大で月 150時間に達していたほか、宿直担当医師の時間外手当も未払いだった。

群大手術死…「患者説明」録音を開始、学長は遺族に直接謝罪 indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、同病院は22日、前橋市内 で記者会見を開き、遺族を対象に同日まで2日間にわたり行った説明会で、院内の改革状況を報告したと発表した。遺族が要望してきたインフォームド・コンセ ント(IC=説明と同意)の録音について、今月から一部で開始したほか、医療安全の「メモリアルデー」を設ける方針を明らかにした。
 同病院によると、21、22日の説明会には、遺族21組31人が参加。説明会では、平塚浩士学長が「苦痛を与えたことを心よりおわび申し上げる。診療体制や医療事故への対応に不備があったことでご迷惑をおかけした」と遺族に直接謝罪した後、田村 遵一病院長らが再発防止に向けた改革状況を報告した。
 会見した田村病院長によると、遺族会が昨年11月に文書で申し入れた 要望のうち、ICの録音は今月19日から試験的に導入しており、今後、希望者には全例で行うという。手術の録画も、段階的に拡大していくとした。遺族が参 加するメモリアルデーについては、6月頃に定める方向で検討する。
 説明会で遺族からは「なぜ問題が発覚するまで適切な対応ができなかったのか」との指摘を受けたという。田村病院長は「改革をきっちり進めてほしいという要望をいただき、我々としても必ずこれを実践したい」と決意を述べた。
 説明会の後、遺族会と弁護団も記者会見を開き、目標が確実に実行されるか見守る重要性を指摘。代表の木村豊さん(49)は「改革が打ち上げ花火でなく、継続していくようにしてもらいたい」と話した。
 同病院の手術を巡っては、2014年11月、肝臓の 腹腔鏡手術を受けた患者が相次ぎ死亡していたことが発覚。その後、肝臓や 膵臓の開腹手術でも患者の死亡続発がわかり、第三者による調査が行われた。
遺族、インフォームド・コンセントの取り組み評価…医師の多忙解消なお課題
 群馬大学病院の手術死問題で、21、22の両日、遺族を対象に開かれ た説明会。同大が報告した改革の取り組みについて、遺族側は一定の評価をした。ただ、人員不足の状態が続き医師らが多忙な現状は相変わらずで、遺族は「今 回の問題の根源だと思っており、意識がまだ欠けている」と懸念を示した。(前橋支局 蛭川裕太、岩下亮)
 22日の説明会後、9組の遺族からなる遺族会は、弁護団とともに同 病院で記者会見した。同病院で行われているインフォームド・コンセント(IC=説明と同意)の取り組みのうち、医師の説明後、同席した看護師がチェック シートをもとに医師や自分自身の対応について評価していることに対し、「画期的で、他に類を見ない取り組み」(弁護団の梶浦明裕事務局長)と高く評価し た。
 説明会では、一連の事故を受け、群馬大に新たに設けられた医療の 質・安全学講座の小松康宏教授から、民間企業が2017年3月に全国133病院を対象に行った「医療における安全文化に関する調査」の結果に基づく同病院 への評価も示された。それによると、「上司の医療安全に対する態度や行動」「部署内でのチームワーク」がいずれも1位、「インシデント(ヒヤリハット)の 報告される頻度」2位、「医療安全に対する総合的理解」3位など重要な項目で上位となっており、「安全文化」に改善がみられた。しかし、一連の死亡事故の 背景として執刀医の多忙さが指摘されながら、「人員配置(業務が忙しい)」の項目では86位にとどまり、人員不足が解消されていない現状もうかがえる結果 となった。
 このことについて、遺族会代表の30歳代の男性は「負担が医療現場 にかかっている。群馬大学だけでは解決できない問題なので、行政にも対策を練ってもらいたい」と指摘した。同じく代表の木村豊さん(49)も「今回の医療 事故の原因に関わる部分だと思う。多忙や人手不足については、過剰にならないよう改善をお願いしたい」と話した。
 その後、開かれた病院側の記者会見で、田村遵一・病院長は、多忙な 現場の状況が改善されていないとの指摘について、「群馬大学病院は、病院の規模のわりに外来患者が多く、医師や看護師の負担になっている。それは県内のほ かの医療機関との連携がなっていないためでもあり、反省している。開業医の先生らとも連携して外来の混雑を改善し、職員の負担を減らしていきたい」と話 し、改善を進めていく方針を示した。
京大iPS研・36歳助教が論文不正…グラフ捏造、改ざん indexへ

 京都大は22日、同大iPS細胞研究所に所属する 山水康平・特定拠点助教(36)(幹細胞生物学)が昨年2月に米科学誌に発表したiPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する研究論文で、グラフ12個のうち11個に 捏造や改ざんの不正行為があったと発表した。
 山水助教は「論文の見栄えを良くしたかった」と不正を認めているという。京大は既に科学誌の出版社に対し、論文の取り下げを申請している。
 同研究所は、iPS細胞を開発した山中伸弥教授が所長を務める国内有数のiPS細胞研究拠点。同研究所での研究不正の発覚は初めてで、京大は山中所長も含めて処分を検討する。

医師が長時間残業、杏林大病院に是正勧告…割り増し不足分3億円を支給 indexへ

 杏林大学病院(東京都三鷹市)が、医師に労使協定(36協定)の上限を超える残業をさせ、残業代の支払いも不十分だったとして、病院を運営する杏林学園が、三鷹労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。
 同学園は、医師約600人に残業代の割り増し不足分計約3億円を支給した。
 同学園によると、病院に勤務する研修医を含む医師計約700人との間で、特段の事情が発生した場合の残業時間を最大月70時間とする労使協定を締結。
 しかし、同労基署から、医師の残業時間について、厚生労働省が「過労死ライン」とする2~6か月平均80時間を十数人が超え、月100時間を超えた医師も数人いたとの指摘を受けた。体調を崩した人はいなかったという。
 また、医師約600人の残業代の割り増し分も、労働基準法の割増率を下回っていた。同学園は昨年12月、同労基署の調査対象となった昨年4~9月の不足分を一括で支給した。
 担当者は「是正勧告を重く受け止め、改善に着手している」と話している。

群馬大病院手術死、改革策を遺族に報告…学長と病院長が正式に謝罪 indexへ

 群馬大学病院の手術死問題で、病院側は21日、遺族らに改革状況を報告する説明会を前橋市内で開き、学長と病院長が正式に謝罪した。
 公式の場で遺族に直接、学長が謝罪したのは初めて。同様の説明会は22日にも開き、その後の記者会見で詳細を発表する。9遺族からなる遺族会はこれまで、病院側に再発防止を求めてきた。昨年11月には文書で申し入れをし、謝罪などを要望した。

治療不要の歯削った歯科医師、傷害容疑で逮捕…本人は否認 indexへ

 患者の歯を不必要に削ったとして、岡山県警は17日、岡山市北区津島新野、歯科医師福原 淳郡容疑者(53)を傷害容疑で逮捕した。福原容疑者は「医療行為を行っただけで、患者を傷つける行為はしていない」と容疑を否認しているという。
 発表によると、福原容疑者は昨年5月17日、同所で経営する歯科医院「岡山ファミリー歯科」で、同市内の男性(25)の右下奥歯2本を、治療に必要がないのに、本人の同意を得ず歯科器具で削った疑い。
 県警によると、男性は親知らず付近の痛みを訴えて初診で同医院を訪れ、健全な歯を含む奥歯2本を、いずれも神経組織のある歯髄付近まで削られた。雑菌を防ぐ処置も適切に施されなかったという。

北里大病院、医師の勤務時間定めず…労基法違反で是正勧告 indexへ

 北里大学病院(神奈川県相模原市)が医師の勤務時間を就業規則で定めず、労働時間の把握も怠っていたとして、相模原労働基準監督署が、病院を運営する学校法人北里研究所(東京都港区)に、労働基準法違反で是正勧告していたことが17日、同病院への取材でわかった。
 研修医の長時間労働についても改善を指導されたという。勧告や指導は昨年12月27日付。
 労基法では、常時10人以上の労働者を使用する事業所などは、始業・終業時間、休日などについて就業規則を作成し、労基署に届け出るよう義務付けられている。

認知症グループホームの1割、職員による虐待発生 indexへ

 高齢者の暮らす認知症グループホームの約1割で、職員による虐待とみられるケースが起きていたことがわかった。公益社団法人日本認知症グループホーム協会が調査結果をまとめた。
 調査は2017年3月、2578施設にアンケートを配布。895施設 から回答を得た。それによると、虐待とみられるケースが過去に起きたのは、11%にあたる102施設。職員による虐待が起きる要因(複数回答)としては、 「ストレスや感情のコントロールの問題」が85%で最多。次いで、「知識や技術の不足」(71%)、「性格や資質の問題」(67%)の順だった。
 また、虐待には至らないまでも、「高齢者のプライバシーへの配慮を欠いた発言をする」など、不適切なケアとみられるケースが過去に起きたのは、60%にあたる538施設だった。

介護分野従業員、大半が処遇不満…「賃金が安い」最多 indexへ

 介護分野で働く人の大半が賃金の低さや仕事量の多さなどに不満を抱えていることが、労働組合「日本介護クラフトユニオン」(東京)の「2017年度就業意識実態調査」で明らかになった。介護現場の人手不足は深刻だが、それを裏付ける内容と言えそうだ。
 調査は2017年3~4月、組合員約4300人を対象に行い、約2900人から回答を得た。それによると、働く上での不満があると回答した割合は、月給制の人で79・7%、時給制の人で60・0%だった。
 その理由では、「賃金が安い」が月給制で56・3%、時給制で50・1%とそれぞれ最多だった。また、「仕事量が多い」、「何年やっても賃金が上がらない」、「連休が取りにくい」などの割合も多かった。

サプリなどの健康食品被害、報告を義務化…厚労省方針 indexへ

 厚生労働省はサプリメントなどの健康食品について、注意が必要な成分を指定し、健康被害が出た場合、販売業者らに報告を義務付ける方針を固め、16日開かれた同省の有識者会議に食品衛生法改正案の骨子を示した。
 同省ではこのほか、食品を自主回収(リコール)する際の届け出義務や、広域の食中毒事案への対策強化などを改正案に盛り込む方針だ。
 同法の大幅な改正は2003年以来15年ぶりで、改正案は22日召集される通常国会に提出し、19年度から順次施行を目指す。
 健康食品については、法律上の明確な定義がなく、安全性の確保は製 造・販売業者の自主性に委ねられているのが現状だ。しかし、最近では健康被害も出ているため、改正案では、特に注意が必要な成分を厚生労働相が指定し、そ の成分を含む食品を販売する業者に被害情報の報告を義務付ける。指定する成分は、専門家の会議などで検討する。
 また、すべての食品事業者に原則、許可の取得か届け出を義務付ける制度に改め、健康食品を製造・販売する業者も把握しやすくする。
 食品の製造業者や自治体が個別に公表している食品のリコールについては、製造業者に都道府県への届け出を義務付け、国が集約してインターネットで公開する仕組みを新設する。
 このほか、埼玉、群馬両県で昨年起きた腸管出血性大腸菌 O157の集団食中毒問題を受けて、感染拡大を防ぐため、地域ごとに国と都道府県などで構成する協議会を設置し、連携を強化することも明記する。

インフル集団感染、入院患者2人死亡…秋田 indexへ

 秋田県由利本荘市のJA秋田厚生連・由利組合総合病院は15日、入院患者11人と職員6人の計17人がインフルエンザに集団感染し、このうち敗血症の80歳代男性と終末期医療中の70歳代女性の患者2人が死亡したと発表した。
 病院によると、今月4日に消化器系の病棟を担当する看護師が発熱を訴えてインフルエンザA型の感染が判明。その後、同じ病棟の患者や職員に感染が拡大した。男性は8日、女性は10日に感染が判明して治療を受けていたが、13、14日に相次いで死亡した。

犬・猫の感染症で死亡、国内初確認…福岡の60代女性 indexへ

 犬や猫などから人にうつるコリネバクテリウム・ウルセランス感染症による死亡例が国内で初めて確認されたことが分かった。厚生労働省は、都道府県や日本医師会などに対し、注意を呼びかける通知を出した。
 死亡したのは、福岡県の60歳代の女性で、2016年5月、呼吸困難で救急搬送され、3日目に亡くなった。この女性からウルセランス菌が検出されたほか、屋外で3匹の猫に餌をやっており、このうち1匹の猫からも同じ菌が確認された。厚労省は猫から感染したとみている。
 国立感染症研究所の調べでは、国内では01年に千葉県で初めて感染例が報告され、17年11月末までに全国で25例が報告されている。国内では、人から人への感染例は報告されておらず、多くは犬や猫からの感染。治療は、抗菌薬が有効とされている。
 厚労省は「動物にさわった後は手洗いをしてほしい。また犬や猫がせきやくしゃみ、鼻水などの症状を示したときは、ウルセランス菌感染の心配がある。早めに獣医師の診察を受けさせて」と呼びかけている。
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【 コリネバクテリウム・ウルセランス感染症 】 主に家畜やペットなどの動物にいる「コリネバクテリウム・ウルセランス」という細菌に感染することで起きる。英国など海外でも感染例が報告されている。症状はジフテリアと似ており、喉の痛みやせきなどが出て、重症化すると死亡することもある。

特養「ベッド買い」は「不適切」、厚労省が実態調査へ indexへ

 加藤厚生労働相は12日の閣議後記者会見で、都内などの自治体が他自 治体にある特別養護老人ホームの運営法人に補助金を支払い、優先的に自身の自治体の住民が入所できる枠を確保している「ベッド買い」について、介護保険制 度上、「必ずしも適当ではない」との認識を示した。
 自治体に不適切である旨を周知徹底し、実態調査に乗り出す。
 特養は居住地域にかかわらず、介護の必要性や家族の状況などを勘案 し、入所の優先度を決めることになっている。ベッド買いは、介護保険制度が始まる2000年度より前から行われているといい、今後、厚労省は、調査の方法 や、すでに存在する優先入所枠についての対応策などを検討する。

老人ホーム、944人が事故死…国に報告1割 indexへ

 全国の有料老人ホームから2016年度、自治体に報告さ れた誤飲や転倒など事故による入居者の死者数が944人に上ることが読売新聞の調査でわかった。国は全国集計をしておらず、自治体から国への死亡事故の報 告は約1割にとどまっている。再発防止に向けた情報共有が徹底されていないことも浮き彫りになっており、厚生労働省は実態把握に乗り出す考えだ。
 有料老人ホームでの事故について、読売新聞は17年11~12月、指 導監督権を持つ都道府県と政令市、中核市に対する調査を実施。全115自治体から回答(一部項目の無回答を含む)を得た。対象施設は約1万8000施設 で、老人福祉法で有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅も含まれる。